特定技能の受け入れ要件・条件|企業が満たす17+7項目と自社チェック
目次
特定技能で外国人を採用するとき、最初の関門になるのが「自社が受入れ機関の要件を満たせるか」です。特定技能は、外国人本人の要件(技能・日本語)だけでなく、受け入れる企業(法令上の呼び方は「特定技能所属機関」)の側にも基準と義務を課す制度だからです。
要件は3つのブロックに分かれます——受け入れの4基準(案内資料の要約)、分野ごとの上乗せ要件、そして受け入れ後の3義務です。ただし、実際に審査で見られるのは4基準という粗い単位ではなく、特定技能基準省令の各条です(正式名称は「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」=平成31年法務省令第5号。[1]以下この記事でも運用要領にならって「特定技能基準省令」と呼びます)。このうち企業そのものに関わる省令第2条は、運用要領が第1項を17の項目、第2項を7の項目に分けて解説しています(本記事ではこの17+7を合わせて「24項目」と呼びます。運用要領にこの呼び方があるわけではありません)。[2]このページでは、その24項目を「判定の遡及期間」「入管に出す書類」「引っかかったときにどうなるか」まで開いて、自社で満たせるかを判定できる形に整理します。
この記事の要点
- 「4基準」の実体は省令の別々の条にある — ①雇用契約=省令第1条/②機関自体=第2条第1項(17項目)/③支援体制と支援計画の実施=第2条第2項(7項目)/④支援計画そのもの=第3条・第4条。この記事の主役は②の17項目です。
- 遡って不適合を見られる期間は2種類 — 非自発的離職者・行方不明者は契約締結日前1年以内と締結日以後、刑罰・実習認定の取消し・不正行為・暴力団関係は5年です。⚠️ この5年は起算日が2系統に分かれます(不正行為は契約締結日から遡って、刑罰・実習認定の取消し・暴力団関係は刑の執行を終わった日・取消しの日・暴力団員でなくなった日から)。基準3側にも別に5年(支援を怠ったこと)と2年があり、うち2年は実績が無いと満たせない要件ではありません(実績・生活相談業務の経験者・同程度と認められる者の3ルートのいずれか)。書類の対象期間〔24か月分・2年度分〕や帳簿の保存期間〔1年以上〕は、いずれも遡及判定とは別物です。
- 未納・債務超過は「即アウト」ではない(ただし未納側に例外あり) — 未納は地方出入国在留管理局の助言・指導に基づいて納付すれば遵守していると評価され、債務超過は第三者による改善見通しの評価書面で継続履行体制を示せます。ただし未納の側には、この「助言・指導で回復できる」経路が用意されていないものが2つあります(特別徴収した個人住民税の未納入と、グループ通算制度で他の通算法人に未納があり納税証明書〔その3〕を出せない場合)。⚠️ この2つは未納の話で、債務超過の側は第三者による改善見通しの評価書面という経路が定められています(詳細は「赤字・債務超過の会社でも受け入れられるか」の節)。
- 全部委託のみなしが及ぶのは7項目だけ — 登録支援機関への全部委託で満たせるのは省令第2条第2項の7項目で、第1項の17項目と支援計画の作成義務は企業に残ります。
- 日程を最も強く縛るのは「申請の前に終える手続き」 — 協議会(建設を除く16分野)への加入、市区町村への協力確認書の提出、事前ガイダンスの実施(1号のみ)は、在留資格の申請より前に終えておく必要があります(建設はさらに強く、受入計画の認定証が無いと在留諸申請の許可・交付まで進めません)。⚠️ 最も長いリードタイムは、書類の省略に使うオンライン申請・電子届出の利用者登録=提出期限の3か月前です。要件を満たせるかの判定と並行して、これらの着手時期を決めてください。
本記事は一般的な情報提供です。受け入れ要件の詳細や最新の基準は、出入国在留管理庁の「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」や分野別の運用要領で必ず確認してください。制度は改正されることがあります。
受け入れ要件の地図——「4基準」は省令のどこに対応するか
出入国在留管理庁の企業向け資料では、受け入れ企業の要件は4つの基準(①雇用契約が適切 ②機関自体が適切 ③支援する体制あり ④支援する計画が適切)と3つの義務(①雇用契約の確実な履行 ②支援の適切な実施 ③各種届出)にまとめられています。[3]この4基準は覚えやすい要約ですが、それぞれ根拠が別の条にあり、満たし方も委託で変わるかどうかも違います。まず対応関係を押さえます。
なお呼び方の整理を1つ——本記事の「受け入れ企業」は、法令上の特定技能所属機関のことです(引用部や基準の名称では官公庁表記の「受入れ機関」をそのまま使います)。「特定技能所属機関」は入管法第19条の18第1項が定義する語で、「特定技能雇用契約の相手方である本邦の公私の機関」を指します——つまり特定技能雇用契約を結んだ時点でその立場になるのであって、事前に何かの登録を受けて「所属機関になる」わけではありません(同条以下の届出義務は、この立場に対して課されます)。支援の委託先である登録支援機関とは別の立場で、技能実習と違い、特定技能に監理団体はいません(3者の違いは監理団体・監理支援機関・登録支援機関の違い)。また、登録支援機関のような事前の登録制度は受け入れ企業側にはありません——この記事の要件は、在留資格の申請の審査の中で確認されます。
| 入口の4基準 | 根拠 | 運用要領での扱い | この記事での位置 |
|---|---|---|---|
| ① 雇用契約が適切であること | 特定技能基準省令第1条 | 第5章第1節 | 次の「基準1」で扱う |
| ② 受入れ機関自体が適切であること | 同省令第2条第1項(第1号〜第13号。16番は第12号の2) | 第5章第2節第1に17項目として展開 | この記事の主役 |
| ③ 支援体制があり、支援計画が適正に実施されること | 同省令第2条第2項(第1号〜第7号) | 第5章第2節第2に7項目として展開 | 「基準3」で扱う |
| ④ 支援計画そのものが適切であること | 同省令第3条(記載事項)・第4条(基準) | 第6章(別の章) | 本記事では扱いません。⚠️ 作成義務は企業に残ります(日本語と本人が十分に理解できる言語の両方で作成し、写しを本人に交付)。計画に書く10項目の中身は義務的支援10項目 |
②と③を合わせた24項目が、企業そのものについて審査される単位です。④(支援計画の中身が基準を満たすか)は独立した章で扱われる別のテーマで、24項目には含まれません。
この記事は「1号」を前提にしています
24項目のうち③にあたる7項目は、1号特定技能外国人を受け入れる場合の基準です。特定技能2号には支援計画の作成・実施の義務がないため、2号だけを受け入れる場合はこの7項目は適用されません。②の17項目のうち11番(支援に要する費用の負担)も1号に限られ(省令第2条第1項第8号が「下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人と…契約を締結しようとする機関にあっては」と限定しています)、残る16項目が1号・2号に共通です。なお2号を受け入れる場合は、2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)の提出が求められ、通常従事する業務は技能実習生・1号特定技能外国人と同一であってはならず、指導業務・管理業務または自らの判断で行う専門的・技術的業務を行い、分野ごとに定める人数以上を指導していることが求められます(2026年8月20日の運用要領改正で明記)。1号と2号で企業側の負担がどう変わるかは特定技能1号・2号の違いで解説しています。
外国人本人の側にも別の要件があります
この記事が扱うのは企業側の要件です。採用する外国人本人の側には、18歳以上であること・健康状態が良好であることに加えて、技能試験と日本語試験の合格(技能実習2号を良好に修了した人は免除されるルートがあります。合格を証明する書類を提出するのは在留資格の申請時=試験日程からの逆算はここが締切になります)という要件があり、1号での在留は通算5年が上限です(特定技能2号評価試験等に不合格となった人について、相当の理由があると認められる場合に限り最長1年延長=通算6年。また、産前産後休業・育児休業や一定の傷病休業の期間は、疎明資料を添えて申請すればこの通算から除けます)。企業側の要件を満たしていても、本人側が満たしていなければ受け入れは認められません。 ⚠️ 本人側の要件のうち1つは、企業側に確認の作業が発生します——上陸基準省令は、本人が送出機関など外国の機関へ支払った費用について、額と内訳を十分に理解して合意していることを求めており、運用要領は、職業紹介事業者や外国の機関を経て雇用する場合、受け入れ企業の側で「本人が額と内訳を理解し合意したうえで徴収されているか」を確認することが求められるとしています(食費・居住費など定期に負担する費用も、対価の内容を理解したうえでの合意・実費相当の額・明細書の提示が要件です)。多額の借金を抱えて来日する事態を防ぐための条項で、送出機関経由の採用では契約前に確認しておく項目です。 また、候補者の国籍によっては、日本側の要件とは別に送出国側の手続き(二国間の協力覚書に基づく送出手続き)が段取りに上乗せされます(国ごとの違いは国別の採用ガイド)。試験の科目・合格基準(技能・日本語とも)は特定技能の試験、在留期間の数え方は在留期間で解説しています。
基準1:雇用契約が適切であること(省令第1条)
外国人と結ぶ特定技能雇用契約の基準は、省令第1条が雇用関係に関する事項(第1項・7号)と適正な在留に資するために必要な事項(第2項・3号)に分けて定めています。
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 雇用関係に関する事項(第1項・7号) | ① 従事させる業務が分野の技能水準を要するものであること ② 所定労働時間がフルタイム ③ 報酬が日本人と同等以上 ④ 差別的取扱いの禁止(報酬の決定・教育訓練・福利厚生施設の利用その他の待遇) ⑤ 一時帰国の有給休暇 ⑥ 派遣先の名称・住所と派遣の期間(派遣形態の場合) ⑦ 分野に特有の基準 |
| 適正な在留に資するために必要な事項(第2項・3号) | ① 帰国担保措置 ② 健康・生活の状況を把握するための措置 ③ 分野に特有の基準 |
このうち実務で効くのは次の4つです。
- 報酬が日本人と同等以上 — 同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬額であること。外国人であることを理由に低く設定することはできません(技能・経験に応じた合理的な差は可)。報酬の決定だけでなく、教育訓練の実施・福利厚生施設の利用などの待遇でも差別的取扱いは禁止されます。
