特定技能「外食業」とは|受け入れ停止中も動く転職・2号化と再開の判断指標
目次
外食業分野では、2026年4月13日から特定技能1号の新規の受け入れが原則として止まっています。外食業で外国人を採用しようとする企業の疑問は、いま「うちの店は対象になるのか」「どこまでの仕事を任せられるのか」より先に、「この停止のなかで何ができるのか」から始まります。止まっているのは入口だけです。国内にいる1号人材を動かす・続ける・2号へ上げる経路は動いています。本記事は、出入国在留管理庁・農林水産省の停止措置の通知とQ&A、分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定)・運用要領で確認できる範囲で、停止中に企業が取れる手と再開の見方を先に、対象事業所・業務・試験・2号の要件をその後に整理します。
この記事の要点
- 止まったのは「新たに1号を入れる経路」です — 海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書の交付)は不交付、他の在留資格からの変更は原則不許可、1号評価試験も国内外とも停止中。分野内の転職・在留期間の更新・2号への変更は通常どおり審査されています。[1]
- 特定技能の枠内で人を増やせるのは、分野内の転職(枠を消費しない)と、技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)修了者・特定活動(1号移行準備)からの移行(残り枠を消費)だけ — 今いる人は更新と2号化で守り、身分系・在留資格「技能」・特定活動(告示46号)・留学生のアルバイトは特定技能とは別の制度として使えます。
- 再開は「するかどうかを含めて未定」 — 農林水産省は、行う場合は事前にアナウンスすると説明しています。判断材料は「5万人の上限に十分な余裕があるか」で、運用方針が挙げる指標(在留者数・有効求人倍率・雇用人員判断DI)は企業側でも追えますが、再開の条件ではありません。[2]
- 対象は「飲食サービス業の4類型」を行う事業所で、固有の線引きは「接待」 — 持ち帰り・宅配・ケータリング・給食事業所も入り、宿泊施設内の飲食部門や医療・福祉施設内の給食部門でも就労させられます。風俗営業を営む営業所での就労(旅館・ホテル営業の施設内の営業所は例外)と接待は、関連業務を含めて禁止です。[3]
本記事は一般的な情報提供です。停止措置の運用・審査の到達状況・再開の見通し・外食業分野の要件は月単位で変わります。採用や申請を判断する前に、出入国在留管理庁および農林水産省の最新の公表内容で必ず確認してください。
外食業の受け入れ停止で止まった手続き・動いている手続き(2026年4月13日から)
新たに人を「増やす」ルートは絞られましたが、すでに国内にいる人を「動かす・続ける・上げる」ルートは生きています。 出入国在留管理庁は2026年3月27日、外食業分野の1号特定技能外国人の在留者数が2026年2月末で約4万6千人(速報値)となり、同年5月頃に受入れ見込数の5万人を超える見込みになったことを理由に、農林水産省とともに4月13日に停止措置をとる方針と、同日以降に受理する申請の取扱いを公表しました。手続きとしては4月3日に農林水産大臣が法務大臣へ交付停止を要請し(入管法第7条の2第3項)、4月13日に法務大臣が同条第4項に基づき措置をとっています(分野を問わない停止の仕組みと、停止が「義務」で再開が「裁量」という条文の非対称は特定技能の受け入れ停止で解説しています)。[4][5]
その後の公表値では、2026年6月末時点の在留者数は49,060人(速報値)、受入れ見込数50,000人に対する充足率は98.1%、直近1年間(令和7年6月末→令和8年6月末)の増加数は13,289人です。残りは940人で、直近1年の増加数の約7%にとどまります(いずれも同一資料内の差と比=編集部算出)。3月27日時点の「5月頃に5万人を超える見込み」に対し、6月末の速報値では上限に達しないところで止まっています=4月13日以降の新規流入が絞られた結果と読めます。ただし残り940人は、停止前を含む直近1年の増加ペースで見れば1か月分ほどで埋まる幅です(停止後の実際の流入はこれより細い)=「余裕がある」とは読めません。⚠️ この資料は四半期ごとに同じURLで差し替えられます=読む時点の最新値は出典リンク先で確認してください。[6]この5万人は5年間の累計ではなくある時点の在留者数に対する上限なので、年度が替われば自動的に再開する枠ではありません。
手続きごとの扱いは、申請がいつ受理されたかで分かれます。[1]
| 手続き | 2026年4月13日以降に受理された申請 | 2026年4月13日より前に受理された申請 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書の交付申請(海外からの新規呼び寄せ) | 不交付 | 受入れ見込数(5万人)の範囲内で順次交付。ただし措置日以降はいったん交付保留となり、在留資格変更許可申請が優先されるため交付までに相当な遅延が生じる見込み |
| 他の在留資格から特定技能1号(外食業分野)への変更(他分野の特定技能1号からの分野変更を含む) | 原則として不許可。例外は下の3つ | 受入れ見込数の範囲内で順次許可 |
| 特定活動(特定技能1号移行準備)への変更 | 不許可。例外は外食業分野の1号からの申請(転職等)と、技能実習〔医療・福祉施設給食製造作業〕修了者からの申請 | 3月27日までに協議会の加入申請済みのものは通常どおり審査(3月27日通知の(3)③=下の「3つの例外」表とは別の例外)。それ以外は不許可 |
| 外食業分野内の転職に伴う在留資格変更許可申請 | 通常どおり審査(枠に関係なく処理) | 通常どおり審査 |
| 在留期間の更新許可申請(今いる人の継続雇用) | 通常どおり審査(在留者数の増加に影響しないため) | 通常どおり審査 |
| 特定技能2号(外食業分野)への変更 | 本措置の対象外=通常どおり審査(農林水産省のQ&A)[2] | 本措置の対象外=通常どおり審査 |
⚠️ 「措置日より前に出しておけば順番待ちで進む」と読まないでください。 出入国在留管理庁の参考資料の実施予定図では、措置日より前に受理された在留資格認定証明書の交付申請は4月13日以降「交付保留」に置かれ、「受入れ再開」の位置から先で再び「順次交付」となる形で示されています。[7]農林水産省も「5万人の上限に余裕が生じた場合に交付されます」と説明しています。一方、措置日より前に受理された在留資格変更許可申請は同じ図で保留されず「順次許可」の扱いです。国内にいる人の手続きは進み、海外からの呼び寄せは止まる、という非対称がここにも表れています。1号の通算在留期間は原則5年が上限ですから、新規が入らない状態が続くと、いまいる1号人材は在留期限を迎えた順に減っていきます(通算期間の数え方は特定技能の在留期間と更新)。[8]
4月13日以降も許可される「3つの例外」
停止措置には例外が3つあり、そのうち2つは処理の順番まで明記されています。 3月27日の通知は、4月13日以降に受理された特定技能1号への変更許可申請について、原則不許可としたうえで次のように定めています。[4]
| 変更前の在留資格 | 4月13日以降に受理された申請の扱い |
|---|---|
| 特定技能1号(外食業分野)=外食業分野内での転職 | 通常どおり審査(見込数の枠に関係なく処理) |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了して移行 | 受入れ見込数の範囲内で順次許可(特定活動からの移行より先に処理) |
| 特定活動(特定技能1号移行準備・外食業分野)から移行 | 受入れ見込数の範囲内で順次許可 |
| 上記以外の在留資格から移行 | 原則として不許可(留学生を卒業後に1号へ切り替えるルートを含む) |
読み分けの要点は、「通常どおり審査」と「見込数の範囲内で順次許可」が別物だということです。分野内転職は枠の残りに左右されませんが、下2つは残っている枠を消費するため、枠が尽きれば処理は進みません。あわせて、特定活動(特定技能1号移行準備)への変更許可申請そのものも不許可とされています。こちらの例外(上の表の3つとは別に数える3つ)は①外食業分野で特定技能1号として在留する人からの申請(転職等に伴うもの)②技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した人からの申請 ③4月13日より前に受理した申請であって2026年3月27日までに食品産業特定技能協議会の加入申請を行っているもの の3つで、①②に受理日の条件は付いていません(③の3月27日は停止方針の公表日です。分野内転職の受け皿になるための協議会加入は3月28日以降の申請でも可能で、これとは別の話です)。⚠️ 他分野の1号が外食業へ移る変更は、通知が例外に挙げる「外食業分野で特定技能1号として在留する方」に当たらず、原則不許可の側です。逆に、外食業の1号が停止していない他分野へ移る変更は外食業分野への流入ではないため、この措置の対象ではありません。
⚠️ 順次許可の対象になっても、特定技能1号で決着するとは限りません。3月27日の通知は、許可する時点の在留者数の状況によっては、特定技能1号ではなく「特定活動(特定技能1号移行準備)への変更」または「同在留資格での在留期間更新」を案内する場合があるとし、その更新は1回までと明記しています。特定活動(移行準備)で待機させても、次に特定技能1号へ移れる保証はありません。「1号に届かないまま在留期限が来る」経路も見込んでおく必要があります。この特定活動(6月・就労可)は、特定技能1号で就労を予定している受入れ機関で働きながら移行の準備をする在留資格で、在留した期間は特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれます(更新はやむを得ない事情がある場合に1回限り)。[9]
⚠️ 外食業には、介護のような事業所単位・企業単位の受け入れ人数枠はありません(2026年9月6日時点で、外食業分野の分野別運用方針と運用要領に事業所ごとの上限の定めは確認できませんでした)。停止措置も申請の種類と受理日で線を引いており、すでに1号を受け入れている企業の追加採用を例外にはしていません。
審査はどこまで進んでいるか(「審査状況」ページで確認できます)
海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書の交付申請)の審査は、2026年8月10日掲載時点で受付日2026年1月5日までの分にしか到達していません(2026年9月6日の確認時点でもこの掲載回が最新)。 出入国在留管理庁が公表する「審査状況」ページの到達範囲は次のとおりです(在留資格認定証明書の交付申請は「受付日順で順次交付しています」、在留資格変更許可申請は「通常どおり審査が終了次第許可しています」という別々の書き方になっています)。[10]
| 申請の種類・変更前の在留資格 | 審査が到達している範囲(2026年8月10日掲載時点) |
|---|---|
| 在留資格認定証明書の交付申請(海外からの新規呼び寄せ) | 受付日が2026年1月5日までの申請 |
| 特定技能1号(外食業分野)=分野内での転職 | すべての申請 |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業) | 受付日が2026年7月31日までの申請 |
| 特定活動(特定技能1号移行準備・外食業分野) | 受付日が2026年7月31日までの申請 |
