飲食料品製造業で特定技能を採用するには|在留9.6万人・酒類を除く製造・加工が対象
目次
「食品工場で特定技能の外国人を受け入れたいが、外食業とどちらに当たるのか」「協議会への加入や2号への移行はどう進めるのか」——飲食料品製造業の受け入れでつまずきやすいのは、この分野固有の要件と、近い分野(外食業)との線引きです。結論から言うと、押さえるべき軸は3つ。①必要な試験(飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験・参照枠A2.2相当以上)②対象業務は飲食料品(酒類を除く)の製造・加工と安全衛生③食品産業特定技能協議会への加入です。受け入れ枠が全分野でも最大級に設定された間口の広い分野で、このページで採用に必要な要件を整理します。[1]
この記事の要点
- 試験+日本語が基本・技能実習からは試験免除 — 飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験と参照枠A2.2相当以上が要件。飲食料品製造業の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。2027年4月1日からは業務区分が「飲食料品製造業」「水産加工業」の2つに分かれ、試験も区分別の評価試験に切り替わります(2026年8月28日の運用要領改正で明文化)。
- 1号・2号の両方がある分野 — 長期就労を前提に2号まで設計され、2号では製造・加工に加えて管理業務も対象になります。
- 外食業と混同しやすい — 同じ食品産業特定技能協議会への加入が必要ですが、製造業=工場での製造・加工、外食業=店舗での調理・接客と、対象業務と試験が分かれています。
本記事は一般的な情報提供です。飲食料品製造業分野の要件・対象業務の範囲は変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁および農林水産省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
飲食料品製造業の特定技能はここが特徴
まず、飲食料品製造業ならではのポイントを押さえます。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 長期就労を前提に2号まで設計されています。2号では製造・加工に加えて管理業務も対象になり、日本語は「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(当面は日本語能力試験〔JLPT〕N3以上の合格で確認)が求められます。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで解説しています。
- 対象業務は「飲食料品の製造・加工・安全衛生」 — ただし酒類は除きます。2027年4月1日からは「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2区分に分かれます(それまでは従来どおり「飲食料品製造業全般」の1区分。区分の中身と経過措置は後述)。
- 食品産業特定技能協議会への加入が必要 — 受け入れ企業は協議会の構成員になります。
- 受け入れ枠が大きい — 1号の受け入れ見込数(5年間の最大値)は全分野でも最大級に設定されており、受け入れの間口が広い分野です。
飲食料品製造業で必要な試験
飲食料品製造業で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。
- 技能試験 — 「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」。2027年4月1日からは、業務区分ごとの「飲食料品製造業特定技能1号評価試験」「水産加工業特定技能1号評価試験」に切り替わります。運用要領は経過措置として、2027年3月31日までは技能水準・業務区分とも従前の例によるとし、同日までに旧試験(技能測定試験)に合格した人は新しい評価試験に合格したものとみなすと定めています。[2]
- 日本語能力水準 — 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)。[3]水準と各試験の対応(公式の換算表はありません)は特定技能の試験(日本語試験の節)で解説しています。
飲食料品製造業の技能実習2号を良好に修了した人は、これらの試験が免除されます。技能実習からの移行は、製造現場に慣れた人材を受け入れやすいルートです(技能実習から特定技能への移行)。運用要領は、この免除で移行した人は移行後も飲食料品製造業・水産加工業のどちらの区分でも働け、区分をまたいだ転職もできると明記しています。
特定技能2号に進むには、区分に対応する2号の試験(現行は「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」・2027年4月1日以降は区分別の「特定技能2号評価試験」)の合格に加えて、自らの業務区分で複数の作業員を指導しながら作業に従事し工程を管理する者としての実務経験2年以上(担当部門長・ライン長・班長等の役職を辞令や職務命令書で命じたもの)と、日本語能力試験N3以上の合格(日本語教育の参照枠のB1相当以上と判定された場合に限る。2027年4月1日以降の取扱いは別途案内)が必要です。2号が担う業務は、製造・加工と安全衛生の確保に加えて、複数の技能者を指導しながら行う衛生管理・安全衛生管理・品質管理・納期管理・コスト管理・従業員管理・原材料管理等で、事業所責任者(工場長等)の管理業務を補助する前提で役職を与えて従事させます。[4]採用後の育成の目安は、農林水産省が関係業界と策定する「育成・キャリア形成プログラム」(各レベルの業務内容・習熟の目安年数・レベルアップに必要な経験や資格=農林水産省のホームページに掲載)が指針になります。
