特定技能で企業に求められる受け入れ要件・条件|自社で満たせるか
目次
特定技能で外国人を採用するとき、最初の関門になるのが「自社が受け入れ機関の要件を満たせるか」です。特定技能では、外国人本人の要件(技能・日本語)だけでなく、受け入れる企業(受入れ機関)側にも基準と義務が課されます。このページでは、企業に求められる要件を「4つの基準」と「3つの義務」に整理し、自社で満たせるかの確認方法までを解説します。
本記事は一般的な情報提供です。受け入れ要件の詳細や最新の基準は、出入国在留管理庁の「特定技能運用要領」や分野別の運用方針で必ず確認してください。制度は改正されることがあります。
受け入れ要件は「4つの基準」と「3つの義務」で整理できる
出入国在留管理庁は、受入れ機関(特定技能で外国人を雇う企業)について、外国人を受け入れるための4つの基準と、受け入れた後に果たすべき3つの義務を示しています。
- 受け入れの4基準:①雇用契約が適切 ②機関自体が適切 ③支援体制がある ④支援計画が適切
- 受け入れ後の3義務:①雇用契約の履行 ②支援の実施(委託可) ③各種届出
まずは4つの基準を1つずつ見ていきます。
基準1:雇用契約が適切であること
外国人と結ぶ特定技能雇用契約が、次のような条件を満たしている必要があります。
- 報酬が日本人と同等以上 — 同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬額であること。外国人であることを理由に低く設定することはできません(技能・経験に応じた合理的な差は可)。
- 所定労働時間がフルタイム — 原則としてフルタイムの直接雇用であること。
- 一時帰国の配慮 — 本人が一時帰国を希望した場合に休暇を取得させること。
- 差別的取り扱いの禁止 — 国籍を理由とした不当な待遇差を設けないこと。
報酬の「同等以上」は、賃金規程や同職種の日本人社員の賃金との比較で説明できる状態にしておくと、申請もスムーズです。費用全体の目安は特定技能の採用費用・相場で解説しています。
基準2:受け入れ機関(企業)自体が適切であること
企業そのものが、欠格事由に該当しないことが求められます。代表的なものは次のとおりです。
- 関係法令(出入国・労働・社会保険・租税など)を遵守していること。
- 過去5年以内に、出入国または労働に関する法令違反がないこと。
- 過去5年以内に、特定技能や技能実習で受け入れた外国人の行方不明者を発生させていないこと。
- 非自発的な離職者(自社都合での解雇など)を一定期間内に発生させていないこと。
- 社会保険・労働保険・税を適正に納付していること。
欠格事由は範囲が広く、過去の労務トラブルや保険の未加入が支障になることがあります。自社が該当しないか不安な場合は、登録支援機関や専門家に事前相談しておくと安全です(在留資格の申請手続き自体は行政書士などの専門家の領域です)。
基準3:外国人を支援する体制があること
1号特定技能外国人には、生活・就労の支援が義務づけられます。そのため、受け入れ機関には支援を実施できる体制が求められます。
- 外国人が十分に理解できる言語で支援できること(社内に体制がなければ登録支援機関へ委託)。
- 支援責任者・支援担当者を選任できること。
- 中立的な立場で相談に対応できること。
自社に体制がない場合は、登録支援機関へ全部委託することでこの基準を満たせます。登録支援機関の役割は登録支援機関とは?役割・委託でできること・費用で詳しく解説しています。
基準4:支援計画が適切であること
受け入れにあたっては、1号特定技能外国人支援計画を作成し、在留資格の申請時に提出します。支援計画には、次の10項目の義務的支援が含まれている必要があります。
| 義務的支援(10項目) | 内容の例 |
|---|---|
| 事前ガイダンス | 労働条件・活動内容・入国手続などの説明 |
| 出入国の送迎 | 空港と事業所・住居間の送迎 |
| 住居確保・生活契約支援 | 住居の確保、銀行口座・携帯電話の契約補助 |
| 生活オリエンテーション | 生活ルール・公共機関の利用方法などの説明 |
| 公的手続への同行 | 住民登録・社会保険などの手続き補助 |
| 日本語学習の機会提供 | 日本語教室の情報提供など |
| 相談・苦情対応 | 母国語での相談対応 |
| 交流の促進 | 地域行事への参加支援など |
| 転職支援 | 受け入れ側都合で雇用契約を解除する場合の支援 |
| 定期的な面談・行政通報 | 3か月に1回以上の面談など |
これらの支援は、全部または一部を登録支援機関に委託できます。
受け入れ後に企業が負う「3つの義務」
要件を満たして受け入れた後も、企業は次の義務を継続して負います。
雇用契約の確実な履行
報酬の支払い、労働条件の遵守など、結んだ雇用契約を確実に履行します。支援の適切な実施
支援計画に沿って義務的支援を実施します。登録支援機関に委託している場合も、受け入れ企業として実施状況に責任を持ちます。出入国在留管理庁への各種届出
雇用契約や支援内容の変更、特定技能外国人の受け入れ状況などを、定期・随時に届け出ます。
分野ごとの「上乗せ要件」に注意
上記の共通要件に加えて、分野ごとの上乗せ要件がある場合があります。代表的なのが、分野別の協議会への加入です(受け入れ後の一定期間内に加入が必要な分野があります)。分野によっては、雇用形態(直接雇用に限るか派遣も可か)や、追加の負担金が定められていることもあります。
自社の分野でどんな要件が加わるかは、特定技能で受け入れできる16分野一覧で各分野の概要を確認し、最新の分野別運用方針もあわせてチェックしてください。
自社で満たせるか確認するには
要件の多くは、支援を自社で担うか、登録支援機関へ委託するかで満たし方が変わります。
- 支援体制が社内にない/外国人対応の経験がない → 登録支援機関へ全部委託するのが現実的です。選び方は登録支援機関の選び方、契約前の確認は登録支援機関との契約前チェックリストを参考にしてください。
- 報酬・欠格事由に不安がある → 賃金規程や過去の労務状況を整理し、事前に確認しておきます。
まとめ
特定技能で外国人を受け入れる企業には、①雇用契約が適切 ②機関自体が適切 ③支援体制がある ④支援計画が適切という4つの基準と、受け入れ後の**3つの義務(契約履行・支援実施・届出)**が課されます。支援体制は登録支援機関への委託で満たせるため、多くの企業にとっての実務上の関門は「報酬の同等以上」「欠格事由に該当しないか」「どこまで委託するか」の整理です。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、採用の進め方は特定技能の採用の流れをご覧ください。
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