特定技能1号・2号の違い|家族帯同・在留の上限・2号11分野の早見表
目次
特定技能で外国人材を採用するとき、実務上まず受け入れるのは「1号」です(制度上は1号を経ない2号の取得もあり得ますが、分野ごとの実務経験を証明する必要があるため実際には限られます=後述)。では2号は何が違い、自社にとってどんな意味があるのか——ここが分かりにくいところです。結論を先に言うと、1号と2号の最大の違いは「在留できる期間」です。1号は原則として通算で最長5年まで(やむを得ない事情がある場合の例外は本文)ですが、2号は要件を満たす限り更新に上限がなく、家族の帯同もできます。このページで、両者の違いを比較表で整理します。
この記事の要点
- 最大の違いは在留期間 — 1号は原則通算で最長5年まで(やむを得ない事情がある場合の例外は本文)。2号は要件を満たす限り更新に上限がなく、長期就労が可能です。
- 2号は家族帯同が可能・支援義務なし — 1号は家族の帯同が原則できず支援義務がありますが、2号は要件を満たせば配偶者・子を帯同でき、企業の支援義務もありません(いつから呼べるかは本文の「3つの時計」で解説)。
- 2号の対象は11分野(制度上19分野のうち・2026年8月時点)— 介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業と、2026年に追加された物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の8分野は対象外です。
- 採用の入り口は1号 — まず1号で受け入れ、2号評価試験+実務経験の要件を満たして2号へ移行するのが基本の流れです(2号では業務内容も1号と同一のままにはできません)。
- 「2号まで行ける」を前提に置かない — 制度初期に初めて1号を許可された人のうち2号へ移行していたのは11.4%(2019年許可)・14.3%(2020年許可)=現時点では少数派です。採用判断は1号の5年をどう使うかを軸に組み立てます。
特定技能2号の対象分野や要件は拡大・変動が続いています。本記事は概要です。2号の対象分野・移行要件・最新の運用は、必ず出入国在留管理庁の公式情報で確認してください。
採用手続き全体の流れ(6ステップ・期間の目安)は特定技能の採用の流れで時系列に解説しています。
1号・2号の違い早見表
特定技能1号と2号は、在留期間・家族帯同・支援義務など、企業にとって重要な点が大きく異なります。[1]まず全体像を比較表で押さえます。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算で最長5年(原則) | 更新の上限なし(要件を満たす限り更新可) |
| 更新の単位 | 3年を超えない範囲で個別に指定される期間ごと | 3年・2年・1年・6月のいずれかごと(回数の上限なし) |
| 家族の帯同 | 原則できない | 要件を満たせば可能(配偶者・子) |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 試験 | 技能試験+日本語試験(水準は分野別運用方針が19分野すべてで定める参照枠A2.2相当以上〔基本方針はA2相当以上を基本〕・介護等は別途要件あり・技能実習2号の良好修了で日本語試験は免除/技能試験は実習と関連性がある場合に免除) | 2号評価試験+分野ごとに定められた実務経験(日本語の水準は現行の運用方針でB1相当以上・これを試験で確認する省令は2027年4月1日施行予定) |
| 受け入れ企業の支援義務 | あり(支援計画の作成+実施=実施は登録支援機関へ委託可) | なし |
| 受け入れ人数の枠 | 分野ごとに受入れ見込数(上限)が設定される | 受入れ見込数の設定なし |
| 永住申請への道 | (1号の在留期間は永住要件の就労期間に算入されない) | 要件を満たせばつながる道がある |
| 対象分野 | 制度上の全19分野(採用の入り口。受入れ開始前の分野・1号の新規受け入れが止まっている分野を含む) | 11分野(制度上19分野のうち・2026年8月時点、介護など8分野は対象外) |
受け入れ人数の枠は、出入国在留管理庁の制度概要が2号の受入れ見込数(上限)を「設定なし」としており、1号は分野ごとに設定があります(全分野の合計は令和11年3月末までで80万5700人)。[2]分野の枠が埋まっていく局面でも2号はその外側にある、という違いです(分野ごとの枠と充足の状況は特定技能2号とは・特定技能外国人の人数と分野別の統計)。
