登録支援機関の選び方|候補は何社?登録簿データで絞る比較ポイント7つ
目次
登録支援機関は全国に11,466機関(2026年7月21日現在の登録簿を当サイトで集計)あります。数だけ見ると「選び放題」に思えますが、自社が採用する人材の母国語に対応でき、自社の地域をカバーできる機関に絞ると、候補は一気に少なくなります。一方で、登録されていること自体は支援の質を保証しません。比較せずに最初に見つけた1社へ決めると、「採用後に母国語で相談できないと分かった」「想定外の費用が後から積み上がった」といった失敗が起きやすくなります。
結論を先に言うと、選び方は ①候補プールの実数を知る → ②タイプで見当をつける → ③7つのポイントで同じ物差しで比べる の順に進めるのが確実です。このページでは、登録簿の全件集計と出入国在留管理庁の公的データをもとに、その3ステップを具体的な数字で示します。
この記事の要点
- 「登録されている」は品質の保証ではない — 過去1年間に支援した外国人が「0人」の機関が25.4%を占め、制度開始から4年間で登録を取り消された機関は14機関(実地調査は15件)。行政のふるいは事後的かつ少数で、実質的な選別は企業側の確認で行うことになります。
- 候補は思うより少ない — 対応言語が1〜2言語のみの機関が46.9%、複数の事務所を持つ機関は5.1%。「自社の県に事務所があり、母国語に対応できる機関」は、県と言語の組み合わせによっては1〜10機関ほどしかありません(都道府県×母国語の一覧と、登録簿から候補リストを作る手順)。
- 費用は「月額に含まれる範囲」と内訳で — 委託料の月額平均は28,386円(約9割が3万円以下)ですが、含む支援範囲は機関ごとに異なります。金額だけで比べず、参考様式の費目ごとに内訳を書面で示してもらいましょう。
本記事は一般的な情報提供です。各機関の登録状況・費用・対応範囲は変動するため、契約前に必ず最新の情報と契約書面で確認してください。
そもそも登録支援機関とは
登録支援機関は、特定技能1号で受け入れ企業に義務づけられた支援を、企業から委託されて実施する、出入国在留管理庁の登録を受けた機関です。支援計画は全部または一部を委託でき、全部を委託すれば受け入れ企業は支援体制に関する基準を満たすものとみなされます。役割や委託できる範囲の基本は、登録支援機関とは?役割・委託でできること・費用で解説しています。ここでは「どう選ぶか」に絞ります。
「登録されている」は品質の保証ではない
選び方を考える前に、登録という制度が何を保証しているのかを押さえておくと、確認すべきことがはっきりします。登録支援機関の登録は、出入国在留管理庁が定める13の「登録拒否事由」に当たらなければ、法人でも個人でも認められる仕組みです。支援の質や実績を審査して優良な機関を選抜する制度ではありません。実際、次の3つの公的データは「登録されている=実績があり信頼できる」とは言えないことを示しています。
| 公的データが示す登録支援機関の実像 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 過去1年間に支援した外国人が「0人」の機関 | 25.4%(支援10人以下は37.3%) | 令和4年7月の意識調査 |
| 登録機関のうち、受け入れ企業と支援委託契約を結んでいる機関 | 8,137機関中4,069機関(50%) | 令和5年4月末時点 |
| 制度開始から4年間の、登録支援機関への実地調査/登録の取消し | 実地調査15件/登録の取消し14機関 | 平成31年度〜令和4年度の累計 |
つまり、登録簿に載っている機関の半数は支援委託契約を1件も結んでいない状態で登録されており(令和5年4月末時点)、行政による事後のチェックも4年間で実地調査15件・取消し14機関と、機関数に対してごく少数です。裏を返すと、「行政処分を受けていない」という条件はほぼすべての機関に当てはまるため、それ自体は比較の材料になりません。制度が求める最低線を確認したうえで、実質的な選別は企業側の確認で行うことになります——これが、複数社を同じ項目で見比べる必要がある理由です。
では、目の前の1社が「支援実績のほとんどない側」かどうかは、どう見分けるのでしょうか。実績を数字で聞くこと(比較ポイント2)に加えて、支援がサービスとして組み立てられているかを見るのが実務的です。具体的には、①事前ガイダンスから定期面談までの標準的な実施メニューと年間スケジュール、②実際に使っている面談記録・支援実施記録の書式(内容は伏せた見本で構いません)、③トラブル時のエスカレーションの流れ——この3点を見せてもらいます。日常的に支援を回している機関なら、いずれも既にある資料です。用意がない・口頭の説明だけ、という場合は、体制が実働していない可能性を踏まえて確認を深めましょう。
なお、登録の取消しが実際に行われた事由の上位は、技能実習制度における不正行為(4件)、出入国または労働関係法令による罰金刑(4件)、保証金契約等・支援業務の不履行(2件)でした(同一機関が複数の事由に該当する場合があります)。
候補は何社ある?地域×母国語で見る「候補プール」
「2〜3社を比較しましょう」という助言は、比較できる候補が存在してはじめて成り立ちます。ところが、自社の地域と、採用する人材の母国語で絞ると、候補は想像よりかなり少なくなります。当サイトで出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿(2026年7月21日現在)を全件集計したところ、全国11,466機関のうち、
- 対応言語が1〜2言語のみの機関が46.9%(3言語以上に対応するのは約半数)
- ミャンマー語に対応する機関は26.2%、タガログ語は15.6%(ベトナム語は63.5%)
