特定技能「建設」とは|JAC加入と建設特定技能受入計画の認定
目次
特定技能「建設」は、土木・建築・ライフライン設備の3区分の作業を対象に、1号・2号の両方が用意された分野です。ただし建設は特定技能の中でも企業側の手続きが特に多い分野で、「試験に合格した人を採れば終わり」ではありません。結論を先に言うと、本人の試験・日本語の要件に加えて、建設業の許可・建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録・建設技能人材機構(JAC)への所属・建設特定技能受入計画の国土交通大臣の認定という建設ならではの前提を企業側が整える必要があります。そのうえで、受入計画の認定申請と在留資格の申請は並行して進められます。
この記事の要点
- 本人の要件は試験+日本語 — 技能実習2号を良好に修了した人は、日本語試験は職種を問わず免除、技能試験は対応する職種・作業のときだけ免除されます。
- 企業側の前提は4つあり、受入計画を申請する時点で完了していること — 建設業の許可・CCUSの登録・JAC(建設技能人材機構)への加入(正会員団体の会員か賛助会員かのどちらかで必須)・受入計画の認定で、加入・登録に数か月かかるものが含まれます(建設特有の受け入れ手続き)。
- 業務区分は土木・建築・ライフライン設備の3つ — 自社の建設業許可の業種との一致は求められず、認定を受けた区分に含まれる工事であれば従事させられます(対象となる業務区分)。
- 枠は76,000人、在留者は52,132人(2026年6月末・速報値) — 枠は5年間の受入れ上限、在留者数はある時点の人数で、性質の異なる数字です。
- 特定技能2号まで道がある — 1号→班長→2号を制度として描ける分野です。2号は日本語もB1相当以上が求められます。
- 登録支援機関に委託しても、自社の名義で残る手続きがある — 受入計画の変更申請は登録支援機関が代理人になれず(代理は弁護士・行政書士に限られます)、CCUSの登録とJACへの入会申請も自社の名義で行います(登録支援機関の活用と自社に残る手続き)。
本記事は一般的な情報提供です。建設分野の要件・対象業務の範囲・受入計画の認定基準は変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁および国土交通省の分野別の運用方針・運用要領で必ず確認してください。
建設分野の特定技能はここが特徴
建設分野の特徴は、1号・2号の両方が用意されている一方で、企業側に建設だけの前提と手続きが課されている点にあります。ほかの分野と比べて違うところを先に押さえます。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 長期就労を前提に2号まで設計されている分野です。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで解説しています。
- 雇用形態は直接雇用に限る — 分野別運用方針で「直接雇用に限る」と定められており、派遣で受け入れることはできません(農業・漁業のような派遣の枠は建設にはありません)。[1]
- 企業側の前提が4つある — 受入計画を申請する時点でそろっている必要があり、加入手続きに時間がかかるものも含まれます。中身と実務上の注意は建設特有の受け入れ手続きで扱います。
- 下請で受け入れる場合は元請の確認が入る — 元請企業が現場管理の責任を負うため、特定技能所属機関が下請企業である場合、元請企業が、その特定技能外国人の在留資格と従事の状況(従事させる業務の内容・期間)を確認することとされています。[1]この確認のために国土交通省は元請向けに「特定技能制度に関する下請指導ガイドライン」と「一号特定技能外国人建設現場入場届出書」の様式(記載例・建設特定技能受入計画認定証のサンプルつき)を示しており、1号特定技能外国人が現場に入場するときに、下請の受入企業がこの届出書を元請に出して確認を受ける運用です(対象は「特定技能1号」で建設業務に従事する人の現場入場のみ。旧区分で在留中の人については「業務区分の読み替え表」で読み替えます)。[2]
- 受け入れの枠は大きいが、2026年に引き下げられた — 建設分野の1号特定技能外国人の受入れ見込数は、令和6年度から令和10年度末までの5年間で76,000人です(令和8年1月23日の閣議決定で、当初の80,000人から引き下げられました)。[3]枠は受け入れの上限として運用され、上限に達すると新規の受け入れが一時停止されることがあります(特定技能の受け入れ停止)。
- 実際に働いている人数は52,132人 — 建設分野の特定技能1号の在留者数は52,132人(2026年6月末・速報値)で、1年間で8,533人増えました。ここで注意したいのは、受入れ見込数76,000人と在留者数52,132人は割り算できる関係ではないことです。前者は「令和6年度からの5年間で受け入れる人数の上限」、後者は「ある時点で日本にいる人数」で、期間の取り方が違います(出入国在留管理庁は同じ資料で「受入れ見込数の充足率68.6%」という指標もあわせて公表しています)。[4]分野別の内訳と推移は特定技能の統計データで整理しています。
76,000人は「分野全体の縮小」ではありません。 同じ閣議決定で建設は育成就労産業分野にも位置づけられ、育成就労の受入れ見込数123,500人が新設されました。合わせた分野全体の受入れ見込数は199,500人で、令和6年3月設定時の特定技能80,000人より増えています。枠が特定技能と育成就労に振り分けられた形です。なお、出入国在留管理庁の分野別ページの一覧には更新前の80,000人が掲載されたままです(2026年7月29日確認)。
建設で必要な試験
建設で特定技能1号の外国人を受け入れるには、本人が技能・日本語の2つの水準を満たしている必要があります。
- 技能水準 — 「建設分野特定技能1号評価試験」または業務区分に対応する「技能検定3級」の合格。
- 日本語能力水準 — 分野別運用方針では「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上と定められています。[1]これを確認する具体的な試験は運用要領 別表6-1で示されており、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)N4以上です。水準と各試験の対応は特定技能の試験(日本語試験の節)で解説しています。
「技能検定3級」ルートで受け入れられる職種は、分野別運用方針の別表1で業務区分ごとに定められています。候補者が持っている技能検定で採用できるかは、この表で判定できます。[1]
| 業務区分 | 対応する技能検定3級の職種 |
|---|---|
| 土木 | 型枠施工、鉄筋施工、とび、造園、塗装 |
| 建築 | 型枠施工、左官、かわらぶき、鉄筋施工、内装仕上げ施工、とび、建築大工、建築板金、塗装、ブロック建築、広告美術仕上げ、シャッター施工 |
| ライフライン・設備 | 配管、建築板金、冷凍空気調和機器施工 |
技能実習2号を修了していれば全部免除、ではない
技能実習2号を良好に修了した人の免除は、日本語と技能で条件が違います。
- 日本語試験 — 修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず免除されます(運用要領 別表6-1 注2)。[5]
- 技能試験 — 運用要領 別表6-1で業務区分ごとに定められた職種・作業を修了した場合に限って免除されます。「良好に修了」の判定(技能検定3級相当の合格か、評価調書のどちらか)は特定技能の試験(良好修了の節)で解説しています。
試験そのものの実務——試験の形式・受験料・分野別の合格率・海外の実施国——は特定技能の試験で解説しています。
技能実習と異なる職種の特定技能へ移行する場合は、従事しようとする業務区分の技能試験(特定技能1号評価試験または技能検定3級)に合格すれば移行でき、国土交通省はこの場合について「日本語能力試験の合格は要件ではありません」としています。技能実習からの移行は建設でも主要なルートですが、「実習を修了していれば無条件で無試験」ではありません(技能実習から特定技能への移行)。
技能試験が免除される技能実習2号の職種は、業務区分ごとに次のように定められています(主な例。土木・建築・ライフライン設備という3区分の中身は次の節で扱います)。
| 特定技能の業務区分 | 技能試験が免除される技能実習2号の主な職種 |
|---|---|
| 土木 | さく井、型枠施工、鉄筋施工、とび、コンクリート圧送施工、ウェルポイント施工、建設機械施工、鉄工、塗装、溶接 |
| 建築 | 建築板金、建具製作、建築大工、型枠施工、鉄筋施工、とび、石材施工、タイル張り、かわらぶき、左官、内装仕上げ施工、表装、サッシ施工、防水施工、コンクリート圧送施工、築炉、鉄工、塗装、溶接 |
| ライフライン・設備 | 建築板金、冷凍空気調和機器施工、配管、熱絶縁施工、溶接 |
