特定技能は国内採用と海外採用どっち?定着・長期戦力化で選ぶ採用ルート
目次
特定技能で外国人を採用するとき、「すでに日本にいる人を採るか、海外から呼び寄せるか」で迷う企業は少なくありません。結論を先に言うと、即戦力・コスト・スピードを重視するなら国内転職組、腰を据えた長期戦力化(1号から2号への育成)を重視するなら海外からの新規入国が選ばれやすい傾向があります。ただし「定着するかどうか」は採用ルートだけで決まるわけではありません。このページで、2つのルートの違いと、自社に合う選び方を整理します。
この記事の要点
- 採用ルートは大きく2つ — 国内転職組(技能実習修了者・留学生など、すでに日本にいる人材)と、海外からの新規入国。直近では国内移行が約54%、新規入国が約46%です。
- 国内転職組=即戦力・低コスト・早い/海外新規=長期戦力化に乗せやすい — どちらにも向き・不向きがあり、自社が何を優先するかで選びます。
- 「定着」はルートでは決まらない — 採用ルートの違いより、採用後の支援・職場づくりが定着を左右します。長く戦力化したい場合は、1号から2号への道筋(5年の使い方)も含めて設計します。
特定技能の採用ルートは「国内転職組」と「海外新規入国」
特定技能の人材をどこから採るかは、大きく2つに分かれます。
- 国内転職組 — すでに日本にいる人材。技能実習を修了して特定技能へ切り替える人や、試験に合格した留学生などが中心です。
- 海外新規入国 — 海外にいる人材を、試験合格などを経て新規に呼び寄せます。
直近(令和7年12月末)では、特定技能で働く人のうち約54%が国内での在留資格変更(技能実習修了者などからの移行)、約46%が海外からの新規入国で、国内移行が多数を占めます。ただし近年は新規入国の比率が上昇する傾向もみられます。
なお、採用にかかる手続きや期間はルートで大きく変わります(国内は在留資格の「変更」で比較的早く、海外は「認定」と査証手続きで時間がかかります)。手続きの流れは特定技能の採用の流れ|申請から就労開始までの手順で整理しているので、本記事は「どちらのルートを選ぶか」という判断に絞って解説します。
国内転職組のメリットと注意点
すでに日本にいる人材を採用する場合の特徴です。
- 即戦力になりやすい — 技能実習修了者は実務経験があり、日本語や日本の生活にも慣れています。
- 採用までが早い — 在留資格の「変更」手続きが中心で、海外からの呼び寄せより短期間で就労を開始しやすい傾向があります。
- 初期費用を抑えやすい — 渡航費や送出機関の費用がかからず、技能実習からの移行では人材紹介手数料も抑えやすい傾向があります(費用は特定技能の採用費用・相場を参照)。
注意点として、「一度転職している人は、また動くのではないか」と懸念されることがあります。ただし特定技能は、国内・海外いずれの人材も同一分野での転職が認められており、転職のしやすさに法的な差はありません。再離職の起きやすさは本人や職場の要因によるもので、採用ルートだけで決まるものではありません。
海外新規入国のメリットと注意点
海外から新規に呼び寄せる場合の特徴です。
- 長期戦力化に乗せやすい — 来日して間もない段階から自社で受け入れるため、自社のやり方に沿って育てやすく、1号から2号への育成を5年単位で設計しやすいという考え方があります。
- 採用の選択肢が広い — 国内の人材プールに限られず、必要な人数・分野の人材を確保しやすい場面があります。
注意点は、手続き・期間・費用の負担が大きいことです。在留資格認定証明書の交付申請に加え、在外公館での査証(ビザ)申請、送出機関の手続き、渡航準備が必要で、就労開始までに数か月かかります。また、来日後の生活立ち上げの支援が手厚く必要になるため、定着は受け入れ体制の整え方に左右されます。
「定着」は採用ルートでは決まらない
「海外から来た人のほうが腰を据えて長く働いてくれる」と語られることがありますが、定着するかどうかは採用ルートだけで決まるわけではありません。国内転職組でも、職場や支援が合えば長く働きますし、海外新規入国でも、受け入れ体制が不十分なら早期離職は起こり得ます。
定着を左右するのは、ルートの違いよりも、採用後の支援・コミュニケーション・職場づくりです。離職を防ぐために企業ができることは特定技能外国人の定着支援|採用後に企業が行う支援と離職を防ぐ工夫で具体的に整理しています。採用ルートは「定着の決め手」ではなく、「自社の優先順位(即戦力か、長期育成か)に合うか」で選ぶのが実務的です。
