育成就労制度とは|いつから?2027年4月施行と企業の準備
目次
「技能実習が変わると聞いたが、何を・いつから準備すればいいのか分からない」——そんな企業のための記事です。結論を先に言うと、育成就労は技能実習に代わる新制度(2027年4月1日施行)で、原則3年で特定技能1号の水準まで人材を育て、特定技能へ移行することを想定した制度です。これから外国人材の受け入れを考えるなら、技能実習・特定技能とあわせて全体像を押さえておきたい制度です。このページで、目的・技能実習との違い・対象分野・経過措置の期限から逆算した準備・受け入れ企業(育成就労実施者)に求められる要件までを整理します。
この記事の要点
- 技能実習に代わる新制度(2027年4月1日施行) — 「人材の確保と育成」を目的に、技能実習を発展的に解消して創設されます。施行日は2025年10月1日公布の政令(令和7年政令第340号)で確定済みです。主務省令(2025年9月30日公布)・分野別運用方針(2026年1月23日閣議決定)も定まり、残るのは分野別運用要領(2026年9月1日時点で9分野公開)や、監理支援機関の「優良」の基準などです。
- 企業にとっての決断期限は施行日より前 — 技能実習で新たに受け入れるなら、法令上の期限は計画認定の申請が2027年3月31日まで(原則2027年6月30日までに実習開始)ですが、申請を受け付ける外国人技能実習機構は2027年2月までの申請を案内しています。「技能実習で採るか、育成就労を待つか」はここまでに決め切る問いです。
- 経過措置で技能実習を選んだ人は、育成就労へは移れない — 技能実習制度のルールが適用されます。しかもこれから1号で受け入れる人は技能実習2号(通算3年)までが上限で、技能実習3号へは進めません。「とりあえず技能実習で採って、あとで切り替える」という選択肢はない前提で比べる必要があります。
- 技能実習と違うのは「転籍」と「日本語」と「移行時の試験」 — 一定の要件のもとで本人の意向による転籍が認められ、就労開始時から日本語の要件があり、特定技能1号へ移る時は技能・日本語いずれの試験も合格が必要です(技能実習2号良好修了者の試験免除は育成就労にはありません)。
- 1社で採れる人数は常勤職員数で決まる — 監理型なら常勤職員の総数に応じた上限があり(例=常勤3〜30人で9人、301人以上は総数の20分の3)、優良と認められれば拡大します。ただし技能実習の実績が無い企業は初回から優良にはなれず、分野によっては別に1社あたりの上限もかかります。
- 分野が対象でも、受け入れ側にも要件がかかる — 同種の業務の労働者を離職させていないこと(定年退職・本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇・自発的な離職などは除く)、労働・社会保険・租税の法令を遵守していることなどが育成就労実施者の要件です。受け入れを支える窓口(監理支援機関)も許可制のままで、現在の監理団体が自動的に切り替わるわけではありません。
本記事は一般的な情報提供です。育成就労は2027年4月の施行に向けて関連する政省令・運用方針が順次定められている段階で、内容は変動します。最新の制度内容・時期は、出入国在留管理庁および外国人技能実習機構の公表で必ず確認してください。
育成就労とは(技能実習に代わる新制度)
育成就労は、人材の確保と育成を目的とする在留制度です。技能実習制度を見直し、これを発展的に解消して創設されます。政府の有識者会議の最終報告書(2023年11月)は、現行の技能実習制度について、人材育成等の観点から原則として転籍ができないことや監理団体による監理・支援が十分でない場合があることなどが、人権侵害や法違反の背景・原因となっている旨が指摘されていると整理しています。[1]出入国在留管理庁も、技能実習制度については制度目的と実態のかい離や外国人の権利保護等の観点からの課題が指摘されてきたと整理しています。[2]これを受け、目的を「人材の確保と育成」に改め、人権保護やキャリアアップの仕組み(一定の要件のもとでの本人意向による転籍など)を整える方向で見直されたのが育成就労です。育成就労制度を盛り込んだ改正法は2024年6月に公布され、2027年(令和9年)4月1日に施行されます。[2]
ポイントは、原則3年の就労を通じて、特定技能1号の水準の人材を育てることを想定している点です。つまり育成就労は、後述する特定技能制度と一体で「育てて長く働いてもらう」流れを作る制度として設計されています。
育成就労はいつから?——施行日とスケジュール
育成就労制度の施行日は2027年(令和9年)4月1日です。これは見込みではなく、2025年(令和7年)10月1日に公布された令和7年政令第340号が、改正法の施行期日を「令和九年四月一日とする。」と定めたことによります。[3][4]技能実習は施行日で即座に終わるわけではありません。2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請を行い、原則として2027年6月30日までに実習を開始する場合は、経過措置として新規受け入れが可能です。[2]
企業から見ると、期限は「制度が始まる日」ではなく「決め切る日」
企業にとって効いてくるのは施行日ではなく、その手前に並ぶ受け付け開始日と経過措置の期限です。制度側の日程を「企業が何を決める期限か」に置き換えると次のようになります。
| 時期 | 企業が決めること・動くこと |
|---|---|
| 2026年4月15日以降 | 取引のある監理団体が、監理支援機関の許可を施行日前申請する方針かを確認する |
| 2026年9月1日以降 | 施行日から育成就労で受け入れるなら、分野・監理支援機関・3年分の育成就労計画を固めて認定申請へ動く |
| 2027年2月まで(実務上の目安・法令上は3月31日まで) | 技能実習で新たに受け入れるなら1号技能実習計画の認定申請を出し終える(外国人技能実習機構が「令和9年2月までに行うようお願いします」と案内) |
| 2027年6月30日まで(原則) | 経過措置で受け入れるなら入国・実習開始まで済ませる。以降の新規受け入れは育成就労で組み立てる |
つまり「技能実習で採るか、育成就労を待つか」は施行日まで先送りできる問いではありません。法令上の期限は2027年3月31日ですが、実務上の決断期限は表のとおり2027年2月です。[2][5]監理型で受け入れるなら、実際に動き出せる時期は取引先の監理支援機関の許可の状況にも左右されます(誰が何を作り、誰が指導するのかの分担=監理団体・監理支援機関・登録支援機関の違い)。