対応は職種名だけでなく作業単位で定められています(例:建設機械施工なら押土・整地作業、積込み作業、掘削作業、締固め作業)。職種名が一致していても、修了した作業が別表に載っていなければ免除にはなりません。採用候補者の技能実習修了証で、職種と作業の両方を確認してください。
対象となる業務区分
建設分野で従事できる業務は、2022年8月の再編後、「作業の性質」による3つの区分に整理されています(現場の種類ではなく、どんな作業を行うかで区分が決まります)。
- 土木 — 土木施設(道路・河川堤防・港湾施設など、建築物以外の工作物)の新設・改築・維持・修繕に関する作業。型枠施工、コンクリート圧送、建設機械施工、土工、鉄筋施工、とび など。
- 建築 — 建築物(屋根と柱または壁を有するもの)の新築・増築・改築・修繕に関する作業。型枠施工、左官、屋根ふき、鉄筋施工、内装仕上げ、とび、建築大工、建築板金 など。
- ライフライン・設備 — 電気・ガス・水道・電気通信などライフライン・設備の整備・設置・変更・修理に関する作業。配管、建築板金、保温保冷 など(電気通信は制度再編で本区分に統合されています)。
区分が決まると、その区分の範囲でできることも決まります。実務でよく問題になる3点を押さえておきます。
- 関連業務への付随的な従事は差し支えない — 作業準備・運搬・片付けのように、試験等によって専門性を確認されない業務でも、その業務に従事する日本人が通常あわせて行うものであれば、付随的に従事させることができます(分野別運用方針 第二2(1))。
- 区分内なら未経験の作業にも従事できる — 当該業務区分に含まれる作業であれば、技能実習等で経験している職種以外の作業に従事させることも可能です。ただし十分な訓練や安全衛生教育を含む各種研修等の実施が前提とされています(2023年版Q&A 1-5=2025年版では1-7)。[6]
- 複数区分の同時取得はできる。後からの区分変更は条件つき — 区分をまたがる場合は、両方の区分を取得することも可能です(国土交通省の「新区分における在留資格申請の考え方」は、両区分を「○○及び○○」の形で記載する例を示しています)。後から別の区分へ移るときは、業務区分をまたがる職種の場合に限り、本人が所有する資格等の有効期限の範囲内で無試験で移行できます。それ以外の場合は、移行する業務区分に応じた試験に合格する必要があります(2023年版Q&A 6-2)。いずれの場合も、区分の変更には原則として国土交通省の計画認定の変更が必要で、そのうえで入管へ届出や在留資格変更申請を行います。なお2022年の区分統合の経過措置として、旧区分で在留していた特定技能外国人は新区分に自動的に振り分けられ、区分をまたがる職種の場合は両区分が付与されます(旧区分で申請中だった人も同じ扱い)。[7]
業務区分と建設業許可は、別のレイヤー
区分を確認するときは、2つの層を分けて考えると混乱しません。
- どの区分の在留資格を取るか — 作業の性質による3区分(土木・建築・ライフライン設備)。試験や技能実習の対応関係で決まります。
- その区分でどの工事に従事させられるか — 建設業法上の29業種との対応。国土交通省の「特定技能業務区分-建設業許可対応表」で、区分ごとに従事できる建設業の種類が示されています。[8]
そのうえで、国土交通省は特定技能外国人に従事させる業務と、自社が取得している建設業許可の業種の一致は求めていないとしています。在留資格上の業務区分に含まれる工事であれば、会社が建設業法上で許可を受けている工事の種類を問わず従事させることが可能です(建設特定技能受入計画 新規申請の手引き・書類No.2)。対応表が拘束するのは「区分ごとに従事できる工事の範囲」であって、「自社の許可業種と外国人の業務の一致」ではありません。
対応表の見え方は、作業レベルの整理とそのまま一致するとは限りません。たとえば配管は作業としてはライフライン・設備区分に専属ですが、許可業種の「管工事業」は建築とライフライン・設備の両方に対応しています。対応表(2025年1月31日版・専門工事27業種)を区分側から整理すると次のとおりです。[8]
| 認定を受けた業務区分 | 従事させられる建設業許可の業種(○が付く業種) |
|---|---|
| 土木のみ | さく井、舗装、しゅんせつ、造園 |
| 土木・建築の両方 | 大工、とび・土工、鋼構造物、鉄筋、塗装、防水、石、機械器具設置 |
| 建築のみ | 内装仕上、建具、左官、タイル・れんが・ブロック、清掃施設、屋根、ガラス、解体 |
| 建築・ライフライン設備の両方 | 板金、熱絶縁、管 |
| ライフライン設備のみ | 電気、電気通信、水道施設、消防施設 |
土木一式・建築一式の2業種は対応表に挙がっていません(表が対応させているのは専門工事27業種です)。自社の許可業種の行に○が付く区分で認定を受ければ、その業種の工事に従事させられます。
解体工事はどの区分?
解体工事に伴う作業は、建設業許可(建設業法上の29業種)との対応関係の整理上、「建築」区分に位置づけられています(土木・ライフライン設備区分の対応工事業には含まれません)。なお、運用要領 別表6-1が定める免除対象の技能実習2号職種に解体工事を対象とするものはないため、技能実習2号修了による技能試験の免除ルートはなく、建設分野特定技能1号評価試験(建築区分)への合格が必要です。
建設で採用を決めてから就労開始までの進め方
建設の段取りは、企業側の4つの前提を先に完了させてから、受入計画と在留資格の申請に進むのが基本形です。時間がかかるのは前半(加入・登録)と、認定の審査期間です。
建設業の許可と、監督処分の有無を確認する
建設業法第3条の許可と、過去5年間の監督処分の有無を確認します。JACの正会員団体に加入するか、JACの賛助会員になる
JAC(建設技能人材機構)に企業が直接入る区分は賛助会員で、正会員は建設業者団体です。会員証の発行までに時間がかかるため、特定技能の利用を決めた時点で最初に着手する項目です。CCUSの事業者登録を済ませる
受け入れる外国人本人の技能者登録も必要です(海外在住の場合は入国後)。人材を確保し、雇用契約を結ぶ
ハローワークでの人材募集が認定条件に含まれます。添付する求人票は申請日から直近1年以内・フルタイム(正社員)・特定技能外国人に従事させる業務と同じ作業員の募集であることが条件で、ハローワークに求人を出したことがなければ一度出して求人票を取ります。[9]JACのQ&Aは、求人誌・求人サイトでの募集は代替にならないこと、技能実習からの移行でも求人票(またはこれに類する書類)が必要なことを明記しています。[10]雇用契約の前に、本人が十分に理解できる言語で重要事項を説明することも求められます(「雇用契約に係る重要事項事前説明書」(告示様式第2)は認定申請の添付書類で、雇用条件書と同じ内容である必要があります)。国内から採るか海外から呼び寄せるかで準備期間も費用も変わります(特定技能の採用の流れ(国内採用と海外採用))。建設特定技能受入計画の認定を申請する
外国人就労管理システムからのオンライン申請です。技能実習から継続して移行する人は技能実習計画の修了期日の6か月前から、それ以外は雇用開始日の概ね6か月前から申請できます。この認定申請と在留資格の申請は並行して進められますが、認定が出ない限り入管の許可等は出ません(認定証が入管への申請の添付書類になるためです)。在留資格を申請する
在留資格認定証明書の交付申請・変更許可申請は、就労開始を希望する日の2〜3か月前が目安とされています。報酬を得て業として行う申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(提出=申請取次は、変更・更新なら承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。入国・就労開始と受入報告
受入れ後の講習と、計画履行の確認を受ける
ステップ1〜3の中身は建設特有の受け入れ手続きで詳しく扱います。所要期間の見当は、公表されている3つの数字から逆算できます。前提となるJACの会員証は、建設業者団体経由だと申込みから発行まで数か月〜半年かかる団体もあり(直接加入の審査は毎月25日締め・翌月第2営業日承認)、受入計画の認定は申請から1か月半〜2か月程度(補正期間を除く。地方によってはさらに数か月)、入管への申請は就労開始希望日の2〜3か月前が目安です。会員証とCCUSの事業者登録は受入計画を申請する前提なので直列に、受入計画の認定申請と在留資格の申請は並行に進みます。国土交通省が「雇用開始日の概ね6か月前から申請できる」としているのは、後半の2つを同時に走らせても半年程度の助走を見込む前提と読めます。団体ルートの会員証発行に時間がかかる場合はその分を前に足し、補正が入ればさらに延びるため、就労開始日から逆算して余裕を持たせてください(団体ルートと直接加入の費用差=待つか先に賛助会員で払って早めるかの判断は建設の特定技能 採用費用・相場で整理しています)。[15]
外国人就労管理システムで申請を「引き戻し・再編集」すると、当初の申請日ではなく再申請の日の順で審査が開始されます。書類の不備で引き戻すと、その分だけ順番が後ろに下がります。
建設特有の受け入れ手続き
