登録支援機関とは?役割と委託でできること・できないこと
目次
特定技能1号で外国人材を採用しようと調べ始めると、必ず突き当たるのが「登録支援機関」という言葉です。自社で支援できる体制がない、何を任せられるのか分からない——その不安の答えがここにあります。結論を先に言うと、登録支援機関は特定技能1号で義務づけられた支援を、企業に代わって実施する登録機関で、支援計画の全部を委託すれば、企業は支援体制の基準を満たすものとみなされます。このページで、役割・委託できること・費用を企業の視点で整理します。
この記事の要点
- 登録支援機関=支援を代行する登録機関 — 出入国在留管理庁の登録を受けた機関だけが担えます。登録の有効期間は5年(更新制)で、登録簿で公開されています。
- 全部委託すれば基準を満たすとみなされる — 義務的支援10項目の全部を委託すれば、受け入れ企業は支援体制に関する基準を満たすものとみなされます(初めての受け入れで委託が選ばれる理由)。
- 費用は1人あたり月2〜3万円程度が目安 — 委託費は1人あたり月15,000〜30,000円程度が一つの目安。含まれる支援範囲は機関ごとに異なります。
- 全国に11,494機関あるが分布・言語に偏り — 47都道府県すべてに存在する一方、東京・愛知・大阪の上位3都府県で約4割。対応言語もベトナム語が約64%と突出し、自社の地域・採用したい国籍で選択肢が変わります。
本記事は一般的な情報提供です。支援内容の要件や登録機関の一覧は変動することがあります。最新の運用要領・登録支援機関登録簿など、出入国在留管理庁の公式情報で必ず確認してください。
登録支援機関とは
特定技能1号では、受け入れ企業に対して、外国人材が安定して働き・生活できるよう支援を実施する義務があります。この支援の実施を企業から委託される機関が登録支援機関です。出入国在留管理庁の登録を受けた機関だけが、この役割を担えます。
ポイントは、企業が支援を自社で行う代わりに、登録支援機関に支援計画の全部または一部を委託できる点です。支援体制を自社で整えるのが難しい場合の、現実的な選択肢になります。
特定技能1号の支援には、次の4者が関わります。登録支援機関は、企業と外国人材の間で支援を実施し、その登録を出入国在留管理庁が管理する立場です。
| 関わる主体 | 特定技能1号における役割 |
|---|---|
| 出入国在留管理庁 | 登録支援機関を登録・管理する(登録の有効期間は5年・更新制) |
| 受け入れ企業(特定技能所属機関) | 外国人材への支援を実施する義務を負う。支援計画の全部または一部を登録支援機関に委託できる |
| 登録支援機関 | 企業の委託を受け、外国人材への義務的支援を実施する |
| 外国人材(特定技能1号) | 企業・登録支援機関から支援を受ける |
なお登録支援機関は特定技能の制度の機関で、技能実習・育成就労で受け入れ窓口となる監理団体(監理支援機関)とは制度上の別のものです。両者の役割の違いは監理支援機関とはで整理しています。
登録支援機関の登録の有効期間は5年で、更新制です。登録された機関は、出入国在留管理庁が公開する登録支援機関登録簿で確認できます。委託先を検討するときは、登録が有効かどうかを確認しておくと安心です。全国の登録数や都道府県別の分布・対応言語の割合は、登録支援機関の統計データで登録簿をもとに整理しています。
どんな機関が登録されている?(登録の基準と取消し)
登録支援機関は出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関だけが名乗れます(入管法第19条の23)。登録にあたっては出入国在留管理庁長官が要件を確認し、次のような登録拒否事由(同法第19条の26)に当たる機関は登録されません。
- 拘禁刑以上の刑を受け、その執行を終わった日などから5年を経過していない(罪名は限定されていません)
- 出入国・労働関係法令や暴力団関係の法令などに違反して罰金の刑を受け、5年を経過していない
- 暴力団員等、またはその支配下にある
- 過去5年以内に、外国人の受け入れ・支援で不正または著しく不当な行為(旅券の取り上げ・保証金の徴収など)をした
- 支援業務を的確に行う体制(事務所ごとの支援責任者・支援担当者の選任など)が整っていない
登録後も、委託された支援の不履行(無断の再委託など)や届出義務違反があれば登録が取り消されることがあり(同法第19条の32)、取り消されると5年間は再登録できません。こうした登録の基準・取消しの仕組みにより、登録支援機関には最低限の基準が課されていますが、委託先を選ぶときは登録が有効かを登録簿で確認しておくと確実です。
