特定技能1号・2号の違い|比較表と2号でできること
目次
特定技能で外国人材を採用するとき、まず受け入れるのは「1号」です。では2号は何が違い、自社にとってどんな意味があるのか——ここが分かりにくいところです。結論を先に言うと、1号と2号の最大の違いは「在留できる期間」です。1号は通算で最長5年までですが、2号は要件を満たす限り更新に上限がなく、家族の帯同もできます。このページで、両者の違いを比較表で整理します。
この記事の要点
- 最大の違いは在留期間 — 1号は通算で最長5年まで。2号は更新に上限がなく、長期就労が可能です。
- 2号は家族帯同が可能・支援義務なし — 1号は家族の帯同が原則できず支援義務がありますが、2号は配偶者・子を帯同でき、企業の支援義務もありません。
- 2号の対象は11分野(制度上19分野のうち・2026年6月時点)— 介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は対象外です。
- 採用の入り口は1号 — まず1号で受け入れ、2号評価試験+実務経験の要件を満たして2号へ移行するのが基本の流れです。
特定技能2号の対象分野や要件は拡大・変動が続いています。本記事は概要です。2号の対象分野・移行要件・最新の運用は、必ず出入国在留管理庁の公式情報で確認してください。
採用手続き全体の流れ(6ステップ・期間の目安)は特定技能の採用の流れで時系列に解説しています。
1号・2号の違い早見表
特定技能1号と2号は、在留期間・家族帯同・支援義務など、企業にとって重要な点が大きく異なります。まず全体像を比較表で押さえます。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算で最長5年(原則) | 更新の上限なし(要件を満たす限り更新可) |
| 更新の単位 | 3年を超えない範囲で個別に指定される期間ごと | 3年・2年・1年・6月のいずれかごと(回数の上限なし) |
| 家族の帯同 | 原則できない | 可能(配偶者・子) |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 試験 | 技能試験+日本語試験(参照枠A2.2相当以上・技能実習2号の良好修了で免除あり) | 2号評価試験+実務経験(日本語は運用方針上B1相当以上。試験での確認は現状 漁業・外食業のみ=N3相当、他分野は2027年4月1日施行予定の省令から) |
| 受け入れ企業の支援義務 | あり(生活支援が必要) | なし |
| 永住申請への道 | (直接の道筋ではない) | 要件を満たせばつながる道がある |
| 対象分野 | 採用の入り口(受入れ可能な全分野が対象) | 11分野(制度上19分野のうち・2026年6月時点、介護など5分野は対象外) |
更新の単位は2025年9月30日の運用要領改正で見直されており(1号の個別指定期間の上限が3年に緩和・2号に「2年」が追加)、古い解説では「1号は1年ごと」のままのものがあります。最新の対象分野・運用は出入国在留管理庁の公式情報、または特定技能の対象分野一覧で確認してください。
特定技能1号とは
1号は、相当程度の知識・経験を持つ外国人材を対象とする区分で、採用の入り口になります。
- 在留期間は通算で最長5年です。
- 家族の帯同は原則できません(例外的な取扱いや2号での帯同は特定技能で家族の帯同はできる?で解説)。
- 受け入れ企業には生活支援の義務があり、登録支援機関に委託できます(義務的支援10項目)。
1号で受け入れる際の企業側の要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で解説しています。通算5年の数え方(技能実習の期間は含まれない等)や更新手続きは特定技能の在留期間と更新|何年働ける?で詳しく整理しています。
特定技能2号とは
2号は、熟練した技能を持つ外国人材を対象とする上位区分です。
- 在留期間は更新の上限がなく、要件を満たす限り更新して就労を続けられます。
- 家族(配偶者・子)の帯同が可能です。
- 受け入れ企業の支援義務はありません。
- 要件を満たせば、永住許可の申請につながる道もあります。
2号の対象は、2026年6月時点で制度上19分野のうち11分野です。介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の5分野は対象外で、このうち介護は在留資格「介護」が別にあるため(後述)、自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は2024年に追加された新しい分野で現状1号のみです。
2号の対象分野は2023年の閣議決定で2分野から11分野へ一気に拡大した経緯があり、今後も変動しえます。「自社の分野に2号があるか」「移行に必要な試験・実務要件は何か」は、出入国在留管理庁の分野別の最新情報で必ず確認してください。
2号でできること
2号になると、長期就労と生活の安定の面で選択肢が広がります。
