特定技能の受け入れ停止|止まる手続きと再開の見通し・次に止まる分野
目次
特定技能の受け入れ停止とは、分野ごとの上限(受入れ見込数)に達する見込みになったとき、その分野の新規受け入れを一時的に止める措置です。2026年4月13日から外食業分野で実際に発動しました。制度の廃止ではありません。この記事に来た方の関心は、たいてい次の3つのどれかです——「いま何が止まり、何ができるのか」「再開はどう決まるのか」「次はうちの分野ではないか」。
結論から言うと、止まるのは新規に入ってくる経路で、止まらないルートが残ります——分野内の転職・在留期間の更新・特定技能2号への移行は、外食業の措置でも対象外です。再開は条文上「できる」=裁量で、時期はあらかじめ決まっていません。そして、分野ごとの「上限にどれだけ近いか」は出入国在留管理庁が四半期ごとに公表しており、誰でも確認できます。[1]このページでは全19分野の枠と、充足率を比べられる16分野について残りの枠が現在のペースで何年分にあたるかまで一覧にしました。外食業で企業が取れる手の細目は特定技能「外食業」とは(受け入れ停止中に取れる手)が担います。
受け入れ停止とは何か——いま止まっている分野と、条文の建て付け
特定技能の受け入れ停止とは、分野ごとに定められた受入れ見込数(上限)を超えることが見込まれるときに、その分野の新規受け入れを一時的に止める措置です。制度の廃止ではありません。なお「受け入れ停止」という言葉は、個々の企業・機関が違反などを理由に受け入れられなくなる場面を指して使われることもありますが、本記事で扱うのは分野全体の上限到達による一時停止です。
2026年9月6日時点で、出入国在留管理庁の特定技能制度のページおよび分野別の告知を確認した範囲では、現行の交付停止の告知は外食業分野のものだけでした(過去の例=2022年の産業機械製造業分野)。外食業分野は、1号特定技能外国人の在留者数が2026年2月末で約4万6千人(速報値)となり同年5月頃に受入れ見込数の5万人を超える見込みになったことを理由に、農林水産大臣の求めと法務大臣の措置で2026年4月13日から新規の受け入れが止まりました。その後の公表値では、2026年6月末時点の在留者数は49,060人(速報値)で、充足率は98.1%です(本記事の全分野表と同じ時点=「5月頃に超える」見込みに対し、6月末では上限に達しないところで止まっています)。[2][3][4]外食業で止まった手続き・動いている手続きの細目、審査の到達点、停止中に企業が取れる手、再開の判断指標は特定技能「外食業」とは(受け入れ停止中に取れる手)で整理しています。本記事は分野を問わない停止の仕組みと、全19分野の枠と充足率から「次に止まりそうな分野」を読む側を担います。受入れ見込数は全分野に設定されているため、同じ仕組みで他分野が止まることはあり得ます。
「受け入れ停止」とは何か(条文の建て付けと、停止・再開の非対称)
根拠は入管法第7条の2第3項〜第5項です。条文は特定産業分野を所管する関係行政機関の長(分野所管省庁の側)が「当該特定産業分野において必要とされる人材が確保されたと認めるとき」に法務大臣へ交付停止を求め、法務大臣が措置をとるという2段構造で、どちらも「求めるものとする」「措置をとるものとする」と書かれています。なお「受入れ見込数を超えることが見込まれる場合」(に停止を求める)という要件は、条文の文言ではなく分野別運用方針の側に置かれています。また条文は停止の対象を「当該特定産業分野において必要とされる人材が確保されたと認めるとき」と分野の単位で書いています(外食業の措置も分野全体に及びました)。
⚠️ 見落とされやすいのは、停止と再開が条文上で非対称だという点です。 第5項は第3項・第4項を再開の措置へ準用しますが、そのとき「確保された」を「不足する」に、「ものとする」を「ことができる」に読み替えると定めています。つまり停止は要件を満たせば措置をとる建て付けなのに、再開は「できる」=裁量です。条文の構造そのものが「待っていれば戻る」を前提にできない形になっています。[5]
止まった手続き・止まっていない手続き
「停止」といっても、すべての手続きが止まったわけではありません。止まるのは新規に入ってくる経路で、手続きごとの扱いは申請がいつ受理されたかで決まります。外食業の措置を例に、扱いの型を示します。
| 手続き | 措置日(外食業=2026年4月13日)以降に受理された申請 | 措置日より前に受理された申請 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書の交付申請(海外からの新規呼び寄せ) | 不交付 | 受入れ見込数の範囲内で順次交付。ただし措置日以降はいったん交付保留となり、在留資格変更許可申請が優先されるため交付までに相当な遅延が生じる見込み |
| 他の在留資格から特定技能1号への変更許可申請(他分野の特定技能1号からの分野変更を含む) | 原則として不許可。分野で例外あり(外食業=技能実習〔医療・福祉施設給食製造作業〕修了者と特定活動〔特定技能1号移行準備〕からの移行は、受入れ見込数の範囲内で順次許可) | 受入れ見込数の範囲内で順次許可 |
| 特定活動(特定技能1号移行準備)への変更許可申請 | 不許可(外食業=分野内転職に伴う申請・技能実習〔医療・福祉施設給食製造作業〕修了者からの申請は通常どおり審査) | 予告日までに協議会へ加入申請済みなら通常どおり審査 |
| 分野内の転職にともなう在留資格変更許可申請 | 通常どおり審査(枠に関係なく処理) | 通常どおり審査 |
| 在留期間の更新許可申請(今いる人の継続雇用) | 通常どおり審査(在留者数の増加に影響しないため) | 通常どおり審査 |
| 特定技能2号への変更許可申請 | 本措置の対象外=通常どおり審査(外食業=農林水産省のQ&A) | 本措置の対象外=通常どおり審査 |
つまり、新たに人を「増やす」ルートは絞られるが、すでに国内にいる人を「動かす・続ける・上げる」ルートは生きている、という状態です。[6]
読み取るべき点が3つあります。
- ⚠️ 「措置日より前に出しておけば処理される」と読まないでください。 措置日より前に受理された認定証明書の交付申請は「交付保留」に置かれ、枠に余裕が生まれるまで動きません(変更許可申請は保留されず順次許可)。外食業の実施予定図での位置づけと審査の到達点は特定技能「外食業」とは(止まった手続き・動いている手続き)で整理しています。
- 「通常どおり審査」と「見込数の範囲内で順次許可」は別物です。 分野内転職は枠の残りに左右されませんが、例外として順次許可される移行ルートは残っている枠を消費するため、枠が尽きれば処理は進みません。しかも順次許可の対象になっても、許可する時点の在留者数の状況によっては1号でなく特定活動(特定技能1号移行準備)への変更や同資格での在留期間更新(1回まで)を案内される場合があります=「1号に届かないまま在留期限が来る」経路も見込んでおく必要があります。外食業での例外3つの読み分けは特定技能「外食業」とは(3つの例外)で整理しています。
- ⚠️ 止まる手続きの範囲は、分野が変わっても毎回同じとは限りません。 過去の産業機械製造業の停止では、止まったのは認定証明書の交付だけで在留資格の変更は許可されていました(後述)。今後ほかの分野で止まる場合の扱いは、その時点で公表される対応方針で確認してください。