建設だけに課される前提は、建設業の許可・CCUSへの登録・JACへの所属・建設特定技能受入計画の認定の4つです。ここからその中身を順に見ます。いずれも受入計画を申請する時点で完了している必要があります。
これらの条件は「受け入れる企業ごと」にかかります。 特定技能では本人が同じ分野の別の企業へ移ること(所属機関の変更)が制度上あり得ますが、建設の場合、受け入れ先になる企業の側も、建設業の許可・JACへの所属・自社名義の受入計画の認定を満たしている必要があります。国土交通省の申請の手引きも、他社から移籍してくる人を受け入れるケースを想定した記載を置いています。本人が要件を満たしていても、受け入れ側が整っていなければ着任できない——これは中途で人を迎えるときにも、自社が育てた人材が他社に移るときにも効いてくる構造です。
1. 建設業の許可
受け入れ企業は、建設業法第3条の許可を受けている必要があります。JACのQ&Aは、請負代金が500万円未満の軽微な工事のみを行う企業であっても「特定技能の受入れにあたっては建設業法第3条の許可は必須」と案内しています=軽微な工事だけを請け負っていて許可を持たない企業は、先に許可を取らないと受け入れられません。[10]加えて、建設特定技能受入計画の申請日前5年以内、およびその申請の日以後に、建設業法に基づく監督処分(同法第29条第1項第5号による処分を除く)を受けていないことが条件です。[12]指示処分・営業停止処分・取消処分のいずれも対象で、国土交通省は申請前に「国交省ネガティブ情報サイト」等での確認を案内しています。許可の更新中で新しい許可証が届いていない場合は旧許可証と更新許可申請書の写しで申請できますが、更新が不許可になると認定後であっても認定は取り消されます。[9]
2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
受け入れ企業(事業者登録)と、受け入れる特定技能外国人(技能者登録)の双方を登録します。事業者登録は完了している必要があり、登録申請中では受入計画の申請ができません。登録には一定の時間がかかるため、制度の利用を決めた時点で申請しておく項目です。
技能者登録には簡略型と詳細型があります。どちらでも登録はできますが、能力評価のレベル判定は詳細型でしか受けられません。2号への移行や、CCUSのレベルアップを昇給・資格手当の条件にすることを考えているなら、最初から詳細型で登録しておくことが国土交通省の手引きでも勧められています(簡略型で登録しておき、レベル判定を受ける前に詳細型へ変更することも可能です)。申請時点で海外に居住している外国人の場合は、在留カードが交付されてから技能者IDを取得する順序になります。
3. JAC(建設技能人材機構)とは——加入は必須、正会員団体経由か賛助会員か
JAC(一般社団法人建設技能人材機構)は、建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業が必ず所属することになる、国土交通大臣の登録を受けた「特定技能外国人受入事業実施法人」です。 2019年(平成31年)4月1日に設立・登録され、建設業者団体を正会員として構成されています。[16][2]他の分野で受入れ企業に求められる分野別協議会への加入(特定技能の対象分野一覧)に当たるものが、建設ではこのJACへの所属です——国土交通省が設置する協議会の構成員になるのはJACで、企業はJACへの所属を通じてそこに連なります。[12]
企業から見たJACの役割
企業にとってJACは、①試験 ②無料の職業紹介 ③巡回指導と母国語相談 ④教育訓練・支援メニューの4つの場面で直接関わる相手です。[17]土台は建設分野の運用方針で、建設業者団体が共同で「受入れの共同ルールの策定と遵守確認/海外機関との調整と試験の実施/合格者への訓練・研修/就職先の斡旋・転職支援」に取り組む団体を設けることを求め(方針 第二2(3)ア①)、その登録要件を国土交通省の告示が定めています。[1][12]
- 試験の実施主体 — 建設分野特定技能1号・2号評価試験を国内外で実施しています(試験の実務は特定技能の試験)。
- 無料の職業紹介 — 建設業務に就く職業は民間の有料職業紹介が使えないため、JACが会員企業に対して無料で人材紹介(求人・求職のあっせん・転職支援)を行います。
- 巡回指導と母国語相談 — 認定を受けた受入計画どおりに受け入れているかを第三者の立場で確認するため、適正就労監理機関のFITSに委託して巡回訪問・指導助言・外国人からの苦情相談への対応を行います(受入企業側の対応は受け入れた後も自社の名義で続くもの)。
- 教育訓練・支援メニュー — 母国語の安全衛生教育、日本語講座、資格取得の奨励金、一時帰国支援など(受入れ後講習の実施主体はFITSです)。どの支援がいくら分になるかは建設の特定技能 採用費用・相場で整理しています。
これらの原資が、受入企業が1号特定技能外国人1人につき毎月負担する受入負担金です(主な使途4項目と登録支援機関の義務的支援の重なりはJAC受入負担金と支援委託費は、守備範囲が近い部分がある)。
加入は必須か——3つの線引き
加入は必須です。 分野別運用方針は、特定技能所属機関に「外国人の受入れに関する上記ア①の団体(当該団体を構成する建設業者団体を含む。)に所属すること」を条件として課し(方針 第二2(3)イ⑥)、国土交通省は概要ページで「受入企業は特定技能受入事業実施法人((一社)建設技能人材機構)に加入する必要があります」と案内しています。[1][2]押さえておきたい線引きが3つあります。
- 委託先の登録支援機関が会員でも、自社の加入は免除されない — 国土交通省のQ&Aは、JACへの加入を「特定技能外国人を受入れる企業は必ず加入する必要があります」とする一方、登録支援機関の加入は「義務ではありません」としています(JACは建設分野独自の法人、登録支援機関は入管法上の分野横断の仕組み=別物です)。[14]
- 2号に移行しても所属は続く — 運用要領別冊は、2号特定技能外国人の特定技能所属機関にも、告示第10条の登録を受けた法人またはそれを構成する建設業者団体への所属と行動規範の遵守を求めています(2号で止まる費目・残る費目の切り分けは建設の特定技能 採用費用・相場)。[12]
- 全員が退職しても、受入計画がある限り義務は残る — 国土交通省のQ&Aは、受入計画で認定された特定技能外国人の全部が退職しても、受入計画がある以上JAC等への加入・CCUS・建設業許可の義務は存続し、免除されるには計画取消申請を行い承認を受ける必要があるとしています(2025年版Q&A 9-5)。[14]
会員区分は2つ、企業のルートも2つ
正会員は建設業者団体の区分で、企業が直接なれる区分ではありません(63建設業者団体・令和8年8月4日現在=JACのマニュアルも2026年7月1日現在で63団体)。[18]受入企業は、(1) JACの正会員である建設業者団体の会員になる=間接加入(JACへの年会費はかからず、所属団体の会費ルールに従う)か、(2) JACに賛助会員として直接加入する、のどちらかを選びます。[19][20]正会員団体の各地域の支部に所属している場合も間接加入とみなされるのが大半ですが、団体の内規により支部所属・会員種別によってはみなされないことがあるため、自社の会員種別で足りるかは団体に確認します。[19]
自社の団体があるかは、正会員団体の一覧で確かめます。 JAC公式サイトの「正会員・賛助会員一覧」には正会員(63建設業者団体・令和8年8月4日現在)が、入会案内にはそのうち受入企業を傘下に持つ61団体(令和8年7月1日現在)が電話番号つきで、それぞれ専門工事業団体と元請けゼネコン他に分けて載っています(件数の差は「受入企業を傘下に持つか」の違いです)。[18][21]元請けゼネコン他は、企業連合事業協同組合・建設産業専門団体連合会・SIEN・全国建設業協会・全国中小建設業協会・全国中小建設工事業団体連合会・日本建設業連合会・マンション計画修繕施工協会の8団体で、残りは職種ごとの専門工事業団体です(令和8年8月4日現在の一覧から)。賛助会員として直接加入している建設企業の一覧(3,455社・令和8年8月4日付)もJACが公表しており、取引先や委託先候補の加入状況もここで確かめられます。[18]見る順序は、①自社がすでに入っている団体(支部を含む)が一覧にあるか ②自社の職種の専門工事業団体があるか ③どちらも無ければ元請・地域系の団体か賛助会員か——です。どちらか一方に加入していればよく、業種は問われません。 国土交通省は「特定技能外国人に従事させる業務と、加入する団体のカテゴリーの一致は求めていない」とし、例として「海洋土木」で受け入れる企業が断熱や推進技術の団体に加入していても認定申請上は問題ない、と説明しています。[9]⚠️ 団体の側に入会要件があり、希望しても入会できないことがあります——その場合の受け皿が、賛助会員としての直接加入です。
申請に使えるのは「会員証」だけ