| 上記以外の在留資格 | 受付日が2026年4月12日までの申請(4月13日以降の受理分は原則不許可) |
この日付は「受付の締切」ではなく、掲載時点で審査が到達している範囲です。 同ページは「現状、在留資格変更許可申請を優先して処理しており、毎月の在留者数を踏まえて、在留資格認定証明書交付申請の交付が可能な場合に、受付日順で順次交付しています」としています=交付の可否は月ごとの在留者数で判断されています。ページは更新されます。技能実習修了者・特定活動からの移行に期限は置かれていないため、枠に余裕があるかぎり境界は先へ動く見込みです。逆に言えば、この日付より後に受け付けられた申請は、まだ処理が到達していません。
⚠️ 注目すべきは、いちばん上の在留資格認定証明書(海外からの呼び寄せ)の行です。 到達している受付日は2026年1月5日。停止の措置日(4月13日)どころか、予告(3月27日)より約2か月半前の受付分で止まっています。国内にいる人からの変更許可申請が優先される運用が、この日付の差にそのまま表れています。
同じページの「留意事項」が、実務でいちばん効きます。 自社の申請の扱いを左右する留意事項が6つ置かれています。[10]
- 受付日順は絶対ではありません。 「受入れ見込数の範囲内で、受付日順に交付又は許可をしますが、申請内容や提出書類の状況により、順番が前後する場合があります」とされています。上の表の受付日は目安であって、自社の順番を確定させるものではありません。
- 在留期限が近い人は、順番が前後して許可されることがあります。 「在留期限の関係上、受付日が前後して許可される可能性があります」と明記されています。
- 🛑 順番が来る前に在留期限が来る場合の受け皿が用意されています。 「順番が到来するより前に在留期間を満了することが見込まれる申請については、不法残留になることを防ぐため、特定活動(特定技能1号準備)(外食業分野)への在留資格変更許可申請又は同在留資格の在留期間更新許可申請の申請内容変更申出を行うよう案内する場合があります(在留期間更新許可は1回限り)」(審査状況ページの表記「特定技能1号準備」は、3月27日の通知の「特定技能1号移行準備」と同じ特定活動を指します)。そのうえで、この特定活動を許可された人が引き続き同じ活動を希望する場合は、在留期間が満了する前(概ね3か月前)に特定技能1号(外食業分野)への在留資格変更許可申請を行うよう案内されています。この「1号へ戻る」申請について、提出書類は「申請書及び写真のみで差し支えありません」と明記されています。待機中の在留期限は「切れるに任せる」ものではなく、戻り方も必要書類も公表されています。
- 停止中でも書類のやり取りは続きます。 「交付・許可停止中であっても、提出書類の修正又は追加の提出を求める場合があります」。連絡を受け取れる体制は保ったままにしてください。
- ⚠️ 個別の進捗は照会できません。 「交付・許可状況については、出入国在留管理庁、地方出入国在留管理官署及び農林水産省にお問い合わせいただいてもお答えしかねます」とされています。自社の位置は、このページの受付日と自社の申請受付日を突き合わせて推し量るしかありません。
- 🛑 技能実習修了者を迎えるなら、逆算の起点はここです。 「技能実習生は、実習計画が修了した後は稼働することができません」としたうえで、「技能実習からの変更を希望する場合は、就労開始予定日の2か月以上前に在留資格変更許可申請を行っていただくようお願いいたします」と案内されています。修了日から許可日までの空白に就労させることはできません。
1号評価試験も止まっています(2号評価試験は受付中)
試験も同じ日に動きました。 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)は2026年3月27日、「農林水産省から、外食業の特定技能1号試験の実施を国内外ともに停止するよう指示があった」として、再開の指示があるまで1号試験の予約手続を停止すると告知しました(2号試験と飲食料品製造業の1号・2号試験は予定どおり受付)。再開のめどは示されていません。[11]農林水産省も停止措置のQ&Aで、外食業特定技能1号評価試験は「当面の間、国内外ともに実施しません」とし、2号評価試験は国内でCBT方式により実施すると案内しています。[2]
これが意味するのは、停止後は新しい1号合格者が生まれないということです。「解除されてから採用活動を始めよう」と考えても、そのときには有資格者のプールが増えていません。すでに1号に合格している候補者の合格証書は国内試験なら発行日から10年有効なので(受験の実務)、停止が長引いてもすぐ無効になるわけではありません。
2号への変更は対象外です(1号の在留者数に対する措置だから)
外食業分野の特定技能1号から2号への変更申請は、止まっていません。 農林水産省のQ&Aは、「現在、外食業分野の特定技能1号で在留しています。今後、外食業分野の特定技能2号に変更申請を予定していますが、今回の措置の対象となりますか」という問いに、次のように答えています。[2]
本措置については、特定技能2号は対象外となり、通常どおり審査されます。
理由は仕組みから説明できます。今回の停止は特定技能1号の在留者数が受入れ見込数(5万人)を超える見込みとなったことによる措置で、この5万人は運用方針上、1号特定技能外国人の受入れ見込数として定められた数字です。1号から2号へ移っても1号の在留者数が増えるわけではないため、措置の対象になっていません。むしろ1号から2号への移行は1号の在留者数を減らす方向に働くので、残り枠の読み方にも関わります。新規に1号で採る道が細っている一方で、今いる1号人材を2号へ引き上げる道は、制度側も試験側も開いたままです。2号の要件(2年の実務経験・2号評価試験・N3以上)と、停止中に進める手順は後述します。ただし2号には熟練技能の試験や実務経験の要件があり、「停止中は2号で新規に呼べばよい」という経路が広く開くわけではありません。
停止中に企業が取れる手——外食業で実際に動かせるルート
停止中に外食業の企業が動かせる手は4つ(①分野内の転職 ②継続雇用と2号化 ③特定技能以外の在留資格 ④再開と育成就労への備え)で、これに審査側の例外である技能実習修了者・特定活動(1号移行準備)からの移行(併走・2ルート)が加わります。 特定技能の枠内で人を増やせるのは①と(併走)、②は今いる人を守り引き上げる手、③は特定技能の外で現場を回す手、④は先に備える手です。⚠️ どの打ち手が残りの枠に左右されるかは表の右列が正です(散文で数え直さず、表で確認してください)。
| 打ち手 | 何をするか | 受入れ見込数の枠の影響 |
|---|---|---|
| ① 分野内の転職で受け入れる | 国内で外食業の特定技能1号として働いている人を、転職で迎える | 受けない(通常どおり審査) |
| ② 今いる人を継続雇用し、2号へ引き上げて守る | 在留期間の更新で継続雇用し、要件を満たす人は特定技能2号へ | 受けない(更新・2号とも対象外) |
| ③ 特定技能以外の在留資格を使う | 身分・地位に基づく在留資格、在留資格「技能」、特定活動(告示46号)、留学生のアルバイト | 枠の外(特定技能とは別の制度) |
| ④ 再開と育成就労に備える | 協議会加入を先に済ませる/2027年4月開始の育成就労を計画に入れる | 枠の外(準備そのものは枠と無関係。再開後に受け入れる段階では枠の範囲内) |
| (併走)技能実習の修了者から移行させる | 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した人を特定技能1号へ | 受ける(枠の範囲内で順次許可・枠が尽きれば進まない) |
| (併走)特定活動(1号移行準備)から移行させる | 外食業分野の特定活動(特定技能1号移行準備)の許可をすでに受けている人を特定技能1号へ | 受ける(枠の範囲内で順次許可・技能実習修了者の後に処理) |
表の右列のとおり、残っている枠を消費するのは(併走)の2ルート=技能実習修了者と特定活動(1号移行準備)からの移行だけです。
① 分野内の転職で受け入れる
外食業分野内での転職にともなう在留資格変更許可申請は「通常どおり審査」とされており、受入れ見込数の枠を消費しません。 停止が長引くほど、ここが特定技能の枠内で人を増やせる中心になります。動く前に確認すべき点が3つあります。
手続きが「届出」では済みません。 特定技能では、同じ外食業分野内でも受け入れ企業(雇用主)が変わる転職は在留資格変更許可申請が必要です。手続きの負担と期間を見込んでおきます。申請書類の作成を誰に頼めるか(行政書士などの専門家の領域)と申請取次の扱いは協議会の節(登録支援機関の構成員確認と、書類作成・申請取次の扱い)で、提出書類の一覧と取り寄せの実務は特定技能の必要書類で、新しい雇用契約で確認する報酬の同等性などは特定技能の雇用契約書で整理しています。
食品産業特定技能協議会への加入が要ります。 停止中に新たに受け入れを始める企業でも転職の受け皿にはなれますが、転職に伴う在留資格変更許可申請の際に協議会の加入証が必要で、加入審査には2〜3か月かかります。候補者が決まってから動くと間に合いません。当面の間は入会金も年会費も徴収されないので、先に申請しておいて失うのは審査を待つ時間だけです(農林水産省の案内の逐語と提出書類は協議会の節)。
候補者の在留期間の残りを見てください。 特定技能1号は通算で5年という上限があります。停止中は新しい1号合格者が生まれないため採れるのは国内の経験者に限られますが、通算5年の残りが少ない人を採ると、数か月〜1年で在留期間の上限に達します。2号評価試験で合格基準点の8割以上を取り、日本語能力試験N3以上も持っている人なら、通算5年を超えて最長1年間在留できる措置の対象になり得ます(本人の誓約と企業側の指導・研修体制も要件=不合格でも1号の在留が1年延びる措置)。候補者の探し方(人材紹介会社に頼むか自社で募集するか)と採用の進め方は特定技能の採用の流れ、企業側の受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で解説しています。
自社が転職の受け皿になれる条件(対象事業所・協議会の加入状況)と、候補者の在留期間の残りをそろえて考える必要があるときは、採用診断で自社の条件から採用ルートを整理できます。
② 今いる人を継続雇用し、2号へ引き上げて守る
在留期間の更新許可申請は停止の対象外です。 今いる特定技能外国人に長く働き続けてもらうことが、停止局面では最も確実な人手の確保になります。新規流入が止まる一方で分野内の転職は続くため、国内にいる有資格者をめぐる競争は激しくなります。離職を防ぐ取り組みの価値が、平時より上がっている局面です。転職で迎える人にいくら出すかの物差し(同等報酬の要件と水準)は特定技能の給与の決め方で整理しています。要件を満たす人については特定技能2号への移行という選択肢があり、2号は在留期間の更新回数に上限がないため、通算5年の壁そのものを外せます。自社の誰が2年の実務経験に届くかの数え方と、停止中に進める6つの手順は外食業の特定技能2号にまとめています。
採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援、生活支援を委託する場合の登録支援機関の選び方は登録支援機関の選び方を参考にしてください。委託先の見直し(乗り換え)は受入れ企業の届出で行う手続きで、3月27日の通知にも農林水産省のQ&Aにも、停止措置の対象として挙げられていません(在留資格の申請とは別系統の手続きです)。考え方と届出の実務は登録支援機関の乗り換え(変更)で確認できます。⚠️ 委託先を選び直すときは、その登録支援機関が食品産業特定技能協議会の構成員かを確認してください。農林水産省は「登録支援機関は上記2分野(外食業・飲食料品製造業)の受入れ機関を支援する場合、この協議会の構成員になることが求められます」としています。[12]