⚠️ 1号の「全19分野」は制度上の分野数です=受入れが始まっていない分野や、1号の新規受け入れが止まっている分野があり、実際に採れる分野数はこれより少なくなります(特定技能の受け入れ停止・分野ごとの中身は特定技能の対象分野一覧)。更新の単位は、古い解説では「1号は1年ごと」のままのものがありますが、現在の付与単位は上の表のとおりです。[3]なお、2号の在留期間の区分に「5年」を加える省令改正案が公示されています(入管法施行規則 別表第2の改正案・1号は対象外。意見公募は2026年9月2日で終了・公布は令和9年〔2027年〕1月上旬の予定で、2026年9月10日時点では未公布=現行の区分は上の表のとおりです)。[4]最新の対象分野・運用は出入国在留管理庁の公式情報、または特定技能の対象分野一覧で確認してください。
特定技能1号とは
1号は、相当程度の知識・経験を持つ外国人材を対象とする区分で、採用の入り口になります。
- 在留期間は通算で最長5年です(妊娠・出産・育児などやむを得ない事情で働けなかった期間は通算から除かれ、相当の理由があると認められる場合は6年までとされています)。[2]
- 家族の帯同は原則できません(例外的な取扱いや2号での帯同は後述の「2号の家族帯同(いつから呼べるか)」で解説)。
- 受け入れ企業には支援計画の作成・実施の義務があり、実施は登録支援機関に委託できます(義務的支援10項目)。
1号で受け入れる際の企業側の要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で解説しています。通算5年の数え方(技能実習の期間は含まれない等)や更新手続きは特定技能の在留期間と更新|何年働ける?で詳しく整理しています。
2号でできること
2号は、熟練した技能を持つ外国人材を対象とする上位区分です。1号との差分は次の4つで、企業にとっての意味はここに集約されます。
- 在留期間の上限が外れる — 更新の上限がなく、要件を満たす限り就労を続けてもらえます。
- 家族(配偶者・子)を帯同できる — 実際にいつ呼べるかは後述の「3つの時計」で解説します。
- 企業の支援義務がなくなる — 実務・費用がどう変わるかは後述の「企業から見た実務上の違い」のとおりです。
- 永住申請への道につながる — 1号の在留期間は永住許可の要件で見る就労資格としての在留期間に算入されず、2号は算入されます(期間の数え方は特定技能の在留期間と更新)。[3]
ただし2号は「1号の次の段階」として自動的に来るものではなく、自社の分野に2号があることと、移行の要件(2号評価試験・分野ごとの実務経験・1号とは別に設計された業務内容)を満たすことが前提です。2号の対象は2026年8月時点で制度上19分野のうち11分野で、介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業・物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の8分野には2号がありません。[5]対象11分野の一覧・分野ごとの条件・移行に必要な試験と実務経験は特定技能2号とはで総覧しています。
介護に2号がないのは、専門的・技術的分野の在留資格「介護」が別に用意されているためです。[6]介護で長期就労を目指す場合は、介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ移行する道があります(取得ルート・国家試験・切り替えの実務は外国人介護福祉士|合格率は3人に1人・実務経験3年ルートと在留資格「介護」への変更)。介護1号に固有の要件(日本語の上乗せ試験・対象施設・任せられる業務)は特定技能 介護、事業所単位の人数枠の数え方は特定技能 介護の人数枠にまとめています。
そのため「どちらで雇うか」は、実務上は「2号の人材を採るか1号の人材を採るか」の選択にはなりません。 2号は1号から移行して生まれる区分で、移行できているのは後述のとおり少数派=中途採用の市場に2号の人材がまとまって出てくる状態にはなっていないからです。企業が実際に選ぶのは、①1号で採って5年の中で完結させるか、②1号で採ったうえで自社で2号まで上げにいくか——このどちらを前提に、配属・業務設計・処遇を組むかです(②を選ぶなら、要件は入社時点から逆算します)。⚠️ 中途で1号の人材を採るときは、残りの在留期間に注意します=1号は通算5年なので、他社で数年働いた人を採ると自社で積める期間はその残りだけになり、分野ごとに定められた実務経験を満たせないまま5年が終わることがあります。
どちらを選ぶにせよ、出発点は自社が受け入れ機関としての要件を満たすかです。
2号の家族帯同(いつから呼べるか)
結論から言うと、家族(配偶者・子)を呼べるのは特定技能2号になってからで、実際に来日できるまでは2号への在留資格変更の申請からおおむね半年程度を見ておくのが現実的です(処理日数の実績に、書類がそろう時期や審査の振れを織り込んだ編集部の目安=内訳は後述の3つの時計)。