- 複数の事務所を持つ機関は5.1%(残りは事務所が1か所)
でした。言語と地域という2つの条件を重ねると、候補は次の表のように絞り込まれます。本店の所在地ではなく、登録簿の「支援を行う事務所」(本店+支店・営業所)の所在地で数えているため、他県に本社があっても自社の県に拠点を置く機関は含まれます。自社の都道府県の行を見て、そもそも何社を比較できるのかを確認してください。
| 都道府県 | 事務所のある機関数 | ベトナム語 | インドネシア語 | ミャンマー語 | タガログ語 | 中国語 | ネパール語 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 320 | 192 | 160 | 113 | 43 | 134 | 76 |
| 青森県 | 40 | 29 | 18 | 12 | 4 | 16 | 2 |
| 岩手県 | 51 | 28 | 26 | 21 | 15 | 26 | 15 |
| 宮城県 | 117 | 76 | 61 | 48 | 13 | 40 | 46 |
| 秋田県 | 30 | 16 | 12 | 6 | 3 | 8 | 1 |
| 山形県 | 42 | 29 | 17 | 17 | 3 | 19 | 6 |
| 福島県 | 97 | 65 | 31 | 28 | 18 | 28 | 25 |
| 茨城県 | 307 | 182 | 156 | 68 | 45 | 130 | 38 |
| 栃木県 | 155 | 113 | 65 | 47 | 28 | 58 | 46 |
| 群馬県 | 240 | 161 | 114 | 62 | 48 | 84 | 75 |
| 埼玉県 | 499 | 318 | 179 | 112 | 79 | 216 | 100 |
| 千葉県 | 557 | 354 | 231 | 132 | 92 | 250 | 107 |
| 東京都 | 2,411 | 1,382 | 860 | 752 | 317 | 1,124 | 589 |
| 神奈川県 | 462 | 268 | 174 | 107 | 59 | 153 | 81 |
| 新潟県 | 72 | 41 | 29 | 20 | 13 | 32 | 15 |
| 富山県 | 99 | 69 | 46 | 28 | 24 | 53 | 12 |
| 石川県 | 77 | 59 | 35 | 34 | 13 | 38 | 11 |
| 福井県 | 69 | 50 | 28 | 19 | 10 | 35 | 9 |
| 山梨県 | 61 | 45 | 29 | 22 | 17 | 22 | 14 |
| 長野県 | 170 | 127 | 86 | 52 | 29 | 79 | 34 |
| 岐阜県 | 273 | 175 | 94 | 79 | 66 | 131 | 43 |
| 静岡県 | 359 | 241 | 167 | 81 | 80 | 98 | 46 |
| 愛知県 | 1,183 | 813 | 468 | 254 | 257 | 409 | 212 |
| 三重県 | 198 | 133 | 88 | 55 | 33 | 80 | 26 |
| 滋賀県 | 126 | 80 | 50 | 27 | 26 | 40 | 19 |
| 京都府 | 157 | 84 | 56 | 28 | 23 | 55 | 27 |
| 大阪府 | 1,102 | 748 | 376 | 305 | 137 | 455 | 191 |
| 兵庫県 | 433 | 296 | 156 | 127 | 35 | 145 | 84 |
| 奈良県 | 94 | 59 | 23 | 35 | 11 | 40 | 11 |
| 和歌山県 | 39 | 28 | 18 | 14 | 8 | 15 | 3 |
| 鳥取県 | 27 | 13 | 9 | 8 | 2 | 8 | 2 |
| 島根県 | 21 | 17 | 8 | 11 | 7 | 9 | 3 |
| 岡山県 | 210 | 168 | 98 | 72 | 34 | 78 | 37 |
| 広島県 | 358 | 259 | 167 | 83 | 96 | 178 | 32 |
| 山口県 | 93 | 66 | 37 | 23 | 18 | 33 | 16 |
| 徳島県 | 68 | 51 | 30 | 20 | 6 | 42 | 11 |
| 香川県 | 122 | 79 | 69 | 35 | 23 | 45 | 7 |
| 愛媛県 | 114 | 75 | 50 | 21 | 25 | 44 | 11 |
| 高知県 | 52 | 31 | 30 | 9 | 6 | 10 | 3 |
| 福岡県 | 614 | 440 | 238 | 199 | 97 | 230 | 171 |
| 佐賀県 | 35 | 22 | 17 | 14 | 10 | 7 | 13 |
| 長崎県 | 77 | 48 | 35 | 22 | 25 | 17 | 15 |
| 熊本県 | 155 | 108 | 82 | 47 | 45 | 70 | 36 |
| 大分県 | 105 | 56 | 42 | 33 | 23 | 30 | 15 |
| 宮崎県 | 58 | 34 | 30 | 7 | 13 | 14 | 10 |
| 鹿児島県 | 85 | 65 | 56 | 34 | 19 | 30 | 12 |
| 沖縄県 | 125 | 66 | 47 | 25 | 22 | 30 | 36 |
