訪問介護に特定技能で従事できるか|初任者研修+実務1年・5つの遵守事項と適合確認申請
目次
訪問介護は介護のなかでも人手不足が深刻で、「特定技能の外国人を訪問のヘルパーとして出せないか」という相談が増えています。結論から言うと、要件を満たせば従事させられますが、施設での介護とは別に、本人・事業者・手続きの3方向で条件が上乗せされます。必要なのは①本人の要件(初任者研修の修了+実務経験1年以上、一定の場合は例外あり)②事業者側の5つの遵守事項③巡回訪問等実施機関への適合確認申請と、利用者への書面説明です。しかも手続きは受け入れ時の一度きりではなく、キャリアアップ計画の定期報告が毎年度あり、巡回訪問も受け入れ後に続きます。
このページでは、対象になるサービスの範囲から、申請でいつ何を出すか、従事させたあとに何が続くかまでを、厚生労働省の通知・Q&Aと国際厚生事業団(JICWELS)の案内で確認しながら整理します。
この記事の要点
- 対象は介護保険と障害福祉の両方 — 介護保険の訪問介護・訪問入浴介護・定期巡回などに加え、障害福祉の居宅介護・重度訪問介護・同行援護なども対象で、障害福祉側はサービスごとに必要な研修課程が別表で決まっています。
- 本人は初任者研修修了+実務1年以上が原則 — 日本語能力試験N2相当以上など一定の条件を満たせば、実務経験1年未満でも従事できる例外があります。生活援助従事者研修課程のみの修了は対象外です。これらを満たしている必要があるのは従事を開始する時点で、適合確認申請の時点では未了でも差し支えありません(申請と研修修了を直列に並べなくてよい)。
- 訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護は要件の対象外 — 複数人での提供が前提のため、初任者研修等の修了と実務経験1年、5つの遵守事項、利用者・家族への書面説明、巡回訪問等実施機関への届出のいずれも不要です(指導体制の確保・職場内研修・キャリアアップ支援は求められます)。
- 適合確認書は外国人ごと・発行前は同行訪問もできない — 事業所が入会証明書に載っていても、その人について申請が要ります。国際厚生事業団は、不備がない場合の審査期間を書類提出から2か月〜2か月半(2026年5月時点の申請状況を踏まえた目安)としています。
- すでに受け入れている事業所にも宿題がある — 2026年5月13日の協議会申請システム改修で、2025年4月21日〜2026年5月13日に適合確認書の発行を受けた外国人については、提出済みの申請書類のデータがシステムへ移行されていません。外国人情報の登録または定期報告の際に、報告書・キャリアアップ計画・ハラスメント関係資料・緊急時マニュアルを再アップロードする必要があります。
- 併設のサ高住・住宅型有料老人ホームは条件つき — 特定施設入居者生活介護の指定を受けていないサ高住・住宅型有料老人ホームでは就労できません(指定があっても外部サービス利用型は不可)。訪問系として従事できるのは介護保険法上の訪問系サービス業務で、併設住宅の介護保険法に基づかない業務は行えず、実務経験1年の算定にも入りません。
- 手続きは一度きりではない — キャリアアップ計画の評価期間は1年で、定期報告は評価期間の終期から4か月以内に提出します。初回の評価期間の起点は、適合確認書の発行後に本人が訪問系サービスへの従事を開始する日で、申請時に書いた予定日とずれたらシステム上の登録も直します。時期の1か月前には協議会事務局から自動通知メールが届きます。巡回訪問も受け入れ後に続きます。
- 満たさないと判断されると重い — 指導に従わないなどの場合は要件適合確認書が取り消され、協議会を脱退となった法人は脱退の日から5年間、介護分野の特定技能外国人を受け入れられません。
- 要件に対応する公費のメニューが、同じ通知に書かれている — 留意点通知は国が行う取組として、地域医療介護総合確保基金に初任者研修を含む各種研修の受講支援・介護福祉士資格取得の学習支援・訪問系サービスに同行する場合のかかり増し経費への支援・ハラスメント対策の推進・ICT導入支援のメニューが整備されていると示しています。対象・要件・募集時期は都道府県ごとに決まります。
本記事は一般的な情報提供です。訪問系サービスへの従事は要件・手続きが細かく、様式や取扱いも更新されます。実際に検討する際は、出入国在留管理庁および厚生労働省・国際厚生事業団の最新の案内で必ず確認してください。
対象になる訪問系サービス(介護保険と障害福祉)
特定技能外国人が従事できる訪問系サービスは、介護保険と障害福祉の両方にまたがります。「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」の中間まとめと、2025年(令和7年)2月17日の有識者会議等での結論を経て、同年3月31日付で留意点通知が発出され、特定技能は同年4月21日から、一定の要件のもとで従事が認められました。[1]
介護保険で対象となるのは次のサービスです。
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 夜間対応型訪問介護
- 介護予防訪問入浴介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 総合事業の訪問型サービス
障害福祉サービス等はサービスごとに必要な研修課程が違う
訪問介護事業所は障害福祉の居宅介護等を併せて運営していることが多く、ここを取り違えると「介護保険の訪問には出せるが、障害福祉の訪問には出せない」という事態が起きます。障害福祉側は別の通知(令和7年3月31日付 社援発0331第41号・障発0331第4号・こ支障第89号)で定められており、基本的な考え方・遵守事項は介護保険側と同じですが、対象サービスと必要な研修課程が別表で個別に決まっています。
対象は、居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援・移動支援事業(障害者総合支援法)と、居宅訪問型児童発達支援(児童福祉法)です。このうち主要4サービスの従事要件は次のとおりです。
| 本人が修了した研修課程 | 居宅介護 | 重度訪問介護 | 同行援護 | 行動援護 |
|---|---|---|---|---|
| 介護福祉士/実務者研修修了者 | ○ | ○ | ○(実務1年) | × |
| 居宅介護職員初任者研修/介護職員初任者研修修了者 | ○ | ○ | ○(実務1年) | × |
| 障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者 | ○ | ○ | ○(実務1年) | × |
| 重度訪問介護従業者養成研修修了者(基礎課程) | ○(直接処遇経験が必要) | ○ | × | × |
| 生活援助従事者研修課程修了者 | × | × | × | × |
| 同行援護従業者養成研修修了者(一般課程) | × | × | ○ | × |
| 行動援護従業者養成研修修了者/強度行動障害支援者養成研修修了者(基礎研修及び実践研修) | × | ○ | × | ○(実務1年) |
読み方で外せない点が2つあります。1つ目は、介護職員初任者研修だけでは行動援護に従事させられないことです。介護保険の訪問介護と同じ感覚でシフトを組むと、ここで穴が開きます。2つ目は、この表の「(実務1年)」は各サービスに従事するために元から求められている実務経験であって、外国人介護人材が訪問系サービスに従事するために求められる実務経験1年とは別のものだと通知が明記していることです。同行援護に初任者研修修了者を出す場合は、2種類の1年をそれぞれ確認することになります。
このほか、重度障害者等包括支援は、提供することとなる各訪問系サービスごとに必要な研修課程の修了等の要件を満たせば従事可能です。移動支援事業は一定の研修修了を要件に従事可能ですが、どの研修を対象とするかを判断するのは市町村です(通知は都道府県が実施する従業者養成研修等を参考事例として10種類挙げたうえで、受入事業者に対して所在する市町村へ対象となる研修を確認するよう周知徹底を求めています)。移動支援事業のうち車両移送型は対象外です(車両内および乗降時の介護が想定され、通知は「技能実習制度で求められている『身体的介護の技能の修得』には満たない」としています)。居宅訪問型児童発達支援は、障害児について入浴・排せつ・食事その他の介護を行い、および当該障害児の介護を行う者に対して介護に関する指導を行う業務に3年以上従事した者であれば従事できます(一般の介護経験ではなく、障害児を対象とした経験である点に注意してください)。障害者総合支援法の地域生活支援事業として実施する訪問入浴サービスも、複数人でのサービス提供を要件に従事が可能です。このサービスは介護保険の訪問入浴介護と同じ扱いで、初任者研修等の修了・実務経験1年・5つの遵守事項・書面説明は求められない代わりに、指導体制等の確保と職場内研修・キャリアアップ等の支援が必要になります。加えて通知は、一定の経験のある職員とチームでサービス提供に当たるなど、安全性を確保する体制をとるよう求めています。[2]
対象にならない業務(ここを先に確認する)
次の業務は、訪問系サービスへの従事が認められた後も対象に含まれません。シフトの組み方に直接効くため、先に整理してください。
- 小規模多機能型居宅介護の「訪問」業務 — 通い・泊まりのサービスは対象ですが、訪問業務は対象外です。厚生労働省のQ&Aは、既に外国人介護人材が「通い」「泊まり」に従事していること、訪問介護等と異なり従事にあたって初任者研修等の修了が要件になっていないことなどから、どのような要件を課すべきかを今後検討する必要があるため認められない、と理由まで示しています。[3]
