外国人労働者のトラブル事例|雇用契約・生活文化・在留資格の3層と14日以内の届出
目次
外国人を雇うときに知りたいことは2つです。「何が起きやすいのか」と、「起きたとき最初に何をするか」。このページは、起きやすいトラブルを雇用契約・生活と文化・在留資格の3層に分け、事例ごとに「起きること→初動→防ぐ仕組み」で整理します。特定技能で受け入れている場合、トラブルの多くは届出の期限とセットになるため、期限も表にまとめました。
この記事の要点
- 多いのは事件ではなく説明の積み残し — 厚生労働省の令和6年外国人雇用実態調査で、事業所が挙げた課題の最多は「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」43.9%でした。
- 特定技能の本人側の最大の火種は「来日前の費用」 — 同じ調査で、トラブルがあった特定技能の人の45.9%が「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」を挙げました(全在留資格では18.6%)。入社前の費用・条件の説明が予防の中心になります。
- 特定技能では初動に14日の期限がつく — 行方不明・退職・雇用条件の変更など、多くの事由に14日以内の届出がつきます(自己都合退職でも契約終了の届出は必要)。「様子を見る」判断が、そのまま期限切れになります。
本記事は一般的な情報提供です。制度の要件・様式・期限は変動するため、最終的な判断は出入国在留管理庁の最新の公表資料と、個別の事情に応じた専門家への相談で確認してください。
外国人労働者のトラブルは3層に分けると対処が決まる
起きたことを①雇用契約・労働条件 ②生活と職場の文化 ③在留資格・手続きのどの層かで仕分けると、初動と相談先が決まります。同じ「揉めた」でも、賃金の控除は①、宗教上の配慮は②、在留カードの確認漏れは③で、動かす相手も期限も違うためです。
頻度の輪郭は公的調査でつかめます。厚生労働省の令和6年外国人雇用実態調査(令和7年8月29日公表・事業所調査の有効回答3,623事業所、労働者調査の有効回答11,568人)では、雇用に関する課題(複数回答)の最多が「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」43.9%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が20.9%でした。[1]
本人に聞くと景色が変わります。同じ調査で、今の会社の仕事をする上でのトラブルや困ったことが「あり」と答えた外国人労働者は10.9%、在留資格別では特定技能が9.0%にとどまりました。内容(複数回答)は在留資格でまったく違います。全在留資格の計では「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」18.6%・「どこに相談すればよいかわからなかった」14.9%ですが、特定技能に絞ると「紹介会社の費用が高かった」が45.9%と突出し、「相談先がわからなかった」は5.1%にとどまります。[1]特定技能で受け入れる企業がまず点検すべきは、来日前にかかった費用の重さと、費用・条件の入社前説明だと読めます。同じ表では「事前の説明以上に会社に入るための費用がかかった」も特定技能で9.8%(全体4.9%)と高めです。[1]
深刻な型がどれくらい起きているかも、公的な件数で押さえられます。母数から見ると、日本で働く外国人は約257万人です(令和7年10月末の外国人雇用状況の届出ベース)。[2]技能実習生の失踪者数は令和7年(2025年)で3,950人(技能実習生数の0.6%)——ピークだった令和5年の9,753人(1.9%)から大きく減りましたが、なお年数千人の規模です(技能実習で受け入れている場合の相談・報告の経路は監理団体=制度の違いは特定技能と技能実習の違い)。[3]特定技能では、行方不明を事由とする受入れ困難の届出が令和3年で76人(在留者数比0.14%)と公表されています(時点が古く、在留者数がその後大きく増えている点に注意——これより新しい公表は2026年9月10日時点で確認できていません)。[4]在留資格の取消しは令和6年(2024年)で1,184件——在留資格別では技能実習が710件(60.0%)と最多で、特定技能1号は16件でした。[5]件数で見るかぎり、特定技能のトラブルの中心は「事件」ではなく説明の積み残しと手続きの遅れ——このページで扱う型です。
事例・初動・制度上やることの早見表
トラブルの起点別に、最初にやることと、特定技能で必要になる手続きを並べます。期限つきの届出は、事由が生じた日から14日以内が原則です。[6]
| 起きたこと | 層 | 企業がまずやること(初動) | 特定技能で制度上必要になること |
|---|---|---|---|
| 連絡が取れない・出社しない | ③在留資格・手続き | 本人と緊急連絡先へ連絡を試み、日時と経緯を記録する | 受入れ困難に係る届出を14日以内に地方出入国在留管理局へ(様式と添付書類は「トラブル起点の届出と期限」の表) |
| 賃金や控除の説明で揉めた | ①雇用契約・労働条件 | 雇用条件書と給与明細を突き合わせ、手取りまでの内訳を本人が理解できる言語で説明する | 雇用条件そのものを変更した場合は、特定技能雇用契約の変更に係る届出を14日以内に(報酬・労働条件以外で実質的な影響のない「軽微な変更」と、雇用条件書どおりの昇給は届出不要) |