- 所定労働時間がフルタイム — 受け入れ企業の通常の労働者と同等であること。運用要領上のフルタイムは、原則として労働日数が週5日以上かつ年間217日以上、かつ週の労働時間が30時間以上を指します(パート・アルバイトは該当しません)。
- 一時帰国の有給休暇(表の⑤) — 本人が一時帰国を希望した場合に、必要な有給休暇を取得させること。⚠️ 年次有給休暇を使い切っていても終わりではありません——運用要領は、労働基準法上の年次有給休暇をすべて取得した後に一時帰国の申出があった場合も、追加的な有給休暇や無給休暇を取得できるよう配慮することが望まれるとしています。断れるのは「業務上やむを得ない事情」がある場合に限られ、それは他の労働者では代替できない業務で、その日に従事しなければならない合理的な理由がある場合と定義されています。一時帰国のために休暇を取得したことを理由とする不利益な取扱いは認められません。この取扱いは雇用契約に定めることとされています。
- 帰国担保措置 — 帰国旅費は本人負担が原則ですが、本人が負担できないときは企業が旅費を負担し、あわせて出国が円滑になされるよう必要な措置を講じることとされています(航空券の予約・購入、帰国までの生活支援など)。⚠️ この旅費を報酬から控除して積み立て・管理することは認められません。
雇用条件書(参考様式第1-6号)に書く記載事項は特定技能の雇用契約・雇用条件書で詳しく解説しています。なお派遣の形態が認められるのは農業・漁業のみ(2026年8月20日時点)で、それ以外の分野は直接雇用に限られます。これは省令第1条ではなく分野別の運用方針で定まる制約です。
同じ仕事をする日本人が社内にいないときの「同等以上」の示し方
報酬の「同等以上」は、比較できる日本人社員がいる企業なら難しくありません。問題は、同程度の技能を持つ日本人が社内にいない場合です。運用要領と同庁のQ&Aは、この場合の説明の仕方を賃金規程の有無で分けて示しています。
| 社内の状況 | 何を根拠に説明するか |
|---|---|
| 同程度の技能等を有する日本人労働者がいる | その人と職務内容・職務に対する責任の程度が同等であることを説明したうえで、報酬額が同等以上であることを説明する |
| いない/賃金規程がある | 賃金規程に照らし、自社の報酬体系のなかでどう位置づけられるかという観点から説明する |
| いない/賃金規程がない | 職務内容と責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者と比べて、どのように異なるかという観点から説明する |
| いない/賃金規程がなく、比較対象の日本人が一人もいない | 出入国在留管理庁が、雇用契約書記載の報酬額と当局が保有する近隣同業他社の特定技能外国人の報酬額とを比較する(=社内に相手がいなくても比較は行われる)。⚠️この行だけ出所が違います=運用要領ではなく同庁Q&A Q30 |
⚠️ 4行目は運用要領ではなく同庁のQ&Aに書かれています。 Q30は「賃金規定がなく、比較対象の日本人もいない場合には、雇用契約書記載の報酬額と、当局が保有する近隣同業他社における同等業務に従事する同等程度の経験を有する特定技能外国人の報酬額を比較することとしています」としています。[4]同Q30は、3行目にあたる「近い業務等を担う日本人と比べる」場面の検討要素として、役職・責任の程度に加えて年齢及び経験年数も挙げています。社内に比較相手が一人もいなくても、社外の相場と比較される、ということです。
説明は特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)に記載して提出します。なお本記事が扱うのは、この要件をどう満たし、どう説明するかまでです。報酬額そのものをいくらに置くか(地域別最低賃金・同等報酬・実勢水準の3つの下限の重ね方と、政府統計でみた特定技能の実額)は特定技能の給料はいくらにする?外国人社員の給与の決め方で扱っています。
金額の設定でとくに注意が要るのが、技能実習からの移行者です。運用要領は、技能実習2号修了者はおおむね3年程度、技能実習3号修了者はおおむね5年程度の経験者として取り扱う必要があるとしています。つまり、技能実習2号修了時の報酬額を上回れば足りるのではなく、実際に3年程度・5年程度の経験を積んだ日本人技能者に支払っている報酬額とも比較して設定する必要があります。なお「報酬」には、通勤手当・扶養手当・住宅手当など実費弁償の性格を持つもの(課税対象となるものを除く)は含まれません。
基準2:受入れ機関(企業)自体が適切であること——省令第2条第1項の17項目
企業そのものについて問われるのは、法令遵守・過去の離職や不正の有無・体制と財政基盤——運用要領が挙げる17の項目です。ここがこの記事の中心です。まず一覧で全体を見てから、実務で引っかかりやすいものを個別に見ていきます。
17項目の一覧——何を求められ、いつまで遡り、何で証明するか
| # | 求められること | 関係する期間(★は遡及判定ではありません) |
|---|---|---|
| 1 | 労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること(あっせん事業者から求人紹介を受ける場合は、その事業者が職業安定法上の許可・届出を得ていることを含む。未納があるときの回復の経路は後述) | ★提出書類の対象期間=社会保険料・国民年金は申請月の前々月までの24か月分、住民税・国民健康保険は直近2年度分 |
| 2 | 同種の業務に従事していた労働者に非自発的離職を発生させていないこと(対象はフルタイムの日本人・中長期在留者・特別永住者=詳細は下の節) | 契約締結日の前1年以内と締結日以後 |
| 3 | 自社の責めに帰すべき事由による外国人の行方不明者を発生させていないこと | 契約締結日の前1年以内と締結日以後 |
| 4 | 刑罰を受けていないこと(拘禁刑以上はすべての法令が対象・罰金刑は列挙された規定によるものが対象、という2段構えです。罰金刑の側は3系統=①出入国または労働に関する法律〔労働基準法・職業安定法・最低賃金法・入管法など〕②暴力団関係法令・刑法等 ③社会保険各法および労働保険各法で事業主としての義務に違反したとき=詳細は下の節) | 刑の執行を終わった日等から5年 |
| 5 | 技能実習の実習認定の取消しを受けていないこと(取消しの原因となった事項が発生した時点で、その法人の役員だった人も対象=2026年8月20日の運用要領改正で「取消しを受けた時点の役員」から改められました) | 取消しの日から5年 |
| 6 | 出入国または労働関係法令に関する不正行為を行っていないこと(暴行・脅迫・監禁、旅券や在留カードの取り上げ、報酬の不払い、私生活の自由の不当な制限、届出をしない・虚偽の届出 など) | 契約締結日の前5年以内と締結日以後 |
| 7 | 暴力団員等でないこと、暴力団員等に事業活動を支配されていないこと | 暴力団員でなくなった日から5年 |
| 8 | 行為能力・役員等の適格性(精神の機能の障害により契約の適正な履行に必要な認知・判断・意思疎通ができない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、これらに該当する役員がいる法人 に当たらないこと) | — |
| 9 | 特定技能外国人の活動状況に係る文書(名簿・帳簿ほか)を作成し、事業所に備え置くこと | ★帳簿の保存期間=特定技能雇用契約の終了日から1年以上 |
| 10 | 保証金の徴収・財産の管理・違約金契約などがあることを認識して契約していないこと/自社も違約金契約を結んでいないこと | — |
| 11 | 1号特定技能外国人の支援に要する費用を本人に負担させないこと(直接・間接を問わず) | — |
| 12 | 派遣形態で受け入れる場合、派遣元が分野の業務を行っている者であるなどの条件を満たすこと(派遣先も非自発的離職者・行方不明者・欠格事由などの基準に適合していることが求められます) | 派遣先について1年(非自発的離職者・行方不明者)・5年(欠格事由) |
| 13 | 労災保険に係る保険関係成立の届出などの措置を講じていること(暫定任意適用事業の場合は労災保険に類する民間保険への加入) | — |
| 14 | 特定技能雇用契約を継続して履行する体制(財政的基盤)が整備されていること | — |
| 15 | 報酬を本人の指定する預貯金口座への振込み等、実際に支払われた額を確認できる方法で支払うこと(運用要領は、報酬の支払方法として口座振込みがあることを説明したうえで本人の同意を得た場合に振込み等で行うこととしています。労働基準法の側でも、賃金の口座振込みは本人の同意が前提です) | — |
| 16 | 地方公共団体から共生施策への協力を要請されたときは必要な協力をすること | — |
| 17 | 分野に特有の基準(告示で定められている場合)に適合すること | 分野による |
この列が示すのは遡って適合性を判定される期間です。該当するのは1年(2番・3番)と5年(4〜7番)で、12番の派遣先についても同じ1年・5年を見ます。基準3側にはこれと別に5年(支援を怠ったこと)があります。残りの項目は「今その状態か」を問うものです。⚠️ 基準3の「2年」だけは性質が違います——不適合を遡って探す期間ではなく、支援体制を示す実績を数える期間です(実績が無くても、生活相談業務の経験者・同程度と認められる者という別ルートで満たせます)。⚠️ 1番の「24か月分・2年度分」は提出する書類の対象期間、9番の「1年以上」は帳簿の保存期間で、いずれも遡及判定の期間ではありません。
証明に使う主な書類(初回申請時・項目別)
- 1番(法令遵守) — 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)、社会保険料納入状況照会回答票または保険料領収証書の写し、納税証明書(その3)、法人住民税の納税証明書、雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)
- 2番・3番(非自発的離職者・行方不明者) — 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)=企業が自己申告する様式です(2番・3番のほか12番・14番の確認書類も兼ねます)。⚠️ 事実と異なる記載をすると、後の調査で発覚したときに6番の不正行為(偽変造文書等の行使・提供)に当たり得ます=運用要領は、認定証明書交付申請で欠格事由の有無を「無」と記載して提出したところ後の調査で発覚した場合を例に挙げ、申請・届出では事実関係の確認を十分に行うよう求めています
- 4番・5番(刑罰・実習認定の取消し) — 登記事項証明書、業務執行に関与する役員(個人事業主の場合は本人)の住民票の写し=個人事業主も受け入れ企業になれます。4番は、住民票の写しの提出を省略する役員がいる場合、これに役員に関する誓約書(参考様式第1-23号)が加わります