③ 特定技能以外の在留資格で現場を担ってもらう
外食の現場(調理・接客・店舗管理)で働ける在留資格は、特定技能だけではありません。これらは特定技能の受入れ見込数とは別の制度なので、今回の停止措置の影響を受けません。 停止中の代替として検討できる主なものは次のとおりです。[13]
- 身分・地位に基づく在留資格(永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等) — これらの在留資格は就労活動に制限がなく、外食店の業務に就労できます。
- 在留資格「技能」(外国料理の調理師など) — 出入国在留管理庁は該当例に「外国料理の調理師」を挙げています。対象は「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務」で、上陸許可基準で一定年数の実務経験が求められるため、外国料理の専門店で経験者を採る場合の選択肢です(調理・接客全般を幅広く任せる特定技能とは業務の範囲が違います)。[14]
- 「特定活動」(本邦大学等卒業者・告示46号) — 出入国在留管理庁のガイドラインは、認められ得る活動例の筆頭に「飲食店に採用され、店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うもの(日本人に対する接客を行うことも可能です)」を挙げています。ただし「厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません」とされ、日本語を用いた双方向のコミュニケーションを要する業務を含むことが条件です。常勤(フルタイム)に限られ、パート・アルバイトでは認められません。[15]
- 「留学」「家族滞在」の外国人のアルバイト — 資格外活動の包括許可を受ければ、原則として1週について28時間以内で就労できます。風俗営業等が営まれていない事業所であることが条件です。週28時間の枠内なので主戦力にはなりませんが、停止の影響を受けない補助要員の入口として実務では使われます。留学が本体の在留資格なので、常態的な戦力として当てにする制度ではありません。
告示46号の対象者は「本邦大学等卒業者」に限られます。 本邦の大学卒業・大学院修了のほか、本邦の短期大学・高等専門学校を卒業し、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う審査に合格して学士の学位を授与された人、文部科学大臣の認定を受けた専修学校専門課程を修了して高度専門士の称号を得た人が対象です。一方、外国の大学卒業者・大学院修了者と、認定を受けていない専修学校専門課程・専攻科の修了者は対象になりません。日本語能力は日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上が要件です(大学または大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した人はこれを満たすものとして扱われます)。なお、転職などで契約先の機関が変わる場合は在留資格変更許可申請が必要です(同一法人内の異動・配置換えは不要)。
⚠️ 留学生を採用するときは、他の勤務先での就労の有無と時間を確認してください。 出入国在留管理庁は事業主向けの案内で、資格外活動許可の記載について「複数のアルバイト先がある場合には、その合計が週28時間以内でなければなりません」と明記しています。自社の勤務時間だけを28時間以内に収めても、他社との合計で超えれば許可の範囲を超えた就労になります。採用時と勤務中の両方で確認する運用にしてください。
⚠️ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、調理・接客・配膳などの現場業務に原則として就労させられません。専門的・技術的な業務を対象とする在留資格で、外食の現場作業は活動内容に該当しないためです(出入国在留管理庁のガイドラインも、同在留資格について「一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められません」としています)。[15]不法就労させた場合は不法就労助長罪の対象になり(出入国在留管理庁のリーフレットは「3年以下の懲役・300万円以下の罰金」と案内しています。現行の条文は「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金」=入管法第73条の2[16]・2026年9月6日確認。罰則は法改正で変わりうるため、最新は条文で確認してください)、出入国在留管理庁は「外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません」としています。採用前に在留カードの「就労制限の有無」欄と、裏面の「資格外活動許可欄」を必ず確認してください。
④ 再開と、2027年4月の育成就労に備える
先に済ませておけるのは、食品産業特定技能協議会への加入と、2027年4月に始まる育成就労を採用計画に織り込むことの2つです。
特定技能の再開に備える。 停止のときは予告から実施まで17日しかありませんでした。再開の告知が同じ短さだとすれば、協議会への加入を先に済ませておくかどうかで告知から動ける幅が変わります。加入は候補者が決まっていない段階でも申請できます。あわせて、1号評価試験が停止していて新たな国内合格者が増えない以上、再開時に採れるのは既存の有資格者・在留者に限られます。候補者との接点と支援体制を先に整えておく企業が動きやすくなります。在留諸申請は在留申請オンラインシステムでも出せます(出し方と提出書類は特定技能の必要書類)。⚠️ 加入証明書が発行されても新規1号を今から入れられるようになるわけではありません(協議会の節)。
育成就労の開始に備える。 外食業分野の育成就労は2027年4月の運用開始に向けて準備が進んでおり、分野固有の運用要領も2026年7月10日に公表済みです。特定技能の枠が戻らない場合でも別の入口が開きますが、規模は特定技能1号の代替になりません。枠の大きさと転籍制限の条件は2027年度からは育成就労の枠が加わるで整理しています。
進行中の採用はどうなるか(状況別の次の一手)
動かせるのは「国内にいる人の変更申請」と「今いる人の更新」で、海外からの呼び寄せは入国時期を確定できない、というのが状況別の答えです。 停止のタイミングで手続きの途中だった場合の扱いを状況ごとに整理します。
| いまの状況 | 制度上どうなるか | 現実的な次の一手 |
|---|---|---|
| 2026年4月12日までに在留資格変更許可申請が受理され、審査中 | 受入れ見込数の範囲内で順次許可。ただし特定技能1号でなく特定活動(特定技能1号移行準備)への変更や、その特定活動での在留期間更新(更新は1回まで)を案内される場合がある | 結果を待つ。1号以外の案内になった場合の受け入れ条件(就労の可否・期間)を事前に専門家と確認しておく |
| 2026年4月12日までに在留資格認定証明書の交付申請が受理され、審査中 | 上限の範囲内で順次交付。変更許可申請が優先されるため相当な遅延が見込まれ、上限に余裕が生じた場合に交付される。審査が到達しているのは受付日2026年1月5日まで(2026年8月10日掲載時点) | 入国時期を確定させない。自社の受付日が到達範囲より後なら、待ち時間は「数か月」では収まらない前提で候補者に見通しを説明し、並行して国内経験者の採用も検討する |
| 内定は出したが、まだ申請していない(海外の候補者) | 4月13日以降に受理された交付申請は不交付 | 特定技能1号としては入国できない。候補者への連絡を先送りにしない |
| 2026年4月13日より前に在留資格認定証明書の交付を受けたが、まだ入国していない | 3月27日の通知が扱うのは交付申請で、交付済みの認定証明書を無効にする記載はない。ただし認定証明書は作成日から3か月間しか有効でない[17] | 有効期間内に査証申請と入国を済ませる。期限を過ぎれば交付申請のやり直しになり、それは不交付の側に落ちる |
| 外食業の技能試験に合格済みだが、まだ日本にいない | 試験合格は残るが、入国のための交付申請が通らない。試験の実施側も、合格は在留資格の付与や認定証明書の交付を保証しないと注記している[18] | 再開のアナウンスを待つ位置づけになる。1号評価試験は停止中のため、合格者としての希少性はむしろ上がる |
| 自社で働く1号人材の在留期限が近い | 在留期間の更新は通常どおり審査 | 更新手続きを予定どおり進める。あわせて2号の要件に届くかを確認する |
この表は制度の建て付けから整理した一般的な見通しです。個別の申請がどう扱われるかは審査の判断であり、断定はできません。進行中の案件がある場合は、地方出入国在留管理官署または行政書士などの専門家に個別に確認してください。
⚠️ 線を引くのは受理日で、書類を送った日ではありません。 書類の不備で差し戻されれば、受理はその分だけ後ろへずれます。再開のアナウンスが出た局面では、出す日ではなく受理される日から逆算してください。
外食業の受け入れはいつ再開するのか
再開の時期は公表されていません。 農林水産省が公表している停止措置のQ&Aは、「受入れ再開の見込みはあるのでしょうか」という問いに次のように答えています。[2]
現時点で再開の措置をとるかどうかを含め未定です。受入れに当たって5万人の上限に十分な余裕があるかなど諸般の事情を考慮し、適当と判断した場合に、事前にアナウンスした上で交付の再開の措置を行うことが想定されています。
ここから読み取れることは3つあります。
- 「いつ再開するか未定」ではなく、「再開するかどうかを含めて未定」 です。再開が既定路線として約束されているわけではありません。入管法の条文も、停止は要件を満たせば「措置をとるものとする」のに対し、再開は「ことができる」=裁量と書き分けています(条文の構造は特定技能の受け入れ停止)。
- 判断の材料は「5万人の上限に十分な余裕があるか」 とされています。上限そのものが引き上げられるか、在留者数が減るかのいずれかが必要になります。
- 再開する場合は事前にアナウンスされる想定 です。停止のときと同様、告知なしに切り替わるものではないと説明されています。
何を見ていれば「再開が近い」と分かるか
分野別運用方針が挙げる3つの指標は「人手不足の状況を把握する方法」であって、再開の条件ではありません。 外食業分野の運用方針(令和8年1月23日閣議決定)は、農林水産大臣が人手不足の状況の変化を把握する方法として、次の3つを挙げています。[19]
| 運用方針に挙げられた指標 | 誰が公表しているか | 企業側で追えるか |
|---|---|---|
| ① 外食業分野の1号特定技能外国人および育成就労外国人の在留者数 | 法務省から農林水産省へ定期的に提供。出入国在留管理庁が分野別の在留者数・充足率として公表 | 追える(四半期ごと・同じURLで差し替え) |
| ② 有効求人倍率 | 厚生労働省「一般職業紹介状況」(月次) | 追える |
| ③ 雇用人員判断(DI) | 日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」(四半期) | 追える |