| 社会保険の加入手続きの漏れが発覚した | ①雇用契約・労働条件 | 隠さず加入・納付の手続きを進める(地方出入国在留管理局の助言・指導に従う) | 労働・社会保険・租税に関する法令の遵守は受け入れの基準(未納も是正すれば遵守と評価) |
| 労災が起きた | ①雇用契約・労働条件 | 治療を優先し、労働基準監督署への報告・労災保険の手続きを確認する | 負傷・疾病で就労の継続が難しくなった・1か月以上活動できない場合は受入れ困難に係る届出(14日以内)。安全衛生教育は本人が理解できる方法で(事業主指針) |
| 文化・生活習慣の違いが摩擦になった | ②生活と職場の文化 | 双方から事実を聞き取り、相談記録として残す | 相談・苦情への対応は義務的支援(遅滞なく適切に応じる=実施基準は義務的支援10項目の記事へ) |
| 近隣からゴミ出し・騒音の苦情が来た | ②生活と職場の文化 | 事実を確認し、生活オリエンテーションの該当項目(ゴミの出し方・騒音)を再説明する | ゴミ出し・騒音などの生活ルールは生活オリエンテーションの情報提供事項(義務的支援) |
| 在留カードの確認漏れ・就労範囲への疑い | ③在留資格・手続き | 表面の「就労制限の有無」欄を確認(「就労不可」等の場合は裏面の資格外活動許可欄も)し、特定技能は指定書も確認する | 雇入れ・離職時のハローワークへの外国人雇用状況の届出(在留カード確認は不法就労助長罪の過失判断に直結=確認していない等の過失があれば処罰を免れない) |
| 「辞めたい」「転職したい」と言われた | ①雇用契約・労働条件 | 退職日と引き継ぎを先に決める(在留資格変更の許可前は転職先で就労できない) | 自己都合退職は契約終了の届出のみ(終了日から14日以内)。自己都合でない場合は受入れ困難に係る届出も |
| 解雇・人員整理を検討している | ①雇用契約・労働条件 | 判断の前に地方出入国在留管理局へ相談する | 同種の業務のフルタイム労働者(日本人等を含む)を非自発的に離職させると1名でも受け入れの基準に適合しない(対象の範囲・除外・届出は「問題が続くので辞めてもらうことを検討したとき」の節) |
事例別の対処——起きること・初動・防ぐ仕組み
以下の事例を「起きること→初動→防ぐ仕組み」で見ます。防ぐ仕組みの多くは新しく作るものではなく、特定技能ですでに義務になっている支援を実際に動かすことです。なお、支援を登録支援機関に委託している場合は、どの事例でも委託先への連絡を並行させてください——相談・苦情への対応は委託範囲の中心です。
連絡が取れない・無断欠勤が続く
最も対応が遅れやすい型です。「体調不良かもしれない」と様子を見ているうちに、届出の期限が過ぎます。
初動は、本人の携帯・緊急連絡先・同居者へ連絡を試み、日時と方法、返答の有無を記録することです。この記録が、後で提出する状況説明書の中身になります。事件や事故に巻き込まれた可能性があるときは、警察への相談(行方不明者届)も並行します。行方不明と判断したら、受入れ困難に係る届出書に経緯と状況の説明書を添えて提出します(様式番号と添付の組み合わせは後述の「トラブル起点の届出と期限」の表を参照)。出入国在留管理庁のQ&Aは、届出事由が生じてから14日以内に地方出入国在留管理局または同支局に到達している必要があるとしており、郵送の消印では足りません。期限を過ぎても提出自体は可能で、同Q&Aは「速やかに提出してください。なお、届出が遅延した理由を説明する文書を必ず添付してください」としています。届出を行わなかった場合や虚偽の届出をした場合は、一定期間、特定技能雇用契約の締結ができない場合があるほか、罰金刑や過料に問われる可能性があるとされています。[6]
防ぐ仕組みは、行方不明そのものが受け入れ側の基準に跳ね返る構造を知っておくことです。出入国在留管理庁の運用要領は、契約締結の日前1年以内またはその締結の日以後に、特定技能所属機関の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていないことを基準としています。「責めに帰すべき事由」があるとは、雇用条件どおりに賃金を適正に支払っていない場合や支援計画を適正に実施していない場合など、法令違反や基準に適合しない行為が行われていた期間内に行方不明となった場合とされ、その場合は1人でも基準に適合しないこととなります(実習実施者として受け入れた技能実習生も同様に扱われます)。[7]賃金の支払いと支援の実施を正しく回すことが、そのまま予防になります。
賃金・控除の説明で揉める
「聞いていた金額と手取りが違う」という食い違いは、悪意がなくても起こります。控除の仕組みが日本と同じとは限らないためです。出入国在留管理庁の周知資料は、トラブルの一因として本国と日本の間の文化等に関するギャップや来日前後の認識のギャップを挙げ、「給料の支払いの仕組みが日本と違っていたり、控除の制度がなかったりする国もあります」として、具体的な控除の額や手取りの額を示すなど、具体的な金額について、本人が理解できる方法で説明するよう心がけてほしいと促しています。[8]
初動は、雇用条件書と直近の給与明細を並べ、総支給から控除を引いて手取りに至るまでを1枚で見せることです。同資料は雇用契約期間・労働時間・業務内容・給料の仕組みや控除の理由などをあらかじめ丁寧に説明するよう促しており、順序としては入社後の是正より入社前の説明が本筋です。[8]
