介護で特定技能の外国人を採用するには|制度の要点と進め方
目次
介護は人手不足が深刻で(介護サービス職業の有効求人倍率は3.61倍=全職業0.99倍の3倍超・後述)、特定技能による外国人材の受け入れが進んでいる代表的な分野です。ただし、「採用したい人材が見つかっても、介護特有の試験や人数枠の条件を満たせず受け入れが進まない」というつまずきが起きやすい分野でもあります。結論を先に言うと、介護で押さえるべき固有ルールは①必要な試験(介護技能評価試験・介護日本語評価試験+参照枠A2.2相当以上)②事業所単位の人数上限③協議会への加入の3つです。さらに、介護には特定技能2号がなく、長期就労は在留資格「介護」への移行が道筋になります。このページは介護採用の全体像を示す入口です。試験・人数枠・費用など各テーマは、それぞれの専門記事で詳しく解説します。
この記事の要点
- 介護は特定技能1号のみ — 介護には在留資格「介護」があるため特定技能2号の対象外。5年を超えて働いてもらうには介護福祉士資格を取得し在留資格「介護」へ移行するのが基本の道筋です(5年目の国家試験でパート合格した場合の延長措置もあります)。
- 介護固有の試験と協議会がある — 介護技能評価試験・介護日本語評価試験・参照枠A2.2相当以上が基本(介護職種の技能実習2号修了者は試験免除)。企業は介護分野の特定技能協議会への加入が必要です。
- 人数枠は常勤介護職員数が上限 — 受け入れられる1号特定技能外国人の数は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を超えられません。
本記事は一般的な情報提供です。介護分野の要件・対象業務の範囲は変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁および厚生労働省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
介護分野の特定技能はここが特徴
介護で特定技能を受け入れるときは、他の分野にはない3つの固有ルールが前提になります。まずここを押さえます。
- 特定技能は「1号」のみ — 介護には専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるため、特定技能2号の対象分野とはされていません。長期就労は後述の在留資格「介護」への移行が道筋になります。
- 事業所単位の人数上限がある — 受け入れられる1号特定技能外国人の数は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。
- 協議会への加入が必要 — 受け入れ企業(特定技能所属機関)は、厚生労働省が組織する「介護分野における特定技能協議会」の構成員になる必要があります。
以下で、それぞれを詳しく見ていきます。
介護で必要な試験
介護で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の試験等の要件を満たしている必要があります。
- 介護技能評価試験 — 介護の技能を確認する試験。
- 介護日本語評価試験 — 介護の現場で使う日本語を確認する試験。
- 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認) — 基本的な日本語力。水準と各試験の対応(公式の換算表はありません)は特定技能の日本語試験で解説しています。
ポイントは、介護では一般的な日本語力(参照枠A2.2相当以上)に加えて、介護現場の日本語を確認する「介護日本語評価試験」が独自に課されることです。
介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は、これらの試験が免除されます(介護職種以外の技能実習修了者は、介護の試験への合格が必要です)。
各試験の内容・免除ルート(介護福祉士養成施設の修了・EPA候補者など)・採用ルートによる試験負担の違いに加え、国籍別の受験者数と合格率(厚生労働省の月次公表データを年度集計)は介護の特定技能試験|介護技能評価試験・介護日本語評価試験と免除ルートで解説しています。
何人まで雇えるか(事業所ごとの上限と、分野全体の枠)
介護で「何人まで」を決めるルールは2階建てです。自社の事業所で何人雇えるかは、日本人等の常勤介護職員の総数が上限になります(常勤介護職員が10人の事業所なら最大10人までが目安)。分母に数える職種の判定・技能実習生の扱い・人員配置基準にいつから算入できるかは介護の特定技能 人数枠と配置基準が詳しく、職員名簿の例で1行ずつ判定できます。
もう一段上に、介護分野全体の受け入れ枠(令和6〜10年度の5年間で126,900人・令和8年1月23日閣議決定)があります。分野の枠がどこまで埋まっているか・受け入れ停止の有無・上限に達したときに止まる手続きは介護の特定技能 受け入れ停止と枠の充足状況で整理しています。