試験の仕組み全般(日本語試験・技能試験・免除ルート)と他分野の試験名は特定技能の試験で確認できます。
対象となる業務
飲食料品製造業で従事できるのは、飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、および安全衛生の確保に関わる業務です。食品工場での製造ラインや加工、品質・衛生管理の現場業務に幅広く従事できます。運用要領は「製造・加工」を原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為とし、単なる選別や包装(梱包)だけの作業は製造・加工に当たらないとしています。
2027年4月1日からは、業務区分が「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2つに分かれます。 令和8年1月23日閣議決定の分野別運用方針で切り分けが決まり、2026年8月28日改正の運用要領が中身を定めました。水産加工業の区分は「原料(魚介藻類)の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥、冷凍冷蔵等」の製造・加工と安全衛生の確保が対象(こちらも単なる選別・包装だけの作業は除く)で、試験も区分ごとに分かれます。⚠️ 2027年3月31日までは経過措置で従来の1区分(飲食料品製造業全般)のままなので、いま採用する人は両方の業務に就けます。[2]
水産加工業の区分で受け入れる場合、雇用契約を結ぶ際に、転職できる範囲(原則として同一の業務区分内に限ること等)を含むキャリアパスや待遇を丁寧に説明して同意を得ることが、食品産業特定技能協議会で定められています。水産加工の現場で採用を考えている企業は、契約前の説明事項として押さえておいてください。なお、漁業分野(特定技能「漁業」)では水産加工だけを担わせることはできず、加工を主たる業務にするなら飲食料品製造業分野の側で受け入れます。
関連業務(原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業など、日本人が通常従事するもの)に付随的に従事することは差し支えありませんが、専ら関連業務に従事させることはできません。⚠️ 食料品製造を行う総合スーパー・食料品スーパーの事業所では、関連業務としても販売業務に従事させることはできません(協議会加入時に、販売業務に従事させない旨の誓約書の提出も必要です)。
外食業との違い(混同しやすいポイント)
飲食料品製造業と外食業は、どちらも「食品」に関わる分野で、同じ食品産業特定技能協議会への加入が必要なため混同しがちですが、対象業務が分かれています。
- 飲食料品製造業 — 食品工場などでの製造・加工(酒類を除く)。
- 外食業 — 店舗での飲食物の調理・接客・店舗管理。
自社の業態がどちらに当たるか(工場での製造か、店舗での提供か)で、受ける技能測定試験と対象業務が変わります。判断に迷う場合は、業務の中心がどちらかで考えるとわかりやすくなります。
受け入れ企業に求められる要件
飲食料品製造業で受け入れるには、企業側に次のような条件が求められます。
- 事業所が対象産業に当たること — 特定技能外国人が働く事業所が、日本標準産業分類で主として食料品製造業・清涼飲料製造業・茶/コーヒー製造業・製氷業、または食料品製造を行う食肉小売業・総合スーパー・食料品スーパー、製造小売の菓子小売業・パン小売業・豆腐/かまぼこ等加工食品小売業のいずれかを行っていること(2026年8月28日改正で食肉小売業〔食料品製造を行うもの〕が加わりました)。酒類製造業・飲食料品卸売業・ペットフード等の飼料製造業などは含まれません。対象かどうかに疑義があるときは、協議会の加入申請をする前に農林水産省へ問い合わせます(水産加工業は水産庁が窓口です)。[4]
- 食品産業特定技能協議会への加入 — 受け入れ企業は協議会の構成員になること。
- 所管省庁の調査等への協力 — 農林水産省が行う調査や指導に協力すること。
企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、採用全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。
採用ルート
飲食料品製造業で特定技能外国人を採用する主なルートは次のとおりです。
- 試験合格者を採用 — 国内・海外で飲食料品製造業の試験に合格した人材を採用します。
- 飲食料品製造業の技能実習からの移行 — 試験免除でスムーズに移行できます。
- 国内在住者の採用 — すでに日本にいる特定技能外国人を採用すると、渡航費などの初期費用を抑えやすくなります。
費用の目安
飲食料品製造業でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費など。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費(1人あたり月2〜3万円程度が目安)。
なお、報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら地方出入国在留管理局長の承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。書類の作成が必要な場合は、行政書士などの専門家と連携して進めます。総額の内訳と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場で整理しています。
登録支援機関の活用
自社で生活支援の体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます。選び方と契約前の確認は登録支援機関の選び方を参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。すでに委託していて委託先を見直したいときの進め方は登録支援機関の変更(乗り換え)にまとめています。