経過措置で技能実習を選ぶと、その人は育成就労へは移れない
比較の前提としてもう1つ押さえておきたいのが、経過措置で技能実習を選んだ場合、その人を途中から育成就労へ切り替えることはできないという点です。出入国在留管理庁・厚生労働省の「育成就労制度の概要」は、経過措置に該当して施行日後も技能実習を行う場合について、技能実習制度のルールが適用され、技能実習から育成就労に移行することはできないとしています。[4]
しかも、経過措置でこれから新たに技能実習1号として受け入れる人は、技能実習の中でも先が短くなります。同資料は、経過措置に該当する場合は「要件を満たせば、次の段階の技能実習までは引き続き行うことができる」とし、技能実習3号への移行は施行日(2027年4月1日)の時点で技能実習2号を1年以上行っている人に限るとしています。[4][2]これから入る人は施行日時点で2号ではないため、技能実習2号(通算3年)までが上限になります。
同じ人に長く働いてもらう前提で並べると、選択肢はおおむね次の2つです。
| いま選ぶ制度 | 同じ人が働ける期間の組み立て |
|---|---|
| 経過措置で技能実習(これから1号で受け入れ) | 技能実習1号(1年以内)+2号(2年以内)で通算3年 → 2号を良好に修了し、次に就く業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められれば特定技能1号(原則5年)へ(この免除ルートは「当分の間」の扱い) |
| 施行後に育成就労 | 育成就労 原則3年 → 技能・日本語の試験に合格すれば特定技能1号(原則5年)へ |
在留期間の上限は在留資格「技能実習」のページによります。[6]どちらも「3年育てて特定技能1号へ」という形は同じですが、違いが3つあります。転籍が起こりうるか(育成就労)/転籍が原則ないか(技能実習)、開始時の日本語要件の有無、そして特定技能1号へ移る時の試験です。⚠️ 3つ目は、現行の特定技能制度では技能実習2号を良好に修了していれば技能・日本語の試験が免除されますが、育成就労では技能・日本語いずれの試験も合格が移行の要件になります。[2]
施行までに企業が進められる準備
期限の手前で企業が着手できるのは、自社の分野・取引先の方針・送り出し国の3つの確認です。
- 自社の分野・職種が育成就労の対象かを確認する — 対象分野は特定技能とおおむね一致しますが、除外分野があるほか、技能実習では対象だったのに育成就労の対象にならない職種もあります。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、クリーニング職種(一般家庭用クリーニング作業)・空港グランドハンドリング職種・ボイラーメンテナンス職種(ボイラーメンテナンス作業)を育成就労産業分野の対象としていないとしています。[2]該当すると育成就労では受け入れられないため、まず育成就労の対象分野で自社の分野・業務区分を確認してください。
- 取引のある監理団体の方針を確認する — 申請しない場合に企業側で何が起きるかは後述します。許可申請のスケジュールの目安は監理団体・監理支援機関・登録支援機関の違いに整理しています。
- 送り出し国が対象かを確認する — 育成就労では、原則として二国間取決め(協力覚書=MOC)を作成した国からのみ受け入れることができるとされています。[2]外国人技能実習機構の公表では、2026年9月6日時点でMOCの署名が公表されているのはウズベキスタン(2026年6月30日)・スリランカ(2026年7月30日)・ラオス(2026年9月2日)の3か国で、このほかフィリピン(2026年6月25日)・タジキスタン(2026年7月24日)・ブータン(2026年7月28日)の暫定送出機関リストが公表されています。[5]⚠️ 協議中の国名は「政府間の協議であることから差し控える」とされており、[2]どの国が協議中かは公表されていません。いま取引のある送り出し機関の国が入るかは、機構の公表を追いながら採用計画の前提に置いてください。
- 自社の分野の運用要領の公開を待つ — 主務省令と分野別運用方針は定まっていますが、分野別運用要領の公開は2026年9月1日時点で9分野にとどまります。[7]公開済みの9分野の顔ぶれと、分野ごとの上乗せ基準告示の公布状況・適用時期は育成就労の対象分野で整理しています。このほか、本人意向の転籍の手続の具体や、転籍時の初期費用の補填に関する告示も今後示される部分です。[2]
いま受け入れている技能実習生はどうなるか
すでに受け入れている技能実習生は、施行日でいなくなるわけではありません。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、次のように整理しています。[2]
- 施行日に在留している技能実習生は、引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けられる — 技能実習1号で在留する方は、技能実習計画の認定を受けて技能実習2号へも移行できます。
- 技能実習3号への移行には条件がつく — 施行日時点で技能実習2号で在留している方のうち、2027年4月1日の時点で技能実習2号の活動を1年以上行っていることが必要です。
- 技能実習2号から特定技能1号への移行は、当分の間は続く — 育成就労制度の運用開始後であっても、技能実習2号を良好に修了し、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合は、特定技能1号へ移行できるとされています。
- 元技能実習生の再来日には制限がある — 過去に技能実習を行った期間は育成就労を行った期間とみなされ、2年以上の技能実習を行った方が、技能実習と異なる分野で育成就労として再来日することは基本的にできないとされています。
人数の数え方にも経過措置が効きます。育成就労の受入れ人数枠を計算するとき、経過措置で引き続き技能実習を行っている1号・2号の技能実習生の数も、育成就労外国人の数として数えます。[2]一方で3号技能実習生は育成就労外国人の数には計算されません(技能実習側の人数枠規制は受けます)。[7]移行期に技能実習と育成就労が同時に在籍する会社では、この数え方が枠の余裕を左右します。制度ごとの人数枠の考え方そのものは特定技能と技能実習の違いで比較しています。