- 訪問看護 — 厚生労働省が示す対象サービスの一覧に訪問看護は含まれていません。[1]⚠️ 除外した理由は、2026年8月13日時点で通知・同Q&Aのいずれにも記載を確認できませんでした(小規模多機能型居宅介護の訪問業務については理由が示されていますが、訪問看護には言及がありません)。
併設のサ高住・住宅型有料老人ホームは「特定施設の指定」で分かれる(誤解が多い点)
訪問介護事業所は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームを併設していることがよくあります。ここは使えるようになったと誤解されやすいため、注意が必要です。
巡回訪問等実施機関である国際厚生事業団(JICWELS)は、次のとおり案内しています。
- 特定技能外国人は、介護保険法上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていないサ高住・住宅型有料老人ホームでは就労できない(令和7年4月の訪問系サービスの取扱い変更の後も、引き続き認められていません)。
- 特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合でも、外部サービス利用型での就労は認められません。
- したがって、適合確認書の発行を受けた人が従事できるのは、あくまで訪問介護事業所等における介護保険法上の訪問系サービス業務(身体介護・生活援助等)です。訪問介護事業所に併設する住宅型有料老人ホームやサ高住の、介護保険法に基づかない業務は行えません。[4]
- さらに、従事が認められていない施設・事業所での業務は、訪問系サービス従事に必要な実務経験(1年以上)の算定対象にもなりません。
つまり「訪問介護の事業所を持っているから、併設の住宅の仕事も任せられる」とはなりません。同じ建物の中でも、介護保険法上の訪問系サービスとして提供する業務かどうかで線が引かれます。
この点は、訪問系サービスだけを行う事業所にも別の形で効きます。指定訪問介護・指定夜間対応型訪問介護・指定定期巡回等は別紙2の対象施設に含まれているので、そこでの勤務自体は実務経験に算入されます。[5]ただし訪問系に出るには先に1年が要るため、訪問系しか持たない事業所では「その1年をどこで積むか」が自社の中で閉じません。実務経験を満たした人材を採る(他の事業所で経験を積んだ人の採用)か、N2相当以上+利用者ごとの同行訪問という例外ルート(後述)を使うか、の二択で考えることになります。
⚠️ 海外での介護経験を算入できるとする記載は、2026年8月13日時点で留意点通知・同Q&A・別紙2のいずれにも確認できませんでした。厚生労働省のQ&Aは、1年以上の実務経験期間を「別紙2に掲げられている施設等において、介護等の業務に従事していた期間」としており、別紙2に並ぶのは国内の法令上の施設種別だけです。[3]海外から呼び寄せた人をいきなり訪問に出すことはできず、まず国内の対象施設で1年を積むか、N2相当以上の例外ルートを使うことになります。
訪問入浴介護は要件の対象外(複数人提供のため)
訪問系サービスの中でも、訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護の2サービスは、本人要件・5つの遵守事項・利用者や家族への書面説明・巡回訪問等実施機関への届出のいずれも対象外です。これらのサービスが複数人での提供を前提としており、訪問介護のように1人で利用者宅に入るケースとは事情が異なるためです。[6]
厚生労働省のQ&Aは、この2サービスについて「留意点通知三及び四に掲げた事項の遵守等は求めず、巡回訪問等実施機関への事前の届出等は不要」としています。三が5つの遵守事項、四が本人の実務経験と利用者・家族への説明なので、後述の書面説明・署名もこの2サービスでは求められません。
対象外だからといって、何もしなくてよいわけではありません。厚生労働省のQ&Aは、訪問入浴介護に従事する職員にはもともと初任者研修課程等の修了が求められていないため外国人介護人材にも求めないとしたうえで、次の3つを求めています。
- 適切な指導体制等 — 本人の負担軽減と訪問先での不測の事態への対応の観点から、介護技能等を指導できる体制と、事業所全体でフォローする体制。
- 職場内で実務に必要な入浴等の研修 — 訪問入浴介護の基本事項(一連の流れ、基本動作、プライバシーの保護、法令遵守、ハラスメント対策、虐待防止等)、機材の使用方法、緊急時の対応。
- キャリアアップ等の支援の実施 — 訪問介護等と同様に、介護福祉士の資格取得支援を含むきめ細かな支援を行うよう配慮が求められています。[3]
本人に必要な要件と、実務経験の数え方
訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護を除く訪問系サービスに従事させるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。
- 介護職員初任者研修課程等の修了 — 生活援助従事者研修課程のみの修了は対象外です。厚生労働省のQ&Aは、技能実習制度が入浴・食事・排せつ等の身体介護の技能の修得を求め、特定技能制度が相当程度の知識・経験を要する業務への従事を求めている制度趣旨から、生活援助従事者研修を修了した人が訪問介護の生活援助のみを行うことは認めていない、としています。逆に、初任者研修を修了した人が訪問介護に従事する場合は、身体介護業務が中心であるものの、業務の一環として生活援助を行うことは認められる場合があります。
- 介護事業所等での実務経験が原則1年以上。
採用してすぐ訪問に出せるわけではありません。多くの場合、まず施設での介護で就労して実務経験を積み、初任者研修を修了したうえで訪問系に従事する、という流れになります。採用計画では「訪問に出せるようになるまでの期間」を見込んでおいてください。ただし、この2つを満たしてから適合確認申請に着手する必要はありません(申請時点では未了でよい=後述)。研修・実務経験と申請の審査を並行させられるかどうかで、訪問に出せる時期は数か月変わります。
実務経験1年はどこで積んだものが数えられ、どう証明するか
実務経験の対象となる施設等の範囲は、通知の別紙2「対象施設一覧」で定められています。ここには障害福祉サービス事業所や病院・診療所等における介護業務の実務経験も含まれます。自社に来る前の職歴を「介護施設でないから」と切り捨てないでください。
証明の方法も示されています。従事していた期間は、当該施設等の雇用契約書や労働条件通知書で1年以上を有していることを確認し、巡回訪問等実施機関から求められた場合に速やかに提出できるよう常備しておきます。これらを紛失している場合は、その期間内のシフト表・勤務表・給料明細・源泉徴収票等、従事していた施設等から発行された実務経験を証明できる資料で確認します。[3]
訪問先までの移動=自動車の運転はさせてよい
訪問介護の運用で最初に詰まりやすいのがここです。自動車運転免許を取得したうえで、道路交通法に則って運転することは可能です。厚生労働省のQ&Aが明示的に答えており、あわせて外国人向けの「生活・就労ガイドブック」(出入国在留管理庁)を参照するよう案内しています。[3]
運転そのものに制度上の制約はないため、実務では免許の取得・切替(外国免許からの切替を含む)と、社用車の保険の被保険者範囲をいつまでに整えるかがスケジュールの論点になります。
実務経験1年未満でも従事できる例外(N2相当以上の場合)
原則の実務経験(1年以上)を満たさない場合でも、次の2つを満たせば訪問系サービスに従事できる例外があります。
- ア)日本語能力試験N2相当以上の日本語能力を有すること。厚生労働省のQ&Aは、N2相当として基本的に日本語能力試験(JLPT)N2の合格を想定しているとしています(在留資格に求められる水準より高い能力です)。
- イ)利用者ごとに同行訪問を行うこと — 期間は訪問の頻度で決まります。
- 週1回の提供:原則半年。ただし利用者・家族の同意が得られ、サービス提供時に見守りカメラを活用するなどICTで常に事業所とやりとりできるようにする場合は、3か月に短縮できます。
- 週2回の提供:3か月
- 週3回以上の提供:2か月
短縮の下限は2か月です。通知は「2か月以上の同行訪問を求めることとし、それ以上の同行訪問期間の短縮は認めない」としています。週1回のケースを半年から3か月へ短縮するのはこの下限の範囲内で、認められている扱いです。あわせて通知は、利用者の状況等を勘案し、一人で適切に提供できるようになるために利用者ごとに必要な期間を事業者が判断することも求めています。
短縮に使う「利用者・家族の同意」とは、サービス提供時に本人が常に事業所とやりとりできるようにするため見守りカメラを活用することについて、利用者・家族に説明したうえで同意をとることを指します。ここでいうICTは、見守りカメラのほかスマートフォンやタブレット等、常に事業所とやりとりができるものが想定されています。[3]
受け入れ事業者の5つの遵守事項と、常備する資料
本人の要件に加えて、受け入れ事業者には次の5つの遵守事項が求められます(訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護を除く)。前提として、通知は訪問系サービスに従事させる場合も日本人と同等額以上の報酬を確保することを求めています(報酬額の決め方は外国人の給与の決め方で解説しています)。[6]