飲食料品製造業で働く特定技能外国人の実像
飲食料品製造業の特定技能1号在留者は100,769人(2026年6月末・速報値)で、受入れ見込数133,500人に対する充足率は75.5%です(全分野の充足率の比較は特定技能の受け入れ停止と分野別の充足率で整理しています)。[5]
国籍別の内訳が公表されている直近の詳細統計(2025年12月末時点・1号93,393人)では、2023年6月末(53,282人)から+75%に増えています。国籍別ではベトナムが59.3%で最多、都道府県別では埼玉県が最も多くなっています。自社の採用計画を立てる際の目安として、国籍・地域・年齢構成の内訳を確認できます。
データで見る:飲食料品製造業で働く特定技能外国人
2025年12月末時点
全国で就労中
93,393人
直近2.5年の伸び
+75%
2025年12月末時点で全国93,393人(2023年6月末の53,282人から+75%)。国籍はベトナムが59.3%で最多、都道府県は埼玉県が7,914人で最多です。
どの国から来ているか
- ベトナム55,372人(59.3%)
- インドネシア19,593人(21%)
- 中国5,614人(6%)
- ミャンマー4,739人(5.1%)
- フィリピン3,769人(4%)
- その他4,306人(4.6%)
直近はインドネシアが急増(2年半で+335%)
どこで働いているか
- 埼玉県7,914人
- 千葉県7,441人
- 愛知県6,035人
- 神奈川県5,061人
- 茨城県5,042人
年齢層
- 18-29歳65.6%
- 30-39歳29.5%
- 40+歳4.9%
男女比
- 男性35.9%
- 女性64.1%
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末)をトモハタが集計。数値はすでに就労している人の分布で、地域の人材供給・採用競合をつかむ目安です。募集のしやすさを保証するものではありません。
分野をまたいだ全体像(全分野の人数・国籍・都道府県の統計)は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
飲食料品製造業で特定技能の外国人を採用するには、①必要な試験(飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験・参照枠A2.2相当以上。2027年4月1日からは区分別の評価試験)②対象業務は飲食料品(酒類を除く)の製造・加工と安全衛生(2027年4月1日から飲食料品製造業/水産加工業の2区分)③食品産業特定技能協議会への加入を押さえることが第一歩です。受け入れ枠が大きく間口の広い分野で、技能実習からの移行は試験免除、長期就労は特定技能2号への移行が道筋になります。外食業と混同しやすいので、自社が工場での製造か店舗での提供かを整理してから進めましょう。
制度の全体像は特定技能とは?、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、起きやすいトラブルと対処は外国人労働者の問題点と対処をご覧ください。
よくあるご質問
- 飲食料品製造業で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)を持つことが基本です。2027年4月1日からは業務区分が「飲食料品製造業」と「水産加工業」に分かれ、技能試験もそれぞれの「特定技能1号評価試験」に切り替わります(2027年3月31日までの旧試験の合格者は新試験に合格したものとみなされます)。飲食料品製造業の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。企業側は、受け入れ要件を満たし、食品産業特定技能協議会の構成員になる必要があります。
- 飲食料品製造業の特定技能で任せられる仕事は何ですか?
- 飲食料品(酒類を除く)の製造・加工と、安全衛生の確保に関わる業務が対象です。食品工場での製造・加工の現場業務に幅広く従事できます。2027年4月1日からは「飲食料品製造業」と「水産加工業」(魚介藻類を原料とする処理・加熱・殺菌・成形・乾燥・冷凍冷蔵等)の2つの業務区分に分かれ、原則として採用時に決めた区分の業務に就きます(それまでは従来どおり「飲食料品製造業全般」の1区分です)。
- 飲食料品製造業と外食業の特定技能はどう違いますか?
- 飲食料品製造業は食品工場などでの製造・加工が対象で、外食業は店舗での調理・接客・店舗管理が対象です。どちらも食品産業特定技能協議会への加入が必要ですが、対象業務と必要な技能測定試験が分野ごとに分かれています。
出典・参考(一次情報)
- 飲食料品製造業分野(出入国在留管理庁)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-飲食料品製造業分野の基準について-(令和8年8月28日一部改正版=水産加工業の業務区分・試験名・2号の日本語能力水準・経過措置/確認日2026年9月3日)(出入国在留管理庁)
- 飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(別紙15・令和8年1月23日閣議決定)=特定技能1号の日本語能力水準「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(確認日2026-09-05)(出入国在留管理庁)
- 同運用要領(飲食料品製造業分野)の一部改正について(令和8年8月28日・新旧対照表=通し番号3・5・11〜13・16〜18/確認日2026年9月3日)(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値。同URLは四半期ごとに最新版へ差し替えられる)=飲食料品製造業100,769人・充足率75.5%(出入国在留管理庁)