可否は在留資格で決まります。在留資格「家族滞在」の該当活動として列挙されている在留資格に特定技能2号は含まれ、1号は含まれていません。[7]育成就労も、出入国在留管理庁の育成就労制度Q&A(Q59)で「原則として、家族の帯同を認めないこととしています」とされています。[8]つまり2号がない8分野では、特定技能の枠内に家族を海外から呼び寄せる道がありません(下の限定的な例外は、すでに日本にいる家族や日本で生まれた子についてのものです。介護だけは、介護福祉士の資格取得→在留資格「介護」という別の道があります=前述の「2号でできること」)。育成就労(原則3年)から入る場合は、家族と日本で暮らせるまでの期間はさらに長くなります(育成就労から特定技能への移行)。2号に届かなかった場合を含む「1号の5年」の使い方と5年後の選択肢は特定技能の在留期間と更新で整理しています。
1号の在留中は、日本で特定技能1号同士の間に生まれた子や、「留学」から1号へ変更する際にすでに「家族滞在」で在留している配偶者・子について、人道上の配慮として在留資格「特定活動」への変更が認められる場合がある、という限定的な例外だけがあります(一方で、本国へ一時帰国して出産し、本国に子を監護養育する人がいる場合には人道上の配慮が必要とはみなさないと明記されています)。[3]なお日本で子が生まれ、出生から60日を超えて在留するときは、事由が生じた日から30日以内に在留資格取得許可申請が必要です。[9]また、夫婦がそれぞれ特定技能の要件を満たすなら、帯同ではなく各自が1号の在留資格を持って働く形はあり得ます(例外の1つ目「1号同士の間に生まれた子」はこの形が前提です)。親や兄弟姉妹を短期間だけ呼ぶ場合は、在留資格「短期滞在」の該当活動に「親族の訪問」があります。[10]
いつから呼べるか——3つの時計
時期は次の3つで決まり、どれか1つでも遅れるとそこが律速になります。
- その人材が2号になる時期 — 自社の分野に2号があるか(前述の対象分野)と、移行要件(後述の2号評価試験+実務経験)を満たす時期。
- 扶養能力を書類で示せる時期 — 家族滞在は扶養を受けて在留する在留資格のため、申請では扶養者の在職証明書と、住民税の課税(または非課税)証明書・納税証明書が求められます(1年間の総所得と納税状況の両方が記載された証明書なら、どちらか一方で足ります)。課税証明書はその年の1月1日に住んでいた市区町村が発行するため、2号への移行と同じ時期に転居があると「制度上は申請できるのに書類がそろわない期間」が生じ得ます(入国後間もない場合や転居等で発行されないときは、最寄りの地方出入国在留管理官署に問い合わせることとされています)。なお扶養能力について必要な収入の基準額は、出入国在留管理庁の在留資格「家族滞在」のページと特定技能のよくある質問では示されていません(2026年8月20日時点の確認)=提出資料をもとにした個別の審査であり、「いくらあれば通る」という数字を人材に約束しないでください。[7]
- 手続にかかる日数 — 在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間は1か月~3か月で、申請自体に手数料はかかりません(代理人等が申請する場合の提出先は受入機関の所在地などを管轄する地方出入国在留管理官署で、郵送での提出は受け付けられていません)。[11]公表されている処理日数の実績(在留審査処理期間・令和8年6月許可分=申請の受理から許可までの期間)は、2号への在留資格変更が55.6日・家族滞在の認定証明書交付が68.7日で、入管の2手続だけで単純合計はおよそ124日(編集部算出=55.6+68.7)。⚠️ この2つは並行して出せません=家族滞在は「扶養を受ける配偶者・子」としての在留資格なので、扶養者が2号になっていることが前提=直列で見る必要があります。[12]そこに在外公館での査証申請(申請内容に問題がなければ在外公館が受理してから概ね1週間)と渡航が乗り、②の書類がそろうまでの待ち時間も加わるため、2号への変更申請から半年程度という冒頭の目安になります。[13]なお在留資格認定証明書は、令和5年3月17日から電子メールで受領できます(受け取ったメールは海外にいる本人へ転送でき、紙の証明書を国際郵送する日数を省けます)。[14]
家族滞在の実務で押さえる点
呼べるのは扶養を受ける配偶者・子で、親や兄弟姉妹は家族滞在の対象に含まれていません。配偶者について求められるのは婚姻の事実を示す公的な証明(婚姻届受理証明書・結婚証明書など)=婚約中・事実婚などでこれを用意できない場合、この枠組みでは呼べません。連れ子・成人した子など境界にあたるケースの可否は個別の審査によるため、行政書士などの専門家に事前に確認してください。海外から呼ぶ認定証明書交付申請の主な提出物は、申請書・写真・返信用封筒(簡易書留分の切手を貼付)・身分関係を証する文書・扶養者の在留カードまたは旅券の写し・上記②の扶養能力を示す書類(扶養者が働いていない場合は預金残高証明書など)です。[7]家族滞在の在留期間は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)=本人と同様に更新の管理が必要で、扶養を受ける配偶者・子としての在留が前提のため、本人の帰国は家族の在留にも影響し得ます。[7]