防ぐ仕組みは、初回給与の前に手取りの見込みを示すことと、雇用条件を変更したときの届出です。出入国在留管理庁のQ&Aでは、基本賃金の支払形態を変更した場合や手当の支給がなくなった場合も、変更が生じた日から14日以内の届出が必要とされています。一方で、報酬・労働条件以外の変更で契約に実質的な影響を与えない「軽微な変更」は届出不要とされ、雇用条件書の記載どおりの昇給で基本賃金が上がる場合も届出は不要です(予定していた昇給を取りやめた場合は必要)。[6]控除できる範囲にも決まりがあります——食費・居住費などの控除は実費に相当する額その他の適正な額であることが求められ、違約金を定める契約や保証金の徴収は制度上認められていません。[7]雇用条件書での控除の書き方は特定技能雇用契約書・雇用条件書の記載事項で整理しています。あわせて、賃金の未払い・遅配は労働関係法令の遵守という受け入れの基準に関わり、本人がそれを理由に離職すると非自発的離職に数えられ得ます(該当例は下の「問題が続くので辞めてもらうことを検討したとき」の節)。[7]なお採用単価や委託費の全体像は特定技能の採用費用・相場、紹介手数料の体系は特定技能の人材紹介手数料の相場で整理しています。初期費用だけを見て月額の支援委託費を見落とすと、後から支援の範囲を削る判断につながり、それが本人側の不満に戻ってきます。
社会保険の加入手続きの漏れが後から発覚した
入社時の手続き漏れが、「保険証が届かない」「年金の記録が無い」という形で数か月後に表面化する型です。健康保険法は、適用事業所の事業主に被保険者資格の取得などの届出を義務づけ、正当な理由なく届出をしない・虚偽の届出をした場合の罰則として6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を定めています(厚生年金保険法にも同様の規定があります)。[9]
特定技能では、これが本人との揉め事にとどまりません。受け入れの基準は労働・社会保険・租税に関する法令の遵守を求めており、運用要領は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所であれば、加入手続きと従業員の被保険者資格取得手続きを行い、所定の保険料を適切に納付していることを遵守の具体的な内容として挙げています。初動は、発覚した時点で隠さず加入・納付の手続きを進めることです——未納があった場合でも、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づき保険料を納付すれば、社会保険関係法令を遵守しているものと評価されるとされています。[7]防ぐ仕組みは、資格取得の届出を入社時のチェックリストに載せることです。要件としての位置づけ(欠格事由・納付の確認書類)は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、雇用条件書での保険料控除の書き方は特定技能雇用契約書・雇用条件書の記載事項で整理しています。
労災が起きた・危険の説明が伝わっていない
起きたら、治療を優先し、労働基準監督署への報告と労災保険の手続きを進めます——そして発生率は、数字で見ると軽視できません。厚生労働省の令和7年(2025年)の集計では、外国人労働者の死傷年千人率(労働災害による死傷者数を労働者1,000人あたりに換算した値)は2.77で、日本人を含む全ての労働者の2.3を上回ります。在留資格別では特定技能4.11・技能実習4.10とさらに高く、第14次労働災害防止計画は「外国人労働者の死傷年千人率を2027年までに全体平均以下とする」を指標に掲げています。[2]同年の外国人の死傷者数は7,124人(うち死亡32人)。業種別では製造業3,136人(44.0%)と建設業1,371人(19.2%)で6割を超え、事故の型別では「はさまれ・巻き込まれ」1,544人(21.7%)・「転倒」944人(13.3%)が上位です。[2]
初動は、日本人の労災と同じです——報告や労災保険の請求手続きを、所轄の労働基準監督署に確認しながら進めます。⚠️ 特定技能では、負傷・疾病で就労の継続が難しくなった場合や1か月以上活動できない事情が生じた場合は、受入れ困難に係る届出(事由発生から14日以内)の対象になります(様式は下の届出一覧)。[6]防ぐ仕組みは、危険の説明が「伝わる形」になっているかの点検です。厚生労働省の事業主向け指針は、安全衛生教育を母国語等を用いる、視聴覚教材を用いる等、本人がその内容を理解できる方法で行うこと——特に、使用させる機械や原材料の危険性・取扱方法が確実に理解されるよう留意することを求め、労働災害防止の指示を理解できるよう必要な日本語と基本的な合図等の習得にも努めるものとしています。[10]事故の型の最多が「はさまれ・巻き込まれ」であることは、機械操作の説明がそのまま予防の主戦場だということです。
文化・生活習慣の違いが職場の摩擦になる
食事・礼拝・休暇の取り方・指示の受け取り方など、日常の細部で摩擦が起きる型です(事業所の2割がこの型を課題に挙げたことは冒頭の調査のとおり)。起きやすい領域としては、宗教上の食事の禁忌(社員食堂や差し入れの成分を含む)、礼拝の時間と場所、冠婚葬祭・帰省による長期休暇の希望、指示への返事の仕方(「はい」が理解の合図とは限らない)などが挙げられます——ただし、当てはまるかどうかは完全に個人によります(国別の宗教・生活習慣の傾向はインドネシア人の国民性と職場の配慮などの国別記事で扱っています)。