審査はどこまで進んでいるかを確認する方法
出入国在留管理庁は、実際にどこまで審査が進んだかを分野別の「審査状況」ページで公表します。 外食業では2026年8月10日掲載時点で、海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書の交付申請)の審査が到達しているのは受付日2026年1月5日までの申請にとどまり、停止の措置日どころか予告(3月27日)より3か月近く前の受付分で止まっています。国内にいる人からの変更許可申請が優先される運用が、この日付の差にそのまま表れています。[7]同じページの留意事項には、受付日順は申請内容や書類の状況で前後すること、個別の進捗は照会できないこと、技能実習修了者からの変更は就労開始予定日の2か月以上前に申請することなど、実務を左右する記載が置かれています。申請区分ごとの到達範囲と留意事項6点の逐語は特定技能「外食業」とは(審査はどこまで進んでいるか)にまとめています。
⚠️ 「受理された日」は、書類を送った日とは限りません。 停止は受理日で線が引かれるのに、書類の不備で差し戻されれば受理はその分だけ後ろへずれます。次に止まる分野で予告が出た場合、予告から施行までは約2週間強しかありません(後述)。その局面では、出す日ではなく受理される日から逆算してください。
⚠️ 止まると、その分野の技能試験も止まります
見落とされがちですが、外食業では受け入れ停止に合わせて、1号評価試験の実施も止まりました。他分野が止まる場合も同じ扱いになりうると見ておく必要があります。農林水産省は次のように公表しています。
外食業特定技能1号評価試験は、当面の間、国内外ともに実施しません。
これが意味するのは、停止後は新しい合格者が生まれないということです。つまり「停止が解除されてから採用活動を始めよう」と考えても、そのときには有資格者のプールが増えていない。再開を待つ戦略が成立しにくい構造になっています。[8]分野ごとの試験の実施状況は特定技能の試験でまとめています。
2号への変更は止まりません(1号の在留者数に対する措置だから)
停止措置は特定技能1号の在留者数が受入れ見込数を超える見込みとなったことによる措置で、受入れ見込数は運用方針上「1号特定技能外国人」の数字です。 外食業では農林水産省のQ&Aが「本措置については、特定技能2号は対象外となり、通常どおり審査されます」としており(1号の在留者数を増やす手続きではないため、と読めます)、2号評価試験も止まっていません。[8]新規に1号で採る道が細る一方で、今いる1号人材を2号へ引き上げる道は開いたままです。2号は在留期間の更新回数や家族帯同の扱いが1号と異なるため(違いの詳細は特定技能1号・2号の違い)、停止局面での定着策としての意味が大きくなります。
なお、後述する分野別の受入れ見込数は資料名のとおり特定技能1号の数値です(2号には受入れ見込数は設定されていません=分野別運用方針が定める見込数は1号特定技能外国人と育成就労外国人のもの)。2号の在留者数は分野別にも公表されており、2026年3月末(速報値=本記事の分野別表より1四半期前の時点)で飲食料品製造業3,402人・建設3,148人・農業1,798人・工業製品製造業1,529人・外食業1,495人などです。[9]もっとも2号には熟練技能の試験や実務経験などの要件があり、「停止中は2号で新規に呼べばよい」という経路が広く開くわけではありません(外食業の2号要件と停止中に進める手順は特定技能「外食業」とは)。
止まったら、自社に何が起きるか
止まると、進行中の海外呼び寄せ・留学生の卒業後採用・新しい合格者の供給が同時に途切れ、国内にいる有資格者の争奪が始まります。 停止は「新規採用ができなくなる」だけの話ではありません。外食業で実際に起きたことから、影響の範囲がわかります。
- 進行中の採用が止まります。 海外から呼び寄せる手続きに入っていても、在留資格認定証明書が不交付になれば、その経路では入国できません。内定を出していた場合は取り消しに至ります。
- 留学生を卒業後に採るルートが断たれます。 在留資格の変更が原則不許可になるため、「自社でアルバイトしていた留学生を卒業後に特定技能で雇う」という計画が成立しなくなります。
- 試験が止まると、有資格者が増えません(外食業では1号評価試験が停止=前述)。再開を待っても候補者のプールは回復していません。
- 国内にいる有資格者の争奪になります。 新規流入が止まる一方で分野内の転職は続くため、既に働いている人材の獲得競争が激しくなります。
再開はどう決まるか——裁量・判断材料・前例
再開の時期は、止まった分野についてあらかじめ決まっているものではありません。 前述のとおり条文上、再開は「ことができる」=裁量です。分野別運用方針の側には、所管大臣が人手不足の状況の変化を把握する方法(外食業分野なら在留者数・有効求人倍率・雇用人員判断DIの3つ)と、「当該特定産業分野において再び人材の確保を図る必要性が生じた場合」に交付の再開の措置を求めるという手続きが書かれています。[10]ただし政府基本方針は、受入れ見込数を「大きな経済状況の変化が生じない限り1号特定技能外国人の受入れの上限として運用」するとしており、枠が戻るには新たな判断が要ります。[11]
現に止まっている外食業について農林水産省は、「現時点で再開の措置をとるかどうかを含め未定」としたうえで、行う場合は事前にアナウンスすると説明しています。3指標の読み方(人手不足が解消したと判断されれば再開でなく停止を続ける理由になる)、公表資料の時間軸(受入れ再開=時期未定/受入れ見込数の再設定=令和10年度末)、「待っていれば戻る」を前提にできない理由は特定技能「外食業」とは(いつ再開するのか)で整理しています。
前例:産業機械製造業分野は、枠の再設定を経て受け入れが続いている
上限到達で止まった分野は過去にもあり、その分野はいま受け入れが行われています(出入国在留管理庁の告知で確認できる上限到達の前例は、外食業の前にはこの産業機械製造業の1件です)。 経過を公表資料で追うと次のようになります。[12][13]
| 時期 | 何があったか |
|---|---|
| 2022年4月1日 | 産業機械製造業分野で在留資格認定証明書の交付停止措置(令和4年2月末の在留者5,400人が受入れ見込数5,250人を超過) |
| 2022年4月 | 素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業の製造3分野を統合 |
| 2022年8月30日 | 閣議決定で全分野の受入れ見込数を改めて精査し見直し |
| 現在 | 統合後の分野は工業製品製造業分野として受け入れが行われている(2026年6月末の充足率31.1%) |
ここから読み取れるのは、枠に戻り道があるとすれば「分野の再編」と「受入れ見込数の見直し」を通るということです。産業機械製造業のケースでは、停止から見込数の見直しまでおよそ5か月でした。⚠️ ただし、停止措置がいつ解除されたかを示す告知は、2026年9月6日時点で出入国在留管理庁の公表資料(同分野の一時停止措置のページ・特定技能制度ページの新着情報)からは確認できませんでした。ここで確認できるのは、その後に分野の統合と見込数の見直しが行われ、現在は受け入れが行われている、という結果までです。⚠️ つまり前例では「再開の告知」という形をとらず、分野再編と見込数の見直しで決着しました。外食業について農林水産省が「事前にアナウンスする」と説明しているのは今回の措置についてで、再開の知らされ方が毎回同じとは限りません。