受入計画の申請時にはJACまたは正会員団体の会員証の添付が必須で、加入申込書や受理票では申請できません。団体ごとに国土交通省へ届け出られた様式の会員証以外では認定されず、下部組織の会員証で使えないものを添付する例が増えていると手引きは注意しているため、手元の会員証で認定が受けられるかを加入先の団体に早めに確認してください。[9]間接加入なら所属団体に会員証明書の発行を申請し、賛助会員なら入会の承認時に発行されます。[19]
入会の流れと時計
賛助会員として直接加入する場合は、資料請求→エントリーフォームからの入会申請→必要書類(履歴事項全部証明書・印鑑証明書など)の送付→入会審査(理事会の承認)→会員証発行の順です。[19]審査の対象は毎月25日(土日祝なら翌営業日)正午までに申込みが完了し、送付書類がJACに到着した分で、翌月第2営業日に承認されます。承認されるとクラウドサインから会員証発行手続きの案内メールが届き、確認URLの有効期限(10日間)内に企業側で手続きを完了させます。[21][20]この時計から逆算すると、締切直後に申し込めば承認まで約1.5か月、締切直前なら1〜2週間=申込みから承認まで最長1.5か月程度に、書類の郵送日数を足して見込むことになります(編集部の読み)。⚠️ 入会申請は登録支援機関・行政書士が代理で行うことはできず、自社で入力します(自社の名義で残る手続き)。団体経由は団体ごとに所要期間が違い、申込みから会員証の発行まで数か月〜半年かかる場合があるとされています。[9]国土交通省のQ&Aは、受入計画の申請を急ぐ理由がある場合は賛助会員として直接JACに入会し、先に申し込んだ団体の会員証が発行されたら賛助会員を退会する、という順序を案内しています。[14]その費用の天秤は建設の特定技能 採用費用・相場で扱っています。賛助会員から正会員団体へ所属を移すときは、外国人就労管理システムで「特定技能外国人受入事業実施法人に加入していることを証する書類」の差し替え(変更申請)が必要で、その確認が取れてから退会手続きが完了します。[20]制度全般や外国人就労管理システムの操作の問い合わせ先として、国土交通省の概要ページはJACのヘルプデスク(0120-220-353・平日9:00〜17:30)と同省 不動産・建設経済局 国際市場課を案内しています。[2]
費用の入口(実額は費用の記事へ)
受入企業の側で立つJAC関連の費目は3つ——1号特定技能外国人1人あたり月額の受入負担金(2号は対象外)、賛助会員として直接加入する場合のJACの年会費、正会員団体の傘下に入る場合の団体の会費です(このほか、委託先の登録支援機関自身が納める賛助会員の年会費が見積もりに混ざることがあります=費用はどこに上乗せされるか)。実額・初年度の出金の順序・直接加入と団体経由の比較は建設の特定技能 採用費用・相場で整理しています。
4. 建設特定技能受入計画の認定
「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通大臣の認定を受けます。1号特定技能外国人に対する報酬予定額、安全・技能の修得計画などを記載するもので、報酬まわりの認定条件が建設の特徴です。
分野別運用方針は、「同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給を行う契約を締結していること」を条件としています。
その具体化として、建設分野の1号特定技能外国人の基本賃金は月給制であることが求められます。国土交通省は申請の手引きで「建設分野の1号特定技能外国人は月給制としています」と明記し、雇用条件書の確認項目にも「基本賃金は、月給制になっていますか?」を置いています。季節や工事の受注状況で仕事の繁閑があり報酬が変動しやすい、という建設業の実態を踏まえた条件です。月給制と対になる論点として、国土交通省のQ&Aは、天候を理由とした現場作業の中止等による休業を欠勤扱いにすることは認められないとし、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には労働基準法に基づき平均賃金の60%以上を支払う必要があるとしています。[14]
このため、比較対象にする日本人が時給制・日給制の場合は、月給に換算してから比べます。手引きが示す換算式は次のとおりです(小数点以下は切り捨て)。[9]
- 時給制の場合 — 時給 × 年間所定労働時間数 ÷ 12 = 月給
- 日給制の場合 — 日給 × 年間所定労働日数 ÷ 12 = 月給
日給制の技能者が多い現場では、日給に年間の稼働日数を掛けて12で割った額が比較の基準になります。休日が多い(=年間所定労働日数が少ない)カレンダーだと換算後の月給は下がるため、求人票や就業カレンダーの内容とあわせて確認しておくと差し戻しを避けられます。
報酬額の認定基準は通知でさらに具体化されており、次のような線引きが置かれています。[22]
- 比較対象の日本人 — 「同じ区分の業務に従事していればよい」ではなく、従事させる職種・作業に応じた日本人でなければ比較対象として認められません(2023年版Q&A 4-1=2025年版では5-20)。通知では、業務内容・経験年数・所持資格その他の客観的条件が相対的に最も類似する日本人建設技能者と比べ、正当かつ合理的な理由なく低いときは認定しない、とされています。役員以外の日本人技能者が社内にいない場合も申請はできます=新規申請の手引き(書類12番の説明書)は、①就業規則や賃金規定に基づき3年程度または5年程度の経験を積んだ者に支払われるべき報酬の額を提示する ②周辺地域における建設技能者の平均賃金(賃金構造基本統計調査の該当都道府県の建設業データ)や設計労務単価等を根拠として提示する、の2つの示し方を挙げています。[9]
- 時給換算の下限 — 所定内賃金を1か月当たりの所定労働時間で除した額が、地域別最低賃金(またはその全国加重平均)に1.1を乗じた額を下回るときは認定しないとされています。これは比較対象にした日本人技能者の側にも、特定技能外国人本人の側にもかかります。比較対象の日本人の賃金が低すぎる場合は「国内人材確保の取組を行っているとは認められない」、本人の賃金が低すぎる場合は「技能経験が報酬額に反映されているとは認められない」という整理です。⚠️ ここでの所定内賃金には、①時間外勤務手当(固定残業代を含む)・休日出勤手当その他の専ら所定労働時間以外の労働の対償として支払う金銭 ②通勤手当その他2か月に一度以下の頻度で支払う金銭 ③出張手当その他の実績に基づき支払う金銭 ④皆勤手当その他の成否が未定の条件の成就により支払う金銭は含まれません=これらを足して下限を満たしたことにはできません。
- 求人票の月給額との整合 — 認定条件のひとつである国内人材確保の取組を示すため、ハローワークの求人票(書類No.7)を添付しますが、そこに書いた月給額も審査の対象になります。国土交通省は、経験不問で月給25万円〜という求人票を出しながら、1号評価試験に合格した特定技能外国人の基本賃金を月23万円とするような場合は同等以上と認められない、と例示しています(同省の説明では、この場合25万円に3年分の昇給を加算した額が必要とされています)。
- 昇給の実質 — 定期昇給またはこれに類する昇給を予定していない場合は認定されません。さらに、1年当たりに見込まれる1か月当たり所定内賃金の上昇額が1,000円未満のときは、実質的な定期昇給と認められないとされています。資格・技能検定の取得やCCUSの能力評価レベルのステップアップを条件とする上昇も、昇給の内容に含めて評価されます。
- 賞与・各種手当・退職金も日本人と同等に — 運用要領別冊は「賞与、各種手当や退職金についても日本人と同等に支給する必要があり、特定技能外国人だけが不利になるような条件は認められません」としています。[12]就業規則や賃金規定で無期雇用契約者と有期雇用契約者の扱いが違う場合、無期雇用契約者と同等以上である必要があります(1号特定技能外国人は制度上、有期雇用契約しか選べないことが理由として示されています)。
同等性は自己申告では足りず、書類で示します。新規申請の手引きでは、「同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書」に加えて、比較対象にした日本人の賃金台帳(直近1年分・賞与を含む)と、その日本人の実務経験年数を証明する書類(経歴書等)が、添付書類の12〜14番として求められています。[9]賃金台帳は労働基準法で備え付けが義務づけられた書類で、給与明細などでの代用は認められていません。社内に比較できる日本人技能者がいるか、その賃金水準はどうかを、採用を決める前に確認しておくと差し戻しを避けられます。
新規申請の添付書類は、2025年4月4日版の手引きでは次の16点です(1書類1ファイルでアップロード)。①登記事項証明書(個人事業主は代表者の住民票・いずれも申請日より3か月以内発行)②建設業許可証 ③常勤職員数を明らかにする文書(社会保険加入の確認書類)④CCUSの事業者IDを確認する書類 ⑤JACに加入していることを証する書類(会員証明書)⑥委任状と弁護士証票または行政書士証票(代理申請を行う場合のみ)⑦ハローワークの求人票 ⑧就業規則・賃金規程・退職金規程(常時10人以上の労働者を使用せず作成していない企業は提出不要)⑨36協定届 ⑩変形労働時間に係る協定書・協定届・年間カレンダー(変形労働時間制を採る場合のみ)⑪CCUSの技能者IDを確認する書類 ⑫同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書 ⑬その日本人の賃金台帳 ⑭その日本人の実務経験年数を証明する書類 ⑮特定技能雇用契約書・雇用条件書(全員分)⑯雇用契約に係る重要事項事前説明書(告示様式第2・全員分)。必須の添付書類が1つでも欠けると審査が進みません。[9]