本人と現場の間だけでなく、従業員同士の摩擦が暴言・暴行に発展するのも典型です。⚠️ 避けたいのは、出身国で人を説明してしまうことです。習慣や宗教上の配慮の必要性は個人によって大きく異なり、同じ国の出身でも前提はそろいません。出入国在留管理庁の周知資料も、業務上の指導やアドバイスであっても文化等の違いから相手を嫌な気持ちにさせてしまうことがあると注意を促し、翻訳機や通訳機の活用も有効としています。[8]一般化ではなく、本人に直接確認するのが早道です。
初動は、当事者双方から事実を聞き取り、相談記録として残すことです。特定技能では相談・苦情への対応を行った場合、相談記録書(参考様式第5-4号)に記録しておく必要があるとされています。[11]防ぐ仕組みは、指導と嫌がらせの線引きを現場に共有しておくことです。同じ周知資料は、業務上の必要な指導等であっても、暴言や脅迫(例として、指示に従わなければ解雇する旨の発言等)や暴行(例として、殴打・足蹴り・工具で叩く等)といった行為は許されないとしています。[8]配属先の社員へ受け入れ前に説明しておくと、後の火消しが減ります。
摩擦は職場の外でも起きます。ゴミの出し方や夜間の騒音など近隣とのトラブルは、悪意ではなく「住んでいた国とルールが違うことをまだ知らない」型がほとんどです。ここも新しい仕組みは要りません——義務的支援である生活オリエンテーションの情報提供事項に、就労・生活する地域におけるゴミの廃棄方法等(分別・出し方、収集日、粗大ゴミの捨て方等)や、夜中に大声で騒いだり騒音を出したりするなど近隣住民の迷惑になる行為は控えること、が明示されています。[11]さらに、地域住民との交流の場に関する情報提供・自治会等の案内・行事への参加手続きの補助も日本人との交流促進に係る支援として義務的支援です——近隣に顔見知りがいる状態は、苦情が役所へ行く前に本人と会社へ届く経路になり得ます。[11]実施の基準(生活オリエンテーションは少なくとも8時間以上が目安)を含む支援の全体像は特定技能の義務的支援10項目で解説しています。
在留カードの確認漏れ・就労範囲への疑い
これは他と性質が違い、企業側が処罰の対象になり得る層です。出入国在留管理庁の周知資料は、不法就労となる場合を3つに整理しています——①不法滞在者や退去強制が決まっている人が働く(在留期限の切れた人など)、②働く許可を受けていないのに働く(観光等の短期滞在で入国した人、許可を受けていない留学生など)、③認められた範囲を超えて働く(外国料理のコックとして認められた人が工場で作業員として働く、留学生が原則週28時間以内の許可時間を超えて働くなど)。[8]雇う側が気づかずに踏みやすいのは③です——特定技能なら、指定書に記載された分野と実際の業務のずれがここに当たります。
不法就労助長罪の罰則は、現行で拘禁刑3年以下または罰金300万円以下です。さらに成立済みの改正法はこれを5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)へ引き上げます。改正法の施行日は2027年(令和9年)4月1日です(施行期日を定める令和7年政令第340号)。[12][13]出入国在留管理庁の周知資料(表記は改正前の「3年以下の懲役・300万円以下の罰金」)は、「外国人を雇用しようとする際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません」としています。[8]「知らなかった」は理由になりません。
初動は、在留カードの2か所を見ることです。同資料は、表面の「就労制限の有無」欄を確認し、「就労不可」または「在留資格に基づく就労活動のみ可」の場合は裏面の「資格外活動許可欄」を確認するよう案内しています。⚠️ 見落とされがちですが、在留資格が「特定技能」の場合は指定書を確認する必要があるとされています。[8]指定書には従事できる分野が記載されており、ここと実際の業務がずれていないかが確認の中身です。カード自体の真偽が疑わしいときの手段も同資料が案内しています——出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」で読み取った情報と券面の見比べ、「在留カード等番号失効情報照会」ページで番号の失効を確認できます。⚠️ ただし同資料は、確認結果は在留カード等の有効性を証明するものではないとし、実在する番号を悪用した偽造カードも存在するため、目視による判断方法とあわせて使うよう注意しています。[8]
防ぐ仕組みは、雇入れと離職の届出を運用に組み込むことです。特別永住者、在留資格「外交」および「公用」を除く外国人を雇用する事業主には、労働施策総合推進法に基づく外国人雇用状況の届出が義務づけられており、雇用時と離職時にハローワークへ届け出ます。期限は雇用保険の被保険者かどうかで異なります——それぞれの期限と提出の仕方は特定技能の採用の流れ(入国後の届出は2系統)で整理しています。この届出を怠ったり虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金の対象になるとされています。[8]在留カードの確認と届出を同じチェックリストに載せれば、片方だけ抜けることを防げます。
「辞めたい」「転職したい」と言われた
引き止めが先に立ちがちですが、転職は制度が想定している行動です。出入国在留管理庁の運用要領は、転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合または特定産業分野を変更する場合は在留資格変更許可を受けなければならないとしたうえで、在留資格変更許可申請中は、変更予定の就労先での就労活動は認められないとしています。[7]