上の表は、出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿(2026年7月21日現在)を当サイトで集計したものです。登録簿の「支援を行う事務所」欄(本店+追加の事務所)の所在地で数え、同じ県に複数の事務所を持つ機関も1機関として数えています。対応言語は登録簿の「対応可能言語」欄の記載を集計したもので、表記ゆれは代表表記に統合しています。なお、事務所がない県の企業にも遠隔で対応する機関はあるため、この数字は「その県に拠点がある機関の数」であって、委託できる機関の上限ではありません。登録簿は随時更新されます(全国の分布・推移は登録支援機関の統計データ。集計時点の違いで総数が本ページと数機関ずれることがあります)。
この表から読み取れる、選び方への影響は次の3点です。
- 「地元の機関だけ」で探すと比較にならない地域がある — たとえば秋田県にネパール語対応の事務所を置く機関は1機関、宮崎県でミャンマー語なら7機関です。この場合、県内でだけ探すと複数社の比較が成立しません。遠隔で対応する機関も候補に入れることを前提に候補集めを始めてください。
- 「近くに事務所があること」を条件にすると候補が激減する — 複数の事務所を持つ機関は5.1%しかなく、多くは1か所から対応しています。地方で採用する場合は、「訪問での定期面談を求めるのか、オンラインでよいのか」を先に決めておくと、条件の優先順位を間違えずに済みます。
- 希望言語が少数派なら、言語を最優先の絞り込み条件にする — タガログ語対応は全国で15.6%です。候補が少ない条件から先に絞り、そのうえで費用や体制を比べるほうが、堂々巡りを避けられます。
登録簿から自社の候補リストを作る
上の表で「自社の県に何社あるか」が分かったら、実際の機関名は登録簿(Excel)から自分で絞り込めます。無料で、誰でも同じ手順で作れます。
登録簿(Excel)をダウンロードする
出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿のページから Excel ファイルを開きます(随時更新)。1行が1機関で、氏名または名称・住所・支援を行う事務所・対応可能言語の列があります。
「支援を行う事務所」の所在地で地域を絞る
本店の住所ではなく、支援を行う事務所の所在地の列でフィルタをかけます(都道府県名で絞り込み)。本店が他県でも自社の近くに事務所がある機関を拾えます。事務所が複数ある機関は行が続けて並んでいます。
「対応可能言語」で母国語を含む機関に絞る
対応可能言語の列を、採用する人材の母国語で絞ります(表記ゆれがあるため、「フィリピン語」と「タガログ語」のように別表記も検索してください)。ここで候補が数機関しか残らない場合は、地域の条件をゆるめて広域対応の機関を足します。
残った機関を、比較ポイント7つで問い合わせる
候補が絞れたら、下の比較ポイントと質問文をそのまま使って2〜3社に同じ内容を尋ねます。登録簿には支援の質・費用の情報は載っていないため、ここから先は問い合わせでしか分かりません。
登録簿に載っているのは登録上の情報だけで、費用も支援の質も書かれていません。候補集めまでは登録簿で機械的にでき、そこから先は問い合わせで確かめる——この線引きを最初に理解しておくと、比較の労力を無駄なく配分できます。
登録簿には登録後に抹消された機関は掲載されていません(出入国在留管理庁の案内による)。そのため「登録簿で見つからない」場合は、登録が抹消されている可能性も含めて、契約前に必ず確認してください。
まず「どのタイプの機関か」で見当をつける
登録支援機関を運営している母体には、いくつかのタイプがあります。出入国在留管理庁の資料では、登録支援機関の類型は、会社(株式会社・合同会社など)が最も多く、次いで中小企業事業協同組合、行政書士(個人)と続きます。タイプによって得意な支援や連携先が違うため、まず「自社が相手にするのはどのタイプか」で見当をつけると、比較する候補を絞りやすくなります。
- 会社(株式会社・合同会社等)54.4%
- 中小企業事業協同組合26.2%
- その他8.7%
- 行政書士(個人)6.9%
- 一般社団法人2.6%
- 社会保険労務士(個人)1.1%
上の割合は出入国在留管理庁の調査(令和4年時点)による類型別の構成比です。個人の登録支援機関は複数の類型に該当する場合があるため、機関の総数とは一致しません。それぞれのタイプには、次のような傾向があります(あくまで一般的な傾向で、実際の得意分野や体制は機関ごとに異なります)。
- 人材紹介・人材派遣の会社が母体 — 採用そのものから一貫して相談できることが多い一方、人材紹介を受ける場合は職業安定法上の有料職業紹介事業の許可が必要です。紹介手数料が別にかかる点も含めて費用を確認しましょう。
- 協同組合が母体 — 特定の業界・地域に密着していることが多く、同業種の受け入れに慣れているケースがあります。組合員向けのサービスとして提供される場合の条件も確認します。
- 行政書士など士業が母体 — 在留資格まわりの手続きに強く、書類作成や申請取次を行政書士の資格の範囲で担える体制があるのが特長です(登録支援機関としての義務的支援と、行政書士としての業務は別のものです)。
- 一般社団法人・その他 — 支援に特化した団体などがあります。母体の性格よりも、下記の比較ポイントを個別に確認するのが確実です。
法人格だけでなく「もともと何をしていた組織か」を聞く
上の類型は登記上の法人格による分類です。実務でより効いてくるのは、その機関がもともと何の事業をしていたか(出自)です。同じ「協同組合」でも、技能実習の監理団体として長く運用してきた組織と、特定技能から始めた組織とでは、慣れている場面が違います。問い合わせの際に「これまで主にどんな事業をされてきましたか」と一問聞くだけで、次のような違いが見えてきます。
- 技能実習の監理団体から支援も手がけるようになった組織 — 受け入れの実務や現地送り出し機関との連携に慣れている一方、特定技能は技能実習と違って本人の意思による転職が可能で、支援の位置づけも異なります。制度の違いを踏まえた説明ができるかを確認しましょう(違いは監理団体と登録支援機関の違いで解説しています)。