業務の基本事項に関する研修の実施
訪問介護等の業務の基本事項について、事業者が研修を行います。一定期間の同行訪問等によるOJT
就労開始後の一定期間、サービス提供責任者や先輩職員が同行して必要な訓練を行います。キャリアアップ計画の作成
本人と共同でキャリアアップ計画を作成します。ハラスメント対策(窓口の設置だけでは足りない)
未然防止として、対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化、対処方法等のルールの作成・共有、利用者やその家族等への周知。実際に起こった場合の対応として、そのルールの実行と、本人が相談できる窓口の設置・周知。ICT活用を含む必要な環境整備
緊急時対応など、情報通信技術(ICT)の活用を含めた環境を整えます。
見落とされやすいのは、この5つが「やっていること」ではなく「やったと分かる資料」で確認されるという点です。厚生労働省のQ&Aは、遵守事項ごとに、巡回訪問等実施機関から求められた場合に速やかに提出できるよう常備しておく資料を例示しています。体制づくりのコストを見積もるときは、この列まで含めて考えてください。
| 遵守事項 | 巡回訪問で求められたら出せるよう常備する資料(Q&Aの例示) |
|---|---|
| ①研修の実施 | 研修で使用した資料/本人が研修に出席したことが分かる記録/本人が作成した研修レポート/研修実施日のシフト表・勤怠管理表/研修計画 |
| ②同行訪問等のOJT | チェックシート/OJTの計画書/実施後に本人が作成したレポート/実施日の本人と同行者のシフト表/訪問記録/勤務管理表/実施期間を事業所内で協議したことが分かる書類 |
| ③キャリアアップ計画の作成 | キャリアアップ計画そのもの(受け入れ前と定期報告の両方で提出) |
| ④ハラスメント対策 | 相談体制の整備・相談実績が分かる資料(担当者、相談の受付簿、対応記録)/被害防止のマニュアル/研修で使用した資料/相談窓口の設置と、事業所内で実施しているハラスメント対策の内容を、職員・利用者・家族等へ周知していることが分かる資料(手交している資料など) |
| ⑤ICT活用等による環境整備 | 緊急時対応マニュアル/勤務体制一覧表 |
①研修=「介護の技術」だけでは足りない
通知が研修の内容として挙げているのは、訪問系サービスの基本事項と生活支援技術(居宅で実施する事項)に加えて、次の2つです。
- 利用者・家族・近隣とのコミュニケーション — 傾聴・受容・共感などのコミュニケーションスキルを含みます。
- 日本の生活様式など、生活習慣に配慮したサービス提供のための研修 — 通知の実例には、生活援助の調理で日本食の味付けを研修で指導した例、訪問宅に応じた靴やカバンの置き方・電話対応・記録の書き方を指導した例が挙げられています。
さらに、緊急時の連絡方法・連絡先を事前に確認する研修も必要とされています。研修は介護技術の話にとどまらず、「他人の家に上がって働く」ための研修が中心です。
実施時期と頻度についてQ&Aが示しているのは、この研修が初任者研修や入国後講習、各種法令で求められる研修とは別のもので、主に本人が一人で問題なく訪問系サービスに従事できるようになるまでのOJT期間中に実施することを想定している、という点です。頻度や年間の回数は利用者と本人の状況により事業者が判断します。開催方法として、法人内の複数事業所による合同開催や外部機関等の活用も挙げられています。
②同行訪問(OJT)=回数・期間は事業者の個別判断
同行訪問の回数・期間について、通知は一律の規定を置いていません(利用者と本人の状況により受け入れ事業者が個々に判断)。ただし指導の進め方として、次の段階を踏む例が示されています。
同行訪問の初期:見学が中心
まずは同行者の業務を見学することを中心にします。中期:役割分担して業務を増やす
役割分担のうえで身体介護等の業務を行い、対応できる業務を徐々に増やします。最終段階:本人が中心・同行者が確認
外国人介護人材が中心にサービス提供を行い、同行者がそれを確認します。
判断の材料として、厚生労働省は同行訪問チェックシートの参考例(通知の別紙1)を用意しています。Q&Aが挙げる観点は、①サービス内容の手順を理解しているか ②サービス内容を実施できているか ③緊急体制・連携を理解しているか ④記録・報告ができているか ⑤他職種と連携できているか ⑥利用者とコミュニケーションがとれているか ⑦アセスメント記録により利用者の状態像や周辺環境等を理解しているか、の7点です。目標の達成状況を把握し、本人へのフィードバックを通じたやりとりを踏まえて判断することが考えられる、とされています。[3]
なお、実務経験1年未満で従事させる例外ルートを使う場合だけは、同行訪問の期間が数値で決まっています(前述のとおり週1回なら半年、週2回なら3か月、週3回以上なら2か月)。
③キャリアアップ計画=本人と共同で作る
キャリアアップ計画は、様式・記載要領・提出時期を定めた別の通知(社援基発0331第4号・令和7年12月1日第1次改正)があります。押さえる点は次のとおりです。[7]
- 外国人介護人材ごとに、本人と共同して作成する。従事させる業務の内容や注意事項を事前に丁寧に説明し、本人の意向・日本語能力・介護の知識等を踏まえ、十分にコミュニケーションを取ったうえでキャリア目標を定めます。
- 受入事業者の説明者の署名と、本人の署名を記載する。作成後は計画の写しを本人に交付し、巡回訪問等実施機関(特定技能では協議会の事務局)へ提出します。
- 記載事項は5つ — 本人の意向、介護技能修得目標(「何を」「どこまで」)、介護技能修得のための活動計画(本人の活動計画と事業所側の活動支援計画)、資格取得・研修受講目標と評価期間のキャリア目標、日本語能力習得目標。
- 作成時のコミュニケーションは対面またはオンラインでよい — 厚生労働省のQ&Aは、テレビ電話装置、オンライン会議用ツール等、対面に相当する方法も可能としています(本人に負担がないよう留意)。同Q&Aは押印は必ずしも必要ではないことも示しています。[3]⚠️ 押印が要らないことと、署名を直筆以外で済ませられることは別です(署名は説明者・本人とも直筆が求められます=後述)。
- 既に類似の計画がある場合でも、あらためて作成する。
見落とされやすいのが、本人が訪問に出ることを納得しているかを確認し、それを計画に残すという要求です。Q&Aは、本人が納得して訪問系サービスに従事できるよう、業務の内容や注意事項を丁寧に説明して意向を確認することが重要だとし、キャリアアップ計画に本人の意向に関する欄を設けて(例=「初任者研修を受けて訪問介護に従事したい」)記載してもらうよう求めています。施設から訪問へ配置転換する場面では、ここが事実上の同意確認になります。[3]
Q&Aは、掲げた目標が未達成でも直ちに遵守事項違反になるわけではないとしています。一方で、①本人と共同せず事業者のみで作成している場合、②計画に掲げた事業者の活動支援がほとんど行われていない場合、③受け入れ前や定期報告として求めているキャリアアップ計画の提出がされない場合は、遵守事項を満たさないと判断される場合がある、と明記されています。書式を埋めることではなく、運用が見られます。
④ハラスメント対策=「窓口を作る」だけでは足りない
通知は、次のいずれも行うことを求めています。
- 未然防止のための対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化、発生時の対処ルールの作成・共有、利用者やその家族等への周知
- 実際に起こった場合の対応として、そのルールの実行、本人が相談できる窓口の設置とその周知
ここでいうハラスメントには、職場におけるセクシュアルハラスメント(上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含む)やパワーハラスメントのほか、カスタマーハラスメントも含まれます。あわせて、指定居宅サービス等の基準の解釈通知(平成11年9月17日老企第25号)に記載された、ハラスメントに対する事業主の方針の明確化などの取組も実施する必要があります。利用者宅で1対1になる訪問では、事業者がハラスメントを発見しづらいことが前提に置かれています。
⑤ICT活用等による環境整備=4点セット
環境整備についても、通知は次のいずれも行うことを求めています。
- 緊急時の連絡先・対応フローをまとめたマニュアルの作成
- 緊急時を想定した研修の実施(①の研修と対応)
- 緊急時に他の職員が駆け付けられる体制の確保
- サービス提供記録・申し送りを職員全員で情報共有する仕組みの整備
「駆け付けられる体制」の中身も示されています。事故発生時等の緊急時に、事案の内容や状況に応じ、本人が従事する事業所のサービス提供責任者、管理者、本人を指導する介護職員等が、本人が従事する利用者宅に駆け付けることができる体制を整えることが求められています。情報共有する職員の範囲も同じ顔ぶれで、個人情報保護の観点からサービス提供記録や申し送りを閲覧できる職員を限定している場合、その対象外の職員へ共有しないことは差し支えないとされています。
手段としてのICTツールは、コミュニケーションツール(多言語翻訳機・コミュニケーションアプリ)、業務効率化ツール(見守りカメラ・センサー・記録ソフト・インカム)、学習ツールが例示されています。「ICTを入れること」自体が要件ではなく、上の4点が満たせる状態を作ることが求められている、と読むのが正確です。[6][3]
適合確認申請=誰が・どこへ・何を・いつ出すか
