特定技能の維持費・ランニングコスト|採用後に毎年かかる費用を解説
目次
特定技能の費用というと採用時の初期費用に目が向きがちですが、特定技能1号の受け入れは、採用したあとも毎年コストがかかり続けます。結論を先に言うと、支援を登録支援機関に委託する場合、2年目以降は1人あたりおおむね年25〜37万円程度が目安で、これに在留期間の更新がある年は手数料や書類作成費が上乗せされます。さらに、お金そのもの以外に**届出や定期面談といった「続く事務・支援の負担」**も発生します。このページで、採用後にかかる維持費・ランニングコストの全体像を整理します。
この記事の要点
- 採用後の費用は3種類 — ①毎月かかる(登録支援機関への支援委託費)②更新のたびにかかる(在留期間の更新)③続く事務・支援の負担(届出・定期面談)。これに法定福利費などが加わります。
- 2年目以降の目安は1人あたり年25〜37万円程度 — 中心は月額委託費(月2〜3万円程度)。更新がある年は手数料(窓口6,000円・オンライン5,500円)と書類作成費が加わります。
- 「続く負担」は2026年に変わった — 受入れ機関の定期届出は2026年4月から年1回に簡素化。定期面談は3か月に1回以上が必要です。
本記事の金額は、各社が公開する料金情報など一般的な市場水準をもとにした目安であり、国の調査による公的な統計値ではありません(国に納める手数料など、公的に定められた金額はその旨を明記しています)。実際の費用は、分野・地域・委託範囲・各事業者の料金体系によって変動します。正確な金額は見積もりで確認してください。
採用時の初期費用や総額(初年度いくらか)は特定技能の採用費用・相場|総額はいくら?内訳で解説で整理しています。このページは、そこから先の**「採用後に毎年かかり続ける費用」**に絞って掘り下げます。
採用後にかかる費用は「3種類」で考える
特定技能1号を受け入れたあとのコストは、性質の違う3種類に分けると整理しやすくなります。
- 毎月かかる費用 — 登録支援機関への支援委託費(自社で支援する場合はその人件費)。
- 更新のたびにかかる費用 — 在留期間の更新申請の手数料・書類作成費。
- 続く事務・支援の負担 — 受入れ機関としての届出、義務的支援の継続(定期面談など)。
これに、社会保険などの法定福利費が日本人の雇用と同じく加わります。順に見ていきます。
毎月かかる:登録支援機関への支援委託費
特定技能1号には生活面などの**義務的支援(10項目)**が義務づけられており、これを登録支援機関に委託すると毎月の委託費がかかります。支援は登録支援機関に全部委託できますが、委託しても受入れ機関(企業)としての義務がなくなるわけではありません。
委託費は1人あたり月額で設定されるのが一般的で、**1人あたり月15,000〜30,000円程度(月2〜3万円程度)**が一つの目安です。これは市場水準をもとにした目安で、国が定めた相場や上限はありません。委託費が変わる要因や料金の内訳の見方は登録支援機関の費用相場|委託料の月額・内訳と注意点で詳しく整理しています。
なお、義務的支援の一部を自社で担えば月額を圧縮できますが、その場合は多言語での相談対応や、苦情・相談に公平に応じられる担当者など、義務的支援の要件を満たす体制を自社で整える必要があり、その人件費は別途かかります。自社支援と委託の比較は特定技能は自社支援?委託?で整理しています。
更新のたびにかかる:在留期間の更新費用
特定技能1号は、在留期間ごとに更新申請が必要で、通算で最長5年(一定の要件を満たす場合は6年)在留できます。更新のたびに、次の費用がかかります。
| 費目 | 中身 | 金額 |
|---|---|---|
| 在留期間更新許可申請の手数料 | 国に納める手数料(収入印紙またはオンライン納付) | 窓口6,000円/オンライン5,500円(2025年4月1日以降の受付分。改定前は4,000円) |
| 申請書類の作成・申請取次の報酬 | 行政書士などの専門家に依頼する場合 | 数万円程度が目安(依頼する場合) |
手数料は1人あたり1回でみれば大きな額ではありませんが、人数が増え、在留期間ごとに繰り返し発生する点で、継続コストとして見込んでおく必要があります。なお、在留資格の申請書類の作成・申請取次は行政書士などの専門家の領域であり、登録支援機関の業務(支援計画の策定・支援の実施)には含まれません。必要に応じて行政書士などの専門家と連携します(当サイトは代行を行いません)。
通算5年の上限や、その先も働き続けてもらうための特定技能2号との違いは特定技能1号・2号の違いと2号でできることで解説しています。
続く事務・支援の負担:届出と定期面談
お金として見えにくいものの、続く事務・支援の負担も実質的なランニングコスト(人の手間)です。
- 定期届出 — 受入れ機関は、受け入れ状況などを定期的に出入国在留管理庁へ届け出ます。2026年4月1日から、この定期届出は年1回に変更されました(対象期間は4月1日〜翌年3月31日、提出期限は翌年5月31日)。それまでの四半期ごとの届出は2025年4月提出分が最後で、事務負担は軽くなりました。
- 随時届出 — 雇用契約の変更・終了、支援内容や支援委託契約の変更などがあったときは、定期届出とは別に随時の届出が必要です。
- 定期面談 — 義務的支援として、支援責任者などが特定技能外国人と上司などに3か月に1回以上の定期面談を行います。