- 人材紹介・人材派遣を本業とする会社 — 採用の入口から一貫して相談できる反面、収益の中心が紹介手数料にある場合、支援そのものの体制は別に確認が必要です。
- 受け入れ企業のグループ会社・関連会社 — 自社グループの業種に精通している一方、対応できる分野や地域が限られることがあります。
- 海外の送り出し機関の系列(日本法人など) — 現地での採用力と母国語対応に強みがある一方、日本の労働関係法令や生活支援の実務をどの体制で担うのかは個別に確認が必要です。
- 行政書士など士業の事務所が母体 — 在留手続きまわりの精度が高い一方、生活支援の実働(同行・面談)を誰が担うのかを確認します。
出自そのものに優劣はありません。確認したいのは、自社が任せたい部分がその機関の得意な部分と重なっているかです。
自社の状況からタイプを絞る
どのタイプが自社に合うかは、採用の入口から任せたいのか、手続きの専門性を重視するのか、業界事情への理解を求めるのかで変わります。「このタイプが一番」という正解はありませんが、自社の状況に引き寄せると候補は絞れます。
| 自社の状況 | 見当をつけやすいタイプ | そのタイプで特に確認すること |
|---|---|---|
| 人材の採用そのものから任せたい | 人材紹介・人材派遣が母体の会社 | 有料職業紹介事業の許可の有無・紹介手数料と支援委託料を合算した総額(人材紹介手数料の相場) |
| 採用したい人材の当てがある(技能実習からの移行など) | 支援に特化した会社・士業系 | 紹介を伴わない「支援のみの委託」を受けてくれるか |
| 同業種の受け入れが多い地域にある | 協同組合 | 組合員になる必要があるか・組合費など支援委託料以外の負担 |
| 在留手続きの正確さを最優先したい | 行政書士など士業が母体 | 支援業務の費用と行政書士業務の費用が分けて示されるか |
| 複数の国籍・複数の拠点で採用する予定 | 多言語・複数事務所に対応する機関 | 実際にどの言語を誰が担当するか・拠点ごとの対応範囲 |
タイプで候補を絞ったら、次の7つのポイントで具体的に見比べてください。
比較ポイント7つ
以下は「優劣をつける」ためのランキングではなく、各機関について自社で確認すべき項目です。同じ項目で複数の機関を見比べる材料としてお使いください。
1. 対応言語
採用する人材の母国語で支援できるかは、最重要の確認点です。事前ガイダンスや生活オリエンテーション、相談・苦情対応などは、外国人材が十分に理解できる言語で行う必要があります。ベトナム語・インドネシア語・タガログ語や英語(フィリピン)・ミャンマー語など、自社が採用する国籍に合う言語に対応しているかを確認しましょう。外国人が十分理解できる言語での支援体制がないことは、登録支援機関の登録が拒否・取り消される事由にも当たります。
ここで一段深く確認したいのが、その言語を「誰が」担当するのかです。登録簿の対応可能言語欄は自己申告で、対応言語が1〜2言語のみの機関が46.9%を占めます。母国語対応をうたっていても、社内に常時いるスタッフが対応するのか、必要なときに外部の通訳へ依頼するのかで、深夜・休日のトラブル時の実効性は変わります。「その言語を担当するのは社内の方ですか、外部に依頼されますか」「その方は何名いますか」と具体的に尋ねましょう。
2. 対応分野・支援実績
自社の分野(介護・建設・外食など)での支援経験があると、現場で起きやすい相談に慣れています。ここで大切なのは、登録されていること自体は「実績」を意味しないという点です。出入国在留管理庁の調査では、過去1年間に支援した外国人が「0人」の登録支援機関が25.4%を占め、支援人数が「10人以下」の機関が最も多く(37.3%)でした。つまり、登録簿に載っていても稼働実績がほとんどない機関が一定数あります。
「同じ分野の経験」が効くのは、分野ごとに支援以外に必要な手続き・現場事情が違うからです。たとえば建設では建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録や建設特定技能受入計画の認定が絡み(特定技能 建設の登録支援機関の選び方)、介護では協議会への入会や訪問系サービスの取り扱いが問題になります(特定技能 介護の登録支援機関の選び方)。いずれも手続きの一部は委託しても受入企業の名義と責任に残るため、分野が違うと「どこまで頼めるか」の線が変わります。外食業・飲食料品製造業では機関自身が分野別協議会の構成員である必要があるほか、宿泊・外食のように接客の日本語が業務の中心になる分野では、入職後の日本語支援の比重が変わります。
そのため「実績がありますか」ではなく、当社と同じ分野で直近1年に何名を支援したか、その分野特有の手続きで担当する範囲はどこまでか、と分野を名指しで聞くと、経験の有無がはっきりします。あわせて、受け入れ人数や継続年数といった規模感に加えて、定着率や離職率を具体的な数字で示してもらうと、支援の質を判断しやすくなります。「これまで支援した人数」「そのうち契約期間の途中で離職した割合と主な理由」を聞き、自社のケースに近い実績があるかを確かめましょう。登録支援機関の全国的な分布や1機関あたりの支援規模は登録支援機関の統計データで詳しく解説しています。
3. 費用の透明性
月額の支援委託費に何が含まれ、何が別料金かを明確にしているかを確認します。出入国在留管理庁の集計では、特定技能外国人1人あたりの支援委託料(月額)の平均は28,386円で、全体の約9割が30,000円以下でした。金額の当たりをつけるには、平均値よりも分布を見るほうが実用的です。
- 5,000円以下0.9%
- 5,000円超〜10,000円以下6.4%