手引きとQ&Aが繰り返し注意している差し戻しの典型は、①求人票の月給額と本人の基本賃金の不整合 ②比較対象の日本人の選び方(同じ職種・作業でない)と不在時の示し方 ③会員証の様式(受理票・申込書では不可)④就業規則・賃金規程の昇給額が「その都度決定」型で下限が読めない(JACのQ&Aは「○○円以上」と最下限が分かる書き方を求めています)⑤報酬の支払方法(安定的な支払の確認のため口座振込が求められます)の5つです。[10][9]申請前にこの5点を見直しておくと、引き戻しで審査順が後ろに下がるのを避けやすくなります。
2人目以降を受け入れるときは、新規申請ではなく認定済みの計画に対する「外国人の追加」の変更申請です。受入人数だけを増やす変更申請はできず、必ず追加する外国人とセットで申請します。追加の申請では求人票の再添付は不要とされています(巡回指導の際に確認される前提で、求人自体は継続して行います)。[23]
なお、報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら地方出入国在留管理局長の承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。書類の作成が必要な場合は、行政書士などの専門家と連携して進めます。全分野に共通する採用の段取りは特定技能の採用の流れで解説しています。
受け入れ人数の上限と、常勤職員の数え方
建設では、受け入れる1号特定技能外国人の数が、その企業の常勤の職員の総数を超えないことが認定の条件です。この「常勤の職員」には、技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人は含めません(分野別運用方針 第二2(3)イ⑦)。ただし、主務省令の基準を満たす優良な育成就労実施者である特定技能所属機関はこの限りでない、という例外が置かれています。
実務では、常勤職員数は厚生年金保険の標準報酬決定通知書などの書類で確認され、数え方は次のとおりです(新規申請の手引き 書類No.3・2025年4月4日版)。
| 区分 | 常勤職員としてカウントする人 |
|---|---|
| 法人の役員 | 常勤の役員で、報酬額が一定額以上の者 |
| 日本人従業員(法人) | 社会保険(建設国保を含む)に加入し、パート勤務等の短時間労働者でない者 |
| 外国人従業員(法人) | 上記に加え、在留資格が「特定技能」「技能実習」「特定活動(特定技能移行予定等)」でない者 |
| 個人事業の事業主 | 常にカウントする |
| 個人事業の従業員 | 常時雇用の従業員が5名以上なら社会保険加入を前提に法人と同じ数え方、4名以下なら雇用保険に加入し、確定申告書の収支内訳書の給与賃金の内訳に一定の賃金の記載がある者(短時間労働者を除く・外国人従業員は在留資格の条件も同じ) |
| 個人事業の専従者 | 常時雇用の従業員が4名以下の場合に、決算書の専従者給与の内訳に一定額以上の給料の記載がある者 |
見落としやすいのは、「特定活動(特定技能移行予定等)」で在籍している人も分母から外れる点です。ここでいう特定活動とは、「特定技能1号」への在留資格変更の準備に時間がかかる場合に、就労を予定している受入れ機関で働きながら準備を進められる在留資格「特定活動(6月・就労可)」のことです(令和6年1月9日以降の申請では、付与される在留期間が「4月」から「6月」に延びました)。受入計画の認定待ちで在留期限が来てしまうときの現実的な受け皿ですが、在留期間の更新はやむを得ない事情があると認められる場合に1回限りで、この期間も特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に算入されます(特定技能1号として在留した通算在留期間が4年6月を超える人は対象になりません)。そして人数枠の計算では、この在留資格の人を常勤職員として数えることはできません。[24]
当てはめると、たとえば社会保険に加入しているフルタイムの従業員が20名(うち技能実習生3名・「特定活動(特定技能移行予定等)」1名)で、報酬額が一定額以上の常勤役員が1名いる法人なら、常勤の職員は20−3−1+1=17名=受け入れられる1号特定技能外国人は最大17名です(パート勤務の人や非常勤役員はもともと数に入りません)。
パート・短時間労働者も同様に分母に入らないため、名簿上の従業員数より少なくなることがあります。受け入れ可能な人数を見積もるときは、社会保険の加入者リストを基準に数えてください。
特定技能2号への昇進とキャリアパス
建設は特定技能2号の対象分野で、移行の実績も出ています。建設分野の特定技能2号は1,799人(2025年12月末・速報値)で、飲食料品製造業に次ぐ分野別2位(2号全体7,955人の22.6%)です。[25]半年前の2025年6月末(561人)から3倍以上に増えました。2号の移行要件の総覧と分野別の状況は特定技能2号とは、2号評価試験の実施時期・受験実務は特定技能の試験で扱います。採用の入口だけでなくその先の道筋まで見据えたい企業にとって、建設は1号→班長→2号というキャリアパスを制度としても実績としても描ける分野です。段階は次のとおりです。
特定技能1号として採用
建設分野特定技能1号評価試験(または技能検定3級)と日本語要件(参照枠A2.2相当以上)を満たして就労を始めます。1号の在留は通算5年以内です。現場で実務経験を積む
担当する業務区分の作業で経験を重ねます。CCUSの技能者登録を詳細型にしておくと、後の能力評価(レベル判定)を受けられます。簡略型のままではレベル判定を受けられません。班長として指導・工程管理を経験
2号の要件は、建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する「班長」としての実務経験です。班長への登用は企業の人事判断=指導的な役割を任せる機会を企業側がつくれるかが鍵になります。2号の試験に合格し、日本語もB1相当以上を満たす
建設分野特定技能2号評価試験、または職種に応じた技能検定1級(区分により単一等級)に合格します。あわせて日本語も「日本語教育の参照枠」のB1相当以上が求められます。1号を5年務めても自動的に2号へ移行できるわけではありません。特定技能2号へ移行
在留期間を更新の上限なく延長でき、家族(配偶者・子)の帯同も可能になります。
班長としての実務経験に必要な年数は一律ではなく、職種によって0.5年(108日)・1年(215日)・2年(430日)・3年(645日)の4段階が設定されています。国土交通省の一覧(職種×担当職務ごとに必要年数を定めた表)から、段階ごとの主な例を挙げると次のとおりです。[26]
| 必要な班長経験 | 主な職種・担当職務の例 |
|---|---|
| 0.5年(108日)以上 | 大工(建築大工・造作大工・組立大工・木工 など大工系の職務) |
| 1年(215日)以上 | 型枠工、左官工、配管工、コンクリート圧送工、とび工(橋梁)、電工(計装・電気工事) など多数 |
| 2年(430日)以上 | 足場とび工(解体)、とび など |
| 3年(645日)以上 | 石工、タイル張り工、内装仕上げ系(内装工・ボード張り工・床張り工 など) |
⚠️ 同じ「とび」でも担当職務によって1年と2年に分かれるように、必要年数は職種名だけでは確定しません。採用・育成計画を立てるときは、国土交通省の一覧で自社の職種・職務の行を確認してください。CCUSの能力評価基準がある職種はレベル3相当の就業日数(職長+班長)で確認し、基準が無い職種は3年(645日)以上とされています。[12]同じ2号でも、職種によって求められる班長経験は最短0.5年から最長3年まで開きがあるため、区分だけでなく職種まで見て計画を立てる価値があります。確認書類にはCCUSの能力評価(レベル判定結果通知書)や就業履歴が使われるため、1号のうちからCCUSに就業履歴を正しく蓄積しておくことが、そのまま2号申請の準備になります。CCUSに就業日数が蓄積されていない場合は経歴証明書で確認することになり、このとき本人から求めがあれば実務経験を証明する書面を交付することが、分野別運用方針で特定技能所属機関に課された条件のひとつです(第二2(3)イ⑫)。
なお、建設特定技能受入計画の認定は1号に対するものです。2号への移行にあたって国土交通省へ提出する書類はなく、必要書類は入管へ提出します(2023年版Q&A 8-3)。建設固有の手続きが重いのは1号の段階で、2号は入管側の手続きが中心になります。
1号と2号の主な違い(建設分野)を整理すると次のとおりです。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