申請に誰が関われるかは入管法施行規則の別表第四で在留資格ごとに定められており、すでに日本にいる人材が家族を呼ぶ場合、代理人になれるのは扶養することとなる本人か日本に居住するその親族で、企業の職員は代理人になれません(海外から2号として採用し家族も同時に呼ぶ場合は、家族滞在の代理人に「本人を扶養する者の在留資格認定証明書交付申請の代理人となっている者」が含まれるため、本人の申請の代理人である企業が家族の申請でも代理人になり得ます)。代理人が出頭を要しない場合に代わって書類を提出できる者も、公益法人の職員・支援計画の全部の実施の委託を受けた登録支援機関の職員・届出済みの弁護士・行政書士・法定代理人に限られています。[15]また、報酬を得て業として行う申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(申請書等の提出=申請取次は行政書士の専管ではなく、弁護士会・行政書士会を経由して届け出た弁護士・行政書士のほか、地方出入国在留管理局長が適当と認めた受入れ機関等の職員も、本人〔又はその法定代理人〕の依頼を受けて行えます。⚠️ただし登録支援機関の職員の取次は、特定技能1号の活動を行うとして在留する・しようとする本人の依頼による場合に限られるため、家族滞在の変更・更新はその枠外です)。一方、来日後の家族の手続(在留期間の更新や資格外活動許可など)には、扶養者を雇用している機関=自社の職員が、本人(またはその法定代理人)の依頼を受け、地方出入国在留管理局長が適当と認める場合に代わって書類を提出できる枠組みがあります。[15]企業側で先に整えられるのは、在職証明書の発行体制・報酬水準(課税証明書に反映される)・2号移行の育成計画です。外国語の書類には日本語の訳文を添え、日本で発行される証明書は発行日から3か月以内のものを使います。[7]
来日した家族は、資格外活動の包括許可を受ければ1週について28時間以内で働けます(健康保険の被扶養者の認定基準〔同一世帯の場合、原則として年間収入130万円未満かつ被保険者の2分の1未満〕は、入管の28時間とは別に定められています)。[16][17]また、家族を本国に残すか日本に呼ぶかで会社側の給与実務も変わります。健康保険の被扶養者には国内居住要件があり(本国に居住したままの配偶者・子は通常は対象になりません)、年末調整でも非居住者である扶養親族が控除対象になる範囲は年齢等の要件で限定されています。いずれも家族が来日して居住者になれば通常の扱いに戻るため、帯同の予定は給与・社会保険の担当部署へ早めに共有してください。[18][19]
子を呼ぶ時期には将来の分岐もあります。帯同した子が高校卒業後に日本で就労するための在留資格変更(「定住者」または「特定活動」)は、入国時18歳未満に加えて日本の高等学校の卒業が要件に含まれます(定住者ルートはさらに日本の義務教育の修了も必要。特定活動ルートで高校に編入して卒業した場合は、日本語能力試験N2以上またはBJT400点以上も必要)。このため、日本の学校に通える時期から呼べたかで道が分かれます。[20]
家族帯同は「特定技能で採用すれば得られる条件」ではなく、2号まで到達させる前提で初めて成立する条件です(移行の実績は後述のとおり現時点では少数派です)。1号の間の定着は、家族帯同とは別の手段で設計してください(外国人材の定着支援)。
企業から見た実務上の違い(支援義務)
1号と2号では、採用後に企業が担う実務の負担が大きく変わります。
- 1号は支援計画の作成・実施が義務 — 特定技能1号の外国人材を受け入れる企業には、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、計画に沿って支援を実施する法令上の義務があります。[21]⚠️ 委託できるのは「実施」で、計画の作成そのものは受け入れ企業の義務です(登録支援機関は作成を補助できるにとどまります)。そのうえで、自社で対応する体制が無ければ登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託でき、全部の実施を委託すれば支援体制の基準を満たすものとみなされます。支援内容の詳細は特定技能の義務的支援10項目で解説しています。