技能実習・特定技能との違い
技能実習・育成就労・特定技能は目的が異なります。違いをおおまかに整理すると次のとおりです。
| 制度 | 目的 | 2027年4月1日の施行後どうなるか |
|---|---|---|
| 技能実習 | 国際貢献(技能移転) | 発展的に解消。新規受け入れは経過措置の範囲に限られ、在留中の人は技能実習のまま継続(育成就労への移行は不可) |
| 育成就労 | 人材の確保と育成 | 新たに始まり、以後の新規受け入れの中心に。原則3年で特定技能1号の水準まで育成 |
| 特定技能1号 | 即戦力の確保 | 存続し、育成就労の修了者や技能実習2号の良好修了者の受け皿に(原則5年を上限)。同じ2027年4月1日に特定技能制度の適正化(1号特定技能外国人の支援の外部委託先を登録支援機関に限る等)も施行される |
なお2027年4月1日は、特定技能制度の適正化の施行日でもあります。[8][2]育成就労が技能実習と異なる大きな点のひとつが、一定の要件のもとで本人の意向による転籍が認められることです(後述)。技能実習・特定技能・育成就労を項目別に並べた早見表は、特定技能と技能実習の違いにあります。
対象分野
育成就労の対象分野は、2026年1月の閣議決定で17分野が定められました。[2]これは特定技能の対象分野のうち航空・自動車運送業を除いたもので、[4]介護・建設・農業・外食業などが中心です。17分野の一覧・特定技能との違い・自社が対象かの確認方法は育成就労の対象分野で詳しく解説しています。
自社は育成就労で受け入れられるか——育成就労実施者の要件
分野が対象でも、受け入れ側の企業(育成就労実施者)にも要件がかかります。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、受け入れ人数枠を含む育成・支援体制などの要件は技能実習制度のものを引き継ぎつつ、新たに次のような要件を設けたとしています(主なもの・「など」とされており、これで全部ではありません)。[2]
- 過去1年以内に、育成就労実施者または監理支援機関の責めに帰すべき事由により、育成就労外国人の行方不明者を発生させていないこと
- 過去1年以内に、育成就労外国人に従事させる業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないこと(定年その他これに準ずる理由により退職した者、自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者、自発的に離職した者等を除く)[9]
- 労働、社会保険および租税に関する法令を遵守していること
- 送出機関等から、社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭・物品その他の財産上の利益の供与や、供応接待を受けていないこと
- 育成就労外国人と雇用契約を締結するにあたり、労働条件等の待遇の説明を、直接またはオンラインで行っていること
- 受け入れ対象分野別の協議会に加入していること
あわせて、育成就労外国人の待遇にも要件がかかります。報酬の額が日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上であること、育成就労外国人であることを理由に待遇で差別的な取扱いをしないこと、本人が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させること、適切な宿泊施設を確保すること、入国後講習に専念するための手当の支給などの措置を講じること、監理支援費を本人に負担させないこと、転籍制限期間が1年を超える場合は昇給その他の待遇の向上を図ることが挙げられています。[9]⚠️ 最後の1つは分野任せではありません。育成就労制度Q&Aは、分野別運用方針が1年を超える転籍制限期間を定めた分野でも育成就労実施者の判断でその期間を1年とすることが可能としており、1年にすればこの待遇向上の措置は要りませんが、そのぶん本人意向の転籍が1年で起こりうる状態を選ぶことになります。[2](育成就労の転籍制度)
業務の中身にも配分の決まりがあります。安全衛生に係る業務に従事させる時間が、業務に従事させる時間全体の10分の1以上でなければならないとされ、主たる技能に対応する必須業務にも配分の下限があります。[9]業務区分ごとの必須業務・関連業務の考え方は育成就労の対象分野で整理しています。
企業側で早めに確認しておきたいのは、要件の2つ目と3つ目です。同種の業務の労働者を整理解雇したあとに外国人材を受け入れるという順序は2つ目の要件に触れる可能性があり、労働・社会保険・租税の法令遵守(3つ目)も、書類を集める段階ではなく受け入れを検討し始める段階で見ておく項目になります。
技能実習から変わる、企業側の手続きと体制
要件そのものとは別に、企業が実際に踏む手続きと社内体制にも技能実習からの変更があります。
- 受け入れの形は2つ — 外国の支店や子会社の社員等を受け入れる単独型育成就労と、監理支援機関が関与する監理型育成就労の2区分が設けられています。取引先企業の社員等の受け入れは単独型では認められず、監理型になります。なお海外の子会社等から研修目的で短期に受け入れる形は、新たに創設される在留資格「企業内転勤2号」で受け入れることが想定されています。[2]監理支援機関が要るのは後者です。単独型には新たに2つの要件が加わりました。①監査の義務づけ(過去3年以内に養成講習を修了し、監査を中立に実施できる立場にある者に、3か月に1回以上の頻度で実地の監査を行わせる体制)と、②受け入れる外国人の外国の法人での1年以上の在職歴です。[9]
- 育成就労計画は当初から3年分をまとめて作り、認定を受ける — 技能実習では1号〜3号の各段階で計画の認定が必要でしたが、育成就労では最初に3年間の計画を作成して認定を受ける形になります。[2]計画を作成して機構へ認定申請するのは育成就労実施者(受け入れ企業)です。[2]誰が作成し、誰が指導するのかの分担は監理団体・監理支援機関・登録支援機関の違いで整理しています。
- 申請先の機関名が変わる — 育成就労計画の認定や、計画に基づく育成就労が実施されているかの実地検査などを担うのは外国人育成就労機構です。[4]これは外国人技能実習機構を改組した機関で、特定技能外国人への相談援助業務も行うほか、監督指導・支援・保護の機能が強化されます。[10]