遵守事項を整えたら、訪問系サービス(訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護を除く)に従事させる前に、適合確認申請を行います。特定技能外国人の場合の提出先は、介護分野における特定技能協議会の事務局(公益社団法人国際厚生事業団)で、申請は介護分野における特定技能協議会申請システムから行います。提出された報告書等を事務局が審査し、適切な実施体制を有すると判断された場合に、受け入れ予定の特定技能外国人ごとに適合確認書が発行されます。[7]事務局が公益社団法人国際厚生事業団であることは同事業団の案内、申請システムでの手続きが必要であることは厚生労働省のQ&Aによります。[4][3]
申請のタイミングには幅があります。訪問系サービスに従事させる前であればよく、特定技能協議会への入会申請と同時に行う場合は、その申請時に提出します。新規に事業所を立ち上げて訪問系から始める場合は、入会と適合確認をまとめて出せるということです。JICWELSは、申請可能な時期に特段の定めはなく、書類を作成し次第いつでも申請できるとしたうえで、審査中に申請書類の内容が変わると差し替えが必要になるため、外国人職員への研修内容や遵守事項の履行体制がある程度確定した段階での申請を勧めています。[8]
2026年5月13日に、この協議会申請システムが改修され、受け付け方そのものが変わりました。改修前は、システム上で訪問系サービス事業所を申請したうえで、別に国際厚生事業団のウェブサイトの適合確認申請フォームから対象の外国人情報を入力・申請し、事務局が案内するクラウドへ書類を提出する、という2経路でした。改修後は、事業所の申請・外国人情報の申請・申請書類の提出を、すべて協議会申請システム上で一括して行えます。[8]
⚠️ すでに受け入れている事業所には、この改修が宿題を残しています。2025年4月21日から2026年5月13日までに適合確認書の発行を受けた外国人について、協議会事務局は氏名・生年月日・国籍・受入事業所・種別といった外国人情報はシステムへ移行済みですが、個人情報保護の観点から、提出済みの適合確認申請書類のデータは移行していません。そのため、外国人情報の登録または定期報告の際に、次の4点をあらためてシステムへアップロードする必要があります。[9]
- 訪問系サービスの要件に係る報告書
- キャリアアップ計画
- ハラスメントの対応マニュアル・対処ルールが作成され事業所内で共有されていることが分かる資料
- 緊急時の連絡先や対応フローなどをまとめたマニュアル
同じお知らせで、あと2点が案内されています。1つは、移行された外国人データと登録支援機関の紐づけは事務局側では行われていないため、必要に応じて受入機関のアカウントで紐づけること。もう1つは、発行済みの適合確認書は、システムの対象外国人一覧の【DL】ボタンからダウンロードできることです。なお、改修前に申請フォームで申請し、2026年5月13日までに適合確認書が発行されていなかった分は、書類の提出方法が事務局から個別にメールで案内されます(クラウドへ提出した書類も、改修後のシステムへあらためてアップロードすることになります)。[9][8]
適合確認書は「外国人ごと」=発行前は同行訪問もできない
手続きで最も見落とされやすいのがここです。JICWELSは次を案内しています。[4]
- 適合確認書は、訪問系サービスに従事する外国人ごとに必要です。受け入れ予定の事業所がすでに入会証明書に記載されていても、その人について適合確認申請を行い、適合確認書の発行を受ける必要があります。
- 適合確認書の発行を受けていない特定技能外国人は、訪問系サービスに従事できません。しかも、この「従事」には同行訪問も含まれます。
2つ目が実務に効きます。同行訪問はOJTなので「先に慣らしで一緒に回らせる」と考えがちですが、適合確認書が出るまではその同行訪問すらできません。体制づくり → 申請 → 適合確認書の発行 → 同行訪問の開始 → 単独訪問、という順番になります。
キャリアアップ計画の様式も、この順番を前提に書かれています。様式の注記は、就労予定日(在留資格許可予定日)は、適合確認書の発行日を見込んで、それ以降になるよう設定するよう求めています。就労開始日を利用者・家族やケアマネジャーに約束する前に、確認が済む見込みを織り込んでください。
いつ・何を出すか(3つの時点)
提出書類は「受け入れ前」で終わりません。厚生労働省のQ&Aは、3つの時点ごとに提出書類の一例を示しています。
| いつ | 出すもの |
|---|---|
| 受け入れ前 | 訪問系サービスの要件に係る報告書(事業所ごと)+挙証書類/キャリアアップ計画(受け入れる外国人ごと) |
| 巡回訪問の実施時 | 事前質問票/報告書の記載内容の履行状況が確認できる書類/キャリアアップ計画/実務経験1年以上であることが分かる書類/利用者・家族への説明書の写し/初任者研修等の修了状況が確認できる書類 |
| 定期報告 | キャリアアップ計画(受け入れる外国人ごと) |
「挙証書類」として明示されているのは、ハラスメントの未然防止のために作成している対応マニュアルや、発生した場合の対処方法等のルールが作成・共有されていることが分かる資料と、緊急時の連絡先や対応フローなどをまとめたマニュアルです。前述の5つの遵守事項は、口頭の体制ではなく書面として存在している必要があります。
実務経験が1年未満の例外ルートを使う場合は、これに加えてN2相当であることが分かる書類と、利用者ごとに必要とされる同行訪問の期間・ICTの活用状況も確認の対象になります。
⚠️ 申請の時点で、初任者研修の修了や実務経験1年が済んでいる必要はありません。国際厚生事業団は、適合確認申請を行う時点で必ずしも介護職員初任者研修等を修了している必要はなく、訪問系サービスに従事を開始する時点で修了していれば差し支えないとしています。実務経験1年についても同じで、申請時点で満たしている必要はなく、従事を開始する時点で満たしていればよいという扱いです。[8]
キャリアアップ計画の様式も、この前提で作られています。様式には「評価期間における初任者研修受講状況」の欄があり、「□受講済」と「□これから受講( )年( )月に受講修了予定)」の選択式で、注記は「初任者研修を修了後、訪問介護等訪問系サービスの業務に従事を認めます」となっています。[10]研修の修了を待ってから申請する必要はないということで、体制づくりと本人の育成を並行させられます。審査に2か月前後かかることを踏まえると、ここを直列に積むか並行にするかで、訪問に出せる時期は数か月変わります。
なお、初任者研修等の修了証明書や実務経験1年以上を証明する書類は、適合確認申請時に提出する必要はありません(協議会申請システム上でこれらの状況を入力します)。ただし巡回訪問ではこれらの書類の確認が行われるため、常備しておく必要があることは変わりません。[8]
提出する様式と、差し戻しになる不備
実際に提出する書類は次のとおりです(様式名はJICWELSの案内が正)。
| 区分 | 書類名 | 様式 |
|---|---|---|
| 事業所ごと(協議会入会・更新時) | 介護分野における業務を行わせる事業所の概要書(介護分野参考様式第1-2号) | PDF/Word |
| 事業所ごと(同上) | 指定通知書等 | — |
| 事業所ごと(適合確認申請時) | 訪問系サービスの要件に係る報告書 | PDF/Word(記入例あり) |
| 外国人ごと(同上) | キャリアアップ計画 — 受入事業者の説明者・特定技能外国人両者の直筆署名入り | Excel |
| 事業所ごと(同上) | ハラスメントの対応マニュアル・対処ルールが作成され事業所内で共有されていることが分かる資料(報告書の挙証書類) | 様式任意 |
| 事業所ごと(同上) | 緊急時の連絡先や対応フローなどをまとめたマニュアル(報告書の挙証書類) | 様式任意 |
| 任意提出 | 研修プログラム等/OJTの内容に関する参考資料 | 様式任意 |
⚠️ 様式は2025年12月1日付で新しくなっています(「訪問系サービスの要件にかかる報告書」および「キャリアアップ計画」)。古い様式を使い回さず、最新版をダウンロードしてください。
差し戻しになる不備も名指しで案内されています。キャリアアップ計画は受入事業者の説明者の署名が抜けているケースが多いと注意喚起されており、報告書には挙証書類名とページ数を記載する欄があって、実際の挙証書類と一致していないと差し戻しになります。氏名・生年月日は旅券上の表記どおりに記載します。[4]
この署名漏れには、通知の側に予防の手がかりがあります。キャリアアップ計画の取扱いを定めた通知は、本人の署名について、特定技能外国人とは雇用契約締結の際に特定技能雇用契約書(参考様式第1-5号)・雇用条件書(同第1-6号)等へ署名を求めることになっているのだから、雇用契約と同時にキャリアアップ計画を策定する場合には、この機会を活用して、従事する業務内容をしっかりと説明した上で、キャリアアップ計画についても署名の記載を求めること、としています。[7]⚠️ 通知が手当てしているのは本人の署名で、国際厚生事業団が「抜けているケースが多い」と言っているのは説明者の署名です。別々の欄なので、署名を集める場を雇用契約の場に寄せ、その場で説明者の欄も一緒に埋めてしまうのが実務的な塞ぎ方になります。
署名の形式も決まっています。様式の署名欄は「説明者署名(直筆)」「本人署名(直筆)」の2つで、国際厚生事業団は電子署名や捺印ではなく、受入事業者の説明者・外国人職員ともに本人直筆の署名を求めています。[10][8]