介護分野特定技能協議会への加入
受け入れ企業は、「介護分野における特定技能協議会」の構成員になる必要があります。加入の時期は運用が変わっている点に注意してください。令和6年(2024年)6月15日以降の在留諸申請からは、地方出入国在留管理局での在留諸申請を行う前に協議会の構成員となり、受入事業所情報が登録された入会証明書の発行を受けることが必要です。なお「受け入れた日から4か月以内」という期限は、現在は加入後に行う協議会申請システムへの外国人情報の登録の期限であり、加入そのものの期限ではありません。手続きの詳細は厚生労働省の案内に沿って進めます。
協議会は分野ごとに置かれ、介護以外の分野でも受け入れる場合は分野ごとに加入します。全17分野の協議会名・加入の期限・加入企業数は分野別協議会の一覧にまとめています。
介護で任せられる業務(業務範囲)
特定技能の介護で任せられるのは、身体介護等(入浴・食事・排せつの介助など)と、それに付随する支援業務(レクリエーションの実施や機能訓練の補助など)です。施設での介護が基本ですが、2025年4月21日から、一定の要件のもとで訪問介護などの訪問系サービスにも従事できるようになりました(詳細は下記)。
訪問介護(訪問系サービス)への従事
従来、特定技能外国人は訪問系サービスに従事できませんでしたが、2025年4月21日から、訪問介護・訪問入浴介護などの訪問系サービスへの従事が認められました。ただし、すぐに誰でも従事できるわけではなく、次のような条件があります。
- 本人の要件 — 介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること(訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護は複数人での提供が前提のため対象外)。
- 事業者側の遵守事項 — 業務の基本事項に関する研修の実施、一定期間の同行による訓練、キャリアアップ計画の作成、ハラスメント相談窓口の設置、情報通信技術(ICT)の活用を含む環境整備など。
- 届出と適合確認 — 受け入れ機関は、巡回訪問等実施機関(国際厚生事業団等)へ事前に届け出て、適合確認書の交付を受ける必要があります。
対象となる訪問サービスの種類・本人の要件(実務経験の例外を含む)・事業者の遵守事項・手続きの詳しい解説は訪問介護の特定技能解禁|2025年4月の要件・対象サービス・採用方法で整理しています。
訪問系サービスへの従事は要件・手続きが細かく、取扱いも更新されます。実際に検討する際は厚生労働省の最新の案内で必ず確認してください。
雇用形態のルール(直接雇用・フルタイム・報酬)
介護の特定技能外国人は直接雇用のみで、派遣は認められていません(派遣が認められるのは農業・漁業の2分野のみ)。あわせてフルタイムでの就労、日本人と同等以上の報酬が前提です。派遣不可の運用上の根拠や違反時の扱いを含む詳しい解説は介護の特定技能 人数枠と受け入れ条件で整理しています。
介護職員の給与相場と特定技能外国人の報酬
「いくら払えば採れるのか」は採用計画の起点です。介護は採用競争が激しく、介護サービス職業の有効求人倍率は3.61倍(令和8年5月時点。全職業は0.99倍で、その3倍を超える水準)です。人材を確保しづらいからこそ、特定技能が受け皿として広がっています。
特定技能では外国人にも日本人と同等以上の報酬を支払うことが前提のため、給与は「介護職員の相場」を下限の目安に組み立てます。
- 介護職員(常勤)の平均給与額は月額約33.8万円 — 令和6年9月時点で338,200円(基本給+手当+一時金〔賞与等の4〜9月支給分の月割〕を含む額。処遇改善加算を取得している事業所ベース)。基本給と毎月の固定手当だけでみた平均は約25.4万円(253,810円)です。「同等以上の報酬」は、この相場と自社の同職種の給与テーブルの両方に照らして判断します。
- 処遇改善加算は特定技能外国人も対象 — 介護職員等処遇改善加算は、事業所の介護職員であれば対象で、厚生労働省のQ&Aでも「介護分野の1号特定技能外国人についても同様に、処遇改善加算の対象となる」と示されています。加算による賃金改善の原資は、外国人職員の待遇にも反映できます。
つまり特定技能は「安く雇う」ための制度ではなく、相場並みの待遇で不足する人手を確保する制度と捉えるのが実態に近い考え方です。雇用形態のルール(直接雇用のみ・フルタイム・日本人と同等以上の報酬)は介護の特定技能 人数枠と受け入れ条件、企業が払う採用費用そのものは介護の特定技能 採用費用・相場で解説しています。
介護で外国人を採用できる在留資格ルート(4つの比較)