- 入国してすぐには働かせられない — 入国後講習の期間中は育成就労外国人を業務に従事させてはならないとされています(監理型は全科目について、単独型は法的保護に必要な情報の科目について)。[9]入国から配属までに講習の期間が入る前提で、稼働の開始時期を見込む必要があります(講習の総時間の考え方は育成就労から特定技能への移行)。
- 人を置けるかが要件になる — 育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員を選任し、3人とも過去3年以内の養成講習の受講が義務とされました(当分の間は技能実習制度の養成講習で代替することが予定されています)。[2]とくに育成就労指導員は、育成就労を行わせる事業所に所属する常勤の職員で、従事させる業務において要する技能について5年以上の経験を持つ人である必要があります。[9]該当者が社内にいるかは、早い段階で確認しておく項目です。
- 募集条件の縛りは緩む — 技能実習にあった「帰国後に修得した技能を要する業務に従事すること(帰国後従事要件)」「同種の業務に従事した経験があること(前職要件)」は、育成就労では求められません。[2]
なお、在留資格に関する書類の作成は行政書士などの専門家の領域です。行政書士法は、官公署に提出する書類を作成することを行政書士の業務と定め(第1条の3)、行政書士・行政書士法人でない者が報酬を得て業としてこれを行うことを禁じています(第19条)。[11]受け入れを支える機関の業務とは区別して考えてください。
何人まで受け入れられるか(受入れ人数枠)
育成就労では、育成就労実施者の常勤職員数に応じて受け入れられる人数の上限が決まります。技能実習の1号〜3号の区分が廃止されたことに伴い、この枠は1年目から3年目までの育成就労外国人の合計に対する上限です。[2]監理型の人数枠は次のとおりです。[9]
| 育成就労実施者の常勤の職員の総数(監理型) | ①一般(基本人数枠) | ②優良な育成就労実施者(常勤5人以下を除き①の2倍) | ③優良な監理支援機関の監理支援を受け、かつ指定区域(地方)に住所がある優良な育成就労実施者(常勤8人以下を除き①の3倍) |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 総数の20分の3(15%) | 総数の10分の3(30%) | 総数の20分の9(45%) |
| 201〜300人 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101〜200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51〜100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 41〜50人 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 31〜40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9〜30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 8人 | 9人 | 18人 | 24人 |
| 7人 | 9人 | 18人 | 21人 |
| 6人 | 9人 | 18人 | 19人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
⚠️ 読み方の注意は次の6つです。[9]
- 割合(20分の3など)で決まるのは常勤職員301人以上の場合だけで、300人以下は上の実数が上限です(たとえば常勤30人なら一般で9人で、割合を当てはめて計算するものではありません)。
- 常勤職員数に育成就労外国人・技能実習生は含めません(特定技能などほかの在留資格の外国人は含みます)。
- 「総数」は本社・支社・事業所を含めた法人全体で算出し、事業所ごとには算出しません(親会社・子会社等の複数法人で構成される場合は各法人の常勤職員数と育成就労外国人の数をそれぞれ合算します)。[7]
- やむを得ない事情により転籍した人、3年を超えて育成就労を延長している人などは、この枠に算入しません。
- 労働者派遣の形態(現時点で想定されているのは農業・漁業)で受け入れる場合は別のルールです=派遣元・派遣先ごとの個別人数枠のうち最も少ない数が上限で、各派遣元・派遣先にはそれぞれの個別人数枠も適用されます(派遣元で業務に従事しない場合、その派遣元の個別人数枠は適用されません)。[9]
- 分野によっては、上の枠とは別に1社(1事業所)あたりの上限がかかります——たとえば介護分野の分野別運用方針の別紙は、事業所で受け入れられる育成就労外国人を「事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限」とし、ケアの質の担保や適切な指導体制を確保できる人数にすることを求めています。[12]
自社の分野の別紙も必ず確認してください。枠の取り方の補足が2つあります。⚠️ 表の③の列の枠は、制度が始まった直後には取れません。運用要領は、優良な監理支援機関の認定について「制度施行後の一定期間の業務の実施状況等に基づき評価を行いますので、施行日前申請及び制度施行直後の申請受付は行いません」としています。[7]なお表の②の列には、監理支援機関が優良であることは要件になりません。
優良な育成就労実施者の基準のほうは、すでに運用要領の第4章に配点表として公表されています。評価項目はⅠ技能及び日本語能力の修得に係る実績・Ⅱ体制・待遇・実施状況・Ⅲ地域社会との共生・Ⅳ法令違反・問題の発生状況の4つで、受入れ実績の長さに応じて参照する基準と満点が変わります。受入れ実績がない場合や初回受入れから1年未満は総得点56点の7割(40点)以上、1年以上2年未満は72点の7割(51点)以上、2年以上3年未満は85点の7割(60点)以上、3年以上は100点の7割(70点)以上です(Ⅰ最大50点・Ⅱ最大40点・Ⅲ最大10点は3年以上の段の満点で、実績が短い段はⅠ・Ⅱの参照項目が絞られます)。加えて、Ⅳを除く項目でそれぞれ6割以上を獲得している必要があります。[7]Ⅳが除かれるのは、Ⅳが加点ではなく減点と失格の項目だからです——直近過去3年以内に改善命令を受けていること、受け入れ機関に責めのある行方不明者を発生させたことは、いずれも「優良適合不可」とされています(技能実習制度時の実績を含みます)。[7]