書類の作り方でよく聞かれる点も、国際厚生事業団が答えています。[8]
- 報告書は1つにまとめられる場面が広い — 報告書の冒頭ページの外国人情報の記入欄は4名分ですが、内容が同じなら枠を増やして5名以上をまとめて構いません。1人が複数の訪問系事業所を兼務する場合も、同一事業所内で複数のサービス種別に従事する場合も、内容が同じなら報告書は1つで足ります。ただし事業所ごとに体制・計画が異なるならそれが分かるように示す必要があり、訪問先の状況や提供するサービスに大きな差があると判断されると差し戻しになります。
- キャリアアップ計画は逆に「外国人ごとに1つ」 — 複数事業所・複数種別を兼務する場合も、外国人職員ごとに1つ作成します(従事する業務や技術の達成基準が事業所ごとに違うなら、その違いが分かるように書きます)。「サービスの種類」欄には、指定通知書に記載された施設種別のうち本人が従事予定のものをすべて記載します。在留資格の欄には、評価期間における在留資格を書きます(申請時点が技能実習2号でも、評価期間が特定技能1号なら「特定技能1号」と記載します)。
- 挙証書類に指定様式はない — ハラスメントの対応マニュアルと緊急時マニュアルには指定のフォーマットや参考様式がありません。法人独自に作っても、すでに作成済みのものを使っても構いませんが、外国人職員が理解できる工夫をし、そのことが分かるように報告書の該当箇所へ記載します。
- 申請中・発行後に事情が変わったとき — 申請中に対象者が退職・異動などで訪問系に従事しないことになった場合は、協議会事務局へ電話またはメールで連絡すると事務局が取り下げ処理を行います。適合確認書の発行後であれば、協議会申請システム上で情報の削除・変更を行います。発行後に報告書やキャリアアップ計画の記載内容に変更が生じた場合も、事務局へ電話またはメールで変更内容を連絡します。
2人目以降の受け入れについても扱いが決まっています。報告書を提出した後に新たな外国人を受け入れる場合は、直近に提出した報告書にその人の情報を追記し、他に変更点があればあわせて修正して提出します。逆に、報告書の記載内容に変更が生じても、その都度は修正して出し直さなくてよいとされています(新たに受け入れるタイミングで、変更点もあわせて修正して出す)。[3]
提出書類の様式や適合確認の詳細は更新されることがあります。実際の手続きは厚生労働省・国際厚生事業団の最新の案内に沿って進めてください。報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。書類の作成が必要な場合は専門家と連携します。在留資格の申請そのものに必要な書類・様式番号・提出先は特定技能の申請に必要な書類一覧で整理しています(この節で扱っているのは、それとは別の「訪問系サービスに従事させるために巡回訪問等実施機関・協議会事務局へ出す書類」です)。
利用者・家族への説明(書面交付・署名)
訪問に先立ち、受け入れ事業者は利用者・家族に対して次の内容を書面で説明し、当該書面への署名を求める必要があります(訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護は前述のとおり対象外)。署名済みの書面の写しは、利用者・家族へ交付します。
- ①特定技能外国人が訪問する場合があること
- ②本人の実務経験の期間等
- ③ICT機器(見守りカメラ等)を使用する可能性があること
- ④不安を感じたときの事業所の連絡先
単なる口頭での事前説明では足りず、書面+署名というプロセスが求められる点に注意が必要です。
この説明に用いる様式は厚生労働省の通知に別添として示されています(事業者が一から作る必要はありません)。別添は実務経験1年以上の場合と1年未満の場合の2種類に分かれているため、自社がどちらのルートで従事させるかを確定してから様式を用意してください。②の「本人の実務経験の期間等」に書く内容が変わります。[1]
訪問先の選定と、その判断の記録
訪問先は事業者が総合的に判断して選び、その判断の根拠を記録に残すことが求められます。5つの遵守事項とは別に、通知が配慮事項として「誰の家に訪問させるか」の選び方まで示しているためです。見落とされやすい一方、実務では最初に判断が必要になる部分です。
訪問先の選定は、ハラスメント等が発生しにくいようにすることに留意しつつ、次を踏まえてサービス提供責任者の意見を十分に聞きながら受け入れ事業者等が総合的に判断するものとされています。
| 判断のときに踏まえる材料 | 具体的な中身 |
|---|---|
| 利用者の状態像・周辺環境 | 健康状態・ADL・認知症の日常生活自立度・居住環境など |
| 利用者・家族の意向 | 事前に丁寧な説明を行い、ミスマッチを防ぐ |
| 本人(外国人介護人材)の状況 | コミュニケーション能力・介護技術の状況・本人の意向 |
そのうえで、訪問先の選定の判断について、受け入れ事業者が適切に記録を残すこととされています。記録の作り方についてQ&Aは、同行訪問で使うチェックシート(前述の別紙1)を活用して判断することも考えられる、としています。同行訪問の記録と訪問先選定の記録は、同じ材料から作れるということです。
障害福祉サービス等では、利用者の障害種別、障害の程度・状態も十分に踏まえることが求められています。研修やOJTでも、利用者ごとに求められる支援内容や配慮すべき内容が異なる点に十分留意する必要があるとされています。[2]
通知はあわせて、試験で測られる語学力と現場でのコミュニケーション能力は必ずしも一致しないとし、サービス提供責任者の指導を受けながら現場経験でレベルアップしていく側面に留意するよう求めています。日本語試験の級だけで訪問の可否を判断する運用にはしない、ということです。
従事させたあとも続くこと(定期報告・巡回訪問・取消し)
適合確認書が出れば終わり、ではありません。キャリアアップ計画の定期報告が毎年度あり、巡回訪問も受け入れ後に続きます。ここは体制づくりのコストを見積もるうえで先に知っておく価値があります。なお、巡回訪問の実施頻度そのものを定めた記載は、2026年8月13日時点で厚生労働省の留意点通知・同Q&A・国際厚生事業団の案内では確認できませんでした。
キャリアアップ計画の評価期間は1年・定期報告は終期から4か月以内
キャリアアップ計画には評価期間という考え方があり、期限はここから逆算されます。[7]
ここは通知が定める「作成時に設定する起点」と、適合確認書の発行後に確定する「実際の起点」が別なので、2つ並べて確認してください。
| 区分 | 申請時に設定する評価期間の起点(通知の基準) | 適合確認書の発行後に確定する実際の起点(協議会事務局の運用) |
|---|---|---|
| 既に在留中の特定技能外国人を新たに訪問系サービスに従事させる場合 | 就労予定日から1年 | 訪問系サービスへの従事を開始する日(訪問介護事業所での勤務開始日)から1年 |
| 海外から入国して訪問系サービスに従事する場合 | 在留資格許可予定日から1年 | 訪問系サービスへの従事を開始する日から1年 |
| 2回目以降(定期報告) | 前回のキャリアアップ計画の評価期間の終期の翌日から1年 | 前回のキャリアアップ計画の評価期間の終期の翌日から1年(起点の付け替えが起きるのは初回のみ) |
国際厚生事業団は、適合確認申請の時点では従事開始の予定日から1年として評価期間を設定し、実際の評価期間は、適合確認書が発行されて本人が訪問系サービスへの従事を開始する日を基準とすると案内しています。申請時に書いた評価期間と実際の評価期間がずれた場合の直し方も決まっていて、キャリアアップ計画は実際の評価期間に手書きで修正し、修正後の写しを本人へ渡します(事務局への再提出は不要)。一方で協議会申請システムに登録した評価期間は、定期報告の時期より前までにシステム上で変更しておく必要があります。定期報告の期限はシステムに登録された評価期間の終期から数えるため、ここを直さないと期限そのものがずれます。[8]
定期報告の際も、あらためて一人ひとりに対してキャリアアップ計画を作成し、事務局へ提出します。提出期限は、前回のキャリアアップ計画の評価期間の終期から4か月以内です。毎年度の定期報告では、これまでに提出した計画を適宜更新し、本人のキャリアパスが分かるようにする必要があります。運用面では次の4点が案内されています。[11]
- 時期は待っていれば知らせが来る — 適合確認書の発行を受けた外国人の受入機関には、定期報告の時期の1か月前に、協議会事務局から自動通知メールが届きます。提出は協議会申請システムから行います。
- 出すのは新しい評価期間のキャリアアップ計画だけ — 振り返り用紙の提出は不要で、事業所で保管します。通知の側では、振り返りは本人と十分にコミュニケーションを取ったうえで作成することが望ましいとされ、巡回訪問等実施機関が提出を求めた場合はその求めに応じて作成・提出することとされています(通知の参考資料1(3)が様式)。[7]
- 外国人情報を最新にしてから出す — 定期報告時には、協議会申請システムに登録されている外国人情報(雇用条件書・支援計画書・在留カードを含む)を最新の状態に更新します。
- 2026年5月13日までに適合確認書を受けた分は、書類のアップロードが先 — 前述のシステム改修で書類データが移行されていないため、適合確認申請書類をシステムへアップロードしたうえで定期報告を行います。
巡回訪問では何が見られるか
巡回訪問等実施機関は、厚生労働省の補助事業「外国人介護人材受入・定着支援等事業」の実施団体です。[3]進め方は次のとおりです。
事前:提出書類での確認
