宿泊で特定技能の外国人を採用するには|要件・試験・2号・協議会
目次
「フロントや接客で外国人材に活躍してほしいが、宿泊だと何を任せてよいのか、どんな手続きが要るのか分からない」——宿泊は訪日需要の回復で人手不足が続く一方、旅館業の許可や風俗営業に関わる業務の制限といった宿泊ならではのルールがあります。結論を先に言うと、宿泊で特定技能を受け入れる第一歩は、必要な試験・対象業務の範囲・旅館業の許可・協議会への加入の4点を押さえることです。このページで順に整理します。
この記事の要点
- 対象業務は「宿泊サービスの提供」 — フロント・企画広報・接客・レストランサービスなどが対象。風俗営業法上の「接待」は任せられません。
- 宿泊ならではの企業要件 — 旅館業法の「旅館・ホテル営業」の許可と、宿泊分野特定技能協議会への加入が必要です。
- 1号・2号の両方がある — 長期就労を前提に2号まで設計。技能実習からの移行は試験免除でスムーズです。
本記事は一般的な情報提供です。宿泊分野の要件・対象業務の範囲は変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁および国土交通省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
宿泊分野の特定技能はここが特徴
まず、宿泊分野ならではのポイントを押さえます。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 長期就労を前提に2号まで設計されています。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで解説しています。
- 旅館業の許可が前提 — 受け入れ企業は、旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けていることが必要です。
- 風俗営業に関わる業務は対象外 — 受け入れ企業が風俗営業等の規制に関する法律上の特定の施設に該当しないこと、特定技能外国人に「接待」を行わせないこと、および「接待」を行わせないための必要な措置(体制整備等)を講じていることが求められます(2026年5月22日施行の基準改正で明確化)。
- 宿泊分野特定技能協議会への加入が必要 — 国土交通省が設置する協議会の構成員になります。
宿泊で必要な試験
宿泊で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。
- 技能試験 — 「宿泊分野特定技能1号評価試験」。
- 日本語能力水準 — 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)。水準と各試験の対応(公式の換算表はありません)は特定技能の日本語試験で解説しています。
宿泊分野の技能実習2号を良好に修了した人は、これらの試験が免除されます(日本語試験については、職種を問わず技能実習2号を良好に修了している場合は免除の対象です)。
日本語試験・技能試験の全体像と、技能実習2号修了による免除ルートは特定技能の試験にまとめています。
対象となる業務
宿泊分野で従事できるのは、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど、宿泊サービスの提供に関わる業務です。フロント業務や館内案内、接客など、ホテル・旅館の運営に幅広く関わることができます。
ただし、風俗営業法上の「接待」にあたる業務には従事させられません。バーやナイトクラブでの接待など、対象外の業務を任せないよう、配置を整理しておく必要があります。
なお、客室清掃そのものを担ってもらう業務は、ビルクリーニング分野で扱う業務範囲と異なります(ビルクリーニングで特定技能を採用するには)。宿泊サービスの一環として清掃に関わるのか、清掃業務そのものが目的なのかで、適した分野が変わるため、何をさせたいかを先に整理しておくと安心です。
受け入れ企業に求められる要件
宿泊分野で受け入れるには、企業側に次の条件が求められます。
- 旅館業の許可 — 旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること。
- 風俗営業に関わらないこと — 風俗営業等の規制に関する法律上の特定の施設に該当しないこと、特定技能外国人に「接待」を行わせないこと、および「接待」を行わせないための必要な措置(体制整備等)を講じていること(2026年5月22日施行の基準改正で新設)。
- 宿泊分野特定技能協議会への加入 — 国土交通省が設置する「宿泊分野特定技能協議会」の構成員になること。
企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で解説しています。採用全体の流れは特定技能の採用の流れをご覧ください。なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。
採用ルート
宿泊で特定技能外国人を採用する主なルートは次のとおりです。
- 試験合格者を採用 — 国内・海外で宿泊分野の試験に合格した人材を採用します。
- 宿泊分野の技能実習からの移行 — 試験免除でスムーズに移行できます(特定技能・技能実習・育成就労の違い)。
- 国内在住者の採用 — すでに日本にいる特定技能外国人を採用すると、渡航費などの初期費用を抑えやすくなります。
費用の目安
宿泊でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費など。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費(1人あたり月15,000〜30,000円程度が目安)。
総額の内訳と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場で整理しています。
登録支援機関の活用
自社で生活支援の体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます。選び方は登録支援機関の選び方、契約前の確認は契約前チェックリストを参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。
宿泊で働く特定技能外国人の実像
宿泊の特定技能1号在留者は1,968人(2025年12月末時点)で、2023年6月末(293人)から+572%(約6.7倍)に増えています。国籍別ではミャンマーが33.2%で最多、都道府県別では北海道が最も多くなっています。自社の採用計画を立てる際の目安として、国籍・地域・年齢構成の内訳を確認できます。
データで見る:宿泊で働く特定技能外国人
2025年12月末時点
全国で就労中
1,968人
直近2.5年の伸び
+572%
2025年12月末時点で全国1,968人(2023年6月末の293人から+572%)。国籍はミャンマーが33.2%で最多、都道府県は北海道が185人で最多です。
どの国から来ているか
- ミャンマー653人(33.2%)
- インドネシア450人(22.9%)
- ベトナム229人(11.6%)
- ネパール228人(11.6%)
- フィリピン101人(5.1%)
- その他307人(15.6%)
直近はミャンマーが急増(2年半で+1206%)
どこで働いているか
- 北海道185人
- 神奈川県141人
- 群馬県113人
- 兵庫県104人
- 沖縄県100人
年齢層
- 18-29歳80%
- 30-39歳18.4%
- 40+歳1.6%
男女比
- 男性38.7%
- 女性61.3%
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末)をトモハタが集計。数値はすでに就労している人の分布で、地域の人材供給・採用競合をつかむ目安です。募集のしやすさを保証するものではありません。
分野をまたいだ全体像(全分野の人数・国籍・都道府県の統計)は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
宿泊で特定技能の外国人を採用するには、①必要な試験(宿泊分野特定技能1号評価試験・参照枠A2.2相当以上)②旅館業の許可③風俗営業に関わる業務をさせないこと④宿泊分野特定技能協議会への加入という宿泊ならではのルールを押さえることが第一歩です。技能実習からの移行は試験免除でスムーズで、長期就労は特定技能2号への移行が道筋になります。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、よくある失敗は特定技能採用でよくある失敗と注意点をご覧ください。
「自社のホテル・旅館で特定技能外国人を受け入れられるか」「どのルートが合うか」を相談したい場合は、条件に合う登録支援機関・人材紹介会社を無料でご紹介します(提携先のサービスをご紹介しています)。
よくあるご質問
- 宿泊で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、宿泊分野特定技能1号評価試験に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)を持つことが基本です。宿泊分野の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。企業側は、旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受けていることや、宿泊分野特定技能協議会の構成員になることが必要です。
- 宿泊の特定技能で任せられる仕事は何ですか?
- フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど、宿泊サービスの提供に関わる業務が対象です。一方で、風俗営業法上の接待にあたる業務には従事させられません。客室清掃そのものが目的の業務はビルクリーニング分野で扱う業務範囲と異なるため、何をさせたいかで分野を確認してください。
- 宿泊分野に特定技能2号はありますか?
- あります。宿泊は特定技能2号の対象分野で、2号では宿泊分野特定技能2号評価試験などが求められます。2号は在留期間を更新の上限なく延長でき、家族の帯同も可能になります。