- 2号は支援計画の対象外 — 支援計画は1号特定技能外国人に対する義務のため、2号への在留資格変更が許可されれば、その人材は支援計画の対象外になります。企業にとっては、熟練人材が2号へ移行することで、相談対応や定期面談などの支援体制にかかる実務負担が軽くなる点が実務上の大きな違いです。
支援計画を登録支援機関に委託している場合、この違いはコスト面にも表れます。出入国在留管理庁の集計(令和4年9月末時点・暫定値)では、特定技能外国人1人あたりの支援委託料(月額)は平均28,386円で、全体の約9割が月30,000円以下でした。年換算では平均で約34万円です(編集部算出=月額平均×12か月)。[22]2号では支援計画の作成・実施義務自体がなくなるため、委託している企業にとってはこの費用が構造的に不要になります(金額は分野・委託範囲で変動する市場水準の集計であり、削減額を保証するものではありません)。⚠️ この平均は2022年9月末時点の集計です=より新しい実勢は公開料金表の実測を見てください。委託費の相場の詳細(機関ごとの公開料金表の実測と帯の読み方)は登録支援機関への委託費用の相場、委託契約を終える・変える際の手続きと届出は登録支援機関の乗り換え・変更で解説しています。⚠️ 1号と2号の費用差は委託費だけではありません=2号へ移行させる側には、評価試験と在留資格変更の手続きに伴う費用が別に生じます(何にいくらかかるかは特定技能2号とは)。採用全体でいくらかかるかは特定技能の採用費用・相場で費目ごとに整理しています。
自社で支援体制を整えるか登録支援機関に委託するかの判断は特定技能は自社支援?登録支援機関に委託?で整理しています。
1号と2号の試験の違い
試験の面でも、1号と2号は求められるものが異なります。
- 1号 — 分野ごとの技能試験(技能測定試験)+日本語試験(水準は、基本方針が「日本語教育の参照枠A2相当以上を基本」とし、2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針が19分野すべてで「A2.2相当以上」と定めています・実際の受験はJFT-BasicまたはJLPT)に合格していることが基本。[23][24]技能実習2号を良好に修了した人は日本語試験が免除され、従事する業務と実習の職種・作業に関連性が認められる場合は技能試験も免除されます。※介護(介護日本語評価試験)・自動車運送業(タクシー・バス)・鉄道(運輸係員)は、日本語に別途の要件があります。[2]
- 2号 — より高い水準を確認する2号評価試験に加え、分野ごとに定められた実務経験が要件になります。日本語については、現行の分野別運用方針が水準を「日本語教育の参照枠」のB1相当以上と定めていますが、この水準を試験で確認する扱いに係る省令の施行は2027年4月1日の予定です。[2]
採用の判断で効くのは、1号は入口で受験させる試験、2号は在職中に積む要件という違いです。1号は候補者が試験に合格していれば受け入れられますが、2号は分野ごとの実務経験と業務内容の設計が伴うため、移行させる側(企業)の準備が要ります。2号側の要件は現在も動いており、分野によって上乗せもあります(分野別の2号評価試験の合格率・2号の日本語要件の現状は特定技能2号とは)。試験の種類・分野別の試験名・免除ルートの詳細は特定技能の試験で解説しています。
1号から2号への移行
2号は、1号からの移行が基本的な流れです。2号評価試験の合格+分野ごとの実務経験の要件を満たすことで移行できます。実務経験の中身は分野別運用方針が分野ごとに定めており、指導・管理の立場を求める型と、自らの判断で業務を遂行できる水準を求める型に分かれます。あわせて、運用要領(令和8年8月20日一部改正版)は、2号特定技能外国人の通常従事する業務は技能実習生・1号特定技能外国人と同一であってはならず、指導業務・管理業務または自らの判断で行う専門的・技術的業務であることを求め、在留諸申請では誓約書(参考様式第1-32号)でこれを確認するとしています。[5]「試験に受かった人を、これまでと同じ業務のまま2号にする」形は取れないということです。分野ごとの実務経験の要件・誓約書で求められる指導対象者の数え方・変更申請の実務は特定技能2号とはにまとめています。業務内容が変わる以上、雇用条件書の書き換えと、指導・管理の職責に見合う処遇の設計が同時に要ります(水準の決め方は外国人材の給与の決め方)。
なお、1号を経ずにいきなり2号を取得することも制度上は可能です(運用要領は「『特定技能1号』を経れば自動的に『特定技能2号』に移行できるものでもなく」「『特定技能1号』を経なくても『特定技能2号』の在留資格を取得することができます」と両方向に書いています)。[5]ただし実務経験要件を満たして証明する必要があるため、実際にはまず1号で受け入れて経験を積み、2号へ移行するのが基本の流れです。