- 6〜8番(不正行為・暴力団関係・行為能力等) — 運用要領はこの3項目に個別の確認書類を定めていません。この3つは4番・5番と同じ省令第2条第1項第4号(欠格事由)のイ〜ワの中に並ぶ項目で(6番=同号リ、7番=ヌ・ワ、8番=ホ・ヘ・ル・ヲ)、4番・5番で出す登記事項証明書・役員の住民票の写し・役員に関する誓約書のほかに、この3項目のためだけの書類が指定されているわけではない、という意味です(必要に応じて地方出入国在留管理局から追加の資料を求められることはあります)
- 9番(名簿・帳簿) — 提出書類ではなく備置き義務です(実地調査等で提示を求められます)
- 10番(保証金・違約金) — 雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)
- 11番(支援費用の負担) — 雇用の経緯に係る説明書、1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)
- 12番(派遣形態) — 特定技能所属機関概要書、派遣計画書(参考様式第1-12号)、派遣先の概要書(農業=参考様式第1-14号/漁業=参考様式第1-15号)、派遣先の労働・社会保険・租税の法令遵守を証明する資料、分野ごとに定める書類(労働者派遣契約書の写しは、基準1の派遣先に関する事項の確認書類として提出します)
- 13番(労災保険) — 雇用条件書の写し、労働保険関係の書類、(暫定任意適用事業の場合)労災保険に類する民間保険の加入証明
- 14番(継続履行体制) — 特定技能所属機関概要書。直近期末・直近2期末に債務超過がある場合は、第三者による改善見通しの評価書面などが加わります
- 15番(口座振込み) — 雇用条件書の写し(参考様式第1-6号)。口座振込み以外の方法で支払った場合は、定期届出の際に報酬支払証明書(参考様式第5-7号)
- 16番(共生施策への協力) — 協力確認書(提出先は入管ではなく市区町村)。⚠️ 16番の要件そのものは「協力を要請されたときに応じること」で、確認書はその前提として申請前に提出する別建ての手続きです
- 17番(分野特有の基準) — 分野ごとに定める書類(分野別の運用要領を参照)
ここに挙げた書類は、初めて受け入れるときに必要になる代表的なものです。2回目以降は多くが提出を省略できます(詳しくは記事末尾の「2回目以降は書類の提出を省略できる」)。また、地方出入国在留管理局は実地調査等を行うことがあり、必要に応じて追加の資料を求められることがあります。申請時にそろえる書類の全体像(本人分・企業分・分野分・様式番号つき)は特定技能の申請に必要な書類一覧で整理しています。書類の側から「何を立証するための書類か」を引ける要件との対応表も同記事にあります。
非自発的離職は「全社の解雇」ではなく「同種の業務」に限られる
2番の非自発的離職者は、誤解されやすい項目です。対象になるのは、特定技能外国人に従事させる業務と同様の業務に従事していた労働者であり、しかもフルタイムで雇用されている日本人・中長期在留者・特別永住者の従業員に限られます(パートタイムやアルバイトは含みません)。全社のどこかで退職者が出たら該当する、というものではありません。なお中長期在留者には、すでに受け入れている特定技能外国人自身も含まれます——同じ業務の特定技能社員を会社都合で辞めさせると、この項目に当たり得ます。
一方で、該当する離職者を1名でも発生させていれば基準に適合しないという厳しさもあります。「非自発的に離職させた」に当たるのは次の場合です。
- 人員整理を行うための希望退職の募集または退職勧奨を行った場合(天候不順や自然災害の発生、感染症の影響により、経営上の努力を尽くしても雇用の維持が困難な場合は除きます)
- 労働条件に係る重大な問題(賃金低下、賃金遅配、過度な時間外労働、採用条件との相違など)があったと労働者が判断したもの
- 就業環境に係る重大な問題(故意の排斥、嫌がらせなど)があった場合
- 特定技能外国人の責めに帰すべき理由によらない有期労働契約の終了
逆に、定年などによる退職、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇、自発的な離職、そして一定の条件を満たす有期労働契約の不更新は、除外されます。
⚠️ 4つ目の「一定の条件」は狭いので注意してください。 省令が除外しているのは、①労働者側が更新を申し込んだ(または期間満了後遅滞なく締結を申し込んだ) うえで、②企業が、その労働者の責めに帰すべき重大な理由その他正当な理由により、その申込みを拒絶して終了させた場合に限られます。つまり「有期契約だから更新しなかっただけ」は除外に当たりません——労働者からの更新の申込みが無かった場合や、拒絶に正当な理由が無い場合は、非自発的離職の側(上の4類型のうち「特定技能外国人の責めに帰すべき理由によらない有期労働契約の終了」)に落ちます。該当するかどうかの判断は、まず地方出入国在留管理局に相談することとされています。
行方不明者は「自社の責めに帰すべき事由」があるときだけ
3番の行方不明者で最初に確かめるのは、発生の有無ではなく自社に責めに帰すべき事由があったかどうかです。基準が問うのは「特定技能所属機関の責めに帰すべき事由により」発生させていないことなので、事由が無ければ発生それ自体で不適合にはならず、事由があれば1人でも不適合になります。運用要領は「責めに帰すべき事由」を、雇用条件どおりに賃金を適正に支払っていない場合や、1号特定技能外国人支援計画を適正に実施していない場合など、法令違反や基準に適合しない行為が行われていた期間内に行方不明となった場合と説明しています。
対象になる「外国人」には、実習実施者として受け入れた技能実習生も含まれます。また、行方不明者を発生させた企業が基準不適合を免れるために別会社を作った場合、実質的に同一の機関と判断され、その別会社も行方不明者を発生させた機関として取り扱われることがあります。
4番・5番の欠格は「どの罰金刑か」と「誰が役員か」で決まる
4番の刑罰は、罰金刑の側が3系統に分かれます。運用要領は欠格事由を次の4つに整理しています。
- 拘禁刑以上の刑に処せられた者(法令を問いません)
- 出入国または労働に関する法律に違反し、罰金刑に処せられた者(労働基準法・職業安定法・最低賃金法・入管法など)
- 暴力団関係法令、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者(傷害・暴行・脅迫・背任などの罪、暴力行為等処罰法)
- 社会保険各法および労働保険各法において事業主としての義務に違反し、罰金刑に処せられた者(健康保険法・船員保険法・厚生年金保険法・労働者災害補償保険法・雇用保険法・労働保険徴収法の、条文で特定された各罰則)
⚠️ 4つ目を見落としがちです。 社会保険・労働保険は「未納」の話(17項目の1番)として意識されがちですが、未納と罰金刑は別の項目で見られます——1番の未納は納付すれば遵守と評価される一方、事業主としての義務違反で罰金刑を受けた事実は、4番の欠格として別に判定されます。いずれの系統も起算は「刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日」からの5年です。
「役員」の範囲は、登記上の肩書だけでは決まりません。 運用要領は、欠格事由の対象となる役員を「業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者」とした上で、相談役・顧問その他いかなる名称であるかを問わず、法人に対しこれらの者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含むと定めています。留意事項でも「法人の役員に形式上なっている者のみならず、実態上法人に対して強い支配力を有すると認められる者についても対象となります」と明記されています。つまり、登記事項証明書に載っていない実質的な支配者も判定の対象です(5番の実習認定の取消しについても、同じ範囲の「役員」で見ます)。
住民票の写しには要件があります。マイナンバーの記載のないものを提出し、日本人の場合は本籍の記載があるもの、外国人(特別永住者を除く)の場合は国籍・在留資格・在留期間・満了日・在留カード番号が記載されたものが必要です。役員に未成年者がいて、その法定代理人が法人であるときは、当該法定代理人の分も含めて提出します。
6番の「不正行為」は列挙で閉じていない
6番の不正行為は、省令が11の行為を挙げていますが、条文は「次に掲げる行為その他の出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」という書き方で、列挙は例示であって限定ではありません。運用要領はさらに踏み込んで15の類型を挙げており、そこには偽変造文書等の行使・提供、届出の不履行または虚偽の届出、報告徴収に対する妨害、改善命令違反、不法就労者の雇用、労働関係法令違反、支援計画に基づく支援における不正行為などが含まれます。「省令に書かれた11個に当たらなければ大丈夫」とは読めない項目です。
類型名だけでは自社の運用が当たるか判断できません。 運用要領は例を添えています。悪意がなくても当たり得るものを挙げると——
- 私生活の自由の不当な制限 — 「外出、外部との通信等を不当に制限している場合」で、例として携帯電話を没収するなどして外部との連絡を遮断する行為が挙がっています(失踪防止を目的にしていても同じです)。
- 旅券・在留カードの取上げ — 本人の意思に反して保管していた場合が該当します(会社が預かって金庫に保管する運用は、本人の意思によらないなら当たり得ます)。
- 人権を著しく侵害する行為 — 例として本人の意思に反して預貯金通帳を取り上げること、本人の意思に反して強制的に帰国させることが挙がっています。
- 手当・報酬の不払い — 不払金額・不払期間・事業主の認識等を勘案して評価されます。⚠️ 食費・住居費等を天引きしている場合でも、天引き額が適正でなければ該当し得ます。
- 偽変造文書等の行使・提供 — 例として、在留資格認定証明書交付申請で欠格事由の有無を「無」と記載して提出したところ、後の調査で当該行為が発覚した場合が挙がっています=申請・届出では事実関係の確認を十分に行う必要があります。
社会保険料や税金の未納があると即アウトか
1番の法令遵守は、実務でもっとも不安を持たれる項目です。ここには回復の経路が明記されています。
労働保険料・社会保険料・税のいずれも、未納があった場合でも、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づいて納付(納付手続)を行った場合には、それぞれ労働関係法令・社会保険関係法令・租税関係法令を遵守しているものと評価されます(換価の猶予・納付の猶予などの緩和措置や、猶予制度〔分割納付〕の許可を受けている場合を含みます。税は税務署等に相談のうえ必要な手続きを行うこととされています)。猶予を受けている場合は、猶予期間内であることが分かる通知書の写し等を提出します。