介護で外国人を採用できる在留資格ルートは、大きく特定技能1号「介護」・技能実習(育成就労へ移行)・EPA(経済連携協定)・在留資格「介護」の4つです。どれも「介護で働ける」点は同じですが、在留期間・必要な試験・家族の帯同・介護福祉士(長期就労)への道筋が異なり、自社が「早く即戦力が欲しい」のか「育てて長く働いてほしい」のかで向くルートが変わります。まず全体像を1枚で押さえます。
| ルート | 主な狙い | 在留期間の上限 | 入国時に必要な試験 | 家族の帯同 | 介護福祉士・長期就労への道 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号「介護」 | 即戦力を早く確保 | 通算5年 | 介護技能評価試験+介護日本語評価試験+参照枠A2.2相当以上(介護職種の技能実習2号修了者は免除) | 原則不可 | 介護福祉士を取得し在留資格「介護」へ移行 |
| 技能実習 →育成就労 | 育てながら受け入れ | 技能実習は最長5年/育成就労(2027年施行予定)は原則3年 | 技能試験は入国時に課されない。日本語は介護の育成就労では開始時にA2.2相当以上が必要 | 不可 | 特定技能1号を経て介護福祉士・在留資格「介護」へ |
| EPA(経済連携協定) | 資格取得を前提に受け入れ | 候補者は原則4年 | 入国時は各国の日本語要件(介護福祉士国家試験の合格を目指す) | 候補者の間は不可(介護福祉士取得後は特定活動で配偶者・子を帯同可) | 3年以上の実務経験で介護福祉士国家試験→在留資格「介護」へ |
| 在留資格「介護」 | 資格者を長期に雇用 | 更新の回数に上限なし(5年ごとに更新) | 介護福祉士の国家資格が前提 | 配偶者・子を家族滞在で帯同可 | すでに介護福祉士 |
このほか、永住者・日本人の配偶者等・定住者など身分・地位に基づく在留資格で在留する人は、就労に在留資格上の制限がなく、上記のルートによらず介護で雇用できます。常勤の介護職員として働く場合は、特定技能の人数枠の分母(日本人等の常勤介護職員)にも算入されます(数え方の詳細は介護の特定技能 人数枠と受け入れ条件)。
各ルートを、採用の判断に効く違いから見ていきます。
- 特定技能1号「介護」 — 最初の受け入れで選ばれやすいルートです。介護技能評価試験・介護日本語評価試験・参照枠A2.2相当以上が要件で、介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。在留は通算5年、家族帯同は原則できません。5年を超えて働いてもらうには、後述のとおり介護福祉士の取得による在留資格「介護」への移行が基本の道筋です。
- 技能実習 →育成就労 — 技能実習は「育成しながら受け入れる」ルートで、入国時の技能試験は課されません(ただし介護の育成就労では、就労開始時に日本語A2.2相当以上が必要です)。技能実習は2027年(令和9年)4月に施行が予定されている育成就労制度へ移行する見込みで、育成就労は原則3年で特定技能1号へつなぐことが想定されています。介護分野の運用方針では、育成就労修了時の水準として介護育成就労評価試験(専門級)と「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上が示され、本人意向による転籍の制限期間は2年とされています(施行前のため、詳細は今後の省令等で確定します)。制度の違いは特定技能・技能実習・育成就労の違い、育成就労の概要は育成就労とはで解説しています。
- EPA(経済連携協定) — インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国と結んだ協定に基づき、介護福祉士の国家資格取得を前提に受け入れるルートです。候補者としての在留は原則4年で、通算3年以上の介護実務を経て国家試験を受験します。窓口は国際厚生事業団(JICWELS)に一本化されており、独自の受け入れ調整の枠組みがあります。なお、EPA介護福祉士候補者の期間中は、扶養を受ける家族としての在留は認められておらず、介護福祉士の資格を取得しEPA介護福祉士として活動する段階になると、配偶者・子について所定の「特定活動」での帯同が認められ得ます。
- 在留資格「介護」 — 介護福祉士の国家資格を持つ人が就く専門職の在留資格です。在留期間の更新に回数の上限がなく、要件を満たす限り就労を続けられ、配偶者・子を「家族滞在」で帯同できる点が他ルートと大きく違います。介護福祉士養成施設に通う留学生が卒業後にこの資格へ移る流れも、資格者を長期に確保する入口の一つです。
どのルートも一長一短で、優劣ではなく自社が何を優先するかで選びます。目安は次のとおりです。
- 早く・低コストで即戦力を — 特定技能1号(とくに国内在住者や介護職種の技能実習からの移行)が向きます。
- 腰を据えて育て、長く戦力化したい — EPAや、育てて介護福祉士取得を支援し在留資格「介護」へ、という道筋が向きます。