移行の実績データも公表されています。出入国在留管理庁の調査(2026年1月23日現在)によると、制度初期の2019年に初めて1号の許可を受けた人のうち2号へ移行していたのは11.4%、2020年許可の人では14.3%。最も多いのはいずれも出国等(72.4%・64.9%)でした。[2]2号への移行は現時点では少数派です。採用の判断としては、「2号まで行けるから長く働いてもらえる」を前提に置くのではなく、まず1号の5年をどう使うかを軸に設計し、2号は要件充足を早くから支援した人が届く選択肢として扱うのが実態に合います(1号の5年の使い方と5年後の選択肢は特定技能の在留期間と更新)。
技能実習との違いから整理したい場合は特定技能と技能実習の違いもあわせてご覧ください。
1号・2号で変わらないこと
違いばかりが注目されますが、企業の実務では共通点も押さえておくと判断を誤りません。
- 報酬は日本人と同等以上 — 1号・2号とも、同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬が求められます。
- フルタイムの直接雇用が原則 — 1号・2号とも直接雇用が原則で、派遣形態が認められるのは農業・漁業の2分野のみです。報酬や労働時間など雇用契約の基準は特定技能の雇用契約・雇用条件書、派遣で受け入れる場合の実務は農業で特定技能の外国人を採用するには・漁業で特定技能の外国人を採用するにはで解説しています(派遣の可否は分野別運用方針が分野ごとに定める事項=最新は出入国在留管理庁の公表で確認してください)。
- 転職は可能 — 同一の業務区分内、または技能水準の共通性が確認されている業務区分間であれば、1号・2号とも受け入れ企業の変更(転職)ができます(⚠️ 転職に伴う手続きは同じではありません=2号の人材が所属機関や分野を変えるときは在留資格変更許可が要ります)。指導的な業務内容の要件(前述の誓約書)は転職先でも変わりません。[5]「5年間ずっと自社にいてくれる」前提ではない点は、定着の設計(待遇・キャリアパス)に関わります(外国人材の定着支援)。
- 受け入れ機関としての基準・届出は続く — 支援義務が無くなっても、受け入れ企業そのものに求められる基準は残り、特定技能雇用契約の変更・終了・新たな締結や受入れ困難時などの随時届出と、年1回の定期届出(受入れ・活動・支援実施状況)も続きます。⚠️ ただし、随時届出のうち支援計画の変更・登録支援機関との支援委託契約にかかるものと、定期届出の支援実施状況の部分は1号のためのものです=2号だけになれば、その分の事務は落ちます。[2]届出の全体像は受け入れ要件の全項目で解説しています。
どちらを前提に設計するか(チェックリスト)
ここまでの違いを、自社の判断に落とすと次の5点になります。すべて本文で扱った事実からの確認項目です。
- 自社の分野に2号があるか — 無ければ1号の5年で完結する設計にします(介護だけは在留資格「介護」への切り替えという別ルートがあります)。
- 2号まで上げる前提なら、配属の時点で業務を分けられるか — 2号の通常業務は技能実習生・1号と同一にできません=「同じ作業のまま在留資格だけ切り替える」形は取れません。
- 分野ごとの実務経験と評価試験の時期を、1号の5年から逆算できているか — 2号は在職中に積む要件なので、5年目に着手すると間に合いません。
- 家族帯同を人材に示すなら、2号への変更を申請してから来日まで半年程度かかることまで伝えているか — 「特定技能で採用すれば家族を呼べる」は誤りです。
- 支援委託をやめる時期と、その後も続く義務を社内で共有できているか — 支援義務は2号の許可で外れますが、受け入れ機関としての基準と届出は続きます。
まとめ
特定技能1号と2号は、在留期間(原則通算で最長5年/要件を満たす限り上限なし)・家族帯同(原則不可/可)・支援義務(あり/なし)・試験(技能試験+日本語試験/2号評価試験+実務経験)が主な違いです。採用の入り口は1号で、2号評価試験と実務経験の要件を満たせば2号へ移行し(業務内容が1号と同一のままでは移行できません)、長期就労・家族帯同・永住への道が開けます。家族を呼べる時期は「2号になる時期・扶養能力を書類で示せる時期・手続にかかる日数」の3つで決まるため、人材と約束する前に本文の3つの時計で確認してください。2号の対象は制度上19分野のうち11分野(2026年8月時点)=自社の分野に2号があるかは出入国在留管理庁の最新情報で確認してください。介護は2号がなく、在留資格「介護」への移行が長期就労の基本の道筋です。報酬同等以上・直接雇用原則・同一区分内なら転職可能という共通点は、1号・2号を通じた定着設計の前提になります。
制度の全体像は特定技能とは?、対象分野は特定技能の対象分野一覧、2号側の条件・分野ごとの要件・移行の実務は特定技能2号とはをご覧ください。
よくあるご質問
- 特定技能1号と2号の主な違いは何ですか?