そのうえで運用方針は、停止措置を講じた場合に「当該特定産業分野において再び人材の確保を図る必要性が生じた場合には、農林水産大臣は、法務大臣に対し、在留資格認定証明書の交付の再開の措置を求める」と定めています。再開は、農林水産大臣の求め → 法務大臣の措置、という順で動きます。
いまの水準を知るには、枠を設定したときの値が基準になります。 同じ運用方針には、外食業の人手不足の根拠として次の実数が示されています。
- 有効求人倍率 — 令和6年度の外食業は4.15倍。全体の有効求人倍率1.25倍の約3倍です。
- 雇用人員判断(DI) — 日銀短観の「宿泊・飲食サービス」は令和7年6月の実績がマイナス60、令和7年9月の予測がマイナス62で、どちらも全調査対象業種中で最低でした。
運用方針は3指標を「人手不足状況の変化を的確に把握する」ための方法として挙げているだけで、再開について定めているのは「再び人材の確保を図る必要性が生じた場合には…交付の再開の措置を求める」という一文です。そして農林水産省が実際の判断材料として挙げているのは「5万人の上限に十分な余裕があるかなど諸般の事情」でした。求人倍率やDIが動いたからといって、それだけで再開が近づくとは読めません。しかも指標が示すのは「人手不足が解消したか」であって、解消したと判断されればそれは再開ではなく停止を続ける理由になります。追うべきは上限の余裕=在留者数の側です。
⚠️ ただし「在留者数がいつ減り始めるか」は、公表資料からは読めません。 公表されている外食業の「1年間の増加数13,289人」は流入から流出(帰国・離職・特定技能2号への移行など)を差し引いた純増で、流入と流出の実数は別々には公表されていません。したがって「1号の通算5年を満了する人が何年後に何人抜けるか」を数で示すことは、公表値からはできません。時期を数で示す情報に出会ったら、それが公表値の割り算なのか、公表されていない前提を置いた推計なのかを確かめてください(民間試算の読み方は特定技能の受け入れ停止(増加ペースで読み直す))。⚠️ 本記事は②③の現在値を載せていません(上の4.15倍・マイナス60は枠を設定したときの基準値です)。月次・四半期で動く数字を記事に焼き込むと、読んだ時点で古い値を根拠にしてしまうためです。上の表の「誰が公表しているか」から直接ご確認ください。
⚠️ これらは判断材料であって、合格ラインではありません。「有効求人倍率が何倍になれば再開」といった数値基準は公表されていません。停止のときも、機械的な閾値による自動停止ではなく、実績と増加ペースを踏まえた判断でした。指標が改善していても再開されないことはあり得ます。
停止と再開の時間軸(公表資料で確認できる範囲)
出入国在留管理庁の参考資料には、停止措置の実施予定が時間軸で示されています。「受入れ再開」は時期未定の位置に置かれ、その先に「受入れ見込数の再設定」が令和10年度末として置かれています。[7]
| 時点 | 何が起きる/起きた | 対象 |
|---|---|---|
| 2026年3月27日 | 停止措置の方針を公表(事前の案内)。措置の開始まで17日 | 農林水産省・出入国在留管理庁 |
| 2026年4月13日 | 在留資格認定証明書の交付停止措置を開始 | この日以降に受理された申請 |
| 時期未定 | 受入れ再開。措置をとるかどうかを含めて未定で、行う場合は事前にアナウンスされる想定 | 交付の再開 |
| 令和10年度末(2029年3月末) | 受入れ見込数の再設定 | 現行の1号特定技能5万人はここまでの上限 |
⚠️ 表の下2行は「別々の出来事」です。 図は左から右への時間軸(3月27日 → 4月13日 → 未定 → 令和10年度末)で、「受入れ再開」は未定の列に、「受入れ見込数の再設定」は令和10年度末の列に置かれています。並びのうえでは再開が先ですが、「未定」とは時期が決まっていないという意味で、再開が令和10年度末より前に来ることを図が保証しているわけではありません。令和10年度末(2029年3月末)は「停止が終わる日」ではなく「いまの枠の有効期限」です。 現行の5万人という枠は、令和10年度末までの上限として令和8年1月23日に閣議決定されたもので、再開がそれより前に来る可能性も、再開されないまま次の枠の設定を迎える可能性も、どちらも図は否定していません。
「待っていれば戻る」を前提に計画を立てにくい理由
枠が戻るには「大きな経済状況の変化」が要る、というのが政府の建て付けです。 外食業の停止対応資料には、受入れ見込数の位置づけが政府基本方針の記載として次のように示されています。[7]
受入れ見込数は、大きな経済状況の変化が生じない限り1号特定技能外国人の受入れの上限として運用
そのうえで外食業については、受入れ見込数を設定した令和8年1月23日以降に大きな経済情勢の変化は認められないとして、上限どおりの運用に踏み切ったと説明されています。手続としては、制度所管大臣(法務・外務・厚生労働の各大臣および国家公安委員会)と分野所管大臣が、人手不足の状況の変化などを踏まえて協議のうえ、分野別運用方針の見直しや交付停止などの手続をとる仕組みとされています。
⚠️ 「枠が再設定されるまで再開しない」とは公表されていません。 実施予定図では「受入れ再開(時期未定)」が「受入れ見込数の再設定(令和10年度末)」より手前に置かれており(前述)、再開そのものは運用方針上「再び人材の確保を図る必要性が生じた場合」に農林水産大臣が求める手続きです。枠の再設定を経なくても理屈のうえでは起こり得ます。 ただし農林水産省が挙げる判断材料は「5万人の上限に十分な余裕があるか」なので、枠が動かないなら在留者数が減るのを待つことになります。どちらの経路にも新たな判断が要るため、時期を見込んで採用計画を後ろ倒しにするのは現実的ではありません。しかも直近の改定で外食業の1号の枠は縮んでいます(5万人・5万3,000人・5万5,300人という数字の違いは特定技能の受け入れ停止(範囲の違う数字))。上限到達で止まった分野の前例(産業機械製造業=分野統合と見込数の見直しを経て受け入れが続いている)と、外食業に同じ経過をあてはめられない理由は、同じ記事の前例の節で整理しています。
特定技能「外食」の対象になる事業所——4類型
対象になるかは、業種名ではなく「どの形で客に飲食料品を提供しているか」で決まります。 運用要領は、次の4類型のいずれかを行う事業所に就労させる必要があるとしています。[3]
| 類型 | 運用要領の定義 | 挙げられている例 |
|---|---|---|
| ① その場で飲食させる飲食サービス業 | 客の注文に応じ調理した飲食料品、その他の飲食料品をその場で飲食させる | 食堂、レストラン、料理店等の飲食店、喫茶店 |
| ② 持ち帰り飲食サービス業 | 飲食することを目的とした設備を事業所内に有さず、客の注文に応じ調理した飲食料品を提供する | 持ち帰り専門店 |
| ③ 配達飲食サービス業 | 客の注文に応じ、事業所内で調理した飲食料品を客の求める場所に届ける | 仕出し料理・弁当屋、宅配専門店、配食サービス事業所 |
| ④ 客の求める場所で提供する飲食サービス業 | 客の求める場所において調理した飲食料品の提供を行う | ケータリングサービス店、給食事業所 |
見落とされやすい点が2つあります。
1つ目は、飲食部門が主力でなくてよいことです。 運用要領は「飲食サービス業を営む部門の売上げが当該事業所全体の売上げの主たるものである必要はありません」と明記し、宿泊施設内の飲食部門や医療・福祉施設内の給食部門での就労も可能としています。⚠️ ただし任せられるのは外食業の業務区分(飲食物調理・接客・店舗管理)に限られます——フロント業務や客室清掃は含まれません(フロント・客室清掃を含むホテル業務全般を任せたいなら特定技能「宿泊」の分野です)。
2つ目は、卸売りは対象外だということです。 ここでいう「客」とは飲食料品を消費する特定の者(集団給食のように代理の者が注文・受け取りをする場合も含む)で、不特定の消費者に販売する目的で仕入れる者に渡す場合はB to B取引である卸売りに該当し、飲食サービス業による客への提供には当たりません。
⚠️ 対象事業所に当たるか疑義がある場合の問合せ先が定められています。 運用要領は、協議会において外食業分野の対象でないと判断された場合は雇用できないとしたうえで、可否に疑義があるときは協議会の加入申請をする前に農林水産省大臣官房新事業・食品産業部外食・食文化課(TEL 03-6744-2053)へ問い合わせるよう求めています。加入審査は2〜3か月かかるため、出してから対象外と判断されると計画がその分ずれます。
在留諸申請では、全分野共通の書類(雇用契約書・支援計画書など)に加えて、外食業では就労させる事業所において飲食サービス業を行うに当たって法令に基づく許可等を受けていることを確認できる資料が要ります。保健所長の営業許可を受けている場合は許可書の写し、営業許可は不要でも届出の対象となる施設(学校・病院その他の施設の特定給食施設など)は届出の写しです(許可等を要しない施設なら提出は不要)。営業許可書の名宛人が受け入れ企業と異なる場合は、理由書と、事業所の所有者・管理者との飲食サービス営業に関する契約書の写し等が追加で必要です——テナント入居や運営受託の形態では、ここで書類がそろわないことがあります。
任せられる業務と、任せられない業務
1号は外食業全般(飲食物調理・接客・店舗管理)に幅広く従事するのが原則です。 運用要領は、それぞれの中身を次のように例示しています。[3]
| 業務 | 運用要領が挙げている例 |
|---|---|
| 飲食物調理 | 食材仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製 |
| 接客 | 席への案内、メニュー提案、注文伺い、配膳、下膳、カトラリーセッティング、代金受取り、商品セッティング、商品の受け渡し、食器・容器等の回収、予約受付、客席のセッティング、苦情等への対応、給食事業所における提供先との連絡・調整 |
| 店舗管理 | 店舗内の衛生管理全般、従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務、従業員の指導・研修に関する事務、予約客情報・顧客情報の管理、レジ・券売機管理、会計事務管理、社内本部・取引事業者・行政等との連絡調整、各種機器・設備のメンテナンス、食材・消耗品・備品の補充・発注・検品・数量管理、メニューの企画・開発、メニューブック・POP広告等の作成、宣伝・広告の企画、店舗内外・全体の環境整備、店内オペレーションの改善、作業マニュアルの作成・改訂 |
清掃も「店舗内外・全体の環境整備」として店舗管理に入ります。原則は「幅広く従事」ですが、運用要領は職場の状況に応じて、在留期間全体の一部の期間において調理担当に配置されるなど、特定の業務にのみ従事することも差し支えないとしています。
逆に言えば、在留期間を通じて1つの業務だけを担わせる配置は原則から外れます。 配達飲食サービス業は対象の事業所類型ですが、運用要領が例示する接客業務は「商品の受け渡し」までで、配達そのものは挙がっていません。デリバリーだけを任せる形なら、業務範囲を事前に外食・食文化課へ確認してください。
関連業務には付随的にしか従事させられません。 運用要領は関連業務として「店舗において原材料として使用する農林水産物の生産」「客に提供する調理品等以外の物品の販売」を例示し、付随的な従事は差し支えないとしたうえで専ら関連業務に従事することは認められないとしています。自社農園の作業や物販部門の店番が主になる配置はこの線を越えます。
接待の禁止——外食業固有の線引き