⚠️ 技能実習での実績がまったく無い企業が、初回から②の枠を取ることはできません。受入れ実績がない段で参照するⅠの項目は3つ(満点19点)しかなく、うち17点分は技能試験の合格率で決まるところ、受験実績がない場合は0点とされているためです(技能実習生に係る技能検定等の実績は含めることができます)。残る2点だけではⅠの6割(11.4点)に届きません。[7]技能実習での実績を持ち込めるかが分かれ目で、まったくの新規で始めるなら最初の3年は①の枠で計画を組むのが現実的です。
⚠️ ②③は自動では付きません。育成就労計画の認定申請のときに優良要件適合申告書(参考様式第1-36号)と疎明資料を提出し、機構から適合の確認を受ける必要があります。認められる期間は通知を受けた日の属する年度の翌年度12月31日までで、その後も続けるには、期間が満了する年度の実施状況報告書の提出時(4月1日〜5月31日)に同じ申告書を出し直します。出さなければ期間の満了で優良の扱いは終わります。[7]
単独型の人数枠は2つに分かれます。継続的かつ安定的に育成就労を実施することができる体制を有するものは上の監理型と同じ人数(①②③の各列の実数)が適用されます。⚠️ ただし単独型には監理支援機関が関与しないため、③に当たる枠は「優良な育成就労実施者であり、かつ住所が指定区域にある場合」で判定されます。それ以外のものは割合のみ(一般=20分の3・優良=10分の3)で、一般は常勤職員20名以上・優良は10名以上であることが必要とされ、3倍に当たる枠はありません。[9][7]
3制度(技能実習・育成就労・特定技能)の人数枠の考え方の違いは特定技能と技能実習の違いで比較しています。「指定区域」の範囲と判定の仕方は育成就労の転籍制度、分野全体の受入れ見込数と上限到達時に計画の認定が一時停止される扱いは育成就労の対象分野が詳しいです。
日本語・技能の要件(就労開始時と特定技能への移行時)
育成就労は、就労を開始する時点から日本語能力の要件がある点が、技能実習との大きな違いのひとつです。開始時と、特定技能1号へ移行する時点の要件を整理すると次のとおりです。
| 時点 | 日本語の要件 | 技能の要件 |
|---|---|---|
| 育成就労の開始時 | 原則A1相当以上(試験合格、または認定日本語教育機関の就労課程でA1相当の講習を100時間以上受講)。介護分野はA2.2相当以上の試験合格、鉄道分野の運輸係員はA2.2相当以上に加えて入国時のA1相当以上の試験合格 | 開始時点では課されない |
| 特定技能1号への移行時(育成就労を終了するまで) | 基本方針は「日本語教育の参照枠」のA2相当以上を基本とし、分野別運用方針の別紙は17分野すべてでA2.2相当以上(参照枠A2相当のレベル)。介護分野はこれに加えて介護特定技能評価試験(日本語)の合格、鉄道分野の運輸係員はB1相当以上 | 特定技能1号評価試験、または育成就労評価試験(専門級)・技能検定3級などの合格(分野で異なる) |
分野横断の原則として、開始時の要件は試験合格に限られません。育成就労制度Q&Aは「日本語のA1相当試験に合格しなければ入国できないということはありません」とし、認定日本語教育機関の就労課程で所定の講習を受講する道も認めています。[2]
ただし上乗せは開始時にも移行時にもあり、分野で形が違います。分野別運用方針の別紙を読むと次のとおりです。[12]
- 介護分野 — 別紙は「介護分野において育成就労の在留資格で受け入れる外国人は次の(1)に定める試験に合格した者とする」としており、開始時はA2.2相当以上の試験合格が求められます。2026年8月11日時点の別紙1(介護分野)には、この水準を講習の受講で満たす定めは確認できませんでした。移行時もA2.2相当以上で、さらに介護特定技能評価試験(日本語)の合格が加わります。
- 鉄道分野の運輸係員の業務区分 — 別紙は「試験に合格した者又は講習を受講した者とする」としており、開始時のA2.2相当以上は講習でも満たせます。ただしこれとは別に、入国時にA1相当以上の試験に合格していることが求められます。移行時はB1相当以上と、水準そのものが引き上げられています。
⚠️ このように、講習で代えられるかどうかも分野の別紙で決まります。自社の分野・業務区分の水準は、必ず該当分野の分野別運用方針の別紙で確認してください。なお「A2.2」は出入国在留管理庁・厚生労働省の資料で「日本語教育の参照枠A2相当のレベル」と定義されている水準で、日本語能力試験ではN4相当が目安として示されています。[4][2]
このほか開始から1年経過時・本人意向の転籍時にも水準が置かれています。時点ごとの一覧と、受験させる義務・費用の扱いは育成就労から特定技能への移行で整理しています。
受け入れを支える窓口は「監理支援機関」になる
監理型で受け入れる場合、技能実習で監理団体が担ってきた役割は、育成就労では監理支援機関が担います。[4]許可制である点は維持され、出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、国際的なマッチング、育成就労実施者に対する監理・指導、育成就労外国人の支援・保護などを担う機関としています。[2]
注意したいのは、現在の監理団体が自動的に監理支援機関になるわけではない点です。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、監理団体が育成就労制度に関わる業務を行うためには新たに許可を受ける必要があるとしています。[2]
取引のある監理団体が許可を申請しない場合、企業側には次の対応が要ります。
- 施行日から育成就労で受け入れるなら、別の監理支援機関を探し直す — 2026年9月1日からの育成就労計画の認定申請に間に合わせるには、早めの着手が要ります。
- 在留中の技能実習生の監理は、経過措置の期間中も続く — 経過措置で技能実習を継続する人には技能実習制度のルールが適用されます。施行日後に監理団体の許可の有効期間が切れる場合は更新が必要ですが、育成就労制度Q&Aは、その監理団体が監理支援機関の許可を受けていれば技能実習の一般監理事業の許可を受けたものとみなされ、別途の更新は要らないとしています。[2]許可を申請しない監理団体と取引している場合は、この点も含めて確認しておく論点になります。