- 10,000円超〜15,000円以下9.5%
- 15,000円超〜20,000円以下25.3%
- 20,000円超〜25,000円以下26.2%
- 25,000円超〜30,000円以下20.3%
- 30,000円超11.5%
ボリュームゾーンは15,000円超〜25,000円以下(合わせて51.5%)で、30,000円超は11.5%です。見積もりがこの範囲から大きく外れている場合、安いほうへ外れていれば「月額に含まれない支援がある」、高いほうへ外れていれば「任意的支援や他のサービスが含まれている」可能性があります。どちらも良し悪しではなく、範囲の違いを確認する合図として使ってください。
なお、この金額に含まれる支援の範囲は機関ごとに異なります。事前ガイダンスや空港送迎などの初期支援を月額とは別の初期費用とする機関もあり、人材紹介を併せて受ける場合は紹介手数料が別にかかります。比較は、月額 × 想定期間 + 初期費用 + 紹介手数料の総額で行うのが確実です。費用の内訳は登録支援機関の費用相場、紹介手数料の水準は人材紹介手数料の相場、採用全体の費用は特定技能の採用費用・相場もあわせてご確認ください。
内訳を確かめるうえで有効なのが、費目ごとの金額を書面で出してもらうことです。登録支援機関が登録を申請する際には、出入国在留管理庁の様式「支援委託手数料に係る説明書」で、次の費目ごとに月額の金額と徴収時期(随時/定期)を記載し、合計を示す仕組みになっています。同じ粒度で見積もりを出してもらえば、機関ごとの違いが並べて分かります。
| 支援委託手数料に係る説明書(参考様式第2-8号)の費目 |
|---|
| ① 事前ガイダンス |
| ② 出入国する際の送迎 |
| ③ 適切な住居の確保・生活に必要な契約 |
| ④ 生活オリエンテーション |
| ⑤ 行政手続等への同行 |
| ⑥ 日本語学習機会の提供 |
| ⑦ 相談・苦情への対応 |
| ⑧ 日本人との交流促進 |
| ⑨ 転職支援 |
| ⑩ 定期的な面談・行政機関への通報 |
上の10費目それぞれに、月額の金額と徴収時期を書き入れ、合計を示すのがこの様式です。「予定費用」なので実際の契約額が一致していなければならないものではありませんが、登録支援機関は受け入れ企業に対して支援に要する費用の額とその内訳を示す必要があります。逆に言えば、内訳を示さない機関や、費用を外国人本人に負担させる機関は、登録が拒否・取り消される事由に当たります。見積もりで内訳を出せない機関には、契約前に理由を確認しましょう。
4. 支援の実施体制
登録支援機関には、支援を適正に実施するための支援責任者・支援担当者の選任が求められます(責任者と担当者の兼任は可能です)。この選任がないことは登録の拒否・取り消し事由に当たります。相談や定期的な面談を実際に誰が担うのか、担当者の人数、対応できる地理的範囲、緊急時の連絡先などを確認します。とくに緊急時の体制は「連絡先を教えてもらう」だけでは足りません。前述のとおり複数の事務所を持つ機関は5.1%で、多くは1か所から広域をカバーしています。「夜間・休日に連絡がつくのは誰か」「現場へ人が向かえる距離に拠点があるか、無い場合はどう対応するのか」まで確認しておくと、実効性のある体制かどうかが分かります。
体制の話は抽象的になりがちですが、義務的支援には公的に決められた頻度・時間の基準があります。見積書や提案書がこれを下回っていないかは、その場で照合できる客観的な物差しです。
| 支援 | 公的に定められた頻度・時間の基準 |
|---|---|
| 相談・苦情への対応 | 1週間当たり、勤務日に3日以上・休日に1日以上の対応体制 |
| 定期的な面談 | 支援責任者等が3か月に1回以上、本人・上司と実施 |
| 事前ガイダンス | 標準3時間程度(短縮する場合でも1時間に満たなければ適切に実施したとはいえない) |
| 生活オリエンテーション | 少なくとも8時間以上(生活環境に変化がない場合でも4時間に満たなければ適切に実施したとはいえない) |
担当者の人数を聞くときは、その担当者が何人の外国人材を見ているかまで確認すると負荷が見えます。登録支援機関1機関あたりの特定技能外国人数は全国平均で34.0人(登録支援機関の統計データ)で、都道府県によって大きな差があります。「担当者1人あたり何名を担当していますか」と聞き、上の頻度基準(3か月に1回以上の面談・週4日以上の相談対応)を人数分こなせる体制かを見ます。
これらの基準は下回ってはいけない線であって、上回るほど良いという指標ではありません。逆に言えば、「面談は年2回で十分です」といった説明が出てきたら、その時点で制度の基準と食い違っています。各項目の詳細は義務的支援10項目で解説しています。
5. 登録の有効性
登録支援機関は出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿で公開されており、登録の有効期間は5年(更新制)です。契約前に、次の手順で自分の目で確認できます。
登録簿(Excel)を開く
出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿のページから、Excelファイルをダウンロードします(随時更新されます)。
機関名または登録番号で検索する
候補の機関から聞いた登録番号(「19登-000002」のような形式)か、正式名称で検索します。見つからない場合は、名称が違うか、登録が抹消されている可能性があります(登録簿には抹消された機関は掲載されていません)。
登録年月日・対応可能言語・支援を行う事務所を見る
登録年月日から運営年数、対応可能言語の欄から届け出ている言語、事務所の欄から拠点を確認できます。問い合わせ時の説明と登録簿の記載が食い違っていないかを照合しましょう。