関連業務も含めて、風営法第2条第3項の接待に従事させることはできません。 接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」で、具体的な定義と判断基準は警察庁の解釈運用基準の通達(令和6年6月27日付け)第4を参照するよう運用要領が指定しています。[3]
企業側に禁じられているのは、風営法第2条第1項の風俗営業を営む営業所での就労(下記の例外あり)、同条第5項の性風俗関連特殊営業を営む営業所での就労、接待を行わせることの3つです。
例外は1つ。旅館業法第3条第1項の旅館・ホテル営業の許可を受けた者が営む施設に設けられた営業所で、風営法第3条第1項の許可(同法第2条第1項第1号の種別に係るもの)を受けて営む風俗営業の営業所なら就労させられます。運用要領は「旅館・ホテルの宴会場等で接待を伴う飲食提供がある場合でも、当該旅館・ホテルのレストランや宴会場等において、外食業全般の業務に従事することができます」と具体化しています。
ただしこの例外を使う場合は追加の義務があります。接待防止マニュアル(企業の職員が対応すべき事項等を定めたもの)の作成と相談体制の整備を行ったうえで、接待を行わせないこと・マニュアルにより接待の防止を説明することを約する誓約書と、マニュアル本体を協議会に提出しなければなりません。提出のタイミングは、協議会に未加入なら加入時、加入済みなら就労を開始させる前です。
接待を行わせたことが協議会に認められた場合は、構成員から除名され、除名措置が公表されます。 農林水産省は観光庁と連携して指導し、改善が認められない場合も除名の対象です。
居酒屋・バーなど接客が接待に近づきうる業態のために、通達の線引きを引きます。[20]
| 行為 | 通達の判断 |
|---|---|
| 特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手となる/酒等の飲食物を提供する | 当たる |
| お酌や水割りを作るが速やかに立ち去る/客の後方で待機し、またはカウンター内で単に注文に応じて提供するだけ(付随する挨拶・世間話を含む) | 当たらない |
| 特定少数の客の近くにはべり、歌を勧める・手拍子や拍手をする・一緒に歌う | 当たる |
| 特定少数の客に対し、専らその客の用に供する客室・客室内の区画された場所でショーや歌舞音曲等を見せる・聴かせる | 当たる(ホテルのディナーショーのように不特定多数へ同時に見せる場合は当たらない) |
| 特定少数の客と共に遊戯・ゲーム・競技等を行う | 当たる(客一人で・客同士で行わせるのは直ちに当たるとはいえない) |
| 客の身体に接触する/客の口許まで飲食物を差し出して飲食させる | 当たる(社交儀礼上の握手、酔客の介抱に必要な限度の接触は除く) |
| 飲食物を運搬する・食器を片付ける・荷物を預かる | 当たらない |
外食業の試験——受験の実務と、免除される人
1号は技能試験と日本語能力の両方が必要です。 現行の分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定)が定める水準は次のとおりです。[19]
| 区分 | 技能水準 | 日本語能力水準 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 外食業特定技能1号評価試験(別表1)/医療・福祉施設給食製造育成就労評価試験(専門級)/育成就労を終了するまでに求められる技能水準(別表3) | 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上 |
| 特定技能2号 | 外食業特定技能2号評価試験(+実務経験) | 「日本語教育の参照枠」のB1相当以上 |
2号は、日本語能力試験N3以上の合格が在留資格要件です。 農林水産省の特定技能2号Q&A(令和8年8月作成版)は「『日本語能力試験(N3以上)』の合格は、外食業分野の在留資格要件となっています。地方出入国在留管理局に在留資格の申請をする際に合格証が必要となりますので、それまでに取得してください」と明記し、日本語能力試験は7月上旬と12月上旬の年2回の実施に限ることも注意喚起しています(理由として、食物アレルギーや原料原産地表示、酒類提供の確認といった情報提供を正確に行う必要を挙げています)。[21]
⚠️ 1号の日本語要件は、文書によって書き方が違います。 運用要領(令和7年5月30日一部改正)は「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」を掲げ、加えて「そのほか、『日本語教育の参照枠』のA2相当以上の水準と認められるもの」も認めています。一方、現行の分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定)は参照枠のA2.2相当以上と定め、試験名も「技能測定試験」から「評価試験」へ変わっています。[19]JFT-BasicやJLPT N4の合格がA2.2相当として扱われるかは、一次資料では確認できていません。 1号の受け入れ再開時は、最新の公表内容と本人の合格証明書の種類で確認してください。
日本語試験の全体像は特定技能の試験(日本語試験の節)で解説しています。
評価試験の受験の実務(1号・2号)
受験料は1号7,000円・2号14,000円、合格基準はどちらも正答率65%以上で、いま予約できるのは2号評価試験だけです。 試験を実施するのは一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)。学科は衛生管理・飲食物調理・接客全般に係る知識(2号はこれに店舗運営が加わります)、実技は判断試験(図やイラスト等の状況設定で正しい行動等を判断)と計画立案試験(所定の計算式で作業の計画を立案)です。1号の学科は3科目各10問、実技は各科目5問(判断試験3問・計画立案試験2問)です。配点は科目で偏っています。 1号(学科30問100点・実技15問100点)では衛生管理が200点中80点。いま受けられる2号(学科35問120点・実技20問130点)では衛生管理80点と店舗運営80点で250点中160点を占め、飲食物調理は30点です。訓練の時間配分はここから逆算できます。[22]1号のサンプル問題は農林水産省が、学習用テキストは日本フードサービス協会が公開しています。[12]
試験案内が公表している受験の条件は次のとおりです。[23][24]
| 項目 | 1号評価試験 | 2号評価試験 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 70分 | 70分 |
| 方式・選択肢 | CBT方式・3択 | CBT方式・3択 |
| 言語 | 日本語(漢字にルビあり) | 日本語(ルビなし) |
| 合格基準 | 200点満点中130点以上(正答率65%以上) | 250点満点中163点以上(正答率65%以上) |
| 受験料 | 7,000円(税込) | 14,000円(税込) |
| 受験資格 | 国内試験は試験日に在留資格があり満17歳以上/法務大臣が告示で定める国・地域のパスポートを保持(現在のところイラン・イスラム共和国以外) | 左に加えて、試験の前日までに管理者相当の実務経験を2年以上積んでいること |
| 再受験 | 前回受験日の翌日から45日間をあける(46日目から受験可) | 同じく45日間(受験回数の制限はなし) |
| 申込み | 個人マイページ/企業マイページ | 企業申込みのみ(個人マイページだけでは申し込めない) |
⚠️ 1号評価試験は予約手続が停止中=「今のうちに候補者に受験させておく」ことはできません。2号評価試験は受け付けており、農林水産省は国内でCBT方式により実施すると案内しています。[11][2]
合格証書の期限も1号と2号で違います。 1号は国内試験なら発行日から10年、国外試験なら試験日から10年、2号は期限を定めないとされています(データの保存期限は10年間)。停止が長引いても、すでに1号に合格している候補者の合格がすぐ無効になるわけではありません。⚠️ 紛失時に本人がウェブでダウンロードし直せるのは、国内試験なら発行日から10年間、国外試験は試験日から5年間です(それを過ぎても、試験日から10年以内なら申請により1回だけ再交付を受けられます)。[22]
合格率は会場によって大きく違う
1号評価試験は停止中なので、この節は再開後に候補者の受験計画を組むときの材料です。 1号の合格率は会場別に44.0%〜81.0%まで開きます。 OTAFF公表の2025年度第2回 国内試験(2025年9月14日〜10月1日・全国13都道府県)の結果です。[25]
| 2025年度第2回 国内試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 外食業 特定技能1号(全会場合計) | 10,060人 | 6,054人 | 60.2% |
| 外食業 特定技能2号(全会場合計) | 1,469人 | 849人 | 57.8% |
1号は北海道81.0%・大阪76.9%に対し、受験者が最も多い東京は44.0%(3,300人中1,452人)。2号も東京55.7%(814人)・大阪59.6%(285人)・愛知68.9%(132人)と差が出ています(受験者が十数人の会場は振れるため母数の大きい会場で見ます)。1号の合格者の国籍はベトナム2,456人、ミャンマー2,176人、中国596人の順。
未合格の候補者を計画に組み込むなら、不合格と再受験(45日以上あける)の分を見込んでおく必要があります。
免除の対象者は、技能と語学で違う
技能試験の免除は医療・福祉施設給食製造の技能実習2号修了者だけ、日本語試験の免除は職種を問わず技能実習2号修了者全員です。
- 技能試験の免除対象は「医療・福祉施設給食製造職種:医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を良好に修了した人です。運用要領は、この技能実習で修得した技能が「食品衛生に配慮した飲食物の取扱い、調理・給仕に至る一連の業務を担う」点で1号の業務の根幹に関連すると評価しています。
- 日本語試験は、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず免除されます(3年程度日本で生活し、日常会話ができ生活に支障がない程度の日本語能力を有すると評価されるため)。
つまり他職種で技能実習2号を修了した人は、日本語試験は免除されるが技能試験の受験は必要です。⚠️ 停止中はその1号評価試験自体が受けられず、他職種からの移行は4月13日以降「上記以外の在留資格から移行」=原則不許可の側に入ります(再開後の話として読んでください)。免除には医療・福祉施設給食製造技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書が要り、無い場合は両試験を受験するか実習実施者が作成した技能等の修得等を評価した文書を提出します。[3]
分野をまたぐ試験の全体像(免除ルート・分野別の試験名一覧)は特定技能の試験で解説しています。
受け入れ企業に課される外食業固有の条件
全分野共通の要件に加えて、外食業には固有の条件があります。 見落とされやすいのは後半の2つです。[19][3]
| # | 条件 |
|---|---|
| 1 | 風俗営業を営む営業所(旅館・ホテル営業の例外を除く)で就労させないこと |
| 2 | 接待を行わせないこと |
| 3 | 上記の例外にあたる営業所で就労させる場合は、接待を行わせないための必要な措置を講じること |