初動は、退職日を決めることです。許可が下りるまで次の勤務先で働けない以上、退職日と次の入社日の間が空く前提で引き継ぎを組みます。本人の自己都合による退職なら受入れ困難に係る届出は不要で、特定技能雇用契約の終了に係る届出のみを終了日から14日以内に提出します。[6]⚠️ 見落とされやすいのは、退職を申し出られた後も支援は続くことです。運用要領は、相談又は苦情への対応について、離職が決まった後も、特定技能雇用契約がある間は行うことが求められるとしています。[11]
防ぐ仕組みは、辞意が出る前の面談です。離職の実データや辞める理由の分解、面談の設計は特定技能外国人の定着支援で扱っています。採用ルートの違い(国内在住者からの転職採用か、海外からの新規入国か)で転職の起きやすさや生活基盤の前提が変わる点は特定技能の採用の流れ(国内採用と海外採用)で整理しています。転職に伴う在留資格変更の具体的な書類や手続きは、本記事では扱いません。
問題が続くので辞めてもらうことを検討したとき
解雇や人員整理は、労働関係法令の問題であると同時に、特定技能では受け入れ側の基準に直結します。出入国在留管理庁の運用要領は、特定技能雇用契約の締結の日前1年以内またはその締結の日以後に、その契約で外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者を非自発的に離職させていないことを基準とし、非自発的離職者を1名でも発生させている場合は基準に適合しないとしています。[7]
⚠️ この基準は「外国人の離職」の話だと読み違えられがちです。運用要領の留意事項は、対象となる労働者を特定技能所属機関にフルタイムで雇用されている日本人労働者、中長期在留者及び特別永住者の従業員(パートタイムやアルバイトを含まない)と定めています。外国人本人とは関係のない日本人社員の整理解雇が、特定技能の受け入れに跳ね返るということです。[7]
初動は、自社の判断で結論を出さないことです。運用要領は「非自発的に離職させた」に該当するかについて、まずは地方出入国在留管理局に相談するよう案内しています。あわせて、解雇・雇止めの適法性そのものは労働関係法令の領域です——判断に迷う場合は、弁護士・社会保険労務士などの専門家や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーにも相談してください。該当例は、人員整理を行うための希望退職の募集または退職勧奨を行った場合(天候不順や自然災害の発生、または新型コロナウイルス感染症等の感染症の影響により経営上の努力を尽くしても雇用を維持することが困難な場合は除く)のほか、労働条件に係る重大な問題(賃金低下、賃金遅配、過度な時間外労働、採用条件との相違等)があったと労働者が判断したもの、就業環境に係る重大な問題(故意の排斥、嫌がらせ等)があった場合、特定技能外国人の責めに帰すべき理由によらない有期労働契約の終了です。[7]本人から辞めた形でも、非自発的離職として扱われ得るということです。他方、定年その他これに準ずる理由による退職、自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者、自発的に離職した者のほか、有期労働契約の期間満了時の雇止めのうち本人の責めに帰すべき重大な理由その他の正当な理由により更新の申込みを拒絶した場合は、対象から除かれています。[7]雇止めを検討するときは、この「正当な理由」に当たるかどうかを含め、個別の該当性を地方出入国在留管理局に確認するのが安全です。
非自発的離職者を発生させた場合は、受入れ困難に係る届出を行わなければならないことにも運用要領は留意を促しています。[7]さらに、非自発的離職の発生は受け入れ基準の不適合に当たるため、基準不適合に係る届出も必要です(様式と期限は下の届出一覧)。[6]また、人員整理や倒産など受け入れ側の都合で契約を解除する場合には、転職支援そのものが義務的支援になります。所属する業界団体・関連企業等からの受入先情報の提供/職業安定機関・職業紹介事業者等の案内(必要に応じて同行)/推薦状の作成/(職業紹介の許可等がある場合の)紹介あっせん——のいずれかに加えて、求職活動のための有給休暇の付与と、離職時に必要な行政手続(国民健康保険・国民年金の手続等)の情報提供をいずれも行う必要があります。実施した転職支援の内容は届出にも載ります——どの様式に記載するかは、支援を登録支援機関に全部委託しているかどうかで分かれます(下の届出一覧を参照)。[6]
防ぐ仕組みは、賃金・労働時間・採用条件との相違をトラブルの段階で潰しておくことです。上の列挙は、そのまま「放置すると非自発的離職に化ける論点」の一覧として読めます。受け入れ要件としての全体像(欠格事由や報酬の同等性を含む)は特定技能で企業に求められる受け入れ要件にまとめています。
トラブル起点の届出と期限(特定技能)
⚠️ この節で扱うのは、トラブルが起点になって発生する届出だけです。平常時に必要な届出や帳簿の備え付けといった義務の全体像は特定技能で企業に求められる受け入れ要件が扱います。
出入国在留管理庁のQ&Aによると、入管法第19条の18第1項が規定する随時届出は次のとおりです(トラブルとは無関係に生じるものも含む全体像です——どれがどのトラブルで必要になるかは上の事例節を参照)。期限はいずれも、届出事由が生じた日(基準不適合に係る届出は、基準に適合しない事由が生じたことを知った日)から14日以内で、提出先は特定技能所属機関の住所(法人の場合は登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局または同支局です。[6]