ただし、比較ポイント2で触れたとおり、登録の有効性は稼働実績を保証するものではありません。「行政処分を受けていないこと」も、4年間の取消しが14機関であることを踏まえれば、ほぼ全機関に当てはまる条件です。登録簿は「その機関が実在し、登録が有効である」ことの確認手段であって、質の比較には使えない、と割り切って使うのが正確な位置づけです。全国の分布や1機関あたりの支援規模は登録支援機関の統計データで整理しています。
6. 委託範囲(全部委託か一部か)
支援は全部を委託することも、一部を自社で行い残りを委託することもできます。自社で担う部分と委託する部分の線引きが明確で、過不足なく支援計画をカバーできるかを確認します。自社支援と委託の判断は自社支援か登録支援機関への委託かで整理しています。
あわせて、義務的支援(法令で定められた10項目)に加えて、任意的支援(日本語学習の上乗せやキャリア相談など、義務を超えた支援)をどこまで提供するかは機関ごとに差が出るところです。ここには登録簿で確かめられる手がかりがあります。登録簿の「支援業務の内容及びその実施方法」欄は「法令に定める支援内容及び実施方法」と「上記に加え、任意的な支援内容あり」の2段のチェック欄になっており、後者にチェックを入れて届け出ている機関は13.8%(1,587機関)です(2026年7月21日現在の登録簿を当サイトで集計)。
ただしこれは登録を申請した時点の届出であって、現在の提供内容や質を保証するものではありません。「手厚い支援」を求めるなら、届出の有無を出発点にしつつ、具体的に何を・どの頻度で・月額に含めて提供するのかを書面で確認してください。逆に、義務的支援に絞って費用を抑える方針の機関もあり、自社が必要とする範囲次第でどちらが適切かは変わります。
なお、在留資格の申請取次や申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域で、登録支援機関の義務的支援には含まれません。行政書士・行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け報酬を得て、業として官公署に提出する書類の作成を行うことは行政書士法第19条第1項で禁じられており、違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法第21条の2)。そのため、機関から「申請書類の作成もすべて任せられる」と説明された場合は、その体制が次のどれに当たるかを確認しておくとよいでしょう。
| 機関側の体制 | 確認すること |
|---|---|
| 行政書士・行政書士法人が母体、または有資格者が在籍 | 誰が担当するか・支援委託料とは別に費用が発生するか |
| 外部の行政書士と連携している | 連携先が決まっているか・費用が自社負担か機関の負担か |
| 連携先がない(自社で書類を作ると説明される) | 誰がどの範囲を担うのか。書類作成を報酬を得て請け負う説明であれば、法令上の位置づけを確認する |
7. コミュニケーション・相談のしやすさ
問い合わせへのレスポンスの速さ、定期報告の有無、相談窓口の分かりやすさなど、日常的なやり取りのしやすさも重要です。契約前の問い合わせ対応は、その機関の姿勢を見る材料になります。
ここで押さえておきたいのが、入管への定期届出と、機関から自社への報告は別物だという点です。定期届出は2025年4月1日施行の省令改正で四半期ごとから年1回に変わり、届出の様式も一本化されました(新ルールでの初回提出は2026年4月1日〜5月31日に行われ、以降も毎年度4月1日〜5月31日が提出期間です)。支援の実施状況は特定技能所属機関=受け入れ企業の届出に含めて提出する建て付けで、登録支援機関が単独で定期届出を出すわけではありません。つまり、年1回の届出だけに任せると、自社が支援の状況を把握できる機会は年に1度になります。「支援の実施状況をどの頻度で、どんな形式で共有してもらえますか」を契約前に決めておきましょう。
いつ・何社を比較する?選び方の手順
登録支援機関は、採用する人材の目処が立った段階で早めに複数社へ問い合わせて比較するのが基本です。支援計画の作成や在留資格の申請は登録支援機関のサポートを受けながら進めることが多く、契約先が決まっていないと採用手続き全体が滞りやすいためです。
採用方針が固まったら2〜3社に問い合わせる
自社の分野・採用予定人数・対応してほしい言語を伝え、支援内容と費用の見積もりを依頼します。1社だけでは費用や対応範囲が自社に合っているか判断できないため、同時に複数社へ問い合わせます。
同じ項目で見比べる
上の比較ポイント7つを同じ物差しにして、各社の回答を並べます。口頭の説明だけでなく、支援内容と費用を書面(見積書・支援委託契約書の案・費目ごとの内訳)で示してもらうと、後からの認識違いを防げます。
契約直前に条件を最終確認する
委託範囲・月額に含む支援・初期費用・最低契約期間などを確認します。契約前に見るべき具体的な項目や、そのまま使える確認の質問は登録支援機関との契約前チェックリストにまとめています。
逆算の目安になるのが在留資格の審査期間です。出入国在留管理庁が公表する在留審査処理期間(令和8年5月許可分)では、特定技能1号は在留資格認定証明書の交付が68.6日、在留資格変更が64.7日——いずれも2か月前後かかっています。ここに支援計画の作成や書類準備、海外から呼び寄せる場合は査証申請と入国・住居の準備が加わります。入社希望時期の4〜6か月前には機関の選定を始めておくと、手続きが理由で入社が遅れる事態を避けやすくなります(分野によっては建設特定技能受入計画の認定など固有の手続きが加わり、さらに前倒しが必要です)。
比較の進め方