| 4 | 食品産業特定技能協議会の構成員になること |
| 5 | 協議会が行う調査、情報の共有その他の活動に協力すること |
| 6 | 農林水産省またはその委託を受けた者が行う調査等に協力すること |
| 7 | 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合は、協議会の構成員であり、農林水産省・協議会に必要な協力を行う登録支援機関に委託すること |
| 8 | 雇用契約を締結する前に、キャリアアッププランのイメージを書面で交付して説明すること |
| 9 | 本人の求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付すること |
雇用形態は直接雇用に限られます。 運用要領は、特定技能外国人を派遣することも派遣された者を受け入れることもできないとしたうえで、これに反した場合は「出入国に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為を行ったもの」として以後5年間、特定技能外国人の受け入れができなくなると定めています。繁忙期だけ他社から回してもらう運用は取れません。なお7の「全部の実施を委託する場合」は告示の七号の文言で、運用要領の解説文は「実施を委託する場合」と幅があるため、部分委託でも委託先が構成員か確認しておくほうが安全です。[3]
8のキャリアアッププランは任意様式ですが、雇用契約の締結「前」の説明が求められます。 運用要領は内容の例に「想定されるキャリアルート」「各レベルの業務内容及び習熟の目安となる年数」「レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・検定など」を挙げています。⚠️ 1回で終わりではありません——農林水産省のQ&Aは、2号特定技能外国人にも示す必要があるとしたうえで「雇用契約の締結・更新等の前に書面を交付して説明してください」としています。[21]
9の実務経験証明書は、本人が特定技能2号へ進むための材料です。 求められて交付しない場合は基準に適合せず、受け入れができなくなります。退職者から後日求められることもあるため、在職中から記録に残す運用が要ります(記載欄は後述)。
全分野共通の要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で整理しています(⚠️外食業でつまずきやすいのは所定労働時間がフルタイム=パート・アルバイトは該当しません。日数・時間の判定基準は同記事)。
食品産業特定技能協議会への加入——順番と所要期間
加入は「在留諸申請の前」に済ませておく必要があり、審査に2〜3か月かかります。 農林水産省は加入証の発行までに2〜3か月程度を要すると案内しています。当面の間、入会金や年会費等の費用は徴収しないとされ、加入申請フォームからWebで申請します。2人目以降は改めて申請する必要はありません。[26]
⚠️ 「受け入れ後4か月以内に加入」という説明を見かけますが、現行の扱いではありません。 案内は「在留諸申請を行う前に」で、加入が間に合わないと申請に進めません。
ただし、分野内の転職での受け入れは今から申請しても間に合います。 農林水産省のQ&Aは、3月28日以降の加入申請でも現在1号で在留中の人の転職先になることは可能とし、「転職に伴う在留資格変更許可申請の際に協議会の加入証が必要となりますので、お早めに申請ください」としています。[2]
協議会は飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置する「食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)」です。支援を登録支援機関に委託する場合は、その登録支援機関も構成員である必要があります——委託先を選ぶ段階で確認してください。なお、登録支援機関に委託できるのは支援計画の実施であり、報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。
外食業分野の加入申請で提出する書類は次のとおりです。[26]
| 対象 | 提出書類 |
|---|---|
| 受け入れ企業(基本) | 分野参考様式第14-1号「外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」/「営業許可証」の写し |
| 受け入れ企業(風営法の許可を受けた旅館・ホテルに該当する場合は上記に加えて) | 「対象旅館等における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」/旅館業法の旅館・ホテル営業に係る「営業許可証」の写し/風営法の風俗営業に係る「営業許可証」の写し/接待防止マニュアル(業界団体が作成したマニュアルのひな形を基に作成したもの) |
| 登録支援機関 | 分野参考様式第14-2号(外食業分野)・第13-2号(飲食料品製造業分野)の誓約書/「登録支援機関登録(更新)通知書」の写し/「履歴事項全部証明書」の写し(記載内容に変更があった場合) |
⚠️ 第14-1号は受け入れ企業用、第14-2号は登録支援機関用。接待防止マニュアルはゼロから作る必要はありません(業界団体のひな形が基でよい)。登録支援機関の新規の加入申請は「どちらかいずれかの分野を支援予定であっても、両分野での申請が必要となります」とされています。[26]令和6年6月15日以降は、初めての受け入れであっても在留諸申請の際に協議会の構成員であることの証明書の提出が求められます。[3]
この2つを重ねると、再開されてから加入を始めるのでは、人が入るのはさらに数か月先になります(在留資格の審査期間も別途)。停止中に加入して得られるのは、①分野内の転職での受け入れの受け皿になれること、②再開時にすぐ在留諸申請へ進めること、の2つです。新規1号を今から入れられるようになるわけではありません——農林水産省も「加入証明書が発行された場合であっても受入れができない場合がありますので、ご注意ください」と案内しています。[26]制度全般の相談窓口は特定技能外国人材制度相談窓口(農林水産省の補助事業として株式会社JTBが運営・電話03-6630-8179・10時00分〜17時30分/土日祝・年末年始を除く・メールでも受け付け)で、問い合わせには企業名・住所・電話番号・氏名・検討している分野・内容の6点を添えます。[12]分野ごとの協議会名は分野別協議会の一覧で確認できます。
外食業の特定技能2号——2年の実務経験が要件
外食業は特定技能2号の対象分野です。[27]業務は外食業全般に店舗経営が加わり、運用要領は例として「店舗の経営分析、経営管理、契約に関する事務等」を挙げています。在留期間の更新に上限がなくなり、家族の帯同の扱いも1号と変わります(1号との違いは特定技能1号・2号の違い)。
⚠️ 「2号=永住」ではありません。 農林水産省のQ&Aは、「永住者」に在留活動・在留期間の制限がないのに対し、「特定技能2号」は活動が当該分野の熟練した技能を要する業務に限定され、在留期間も3年・1年・6月で更新手続が必要な点が違うと説明しています。[21]
要件は試験だけではありません。2号評価試験の合格と日本語能力水準に加えて、実務経験が課されます。[19][3]
| 要素 | 定め |
|---|---|
| 場所 | 食品衛生法の営業許可を受けた飲食店等 |
| 内容 | 複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら、接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)として従事 |
| 期間 | 2年間 |
| 有効期間 | 当該経験を終えてから、基本的に5年を想定(10年を超えないものに限る) |
運用要領は「複数」を2名以上と定め、指導・監督を受ける者の国籍・在留資格・職責は問わず、職場の状況やシフトの都合等により常時2名以上いる体制でなくとも差し支えないとしています。「店舗管理を補助する者」には副店長・サブマネージャー・サブリーダー・サブチーフ・班長・担当部門長・事業所副責任者等が想定され、店長や事業所責任者として店舗管理に従事することも含まれます。
自社の誰が2年に届くか——算入される経験・されない経験
「2年」は在籍年数ではありません。 前掲の特定技能2号Q&Aは、算入できる範囲を次のように整理しています。自社の誰が2号に届くかは、この表で数えられます。[21]
| 経験 | 算入 | Q&Aの説明 |
|---|---|---|
| 国外の飲食店等での管理者相当の経験 | ✕ | 「食品衛生法の営業許可を受けた飲食店において」と定められているため(飲食料品製造業分野では算入可=分野で扱いが違う) |
| 技能実習期間の経験 | ✕ | 認定された技能実習計画に基づく業務で、管理者を補助する者としての従事は想定し難いため |
| 留学生のアルバイト期間の経験 | ✕ | 資格外活動であり、本来の在留資格(留学)による活動ではないため |
| 文化活動・短期滞在・研修・家族滞在での経験 | ✕ | 在留資格で認められた活動上、管理者相当の経験を積むことが想定されていないため |
| 他分野(飲食料品製造業など)での経験 | ✕ | 対象外 |
| 複数の企業にまたがる経験 | ○ | 同一企業である必要はなく、外食業分野で通算して年数を満たせばよい |
| 休職・帰国など業務に従事していない期間 | ✕ | その期間を除いて規定の期間を満たす必要 |
受験のタイミングのルールが2026年5月1日に変わりました。 同Q&Aは、以前は「試験の日から6ヶ月以内に、管理者相当の実務経験を2年以上見込まれていれば可能」だったのが、令和8年5月1日からは試験の前日までに2年を積んでおく必要があると明記しています。先に受けさせて合格後に2年へ届かせる計画は組めません。
辞令が無い場合の代替も示されています。 Q&Aは、できるだけ辞令等で役職を命じるよう求め、無い場合は「管理者相当の手当を支払っていることが分かる給与明細など、管理者相当としていつの時点から複数の従業員を指導しているのかが分かるもの」を用意するよう案内しています。
不合格でも1号の在留が1年延びる措置がある
2号評価試験が不合格でも、要件を満たせば1号の通算在留期間を最長1年間延ばせます(5年→最長6年)。出入国在留管理庁の措置で、主な要件は次のとおりです。[8][12]
- 分野別運用方針が定める「特定技能2号」への移行に必要な全ての試験等について、合格基準点の8割以上の得点を取得していること。⚠️ 外食業では2号評価試験だけでは足りません——農林水産省は「日本語能力試験のN3以上を取得していることも必要です」とし、令和7年10月17日以降はN3以上で合格基準点の8割以上を取得している場合も対象となり得るとしています。
- 本人が、合格に向けて精励し受験すること・合格したら速やかに変更許可申請をすること・合格できなければ速やかに帰国することを誓約していること。
- 企業が引き続き雇用する意思を持ち、合格に向けた指導・研修・支援等を行う体制を有すること。
対象は試験結果通知書の発行日が2025年6月30日以降のものです。2号の合格率は57.8%(前掲)ですが、8割以上を取れていれば、落ちても在留期間の延長という受け皿が残ります。
2号化を停止中に進める6つの手順
停止期間に2号化のために進められることは、ここまでの一次資料から具体的に決まります。 打ち手の全体像(転職・継続雇用・特定技能以外の在留資格・再開への備え)は停止中に企業が取れる手で整理しています。