提出された書類に基づいて、遵守事項を適切に実施する体制等を事前に確認します。事前:質問票の記入・提出
巡回訪問の実施前に、受入事業者と外国人本人の双方へ質問票への記入や、質問票および関係書類の提出を求めます。当日:担当者と本人への面談
受け入れ担当者(事業管理者・サービス提供責任者等)や本人と、質問票等の内容を踏まえた面談を行います。あわせて雇用の状況、介護サービスの提供状況、支援の状況といった受入実態まで把握し、必要に応じて助言を行います。
満たさないと判断されるとどうなるか(取消しと5年)
Q&Aは、遵守事項等を満たしていないと判断されることがある場合として、次を挙げています。
- 事前に提出する書類に、必要な記載事項が記載されていない場合
- 事前に提出した書類に記載された内容と事実が異なる場合
- 巡回訪問等に必要な協力を行わない場合
- 巡回訪問等実施機関による指導等に従わない場合
- 関係法令・関係規程・通知に定められた内容が遵守されていない等、適正な受入れがなされていないことが認められる場合
これらが確認されると、まず改善に向けた指導が行われます。指導に従わない、必要な協力を行わない、虚偽の回答を行ったなどの場合は、「要件適合確認書取消通知書」が発出されます。発出の可能性がある場合は、事前に弁明の機会も兼ねて再度の巡回訪問等が実施され、そこでの聴取内容を参酌して発出の可否が判断されます。
取消しの重さは、その事業所にとどまりません。取消通知書が発出されると、その旨が関係機関・関係省庁へ情報提供され、当該法人において外国人介護人材の受入れが認められなくなります。特定技能では、適合確認書の取消しにより介護分野における特定技能協議会を脱退となった法人は、脱退の日から起算して5年間、介護分野における特定技能外国人を受け入れられません(技能実習は、技能実習計画の認定を取り消された法人が取消しの日から5年間)。厚生労働省の制度概要資料は、指導によっても改善が見込まれない場合の措置として、受入れを認めないことに加えて事業所名の公表を講ずるとしています(⚠️ 留意点通知と同Q&Aには公表に関する記載はありません)。[1]
法人単位で5年という長さは、訪問系だけでなく施設系の受け入れにも及びます。体制づくりを「書類を通すための作業」と捉えず、運用として回せる形で設計してください。
施設から訪問へ動かすとき・別法人から採るとき
すでに施設系で働いている特定技能外国人を訪問系へ回すのは、実務経験1年の要件を自然に満たせる現実的なルートです。ただし事業所が変わる以上、出す書類があります。
まず動かせる範囲です。厚生労働省のQ&Aは、技能実習生については同一法人内の他事業所への異動が認められていることから、既に介護分野(訪問系サービス事業者以外)に従事している外国人介護人材が同一法人内の訪問系サービス事業者へ異動することは可能としています。特定技能外国人については、同一法人内の他事業所への異動に加え、別法人の事業所に転籍することも可能です。
このとき訪問系サービス事業者が関係機関に提出する書類は、通知の別紙3に一覧化されています(訪問系の要件に係る書類=適合確認申請の分は、これとは別に前述のとおり必要です)。⚠️ この一覧が対象にしているのは「同一法人内の訪問系サービス事業者に転籍した場合」です(別紙3の表題)。別法人から採る場合は受入れ機関そのものが変わり、新たな特定技能雇用契約と在留資格変更許可申請が前提になるため、この一覧をそのまま当てはめないでください。特定技能で同一法人内を動かす場合は次のとおりです。[12]
| 提出先 | 出すもの | 注意 |
|---|---|---|
| 地方出入国在留管理官署(随時届出) | 特定技能雇用契約の変更に係る届出書(参考様式第3-1-1号)/雇用条件書(参考様式第1-6号)/業務を行わせる事業所の概要書(介護分野参考様式第1-2号) | 雇用条件の変更から14日以内。元々の雇用契約を維持したまま契約内容の一部に変更が生じた場合が対象で、改めて雇用契約を締結した場合や更新した場合は含まれない |
| 介護分野の特定技能協議会(事前) | 事業所の指定通知書/業務を行わせる事業所の概要書(介護分野参考様式第1-2号) | 入会証明書に記載のない事業所で受け入れる場合に、事業所を追記した入会証明書の発行を受けるため |
| 同(就労開始後) | 雇用条件書(参考様式第1-6号)の写し/1号特定技能外国人支援計画書の写し/在留カードの写し | 入会証明書の発行・就労開始後に協議会システムへアップロードする |
雇用条件書は、変更部分のみを記載したうえで、本人が十分に理解できる言語で翻訳・説明し、本人が十分に理解したことを確認した書面に署名を受けたものを添付します。翻訳と説明の手配が要るため、異動日から逆算して準備してください。
協議会の入会証明書そのものの管理(有効期間・事業所単位の登録)は介護の登録支援機関への委託で整理しています。
訪問のヘルパー不足はどのくらい深刻か(有効求人倍率で見る)
訪問介護(ヘルパー)の有効求人倍率は令和5年度で14.14倍=施設等の介護職員の約4.4倍で、厚生労働省は訪問介護等のヘルパー不足を「介護人材の中でも特に顕著」と整理しています。ここまでの要件と体制づくりのコストは、この採用難と比べて判断することになります。厚生労働省が介護給付費分科会に報告した資料では、次の数字が挙げられています。
訪問介護のヘルパー不足を示す指標(施設の介護職員との比較)
有効求人倍率=令和5年度(職業安定業務統計)/年齢=令和3年10月1日時点(介護労働実態調査)
| 指標 | 訪問介護(ヘルパー) | 施設等の介護職員 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(令和5年度) | 14.14倍 | 3.24倍 |
| 平均年齢 | 54.4歳 | — |
| 60歳以上の割合 | 37.6% | — |
出典:厚生労働省老健局「訪問介護事業への支援について(報告)」(第242回社会保障審議会介護給付費分科会・令和6年9月12日)
有効求人倍率14.14倍は、「求職者1人に対して14件以上の求人がある」状態で、同じ介護でも施設の介護職員の約4.4倍です。この水準は令和元年度以降14倍〜15倍台で高止まりしており、同資料でも訪問介護等のヘルパー不足は介護人材の中でも特に顕著と整理されています。平均年齢54.4歳・60歳以上が37.6%という担い手の高齢化も、特定技能を含む新しい担い手が必要とされる理由です。[13]
裏を返せば、訪問で人を採ろうとしたときに日本人の応募だけで埋めるのは相当に難しいということでもあります。
なぜ訪問介護に人が集まらないのか(事業所自身の回答)
同じ資料には、訪問介護事業所75か所が「就業希望者が少ない理由」として挙げたものが載っています(令和3年度老人保健健康増進等事業「訪問介護事業のサービス提供体制の見直しに関する調査研究事業」・株式会社浜銀総合研究所の調査を、厚生労働省が分科会資料として引用したもの)。
| 就業希望者が少ない理由(訪問介護事業所の回答・複数回答) | 回答した事業所の割合 |
|---|---|
| 一人で利用者宅に訪問してケアを提供することに対する不安が大きい | 85.3% |
| 他の介護サービスと比べ、実質的な拘束時間が長い割に効率的に収入が得られない | 66.7% |
| やりがいが実際に仕事してみないと理解しづらく、事業所によるアピールが難しい | 65.3% |
| 学生に対してサービス内容ややりがいを伝える機会が少ない | 58.7% |
| 利用者宅までの移動にかかる業務負担が大きい | 45.3% |
| 資格の取得が前提となっているため就職のハードルが高い | 41.3% |
最多の「一人で訪問することへの不安」は、特定技能の受け入れで求められる遵守事項(同行訪問によるOJT・緊急時に駆け付けられる体制・相談窓口)がそのまま打ち手になっている項目です。要件を負担としてだけ見ると、この対応関係を見落とします。[13]
訪問系に出せるようになるまでの進め方
訪問系へ人を回す道筋は、主に次の2つです。
- 既に雇用している特定技能の介護職員を訪問に展開 — 施設で就労中の人材が初任者研修修了・実務1年以上の要件を満たしたら、体制を整えて訪問にも従事してもらう。事業所が変わる場合の書類は前述のとおりです。
- 訪問を見据えて新規採用 — 試験合格者や介護職種の技能実習からの移行で採用し、まず施設で経験を積んでから訪問に展開する。介護で必要な試験(介護技能評価試験・介護日本語評価試験)と、技能実習からの移行で試験が免除される条件、国籍別の合格率は特定技能の試験で解説しています。
どちらのパターンでも、訪問系の要件の手前に、介護分野そのものの受け入れ条件と在留資格の手続きがあります。自社の事業所が対象施設か、どの在留資格ルート(特定技能・技能実習/育成就労・EPA・在留資格「介護」)で採るか、在留資格の申請にどれくらいかかるかは特定技能 介護の受け入れの4ルート比較と準備期間の逆算で確認してください。
逆算するときに効く期限と順序
訪問に出せるようになるまでの時間割は、次の順で決まります。各段階の順序と期限は、厚生労働省の通知・Q&Aと国際厚生事業団の案内が定めているものです。[7][4]
| 段階 | やること | 期限・順序の根拠 |
|---|---|---|
| ① 体制づくり | 5つの遵守事項を、書面として存在する状態にする | ハラスメント対応マニュアルと緊急時マニュアルは挙証書類として提出が要る |