ただし、外食業に同じ経過をあてはめることはできません。違いが2つあります。産業機械製造業のときに止まったのは在留資格認定証明書の交付だけで、在留資格の変更と在留期間の更新は「必要な要件を満たしていれば許可します」とされていました。 今回の外食業は変更許可申請も原則不許可で、措置の範囲が広い状態です。また、当時の見直しは新型コロナの影響を踏まえた全分野の再精査という文脈で行われたもので、外食業の枠は直近の改定でむしろ縮んでいます(範囲の違う数字が出回っています)。
停止中に企業が取れる手(分野を問わない整理)
止まった分野で企業が動かせる手は4つ(①分野内の転職 ②継続雇用と2号化 ③特定技能以外の在留資格・別の分野 ④再開と育成就労への備え)で、これに審査側の例外である移行ルート(併走)が加わります。 特定技能の枠内で人を増やせるのは①と(併走)、②は今いる人を守り引き上げる手、③は特定技能の外で現場を回す手、④は先に備える手です。⚠️ まだ1人も受け入れていない企業には①②の前提(協議会の加入・今いる人)が無く、実質は③④から始まります。⚠️ どの打ち手が残りの枠に左右されるかは表の右列が正です。
| 打ち手 | 何をするか | 受入れ見込数の枠の影響 |
|---|---|---|
| ① 分野内の転職で受け入れる | 国内でその分野の特定技能1号として働いている人を、転職で迎える | 受けない(通常どおり審査) |
| ② 今いる人を守り、2号へ引き上げる | 在留期間の更新で継続雇用し、要件を満たす人は特定技能2号へ(⚠️ 2号が設定されていない分野では使えない=2号の有無は特定技能の対象分野一覧。介護は介護福祉士の資格取得で在留資格「介護」へ移る建て付け) | 受けない(更新・2号とも対象外) |
| ③ 特定技能以外の在留資格・別の分野を使う | 身分・地位に基づく在留資格、特定活動(告示46号)、留学生のアルバイト(資格外活動許可が必要・原則週28時間以内)。業務実態が隣接分野に当たるなら、その分野の枠で採用する型もある(外食業→飲食料品製造業。ただし分野が違えばその分野の技能試験に合格し直す必要があり、実態の伴わない分野の付け替えは虚偽の申請になる) | 枠の外(別の制度・別の分野の枠) |
| ④ 再開と育成就労に備える | 協議会加入を先に済ませる/2027年4月開始の育成就労を計画に入れる | 枠の外(準備そのものは枠と無関係。再開後に受け入れる段階では枠の範囲内) |
| (併走)分野の例外として順次許可される移行ルート | 外食業なら技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)修了者を特定技能1号へ | 受ける(枠の範囲内で順次許可・枠が尽きれば進まない) |
①は「届出」では済みません。同じ分野内でも受け入れ企業(雇用主)が変わる転職は在留資格変更許可申請が必要で、報酬を得て業として行う申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域なので、書類の作成が必要な場合は連携して進めます(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。候補者の通算在留期間(1号は通算5年)の残りも見てください(数え方は特定技能の在留期間と更新)。②の継続雇用では、登録支援機関の委託先の見直し(乗り換え)は受入れ企業の届出で行う手続きで在留資格の申請とは別系統です(届出の実務は登録支援機関の乗り換え(変更))。③の特定活動(告示46号)は本邦大学等卒業者に限られ常勤に限るなど、在留資格ごとに条件が違います。外食業での①〜④の中身——協議会の加入(審査2〜3か月・当面は無料)、2号化の手順、告示46号と留学生の週28時間の条件、育成就労の枠の規模——は特定技能「外食業」とは(停止中に企業が取れる手)で整理しています。採用の進め方の全体像は特定技能の採用の流れ、企業側の受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で解説しています。
自社の分野・受け入れ状況で①〜④のどれが使えるかを整理したいときは、採用診断で自社の条件から採用ルートを確認できます。
進行中の採用をどう扱うか
停止のタイミングで手続きの途中だった場合、扱いは申請が受理された日と申請の種類で決まります。措置日より前に受理された変更許可申請は受入れ見込数の範囲内で順次許可されますが、1号でなく特定活動への変更や在留期間更新(1回まで)を案内される場合があります。措置日より前に受理された在留資格認定証明書の交付申請は交付保留となり、上限に余裕が生じた場合に交付されるため、入国時期は確定させられません。措置日以降に受理された交付申請は不交付なので、内定を出したがまだ申請していない海外の候補者は特定技能1号としては入国できず、連絡を先送りにしないことが要ります。外食業での状況別の次の一手は特定技能「外食業」とは(進行中の採用はどうなるか)にまとめています。
個別の申請がどう扱われるかは審査の判断であり、断定はできません。進行中の案件がある場合は、地方出入国在留管理官署または行政書士などの専門家に個別に確認してください。
次に止まる分野はどこか(全19分野の枠と充足率)
残り枠の余裕がいちばん小さいのは、外食業を除くと介護(1.9年分)と飲食料品製造業(2.0年分)です。 分野ごとに受入れ見込数(上限)が定められていて、受け入れが進んで上限に達すると新規の受け入れが一時停止されるため、上限までの距離が近い分野ほど次の候補になります。以下、その距離の測り方を順に見ていきます。
⚠️ ここで押さえておきたいのは、上限と比べられるのが「累計で何人受け入れたか」ではなく「ある時点で何人在留しているか」だという点です。分野別運用方針も外食業の停止資料も、判断の基準を「在留者数が受入れ見込数を超えることが見込まれる場合」と書いています(この文言が入管法の条文そのものには無い点は前述のとおりです)。したがって離職・帰国・特定技能2号への移行で在留者数が減れば、計算上はその分だけ枠に余裕が生まれるという関係になります。下の表の「1年間の増加数」も、こうした減少を差し引いた純増です。
自社の分野が上限にどれだけ近いかは、充足率(在留者数 ÷ 受入れ見込数)で確認できます。出入国在留管理庁がこの数値を公表しています。
分野別の受入れ見込数・在留者数・充足率(2026年6月末・速報値)
次の表は、公表資料の数値を充足率の高い順に並べ替えたものです。2026年1月に追加された3分野(物流倉庫・リネンサプライ・資源循環)は在留者数が0人で、出典資料の充足率も「-」表記のため、充足率で比べられるのは16分野です。本記事に出てくる分野の数は3通りです=制度上の対象は19分野・いま受入れ可能なのは17分野(物流倉庫・資源循環は準備中)・充足率で比べられるのは16分野、と使い分けています。
| 分野 | 受入れ見込数(5年間の上限) | 在留者数 | 充足率 | 1年間の増加数 |