- 家庭を持つ人材に長く定着してほしい — 家族帯同が認められる在留資格「介護」を見据えた採用・育成が選択肢になります。
すでに国内にいる人材を採るか、海外から新規に呼び寄せるかという「どこから採るか」の判断軸は特定技能は国内採用と海外採用どっち?で整理しています。介護の試験と免除ルートの詳細は介護の特定技能試験、採用手続きの流れは特定技能の採用の流れ、企業側の受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件をご覧ください。
在留期間・試験・家族帯同・育成就労の施行時期などの制度は変動します。とくに育成就労制度は施行に向けて詳細が示される段階のため、実際の採用計画は出入国在留管理庁・厚生労働省の最新の案内で必ず確認してください。
介護で特定技能を使うメリット・デメリット
4つのルートの中で特定技能を選ぶかどうかは、次の利点と注意点を並べると判断しやすくなります。
メリット
- 人員配置基準にすぐ算入できる — 介護保険の人員配置基準には、特定技能外国人は就労開始から算入できます。「いつから戦力として数えられるか」で有利です(詳細は介護の特定技能 人数枠と受け入れ条件)。
- 受け入れ可能人数がわかりやすい — 事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数と同数まで受け入れられます。自社の職員数から上限をすぐ見積もれます(数え方は同じく人数枠と受け入れ条件)。
デメリット・注意点
- 転職の可能性がある — 特定技能は同一の業務区分内での転職が制度上認められています。待遇や支援への不満は転職につながるため、採用後の定着支援が重要です(転職のしやすさの実際は国内採用と海外採用どっち?、定着の進め方は特定技能外国人の定着支援)。
- 訪問系サービスは条件つき — 上の「訪問介護(訪問系サービス)への従事」のとおり、本人要件・事業者の遵守事項・届出が必要です(詳細は訪問介護の特定技能解禁)。
- 在留は通算5年まで・特定技能2号はない — 5年を超える就労は、介護福祉士の取得と在留資格「介護」への移行が基本です(パート合格による延長措置を含めて下の「長期就労」で解説)。
どれも制度の優劣ではなく、自社の採用目的との相性の問題です。判断に迷う場合は、上の4ルート比較と費用の目安をあわせて検討してください。
採用に向けて準備する書類(介護)
在留資格「特定技能」の申請で必要になる書類は、大きく3系統に分かれます。介護では、これに分野固有の書類が加わります。
| 系統 | 主な内容 | 介護での補足 |
|---|---|---|
| ① 申請人(採用する外国人)に関する書類 | 在留資格認定証明書交付申請書、写真、旅券・在留カードの写しなど | 介護技能評価試験・介護日本語評価試験の合格、または介護職種の技能実習2号修了を示す資料 |
| ② 受入れ機関(企業)に関する書類 | 会社の登記・財務に関する書類、雇用契約書・雇用条件書、支援計画に関する書類など | 企業が満たす受け入れ要件は受け入れ要件で確認 |
| ③ 分野固有の書類(介護) | 分野別に求められる書類 | 介護分野特定技能協議会の入会証明書(構成員であること)など |
書類は採用ルート(海外から呼び寄せるか、国内在住者を採るか)や、その年度に同じ企業で既に受け入れ実績があるかによって一部が省略されることもあります。実際の提出書類の一覧は出入国在留管理庁の確認表で示されています。
申請書類の作成や、地方出入国在留管理局への申請取次は行政書士(申請取次行政書士)の領域です。登録支援機関の業務は支援計画の策定・実施であり、書類作成・申請取次を任せられるものではありません。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。
採用開始までに何を・どの順で行うか(手続きの流れ)は特定技能の採用の流れで、企業側が満たす受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で解説しています。
費用の目安
介護でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。介護の費用の内訳・ルート別のモデル・介護ならではのコスト要因は介護の特定技能 採用費用・相場で詳しく解説しています。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費など。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費(1人あたり月2〜3万円程度が目安)。
なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。全分野共通の総額の考え方は特定技能の採用費用・相場で整理しています。