つまり、未納の存在それ自体より、指摘を受けた後に納付手続へ進めるかどうかが見られる構造になっています。
⚠️ 「未納」と「未加入」は別の話です。 運用要領が「遵守している」と定義しているのは、納付だけではありません——労働関係法令については「雇用保険及び労災保険の適用事業所である場合は、当該保険の適用手続及び保険料の納付を適切に行っていること」、社会保険関係法令については「健康保険及び厚生年金保険の加入手続、雇用する従業員の被保険者資格取得手続を行っており、所定の保険料を適切に納付していること」とされています。つまり、適用事業所なのに加入手続そのものをしていない状態は、納付の遅れとは別の不適合です。そして上で見た「助言・指導に基づいて納付すれば遵守と評価される」という回復の経路は、運用要領上、あくまで「未納があった場合」について書かれたものです(未加入について同じ扱いが明記されているわけではありません)。適用事業所に当たるのに未手続きの保険がないかは、納付状況とは別に確認してください。
⚠️ 社会保険が強制適用でない事業者(従業員5人未満の個人事業所など)はどうなるか。 運用要領は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所には任意適用事業所も含まれるとしたうえで、適用事業所ではない場合の遵守の内容を別に定めています——事業主本人が国民健康保険および国民年金に加入し、所定の保険料を適切に納付していること(国民健康保険料〔税〕の納付緩和措置、国民年金保険料の免除制度の適用を受けている場合を含みます)。つまり「厚生年金に入っていないから受け入れられない」ではなく、その事業者に適用される制度の側で加入と納付ができているかを見る形になっています。
ただし回復の経路が用意されていない未納が2つあります。1つは、特定技能外国人から特別徴収した個人住民税を企業が納入していないことに起因して個人住民税の未納があると判明した場合(本人の給与から預かった税金を納めていない、という性質の違いによるものです)。もう1つは、グループ通算制度に加入していて、他の通算法人に未納があるために納税証明書(その3)を提出できない場合です(法人税法第152条第1項の連帯納付の責めによるもの=自社の納付が完全でも該当します)。運用要領はいずれについても「租税関係法令を遵守しているものとは評価しません」と明記しています。⚠️ 「回復の経路がない」=永久に受け入れられない、という意味ではありません。 無いのは、他の未納にある「地方出入国在留管理局の助言・指導に基づいて納付すれば、その申請のなかで遵守していると評価される」というその場で救済されるルートです。納入を済ませて未納が解消していれば、その状態で申請できます——つまり申請の前に片づけておくべき項目であって、申請しながら直せる項目ではない、という違いです。
赤字・債務超過の会社でも受け入れられるか
14番の「継続して履行する体制」は、財政的基盤を問う項目です。ここに「黒字であること」「資本金がいくら以上であること」「設立から何年経っていること」といった条項はありません。運用要領は、事業年度末における欠損金の有無・債務超過の有無等から総合的に判断されるとしたうえで、債務超過がある場合の追加書類を定めています。
赤字(欠損金)と債務超過は別物です。 総合判断の材料には欠損金の有無も入りますが、追加書類の提出が定められているのは「債務超過がある場合」だけで、単年度が赤字でも純資産・元入金がプラスなら、この項目のために追加で出す書類はありません(既定は特定技能所属機関概要書のみ)。
| 決算の状況 | 追加で必要になる書類 |
|---|---|
| 債務超過なし(直近期末の純資産・元入金がプラス) | 特定技能所属機関概要書のみ |
| 直近1期が債務超過 | 中小企業診断士・公認会計士など、企業評価を行う能力があると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通しについて評価を行った書面 |
| 直近2期とも債務超過 | 第三者による改善見通しの評価書面に加えて、労働保険料・社会保険料・租税の納付に関する領収書の写しや証明書 |
債務超過は「提出書類が増える事由」であって、受け入れを一律に禁じる事由としては定められていません。 ただし提出した書面をもとに総合的に判断されるため、結果を保証するものではありません。
設立したばかりで決算を1期も終えていない会社はどうなるか。 運用要領はこのケースを名指しでは扱っていませんが、条件の建て付けから読み取れることが2つあります。1つは、この項目の確認書類として決算書そのものが指定されていないこと——既定で求められるのは特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)だけで、第三者の評価書面や納付関係の資料は「債務超過がある場合」に加わる書類です。もう1つは、判断が「事業年度末における欠損金の有無・債務超過の有無等から総合的に」とされていることで、単一の指標で機械的に決まる形にはなっていません。つまり「決算書が無いから受け入れられない」という条項は存在しない、というのが条文と要領から言えるところまでです。⚠️ ただし設立直後の扱いは一次に明文がなく、個別の判断は地方出入国在留管理局に確認してください(設立から何年、という条項が無いこととあわせて、まず相談する価値のある論点です)。
人材紹介会社を使うなら、その事業者の許可も要件のうち
1番の法令遵守には、見落とされやすい条件が含まれています。特定技能外国人との雇用契約についてその成立のあっせんを行う者がいる場合、職業安定法第30条・第33条・第33条の3に基づく無料職業紹介の届出もしくは許可、または有料職業紹介事業の許可を得ている者から求人のあっせんを受けていることが求められます(船員に該当する場合は船員職業安定法上の許可)。
つまり、紹介会社が許可を持っていないと、企業側の要件が満たせません。確認方法も定められていて、あっせん事業者がいる場合は厚生労働省の人材サービス総合サイトの画面を印刷したものを提出します。なお、雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)は、あっせんする者の有無にかかわらず提出します。
名簿と帳簿を事業所に1年以上——支援の記録とは別物
9番の「活動状況に係る文書」は、支援の記録とは別の書類です。混同されやすいので、2つの違いを整理します。
| 書類の種類 | どの基準に基づくか | 何を記録するか | 保存期間 |
|---|---|---|---|
| 特定技能外国人の管理簿(名簿・帳簿) | 受入れ機関自体の基準(省令第2条第1項第5号) | 氏名・国籍・在留資格・在留カード番号などの名簿と、就労場所・業務内容・雇用状況・労働保険と社会保険の適用状況・安全衛生の確保状況・受入れに要した費用の額と内訳・支援に要した費用の額と内訳・休暇の取得状況(一時帰国休暇を含む)・行政機関からの指導や処分の内容の帳簿 | 特定技能雇用契約の終了日から1年以上 |
| 1号特定技能外国人支援の状況に係る文書 | 支援体制の基準(同条第2項第3号) | 支援体制・委託契約・支援対象者・支援の実施の4つの管理簿 | 特定技能雇用契約の終了日から1年以上 |
「活動状況に係る文書」には、上の管理簿のほか雇用契約の内容・雇用条件・賃金台帳等・出勤簿等も含まれます。登録支援機関に全部委託していても、この左側は企業自身の義務として残ります。 右側の支援記録の様式と中身は義務的支援10項目で詳しく解説しています。
保証金・違約金・支援費用——お金にまつわる3つの禁止
10番・11番は、送出し側の慣行に企業が巻き込まれることを防ぐための項目です。
- 保証金の徴収等 — 外国人本人やその配偶者・親族などが、他の者から保証金を徴収されていたり財産を管理されていたりする場合に、そのことを認識したうえで雇用契約を締結していないことが求められます。
- 違約金契約 — 契約の不履行について違約金を定める契約や、不当に金銭の移転を予定する契約を、自社が締結していないことが求められます。渡航費や当面の生活費の貸し付けそのものを禁じる規定ではありませんが、一定期間の勤務を条件に返済を免除する契約や、途中退職で残額を一括返済させる契約は、これに当たります。⚠️ 社内ルールに違約金を紐づける形も対象です——運用要領は、地方出入国在留管理局や労働基準監督署等への通報、休日に許可を得ずに外出すること、業務従事時間中にトイレ等で離席することを禁じて違約金を定める行為を例に挙げています。就業規則や誓約書に制裁金の条項がないか、この観点で読み返してください(本人やその家族から商品・サービスの対価として不当に高額な金銭を徴収する契約も同じ扱いです)。
- 支援費用の負担 — 義務的支援に要する費用(登録支援機関への委託費用を含みます)を、直接・間接を問わず本人に負担させないことが求められます。住宅の賃貸料などの実費を必要な限度で本人に負担してもらうことは妨げられません。どの費目を本人に負担してもらえるかの線引きは義務的支援10項目で整理しています。
報酬を得て業として行う申請書類の作成は、行政書士などの専門家の領域です。判断に迷う場合は、行政書士などの専門家と連携して進めてください(登録支援機関が受託できるのは支援計画に基づく支援の実施であり、書類作成はその範囲外です)。申請書等の提出=申請取次は行政書士の専管ではなく、変更・更新の場合は、届出済みの弁護士・行政書士のほか、承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本邦にいる本人(又はその法定代理人)の依頼を受けて行えます。海外から呼び寄せる場合(在留資格認定証明書交付申請)は、雇用契約を結んだ企業の職員が代理人として自ら提出できます(誰が出せるかの全体像は申請に必要な書類一覧)。自社が欠格事由に該当しないかの確認は社内資料で進められますが、判断に迷う項目があれば、これも専門家への相談が近道です。
法人単位で見る項目と、事業所単位で見る項目
複数の事業所を持つ会社では、「どの単位で満たせばよいのか」が判断を止めます。運用要領の書きぶりから整理すると、次のように分かれます。
| 単位 | 項目 |
|---|---|
| 法人(受け入れ機関)単位 | 未納・欠格事由・債務超過(14番)=会社そのものの状態を見る項目。非自発的離職者(2番)も、特定技能所属機関に雇用されている従業員が対象=同種の業務という限定はかかったまま、事業所をまたいで見ます |
| 事業所単位 | 支援担当者の選任(基準3の1番=「外国人に活動をさせる事業所ごとに1名以上」)、活動状況に係る文書の備え置き(9番=「事業所に備え置く」) |
| 分野の定めによる | 受け入れ人数枠(介護は事業所単位、建設は企業単位=数え方は「分野ごとの上乗せ要件」の節)、協議会・登録法人への加入(構成員となるのは受け入れ企業そのもの=ただし建設は登録法人が構成員で、企業は登録法人の構成員である建設業者団体へ加入します) |