- 長期就労 — 在留期間の更新に上限がないため、腰を据えて働いてもらえます。
- 家族の帯同 — 配偶者・子を呼び寄せられ、生活の安定につながります。
- 永住への道 — 要件を満たせば、永住許可の申請につながる道もあります。
企業にとっては、熟練人材に長く活躍してもらえる点と、支援義務がなくなる点がメリットです。
なお、2号への移行にあたっての在留資格変更などの申請書類の作成や申請取次は、行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。
企業から見た実務上の違い(支援義務)
1号と2号では、採用後に企業が担う実務の負担が大きく変わります。
- 1号は支援計画の作成・実施が義務 — 特定技能1号の外国人材を受け入れる企業には、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、計画に沿って支援を実施する法令上の義務があります。自社で対応する体制が無ければ、登録支援機関に支援計画の全部を委託することもでき、全部委託すれば支援体制の基準を満たすものとみなされます。支援内容の詳細は特定技能の義務的支援10項目で解説しています。
- 2号は支援計画の対象外 — 特定技能2号の外国人材については、1号のような支援計画の作成・実施は義務とされていません。企業にとっては、熟練人材が2号へ移行することで、相談対応や定期面談などの支援体制にかかる実務負担が軽くなる点が実務上の大きな違いです。
支援計画を登録支援機関に委託している場合、この違いはコスト面にも表れます。出入国在留管理庁の集計(令和4年9月末時点・暫定値)では、特定技能外国人1人あたりの支援委託料(月額)は平均28,386円で、全体の約9割が月30,000円以下でした。年換算では平均で約34万円です。2号では支援計画の作成・実施義務自体がなくなるため、委託している企業にとってはこの費用が構造的に不要になります(金額は分野・委託範囲で変動する市場水準の集計であり、削減額を保証するものではありません)。委託費の相場の詳細は登録支援機関への委託費用の相場で解説しています。
自社で支援体制を整えるか登録支援機関に委託するかの判断は特定技能は自社支援?登録支援機関に委託?で整理しています。
介護に2号がない理由
介護分野には特定技能2号がありません。これは、専門的・技術的分野の在留資格「介護」が別に用意されているためです。介護で長期就労を目指す場合は、介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ移行する道があります。詳しくは介護で特定技能を採用するにはをご覧ください。
このように、分野によって2号の有無や長期就労の道筋が異なります。自社の分野については、最新の運用を出入国在留管理庁で確認するのが確実です。
1号と2号の試験の違い
試験の面でも、1号と2号は求められるものが異なります。
- 1号 — 分野ごとの技能試験(技能測定試験)+日本語試験(「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上をJFT-Basic または日本語能力試験〔JLPT〕で確認)に合格していることが基本。技能実習2号を良好に修了した人は免除されます。
- 2号 — より高い水準を確認する2号評価試験に加え、分野ごとに定められた実務経験が要件になります。日本語については、現行の分野別運用方針が水準を「日本語教育の参照枠」のB1相当以上と定めています。
ただしこの水準を試験で確認する扱いに係る省令の施行は2027年4月1日の予定です。現時点で2号の日本語試験の確認が求められるのは漁業・外食業のみ(B1相当以上=日本語能力試験N3)で、それ以外の分野は試験での確認がありません。移行時期の要件は最新の公表で確認してください。
試験の種類・分野別の試験名・免除ルートの詳細は特定技能の試験で解説しています。
2号評価試験の合格率(分野別)
2号評価試験の合格率は、出入国在留管理庁の運用状況(令和7年12月末までの累計・速報値)によると全体で43.7%(受験者53,099人・合格者23,205人)です。同じ資料での1号の試験の累計合格率70.9%と比べると、水準は低めです。
分野別に見ると、合格率には大きな開きがあります。
| 分野 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 造船・舶用工業 | 1,142人 | 970人 | 84.9% |
| 飲食料品製造業 | 10,324人 | 5,610人 | 54.3% |
| 外食業 | 4,176人 | 2,252人 | 53.9% |
| 工業製品製造業 | 6,689人 | 3,341人 | 49.9% |
| 農業 | 8,548人 | 3,463人 | 40.5% |
| 自動車整備 | 2,518人 | 889人 | 35.3% |
| 建設 | 18,767人 | 6,494人 | 34.6% |
| 宿泊 | 192人 | 62人 | 32.3% |
| 漁業 | 362人 | 86人 | 23.8% |