|---|---|---|
| 技能の確認 | 建設分野特定技能1号評価試験 または 技能検定3級 | 建設分野特定技能2号評価試験 または 技能検定1級(区分により単一等級) |
| 日本語 | 「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上 | 「日本語教育の参照枠」B1相当以上 |
| 実務経験 | 経験要件なし(試験合格が中心) | 班長としての実務経験(職種により0.5〜3年の幅) |
| 在留期間 | 通算5年以内 | 更新の上限なし |
| 家族の帯同 | 不可 | 配偶者・子は可能 |
制度全般の1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで整理しています。
育成就労が始まると、建設の採用計画はどう変わるか
建設は、令和8年1月23日の閣議決定で育成就労産業分野にも位置づけられました。育成就労の受け入れは令和9年(2027年)4月の制度開始から(施行日と制度の全体像は育成就労とは)で、建設分野の受入れ見込数は令和9年度からの2年間で123,500人です。いま1号特定技能の受け入れを検討している企業にとって、確認しておくとよい点は次の3つです。
- 建設の転籍制限期間は2年 — 本人の意向による転籍について、分野別運用方針は建設の転籍制限期間を2年と定めています。工事の施工期間が1年を超えることがある、労働安全衛生教育に時間をかける必要があるといった事情が理由として挙げられています。1年を超える転籍制限期間を設定する受け入れ企業は、分野別協議会が毎年設定・公表する昇給率以上の昇給を、1年目から2年目にかけて行うこととされています。
- 人数枠の考え方は特定技能と同じ構造 — 育成就労で受け入れる外国人の数も、常勤の職員(技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこととされ、優良な育成就労実施者はこの限りでない、という同じ形の例外が置かれています。
- 加入先はJACではなく「建設分野育成就労協議会」 — 育成就労実施者に求められるのは、国土交通省が組織する育成就労の協議会への加入です。分野別運用方針は、外国人の受入れに関する団体(当該団体を構成する建設業者団体を含む)に所属している育成就労実施者は協議会に加入しているものとみなす、と定めています(方針 第三4(3)ア⑤)。[1]この協議会は建設分野育成就労協議会として国土交通省がすでに組織しており(第1回は令和8年6月23日開催)、同省はJAC(一般社団法人建設技能人材機構)に所属している育成就労実施者は協議会に加入しているものとすると示しています。ただし加入手続きそのものは「追って掲載」とされ、2026年8月時点では未公表です。[27]
- 業務区分・雇用形態は特定技能と共通 — 育成就労の業務区分は特定技能制度と同一とされ、雇用形態も直接雇用に限られます。CCUSへの登録や建設業許可、監督処分の条件も同様に課されます。
制度の詳細や施行までのスケジュールは育成就労とは、転籍のルールは育成就労の転籍制度で扱っています。上の内容の土台となる育成就労法施行規則は令和7年9月30日に、建設分野の上乗せ基準を定める国土交通省告示第784号は令和8年6月23日に、それぞれ公布済みです。[28][29]2026年8月時点で残っているのは、建設分野の運用要領別冊・建設育成就労評価試験の実施要領・協議会が毎年公表する昇給率の実数といった実務の細目で、施行に向けて順次示される見込みです。
費用はどこに上乗せされるか
建設の費用は、全分野共通の「初期費用+月額の支援委託費」に、建設固有の費目が上乗せされる構造です。上乗せ分は主に次の3つで、いずれも金額が改定されます。
- JAC関連 — 1号特定技能外国人1人あたりの受入負担金(月額)と、賛助会員として直接加入する場合の年会費。正会員団体の傘下に入る場合はJACへの年会費はかからず、団体ごとの会費が別途かかります。このほか、支援を委託する場合は委託先の登録支援機関自身が納める賛助会員の年会費という第3の費目が見積もりに現れることがあります(見分け方は登録支援機関の活用と自社に残る手続き)。
- CCUS関連 — 事業者登録料(資本金区分により変動)、技能者登録料(簡略型・詳細型で異なる)、管理者ID利用料、現場利用料。
- 受入計画の準備 — 書類の準備と審査待ちの期間そのものがコストになります。
実額と初年度の総額モデルは建設の特定技能 採用費用・相場で、公表されている最新の金額をもとに整理しています。⚠️ 逆に建設では立たない費目もあります=建設業務に就く職業は職業安定法第32条の11により有料職業紹介事業者が求職者に紹介できないため、[30]他の分野で初期費用の最大項目になりやすい人材紹介手数料が構造的に発生しません(分野を問わない手数料体系そのものは人材紹介手数料の相場)。全分野共通の総額の考え方と本人に負担させてはいけない費用の線引きは特定技能の採用費用・相場をご覧ください。
登録支援機関の活用と自社に残る手続き
自社で生活支援の体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ支援を委託できます。委託は義務ではなく、要件を満たせば自社で支援する道もあります(自社支援か委託か)。委託できるのは1号特定技能外国人支援計画の実施で、計画の作成そのものは受入れ企業の義務です(委託の範囲と全部委託の「みなし」の仕組みは登録支援機関とはで解説しています)。そのうえで建設は、制度の側から委託の境界が引かれている分野です——受入計画とCCUSの手続きは、委託しても自社の名義に残ります。建設分野は手続きが多いため、CCUS登録やJACへの所属の段取りを含めて建設に慣れた機関だと相談しやすくなりますが、「委託したつもりだったのに自社でやることが残っていた」を避けるには、どこまでが委託先の仕事で、どこからは自社の名義でしか動かせないかを契約前に確かめておくのが先です。
自社の名義で残る手続き——受入計画・CCUS・JACの入会
建設特定技能受入計画の変更申請について、国土交通省の手引き(外国人就労管理システムの変更申請・変更届出)は「登録支援機関は代理人になることはできません」と明記しています。[23]受入計画のオンライン申請には委任状による代理申請の仕組み自体はありますが、国土交通省のQ&Aはこの申請手続の代理は弁護士(法人)または行政書士(法人)に限るとしています=登録支援機関に頼める枠がそもそもありません。[14]また、変更申請は事前申請で、計画の変更が認定されるまでは認定済みの計画どおりに実施する必要があり、不利益変更になるものは原則として認定されません。変更申請の対象でない事項も、昇給・手当の見直しや36協定の更新など日常の労務変更のたびに変更届出が発生するため、この入力を自社で回すのか専門家に頼むのかは、委託先を選ぶ前に決めておきたい実務です。
建設キャリアアップシステム(CCUS)も同じ構造です。CCUSは事業者登録・技能者登録という登録で、他者に入力を頼む「代行申請」の枠組みはありますが、代行申請には事前の事業者登録と、技能者用・事業者用それぞれの記入済み同意書(代行申請同意書・個人情報取り扱い同意書・システム利用規約同意書)が必要とされています。[31]この代行申請の案内に「登録支援機関」という区分は登場しません(案内に出てくる「認定登録機関」は、窓口でのCCUS申請を受け付ける機関として案内されているもので、特定技能の登録支援機関ではありません)。委託先に入力を手伝ってもらう場合も、自社と技能者本人の登録として進める前提は変わりません。
JACの入会手続きも自社に残ります。JACは入会案内で「登録支援機関・行政書士の方が代理で申請することはできません。入会希望の企業にて入力してください」としています。[21]委託先にまとめて任せる前提で段取りを組んでいると、ここだけ自社の作業として残ります。
受け入れた後も自社の名義で続くもの
自社名義の対応は受け入れの前だけではありません。国土交通省への報告は「毎年◯月に提出」という年次型ではなく、事由が起きたつど行う型で、建設分野の運用要領は次の4種類を定めています。[12]
| 報告の種類 | 報告を行うべき事由 | 報告の時期 |
|---|---|---|
| 受入報告 | 特定技能外国人を受け入れたとき | 受入れ開始後1か月以内 |
| 退職報告 | 特定技能雇用契約が終了したとき | 契約の終了後速やかに |
| 2号移行報告 | 特定技能2号に移行したとき | 移行後速やかに |
| 継続不可事由発生報告書 | 経営悪化に伴う雇止め・受入計画認定の取消し・在留資格の喪失・失踪等 | 事由の発生後速やかに |