|---|---|---|---|---|
| 外食業 | 50,000 | 49,060 | 98.1% | 13,289 |
| 飲食料品製造業 | 133,500 | 100,769 | 75.5% | 16,698 |
| 建設 | 76,000 | 52,132 | 68.6% | 8,533 |
| 介護 | 126,900 | 79,884 | 63.0% | 24,968 |
| 農業 | 73,300 | 44,050 | 60.1% | 9,115 |
| 航空 | 4,900 | 2,803 | 57.2% | 985 |
| 自動車整備 | 9,400 | 5,235 | 55.7% | 1,488 |
| 造船・舶用工業 | 23,400 | 11,641 | 49.7% | 996 |
| 漁業 | 14,800 | 4,912 | 33.2% | 1,070 |
| ビルクリーニング | 32,200 | 10,171 | 31.6% | 2,753 |
| 工業製品製造業 | 199,500 | 62,033 | 31.1% | 10,970 |
| 宿泊 | 14,800 | 2,556 | 17.3% | 1,291 |
| 自動車運送業 | 22,100 | 558 | 2.5% | 548 |
| 鉄道 | 2,900 | 64 | 2.2% | 43 |
| 林業 | 900 | 19 | 2.1% | 19 |
| 木材産業 | 4,500 | 74 | 1.6% | 72 |
| 物流倉庫 | 11,400 | -(別資料で0人) | - | - |
| リネンサプライ | 4,300 | -(別資料で0人) | - | - |
| 資源循環 | 900 | -(別資料で0人) | - | - |
| 合計 | 805,700 | 425,961 | 52.9% | 92,838 |
出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について」(2026年6月末時点・速報値。公表は四半期の時点から数か月遅れ、同じURLで差し替えられます=本記事の確認日は2026年9月6日)より。充足率は同資料に掲載されている公表値です。⚠️ 同資料は四半期ごとに同じURLで最新版へ差し替えられます=出典リンク先が本記事の表より新しい時点になっていることがあります(本表の時点は見出しの日付が正)。受入れ見込数は2026年1月23日閣議決定の数値(2029年3月までの受入れ見込数)。[4]物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野は、この資料では在留者数・充足率とも「-」表記ですが、2026年3月末時点の別資料(同庁「外国人労働者に関する制度概要」=本表より1四半期前の時点)では、404,527人の分野別内訳としてこの3分野が0人と公表されています。[9]未公表ではなく実績ゼロです。表では出典資料の表記をそのまま載せ、0人の事実を併記しました。合計欄の充足率52.9%も公表値で、この0人を含む19分野で分子・分母がそろった数値です(分母の805,700人には、3分野の受入れ枠の合計16,600人も含まれます)。
上の表のうち、在留者数が1人以上の16分野の充足率だけを抜き出すと、次のとおりです(充足率の高い順=上限に近い順)。
分野別の充足率(受入れ見込数に対する在留者数の割合)
2026年6月末時点・速報値
- 外食業98.1%
- 飲食料品製造業75.5%
- 建設68.6%
- 介護63%
- 農業60.1%
- 航空57.2%
- 自動車整備55.7%
- 造船・舶用工業49.7%
- 漁業33.2%
- ビルクリーニング31.6%
- 工業製品製造業31.1%
- 宿泊17.3%
- 自動車運送業2.5%
- 鉄道2.2%
- 林業2.1%
- 木材産業1.6%
出典:出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について」(令和8年6月末時点・速報値)。在留者数が0人の物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野は対象外。
2026年1月23日の閣議決定で制度上の対象は19分野へ広がりました(受入れが実際に可能なのは17分野で、物流倉庫・資源循環は準備中です)。追加された物流倉庫・リネンサプライ・資源循環は在留者数0人=枠がまるごと残っています。分野の一覧・自社の業種が対象かは特定技能の対象分野一覧で確認できます。
充足率の順位と「先に埋まる順」は一致しません
充足率だけを見ると順位を読み違えます。残りの枠が、いまの増加ペースで何年分にあたるかを割り算すると、順番が入れ替わります(数値はいずれも2026年6月末時点・速報値)。
| 分野 | 充足率 | 残りの枠 | 1年間の増加数 | 現在のペースで何年分か |
|---|---|---|---|---|
| 外食業 | 98.1% | 940 | 13,289 | 0.1年分(停止済み) |
| 介護 | 63.0% | 47,016 | 24,968 | 1.9年分 |
| 飲食料品製造業 | 75.5% | 32,731 | 16,698 | 2.0年分 |
| 航空 | 57.2% | 2,097 | 985 | 2.1年分 |
| 建設 | 68.6% | 23,868 | 8,533 | 2.8年分 |
| 自動車整備 | 55.7% | 4,165 | 1,488 | 2.8年分 |
| 農業 | 60.1% | 29,250 | 9,115 | 3.2年分 |
| ビルクリーニング | 31.6% | 22,029 | 2,753 | 8.0年分 |
| 漁業 | 33.2% | 9,888 | 1,070 | 9.2年分 |
| 宿泊 | 17.3% | 12,244 | 1,291 | 9.5年分 |
| 造船・舶用工業 | 49.7% | 11,759 | 996 | 11.8年分 |
| 工業製品製造業 | 31.1% | 137,467 | 10,970 | 12.5年分 |
| 自動車運送業 | 2.5% | 21,542 | 548 | 39.3年分 |
| 林業 | 2.1% | 881 | 19 | 46.4年分 |
| 木材産業 | 1.6% | 4,426 | 72 | 61.5年分 |
| 鉄道 | 2.2% | 2,836 | 43 | 66.0年分 |
「残りの枠」=受入れ見込数 − 在留者数、「何年分か」=残りの枠 ÷ 1年間の増加数(編集部算出)。「1年間の増加数」は編集部の推計ではなく、出入国在留管理庁の同じ公表資料に掲載されている年間増加数です(2026年6月末時点・速報値=令和7年6月末から令和8年6月末までの増加)。
⚠️ 現行の受入れ見込数の有効期間は2029年3月末まで=2026年6月末から数えて33か月(約2.75年分)しかありません。 表の年数が33か月を超える分野(建設・自動車整備の「2.8年分」は約33.6か月=わずかに超える側、農業以降は明確に超える側)は、現行の枠のままなら期間内には上限に届かない計算になります(「66.0年分」「61.5年分」は余裕の大きさを示す数字であって、その年数まで現行の枠が続くという意味ではありません)。枠そのものが閣議決定で改定される点は後述します。