| ビルクリーニング | 270人 | 29人 | 10.7% |
| 航空 | 111人 | 9人 | 8.1% |
| 2号合計 | 53,099人 | 23,205人 | 43.7% |
介護は2号自体の対象外、自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は2号評価試験の実施実績がなく(現状は1号中心)、上記11分野には含まれていません。
- 数値は2号評価試験が始まって以来の累計で、単年度の合格率ではありません(延べ人数か実人数かは公表されていません)。
- 速報値のため、今後の公表で数値が変わる可能性があります。
- 合格率は分野によって大きく異なります。自社が検討する分野の最新の試験実施状況・受験要件は、出入国在留管理庁の公式情報で確認してください。
2号の在留者数は7,955人(令和7年12月末速報)で、半年前(令和7年6月末・3,073人)から約2.6倍に増えています(最新の在留者数の統計は特定技能の統計データ)。1号からの移行を見据える場合は、2号評価試験の要件(試験+実務経験)を早めに確認しておくと判断がスムーズです。
1号から2号への移行
2号は、1号からの移行が基本的な流れです。2号評価試験の合格+分野ごとの実務経験の要件を満たすことで移行できます。実務経験は「現場をまとめる立場の経験」が求められるのが典型で、たとえば建設分野では、複数の建設技能者を指導しながら工程を管理する班長としての実務経験が要件と定められています(建設の2号要件の詳細は建設で特定技能の外国人を採用するには)。
なお、1号を経ずにいきなり2号を取得することも制度上は可能です(出入国在留管理庁のQ&Aでも、高い技能が試験等により確認されれば1号を経なくても2号を取得できるとされています)。ただし実務経験要件を満たして証明する必要があるため、実際にはまず1号で受け入れて経験を積み、2号へ移行するのが基本の流れです。1号を経れば自動的に2号になれるわけではない点にも注意してください。
移行の実績データも公表されています。出入国在留管理庁の調査(2026年1月23日現在)によると、制度初期の2019年に1号の許可を受けた人のうち2号へ移行していたのは11.4%、2020年許可の人では14.3%。最も多いのはいずれも出国等(72.4%・64.9%)でした。2号への移行は現時点では少数派であり、「1号の5年の先は2号」を前提にするなら、試験合格と実務経験の要件充足を早くから計画的に支援する必要がある、というのがこのデータの示すところです。
分野別に見ると、2号への移行は特に飲食料品製造業(2,251人・2号全体の28.3%)と建設(1,799人・22.6%)で先行しており、この2分野で2号在留者の半数を占めます(2025年12月末時点・速報値)。次いで農業(1,282人・16.1%)、外食業(1,056人・13.3%)、工業製品製造業(840人・10.6%)と続き、移行の進み方には分野差があります。自社の分野の詳しい内訳は特定技能の統計データで確認できます。
技能実習との違いから整理したい場合は特定技能と技能実習の違いもあわせてご覧ください。
1号・2号で変わらないこと
違いばかりが注目されますが、企業の実務では共通点も押さえておくと判断を誤りません。
- 報酬は日本人と同等以上 — 1号・2号とも、同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬が求められます。
- フルタイムの直接雇用が原則 — 派遣形態が認められるのは農業・漁業の2分野のみです(2025年12月時点)。報酬や労働時間など雇用契約の基準は特定技能の雇用契約・雇用条件書で解説しています。
- 転職は可能 — 同一の業務区分内、または技能水準の共通性が確認されている業務区分間であれば、1号・2号とも受け入れ企業の変更(転職)ができます。「5年間ずっと自社にいてくれる」前提ではない点は、定着の設計(待遇・キャリアパス)に関わります。
まとめ
特定技能1号と2号は、在留期間(最長5年/上限なし)・家族帯同(不可/可)・支援義務(あり/なし)・試験(技能試験+日本語試験/2号評価試験+実務経験)が主な違いです。採用の入り口は1号で、2号評価試験と実務経験の要件を満たせば2号へ移行し、長期就労や家族帯同が可能になります。2号の対象は制度上19分野のうち11分野(2026年6月時点)=自社の分野に2号があるかは出入国在留管理庁の最新情報で確認してください。介護は2号がなく、在留資格「介護」への移行が長期就労の基本の道筋です。報酬同等以上・直接雇用原則・転職可能という共通点は、1号・2号を通じた定着設計の前提になります。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、対象分野は特定技能の対象分野一覧をご覧ください。
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よくあるご質問
- 特定技能2号の対象分野は今後拡大しますか?