- 1号は在留期間が原則通算で最長5年、家族の帯同は原則できず、受け入れ企業に支援計画の作成・実施の義務があります(実施は登録支援機関に委託できます)。2号は要件を満たす限り在留期間の更新に上限がなく、要件を満たせば家族(配偶者・子)の帯同が可能で、支援の義務はありません。技能水準も、1号は相当程度、2号は熟練した技能が求められます。
- 特定技能2号になると何ができますか?
- 在留期間を更新の上限なく延長でき(要件を満たす限り)、配偶者と子の家族帯同が可能になります。要件を満たせば永住許可の申請につながる道もあります。受け入れ企業側の支援義務もなくなります。対象となる分野や要件は変動するため、最新の運用は出入国在留管理庁で確認してください。
- 1号を経ずに、いきなり特定技能2号を取得できますか?
- 制度上は可能です。出入国在留管理庁の運用要領も「『特定技能1号』を経なくても『特定技能2号』の在留資格を取得することができます」としています。ただし2号には分野ごとの実務経験要件があるため、実際にはまず1号で受け入れて経験を積み、2号へ移行する流れが基本になります。なお2号では業務内容も1号と同一のままにはできず、指導・管理などの業務に就くことが前提です。
- 特定技能2号になると登録支援機関への委託は不要になりますか?
- はい。2号では1号のような支援計画の作成・実施義務自体がなくなるため、登録支援機関への委託が制度上不要になります。委託している場合、出入国在留管理庁の集計(令和4年9月末時点・暫定値)では特定技能外国人1人あたりの支援委託料(月額)の平均は28,386円(全体の約9割が月30,000円以下)で、年換算では平均約34万円です(編集部算出=月額平均×12か月)。2号への移行で、委託している企業はこの費用が構造的に不要になります(金額は分野・委託範囲で変動する市場水準の集計であり、削減額を保証するものではありません)。
- 特定技能1号で家族を日本に呼べますか?
- 原則として呼べません。出入国在留管理庁のよくある質問でも、特定技能1号では家族の帯同は認められないとされています。ただし、日本で特定技能1号同士の間に生まれた子や、『留学』から特定技能1号へ変更する際にすでに『家族滞在』で在留している配偶者・子については、人道上の配慮が必要であるとして在留資格『特定活動』への変更が認められる場合があります。
- 特定技能の外国人は、いつから家族を日本に呼べますか?
- 在留資格『家族滞在』で家族(配偶者・子)を呼べるのは、特定技能2号になった時点からです。ただし実際に来日できる時期は、2号になる時期に加えて、扶養能力を示す書類(在職証明書・住民税の課税証明書・納税証明書。必要な収入の基準額は、同庁の在留資格「家族滞在」のページと特定技能のよくある質問には示されておらず〔2026年8月20日時点の確認〕、個別の審査です)がそろう時期と、手続にかかる日数で決まります。公表されている処理日数の実績(令和8年6月許可分)は2号への在留資格変更が55.6日・家族滞在の認定証明書交付が68.7日で、入管の2手続だけで単純合計およそ124日(編集部算出)。標準処理期間(1か月~3か月)は上限側の幅を示すもので、社内の計画は実績値で置いたうえで振れを見込むのが実務的です。そこに在外公館での査証申請(申請内容に問題がなければ受理から概ね1週間が標準)と渡航、扶養能力を示す書類がそろうまでの待ち時間が乗るため、全体では2号への在留資格変更の申請から半年程度を見ておくのが現実的です(編集部の目安)。
- 家族滞在で来日した家族はアルバイトなどで働けますか?