具体的に見ると、介護は充足率63.0%と中位ですが、1年間の増加数24,968人が数値の公表されている分野のなかで最大なので、建設(68.6%)より先に枠が埋まる計算です(残り枠47,016人に対して1.9年分)。飲食料品製造業も介護に続いて余裕が小さい(2.0年分)=充足率は75.5%で外食業(98.1%)と離れて見えますが、年16,698人の増加ペースで差が詰まります。逆に工業製品製造業は充足率31.1%でも残枠が13万人超あり、当面の逼迫はありません(⚠️ ただし宿泊のように在留者数に対する増加の比率が高い分野は、この年数があてになりません=見分け方は次の節)。
なお2026年9月時点で、介護分野が受け入れ停止になったという出入国在留管理庁の公式アナウンスはありません(5年間で126,900人という受入れ見込数が設定されています=令和8年1月23日閣議決定)。介護分野で停止が判断される仕組み(介護分野の運用方針が定める要件)と、上限に達したときに介護で止まる手続き・止まらない手続きは介護の特定技能 人数枠と受け入れ上限で整理しています。
- ⚠️ 「何%に達したら停止」という基準は公表されていません。外食業の措置も、在留者数の実績(速報値)と増加ペースから所管省庁と出入国在留管理庁が「上限を超えることが見込まれる」と判断した結果で、機械的な閾値による自動停止ではありません。表の数値から自社の分野の停止時期を断定することはできません。
- 数値はいずれも速報値で、確定値や次回の公表で動きます。採用計画の判断前に、必ず出入国在留管理庁の最新の公表内容を確認してください。
分野別の実際の在留者数・国籍別/都道府県別の内訳は特定技能の統計データで確認できます(同記事の分野別・充足率も2026年6月末時点=本記事の表と同じ値です。国籍別/都道府県別は2025年12月末が最新の公表です)。公表の間隔(国籍別・都道府県別を含む詳細統計は半年ごと、分野別の在留者数・充足率はより短い間隔)も同記事で整理しています=次の数値更新を追う起点になります。
増加ペースで読み直す(年数があてにならない分野の見分け方)
上の計算は、いまの増加ペースがこの先も一定で続くと置いた場合の年数です。現に外食業は、5年間(令和6〜10年度)の枠に対して期限を3年近く残して「上限に達する見込み」と判断され、停止に至りました(判断の根拠は2026年2月末速報値の約4万6,000人=充足率約92%。本記事の表の時点である6月末では98.1%)。ペースが一定なら起きないことです。
- 上の表=公表値の割り算のみ。仮定を置いていないぶん、増加が加速している分野では表の年数より大幅に早く枠が埋まります(楽観側にぶれます)。
- 民間の調査会社・支援機関による月単位の予測=増加の加速度まで織り込んで「◯年◯月に到達」と出すもの。上の表よりかなり早い時期(分野によっては数年単位で違う時期)を示すことがあります。当たれば精度は高いものの、仮定が外れれば大きくぶれ、政府が公表した予測でもありません。
では、自社の分野が「割り引いて読むべき側」かはどう見分けるのか。線形の割り算がいちばん外れるのは、いまの在留者数に対して増加数が大きい分野です。ストックが小さいのに毎年たくさん増えていると、割り算では長く見えるのに実際はすぐ埋まります。
増加数÷在留者数が3割を超えている分野は、表の年数を信用せず、逼迫側で計画してください。 なおこの「3割」は公表された基準ではなく、本記事が線引きに使っている目安です(政府は停止の閾値を公表していません)。境界の前後で扱いが変わるものではないので、自社の分野の比率そのものを見てください。
| 分野 | 増加数÷在留者数 | 現在のペースで何年分か |
|---|---|---|
| 林業 | 100%(新規・比率は読めません) | 46.4年分 |
| 自動車運送業 | 98%(新規・比率は読めません) | 39.3年分 |
| 木材産業 | 97%(新規・比率は読めません) | 61.5年分 |
| 鉄道 | 67%(新規・比率は読めません) | 66.0年分 |
| 宿泊 | 51%(要注意) | 9.5年分 |
| 航空 | 35%(要注意) | 2.1年分 |
| 介護 | 31%(要注意) | 1.9年分 |
| 自動車整備 | 28% | 2.8年分 |
| 外食業 | 27%(停止済み) | 0.1年分(停止済み) |
| ビルクリーニング | 27% | 8.0年分 |
| 漁業 | 22% | 9.2年分 |
| 農業 | 21% | 3.2年分 |
| 工業製品製造業 | 18% | 12.5年分 |
| 飲食料品製造業 | 17% | 2.0年分 |
| 建設 | 16% | 2.8年分 |
| 造船・舶用工業 | 9% | 11.8年分 |
「増加数÷在留者数」=上の分野別表の「1年間の増加数」÷「在留者数」(編集部算出・2026年6月末時点・速報値)。この比率はストック(いまの在留者数)に対する増加の大きさを見るもので、増加の加速そのもの(前年からの増加数の伸び)を測る指標ではありません。
⚠️ 在留者数が数十〜数百人規模の新分野(木材産業74人・林業19人・自動車運送業558人・鉄道64人)は、ゼロ近傍からの立ち上がりで比率が跳ねます。 これらは「すぐ埋まる」という意味ではなく、この指標では判定できない分野です。
立ち上がり中の新分野と停止済みの外食業を除くと、要注意は宿泊51%・航空35%・介護31%の3分野です(自動車整備は28%・外食業は27%=3割を下回ります)。宿泊は在留者数に対して年5割の増加で、この比率が続くなら表の9.5年分より相当早く埋まる計算になります。介護も表では1.9年分ですが、比率31%が効くぶん年数は短く出ます。航空は残り枠2,097人に対して年985人の増加で、表の2.1年分そのものが短いうえに比率も高い分野です。
実際、人材会社の株式会社JJSが公表した独自試算(2026年5月・2025年末時点のデータ)は、自動車整備・宿泊を「最も早く上限に達する分野」の1位・2位に挙げており、上の表とは順位が逆転します。どちらが正しいかは断定できません。ただしJJSの試算は2025年末までのデータで、上の表(2026年6月末)より半年ぶん古い点も差の一因です。[14]
採用計画を立てるときは、表の年数を「最も楽観的なケース」として見てください。 時期を断定した情報に出会ったら、それが公式発表か民間試算か、そしていつ時点のデータかを必ず確かめてください。
上限の数字を読むときの注意
ここまでの表を正しく読むために、枠(受入れ見込数)の数字そのものについて3つの注意があります=上限は改定される・範囲の違う数字が流通している・企業ごとの枠が別にある、の3点です。
⚠️ 上限そのものが、閣議決定で書き換わります
ここまでの計算はすべて「いまの上限」を前提にしていますが、上限(受入れ見込数)自体が閣議決定で改定されます。しかも直近の改定は引き下げでした。
| 対象 | 改定前(2024年3月設定) | 改定後(2026年1月23日) |
|---|---|---|
| 特定技能1号の全体 | 約82万人(820,000人・16分野) | 805,700人(19分野) |