- 特定技能雇用契約に係る届出(雇用契約の変更・終了・新たな契約の締結)
- 1号特定技能外国人支援計画変更に係る届出
- 登録支援機関との支援委託契約に係る届出(契約の締結・終了・変更)
- 受入れ困難に係る届出(自己都合でない退職、行方不明、傷病、1か月以上活動未実施等)
- 特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の基準不適合に係る届出(基準に適合しない事由が生じたことを知った日から14日以内。届出書〔参考様式第3-5号〕に基準不適合に係る説明書〔同第5-18号〕を添付。⚠️ 14日以内に是正が完了した場合も届出は必要で、説明書に原因と改善に至った経緯を記載します。是正が終わらない場合も届出日現在の状況を記載して提出します)
- 1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出(支援計画どおりの支援を実施できなくなったとき。非自発的離職の発生によりハローワークへの相談を行うなどの転職支援を実施した場合を含みます。⚠️ 様式は委託の形で分かれます——支援を登録支援機関に全部委託している場合は特定技能所属機関による届出は不要で、登録支援機関が特異事案報告書〔参考様式第4-3号〕を提出します。それ以外の場合は所属機関が実施困難に係る届出書〔同第3-7号〕を提出します)
届出はインターネットの電子届出システムでも行えます(入管法が定める特定技能所属機関・登録支援機関の全ての届出が対象)。⚠️ 事前に利用者情報登録が必要なので、事由が起きてから登録していては14日に間に合わないことがあります——受け入れ時に登録まで済ませておくのが実務です。[6]
実務で迷いやすいのは、「受入れ困難」と「契約終了」のどちらを出すのかです。同Q&Aは、自己都合により退職する場合について「必要ありません。特定技能雇用契約の終了に係る届出のみで結構です」としています。[6]もう1つ見落とされやすいのは、本人が既に他の在留資格へ変更した後や、既に出国した後でも届出は必要なことです——同Q&Aは、特定技能の在留資格で在留している間に発生した事由については、変更後・出国後であっても届出が必要としています。[6]「帰国したから終わり」にはなりません。
| 起きた事由 | 受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号) | 特定技能雇用契約の終了に係る届出 | 添付する状況説明書 |
|---|---|---|---|
| 本人の自己都合による退職 | 不要 | 必要(終了日から14日以内) | — |
| 行方不明 | 必要(14日以内) | 契約を終了した場合に必要 | 受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号)+行方不明が判明した際の状況説明書(同第5-15号) |
| 1か月以上活動ができない事情が生じた | 必要(14日以内) | 契約を終了した場合に必要 | 受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号)+1か月以上の活動未実施期間が生じた際の状況説明書(同第5-14号) |
| 上記以外(会社都合の退職・傷病等) | 必要(14日以内) | 契約を終了した場合に必要 | 受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号) |
⚠️ 添付する説明書の組み合わせは、2026年8月20日の運用要領改正で整理されました。改正後の「確認対象の書類」は、届出書(参考様式第3-4号)と受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(同第5-11号)を事由を問わず挙げ、届出事由が1か月以上の活動未実施・行方不明のときはそれぞれの状況説明書(同第5-14号・第5-15号)を加える形です(確認日2026年8月21日)。[7]なお、本人の意思による有給休暇等で1か月以上活動しない場合は、受入れ困難に係る届出は不要とされています——妊娠・出産・育児のための休業や、病気・けがによる休業は「就労できない事情がない」とは認められず、届出が必要です。[6]
届出書を誰が作れるかにも決まりがあります。届出書は、特定技能所属機関が自社の職員(総務担当など)で作成するのが基本です。作成を外部へ委任する場合、同Q&Aは委任できる相手を、行政書士法等の法令に基づき他人の依頼を受けて報酬を得て官公署へ提出する文書を作成することが認められている者(行政書士または弁護士の身分を有する方)とし、これら以外の者に委任することは行政書士法等に抵触するおそれがあるとしています。[6]
なお、ここまでは届出の作成を誰に委任できるかの話です。在留資格の変更・更新といった申請の提出(申請取次)は別の制度で、担い手の範囲も異なります。報酬を得て業として行う申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です。「登録支援機関に任せれば申請書類の作成まで全部やってくれる」と思い込むのも、よくある誤解の一つ。登録支援機関へ委託できるのは支援計画に基づく各種支援の実施で(支援計画の作成は受入れ機関の義務です)、書類の作成は含まれません(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。[14]申請取次を行えるのは、地方出入国在留管理局長の承認を受けた受入れ機関・登録支援機関等の職員のほか、所属する会を経由して届け出た弁護士・行政書士です——いずれも、本人(変更・更新の場合は本邦にある外国人またはその法定代理人)の依頼を受けて行うものです(根拠=入管法施行規則の取次規定)。書類の作成が必要な場合は行政書士などの専門家と連携して進めます。