⚠️ 事業所を増やすときに見落とされやすいのは支援担当者です(支援責任者・支援担当者そのものの説明は次の「基準3」の節です)。新しい事業所で特定技能外国人に働いてもらうなら、その事業所にも支援担当者を1名以上置く必要があります(省令が「事業所ごとに1名以上」と定めているのは支援担当者だけで、支援責任者にはこの限定がありません。支援責任者は支援担当者を兼ねられます)。介護の人数枠の数え方は介護の人数枠(事業所単位の上限)をご覧ください。
基準3:支援体制と支援計画の実施(省令第2条第2項の7項目)
1号特定技能外国人には、生活・就労の支援が義務づけられます。その支援計画が適正に実施されることを確保するための基準が、次の7項目です。
| # | 求められること | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 支援体制があること(過去2年間の中長期在留者の受入れ・管理の実績、または生活相談業務の経験者、もしくは同程度と認められる者)+支援責任者と、事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること | 支援責任者は支援担当者を兼ねることができます。⚠️在籍者が設立者本人だけの法人(いわゆる一人親方・個人事業主も同様)の受入れは、実績とは認められません=受け入れ企業になれないという意味ではなく(個人事業主も受入れ機関になれます)、この1番を自社支援では満たせない=登録支援機関への全部委託でみなしを受ける、という意味です |
| 2 | 外国人が十分に理解できる言語で支援できる体制があること | 通訳人を職員として雇い入れる必要はなく、必要なときに委託などで確保できれば足ります |
| 3 | 支援の実施状況に係る文書を作成し、事業所に契約終了日から1年以上備え置くこと | 17項目の9番(活動状況の名簿・帳簿)とは別の書類です |
| 4 | 支援責任者・支援担当者が中立な立場であり、かつその個人が第1項第4号のイからル(=欠格事由のうち個人について定めた範囲)に該当しないこと | 外国人に指揮命令権を持つ人は不可。組織図の縦のライン(代表取締役、その外国人が所属する部署を監督する部長など)は適格性がありません |
| 5 | 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと | 契約締結日前5年以内と締結日以後 |
| 6 | 3か月に1回以上の定期面談を実施できる体制があること | 本人だけでなく、監督する立場にある人とも面談します |
| 7 | 分野に特有の基準(告示で定められている場合)に適合すること | 分野別の運用要領を参照 |
全部委託で「みなされる」のはこの7項目だけ
支援計画の全部を登録支援機関に委託した場合、入管法第2条の5第5項により、この7項目に適合するものとみなされます。社内に多言語対応や支援担当者の体制がなくても、全部委託を選べば受け入れを進められる、というのはこの規定によるものです。
ただし、みなしが及ぶ範囲は限定されています。
- みなされるのは省令第2条第2項の7項目だけ — 前の章で見た第1項の17項目は、委託しても企業に残ります。未納も、非自発的離職者も、名簿・帳簿の備え置きも、委託で解決するものではありません。
- 支援計画を作成すること自体は企業の義務 — 全部委託しても、支援計画を作成するのは受け入れ企業です(作成にあたって委託先の援助を受けることは差し支えありません)。日本語と、本人が十分に理解できる言語の両方で作成し、写しを本人に交付します(省令第3条第2項)。
- 全部委託は1社にしか出せません — 支援計画の全部の実施を複数の登録支援機関に分けて委託することはできません(自社が7項目の基準を満たしている場合に限り、自社の責任のもとで複数の第三者に委託できます)。
- 委託を受けた登録支援機関による再委託は認められません(支援業務の履行を補助する範囲で通訳人を活用することは差し支えありません)。
- 一部委託の場合、「定期的な面談の実施・行政機関への通報」だけは第三者へ委託できません(委託の範囲ごとの線引きは義務的支援10項目で整理しています)。
自社支援を選ぶ場合の実績要件の3ルート、支援責任者・支援担当者の選任と兼任、中立性の具体的な線引きは自社支援か委託かで詳しく解説しています(⚠️2027年4月施行の省令改正で支援体制の要件が変わる予定です=新旧の対照も同記事へ)。委託先の選び方と契約前の確認は登録支援機関の選び方、委託費の相場は登録支援機関の費用相場をご覧ください。⚠️ 委託でみなしを受けている場合、委託先が登録を取り消されたり事業を廃止したりすると、みなしの前提が消えます——その時点で基準3を自社で満たしていなければ基準不適合となるため、乗り換えの手順(届出2本を含む)は登録支援機関の乗り換えで確認しておいてください。
分野ごとの上乗せ要件——「申請の前」に終わらせておく手続き
17項目の最後(17番)にある「分野に特有の基準」は、分野ごとの告示で定められます。ここで最も重要なのは、手続きによっては在留資格の申請より前に完了していないと申請が出せない、または許可・交付まで進めないという点です。採用スケジュールを組むときの制約になります。[5][6]
| 手続き | 内容(いつまでに・どこへ) |
|---|---|
| 分野別協議会への加入 | 要領別冊が公表されている全17分野を確認したところ(2026年7月28日時点。制度上の19分野との違いは分野一覧)、建設を除く16分野が「当該特定技能外国人に係る在留諸申請の前に」加入することを求めています(15分野は分野別協議会へ、工業製品製造業は経済産業大臣の登録を受けた登録法人へ——協議会には登録法人が加入する建て付けです)。令和6年(2024年)6月15日以降は、初めて受け入れる場合であっても「構成員であることの証明書」の提出が必要です(外食業などでは登録支援機関にも同じ証明書の提出が求められます)。⚠️「受入れ後4か月以内に加入すればよい」と書かれた資料が残っていますが、これは令和6年(2024年)6月15日より前の旧ルール(一部の分野にあった、入国後4か月以内に加入する旨の誓約書を提出する方式)です。⚠️ 退会すると受け入れを継続できなくなります(「受け入れ後に企業が負う3つの義務」の節)。自社の分野がどの協議会か(全17分野の協議会名・所管省庁・加入の期限)は分野別協議会の一覧にまとめています |
| 市区町村への協力確認書 | 17項目の16番(共生施策への協力)に関連する手続きです(様式・記載内容と2025年4月からの経緯は義務的支援10項目で解説しています)。初めて受け入れる場合は、雇用契約の締結後・在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前に、既に受け入れている場合は在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請を行う前に、市区町村へ提出します。事業所の所在地と住居地の両方の市区町村が対象(同一なら1通)です。⚠️ 16番の要件そのものと、この確認書は別物です——省令が求めるのは「協力を要請されたときに応じること」で、要請がまだ無くても確認書の提出は申請前に求められます。提出は初めて在留諸申請を行うときの一度きりで、同じ事業所で働く2人目以降の申請でも、不許可のあとの再申請でも再提出は不要です(記載事項に変更が生じたときだけ改めて提出します。外国人の転職・転出や帰国の際に市区町村へ連絡する必要もありません) |
| 建設分野の受入計画の認定(⚠️申請前ではなく許可・交付まで) | 建設分野は構造が違います。協議会の構成員となるのは国土交通大臣の登録を受けた登録法人であり、企業側に求められるのは建設特定技能受入計画の国土交通大臣による認定と、登録法人の構成員である建設業者団体への加入(いずれの団体にも加入していない場合は、企業自身が登録法人の構成員となること)です。⚠️ 受入計画は「申請後・認定前」でも在留諸申請を出せますが、在留諸申請の許可・交付を受けるには認定証の写しの提出が必要です |
| 事前ガイダンスの実施(1号のみ) | 支援計画の最初の支援である事前ガイダンスは、在留資格認定証明書の交付申請前(変更を伴う場合は変更申請前)に実施しておきます(実施内容と方法は義務的支援10項目) |
| 健康診断の受検 | 本人側の要件ですが、企業のスケジュールを縛ります。新規入国の場合は申請日から遡って3か月以内、在留中からの変更の場合は1年以内に受けた健康診断であることが求められます |
| オンライン申請・電子届出の利用者登録 | 必須ではありませんが、適格性書類の提出を省略する制度を使うには事前登録が要ります。運用要領は提出期限の3か月前には利用者登録の申請を行うよう求めています(省略の2ルートと落とし穴は記事末尾の「2回目以降は書類の提出を省略できる」) |
申請そのものの手数料は、在留資格認定証明書交付申請が無料、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請がオンライン5,500円・窓口6,000円(いずれも許可されるときに納付・2026年9月30日までに行った申請分)です(オンラインのほうが安く設定されています)。書類の作成や申請取次を行政書士などの専門家に依頼する場合は、別途その報酬がかかります。⚠️ この在留諸申請の手数料は、2026年10月1日以降の申請分から、許可される在留期間の長さに応じた額に変わります(改める政令=令和8年政令第268号は2026年8月25日に閣議決定・8月28日に公布。2026年9月30日までに行った申請は、許可が10月1日以降でも改定前の額)。[7][8][9]区分別の額と5年で積んだときの影響は特定技能の費用で整理しています。
このほか、分野によって次のような上乗せがあります。
- 受け入れ人数枠 — 制度全体としては、原則として企業ごとの受入れ人数枠は設けられていません。ただし一部の分野には枠があります(介護は事業所の日本人等の常勤介護職員(技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生を含みません)の総数が上限、建設は1号特定技能外国人の総数が常勤職員の総数を超えないこと=分母から1号特定技能外国人と技能実習生を除きます)。具体的な数え方は介護の人数枠(事業所単位の上限)・建設分野の特定技能採用をご覧ください。また、企業単位とは別に分野全体の受入れ見込数(上限)に達した分野では、企業側の要件を満たしていても新規の受け入れが止まることがあります(外食業で2026年4月13日から発生中=現況と例外は受け入れ停止の最新動向・分野別の枠と充足率は特定技能の統計)。
- 雇用形態の制限 — 基準1で見たとおり、労働者派遣の形態が認められているのは農業・漁業のみです。この場合、派遣元・派遣先の双方に基準が課されます(17項目の12番)。