複数の機関を同じ項目で並べると、違いが見えやすくなります。次の表を確認のチェックリストとしてお使いください。右の列は、問い合わせのときにそのまま使える質問文です。答えの内容そのものより、具体的な数字や書面で返ってくるかを見ると、機関ごとの違いが出ます。
| 確認項目 | 見るべきポイント | そのまま使える質問 |
|---|---|---|
| タイプ・出自 | 母体は人材会社系/協同組合系/士業系か・自社の求めるものに合うか | 「これまで主にどんな事業をされてきましたか」 |
| 対応言語 | 採用する国籍の母国語に対応できるか・担当するのは社内か外部か | 「◯◯語を担当されるのは社内の方ですか。何名いらっしゃいますか」 |
| 分野・実績 | 自社分野での支援経験・受け入れ規模・定着率/離職率を数字で示せるか | 「当社と同じ◯◯業で、直近1年に何名を支援されましたか。契約期間の途中で離職された割合は」 |
| 費用 | 月額の範囲(平均は月2.8万円程度・約9割が3万円以下)・初期費用・別料金の有無・費目ごとの内訳 | 「参考様式第2-8号の費目ごとに、月額と徴収時期を書面でいただけますか。月額に含まれない費用は何ですか」 |
| 実施体制 | 支援責任者・担当者の選任・担当者数・緊急時対応・公的な頻度基準を満たすか | 「定期面談は誰が、どの頻度で実施しますか。夜間・休日の相談はどの体制で受けていただけますか」 |
| 登録状況 | 登録簿での有効性(有効期間5年・更新制)・登録簿の記載と説明の一致 | 「登録番号を教えてください」(登録簿で照合する) |
| 委託範囲 | 全部/一部、自社との役割分担・任意的支援の有無・行政書士との連携 | 「義務的支援に上乗せして提供いただけるものはありますか。在留手続きの書類作成はどなたが担当されますか」 |
| 連絡・報告 | レスポンス・報告の頻度と形式・相談窓口 | 「支援の実施状況は、どの頻度でどんな形式で共有いただけますか」 |
制度から見た「避けたい機関」のサイン
「どの機関がよいか」を一律に決めることはできませんが、契約前に実態を確認しておきたいサインはいくつかあります。以下は特定の機関を格付けするものではなく、比較の際に自社で確かめるための観点です。参考として、出入国在留管理庁が登録の拒否・取り消し事由として挙げている項目にも触れます。
- 費用の内訳を示さない — 月額に何が含まれ、何が別料金かを説明できない場合、後から想定外の費用が積み上がることがあります。費用の内訳を示さないことは、それ自体が登録の拒否・取り消し事由です。見積書で費目ごとの内訳を確認しましょう(相場は登録支援機関の費用相場を参照)。
- 費用を外国人本人に負担させる — 支援に要する費用を直接・間接に外国人へ負担させることも登録の拒否・取り消し事由です。費用の負担者があいまいな説明には注意します。
- 対応言語や分野の実績を具体的に説明できない — 「多くの実績があります」だけで、対応言語や自社分野での支援経験・定着率を具体的に示せない場合は、実際に相談できる体制かを確認します。
- 支援の実施体制があいまい — 登録支援機関には支援責任者・支援担当者の選任が求められます。相談や面談を実際に誰が担うのか、緊急時に連絡が取れるかを確認しましょう。
- 登録簿で登録を確認できない — 登録支援機関は出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿に登録番号で掲載され、登録が有効か(有効期間5年・更新制)を確認できます。登録を確認できない場合は契約前に問い合わせましょう。
- 「申請取次や書類作成もすべて任せられる」と説明する — 在留資格の申請取次や書類作成は行政書士などの専門家の領域で、登録支援機関の義務的支援には含まれません。必要な場合に行政書士などの専門家と連携できる体制かを確認します。
- 契約の縛りを説明しない — 最低契約期間や中途解約の条件にも差があります。契約後にミスマッチが分かったときの変更手続きは登録支援機関の変更、契約条件の確認方法は契約前チェックリストにまとめています。なお外食業・飲食料品製造業など一部の分野では、機関自身が分野別の協議会の構成員である必要があり、その確認方法は変更の記事で解説しています。
よくある失敗
よくある失敗は、契約時点では見えず、採用後半年〜1年経ってから表面化するという共通点があります。
- 登録されているからと1社で決める — 登録の有無と稼働実績は別物です(過去1年の支援が0人の機関が約4分の1)。支援の経験が乏しい機関に当たると、想定していた手続きの段取りや現場対応が滞りがちです。タイプと実績を確認し、複数社を比較しましょう。
- 費用の安さだけで選ぶ — 月額が安い機関は、義務的支援に絞っていたり、同行支援や翻訳を都度の別料金にしていたりします。結果として年間の総額では割高になり、しかも「追加費用がかかるから頼みにくい」と支援を使わなくなる——これが最も起きやすい形骸化です。委託範囲と費目ごとの内訳とセットで比較しましょう。
- 対応言語を確認しない — 採用後に「母国語で相談できない」と判明すると、本人の悩みが表面化する前に離職につながります。通訳が都度手配の場合、緊急時ほど間に合いません。
- 連絡体制を確認しない — トラブル時に連絡が取れず対応が遅れると、離職や行方不明のリスクが高まります。夜間・休日にどこまで対応するのかは、契約前に必ず確認しておきましょう。
- 在留期間の更新スケジュールを機関任せにする — 更新の準備が遅れると、就労できない期間が生じかねません。誰がいつ着手するかを自社でも把握しておきましょう(在留期間と更新)。
- 合わないと分かってから乗り換えを考える — 変更には支援計画の変更届出などの手続きが必要で、切り替えの前後で支援が手薄になる期間が生じがちです。手順は登録支援機関の変更にまとめています。