3者(技能実習・育成就労・特定技能の窓口)の違い、許可基準と有効期間、申請スケジュールの目安、監理支援費の考え方、選ぶときの確認ポイントは監理団体・監理支援機関・登録支援機関の違いで詳しく整理しています。
本人意向の転籍
育成就労では、技能実習にはなかった本人の意向による転籍が、一定の要件のもとで認められます。やむを得ない事情による転籍に加えて、同一の業務区分内で、転籍制限期間(分野ごとに1〜2年)を超えて就労したことなどの要件を満たした場合に可能になる設計です。
転籍の2類型(やむを得ない事情/本人意向)・本人意向の転籍の要件・企業が備えることは育成就労の転籍制度で詳しく解説しています。
育成就労から特定技能1号への移行
育成就労は、特定技能1号への接続を前提に設計されています。育成就労(原則3年)を修了し、上の表の技能・日本語の要件を満たせば、特定技能1号へ移行できます。[2]
移行に必要な要件・試験の時点・企業に課される受験させる義務・受験の費用や時間の扱い・試験に不合格だった場合の最長1年の延長は、育成就労から特定技能への移行でくわしく解説しています。特定技能制度そのものの全体像は特定技能とは?をご覧ください。
企業から見た育成就労——メリットと注意点
技能実習と比べた最大の違いは、未経験者を採用してから育てられる一方で、転籍が起こりうるという点です。企業の視点で、メリットと注意点を整理します。
メリット
- 未経験・海外の人材を「採用してから育てられる」 — 特定技能が試験に合格した即戦力を採用する制度であるのに対し、育成就労は原則3年かけて特定技能1号の水準まで育てる制度です。まだ試験に合格していない未経験者や海外の人材を受け入れ、自社の現場で育成して特定技能へつなぐことができます。前職要件・帰国後従事要件が無くなったぶん、募集の設計も組みやすくなります。
- 開始時に日本語の到達点が置かれる — 就労を開始する時点で日本語の要件があり、現場での意思疎通の土台をつくりやすい設計です。ただし分野横断の原則では試験合格に限らず講習受講でも要件を満たせるため、就労開始時点の実力には幅が出ます(分野ごとの水準と、講習で代えられるかは上の表と別紙で確認してください)。
- 育てて長く働いてもらう道筋がある — 原則3年の育成を経て特定技能1号(原則5年)へつなげます。育成就労3年と特定技能1号5年をあわせるとおおむね8年程度で、試験に不合格となった場合の最長1年の在留継続が乗ると9年程度まで伸びうる計算です。⚠️ これは各期間の合算による目安で、政府が「8年」「9年」と明示しているわけではありません。
注意点
- 育てた人材が途中で抜ける経路が2つある — 1つは本人の意向による転籍、もう1つは育成就労の途中での特定技能1号への移行です(移行の要件を満たし、現に在籍している受け入れ機関での就労期間が一定を超えている場合に認める方針とされています)。[2]途中移行の条件は育成就労から特定技能への移行で解説しています。
- 本人の意向による転籍が起こりうる — 一定の要件(育成就労制度Q&Aは、1年とすることを目指しつつも当分の間は分野ごとに1年から2年の間で定められるとしています[2]。2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針では17分野のうち2年が8分野・1年が9分野で、介護分野は2年・鉄道分野は1年です[12])を満たすと、本人の意向による転籍が認められます。技能実習では原則できなかった動きで、育てた人材が他社へ移りうる前提で定着の工夫をあわせて考えることが大切です。なお転籍が起きたときは、転籍先から転籍元へ初期費用の一部が補填される仕組みがあり、その按分の考え方は育成就労の転籍制度で解説しています。
- 費用の一部が企業側へ寄る — 外国人が送出機関に支払う費用の上限は、受入れ機関から支払われる月給(所定内月額)の2か月分までとされ、これを超える分は育成就労実施者(受け入れ企業)または監理支援機関が負担する設計です。[2]受験や日本語講習の費用の扱いは育成就労から特定技能への移行で整理しています。監理支援費そのものの実額は施行前で未公表ですが、桁の見当をつける材料として技能実習の監理費の公的調査(受け入れ時の初期費用の平均・月額・修了までの合計)を監理団体・監理支援機関・登録支援機関の違いに載せています。
- その先の道は全分野にあるわけではない — 特定技能2号に進めば在留期間の上限なく就労を続けられますが、特定技能2号の受け入れの範囲は特定産業分野19分野のうち11分野です。分野によっては一部の業務区分だけが2号へ進める形になっており、たとえば工業製品製造業分野では「機械金属加工区分」「電気電子機器組立て区分」「金属表面処理区分」のみが特定技能2号へ移行できるとされています。[4]自社の分野・業務区分に2号の道があるかは先に確認しておきたい点です。2号の対象外になっている分野の一覧は特定技能1号と2号の違いにあります——たとえば介護は、在留資格「介護」が別にあるため特定技能2号の対象ではありません。
- 採用計画が分野全体の枠に左右される — 1社あたりの受入れ人数枠(常勤職員数に応じた上限・優良で拡大)に加え、分野全体の受入れ見込数に達すると育成就労計画の認定が一時的に停止されます。[2]雇用契約を結んでいても、原則として新たに入国できなくなる仕組みです。
- 在留資格の確認を怠ったときの罰則が重くなる — 同じ改正法で、不法就労助長罪の法定刑が3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金から5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)へ引き上げられることが決まっています(改正法の施行日は上のとおり2027年4月1日)。[8]在留カードの確認を受け入れ後の運用として仕組みに落としておく必要があります(在留期限の管理=特定技能の在留期間)。
「育成就労はやばい」と言われるのはどこか
企業の立場で見ると、懸念の中心は転籍による流出と企業側の費用と手続きの増加——いずれも上の注意点で扱ったとおりです——に、細目がまだ動くことを加えた3つです。3つ目は、施行日・主務省令・分野別運用方針・優良な育成就労実施者の基準が確定した一方で、監理支援機関の「優良」の基準などが残っている状態を指します。[7]コスト試算は幅を持たせておくのが安全です。