- 2号の対象分野は、2023年の閣議決定で2分野(工業製品製造業・造船舶用工業)から11分野へと大きく拡大した経緯があります。分野別運用方針は今後も制度改正で見直される可能性があり、対象分野が変わることはあり得ますが、次にどの分野が追加されるかは未定です。自社の分野に2号があるかは、出入国在留管理庁の最新の分野別運用方針で確認してください。
- 特定技能1号と2号の主な違いは何ですか?
- 1号は在留期間が通算で最長5年、家族の帯同は原則できず、受け入れ企業(または登録支援機関)による生活支援が必要です。2号は在留期間の更新に上限がなく、家族の帯同が可能で、支援の義務はありません。技能水準も、1号は相当程度、2号は熟練した技能が求められます。
- 特定技能2号になると何ができますか?
- 在留期間を更新の上限なく延長でき(要件を満たす限り)、配偶者と子の家族帯同が可能になります。要件を満たせば永住許可の申請につながる道もあります。受け入れ企業側の支援義務もなくなります。対象となる分野や要件は変動するため、最新の運用は出入国在留管理庁で確認してください。
- なぜ介護分野には特定技能2号がないのですか?
- 介護分野には、専門的・技術的分野の在留資格『介護』が別に用意されているためです。介護で長期就労を目指す場合は、介護福祉士の資格を取得して在留資格『介護』へ移行する道があります。
- 1号を経ずに、いきなり特定技能2号を取得できますか?
- 制度上は可能です。出入国在留管理庁のQ&Aでも、高い技能が試験等により確認されれば1号を経なくても2号を取得できるとされています。ただし2号には分野ごとの実務経験要件があるため、実際にはまず1号で受け入れて経験を積み、2号へ移行する流れが基本になります。
- 特定技能2号の対象分野はいくつありますか?
- 2026年6月時点で、制度上19分野のうち11分野が2号の対象です。介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の5分野は対象外です(介護は在留資格『介護』が別にあるため)。対象分野は制度改正で拡大してきた経緯があるため、最新は出入国在留管理庁の運用方針で確認してください。
- 特定技能2号評価試験の合格率はどのくらいですか?
- 出入国在留管理庁の運用状況(令和7年12月末までの累計・速報値)によると、2号評価試験全体の合格率は43.7%です(受験者53,099人・合格者23,205人)。分野によって差が大きく、造船・舶用工業は84.9%と高い一方、航空は8.1%にとどまります。合格率は今後の集計で変わりうる速報値のため、自社が検討する分野の最新の試験実施状況は出入国在留管理庁で確認してください。
- 特定技能2号になると登録支援機関への委託は不要になりますか?
- はい。2号では1号のような支援計画の作成・実施義務自体がなくなるため、登録支援機関への委託が制度上不要になります。委託している場合、出入国在留管理庁の集計(令和4年9月末時点・暫定値)では支援委託料(月額)の平均は28,386円(全体の約9割が月30,000円以下)で、年換算では平均約34万円です。2号への移行で、委託している企業はこの費用が構造的に不要になります(金額は分野・委託範囲で変動する市場水準の集計であり、削減額を保証するものではありません)。