- 資格外活動の包括許可を受ければ、1週について28時間以内で就労できます。包括許可の範囲外の働き方(業務委託や請負など、標準的に従事する労働時間が明確でないもの)は、要件に適合すると認められる場合に個別許可が個々に与えられます。なお健康保険の被扶養者の認定基準は、入管の28時間とは別に定められています。
出典・参考(一次情報)
- 特定技能制度について(出入国在留管理庁)
- 外国人労働者に関する制度概要(令和8年7月1日更新/1号特定技能外国人の活動後の在留状況/特定技能2号の日本語能力水準に係る省令は令和9年4月1日から施行予定/受入れ見込数〔上限〕=1号「分野ごとに設定あり(全分野で80万5700人(令和11年3月末まで))」・2号「設定なし」/1号の在留期間=通算で上限5年〔相当の理由があると認められる場合は6年〕/届出・報告=受入れ機関の随時の届出は「特定技能雇用契約の変更、終了、新たな契約の締結」「支援計画の変更」「登録支援機関との支援委託契約の締結、変更、終了」「特定技能外国人の受入れ困難時」「特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の基準不適合」、定期の届出は「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に関する届出」・確認日2026年8月21日)(出入国在留管理庁)
- 特定技能(よくある質問・在留期間 Q28/家族の帯同 Q9・Q12・Q37/永住許可 Q10=「『特定技能1号』や『技能実習』の在留資格で日本にいる期間は就労資格として在留している期間に含まれない」・確認日2026年8月21日)(出入国在留管理庁)
- 「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案」に係る意見公募手続の実施について(案件番号315000139・意見募集期間2026年8月4日〜9月2日必着/新旧対照条文=別表第2の特定技能2号の在留期間「三年、二年、一年又は六月」→「五年、三年、二年、一年又は六月」・1号は対象外・附則=公布の日から施行/改正の概要=公布の日:令和9年1月上旬。案の作成=出入国在留管理庁/確認日2026年9月10日。⚠️ 案の段階=2026年9月10日時点で未公布)(e-Govパブリック・コメント(デジタル庁))
- 特定技能外国人の受入れに関する運用要領(令和8年8月20日一部改正版・第3章第2節=2号の対象11分野/2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書〔参考様式第1-32号〕・転職時の在留資格変更・確認日2026年8月20日)(出入国在留管理庁)
- 分野別情報 介護分野(現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があることから特定技能2号の対象分野とはしていない・確認日2026年8月20日)(出入国在留管理庁)
- 在留資格「家族滞在」(該当活動・在留期間・提出書類)(出入国在留管理庁)
- 育成就労制度Q&A(Q59 家族の帯同)(出入国在留管理庁)
- 在留資格の取得(入管法第22条の2・出生から60日を超えて在留する場合は30日以内に申請)(出入国在留管理庁)
- 在留資格「短期滞在」(該当活動に「親族の訪問」・在留期間)(出入国在留管理庁)
- 在留資格認定証明書交付申請(申請提出者・提出先・手数料・標準処理期間)(出入国在留管理庁)
- 在留審査処理期間(令和8年6月許可分・PDF)(出入国在留管理庁)
- 査証(ビザ)(外務省・令和8年6月24日更新)=「審査にかかる時間は申請内容に特に問題のない場合、在外公館が申請を受理してから概ね1週間です」(外務省)
- 在留資格認定証明書の電子化について(令和5年3月17日から電子メールで受領可)(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第四(第6条の2関係)・第6条の2第4項・第19条第3項(e-Gov法令検索)
- 「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について(出入国在留管理庁)
- 収入がある者についての被扶養者の認定について(昭和52年4月6日保発第9号)(厚生労働省)
- 被扶養者の国内居住要件等について(令和元年11月13日保保発1113第1号)(厚生労働省)
- No.1180 扶養控除(非居住者である扶養親族)(国税庁)
- 「家族滞在」の在留資格をもって在留し、高等学校卒業後に日本での就労を希望する方へ(出入国在留管理庁)
- 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度の現状について(登録支援機関への支援委託料の支払額・有識者会議 参考資料)(出入国在留管理庁)
- 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針及び育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針(令和7年3月11日閣議決定)第三の1(3)=1号「日本語教育の参照枠A2相当以上を基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な水準を満たす日本語能力が求められる」/同3(3)=育成就労終了時「参照枠A2相当以上を基本」(確認日2026-09-05)(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度及び育成就労制度に係る基本方針・分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定・別紙1〜19)=特定技能1号の日本語能力水準は19分野すべての別紙で「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(確認日2026-09-05)(出入国在留管理庁)