| 同一分野ベース(新3分野を除く) | 820,000人 | 789,100人(−30,900人・−3.8%) |
| うち介護 | 135,000人 | 126,900人(−8,100人) |
出入国在留管理庁の資料も「特定技能は、従来の受入れ見込数より減少」と明記しています。[15]
⚠️ 見かけの減り方より実際の引き下げは大きいです。 全体の差は14,300人(−1.7%)に見えますが、改定後の805,700人には新しく加わった3分野の16,600人が含まれています。同じ16分野で揃えて比べると820,000人→789,100人で、引き下げ幅は30,900人・3.8%と、見かけの2倍以上です(いずれも同じ資料に載っている数値の差し引き=編集部算出)。
つまり「あと何年分」の分母は固定ではありません。 枠が引き下げられれば、充足率は上がり、残り年数は縮みます。介護は在留者数が最速で増えているうえに枠が8,100人減らされたため、両側から逼迫が進んだ格好です。
引き上げには新たな閣議決定が必要で、実現の保証はありません。「そのうち枠が増えるだろう」という前提で採用計画を後ろ倒しにするのは危険です。
範囲の違う数字が出回っています(外食業の5万人・5万3,000人・5万5,300人)
枠の数字は改定のたびに置き換わるため、同じ分野でも複数の数字が同時に出回ります。停止した外食業では『5万人』『5万3,000人』『5万5,300人』の3つが流通しています。いま止まっているのは「1号特定技能の5万人」で、これは前の方針の5万3,000人から3,000人減った数字です。
| 数字 | 何を指すか | 現行かどうか |
|---|---|---|
| 5万5,300人 | 外食業分野全体の受入れ見込数(令和6年度〜令和10年度の5年間) | 現行(令和8年1月23日閣議決定) |
| 5万人 | そのうち1号特定技能外国人の受入れ見込数。令和10年度末までの5年間の受入れの上限として運用される | 現行。今回の停止措置の根拠はこの数字 |
| 5,300人 | そのうち育成就労外国人の受入れ見込数(令和9年度からの2年間) | 現行 |
| 5万3,000人 | 令和6年3月の旧・分野別運用方針で定められていた1号特定技能外国人の受入れ見込数 | 旧版(現行方針に置き換わっています) |
つまり、分野全体の5万5,300人が「特定技能1号5万人+育成就労5,300人」に分かれており、止まったのは前者です。停止の可否を判断するときは、1号特定技能の5万人を見てください。
注目すべきは変化の向きです。分野全体では5万3,000人から5万5,300人へ増えていますが、1号特定技能の枠だけを見ると5万3,000人から5万人へ3,000人減っています。 増えた分は育成就労(令和9年度からの2年間で5,300人)に振り向けられた形です。「そのうち枠が広がるだろう」という期待とは逆に、直近の改定では1号の枠は縮んでいます。
ニュースなどで見かける123万1,900人という数字も範囲が違います。これは特定技能1号の805,700人に、育成就労(制度の開始は2027年4月)の426,200人を合わせた合計1,231,900人です(どちらも2029年3月末までの枠ですが、育成就労分は2027年4月の制度開始からの受入れ=対象期間は同じではありません)。いま特定技能で採用できる枠は805,700人の側で、自社の分野の逼迫度は上の分野別表(特定技能1号)で確認してください。育成就労は技能実習では設定がなかった受入れ見込数を新たに設けたもので、枠は分野別にも定められています(介護33,800人・外食業5,300人など)=停止した分野でも、制度開始後は育成就労側の枠という別の入口が生まれます。枠と制度は育成就労とはで解説しています。
「上限」には、分野の枠と自社の枠の2種類があります
ここまでは分野ごとの枠(国全体で何人まで)の話ですが、上限にはもう1つ、受け入れ企業ごとの枠があります。
- 特定技能は原則として企業ごとの人数枠がありません。 例外は介護・建設・漁業の3分野です。
- 漁業=令和8年1月23日閣議決定の上乗せ基準の整理表で、受入れ機関単位の受入人数上限の設定対象に印が付いています(詳細は漁業分野の運用方針・告示で確認。[15]漁業分野の採用の全体像は漁業で特定技能の外国人を採用するには)。
- 建設=受け入れる1号特定技能外国人の数が、その企業の常勤の職員(外国人技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと(分野別運用方針 第二2(3)イ⑦)。[16]ただし同方針が定める基準を満たす「優良な育成就労実施者」たる特定技能所属機関はこの限りでない、という例外が置かれています。⚠️ 分母から除かれる人がいるので、社員数をそのまま枠として読むと過大に見積もります。数え方の実務(社会保険での確認・特定活動で在籍する人も分母から外れる点)は建設の特定技能採用で整理しています。
- 介護=事業所ごとに、常勤の介護職員数を上限とする人数枠が置かれている分野です。数え方(分母に入る職員・入らない職員)は介護の特定技能 人数枠と受け入れ上限が一次資料つきで整理しています。
- 技能実習側にも受入れ人数枠があり、制度によって「自社で何人まで採れるか」が大きく変わります。企業ごとの枠の詳細は特定技能と技能実習の違いで整理しています。
分野によって受け入れ枠の大きさも、上限到達の状況も異なります。「自社の分野はいつまで・何人採れるか」は分野別の運用方針で変わるため、採用を検討している分野の最新状況を公式情報で確認してください。
いつから動くか(予告を見てからでは間に合いません)
答えは「予告を待たない」です。予告から施行までは約2週間強しかなく、受け入れ準備には分野によって数週間〜数か月かかります。根拠となる時間軸は次の2つです。
予告は出ますが、猶予は約2週間強です
外食業では、次の順で進みました。
| 日付 | 何が起きたか |
|---|---|
| 2026年3月27日 | 農林水産省・出入国在留管理庁が受入れ上限の運用について公表(予告) |
| 2026年4月3日 | 農林水産大臣が法務大臣へ交付停止措置を要請(出典の停止告知は「入管法第7条の2に基づく」要請と記載=条文の第3項に当たる手順) |
| 2026年4月13日 | 出入国在留管理庁が交付停止の措置を開始(この日以降の受理分が不交付。同庁の告知は「同条第4項に基づき」法務大臣が措置をとったと記載=条文の第4項に当たる手順) |
予告から施行まで約2週間強です。この間に新規の手続きを完了させるのは現実的ではありません。予告を見てから動くのでは間に合わない、というのが外食業が示した教訓です。
「前倒し」に必要な具体的な時間
では何か月前に動けばよいのか。ボトルネックは分野で違います——外食業・飲食料品製造業(食品産業特定技能協議会)では加入審査だけで2〜3か月かかり、加入が数週間で済む分野でも、その先の選考・試験・在留資格申請の期間は同じように積み上がります。
協議会とは、分野ごとに所管省庁と受け入れ企業などで構成される組織で、特定技能で受け入れるには加入が必須です。加入先は分野ごとに別で、所管省庁ではなく登録法人(受入事業実施法人)が加入先になる分野もあります。加入は原則として在留諸申請の前に済ませる必要があります。自社の分野の加入先・加入期限・所要期間は特定技能の対象分野一覧の分野別表で確認できます。