なお「廃止」という語は、技能実習制度が育成就労に置き換わることを指して使われるもので、育成就労そのものの取りやめを示す公表は2026年8月11日時点で確認できていません(確認した範囲は下のFAQに記載)。[2][4]
まとめ
育成就労は、人材の確保と育成を目的とする新制度(2027年4月1日施行)で、技能実習を見直して創設されます。原則3年で特定技能1号の水準まで育て、特定技能へ移行する流れが基本です。対象分野は特定技能19分野から航空・自動車運送業を除いた17分野、監理型で受け入れを支えるのは許可制の監理支援機関(いまの監理団体が自動的に切り替わるわけではありません)です。技能実習と異なるのは、就労開始時から日本語の要件があること、一定要件のもとで本人意向の転籍が認められること、そして特定技能1号へ移る時に技能・日本語の試験の合格が要る(技能実習2号良好修了者の試験免除は育成就労には無い)ことです。
企業側で先に効いてくるのは、施行日そのものより経過措置の期限です。技能実習で新たに受け入れるなら計画認定の申請は法令上2027年3月31日まで(原則2027年6月30日までに実習開始)ですが、外国人技能実習機構は2027年2月までの申請を案内しており、実務上はここが「技能実習で採るか、育成就労を待つか」の決断期限になります。しかも経過措置で技能実習を選んだ人は育成就労へは移れず、これから1号で受け入れる人は技能実習2号までの通算3年が上限です。
分野が対象であっても、育成就労実施者としての要件(同種の業務の労働者を離職させていないこと〔定年退職・本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇・自発的な離職などは除く〕、労働・社会保険・租税の法令遵守、分野別協議会への加入など)は別にかかります。1社で採れる人数も常勤職員数で決まり、優良と認められれば拡大しますが、技能実習の実績が無い企業は初回から優良にはなれません。施行日・主務省令・分野別運用方針は定まっていますが、分野別運用要領(2026年9月1日時点で9分野公開)や監理支援機関の「優良」の基準、二国間取決めを作成した国など、細目はまだ順次示されている段階です。自社の業種が対象か、いつから何を準備すべきかは、出入国在留管理庁・外国人技能実習機構の最新の公表で確認しながら進めてください。
育成就労での受け入れが始まるのは2027年4月からです。なお、当サイトのご相談でご紹介できるのは特定技能の受け入れを支える登録支援機関・人材紹介会社で、技能実習の監理団体と、育成就労の監理支援機関は紹介の対象に含みません(監理支援機関は許可制で、許可の施行日前申請は2026年4月15日から受け付けが始まったところで、2026年9月6日時点では、外国人技能実習機構のページで許可を受けた機関の一覧は確認できませんでした)。
よくあるご質問
- 育成就労の運用要領は公表されていますか?
- 分野横断の運用要領は公表されていますが、分野別運用要領の公開は2026年9月1日時点で17分野中9分野にとどまります。分野横断の運用要領は出入国在留管理庁のページに本文・別紙・参考様式が掲載され、その後も改正が随時行われています(優良な育成就労実施者については、第1-36号様式「優良要件適合申告書(育成就労実施者)」が掲載されています)。優良な育成就労実施者の基準は、この運用要領の第4章に配点表として公表されています(Ⅰ技能及び日本語能力の修得に係る実績・Ⅱ体制・待遇・実施状況・Ⅲ地域社会との共生を点数化し、受入れ実績の長さに応じた満点〈56〜100点〉の7割以上に加えて、この3項目でそれぞれ6割以上が必要。Ⅳ法令違反・問題の発生状況は減点と失格の項目で、改善命令の実績などがあると優良適合不可)。Ⅰの中心は技能試験の合格率で、受験実績がない場合は0点とされているため、技能実習での実績がまったく無い企業が初回から優良になることはできません。一方で、監理支援機関の『優良』の基準は、決まり次第、運用要領の中で示される予定です。最新版がどれかを含め、細部は出入国在留管理庁の育成就労制度運用要領のページで確認してください。
- 育成就労はいつから始まりますか?
- 育成就労制度を定めた改正法は2024年6月21日に公布され、2027年4月1日に施行されます。施行に先立ち、監理支援機関の許可の施行日前申請は2026年4月15日から受け付けが始まっており、育成就労計画の認定に係る施行日前申請は2026年9月1日から始まります。技能実習は施行日で即座に終わるわけではなく、法令上は2027年3月31日までの計画認定申請・原則2027年6月30日までの実習開始という経過措置があります。ただし外国人技能実習機構は1号技能実習計画の認定申請を2027年2月までに行うよう案内しているため、実務上の期限はそちらです。最新の時期は出入国在留管理庁・外国人技能実習機構の公表で確認してください。
- 育成就労で外国人は何年働けますか?
- 育成就労は原則3年です。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aは、3年を経過した場合であっても、特定技能1号への移行に必要な技能・日本語能力に係る試験に不合格となったときは、最長1年の範囲内で一定の在留継続を認める方針としています。その後は特定技能1号(原則5年を上限)へ移行する設計で、特定技能2号には在留可能な期間の上限がありません。延長の要件と手続きは育成就労から特定技能への移行のページで解説しています。
- 施行日の時点で受け入れている技能実習生はどうなりますか?
- 2027年4月1日に既に来日している技能実習生は、原則として引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けられます。施行日時点で技能実習1号の方は、技能実習計画の認定を受けて技能実習2号へも移行できます。技能実習3号への移行は、2027年4月1日の時点で技能実習2号の活動を1年以上行っている方に限られます。したがって、経過措置でこれから新たに技能実習1号として受け入れる方は3号へ進めず、技能実習1号と2号の通算3年までが上限になります。なお、経過措置で技能実習を続ける方には技能実習制度のルールが適用され、技能実習から育成就労へ移行することはできません。詳細は出入国在留管理庁の「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」で確認してください。
- いま取引している監理団体は、そのまま育成就労の窓口になりますか?