雇用契約の終了や活動継続が困難になったときは、これとは別に地方出入国在留管理局への届出も必要です。さらに、FITSの巡回指導(全ての受入企業に対し原則として年1回以上)では、役員・受入責任者との面会、賃金台帳など関係書類による認定計画どおりの就労の確認、本人との母国語での面談(企業の同席なし)が行われ、結果は国土交通省とJACに報告されます=帳簿を出し、質問に答えるのは自社です。[14]受入れ後の講習の時期を含む段取りは進め方のステップ7〜8のとおりです。このほか、全部委託した場合でも入管への年1回の定期届出は委託先から実施状況を取りまとめて連名で企業が提出します[32]=全分野共通で企業の手元に残るものは特定技能の義務的支援10項目で整理しています。
委託先を変えるとき動くのは、入管への支援委託契約の届出
国土交通省が示す受入計画の変更申請の対象(雇用の根幹・受入れの根幹・その他の重要事項の3分類)と変更届出事項の一覧(2025年4月4日版の手引き)に、支援体制や登録支援機関に関する項目は挙げられていません。ただし変更届出は「変更申請の対象事項以外の変更」を広く対象にする建て付けのため、受入計画の記載内容に関わる変更が生じる場合の届出の要否は、国土交通省の最新の手引きで確認してください。[23]代わりに動くのが、特定技能に共通する支援委託契約の届出です。支援委託契約を新たに締結・変更・終了したときは、特定技能所属機関(受入企業)が、事由が生じた日から14日以内に、本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署へ届け出ます。届出人は受入企業であって、登録支援機関ではありません。[33]「手続きはこちらでやります」と言われても届出人は自社なので、期限に間に合う情報(契約の終了日・新しい委託先の登録番号など)がいつ手元に届くかを先に確認しておきます。届出の様式と乗り換えの段取りは登録支援機関の変更(乗り換え)で解説しています。
JAC受入負担金と支援委託費は、守備範囲が近い部分がある
JACの受入負担金が充てられる共同事業として、JACは主に次の4つを挙げています(公表文は「…など」と開いた列挙で、このほか各種受入支援サービスも含まれます)。[34]巡回指導と母国語相談ホットラインの実施窓口は、JACから委託を受けた適正就労監理機関のFITSです。[14]この2つは、登録支援機関の義務的支援(相談・苦情への対応や定期的な面談)と守備範囲が近く、内容が重なることがあります。なおJACは自らの規定で、受入負担金を直接・間接を問わず1号特定技能外国人本人に負担させてはならないとしています。
| JACの受入負担金が充てられる共同事業 | 守備範囲が近い義務的支援の項目 |
|---|---|
| 教育訓練及び技能評価試験の実施 | 直接は重ならない(試験・訓練は支援計画の外) |
| 試験合格者や試験免除者の就職・転職の支援 | ⑨転職支援(人員整理等の場合) |
| 受入企業及び1号特定技能外国人に対する巡回指導 | ⑩定期的な面談・行政機関への通報 |
| 母国語相談ホットライン業務 | ⑦相談・苦情への対応 |
注意したいのは、重なりがあるから登録支援機関が不要になる、という話ではないことです。義務的支援は受入れ企業が支援計画に基づいて実施する義務で、JACの共同事業がその義務を肩代わりするわけではありません。変わるのは見積もりの見方です。多言語の相談窓口や定期面談を独自の強みとして上乗せ料金で提示されたら、JACの負担金でカバーされる範囲との違いを説明してもらえるか——これが建設で委託費を比べるときの実質的な論点になります。「JAC関連の費用が委託費に含まれる」という説明を受けたときも、それが1人あたり月額の受入負担金なのか、自社が納める年会費なのか、委託先の登録支援機関自身が納める賛助会員の年会費なのか(正会員団体の傘下に入っている場合は、JACの年会費の代わりに団体ごとの会費)を費目で確認してください(3つは負担する主体も金額も別です。実額と会費の構造は建設の特定技能 採用費用・相場で整理しています)。
建設で委託先に確認する5つのこと
業種を問わない選び方と契約前の確認は登録支援機関の選び方に譲り、ここでは建設だけに効く5つに絞ります。
- 受入計画とCCUSの実務で、委託先が担える範囲 — 受入計画の申請代理は弁護士・行政書士に限られ、報酬を得て業として行う申請書類の作成も行政書士などの専門家の領域です。委託先に確認するのは、必要書類やスケジュールの案内、行政書士など専門家との連携の有無。「書類はこちらで作ります」という提案は、誰が作成者になるのかを確かめます。
- JACの負担金・会費と委託費の切り分け — 見積もりのどの費目がJAC関連で、どれが支援委託費なのか。上の3区分(受入負担金/自社が納める年会費/委託先自身の年会費)のどれを指しているかを確認します。なお委託先の類型には協同組合・建設業者団体系の登録支援機関もあり、団体への加入と支援委託の窓口をまとめられる場合があります(機関の類型=登録支援機関の選び方)。
- 母国語対応が、FITSのホットライン(受入負担金の共同事業)とどう違うか — FITSの母国語相談ホットラインは、電話では中国語・ベトナム語・インドネシア語・フィリピン語/英語・クメール語・ミャンマー語に対応し、メール・FAXではさらにネパール語・モンゴル語・タイ語・シンハラ語・ベンガル語・ロシア語が加わります。[35]対応時間や、緊急時に現場へ来られるかなど、この共同事業の窓口では埋まらない部分を具体的に聞きます。
- 自社の業務区分への対応 — 自社の業務が土木・建築・ライフライン設備のどれに当たり、その区分での受け入れに対応した経験があるか。解体や溶接のように区分の判断が分かれる業務がある場合は特に確認します。
- 現場特有の相談への慣れ — 高所作業や車両系建設機械などの危険・有害業務の説明、安全衛生教育、繁忙期の労働時間の扱いなど、建設現場で実際に起きる相談への対応経験。「建設に強い」は登録支援機関の登録簿では見分けられません(登録簿にあるのは所在地・対応言語などで、分野の欄はありません)。だからこそ実績を尋ねるときは「建設の実績がありますか」ではなく、自社と同じ業務区分で直近1年に何名を支援したかまで具体的に聞くほうが差が出ます。
採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。
まとめ
建設の採用でスケジュールを決めるのは、前提(許可・CCUS・JACへの加入)の完了と受入計画の認定にかかる期間の2つです。加入・登録は「手続き中」の状態では受入計画を申請できないため、特定技能の利用を決めた時点で着手します。受け入れられる人数は常勤職員の総数で決まり、数え方に癖がある点も早めに確認しておくと計画がぶれません。
手続きは多いものの、特定技能2号まで道が用意された分野で、長期就労を前提に計画できます。制度の全体像は特定技能とは?、企業側の受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、起きやすいトラブルと対処は外国人労働者のトラブル事例をご覧ください。
よくあるご質問
- 建設で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、建設分野特定技能1号評価試験(または技能検定3級)に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力を持つことが基本です。企業側は、建設業の許可に加えて、建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録、建設技能人材機構(JAC)または加盟する建設業者団体への所属、建設特定技能受入計画の国土交通大臣の認定が必要です。CCUSの事業者登録とJACの会員証は、受入計画を申請する時点で完了している必要があります。
- 建設技能人材機構(JAC)とは何ですか?加入しないと特定技能外国人を受け入れられませんか?
- JAC(一般社団法人建設技能人材機構)は、国土交通大臣の登録を受けた建設分野の「特定技能外国人受入事業実施法人」で、建設分野特定技能評価試験の実施、会員企業への無料の職業紹介、巡回指導や母国語相談(適正就労監理機関のFITSへ委託)などを共同事業として行う機関です。分野別運用方針は特定技能所属機関にこの団体(またはそれを構成する建設業者団体)への所属を条件として課しており、建設で1号特定技能外国人を受け入れる企業は、JACの正会員である建設業者団体の会員になる(間接加入)か、JACの賛助会員として直接加入するかのどちらかが必要です(正会員は建設業者団体の区分で、企業が直接なれる区分ではありません)。受入計画の認定申請には会員証の添付が必須で、加入申込書や受理票では代替できず、委託先の登録支援機関がJACの会員でも自社の加入は免除されません。
- 建設特定技能受入計画の認定は、在留資格の申請より先に受ける必要がありますか?
- 国土交通省への受入計画の認定申請と、出入国在留管理庁への在留資格の認定証明書交付申請・変更許可申請は、並行して申請できます。ただし国土交通省の受入計画認定証が入管への申請の添付書類になっているため、認定が出ない限り入管の許可等は出ません。認定申請から認定までは1か月半〜2か月程度(補正期間を除く)が国土交通省の見込みで、地方によってはさらに数か月かかることがあります。
- 技能実習2号を修了していれば、建設の特定技能の試験は全部免除されますか?