トラブルを未然に防ぐ仕組み——制度の支援装置を機能させる
予防策を新しく設計する必要はありません。特定技能1号ですでに義務になっている支援を、形式でなく実質として動かすことがそのまま予防になります。
相談対応と定期面談——兆候を拾う2つの装置
相談・苦情への対応は義務的支援です。相談や苦情の申出を受けたときは、遅滞なく適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を講じます。必要に応じて、相談内容に対応する適切な機関(地方出入国在留管理局・労働基準監督署等)を案内し、本人に同行して必要な手続きの補助を行わなければならないとされており、社外の相談先も制度に組み込まれています。[11]
定期面談は、本人と、その監督をする立場にある者(直接の上司や雇用先の代表者等)のそれぞれに対し、3か月に1回以上実施します。トラブルの文脈で押さえておきたいのは通報の義務です——面談で労働関係法令の違反を知ったときは労働基準監督署などの関係行政機関へ、資格外活動等の入管法違反や旅券・在留カードの取上げ等を知ったときは地方出入国在留管理局へ、通報する必要があるとされています。[11]
相談体制の実施基準(対応する曜日・時間帯・言語の要件)と、面談を実施できる人の要件(支援責任者・支援担当者=委託の形による違い)は特定技能の義務的支援10項目が本籍です。面談の質問設計や入社初期の声かけなど、定着に効かせる運用は特定技能の離職率と定着支援で扱っています(公的な総合窓口=FRESC・自治体の一元的相談窓口の使い方も同記事)。
支援を自社で行うか、委託するか
自社で行うか委託するかは、トラブル時の対応の速さと、相談の上がりやすさで決めます。委託先を費用の安さだけで選ぶと、委託範囲が狭く必要な支援が別料金だったり、対応言語が合わず相談が上がってこなかったりします。⚠️ 対応言語は「多言語対応」という表示ではなく、実際に採用する人が十分に理解できる言語で相談を受けられるかで確認するところです。委託先の支援が止まった・連絡が取れないという事態への備えと乗り換えの手順は登録支援機関の変更(乗り換え)で扱っています。
選び方の視点と契約直前の確認は登録支援機関の選び方、自社支援か委託かの判断材料は自社支援と委託の比較、自社で行う場合に義務として残る中身は特定技能の義務的支援10項目、委託費の水準は登録支援機関の費用相場で整理しています。自社の業種が対象分野に含まれるかは受け入れの前提条件です=特定技能の対象分野一覧で確認してください。
起きる前に決めておくチェックリスト
トラブルが起きてから調べ始めると、14日の期限に間に合いません。次の項目は受け入れ前に決めておけます。
| 決めておくこと | 具体的に決める内容 |
|---|---|
| 連絡が取れないときの手順 | 何日連絡が取れなければ行方不明と判断するか/緊急連絡先を誰が保持するか/記録の様式 |
| 届出の担当と経路 | 随時届出を誰が作成し、どの地方出入国在留管理局へ、どの手段で出すか/電子届出システムの利用者情報登録を済ませているか |
| 賃金の説明 | 初回給与の前に手取りの見込みを示すか/控除の内訳を誰がどの言語で説明するか |
| 相談窓口 | 相談を受ける言語と担当者/対応する曜日・時間帯の体制(基準の本籍=義務的支援10項目)/本人への周知方法 |
| 定期面談 | 3か月に1回以上の実施日を誰が管理するか/本人と監督者のどちらを誰が担当するか |
| 在留カードの確認 | 雇入れ時に誰が確認するか(表面の就労制限・裏面の資格外活動許可・特定技能は指定書)/在留期限の一覧管理と更新時期の通知(期間の数え方は特定技能の在留期間)/ハローワークへの届出の担当(期限の出し分けは採用の流れの届出節) |
| 社会保険・安全衛生 | 資格取得の届出を入社時チェックリストに載せているか/危険な作業・機械の説明を本人が理解できる方法(母国語・視聴覚教材・図解等)で行えているか |
| 配属先の職員への説明 | 業務範囲・日本語レベル・生活面で支援している内容の共有/指導と嫌がらせの線引きの共有 |
| 退職・解雇の判断 | 人員整理を検討する前に地方出入国在留管理局へ相談する手順を誰が持つか |
まとめ
外国人労働者のトラブルは、雇用契約・生活と文化・在留資格の3層に仕分けると初動と相談先が決まります。本人側調査でトラブルがあったと答えた特定技能の人の45.9%が挙げたのは「紹介会社の費用が高かった」——来日前の費用と入社後の条件のギャップを入口で埋めることが、最初の予防線でした。
特定技能で受け入れている場合は、行方不明や自己都合でない退職の初動に14日以内の届出がつき、非自発的離職者や責めに帰すべき事由による行方不明者を発生させると受け入れの基準に関わります。[6][7]予防の中身は特別なものではなく、義務的支援である相談・苦情対応と3か月に1回以上の定期面談を実際に機能させることに尽きます。[11]
制度の全体像と採用の進め方は特定技能とは?をご覧ください。
よくあるご質問
- 外国人労働者とのトラブルで多いのはどんなことですか?