⚠️ 所要期間は分野で大きく違います。 外食業・飲食料品製造業(食品産業特定技能協議会)は農林水産省が次のように案内しています。
協議会加入審査には2〜3カ月を要しますので、計画的に申請してください。(農林水産省)[8]
一方で数週間〜10営業日程度で済む分野もあれば、所要期間が公表されていない分野もあります=「どの分野でも2〜3か月」ではありません。分野ごとの加入先・加入期限・所要期間の一覧は特定技能の対象分野一覧が出典つきで持っているので、自社の分野の値で逆算してください。もっとも、ここに人材の選考・試験・在留資格申請の期間が積み上がるため、協議会に未加入なら、余裕をみて着手しないと間に合わない可能性があります。
枠の余裕が小さい分野(介護1.9年分・飲食料品製造業2.0年分・航空2.1年分・建設2.8年分・自動車整備2.8年分=2026年6月末時点、および年数は長く見えるが増加が急な宿泊)で受け入れを検討しているなら、まず自社の分野のボトルネックがどこか(協議会の加入先と所要期間・その先の選考・試験・在留資格申請)を確かめて逆算し、未加入なら協議会への加入手続きから始めるのが現実的な一手です。
停止以外の周辺動向(2026年)
受け入れ停止と直接の関係はありませんが、同時期に動いた項目を短くまとめます。詳細はそれぞれの解説記事へ。
- 停止局面では、今いる人の在留期間の更新が事務の中心になります。 1回あたりの在留期間の扱いと通算5年の数え方は → 特定技能の在留期間と更新
- 特定技能1号の在留者数は2026年6月末・速報値で425,961人=40万人を超えています(本記事の分野別表の合計。3月末・速報値の404,527人で初めて40万人を超えました)。2号は2026年3月末時点で12,420人です。[9]→ 特定技能の統計データ
- 特定技能2号の在留期間に「5年」を加える省令改正案が公示されています(入管法施行規則 別表第2の改正案=2号の在留期間の区分「3年・2年・1年又は6月」に5年を追加。1号は対象外)。意見公募(パブリック・コメント)は2026年8月4日〜9月2日で終了し、改正の概要では公布は令和9年(2027年)1月上旬の予定・施行期日は公布の日とされています。2026年9月10日時点ではまだ公布されておらず、現行の付与区分は変わっていません。改正の概要は、永住許可の要件(最長の在留期間を有すること)において他の就労を目的とする在留資格(最長5年)との均衡を図る必要性を理由に挙げています。[17]→ 期間の実務と永住要件との関係は特定技能の在留期間と更新・2号の制度は特定技能2号とは
- 特定技能2号の日本語能力水準の扱いも動いています(外食業分野は運用方針で「日本語教育の参照枠」B1相当以上と定められ、実務上は日本語能力試験N3以上の合格証が申請時に要ります=特定技能「外食業」とは)。分野をまたいだ1号・2号の要件の違いは → 特定技能1号と2号の違い
- 2026年1月に加わった3分野のうち、受け入れが始まっているのはリネンサプライだけです。 出入国在留管理庁は「物流倉庫、資源循環の受入れは、上乗せ基準告示の公布・施行後、準備が整い次第、開始される予定です」としています。[9]資源循環については、その上乗せ基準(環境省告示第36号)が2026年7月30日に公布・同日から適用されました。[18]⚠️ 告示は要件の確定であって受付開始の告知ではありません=3分野とも在留者数は0人のままです(上の充足率表)。→ 特定技能「リネンサプライ」の解説・特定技能「物流倉庫」の解説・特定技能「資源循環」の解説・育成就労側の分野別整備は 育成就労とは
最新動向の確認先
制度は流動的なため、採用を判断する前に一次情報で確認することが欠かせません。主な確認先は次のとおりです。
- 出入国在留管理庁 — 対象分野・受入れ見込数・停止や再開の告知は、特定技能制度のページ(本記事冒頭のSourceのページ)の「お知らせ・広報資料」欄で公表されます。外食業の停止告知(2026年4月13日)もここに掲載されました。停止中の分野の審査の到達点は「審査状況」ページ(前掲)で更新されます。
- 分野の所管省庁 — 試験の実施時期や分野固有の運用(たとえば介護は厚生労働省、外食業は農林水産省)は、各所管省庁の外国人材受入れページで確認します。外食業の予告(2026年3月27日)は出入国在留管理庁と農林水産省が同日に公表し、農林水産省の外国人材ページにも掲載されました。所管省庁が無料の公的相談窓口を設けている分野もあります(外食業・飲食料品製造業=農林水産省の補助事業「特定技能外国人材制度相談窓口」=連絡先は特定技能「外食業」とは)。
本記事のような「最新動向」のまとめは更新が追いつかないことがあります。数値や可否を採用判断の根拠にするときは、必ず公式の最新情報で裏取りしてください。なお、報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です。
まとめ
特定技能の受け入れ停止は、分野ごとの上限(受入れ見込数)に達する見込みとなったときに、新規の受け入れを一時的に止める措置です。2026年9月6日時点で交付停止の告知が確認できたのは外食業だけ(充足率98.1%=2026年6月末・速報値)ですが、上限は全分野に設定されているため、どの分野でも起こりえます。
再開は条文上「できる」=裁量で、時期はあらかじめ決まっていません。止まるのは主に海外からの新規呼び寄せと、他資格からの新規移行の大部分です。分野内の転職・在留期間の更新・特定技能2号への移行は動き、枠を消費するのは「順次許可」の側=分野の例外の移行ルートと、措置日より前に受理された申請だけです。確実性を求める計画は、枠を消費しないルートを軸に置いてください。外食業の現況(再開の判断材料・審査の到達点・停止中に取れる手)は外食業の記事側が担います。
自社の分野の逼迫度は、充足率と「残り枠が現在のペースで何年分か」の2つで確認できます。ただし在留者数に対して増加数が大きい分野では、この年数は楽観側に外れます(該当分野は本文の「増加数÷在留者数」の表)。そして止まったときの影響は新規採用だけではありません。外食業では1号評価試験も止まって新しい1号の有資格者が増えず、留学生を卒業後に採るルートも断たれました。予告から施行まで約2週間強、申請は受理日で線が引かれ、協議会の加入審査は外食業などで2〜3か月かかります。つまり予告を見てから動いたのでは間に合わないおそれがあります。残り枠に余裕のない分野(一覧は本文の「何年分か」の表)で受け入れを考えているなら、自社の分野のボトルネック(協議会の所要期間と、その先の選考・試験・申請)を確かめ、未加入なら協議会への加入から先に着手するのが現実的な備えです。充足率の高さだけで判断しないでください。
外食業の受け入れ停止で企業が取れる手と再開の見方は特定技能「外食業」とは(受け入れ停止中に取れる手)、制度の全体像は特定技能とは?、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、採用の流れは特定技能の採用の流れをご覧ください。
在留資格の可否や申請そのものの判断は行政書士などの専門家の領域です。
よくあるご質問
- 受け入れが停止されると、何ができなくなりますか?