- 日本語試験は、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず免除されます。技能試験の免除は、運用要領 別表6-1で業務区分ごとに定められた職種・作業を修了した場合に限られます。技能実習と異なる職種の特定技能へ移行する場合は、従事しようとする業務区分の技能試験(特定技能1号評価試験または技能検定3級)に合格すれば移行でき、この場合も日本語試験の合格は要件になりません。
- 建設で特定技能外国人の受け入れ人数に上限はありますか?
- あります。受け入れる1号特定技能外国人の数が、その企業の常勤の職員(技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないことが認定の条件です。ただし主務省令の基準を満たす優良な育成就労実施者はこの限りでないとされています。実務では常勤職員数を社会保険の加入状況で確認し、短時間労働者や「特定活動(特定技能移行予定等)」の在留資格の人は数に含めません。
- 建設業の許可業種と、特定技能外国人にさせる仕事は一致している必要がありますか?
- 国土交通省は、特定技能外国人に従事させる業務と取得している許可業種の一致は求めていないとしています。在留資格上の業務区分に含まれる工事であれば、会社が建設業法上で許可を受けている工事の種類を問わず従事させることが可能です。加入するJAC正会員団体のカテゴリーと従事させる業務の一致も、同様に求められていません。
- 建設の特定技能で従事できる業務は何ですか?
- 建設分野の業務は土木・建築・ライフライン設備の3区分に整理されています。土木は型枠施工・鉄筋施工・とび・土工など、建築は左官・内装仕上げ・建築大工・建築板金など、ライフライン設備は電気通信・配管・保温保冷などが含まれます。同じ区分に含まれる作業であれば、技能実習等で経験していない作業に従事させることもできます(十分な訓練・安全衛生教育の実施が前提)。
- 解体工事は建設のどの業務区分に含まれますか?
- 解体工事に伴う作業は「建築」区分に位置づけられています。運用要領 別表6-1の免除対象職種に解体工事を対象とするものがないため、技能実習2号修了による技能試験の免除は使えず、建設分野特定技能1号評価試験(建築区分)への合格が必要です。
- 溶接は建設のどの業務区分ですか?
- 溶接は特定の区分に限定されず、土木・建築・ライフライン設備の3区分すべてで、試験免除の対象となる技能実習2号の職種として位置づけられています。どの現場の業務として採用するかで、対応する区分の試験に合格した人材を採用します。
- 建設で登録支援機関に委託すれば、受入計画やCCUSの手続きも任せられますか?
- 任せきりにはできません。登録支援機関へ委託できるのは1号特定技能外国人支援計画の実施で、支援計画の作成は受入れ企業の義務です。そのうえで建設では、建設特定技能受入計画の変更申請について国土交通省の手引きが「登録支援機関は代理人になることはできません」と明記しており、代理を頼めるのは弁護士(法人)・行政書士(法人)に限られます。建設キャリアアップシステム(CCUS)も事業者登録・技能者登録という登録で、他者に入力を頼む代行申請を使う場合も、事前の事業者登録と技能者用・事業者用の記入済み同意書が必要です。報酬を得て業として行う申請書類の作成も行政書士などの専門家の領域で、JACへの入会申請も登録支援機関・行政書士による代理はできません。委託先に頼めるのは必要書類やスケジュールの案内、専門家への橋渡しといった周辺の実務にとどまるため、契約前に誰が何を担うかを確認してください。
- 建設で採用した特定技能1号の外国人は、どうすれば2号に移行(昇進)できますか?
- 建設分野特定技能2号評価試験(または職種に応じた技能検定1級)の合格、「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の日本語力、そして複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し工程を管理する「班長」としての実務経験が必要です。必要な実務経験の年数は職種により0.5〜3年の幅があり、建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価や就業履歴が確認書類として使われます。企業側には、班長を任せる配置に加えて、本人の求めに応じた実務経験証明書の交付が求められます。
出典・参考(一次情報)
- 建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(令和8年1月23日閣議決定・別紙5)(出入国在留管理庁)
- 概要、関係資料【特定技能制度(建設分野)】(受入企業はJACに加入する必要がある・登録支援機関の加入は任意・特定技能外国人受入事業実施法人の名称等=登録年月日 平成31年4月1日)(国土交通省)
- 分野別運用方針の主要な記載事項(令和8年1月23日閣議決定・受入れ見込数)(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値。同URLは四半期ごとに最新版へ差し替えられる)(出入国在留管理庁)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-建設分野の基準について- 別表6-1(建設)(国土交通省)
- 建設分野の特定技能制度に関するQ&A(2023年4月24日更新)(国土交通省)
- 新区分における在留資格申請の考え方(国土交通省)
- 特定技能業務区分-建設業許可対応表(2025年1月31日)(国土交通省)
- 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【新規】(2025年4月4日)(国土交通省)
- よくあるご質問 06. 建設特定技能受入計画(軽微な工事のみでも建設業許可は必須・ハローワーク求人票の要件と求人サイト代替不可・技能実習からの移行でも求人票が必要・報酬の口座振込・就業規則の支給額は「○○円以上」)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【受入報告・退職報告・2号移行報告】(2025年4月4日)(国土交通省)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-建設分野の基準について-(令和7年1月31日一部改正/報酬の支払形態・昇給等・安全衛生教育の費用負担)(国土交通省)
- FITSとは(適正就労監理機関)(国際建設技能振興機構(FITS))
- 建設分野の特定技能制度に関するQ&A(2025年4月4日更新/4-4 申請の代理は弁護士・行政書士に限る・6-2 受入企業は必ずJACに加入・6-3 登録支援機関の加入は義務ではない・6-4/6-5 FITSはJACから委託を受け巡回指導・母国語相談ホットラインを運営・6-7 業種等は問わない・9-5 全員退職後も受入計画がある限り義務は存続・5-2 休業時は平均賃金の60%以上)(国土交通省)
- 申請の手引き、様式、システム操作方法【特定技能制度(建設分野)】(申請の時期・標準処理期間・並行申請)(国土交通省)
- JACについて(概要=平成31年4月1日設立・主に評価試験の実施・無料職業紹介事業・適正就労監理業務を行う)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- JACの事業活動のご紹介(適正就労監理=FITSへ委託・教育訓練・技能評価試験・無料職業・人材紹介事業)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- 正会員・賛助会員一覧(正会員63建設業者団体=専門工事業団体/元請けゼネコン他・令和8年8月4日現在)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- 外国人受入れマニュアル 第2章02. JACの会員になるとは?(正会員63建設業者団体〔2026年7月1日現在〕・間接加入と直接加入・支部所属の扱い・会員証明書の入手)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- よくあるご質問 04. 特定技能外国人受入事業実施法人について(所属の2ルート・賛助会員から正会員団体へ移るときの会員証の差し替え)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- 入会のご案内(入会審査は毎月25日締め翌月第2営業日承認・登録支援機関・行政書士による代理申請不可)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- 建設特定技能受入計画における報酬額の認定について(通知・国不国第654号)(国土交通省)
- 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【変更申請・届出】(2025年4月4日・「登録支援機関は代理人になることはできません」)(国土交通省)
- 特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)(出入国在留管理庁)
- 特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント(分野別・速報値)(出入国在留管理庁)
- 建設分野の2号特定技能外国人に求める「班長としての実務経験」について(能力評価の対象職種別一覧・2026年2月27日版)(国土交通省)
- 協議会開催案内【育成就労制度(建設分野)】=建設分野育成就労協議会の組織・JAC所属者のみなし加入・加入手続きは「追って掲載」(国土交通省)
- 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則(令和7年9月30日 法務省・厚生労働省令第4号=公布日)(厚生労働省(法令等データベース))
- 建設分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等(育成就労・令和8年6月23日国土交通省告示第784号)(国土交通省)
- 職業安定法 第三十二条の十一(取扱職業の範囲)(e-Gov法令検索(デジタル庁))
- 申請:建設キャリアアップシステム(代行申請=事前の事業者登録と技能者用・事業者用の同意書が必要)(建設キャリアアップシステム(建設業振興基金))
- 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月版/定期届出は1年に1度・支援を全部委託した場合は登録支援機関と連名で提出)(出入国在留管理庁)
- 特定技能所属機関による支援委託契約に係る届出(締結・変更・終了=事由が生じた日から14日以内)(出入国在留管理庁)
- 外国人受入れマニュアル 第2章03. 受入れにかかる費用(受入負担金が充てられる共同事業4項目)(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))
- 母国語相談ホットライン(電話・メール/FAXの対応言語)(一般財団法人国際建設技能振興機構(FITS))
- 育成就労制度の関係省令等について(概要資料/受入れ人数枠・本人意向転籍の要件)(出入国在留管理庁・厚生労働省)