これらは支援を登録支援機関に委託していれば多くを代行してもらえますが(その費用は月額委託費に含まれるのが一般的)、自社で支援する場合は自社の工数として継続的にかかります。届出を怠ると特定技能外国人を受け入れられなくなるため、期限管理は欠かせません。
忘れやすい継続コスト:法定福利費・帰国旅費など
上記のほかに、見落としやすい継続的な費用があります。
- 法定福利費(社会保険・労働保険) — 日本人を雇用する場合と同じく、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の事業主負担が発生します。特定技能では報酬を日本人と同等額以上にすることが受け入れの要件であり、人件費そのものが継続コストの最大の要素です(受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件・条件を参照)。
- 帰国旅費の確保 — 義務的支援には、外国人が帰国時に旅費を負担できない場合に企業が負担することが含まれます。発生しないこともありますが、可能性として見込んでおきます。
- 分野別協議会 — 受け入れにあたり、分野別協議会の構成員になる必要があります(在留諸申請の前に加入)。加入の手続きや費用の有無は分野(所管省庁)によって異なるため、自社の分野の協議会で確認してください。多くは初回の手続きですが、分野により負担金が設定されている場合があります。
2年目以降の年額モデル(目安)
採用後の1年あたりの費用を、支援を委託する前提でモデル化すると、おおむね次のようになります。
| 費目 | 年あたりの目安 |
|---|---|
| 支援委託費(月2〜3万円×12か月) | 約24〜36万円 |
| 在留期間の更新(更新がある年のみ) | 手数料6,000円+書類作成を依頼する場合は別途数万円 |
| 届出・定期面談 | 委託費に含まれるのが一般的(自社支援なら工数) |
| 法定福利費 | 賃金に応じて別途(日本人雇用と同様) |
| 2年目以降の合計目安(人件費・法定福利費を除く運用コスト) | おおむね年25〜37万円程度/人 |
上記は委託前提のモデルケースで、賃金・法定福利費(人件費)は含めていません。実際の費用は委託範囲・分野・地域・各社の料金体系で変わります。初年度の総額(初期費用+月額×12か月)の概算は特定技能の採用費用・相場のシミュレータで試算できます。
維持コストを抑えるには
- 委託範囲を見直す — 自社でできる支援と委託する支援を切り分けると、月額の委託費を調整できます。ただし義務的支援の要件を満たす体制が前提です。
- 在留期限を管理する — 更新の遅れは余計な手間やコストにつながります。複数人を受け入れる場合は、在留期限の一覧管理が有効です。
- 複数の見積もりを比較する — 登録支援機関によって委託費の額と含まれる支援の範囲は異なります。選び方は登録支援機関とは?役割・委託でできること・費用もあわせてご確認ください。
まとめ
特定技能の採用後にかかる維持費・ランニングコストは、①毎月の支援委託費(月2〜3万円程度が目安)②在留期間の更新費用(手数料は窓口6,000円・オンライン5,500円)③届出・定期面談などの続く負担が大枠で、これに法定福利費が加わります。支援を委託する場合、2年目以降は1人あたりおおむね年25〜37万円程度(人件費を除く)が目安です。2026年4月からは定期届出が年1回に簡素化され、事務負担は軽くなりました。
採用時の初期費用や総額は特定技能の採用費用・相場を、制度の全体像は特定技能で外国人を採用するには?完全ガイドをご覧ください。
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よくあるご質問
- 特定技能の採用後、毎年いくらかかりますか?
- 支援を登録支援機関に委託する場合、2年目以降は1人あたりおおむね年25〜37万円程度(月額委託費2〜3万円×12か月=年24〜36万円が中心)が目安です。これに在留期間の更新がある年は更新手数料や申請書類の作成費が加わります。金額は委託範囲・分野・地域で変わる目安で、公的な統計値ではありません。
- 在留期間の更新にはいくらかかりますか?
- 在留期間更新許可申請の手数料は、2025年4月1日以降の受付分で窓口6,000円・オンライン5,500円です(改定前は4,000円)。これは国に納める手数料で、申請書類の作成や申請取次を行政書士などの専門家に依頼する場合は別途その報酬(数万円程度が目安)がかかります。特定技能1号は在留期間ごとに更新申請が必要で、通算で最長5年です。
- 特定技能の届出は今も四半期ごとに必要ですか?
- 受入れ機関の定期届出は、2026年4月1日から年1回に変更されました(対象期間は4月1日〜翌年3月31日、提出期限は翌年5月31日)。四半期ごとの届出は2025年4月提出分が最後でした。なお、雇用契約や支援内容の変更などがあったときの随時届出は、これとは別に必要です。
- 維持コストを抑える方法はありますか?
- 自社で担える支援と委託する支援を切り分けて委託範囲を見直す、在留期限の管理を徹底して更新の遅れや追加コストを防ぐ、複数の登録支援機関の見積もりを比較する、といった方法があります。ただし自社支援には義務的支援の要件を満たす体制が必要で、その人件費は別途かかります。