- 厚生労働省の令和6年外国人雇用実態調査では、雇用に関する課題(複数回答)として事業所の43.9%が「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」、20.9%が「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」を挙げました。一方、本人に聞くと就労上のトラブルや困ったことが「あり」は10.9%、在留資格別では特定技能は9.0%です。内容は在留資格で大きく異なり、トラブルがあったと答えた人のうち特定技能では「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」が45.9%と突出します(全在留資格の計では18.6%)。
- 特定技能で採用した人と連絡が取れなくなったら、何をすればよいですか?
- 本人・緊急連絡先へ連絡を試みて経緯を記録したうえで、行方不明を事由とする「受入れ困難に係る届出書」(参考様式第3-4号)に経緯・状況の説明書を添え、届出事由が生じた日から14日以内に地方出入国在留管理局へ提出します。出入国在留管理庁のQ&Aは、14日以内に地方出入国在留管理局または同支局へ到達している必要があるとしています。雇用契約を終了した場合は、終了日から14日以内に契約終了の届出も必要です。
- 「辞めたい」「転職したい」と言われたら、引き止めなければいけませんか?
- 転職は制度が想定している行動です。出入国在留管理庁の運用要領は、転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合または特定産業分野を変更する場合は在留資格変更許可を受けなければならず、申請中は変更予定の就労先での就労活動は認められないとしています。企業がまず決めるのは退職日と引き継ぎです。本人の自己都合による退職なら受入れ困難に係る届出は不要で、特定技能雇用契約の終了に係る届出のみを終了日から14日以内に提出します。
- 外国人を雇うと、日本人よりトラブルは多いのですか?
- 単純に比較できる政府統計は限られますが、本人調査では就労上のトラブルや困ったことが「あり」は10.9%、特定技能では9.0%にとどまり、内容は費用や条件の説明・手続きに関する型が中心です。一方、労働災害の発生率(死傷年千人率)は外国人2.77と全ての労働者の2.3より高く(特定技能は4.11とさらに高め)、安全衛生の説明を本人が理解できる方法で行うことが事業主向けの指針で求められています。「多いか」より「型が違う」と捉え、入社前の説明・期限つきの届出・義務的支援の運用を整えることが実務的な答えになります。
- 問題が続く外国人労働者を、解雇や人員整理の対象にできますか?
- 対象にすること自体は可能ですが、特定技能では受け入れの基準に直結します。基準の対象は特定技能所属機関にフルタイムで雇用されている日本人労働者・中長期在留者・特別永住者の従業員(パートタイム・アルバイトを含まない)で、外国人に限られません。出入国在留管理庁の運用要領は、特定技能雇用契約の締結の日前1年以内またはその締結の日以後に、同種の業務に従事していた労働者を非自発的に離職させていないことを求め、1名でも発生させている場合は基準に適合しないとしています。定年退職・自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇・正当な理由のある雇止めなどは除かれますが、該当するかはまず地方出入国在留管理局に相談するよう案内されています。解雇・雇止めの適法性そのものは労働関係法令の領域のため、弁護士・社会保険労務士などへの相談も併せて検討してください。
出典・参考(一次情報)
- 令和6年外国人雇用実態調査の概況(令和7年8月29日公表)(厚生労働省)
- 令和7年 労働災害発生状況について(参考資料・外国人労働者の労働災害発生状況=令和8年5月27日公表)(厚生労働省)
- 技能実習生の失踪者数の推移(令和8年7月公表・確認日2026年9月10日)(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度の現状について(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 第8回・参考資料4・確認日2026年9月10日)(出入国在留管理庁)
- 令和6年の「在留資格取消件数」について(令和7年3月)(出入国在留管理庁)
- 特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A・令和7年6月)(出入国在留管理庁)
- 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月20日一部改正版・第7章第4節「受入れ困難時の届出」確認対象の書類を含む・確認日2026年8月21日)(出入国在留管理庁)
- 外国人の適正な雇用にご協力ください(不法就労防止リーフレット・発行日記載なし=2026-08-15取得版)(出入国在留管理庁)
- 健康保険法(第48条・第208条)|厚生労働省法令等データベースサービス(厚生労働省)
- 外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平成19年厚生労働省告示第276号・最終改正 令和8年5月29日)(厚生労働省)
- 1号特定技能外国人支援に関する運用要領(令和7年4月1日一部改正)(出入国在留管理庁)
- 改正法の概要(育成就労制度の創設等・不法就労助長罪の厳罰化)(出入国在留管理庁)
- 改正法の施行期日を定める政令(令和7年政令第340号・施行期日=令和9年4月1日)(出入国在留管理庁)
- 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)