2年に届く人を数える
上の算入表で、自社の1号人材のうち「国内の自社(または外食業分野の前職)で管理者相当として従事した期間」が2年に届く人・いつ届く人を洗い出します。起算日は「店舗管理を補助する者になった日」(辞令があればその日/中途採用で店舗管理補助者として雇い入れた場合は入社日)です。役職を付け、指導・監督の実態を作る
2名以上のアルバイト等を指導・監督し、接客を含む作業に従事する「店舗管理を補助する者」の位置に置きます。辞令や職務命令書で明示するのが基本で、出していない場合は管理者相当の手当が分かる給与明細等を残します。実務経験の記録を残す
様式(実施要領の「指導等実務経験証明書」)が求めるのは、特定技能1号として初めて上陸許可または在留資格変更許可を受けた日/指導等実務経験を積んだ期間/就いていた役職/業務内容の4つ。証明書は企業側に交付義務があり(前掲の条件9)、前職ぶんは現在の所属企業がヒアリング等でまとめて提出します。[22]N3の受験時期から逆算する
N3以上の合格が在留資格要件で、申請時に合格証が必要です。試験は年2回しかないため、実務経験2年の到達時期と合わせて逆算します。企業マイページを登録して受験者登録をする
2号評価試験は現時点では企業申込みのみで、個人マイページだけでは申し込めません。OTAFFは、企業から実務経験証明書を提出してもらう必要があるためと説明しています。[24]協議会への加入を済ませておく
加入審査に2〜3か月かかります。再開を待ってから始めると、その分だけ後ろへずれます。2号だけを受け入れる場合も加入は必要です。
1号と2号の違いの全体像は特定技能1号・2号の違いで解説しています。
2027年度からは育成就労の枠が加わる
外食業は育成就労制度の対象分野で、今回の停止措置の影響は示されていません。 農林水産省のQ&Aは「外食業の育成就労は予定通り受け入れられますか」に「令和9年4月の運用開始に向け、準備を進めているところです」と答えています。[2]分野全体の受入れ見込数(令和6年度から5年間の枠として設定され、運用上は令和10年度末までの在留者数の上限)は5万5,300人で、内訳は1号特定技能外国人5万人と育成就労外国人5,300人(令和9年度から2年間)です。⚠️ 規模は特定技能1号の代替になりません。育成就労の枠は2年間で5,300人なので年あたり2,650人にすぎず、外食業の直近1年(令和7年6月末→令和8年6月末)の特定技能1号の増加13,289人と比べると約20%です(いずれも本記事に載せた公表値からの編集部算出)。「育成就労が始まれば元に戻る」とは読まないでください。⚠️ 育成就労にも同じ停止の仕組みがあります——方針は、育成就労の受入れ見込数を超える見込みとなった場合に農林水産大臣が育成就労認定の一時停止を求めると定めています。1号と同じ経路で止まりうる前提で計画してください。[19]主な条件は次のとおりです。
- 就労開始までに「日本語教育の参照枠」のA1相当以上(または認定日本語教育機関等での相当する日本語講習の受講)
- 1年経過時までに外食業育成就労評価試験(初級)、終了までに外食業特定技能1号評価試験とA2.2相当以上の日本語
- 雇用形態は直接雇用に限る
- 接待の禁止は育成就労でも同じ=農林水産省は「特定技能及び育成就労外国人の受入れに当たっては、関連業務も含め…接待に従事させてはなりません」としています。[12]
- 本人の意向による転籍には、制限期間2年に加えて水準が要る——外食業育成就労評価試験(初級)の合格と参照枠のA2.1相当以上の日本語です(育成就労の転籍)。2年とした理由は、同一機関での育成継続が要ることと、令和7年1〜3月の有効求人倍率が都市部3.89倍・地方部4.61倍で都市部への流出が懸念されることです
国内の経験者を奪い合う停止中の状況とは前提が変わるため、地方の事業者にとっては育成就労のほうが定着を見込みやすい構図になります。1年を超える転籍制限期間を設定する育成就労実施者には、育成就労の協議会(特定技能の協議会とは別)が毎年設定・公表する昇給率に沿って1年目から2年目の所定内賃金を昇給させることが求められます(特定技能の受入れ機関ではなく育成就労で受け入れる側に課される条件です)。外食業分野の育成就労の告示(令和8年4月15日)と運用要領(令和8年7月10日)はすでに公表されています。[28]
⚠️ 受入れ見込数は改定されており、古い数値が残っている場所があります。 令和8年1月23日閣議決定の現行方針では1号特定技能の枠は5万人ですが、出入国在留管理庁の外食業分野ページは本文にもリンク先の旧版方針にも5万3,000人という数値を残しています(同ページの表示は「2025年5月30日現在」・2026年9月6日時点でも同じ)。[29][27]2026年4月の受け入れ停止の根拠となっているのは現行の5万人です。
育成就労の全体像は育成就労制度とは、分野ごとの枠の一覧は育成就労の対象分野、特定技能への移行の道筋は育成就労から特定技能への移行で解説しています。
製造・加工が中心なら分野が変わる
分野の分かれ目は、任せたい仕事が「客への提供を伴う調理・接客」か「製造・加工」かです。 外食業と紛らわしいのが、同じ食品まわりの飲食料品製造業です。
ヒントは前述の「客」の定義です。渡す相手がそれを自ら消費する人なら外食業、不特定の消費者に販売する目的で仕入れる人なら卸売り=外食業には当たりません。同じ弁当の製造でも、客に直接売る弁当屋は外食業、スーパーに卸す工場は別の分野です。
2026年4月13日からの受け入れ停止は外食業分野の措置で、飲食料品製造業は対象外です(試験も1号・2号とも受付中)。セントラルキッチンや惣菜製造など製造・加工の現場も持つ企業では「飲食料品製造業分野で受け入れられないか」という選択肢が浮かびますが、押さえておくべき点が2つあります。⚠️ 技能水準の試験は分野ごとのため、外食業の1号評価試験の合格者がそのまま移れるわけではなく、分野は業種でなく業務区分で定められているため、自社のどの業務が飲食料品製造業に当たるかの確認も要ります。⚠️ 飲食料品製造業の残り枠は現在の増加ペースで2.0年分=外食業・介護に次いで余裕が小さい分野です=「止まっていないから安全」とは読めません(各分野の残り枠が現在のペースで何年分かは特定技能の受け入れ停止(次に止まる分野))。製造・加工が中心なら飲食料品製造業で特定技能を採用するにはを参照してください。
⚠️ 協議会は共通ですが、加入は分野ごとです。 弁当製造を併営するなど両分野にまたがる企業が一方の分野で構成員になっていても、別の分野の外国人を受け入れる際は加入申請フォームから新規の手続きが必要です(登録支援機関は追加分野の誓約書を添えたメール連絡で足ります)。[26]
停止中に発生する費用の考え方(実額は費用記事へ)
外食業に固有の費用項目はほとんどなく、考え方は他分野と同じ「初期費用+月額の支援委託費」です。 ⚠️ ただし停止中に実際に発生するのは分野内の転職と2号化にかかるぶんだけで、海外からの呼び寄せに伴う渡航費や1号の受験料は再開後の話になります。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(相場の実額は人材紹介手数料の相場、費目ごとの内訳は特定技能の採用費用・相場)、在留資格の申請費用、渡航費(再開後)など。本人の受験料(2号14,000円。1号7,000円は再開後)を会社が負担するかの判断も加わります。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費(相場と料金表の見方は登録支援機関の費用)。2号になるとこれが構造的に不要になります。農林水産省のQ&Aは「特定技能2号に関しては、特定技能1号のような雇用外国人に対する義務的支援はありません」と明記しています(協議会への加入は2号でも必要)。[21]水準は特定技能1号・2号の違いで整理しています。
自社で支援体制を整えるのが難しい場合は登録支援機関へ委託でき、自社支援との比較は特定技能は自社支援?登録支援機関に委託?、選び方と契約前の確認は登録支援機関の選び方、採用後の定着は定着支援を参考にしてください。すでに委託していて委託先を見直したいときの進め方は登録支援機関の変更(乗り換え)にまとめています。
外食業で働く特定技能外国人の実像
最新の人数は49,060人です(2026年6月末・速報値・充足率98.1%)。残り枠が直近1年の増加数の約7%しかない状況は冒頭の節のとおりで、再開を待つ計画は枠の規模がこの水準である前提で立てる必要があります。[6]一方で人手不足の側は、運用方針が枠を設定した時点の根拠に挙げた有効求人倍率4.15倍・雇用人員判断DIマイナス60(いずれも基準値=現在値ではありません)を再開の判断指標の節で整理しています。
下の内訳はより古い時点の統計です(2025年12月末時点・1号43,869人=2023年6月末の8,842人から+396%)。国籍別・都道府県別が公表されているのはこの系統で、ミャンマーが34.1%で最多、都道府県別では東京都が最多です。
データで見る:外食業で働く特定技能外国人
2025年12月末時点
全国で就労中
43,869人
直近2.5年の伸び
+396%
2025年12月末時点で全国43,869人(2023年6月末の8,842人から+396%)。国籍はミャンマーが34.1%で最多、都道府県は東京都が9,328人で最多です。
どの国から来ているか
- ミャンマー14,966人(34.1%)
- ベトナム13,623人(31.1%)
- ネパール4,135人(9.4%)
- インドネシア3,521人(8%)
- 中国2,683人(6.1%)
- その他4,941人(11.3%)
直近はミャンマーが急増(2年半で+1675%)
どこで働いているか
- 東京都9,328人
- 大阪府4,527人
- 神奈川県3,903人
- 愛知県3,268人
- 埼玉県2,673人
年齢層
- 18-29歳77.9%
- 30-39歳19.6%
- 40+歳2.6%
男女比
- 男性44.3%
- 女性55.7%
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末)をトモハタが集計。数値はすでに就労している人の分布で、地域の人材供給・採用競合をつかむ目安です。募集のしやすさを保証するものではありません。
全分野の人数・国籍・都道府県の統計は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
停止中に前へ進められるのは、枠に左右されない分野内の転職での受け入れ、1号人材の2号化の準備(実務経験2年は試験の前日まで・算入されない期間とN3の年2回に注意)、特定技能以外の在留資格の活用、そして協議会への先行加入です(枠を消費する併走ルート=技能実習修了者・特定活動からの移行も、枠が残る限り進みます)。再開は「するかどうかを含めて未定」で、追うべきは求人倍率やDIでなく在留者数の側です。分野をまたいだ停止の仕組みと「次に止まる分野」は特定技能の受け入れ停止で整理しています。
そのうえで受け入れの土台の確認は、①自社の事業所が飲食サービス業の4類型に当たるか(宿泊施設内の飲食部門・医療福祉施設内の給食部門も入る/卸売りは入らない)、②接待をさせない体制を取れるか、③協議会に在留諸申請の前に加入できるか(審査2〜3か月)の順です。本人側の要件は1号評価試験と参照枠A2.2相当以上の日本語で、技能試験の免除は医療・福祉施設給食製造の技能実習2号修了者のみです。制度の全体像は特定技能とは?をご覧ください。
よくあるご質問
- コンビニエンスストアで特定技能外国人を雇えますか?