- 止まるのは主に新規に入ってくる経路です。措置日以降に受理された申請は、海外からの新規呼び寄せ(在留資格認定証明書の交付申請)が不交付、他の在留資格から特定技能1号への変更が原則不許可になります(分野で定める例外の移行ルートだけが、残りの枠の範囲内で順次許可されます)。一方、すでに働いている人の在留期間の更新と、同じ分野内での転職、特定技能2号への変更は対象外です。外食業では2026年8月10日掲載時点で、分野内転職に伴う在留資格変更許可申請は「すべての申請」が通常どおり審査されています。あわせてその分野の1号評価試験(技能測定試験)も停止されうるため、停止中は新しい1号の合格者が生まれない点に注意が必要です(外食業では2号評価試験は続いています)。⚠️ 止まる手続きの範囲は毎回同じとは限りません(過去の産業機械製造業の停止では在留資格の変更は許可されていました)。
- 外食業以外の分野でも受け入れ停止は起きていますか?
- 2026年9月6日時点で、出入国在留管理庁の特定技能制度のページと分野別の告知を確認した範囲では、現行の交付停止の告知は外食業分野のものだけでした。ただし受入れ見込数(上限)は全分野に設定されており、上限に達する見込みとなれば他分野でも同じ仕組みで停止されることがあります(過去には産業機械製造業分野の例があり、同分野は分野統合と受入れ見込数の見直しを経て現在は受け入れが行われています)。分野ごとの充足率と「次に止まりそうな分野」は本記事の一覧で確認できます。
- 介護分野も受け入れ停止になりますか?
- 2026年9月時点で、介護分野が受け入れ停止になったという出入国在留管理庁の公式アナウンスはありません。介護分野は5年間で126,900人という受入れ見込数が設定されています(令和8年1月23日閣議決定)。ただし2026年6月末時点・速報値で見ると、残り枠を年間増加数で割った年数は1.9年分で、充足率63.0%という中位の見え方よりは余裕が小さく、建設(68.6%・2.8年分)より先に埋まる計算になります。「○年に上限到達」と時期を断定する民間試算には注意し、最新の状況は公式情報で確認してください。なお、介護で止まる手続き・止まらない手続きと事業所ごとの人数枠は、介護の受け入れ上限の記事(/guide/kaigo-youken)が扱います。
- 特定技能の対象分野は今いくつですか?
- 2026年1月23日の閣議決定で物流倉庫・リネンサプライ・資源循環が加わり、制度上は19分野になりました。このうち物流倉庫と資源循環は、出入国在留管理庁が「上乗せ基準告示の公布・施行後、準備が整い次第、開始される予定」としており準備中です(先行するリネンサプライは受入れ可能な分野に含まれます)。なお在留者数が1人以上あって充足率を比べられるのは16分野です(新3分野は在留者数0人)。最新の状況は出入国在留管理庁の分野別情報で確認してください。
出典・参考(一次情報)
- 特定技能制度について(出入国在留管理庁)
- 特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(令和8年3月27日)(出入国在留管理庁)
- 外食業分野における在留資格認定証明書交付の停止について(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値。同URLは四半期ごとに最新版へ差し替えられる)(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 第7条の2(在留資格認定証明書)第3項〜第5項(e-Gov法令検索)
- 特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(出入国在留管理庁)
- 外食業分野における1号特定技能外国人の受入れ停止措置について【停止措置に関するQ&A】/外食業分野における外国人材の受入れについて(協議会の加入審査期間・試験の実施状況・通算在留期間に係る措置)(農林水産省)
- 外国人労働者に関する制度概要(令和8年7月1日更新・同時点の分野別内訳で3分野は0人/在留者数と2号の数値の出典。資源循環の上乗せ基準告示は同資料の更新後=2026年7月30日に公布)(出入国在留管理庁)
- 外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(令和8年1月23日閣議決定)(出入国在留管理庁)
- 特定技能「外食業分野」における受入れ見込数の上限超過への対応(出入国在留管理庁)
- 特定技能「産業機械製造業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置等について(出入国在留管理庁)
- 特定技能における受入れ見込数の見直し及び制度の改善について(令和4年8月30日閣議決定)(出入国在留管理庁)
- 【独自試算】特定技能1号、2027年に5分野「受入れ上限」到達の可能性(2026年5月13日)(株式会社JJS)
- 分野別運用方針の主要な記載事項(令和8年1月23日閣議決定・受入れ見込数/従来の受入れ見込数より減少)(出入国在留管理庁)
- 建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(令和8年1月23日閣議決定・別紙5)第二2(3)イ⑦(出入国在留管理庁)
- 「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案」に係る意見公募手続の実施について(案件番号315000139・意見募集期間2026年8月4日〜9月2日必着/新旧対照条文=別表第2の特定技能2号の在留期間「三年、二年、一年又は六月」→「五年、三年、二年、一年又は六月」・1号は対象外・附則=公布の日から施行/改正の概要=公布の日:令和9年1月上旬・永住許可の要件〔最長の在留期間を有すること〕で他の就労を目的とする在留資格〔最長5年〕との均衡を図る必要性を明記。案の作成=出入国在留管理庁/確認日2026年9月10日。⚠️ 案の段階=2026年9月10日時点で未公布)(e-Govパブリック・コメント(デジタル庁))
- 資源循環分野に特有の事情に鑑みて定める基準(環境省告示第36号・令和8年7月30日公布・公布の日から適用)(出入国在留管理庁・環境省)