- 追加の負担金・遵守事項 — 分野によって定められています。自社の分野の内容は特定技能で受け入れできる分野一覧から確認できます。
受け入れ後に企業が負う「3つの義務」
受け入れた後に続く義務は①雇用契約の確実な履行 ②支援の適切な実施 ③出入国在留管理庁への各種届出の3つです。
雇用契約の確実な履行
報酬の支払い、労働条件の遵守など、結んだ雇用契約を確実に履行します。支援の適切な実施
支援計画に沿って義務的支援を実施します。登録支援機関に委託している場合も、受け入れ企業として実施状況に責任を持ちます。出入国在留管理庁への各種届出
受け入れ状況の定期届出(年1回)のほか、雇用契約や支援内容に変更があったときの随時届出(事由が生じた日から14日以内)を行います。
このほか、分野固有の受け入れ後の義務がある分野もあります(例=建設は適正就労監理機関(FITS)による巡回訪問の受入れ・受入後講習の受講・受入報告書の提出=建設分野の特定技能採用)。自社の分野の内容は分野一覧から各分野の記事で確認してください。また、個人事業主の法人化や吸収合併・吸収分割などで受け入れ企業の法人格に変動が生じたときは、外国人本人の在留資格変更許可申請が必要になる場合があります——運用要領は、事由の発生が分かり次第速やかに地方出入国在留管理局に相談するよう求めています。⚠️ このとき入管への「届出」は不要です(必要なのは在留資格変更許可申請の側)。ただし、合併・分割・法人化の前に外国人が自発的に離職する、または解雇する場合は、それが判明した時点で届出が必要になります。
⚠️ 加入した協議会を抜けると、要件を満たさなくなります。 分野別協議会または特定技能外国人受入事業実施法人を退会等した場合、受け入れ機関は基準を満たさないことになり、引き続き特定技能外国人を受け入れることができません(届出が必要です)。会費や事務負担を理由に退会を検討するときは、在籍している特定技能外国人の受け入れが継続できなくなる点を先に確認してください。
定期届出は「年1回」——毎年5月31日まで
受け入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)は、前年4月1日からその年の3月31日までの期間について、毎年5月31日までに行います(入管法施行規則第19条の18第3項。運用要領は提出できる期間をその年の4月1日から5月31日までとしています)。届け出る内容には、受け入れている特定技能外国人数、実労働日数、所定内・超過の実労働時間数、現金給与額、賞与、控除額(食費・居住費・税や社会保険料など)、昇給率、支援の実施状況が含まれます。
⚠️ 全部委託していても、支援の実施状況の届出は企業から外れません。 運用要領は「支援計画の実施を登録支援機関に全部委託している場合は、特定技能所属機関が委託先の登録支援機関から支援の実施状況を取りまとめて提出する必要があります」とし、その部分は登録支援機関と情報共有のうえ連名で提出するよう求めています。委託先から実施状況を受け取る段取りを、届出期限から逆算して決めておく必要があります。
一時帰国などで対象期間中にまったく就業していない場合も、すでに退職している場合でも、対象期間中に1日でも所属していれば届出の対象です。届出をしなかった場合・虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金(雇用契約の変更・終了・新規締結の届出と、受け入れている外国人の氏名・活動内容に関する定期届出の部分=入管法第71条の4)または10万円以下の過料(それ以外の届出=同法第77条の2)の対象になります。[10]⚠️ 罰金の側には両罰規定があります——法人の代表者、または法人・人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人・人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人・人に対しても各本条の罰金刑が科されます(入管法第76条の2)。担当者が個人で処理を落としたつもりでも、会社にも罰金が及ぶ建て付けです(両罰の対象は罰金の第71条の3・第71条の4に限られ、過料の第77条の2は対象外です)。
定期届出を「四半期に一度」と説明している資料が残っていますが、これは年1回へ変更される前のルールです。⚠️ 出入国在留管理庁の「受入れ機関の方」ページも、2026年8月22日時点で「四半期に一度」のままです(雇用までの流れのStep 6・Step 9=「受入れ後、所属機関や登録支援機関は四半期に一度入管に対し受入状況や支援実施状況の届出を行っていただく必要がある」)。[11]公式ページと運用要領が食い違って見えますが、届出の期限を定めているのは入管法施行規則で、そこは年1回です。出入国在留管理庁のQ&Aは、四半期ごとの届出について「令和7年1月1日から3月31日までを対象期間とする届出については、同年4月15日までに提出する必要があります」と案内した上で、以後は1年に1度の届出に切り替わるとしています=四半期での提出は2025年4月15日提出分が最後です。年1回制での最初の提出の窓は2026年4月1日〜5月31日でした(以後、毎年この窓で1回)。事務負担としてのコスト面は特定技能の費用(相場と維持費・ランニングコスト)で解説しています。なお入管への届出とは別に、ハローワークへの外国人雇用状況の届出も必要です(2系統あります)。提出先の全体像は特定技能の採用の流れで整理しています。
要件を満たさなくなったら14日以内に届け出る
もっとも見落とされやすいのがこれです。省令第2条第1項各号・第2項各号のいずれかに適合しないこととなる事由が生じたことを知った場合、企業はその認知の日から14日以内に届け出なければなりません(基準不適合に係る届出・参考様式第3-5号、基準不適合に係る説明書は参考様式第5-18号)。届出には、①適合しないこととなる事由とその発生時期・原因 ②特定技能外国人の現状 ③その事由を解消するための措置 を記載します。
運用要領が例示する「基準不適合」は、税金や社会保険料等の滞納が発生したとき、同種の業務に従事していた労働者に非自発的離職を発生させたとき、刑罰を受けたとき・実習認定の取消しを受けたとき・不正行為を行ったとき、外国人に対する暴行・脅迫・監禁や手当や報酬の不払いが発生したとき、などです。
⚠️ 届出が1本で済まない場合があります。 非自発的離職者や行方不明者を発生させたときは、基準不適合の届出に加えて受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号)も必要です。⚠️ 2つは起算日が違います——基準不適合の届出は適合しないと知った日から14日以内、受入れ困難に係る届出は事由が生じた日から14日以内です。基準不適合により受け入れの継続が困難になった場合も、受入れ困難の届出の対象になります。
要件は入口の一度きりの審査ではなく、受け入れている間ずっと満たし続ける継続的な条件だということが、この届出義務からわかります。非自発的離職者・行方不明者の基準が「契約締結日前1年以内と締結日以後」という書き方になっているのも同じ理由です。
満たさないまま続けるとどうなるか——指導から公示まで
要件を満たしていないと認められた場合、いきなり受け入れが止まるわけではなく、段階を踏みます。
指導及び助言(入管法第19条の19)
出入国在留管理庁長官が、雇用契約の基準適合性・その適正な履行・支援計画の基準適合性・その適正な実施などを確保するために必要な指導と助言を行います。運用要領は「速やかにこれに応じなければなりません」としています。報告徴収・立入検査(同第19条の20)
報告や帳簿書類の提出・提示の命令、出頭の要求、質問、事業所への立入検査が行われます。これを拒んだり虚偽の回答をしたりした場合は、30万円以下の罰金の対象です(同第71条の4第2号)。改善命令(同第19条の21)
指導・助言を受けても必要な措置が講じられない場合、期限を定めて改善に必要な措置をとるよう命じられます。運用要領は、この命令が「違反行為そのものの是正はもとより、違反行為を起こすような受入れを行っていることそのものの改善を目的として発せられる」と説明しています。公示
改善命令をしたときは、その旨が公示されます(同第19条の21第2項)。運用要領は「不適正な受入れを行っていたことが周知の事実となります」と明記しています。命令に従わない・違反した場合は、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(同第71条の3)。改善命令を受けた場合は、示された改善期日までに措置を講じたうえで、改善命令に係る改善報告書(参考様式第5-2号)の提出が必要です。
支援を怠った場合にどう発覚するかは義務的支援10項目でも解説しています。
自社で満たせるかを確認する——満たせないとき、いつから受け入れられるか
24項目の多くは、納付手続・契約や運用の是正・書類の用意で動かせます。入口で止まるのは、「1年」「5年」の時間の経過を待つしかない項目と、助言・指導による回復の経路が用意されていない2つの例外(特別徴収した個人住民税の未納入と、グループ通算制度での他の通算法人の未納)です(このほか8番の行為能力・破産による欠格は、時間の経過や納付ではなく、復権を得るなど該当事由の解消そのものが要件になります)。次のチェックをたどってください——主要11問に絞っています(24項目の全量は上の一覧が正です)。確認は部署をまたぎます(納付状況と純資産は経理・財務、退職者と賃金規程は人事・労務、役員の欠格事由は総務・法務、支援担当者と帳簿の置き場所は現場、協議会と紹介会社の許可は経営・調達)。「いいえ」が1つでもある項目が、自社の論点になります。
「いいえ」がついた項目の解消の仕方は、2つに分かれます。
- 動けば解消できる — 保険料・税の未納(上の「即アウトか」で見た納付の経路)、労災保険の成立届、報酬の口座振込み、名簿・帳簿の作成と備え置き、支援費用の負担・違約金契約の是正、あっせん事業者の見直し。債務超過(第三者による改善見通しの評価書面)と支援体制がない場合(登録支援機関への全部委託で第2項の7項目に適合するとみなされます)も、書類・契約で進められます。
- 時間の経過を待つしかない — 非自発的離職者・行方不明者の1年と、刑罰・実習認定の取消し・出入国と労働関係法令の不正行為・暴力団関係・支援を怠ったことの5年です。
待つグループは、起算点に注意してください。非自発的離職者・行方不明者の1年と、不正行為・支援を怠ったことの5年は特定技能雇用契約の締結の日を基準に遡って見るため、該当する事由から期間が経過した後に雇用契約を締結すれば、その時点では基準を満たし得ます(ただし締結日以後も発生させないことが引き続き求められます)。刑罰・実習認定の取消し・暴力団関係の5年は、刑の執行を終わった日等・取消しの日・暴力団員でなくなった日というそれぞれの起算日から数えます。