なお、これは「登録支援機関」側の基準で、外国人を受け入れる企業側が満たすべき受け入れ要件(欠格事由など)とは別のものです。
なぜ「支援」が必要なのか
特定技能1号の外国人材は、来日して間もない場合も多く、言語・生活・行政手続きで不安を抱えがちです。制度は、こうした人材が職場と地域に定着できるよう、企業に支援を求めています。支援は採用後の定着に直結するため、単なる義務というより、長く働いてもらうための仕組みと捉えるとよいでしょう。採用後に支援が機能しないと、早期離職につながりやすいテーマです(特定技能でよくある失敗)。
義務的支援の内容
支援には、必ず実施すべき「義務的支援」と、追加で行うことが望ましい「任意的支援」があります。登録支援機関に委託して代行してもらえるのは、この義務的支援10項目です。全体像は次のとおりです。
| # | 義務的支援の項目 | 内容のポイント |
|---|---|---|
| ① | 事前ガイダンス | 在留諸申請の前に、労働条件や入国手続き・保証金徴収の有無などを説明(運用要領は雇用契約の締結時以前の実施が望ましいとする。実施時間の目安は3時間程度) |
| ② | 出入国する際の送迎 | 入国時(空港→事業所・住居)と帰国時(空港の保安検査場まで)の送迎 |
| ③ | 住居の確保・生活に必要な契約の支援 | 住居探しの補助、銀行口座・携帯電話・ライフラインの契約支援 |
| ④ | 生活オリエンテーション | 生活ルール・公共機関の利用・災害時対応・相談窓口などを案内(実施時間は8時間以上が必要) |
| ⑤ | 公的手続等への同行 | 住民登録・社会保障・税などの手続きへの同行と書類記入のサポート |
| ⑥ | 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室の情報提供や入学手続きの補助 |
| ⑦ | 相談・苦情への対応 | 職場・生活上の相談に、理解できる言語で対応(勤務日3日以上・休日1日以上+夜間の体制が必要) |
| ⑧ | 日本人との交流促進 | 地域行事の案内など、日本人と交流する機会づくり |
| ⑨ | 転職支援(非自発的離職時) | 会社都合などで離職する場合に次の受け入れ先を探す支援 |
| ⑩ | 定期的な面談・行政機関への通報 | 3か月に1回以上の面談。労働基準法違反などを把握したら行政機関へ通報 |
これらは「1号特定技能外国人支援計画」に定め、計画に沿って実施します。登録支援機関に委託する場合、この実施を機関が代行します。各項目の具体的な内容・実施のタイミングは、特定技能の義務的支援10項目で詳しく解説しています。
事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談・苦情対応などは、外国人材が十分に理解できる言語で行う必要があります。多言語対応は、登録支援機関を選ぶ際の確認ポイントの一つです。
委託できること・できないこと
登録支援機関に委託できるのは、上記の義務的支援(10項目)の全部または一部です。支援計画の全部の実施を委託した場合、受け入れ企業は支援体制に関する基準を満たすものとみなされます。自社で支援責任者・支援担当者の体制や多言語対応を用意できなくても、特定技能の受け入れを進められるため、初めて特定技能を受け入れる企業が委託を選ぶ大きな理由になっています。
一方で、在留資格の申請書類の作成や申請取次は、登録支援機関の義務的支援には含まれません。これらは行政書士(や弁護士)などの専門家の領域です。書類作成・申請取次まで任せたい場合は、行政書士などの専門家と連携する必要があります。「登録支援機関に委託すれば申請手続きまで全部おまかせできる」と誤解しないよう、業務範囲を分けて理解しておきましょう。
もう一つ押さえておきたいのが再委託の扱いです。登録支援機関は、企業から委託された支援の実施を、さらに別の事業者へ丸ごと再委託することはできません。ただし、通訳や送迎などを補助者に依頼して支援を実施すること自体は認められています。委託の範囲や再委託の有無は契約前に確認しておきたいポイントです(詳しくは契約前チェックリスト・費用の内訳)。
登録支援機関はどれくらいある?自社の地域・言語で見つかるか
登録支援機関は全国に11,494機関あり(2026年7月28日現在・出入国在留管理庁の登録簿より集計)、47都道府県すべてに存在します。ただし分布は大都市圏に偏り、東京・愛知・大阪の上位3都府県だけで全国の約4割を占めます。最少の島根県は18機関で、地域差は大きいのが実情です。