| ② 協議会の入会・事業所登録 | 受入事業所が入会証明書に載っているか確認する | 記載のない事業所で受け入れるなら事前の事業所登録が要る。訪問系と訪問系以外の事業所を同時に申請すると、両方の適合確認が終わるまで入会証明書が発行されない |
| ③ 適合確認申請 | 報告書+挙証書類+キャリアアップ計画を協議会申請システムから提出 | 訪問系に従事させる前(協議会への入会申請と同時でも可)。本人の初任者研修修了・実務経験1年は、この時点では未了でよい |
| ④ 適合確認書の発行 | 発行を待つ | 発行前は同行訪問もできない。不備がなければ書類提出から2か月〜2か月半が目安(2026年5月時点) |
| ⑤ 就労開始日の設定 | 就労予定日(在留資格許可予定日)を決める | 適合確認書の発行日を見込んで、それ以降になるよう設定する(キャリアアップ計画様式の注記) |
| ⑥ 同行訪問 → 単独訪問 | OJTを行い、単独訪問へ移行する | 通常ルートは期間の定めなし(事業者が判断)。例外ルートのみ週1回=半年〔ICT活用で3か月〕・週2回=3か月・週3回以上=2か月=下限は2か月 |
| ⑦ 協議会への外国人情報の登録 | 受け入れた外国人の情報を協議会へ登録し、雇用条件書・支援計画書・在留カードの写しを協議会システムへアップロード | 在留諸申請を行い受け入れてから4か月以内。2025年4月21日〜2026年5月13日に適合確認書の発行を受けた分は、適合確認申請書類4点の再アップロードもこの機会に行う |
| ⑧ 定期報告 | キャリアアップ計画を再作成して協議会申請システムから提出(振り返り用紙の提出は不要・事業所で保管) | 評価期間(1年)の終期から4か月以内。初回の評価期間は訪問系サービスの従事開始日から1年で、時期の1か月前に事務局から自動通知メールが届く |
⚠️ 審査期間の目安は公表されています。国際厚生事業団は適合確認申請のよくある質問で、不備がない場合、適合確認申請書類の提出から2か月〜2か月半を目安としています(2026年5月時点の申請状況を踏まえた目安で、そのときの申請状況や不備の有無で変動する可能性があるとされています)。[8]協議会の入会証明書の発行は通常2〜3週間なので、入会と適合確認をまとめて出す場合は、律速になるのは適合確認のほうです。それでも就労開始日は逆算で決め打ちせず、適合確認書の発行を受けてから確定させる運用にしてください(キャリアアップ計画の様式が求めているのもこの順序で、目安はあくまで目安です)。
もう1つ、入会証明書の発行順で詰まりやすい点があります。同一法人で訪問系の事業所と、訪問系でない事業所を同時にシステムへ追加登録して申請すると、両方の適合確認申請が完了するまで入会証明書が発行されません。訪問系の適合確認には上記の期間がかかるため、施設系の受け入れを先に進めたい場合は、施設系の事業所だけを先に追加登録して入会証明書の発行を受け、そのあとで訪問系の事業所を追加登録して適合確認申請を行う順序が案内されています(訪問系の事業所が複数ある場合も、急ぐ事業所から順に申請する形です)。[8]入会証明書そのものの管理(法人単位での発行と事業所の追加)は介護の登録支援機関への委託で整理しています。
同行訪問のかかり増し経費には公費のメニューがある
同行訪問は先行投資ですが、留意点通知そのものが「国が行う取組」の一つとして、この負担に使える公費のメニューを名指ししています。通知は、国が地域の実情に応じた介護従事者の確保対策を支援するため地域医療介護総合確保基金に「参入促進」「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」等の事業メニューを整備しているとしたうえで、当該基金による事業には次のようなものがあり、都道府県において積極的な活用を検討されたい、としています。[6]
- 外国人介護人材に係る各種研修(介護職員初任者研修を含む)の受講支援
- 介護福祉士資格取得のための学習支援
- 訪問系サービスに同行する場合のかかり増し経費への支援に係る事業
- ハラスメント対策の推進に係る事業
- 介護従事者の負担軽減等に資するICTの導入支援事業
並べてみると分かるとおり、このメニューは、ここまで挙げてきた要件とほぼ正面から対応しています——本人要件である初任者研修の受講、5つの遵守事項のうち①研修・④ハラスメント対策・⑤ICT活用等による環境整備、そして例外ルートで期間が決まる同行訪問です。要件を負担としてだけ見積もると、同じ通知の中に置かれた支援側のメニューを見落とすことになります。通知はあわせて、基金事業以外の国の事業としても民間団体に補助して介護の日本語等の学習教材の作成や国家試験対策講座の実施を行っており、受入事業者もこれらを活用してほしい、としています。
具体の事業名としては、厚生労働省が訪問介護等サービス提供体制確保支援事業を令和7年度の概算要求で新規に位置づけ、その人材確保体制構築支援事業の補助対象経費に、研修カリキュラムの作成やキャリアアップの仕組みづくりに要する経費と並んで経験が十分でないヘルパーへの同行支援に係るかかり増し経費を挙げた例があります(地域医療介護総合確保基金〔介護従事者確保分〕の内数・事業スキームは国→都道府県→事業者・補助率は定額)。[13]
⚠️ この事業名の根拠は令和7年度の概算要求時点の資料で、2026年8月13日時点で令和8年度に同事業が継続しているかは確認していません。基金のメニューは対象・要件・募集時期が都道府県ごとに決まるため、自社の所在地で現に実施されているかは都道府県の介護保険担当課の案内で確認してください。介護分野で使える補助制度の全体像は特定技能 介護の費用で47都道府県ぶんを整理しています。
訪問で使える人材に育てるには、初任者研修の修了・実務経験1年・同行訪問という先行投資が必要です。その投資をどこまでの期間で回収できるかを考えるうえでは、介護には特定技能2号がなく、5年を超えて働いてもらうには在留資格「介護」への移行が基本の道筋になるという制度の形も併せて押さえておくと判断しやすくなります(出入国在留管理庁は、介護分野について「現行の専門的・技術的分野の在留資格『介護』があることから、特定技能2号の対象分野とはしていません」としています)。なお訪問系サービスのために別の受け入れ枠が設けられたことを示す記載は、2026年8月13日時点で出入国在留管理庁の介護分野のページ・留意点通知・同Q&Aのいずれにも確認できませんでした(人数枠として示されているのは事業所単位の上限と分野全体の受入れ見込数で、訪問系だけを切り出した枠の定めは見当たりません)。[14]訪問系に固有の上乗せがない領域——何人まで受け入れられるか(事業所の枠・分野全体の枠)・従事できる業務の範囲・夜勤の扱い——は介護の特定技能 人数枠と配置基準が扱っています。
なお、技能実習生についても同じ枠組みで訪問系サービスへの従事が認められています(技能実習は2025年4月1日施行、特定技能は2025年4月21日施行)。ここでは制度の背景情報として触れており、トモハタがご紹介する送客先は特定技能の採用支援を対象としています。
自社で支援体制を整えるのが難しい場合、登録支援機関に委託できるのは1号特定技能外国人支援計画の実施です(計画の作成は受入れ機関の義務です)。上の遵守事項は受入事業者に求められるものなので、どこまで手伝ってもらえるかは契約で決めます。適合確認の書類づくりについては、国際厚生事業団が線引きを示しています。訪問系サービスの要件に係る報告書は、その内容を受入機関が履行するものなので、仮に登録支援機関が書類の内容を作成する場合も、受入機関と内容を相談し、同意を得たうえで提出することが求められます。キャリアアップ計画は、外国人職員本人も含めた3者で相談したうえで作成することとされています。[8]作成を丸ごと預けられる書類ではない、と考えてください。委託先の選び方と、すでに委託していて見直したいときの進め方は介護の登録支援機関への委託・登録支援機関の変更(乗り換え)にまとめています。
まとめ
特定技能外国人を訪問系サービスに従事させるには、①本人の要件(初任者研修修了・実務経験1年以上。N2相当以上等の例外あり)②事業者の5つの遵守事項(研修・OJT・キャリアアップ計画・ハラスメント対策・環境整備)③適合確認申請と適合確認書の交付、利用者への書面説明が必要です。適合確認書は外国人ごとに必要で、発行を受けるまでは同行訪問もできません——就労開始日はこの発行を見込んで決めます。審査期間は不備がなければ書類提出から2か月〜2か月半が目安で、本人の初任者研修修了・実務経験1年は申請の時点では未了でも差し支えありません(従事を開始する時点で満たしていればよい)。訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護はこれらの対象外という例外があり、対象サービスによって扱いが異なります。障害福祉サービス等では、サービスごとに必要な研修課程が別表で決まっています。
手続きは受け入れ時で終わりません。キャリアアップ計画の評価期間は1年で、初回の起点は適合確認書の発行後に本人が訪問系サービスへの従事を開始する日です。定期報告は評価期間の終期から4か月以内で、巡回訪問も続きます。遵守が確認できない場合は指導が行われ、それでも改善しなければ適合確認書が取り消され、協議会を脱退となった法人は、脱退の日から起算して5年間、介護分野の特定技能外国人を受け入れられません。要件・様式は更新されるため、最新の案内で確認しながら進めましょう。
介護の採用全体は特定技能 介護の受け入れ、受け入れの人数枠・配置基準は介護の特定技能 人数枠と配置基準、制度の全体像は特定技能とは?をご覧ください。
よくあるご質問
- 特定技能外国人は訪問介護に従事できますか?