つまずきやすいのは「見落としていた未納」
要件そのものを知らなかったというより、自社では把握していなかった不適合でつまずきやすい——運用要領がわざわざ注意書きを置いている記載ぶりから、編集部はそう読んでいます。代表的なものは次の2つです。
- 回復の経路がない2つの未納 — 特別徴収した個人住民税の未納入は、給与計算を外部に任せている場合ほど企業側が気づきにくい類型です。グループ通算制度の場合は、自社の納付が完全でも他の通算法人の未納で止まります。
- 別会社での受け直し — 上の「行方不明者」で触れたとおり、別会社を作っても実質的に同一の機関と判断されることがあります。
2回目以降は書類の提出を省略できる
初回はここまで見てきた確認書類を一式そろえる必要がありますが、一定の条件を満たすと、在留諸申請の際にこれらの「適格性書類」の提出を省略できます(省略した分は、年1回の定期届出の添付書類として提出します。ただし定期届出の側でも、下記2つ目のルートの基準〔①〜③〕を満たす機関は、適格性書類に代えて一定の事業規模及び基準適合性に関する誓約書〔参考様式第5-16号〕・書類省略に当たっての誓約書〔参考様式第1-29号〕等の提出で済む取り扱いです)。
省略できるのは、次のいずれかに当たる場合です。
- 同一年度内にすでに特定技能外国人を受け入れていること、または
- ①過去3年間に指導勧告書の交付・改善命令処分を受けておらず ②在留諸申請をオンライン申請、各種届出を電子届出で行い ③一定の実績があり適正な受入れを行うことが見込まれる機関であること
③の「一定の実績」には、次の6つのいずれかが挙げられています。中小企業に現実的なのは⑤と⑥です。
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- イノベーション創出企業(運用要領は、高度専門職省令第1条第1項各号の表の「特別加算」の項の中欄イ・ロの対象企業と定義しています=該当するかは同省令の当該欄で確認します)
- 一定の条件を満たす企業等
- 前年分の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
- 申請時点で特定技能所属機関として3年間の継続した受入れ実績があり、過去3年間に債務超過となっていない法人
オンライン申請・電子届出には事前の利用者登録が必要で、登録の完了までに一定期間かかります(2026年8月20日改正の運用要領は、利用者登録が完了していないと②の基準を満たせず省略が認められない場合があるとして、オンライン申請・電子届出の提出期限の3か月前には利用者登録の申請を行うよう求めています)。継続的に受け入れる予定があるなら、1回目の時点で登録を進めておくと2回目以降の負担が下がります。
⚠️ 2つ目のルート(①〜③)には落とし穴があります。 このルートの条件には「在留諸申請をオンライン申請、各種届出を電子届出で行うこと」(②)が含まれるため、各種届出を地方出入国在留管理局へ持参・郵送で出すと、このルートでの「提出書類の省略を認める機関」には当たらなくなります。
紙の届出は、1つ目のルートを使う場合も避けるのが安全です。 同一年度内にすでに受け入れているという1つ目のルートの基準そのものには、電子届出の条件は書かれていません。ただし運用要領第7章は、届出を持参・郵送で提出した場合に「在留諸申請及び届出における提出書類の省略を認める機関ではなくなる」とルートを限定せずに注記しています。どちらのルートで省略を受けるつもりでも、届出は電子届出に統一しておく——これが条文と注記の両方に矛盾しない運用です。
省略できる書類の範囲と、省略が認められない場合も確認しておいてください。適格性書類のほか、特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)・雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)も省略の対象です。一方で、省略した場合でも地方出入国在留管理局から求められたときは提出が必要で、派遣雇用で、派遣認定期間の満了日が在留期間の満了日(認定証明書交付申請では申請日時点)から7か月以内の場合は省略が認められません。
採用全体の進め方は特定技能の採用の流れ、申請で用意する書類の全体像は特定技能の申請に必要な書類一覧をご覧ください。
この要件は、受け入れのどの段階で審査されるか
本記事で見てきた要件が実際に効くのは、主に雇用契約の締結時(遡及期間の起算点)と在留資格の申請時(提出書類による立証)の2つの場面で、最初の自社確認と支援体制づくりがその準備になります。受け入れ開始までの進め方そのものは特定技能の採用の流れが6つのステップ(①分野・受け入れ要件の確認 → ②人材の確保 → ③雇用契約の締結 → ④支援計画の策定 → ⑤在留資格の申請 → ⑥入国・就労開始)で解説しています。本記事の内容がそのどこで効くかを対応づけると、次のとおりです(⑦は6ステップの外=受け入れが続くかぎり毎年戻ってくる場面として本記事が足しています)。
| 採用の進行上の段階 | 本記事の要件が効く場面 |
|---|---|
| ① 分野・受け入れ要件の確認 | 「自社で満たせるかを確認する」節のチェックがこの段階。「1年」「5年」を待つしかない項目に「いいえ」がつくなら、採用計画の時期から見直します |
| ② 人材の確保 | 人材紹介会社を使うなら、その事業者の職業安定法上の許可・届出も自社側の要件(17項目の1番)に含まれます |
| ③ 雇用契約の締結 | 基準1(省令第1条)を満たす内容で契約を作ります。非自発的離職者・行方不明者・不正行為の遡及判定は契約締結日が基準になります |
| ④ 支援計画の策定 | 基準3(7項目)の支援体制をここで確定します(全部委託を選ぶなら、みなしの範囲は「全部委託で『みなされる』のはこの7項目だけ」の節のとおりです) |
| ⑤ 在留資格の申請 | 17+7項目の適合がここで審査されます(多くの項目は提出書類で立証=「証明に使う主な書類」の節)。建設を除く16分野の協議会加入と、協力確認書の提出は、この申請より前に終えておきます(建設分野の建て付けの違いは「分野ごとの上乗せ要件」の節) |
| ⑥ 入国・就労開始のあと | 受け入れ後の3つの義務と、基準不適合の届出(適合しないと知った日から14日以内)が続きます。非自発的離職者・行方不明者を出したときは受入れ困難の届出(事由が生じた日から14日以内)も要ります=起算日が違います |
| ⑦ 在留期間の更新(1年ごと等) | 更新も「在留諸申請」です=17+7項目の適合はそのつど審査され、協力確認書(記載事項に変更がなければ再提出不要)を除いて確認書類も改めて提出します。ただし2回目以降は適格性書類の提出を省略できる取扱いがあります(「2回目以降は書類の提出を省略できる」の節) |
各ステップの中身・期間の目安・入社してほしい月からの逆算カレンダーは特定技能の採用の流れで解説しています(本記事が扱うのは「自社が満たせるか」の判定までです)。
国内にいる人を採る場合(転職・留学生や技能実習生からの切替え)に変わるところ
海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書の交付申請、国内にいる人を採る場合は在留資格変更許可申請になります。企業側の17+7項目そのものは、どちらでも変わりません。 変わるのは締切と手続きの向きです。
| 項目 | 海外から呼び寄せる(認定証明書) | 国内にいる人を採る(変更許可) |
|---|---|---|
| 健康診断の有効期間 | 申請日から遡って3か月以内 | 1年以内 |
| 協力確認書の提出時期 | 雇用契約の締結後・交付申請の前 | 変更許可申請の前(既に受け入れている企業なら更新許可申請の前) |
| 事前ガイダンス(1号のみ) | 交付申請の前 | 変更申請の前 |
| 協議会への加入 | 「当該外国人に係る在留諸申請の前」(建設を除く16分野) | 「在留諸申請の前」は同じ=変更許可申請も在留諸申請に含まれます |
| 申請手数料 | 無料 | オンライン5,500円・窓口6,000円(許可されるときに納付・2026年9月30日までに行った申請分=上の「分野ごとの上乗せ要件」の節のNoteのとおり。10月1日以降の申請分は在留期間の長さに応じた額) |
| 誰が申請書類を出せるか | 企業の職員が代理人として出せます | 企業の職員は申請等取次者(依頼要件あり)として出せます。担い手ごとの可否・署名の可否・取次者の承認と有効期間は申請に必要な書類一覧が詳しい |
⚠️ 他社から転職で受け入れる場合は、本人側の確認が1つ増えます。 1号の在留は通算5年が上限(特定技能2号評価試験等に不合格となった人について、相当の理由があると認められる場合に限り最長1年延長=通算6年)なので、前職での在留期間を差し引いた残りが何年あるかで採用計画が変わります(数え方・延長と除外は在留期間)。また、従事させる業務区分が本人の合格した試験・前職の区分と対応しているかも確認が要ります(区分の対応は分野一覧から各分野の記事へ)。
⚠️ 遡及判定の起算点(非自発的離職者・行方不明者の1年、不正行為の5年)は、どちらの場合も特定技能雇用契約の締結日です。すでに自社で雇っている留学生・技能実習生を特定技能へ切り替えるときも、基準として見るのは特定技能雇用契約を結ぶ日であって、その人の入社日ではありません。⚠️ 切替えの個別ケース(在籍中の身分から特定技能へ移る際の契約日の置き方)は一次に明文がないため、迷う場合は地方出入国在留管理局に確認してください。
まとめ
特定技能で外国人を受け入れる企業の要件は、案内資料の「4基準+3義務」の下に省令の各条という実体があり、企業そのものについて審査されるのは省令第2条の24項目です(1号の場合。2号のみなら16項目)。入口で止まるのは「1年」「5年」の時間の経過を待つしかない項目で、残りの多くは手続きと書類で動かせます。⚠️ 助言・指導による回復の経路がない2つの未納(特別徴収した個人住民税の未納入と、グループ通算制度で他の通算法人に未納があり納税証明書〔その3〕を出せない場合)は、待つ項目ではなく申請の前に納入を済ませておく項目です(いずれも提出書面をもとに総合的に判断されるもので、結果を保証するものではありません)。
受け入れ後に向けては、委託しても企業に残る義務、申請の前に終わらせる手続き(協議会加入〔建設を除く16分野〕・協力確認書・事前ガイダンス〔1号のみ〕)、満たせなくなったことを知った日から14日以内の届出——この3つが、体制とスケジュールの締めどころになります。
制度の全体像は特定技能とは?、自社支援か委託かの判断は自社支援か委託か、費用の目安は特定技能の採用費用・相場をご覧ください。
要件に該当するかどうかの法令上の判断は、地方出入国在留管理局または行政書士などの専門家にご確認ください。
よくあるご質問
- 特定技能で外国人を受け入れる企業に求められる要件は何ですか?