自社の地域で探すときの目安は、都市部と地方で分かれます。
- 大都市圏:機関数が多く選択肢は豊富で、むしろ「多すぎて絞れない」状況になりがちです。対応言語・分野実績・費用の透明性で比較する段階が重要になります。
- 地方:県内の機関が少なくても、登録支援機関は本店以外に支援事務所を置けるため、隣県の機関が対応できる場合があります。「近くにない」と諦める前に、対応エリアを含めて探す価値があります。
対応言語にも偏りがあります。ベトナム語対応が約64%と突出する一方、ミャンマー語(約26%)・ネパール語(約18%)など近年在留者が増えている国の言語は、対応機関がまだ少なめです。採用したい国籍によって、支援を任せられる機関の選択肢は変わります。
登録数の推移・都道府県別の分布・対応可能言語の割合・1機関あたりの在留者数といった詳しいデータは、登録支援機関の統計データで公開しています。
費用は「何が含まれるか」で比べる
登録支援機関への委託費は、月額で設定されるのが一般的です(1人あたり月2〜3万円程度が一つの目安)。ただし、この金額に含まれる支援の範囲は機関ごとに異なります。金額だけでなく「何が含まれるか」をそろえて比べるのが、後悔しない委託先選びのポイントです。
相場の詳しい内訳・委託費が変わる要因・料金の見方は登録支援機関の費用相場|委託料の月額・内訳と注意点、採用全体での費用の内訳は特定技能の採用費用・相場で解説しています。
委託を選ぶ企業が多い理由
支援は自社で行うこともできますが、支援責任者・支援担当者の選任や多言語での対応など、要件を満たす体制を整える必要があります。初めての受け入れや多言語対応が難しい場合は、登録支援機関への委託が現実的です。どちらを選ぶかの判断基準・自社支援に必要な体制・費用の比較は特定技能は自社支援?登録支援機関に委託?|判断基準・要件・費用で詳しく整理しています。
登録支援機関の選び方は別記事で
委託する場合、どの登録支援機関を選ぶかは支援の質と定着を左右します。対応言語・分野実績・費用の透明性・実施体制・登録の有効性・委託範囲・連絡のしやすさなど、契約前に比較すべきポイントは、登録支援機関の選び方|比較ポイント7つで整理しています。契約前の確認は契約前チェックリストも参考にしてください。自社に合う機関を比較検討したい場合は、条件を伝えて紹介を受けるのも一つの方法です。
なお、すでに委託中の機関の委託料や支援内容に課題を感じている場合は、途中から委託先を変更することもできます。手続きと注意点は登録支援機関の乗り換え(変更)で解説しています。
まとめ
登録支援機関は、特定技能1号で義務づけられた支援(義務的支援10項目)を企業に代わって実施する、出入国在留管理庁の登録を受けた機関です。支援計画の全部を委託すれば、企業は支援体制の基準を満たすものとみなされます。費用は1人あたり月2〜3万円程度が一つの目安で、対応言語・実績・委託範囲で選びます。機関は全国に11,494機関(2026年7月28日現在)あり47都道府県すべてに存在しますが、分布や対応言語には偏りがあるため、自社の地域・採用したい国籍に対応できるかの確認が要ります。なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域で、登録支援機関の支援には含まれない点に注意しましょう。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、採用の進め方は採用の流れをご覧ください。
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よくあるご質問
- 登録支援機関に委託すると、どこまでお願いできますか?
- 特定技能1号で義務づけられた義務的支援10項目の全部または一部を委託できます。支援計画の全部を委託すれば、受け入れ企業は支援体制に関する基準を満たすものとみなされます。ただし、在留資格の申請書類の作成や申請取次は登録支援機関の支援には含まれず、行政書士などの専門家の領域です。
- 登録支援機関への委託費用はどのくらいですか?
- 1人あたり月15,000〜30,000円程度(月2〜3万円程度)が一つの目安です。金額に含まれる支援の範囲は機関ごとに異なり、初期支援を別の初期費用とする場合もあります。料金の見方は登録支援機関の費用相場の記事で詳しく解説しています。
- どの機関が登録支援機関なのか、確認できますか?
- 登録支援機関は出入国在留管理庁の登録を受けた機関で、登録の有効期間は5年(更新制)です。登録された機関は出入国在留管理庁が公開する登録支援機関登録簿で確認できます。