- 一定の要件を満たせば従事できます。本人が介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること、受け入れ事業者が5つの遵守事項を満たすこと、巡回訪問等実施機関へ届け出て適合確認書の交付を受けることが条件です。要件を満たさないまま訪問に出すことはできません。2025年4月21日より前は、訪問系サービスへの従事そのものが認められていませんでした。
- 訪問介護に従事するための本人の要件は何ですか?
- 介護職員初任者研修課程等を修了していること(生活援助従事者研修課程のみの修了は対象外)、介護事業所等での実務経験が原則1年以上あることが必要です。日本語能力試験N2相当以上の能力があるなど一定の条件を満たす場合は、実務経験が1年未満でも従事できる例外があります。これらを満たしている必要があるのは訪問系サービスに従事を開始する時点で、適合確認申請を行う時点では未了でも差し支えないと国際厚生事業団は案内しています。
- 適合確認申請はどこへ、いつ出しますか?
- 特定技能外国人の場合は、介護分野における特定技能協議会の事務局(公益社団法人国際厚生事業団)へ、訪問系サービスに従事させる前に提出します。2026年5月13日の協議会申請システムの改修により、事業所の申請・外国人情報の申請・書類の提出はすべて同システム上で一括して行います。特定技能協議会への入会申請と同時に行うこともできます。提出するのは事業所ごとの「訪問系サービスの要件に係る報告書」と挙証書類、および受け入れる外国人ごとのキャリアアップ計画です。国際厚生事業団は、不備がない場合の審査期間を書類提出から2か月〜2か月半(2026年5月時点の申請状況を踏まえた目安)としています。審査の結果、適切な実施体制を有すると判断されると、外国人ごとに適合確認書が発行されます。
- 届け出ればすぐ訪問に出せますか?
- 出せません。厚生労働省の通知は、事前に巡回訪問等実施機関で確認を行ったうえで訪問系サービスへの従事を認めるとしています。適合確認書の発行を受けていない人は訪問系サービスに従事できず、この「従事」には同行訪問も含まれます。キャリアアップ計画の様式も、就労予定日(在留資格許可予定日)は適合確認書の発行日を見込んでそれ以降になるよう設定するよう求めています。
- 受け入れたあとに続く手続きはありますか?
- あります。キャリアアップ計画の評価期間は1年で、定期報告として毎年度あらためて計画を作成し、前回の評価期間の終期から4か月以内に協議会申請システムから提出します。初回の評価期間は、適合確認書の発行後に本人が訪問系サービスへの従事を開始する日から1年です。定期報告の時期の1か月前に協議会事務局から自動通知メールが届きます。提出するのは新しい評価期間のキャリアアップ計画で、振り返り用紙の提出は不要です(事業所で保管し、巡回訪問等実施機関から求められた場合は提出します)。あわせて巡回訪問等実施機関による巡回訪問が続き、事前の質問票への記入・提出と、受け入れ担当者や本人への面談が行われます。適切な履行が確認できない場合は指導が行われます。
- 訪問入浴介護でも同じ要件が必要ですか?
- 訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護の2サービスは複数人での提供が前提のため、初任者研修課程等の修了と実務経験1年、5つの遵守事項、利用者・家族への書面説明、巡回訪問等実施機関への届出のいずれも対象外です(通知は、これらのサービスを「三以降の対応が求められる訪問系サービス」から外しています)。ただし、適切な指導体制等の確保、入浴介助の実務に必要な職場内研修、キャリアアップ等の支援の3つは求められます。
- どの訪問系サービスが対象ですか?
- 介護保険では訪問介護・訪問入浴介護・夜間対応型訪問介護・介護予防訪問入浴介護・定期巡回随時対応型訪問介護看護・総合事業の訪問型サービスが対象です。障害福祉サービス等では居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援・移動支援事業・居宅訪問型児童発達支援が対象で、サービスごとに必要な研修課程が別表で定められています。小規模多機能型居宅介護の訪問業務と訪問看護は対象に含まれません。
- 実務経験が1年未満でも訪問系サービスに従事できますか?
- 日本語能力試験N2相当以上の日本語能力を有し、利用者ごとに同行訪問を行う場合は、実務経験1年未満でも従事できる例外があります。同行訪問の期間は週1回の提供なら原則半年、週2回なら3か月、週3回以上なら2か月です。週1回のケースは、利用者・家族の同意を得てサービス提供時に見守りカメラ等のICTで常に事業所とやりとりできるようにする場合、3か月に短縮できます。ただし通知は2か月以上の同行訪問を求めており、2か月を下回る短縮は認められません。
- 遵守事項を満たしていないと判断されると、どうなりますか?
- まず巡回訪問等実施機関から改善に向けた指導が行われます。指導に従わない場合や、巡回訪問に必要な協力を行わない場合、虚偽の回答を行った場合などは「要件適合確認書取消通知書」が発出されます。発出前には弁明の機会を兼ねて再度の巡回訪問が行われます。取消しにより介護分野における特定技能協議会を脱退となった法人は、脱退の日から5年間、介護分野の特定技能外国人を受け入れられません。あわせて厚生労働省の制度概要資料は、受入れを認めない等の措置に加えて事業所名の公表の措置を講ずるとしています(留意点通知と同Q&Aには公表に関する記載はありません)。
- 施設で働いている特定技能外国人を、同じ法人の訪問介護事業所へ動かせますか?
- 動かせます。特定技能外国人は同一法人内の他事業所への異動に加え、別法人の事業所へ転籍することもできます。ただし訪問系サービスに従事させる場合は、その事業所での適合確認申請が別途必要です。同一法人内で動かす場合は、協議会の入会証明書への受入事業所の追加に加え、元の雇用契約を維持したまま雇用条件が変わるときに地方出入国在留管理官署への随時届出(変更から14日以内)を行います。別法人へ移る場合は受入れ機関そのものが変わり、新たな雇用契約と在留資格変更許可申請が前提になるため、同一法人内の手続きとは別に確認してください。
出典・参考(一次情報)
- 外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について/訪問系サービスへの従事に関する手続き(厚生労働省)
- 障害福祉サービス等における外国人介護人材の訪問系サービス従事の留意点について(社援発0331第41号・障発0331第4号・こ支障第89号・令和7年3月31日/別表=サービス別の従事要件)(厚生労働省・こども家庭庁)
- 「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」に関するQ&A(提出書類・常備する資料・巡回訪問・取消し)(厚生労働省)
- 適合確認申請方法・提出書類(様式は2025年12月1日改定/サ高住・住宅型有料老人ホームの取扱い)(国際厚生事業団(JICWELS))
- 別紙2 対象施設一覧(実務経験として認める施設の一覧)(厚生労働省)
- 外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について(令和7年3月31日付 社援発0331第40号・老発0331第12号/事前確認のうえ従事を認める旨)(厚生労働省)
- 外国人介護人材の訪問系サービス従事に係るキャリアアップ計画等の取扱いについて(社援基発0331第4号・令和7年3月31日/第1次改正 社援基発1201第1号・令和7年12月1日)(厚生労働省)
- 適合確認申請に関するよくあるご質問(2026年6月19日更新/審査期間の目安・申請時期・様式の書き方・研修修了前の申請可否)(国際厚生事業団(JICWELS))
- 協議会申請システム改修後のお知らせ(2026年5月13日/改修前申請の扱い・書類データの再アップロード)(国際厚生事業団(JICWELS))
- 別紙様式1 キャリアアップ計画(2025年12月1日改定・Excel/初任者研修受講状況欄・直筆署名欄)(厚生労働省)
- 訪問系サービスへ従事している特定技能外国人の定期報告について(2026年5月28日)(国際厚生事業団(JICWELS))
- 別紙3 既に介護分野(訪問系サービス事業者以外)に従事している外国人介護人材が同一法人内の訪問系サービス事業者に転籍した場合、訪問系サービス事業者が関係機関に提出する書類一覧(厚生労働省)
- 訪問介護事業への支援について(報告)(第242回社会保障審議会介護給付費分科会・令和6年9月12日)(厚生労働省)
- 特定技能(介護分野)(出入国在留管理庁)