支援がうまくいかないと、不利益は受け入れ企業に返ってくる
支援を全部委託しても、特定技能外国人を受け入れている当事者は自社です。届出の義務や、支援が適切に行われているかの最終的な責任は受け入れ企業に残ります。ここが機関選びを慎重に行う本当の理由です。
前掲の資料では、制度開始から4年間で特定技能所属機関(受け入れ企業)への実地調査は累計17,030件、受入れ停止措置は40機関でした。同じ4年間の登録支援機関への実地調査15件・登録取消し14機関と比べると、行政の確認は圧倒的に受け入れ企業側で行われていることが分かります(機関の母数が違う点は割り引く必要がありますが、件数の規模がまったく異なります)。委託先の支援が形だけになっていた場合でも、届出や支援計画の履行を問われるのは自社です。
「委託したから任せきりでよい」とはならない——この前提に立つと、比較の重点は「安いか」ではなく「支援の実施状況を自社が確認できる状態を作れるか」に移ります。採用全体でつまずきやすいポイントは特定技能採用でよくある失敗と注意点で解説しています。
まとめ
登録支援機関選びは、①候補プールの実数を知る → ②タイプで見当をつける → ③7つのポイントで同じ物差しで比べるの順に進めます。登録されていること自体は稼働実績も質も意味せず(過去1年の支援が0人の機関が25.4%、登録機関の半数は支援委託契約を結んでいない〔令和5年4月末時点〕、4年間の登録取消しは14機関)、実質的な選別は企業側の確認で行うことになります。一方で候補は思うより少なく、地域と母国語で絞ると数機関という組み合わせもあるため、広域対応の機関も候補に入れて母数を確保するのが現実的です。費用は金額だけでなく費目ごとの内訳とセットで見て、実施体制は公的に定められた頻度・時間の基準と照らします。費用の内訳を示さない・費用を外国人に負担させる・支援体制がない、といった機関は登録の拒否・取り消し事由にも当たるため、契約前に実態を確かめましょう。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、登録支援機関の役割は登録支援機関とはをご覧ください。契約直前の具体的な確認は登録支援機関との契約前チェックリストが便利です。
「自社の分野・地域・対応言語に合う登録支援機関を比較したい」——そんなときは、条件に合う登録支援機関を無料でご紹介します。複数を比較する材料としてもお使いいただけます(提携先のサービスをご紹介しています)。
よくあるご質問
- 登録支援機関はどう選べばよいですか?
- まず機関のタイプ(人材会社系・協同組合系・行政書士など士業系など)で見当をつけ、そのうえで採用する人材の母国語に対応できるか、自社の分野での支援実績があるか、月額費用に何が含まれるか、トラブル時に迅速に対応できる体制か、を同じ項目で複数機関を比較するのが基本です。出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿で登録が有効か(登録の有効期間は5年・更新制)も確認できます。
- 登録されている機関ならどこでも安心して任せられますか?
- 登録の有無と、実際の支援実績は別物です。登録支援機関の登録は、13の登録拒否事由に当たらなければ認められる仕組みで、支援の質を審査して選抜する制度ではありません。出入国在留管理庁の調査では、過去1年間に支援した外国人が「0人」の登録支援機関が約4分の1(25.4%)を占め、令和5年4月末時点では登録8,137機関のうち受け入れ企業と支援委託契約を結んでいたのは4,069機関(50%)でした。制度開始から4年間の登録取消しも14機関にとどまります。登録簿での有効性は必ず確認しつつ、それに加えて自社分野での支援実績・体制・費用の内訳を具体的に説明できるかまで確かめることが大切です。
- 自社の地域に対応できる登録支援機関が少ない場合はどうすればよいですか?
- 登録簿を「支援を行う事務所」の所在地で集計すると、都道府県と母国語の組み合わせによっては対応機関が数機関という地域があります(たとえば秋田県にネパール語対応の事務所を置く機関は1機関、宮崎県でミャンマー語なら7機関)。複数の事務所を持つ機関は全体の5.1%しかないため、「近くに拠点があること」を必須条件にすると候補がほとんど残らないこともあります。この場合は、事務所が県内になくても遠隔で対応する機関を候補に入れて母数を確保し、定期的な面談を訪問で行うのかオンラインで行うのか、緊急時に誰がどれくらいの時間で動けるのかを具体的に確認するのが現実的です。
- 登録支援機関の委託費用の相場はいくらですか?
- 出入国在留管理庁の集計では、特定技能外国人1人あたりの支援委託料(月額)の平均は28,386円で、全体の約9割が30,000円以下でした。金額帯では20,000円超〜25,000円以下が最多です。ただし月額に含まれる支援の範囲は機関ごとに異なり、初期費用が別途かかる場合もあるため、金額だけでなく委託範囲もあわせて比較してください。
- 登録支援機関を途中で変更できますか?
- 変更は可能ですが、支援計画の変更届出など所定の手続きが必要で、外国人材の生活にも影響します。最初の選定時に対応言語・実施体制・連絡のしやすさを確認し、ミスマッチを避けることが大切です。手続きの詳細は登録支援機関の変更の記事で解説しています。
- 注意したほうがよい登録支援機関の特徴はありますか?
- 費用の内訳や月額に含む支援範囲を明示しない、対応言語や自社分野での支援実績を具体的に説明できない、支援を担う責任者・担当者の体制があいまい、といった機関は契約前に実態をよく確認しましょう。費用の内訳や支援体制の未整備、費用を外国人本人に負担させることは、いずれも登録支援機関の登録が拒否・取り消される事由に当たります。なお申請取次や書類作成は行政書士などの専門家の領域です。