長期戦力化を狙うなら:1号から2号への「5年の使い方」
腰を据えた戦力化を重視する場合、特定技能1号の通算5年をどう使うかが設計のポイントになります。
- 特定技能1号は在留が通算で最長5年です。
- その5年の間に、技能試験や、現場を管理する実務経験などの要件を満たせば、特定技能2号へ移行できます(要件は分野によって異なります)。
- 特定技能2号は在留期間更新の上限がなく、要件を満たせば家族の帯同も認められ、長期にわたって就労してもらえます。
つまり、海外から1号で受け入れて自社で育て、5年以内に2号へ——という道筋を描くなら、採用の時点から2号を見据えた育成計画を持っておくことが有効です。
特定技能2号の対象は11分野で、介護分野は2号の対象外です。介護では、介護福祉士の資格取得などを経て在留資格「介護」へ移行する別のルートがあります。自社の分野が2号の対象かは、最新の運用方針で確認してください。
1号と2号の違い(在留期間・家族帯同・できる業務)は特定技能1号・2号の違いと2号でできることで詳しく解説しています。
どちらを選ぶか:自社の優先順位で決める
2つのルートは優劣ではなく、何を優先するかで選びます。
| 重視すること | 向いているルート | 理由 |
|---|---|---|
| 即戦力・採用スピード・初期コスト | 国内転職組 | 実務経験・日本語・生活慣れがあり、手続きも比較的早い |
| 腰を据えた長期戦力化(1号→2号) | 海外新規入国 | 来日初期から自社で育て、5年単位で戦力化を設計しやすい |
| 必要な人数・分野の確保 | 状況による | 国内の人材プールで足りなければ海外も検討する |
| 定着 | ルートでは決まらない | 採用後の支援・職場づくりが左右する |
実際には「まず国内で確保しつつ、長期育成枠は海外から」のように組み合わせる企業もあります。技能実習からの移行を含めて検討する場合は、制度の違いを特定技能・技能実習・育成就労の違いで確認しておくとよいでしょう。
まとめ
特定技能の採用ルートは、即戦力・コスト・スピードなら国内転職組、長期戦力化(1号→2号)なら海外新規入国が選ばれやすい傾向があります。ただし「定着」は採用ルートではなく、採用後の支援・職場づくりで決まります。自社が何を優先するかを起点に、手続き・期間・費用も踏まえて選びましょう。
手続きの流れは特定技能の採用の流れ、国ごとの採用事情は特定技能で採用できる国は?、制度の全体像は特定技能で外国人を採用するには?完全ガイドをご覧ください。
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よくあるご質問
- 特定技能は国内採用と海外採用、どちらがいいですか?
- 即戦力・コスト・スピードを重視するなら、すでに日本にいる国内転職組(技能実習修了者・留学生など)が選ばれやすく、腰を据えた長期戦力化(1号から2号への育成)を重視するなら海外からの新規入国が選ばれやすい傾向があります。ただし定着するかどうかは採用ルートだけで決まるわけではなく、受け入れ体制や本人との相性によります。自社が何を優先するかで選ぶのが基本です。
- 国内転職組はまた転職してしまいませんか?
- 特定技能は、国内にいた人材も海外から来た人材も、同一の業務区分内(または技能の共通性が確認された区分間)での転職が認められており、法的な差はありません。再び離職するかどうかは本人や職場の要因によります。定着は、採用ルートの選択そのものより、採用後の支援や職場づくりで高めるものです。
- 海外から採った人を長く戦力にできますか?
- 特定技能1号は在留が通算で最長5年です。その間に技能試験などの要件を満たせば特定技能2号へ移行でき、2号は在留期間更新の上限がなく、長期の就労が可能です。ただし2号の対象は11分野で、介護分野は対象外です(介護は在留資格『介護』への別のルートがあります)。
- 特定技能は国内移行と海外新規入国のどちらが多いですか?
- 直近(令和7年12月末)では、特定技能で働く人のうち約54%が国内での在留資格変更(技能実習修了者などからの移行)、約46%が海外からの新規入国です。国内移行が多数を占めますが、近年は新規入国の比率が上昇する傾向がみられます。