- なりません。育成就労で受け入れ企業の監理・支援を担うのは、あらためて許可を受けた監理支援機関です。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aも、監理団体が育成就労の業務を行うには新たな許可が要るとしています。許可の施行日前申請は2026年4月15日から受け付けが始まっており、取引先が申請する方針かどうかは企業側から確認しておきたい論点です。申請しない場合は、施行日から育成就労で受け入れるなら別の監理支援機関を探すことになります。
- 育成就労制度は「やばい」「廃止」と言われることがありますが、企業にとってのリスクは何ですか?
- 企業の立場で見た懸念は3つに整理できます。①転籍制限期間を過ぎると本人の意向で他社へ移れるため、育てた人材が流出しうること、②本人が送出機関に支払う費用の上限規制、養成講習の受講義務の拡大、3年分の育成就労計画の作成など、受け入れ側の費用と手続きが総じて重くなる方向であること、③分野別運用要領や監理支援機関の「優良」の基準など、細目が今後示される部分が残っていることです。なお「廃止」という語は技能実習制度が育成就労に置き換わることを指して使われることがあります。2026年8月11日時点で、出入国在留管理庁の「育成就労制度」ページ・育成就労制度Q&A・「育成就労制度の概要」を「廃止」で確認した限りでは、育成就労そのものの取りやめを示す記載は確認できませんでした。
- 育成就労と技能実習の違いは何ですか?
- 技能実習が「国際貢献(技能移転)」を目的とするのに対し、育成就労は「人材の確保と育成」を目的とする制度です。原則3年で特定技能1号の水準まで育てることを想定しています。企業から見た実務上の違いは3つあります。①一定の要件のもとで本人の意向による転籍が認められること、②就労を開始する時点から日本語能力の要件があること、③特定技能1号へ移る時に技能・日本語いずれの試験も合格が必要なこと(現行の特定技能制度にある技能実習2号良好修了者の試験免除は、育成就労にはありません)。
- 育成就労から特定技能には移れますか?
- はい。育成就労(原則3年)を修了し、技能(特定技能1号評価試験、または育成就労評価試験の専門級・技能検定3級など。分野で異なります)と日本語(基本方針は「日本語教育の参照枠」のA2相当以上を基本とし、分野別運用方針の別紙は17分野すべてで終了時の水準をA2.2相当以上=参照枠A2相当のレベルと定めています)の要件を満たせば、特定技能1号へ移行できる設計です。分野の上乗せがあり、介護分野はこれに加えて介護特定技能評価試験〈日本語〉の合格、鉄道分野の運輸係員の業務区分はB1相当以上が求められます。自社の分野の水準は分野別運用方針の別紙で確認してください。
- 育成就労の開始時に、日本語の要件はありますか?
- あります。分野横断の原則は、日本語能力A1相当以上(日本語能力試験N5相当)の試験合格、または認定日本語教育機関の就労課程でA1相当の講習を100時間以上受講していることで、試験に合格しないと入国できないという仕組みではありません。ただし分野の上乗せがあります。介護分野は開始時にA2.2相当以上の試験に合格した者とされており、鉄道分野の運輸係員の業務区分はA2.2相当以上に加えて入国時にA1相当以上の試験に合格していることが求められます。自社の分野の要件と、講習で代えられるかどうかは分野別運用方針の別紙で確認してください。
- 1社で受け入れられる育成就労外国人の人数に上限はありますか?
- あります。育成就労実施者(受け入れ企業)の常勤職員数に応じた受入れ人数枠が設けられており、優良であると認められれば基本人数枠の2倍、優良な監理支援機関の監理支援を受ける指定区域(地方)の優良な育成就労実施者であれば3倍まで拡大されます。ただし優良の判定は技能試験の合格率などの実績で行われるため、技能実習の実績が無い企業は初回から優良にはなれず、3倍の枠は優良な監理支援機関の認定が始まるまで取れません。ただし①基本人数枠・②優良な育成就労実施者・③優良な監理支援機関の監理支援を受ける指定区域の優良な育成就労実施者、と並べたとき、②は常勤5人以下、③は常勤8人以下の区分ではちょうど2倍・3倍になりません(例=常勤5人なら①9人・②15人・③16人)。これは分野全体の受入れ見込数とは別の、1社あたりの枠の考え方です。さらに分野によっては、この枠とは別に1社(1事業所)あたりの上限がかかります(例=介護分野は事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限)。自社の分野の分野別運用方針の別紙もあわせて確認してください。
出典・参考(一次情報)
- 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 最終報告書(2023年11月)(出入国在留管理庁)
- 育成就労制度Q&A(Q10・Q11・Q40・Q41)/育成就労制度Q&A(Q56・Q63・Q75)/育成就労制度Q&A(Q48・Q50・Q74・Q77〜Q80)(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和7年政令第340号)(出入国在留管理庁)
- 育成就労制度の概要(令和8年7月改訂・施行までのスケジュール・技能実習に関する経過措置・日本語能力水準の定義)(出入国在留管理庁・厚生労働省)
- 育成就労制度について(技能実習制度の経過措置・施行日前申請の受付/確認日2026年9月6日)(外国人技能実習機構)
- 在留資格「技能実習」(出入国在留管理庁)
- 育成就労制度運用要領(分野別運用要領・参考様式/確認日2026年9月6日)(出入国在留管理庁)
- 改正法の概要(育成就労制度の創設等・不法就労助長罪の厳罰化)(出入国在留管理庁)
- 育成就労制度の関係省令等について(概略図・受入れ人数枠/育成就労を行わせる体制/業務の運営の基準)(出入国在留管理庁・厚生労働省)
- 育成就労制度の概要(外国人技能実習機構の外国人育成就労機構への改組)(厚生労働省)
- 行政書士法(第1条の3・官公署に提出する書類の作成/第19条・業務の制限)(e-Gov法令検索(デジタル庁))
- 育成就労制度に係る基本方針・分野別運用方針(出入国在留管理庁)