- 外食業分野の受け入れ対象は、運用要領が定める飲食サービス業の4類型(①その場で飲食させる飲食店等 ②持ち帰り飲食サービス業 ③配達飲食サービス業 ④ケータリング・給食事業所)を行っている事業所です。物販が中心のコンビニエンスストアはこの4類型に当てはまらないと解されますが、店内調理・イートインの扱いなど個別の判断が必要なケースもあります。運用要領は、協議会において外食業分野の対象でないと判断された場合は雇用できないとしたうえで、対象事業所に当たるか疑義がある場合は加入申請の前に農林水産省(外食・食文化課)へ問い合わせるよう求めています。
- 外食業で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 前提として、外食業分野は2026年4月13日から新規の受け入れが原則停止しています(分野内の転職・在留期間の更新・特定技能2号への変更は動いています)。そのうえで、本人側は外食業特定技能1号評価試験の合格と、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力が必要です(JFT-BasicやJLPT N4の合格がA2.2相当として扱われるかは、一次資料で確認できていません)。企業側は、全分野共通の受け入れ要件に加えて、外食業固有の条件(風俗営業の営業所で就労させない・接待を行わせない・食品産業特定技能協議会の構成員になる・キャリアアッププランを雇用契約の締結・更新等の前に書面で説明する・求めに応じて実務経験証明書を交付する など)を満たす必要があります。協議会への加入は在留諸申請の前に必要で、加入審査には2〜3か月かかります。
- 外食業の特定技能で任せられる仕事は何ですか?
- 1号は外食業全般(飲食物調理・接客・店舗管理)です。運用要領は、接客に席への案内・注文伺い・配膳・代金受取り・予約受付などを、店舗管理に衛生管理全般・シフト管理・発注や検品・メニューの企画開発などを例示しています。日本人が通常従事する関連業務(原材料に使う農林水産物の生産、調理品以外の物品販売)への付随的な従事は差し支えありませんが、関連業務に専ら従事させることは認められません。接待は関連業務を含めて禁止されています。
- 外食業に特定技能2号はありますか?
- あります。2号は外食業全般に加えて店舗経営も対象です。要件は、外食業特定技能2号評価試験の合格と「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の日本語力(外食業分野では日本語能力試験N3以上の合格が在留資格要件で、地方出入国在留管理局への申請時に合格証が必要です)に加えて、食品衛生法の営業許可を受けた飲食店等で、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長・サブマネージャー等)としての2年間の実務経験です。在留期間は更新の上限なく延長でき、要件を満たせば家族の帯同も可能になります。
- 外食業の特定技能の受け入れはいつ再開しますか?
- 時期は決まっていません。農林水産省は「現時点で再開の措置をとるかどうかを含め未定」としたうえで、「受入れに当たって5万人の上限に十分な余裕があるかなど諸般の事情を考慮し、適当と判断した場合に、事前にアナウンスした上で交付の再開の措置を行うことが想定されています」と説明しています。再開は事前に告知される想定である一方、再開そのものが約束されているわけではありません。
- 再開されるかどうかは、何を見ていれば分かりますか?
- 外食業分野の運用方針(令和8年1月23日閣議決定)には、農林水産大臣が人手不足の状況を把握するための指標として、①外食業分野の1号特定技能外国人および育成就労外国人の在留者数 ②有効求人倍率 ③雇用人員判断(DI)が挙げられています。①は出入国在留管理庁の公表、②は厚生労働省の一般職業紹介状況、③は日本銀行の短観で公開されており、企業側でも動きを追えます。ただしこれらは判断材料であって、特定の数値になれば自動的に再開されるという基準ではありません。農林水産省が判断材料として挙げているのは「5万人の上限に十分な余裕があるか」で、追うべきは在留者数の側です。
- 外食業の特定技能2号への変更も止まっていますか?
- 止まっていません。農林水産省は、外食業分野の特定技能1号から2号への変更申請について「本措置については、特定技能2号は対象外となり、通常どおり審査されます」としています。外食業特定技能2号評価試験も国内でCBT方式により実施されており、当面実施されないのは1号評価試験です。ただし2号には、店舗管理を補助する立場(副店長・サブマネージャー等)での2年間の実務経験と、日本語能力試験N3以上の合格(申請時に合格証が必要)という要件があります。個別の可否は入管や行政書士などの専門家に確認してください。
- 2026年4月13日より前に出した申請はどうなりますか?
- 審査のうえ、受入れ見込数(5万人)の範囲内で順次処理されます。ただし在留資格認定証明書の交付申請については、現に在留している人からの在留資格変更許可申請が優先的に処理されるため、農林水産省は「交付までに相当な遅延が生じることが見込まれます」としています。上限に余裕が生じた場合に交付される運用のため、先に出していれば必ず交付されるというものではありません。審査がどこまで到達しているかは出入国在留管理庁の「審査状況」ページで確認できます。
- 停止中でも、分野内の転職なら今から受け入れられますか?
- 受け入れられます。外食業分野内の転職に伴う在留資格変更許可申請は通常どおり審査され、受入れ見込数の枠を消費しません。ただし転職先になるには食品産業特定技能協議会の加入証が必要です。農林水産省は「3月28日以降に協議会加入申請を行っている場合であっても、現在、外食業分野の特定技能1号で在留中の方の転職先となることは可能です」としており、転職にともなう在留資格変更許可申請の際に協議会の加入証が必要になると案内しています。加入審査には2〜3か月を要するとされ、当面は入会金・年会費も徴収されないため、候補者が決まる前に申請しておくのが現実的です。ただし加入証明書が発行されても、新規の1号を今から入れられるようになるわけではありません。
出典・参考(一次情報)
- 特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(令和8年3月27日公表)(出入国在留管理庁)
- 特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について Q&A(停止措置に関するQ&A・特定技能2号は対象外/1号評価試験は当面の間 国内外とも実施しない)(農林水産省)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-外食業分野の基準について-(令和7年5月30日一部改正)(法務省・農林水産省)
- 特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(令和8年3月27日・4月13日以降の申請の取扱いと例外)(出入国在留管理庁)
- 外食業分野における在留資格認定証明書交付の停止について(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値)=外食業49,060人・充足率98.1%・年間増加数13,289人(出入国在留管理庁)
- 特定技能「外食業分野」における受入れ見込数の上限超過への対応(実施予定の時間軸・交付保留・政府基本方針の記載)(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の通算在留期間に関する措置(2号評価試験で合格基準点の8割以上・雇用継続の意思・指導体制で通算6年)(出入国在留管理庁)
- 特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)=特定活動(6月・就労可)・在留期間は特定技能1号の通算在留期間に含まれる・更新は1回限り(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(審査の到達範囲・留意事項)(出入国在留管理庁)
- 外食業の特定技能1号試験予約手続きの停止について(2026年3月27日掲載)(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF))
- 外食業分野における外国人材の受入れについて(停止措置・試験関連文書・特定技能外国人材制度相談窓口 03-6630-8179)(農林水産省)
- 外国人を雇用する事業主の皆様へ(不法就労防止・在留カードの確認・資格外活動の週28時間)(出入国在留管理庁)
- 在留資格「技能」(該当例=外国料理の調理師など・熟練した技能を要する業務)(出入国在留管理庁)
- 留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 第73条の2(不法就労助長罪・e-Gov法令検索)(e-Gov法令検索(デジタル庁))
- 在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて(2022年8月1日以降に作成された認定証明書は作成日から3か月間有効)(出入国在留管理庁)
- 外食業特定技能1号技能測定試験(注意事項=合格は在留資格の付与・認定証明書の交付を保証しない・2026年3月27日から実施停止)(プロメトリック(外食業特定技能評価試験の実施運営))
- 外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(別紙16・令和8年1月23日閣議決定)(出入国在留管理庁)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(令和6年6月27日付け)第4「接待」=接待の判断基準(警察庁)
- 食品産業分野(飲食料品製造業分野及び外食業分野)の特定技能2号に関するQ&A(令和8年8月作成版)=受験資格・実務経験の算入範囲・企業申込み(農林水産省)
- 外食業特定技能評価試験実施要領(管理者相当の実務経験証明書の様式を含む)(農林水産省)
- 外食業分野特定技能1号評価試験 試験案内(試験科目・合格基準・受験料・受験資格・再受験)(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF))
- 外食業分野特定技能2号評価試験 試験案内(合格基準・受験料・受験資格)(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF))
- 2025年度 外食業特定技能1・2号技能測定試験 第2回国内試験 合格者発表(2025年10月24日)(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF))
- 食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)=入会金・年会費・加入時期・審査期間(農林水産省)
- 特定技能(外食業分野)(出入国在留管理庁)
- 特定の分野に係る育成就労制度運用要領(外食業分野の基準について・令和8年7月10日)(農林水産省)
- 外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(旧版・受入れ見込数5万3,000人)(出入国在留管理庁)