- 案内資料では「①雇用契約が適切 ②機関自体が適切 ③支援体制がある ④支援計画が適切」の4基準にまとめられますが、実際に審査されるのは省令の各条です。①=特定技能基準省令第1条、②=同省令第2条第1項(運用要領は17の項目に展開)、③=同条第2項(7項目)、④=同省令第3条・第4条です。このほか、受け入れ後の3つの義務(雇用契約の履行・支援の実施・各種届出)と、協議会への加入など分野ごとの上乗せ要件があります。
- 社会保険料や税金の未納があると特定技能は受け入れられませんか?
- 未納があること自体は基準に適合しない状態ですが、運用要領は、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づいて納付した場合には労働関係法令・社会保険関係法令・租税関係法令を遵守しているものと評価される、としています(換価の猶予・納付の猶予などを受けている場合は、猶予期間内であることが分かる通知書の写しで確認されます)。ただし例外が2つあり、①特定技能外国人から特別徴収した個人住民税を企業が納入していないことに起因する未納と、②グループ通算制度に加入していて、他の通算法人に未納があることで納税証明書(その3)を提出できない場合は、租税関係法令を遵守しているものとは評価されません。⚠️「未納」と「未加入」は別の話で、運用要領は遵守の内容に保険の適用手続・加入手続・被保険者資格取得手続も含めており、助言・指導による回復は「未納があった場合」について書かれています。個別の可否は地方出入国在留管理局にご確認ください。
- 赤字や債務超過の会社でも特定技能を受け入れられますか?
- 基準に「黒字であること」「一定の資本金があること」といった条項はありません。求められるのは特定技能雇用契約を継続して履行する体制(財政的基盤)で、直近期末に債務超過がある場合は、中小企業診断士・公認会計士など企業評価を行う能力があると認められる公的資格を持つ第三者が改善の見通しを評価した書面を提出することとされています。直近2期末とも債務超過の場合は、これに加えて労働保険料・社会保険料・租税の納付に関する資料の提出が求められます。
- 支援体制がない企業でも特定技能で採用できますか?
- 1号特定技能外国人には生活・就労の支援が義務づけられますが、支援計画の全部を登録支援機関に委託した場合、入管法第2条の5第5項により、支援計画の適正な実施に関する基準(省令第2条第2項の7項目)に適合するものとみなされます。ただし、みなしが及ぶのはこの7項目だけで、雇用契約の適正な履行に関する17項目(同条第1項)は委託しても企業に残ります。支援計画を作成すること自体も企業の義務として残り、日本語と本人が十分に理解できる言語の両方で作成して写しを本人に交付する必要があります(省令第3条第2項)。
- 受け入れ要件を満たさなくなったときはどうすればよいですか?
- 特定技能基準省令第2条第1項各号・第2項各号のいずれかに適合しないこととなる事由が生じたことを知った場合、受け入れ企業はその認知の日から14日以内に、出入国在留管理庁へ届け出る必要があります(基準不適合に係る届出)。届出には、事由とその発生時期・原因、特定技能外国人の現状、その事由を解消するための措置を記載します。非自発的離職者・行方不明者を発生させた場合は、これに加えて受入れ困難に係る届出(事由が生じた日から14日以内)も必要です。
- 要件を満たさないまま受け入れを続けるとどうなりますか?
- 出入国在留管理庁長官による指導・助言から始まり、報告徴収(拒否や虚偽の回答は30万円以下の罰金)、改善命令へと進みます。改善命令が出されると、その旨が公示されます。命令に従わない場合・違反した場合は6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。運用要領は公示について「不適正な受入れを行っていたことが周知の事実となります」と説明しています。
出典・参考(一次情報)
- 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号・e-Gov法令検索)=本記事の17項目は第2条第1項、7項目は同条第2項/運用要領の引用「特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号。…「特定技能基準省令」という。)」/確認日2026年8月22日(e-Gov法令検索(デジタル庁))
- 特定技能外国人の受入れに関する運用要領(令和8年8月20日一部改正版・確認日2026年8月20日)(出入国在留管理庁)
- 外国人労働者に関する制度概要(出入国在留管理庁)=「1 受入れ機関が外国人を受け入れるための基準」①外国人と結ぶ雇用契約が適切 ②機関自体が適切 ③外国人を支援する体制あり ④外国人を支援する計画が適切/「2 受入れ機関の義務」①外国人と結んだ雇用契約を確実に履行 ②外国人への支援を適切に実施(支援については登録支援機関に委託も可。全部委託すれば1③も満たす) ③出入国在留管理庁への各種届出/確認日2026年8月22日(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度に関するQ&A(出入国在留管理庁・2026年8月11日時点の掲載版)=Q30「会社に同じ業務に従事する日本人がいないのですが、同等報酬要件はどのようにして証明すればいいですか。」【A】「受入れ機関に賃金規定がある場合には、賃金規定に基づいて判断することになります。賃金規定がない場合であって、特定技能外国人と同等の業務に従事する日本人労働者がいるときは、当該日本人労働者と比較して報酬の同等性を判断することになります。賃金規定がない場合であって、同等の業務に従事する日本人労働者はいないものの、特定技能外国人が従事する業務と近い業務等を担う業務に従事する日本人労働者がいるときは、当該日本人労働者の役職や責任の程度を踏まえた上で特定技能外国人との報酬差が合理的に説明されているか、年齢及び経験年数を比較しても報酬額が妥当かなどを検討して判断することとなります。賃金規定がなく、比較対象の日本人もいない場合には、雇用契約書記載の報酬額と、当局が保有する近隣同業他社における同等業務に従事する同等程度の経験を有する特定技能外国人の報酬額を比較することとしています。」/確認日2026年8月11日(出入国在留管理庁)
- 特定技能運用要領・分野別の要領別冊(全17分野を確認。協議会加入の時期・証明書の要否・令和6年6月15日の取扱い変更/確認日2026年7月28日)(出入国在留管理庁)
- 特定技能運用要領・建設分野(受入計画の認定・登録法人・確認日2026年7月28日)(出入国在留管理庁)
- 官報 令和8年8月28日付 号外第192号 4頁=令和8年政令第268号「出入国管理及び難民認定法施行令及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法施行令の一部を改正する政令」(2026年8月28日公布・改正後の施行令第25条第1項第1号イ〜ト=在留資格変更・在留期間更新の許可の手数料を在留期間の区分別に窓口10,000円〜75,000円/電子申請10,000円〜65,000円/附則第1条=施行日 令和8年10月1日〔5頁〕/確認日2026年9月5日)(国立印刷局(官報))
- 令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について(施行日=令和8年10月1日・経過措置=令和8年9月30日までに行われた申請は改定前の額/確認日2026年9月4日)(出入国在留管理庁)
- 令和8年8月25日 定例閣議案件(「出入国管理及び難民認定法施行令及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法施行令の一部を改正する政令」および「出入国管理及び難民認定法及び…の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」)(首相官邸)
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索・第71条の4=19条の18第1項第1号/第2項第1号の届出義務違反は30万円以下の罰金・第77条の2=それ以外の届出義務違反は10万円以下の過料/確認日2026年8月20日)(e-Gov法令検索(デジタル庁))
- 受入れ機関の方(出入国在留管理庁)=「雇用までの流れ」Step 6・Step 9 に「受入れ後、所属機関や登録支援機関は四半期に一度入管に対し受入状況や支援実施状況の届出を行っていただく必要があるほか」の記載が2026年8月22日時点で残る(届出の期限を定めるのは入管法施行規則第19条の18第3項=年1回・毎年5月31日まで)/確認日2026年8月22日(出入国在留管理庁)