特定技能の採用の流れ|申請から就労開始までの手順を解説
目次
特定技能の採用は、「人を見つけて雇う」だけでは終わりません。在留資格の申請や支援計画の策定など、制度特有の手順があります。このページでは、採用の流れを時系列で整理し、各ステップで企業が何をするのかを解説します。
全体像から把握したい場合は特定技能採用の完全ガイドを、費用は採用費用・相場をあわせてご覧ください。
採用ルートは大きく2つ
最初に押さえたいのは、特定技能の人材をどこから採用するかです。ルートによって手続きと期間が変わります。
- 国内在住者を採用する — すでに日本にいる特定技能外国人や、試験に合格した留学生などを採用します。在留資格の「変更」手続きで済むことが多く、比較的早く就労開始できます。
- 海外から呼び寄せる — 海外にいる人材を採用します。在留資格認定証明書の交付申請と査証(ビザ)の手続きが必要で、送出機関の関与や渡航の準備も加わるため、期間・費用ともに大きくなりがちです。
いずれの場合も、人材は原則として特定技能の試験(技能試験+日本語試験)に合格しているか、技能実習2号を良好に修了していることが前提になります。
ステップ1:自社の分野・受け入れ要件の確認
まず、自社の業種が特定技能の対象16分野に含まれるかを確認します。あわせて、受け入れ企業(特定技能所属機関)として満たすべき受け入れ要件——労働関係法令の遵守、報酬を日本人と同等以上にすることなど——を確認します。
ステップ2:人材の確保
採用ルートを決め、人材を探します。国内在住者の採用、海外からの呼び寄せのほか、人材紹介会社を通じて条件に合う候補者を紹介してもらう方法もあります(紹介手数料の相場は人材紹介手数料の相場を参照)。
ステップ3:雇用契約(特定技能雇用契約)の締結
採用が決まったら、特定技能雇用契約を結びます。報酬額が日本人と同等以上であること、フルタイムであることなど、制度上の基準を満たす内容にする必要があります。
ステップ4:1号特定技能外国人支援計画の策定
特定技能1号では、外国人材が安定して働き生活できるよう「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。事前ガイダンスや生活オリエンテーションなど、実施すべき支援の内容を定めるものです。
この支援は自社で行うこともできますが、要件を満たすのが難しい場合は登録支援機関に全部を委託できます。詳しくは登録支援機関とは?をご覧ください。
ステップ5:在留資格の申請
人材の状況に応じて、次の申請を行います。
- 国内にいる人 … 在留資格変更許可申請
- 海外にいる人 … 在留資格認定証明書交付申請 → 交付後に在外公館で査証(ビザ)申請 → 入国
審査には一定の期間がかかります。スケジュールには余裕を持たせましょう。在留資格の申請取次や書類作成を専門家に依頼する場合は、行政書士などの有資格者にご相談ください(当サイトは代行を行いません)。
ステップ6:入国・就労開始と入国後の手続き
在留資格が認められたら、入国・就労を開始します。就労開始後も、生活オリエンテーションの実施や、受け入れに関する各種届出(定期届出など)が必要です。支援を登録支援機関に委託している場合は、これらの実施を支援機関がサポートします。
採用にかかる期間の目安
特定技能の採用期間は、「採用活動そのものの期間」と「在留資格手続き(入管の審査)の期間」を分けて考えると見通しが立ちます。後者は申請の種類ごとに標準処理期間が公表されているため、ここを軸にスケジュールを組みます。
在留資格手続き(入管審査)の標準処理期間
出入国在留管理庁は、申請の種類ごとに審査の標準処理期間を公表しています。
| 申請の種類 | 主なルート | 標準処理期間 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可申請 | 国内在住者を採用 | 2週間〜1か月 |
| 在留資格認定証明書交付申請 | 海外から呼び寄せ | 1〜3か月 |
標準処理期間は目安で、実際の審査日数はこれより長くなることがあります。出入国在留管理庁が公表する特定技能1号の認定証明書交付申請の平均処理日数は、おおむね2か月前後で推移しています。1〜4月は申請が集中し、さらに時間がかかりやすいため、余裕を持って申請してください。
採用全体の進行イメージ(ルート別)
在留資格手続きの前後に、人材の確保・雇用契約・支援計画の準備が入ります。採用活動の開始から就労開始までの全体は、一般的に次のような幅になります。
- 国内在住者を採用する場合 … おおむね1〜3か月程度。在留資格の変更で済むことが多く、比較的短く進みます。
- 海外から呼び寄せる場合 … おおむね4〜8か月程度。認定証明書の交付後に、在外公館での査証(ビザ)申請・渡航準備が加わるためです。
- 技能実習2号から移行する場合 … 技能試験・日本語試験が免除される扱いがあり、在留資格変更を中心に1〜3か月程度が目安です。移行できる時期(実習の修了時期)に合わせた調整が必要です。
上記の全体期間は、当サイトが一般的な進行を整理した目安であり、特定の期間での採用完了を保証するものではありません。書類の準備状況、本国側の手続き、試験の合格状況、住居の準備などにより前後します。
期間が延びやすい要因
- 書類の不備・追加資料の求め — 申請後に追加書類を求められると、その分審査が延びます。
- 繁忙期(1〜4月) — 申請が集中し、審査に時間がかかりやすい時期です。
- 海外側の手続き — 査証申請、送出機関の手続き、健康診断、渡航準備など、日本の審査以外の工程。
- 支援体制の準備不足 — 支援計画や登録支援機関の選定が固まっていないと、申請の準備段階で時間がかかります。
企業が先に準備しておくこと
期間を短くするうえで、企業側が早めに着手できるのは次の点です。
- 雇用条件の整理 — 報酬を日本人と同等以上にするなど、制度上の基準を満たす内容にする。
- 支援体制の決定 — 自社支援か登録支援機関への委託かを決め、委託先を選定する。
- 受け入れ機関側の書類準備 — 会社の登記事項証明書、労働保険・社会保険関係など、企業側で用意する書類。
登録支援機関に委託すると、支援計画の策定や、生活オリエンテーション・各種支援の実施など、企業だけでは負担の大きい工程を任せられます(在留資格申請の書類作成・申請取次が必要な場合は、行政書士などの専門家と連携して進めます)。委託の判断や選び方は登録支援機関とは?・登録支援機関の選び方もあわせてご確認ください。
費用もあわせて確認を
流れと並行して把握しておきたいのが費用です。人材紹介手数料、登録支援機関への委託費、申請関連費用などが発生します。総額の目安は特定技能の採用費用・相場で解説しています。
「自社のケースだと、どのルートでどのくらいの期間・費用になるのか」を整理したい段階でも、お気軽にご相談ください。条件に合う登録支援機関・人材紹介会社を無料でご紹介します。
よくある質問
- 特定技能の採用にはどのくらいの期間がかかりますか?
- 在留資格手続きの標準処理期間は、国内在住者の採用(在留資格変更許可申請)で2週間〜1か月、海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)で1〜3か月です。採用活動を含めた全体では、国内採用でおおむね1〜3か月、海外採用で4〜8か月程度が一つの目安です(標準処理期間は出入国在留管理庁の公表値、全体の目安は当サイトの整理)。
- 国内採用と海外採用で手続きはどう違いますか?
- 国内在住者は在留資格の「変更」手続きで済むことが多く、比較的早く就労を開始できます。海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書の交付申請に加え、在外公館での査証(ビザ)申請・渡航準備が必要で、期間・費用ともに大きくなる傾向があります。