登録支援機関の活用
介護の現場で外国人材を支えるには、生活支援が欠かせません。自社で支援体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます(自社支援と委託の比較は自社支援か登録支援機関への委託か)。ただし、協議会への入会や訪問系サービスの遵守事項は委託しても自社の名義と責任に残ります。委託しても自社に残る手続きと、契約前に確認することは特定技能 介護の登録支援機関の選び方で詳しく解説しています。
長期就労:介護福祉士と在留資格「介護」
特定技能1号は在留期間が通算で最長5年です。介護には特定技能2号がないため、5年を超えて長く働いてもらうには別の道筋が必要になります。介護では、介護福祉士の国家資格を取得すると、在留資格「介護」へ移行でき、在留期間の更新に上限なく就労を続けられます。長く活躍してもらう前提で、資格取得の支援を計画に入れると定着につながります。受け入れ後の定着支援の進め方や、採用後に企業が行う支援の全体像は特定技能外国人の定着支援で解説しています。
5年目の試験でパート合格した場合、最長1年の在留期間延長があります
「あと一歩で不合格」の人がその年で帰国になるとは限りません。第38回(令和8年実施)の介護福祉士国家試験から、5年目(通算在留期間に達する前の最終年度)の国家試験を全パート受験し、①1パート以上合格し、②総得点に対する合格基準点の8割以上を得点しているなどの要件を満たす1号特定技能外国人について、最長1年間の在留期間延長が認められます(令和8年1月21日 社援発0121第10号・令和8年3月30日一部改正)。
要件は本人側だけではありません。翌年度の国家試験を受験する誓約に加えて、特定技能所属機関が学習計画(翌年度の合格を目指す支援計画と、国家試験対策の講座・研修の受講予定を含む)を本人とともに作成し、厚生労働省へ提出することが求められます。書類は郵送のみの受付で、申請期限も年度ごとに区切られています(令和8年〔第38回〕は合格基準点64点の8割=52点以上が基準で、期限は令和8年4月30日消印有効でした)。受験する年に慌てて用意できる書類ではないため、5年目に入る前に学習支援の体制を決めておくのが実務上の要点です。
介護で働く特定技能外国人の実像
介護の特定技能1号在留者は74,745人(2026年3月末時点・速報値)で、分野の受入れ見込数126,900人に対する充足率は58.9%です。国籍・地域・年齢構成の内訳(2025年12月末時点の集計)や、受け入れ停止の有無・枠の充足状況は介護の特定技能 受け入れ停止と枠の充足状況にまとめています。分野をまたいだ全体像(全分野の人数・国籍・都道府県の統計)は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
介護で特定技能の外国人を採用するには、①必要な試験(介護技能評価試験・介護日本語評価試験・参照枠A2.2相当以上)②事業所単位の人数上限③協議会への加入という介護ならではのルールを押さえることが第一歩です。技能実習からの移行は試験免除でスムーズで、介護に特定技能2号はないため、長期就労は介護福祉士資格による在留資格「介護」への移行が基本の道筋になります。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、よくある失敗は特定技能採用でよくある失敗と注意点をご覧ください。
「自社の事業所で介護の特定技能外国人を何人受け入れられるか」「どのルートが合うか」を相談したい場合は、条件に合う登録支援機関・人材紹介会社を無料でご紹介します(提携先のサービスをご紹介しています)。
よくあるご質問
- 介護で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、介護技能評価試験と介護日本語評価試験に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)を持つことが基本です。介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。企業側は、受け入れ要件を満たし、介護分野の特定技能協議会の構成員になる必要があります。
- 介護で受け入れられる特定技能外国人の人数に制限はありますか?
- あります。事業所単位で、受け入れられる1号特定技能外国人の数は、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすると定められています。
- 介護分野に特定技能2号はありますか?
- ありません。介護分野には専門的・技術的分野の在留資格『介護』があるため、特定技能2号の対象分野とはされていません。長期就労を目指す場合は、介護福祉士の資格を取得して在留資格『介護』へ移行する道があります。
- 介護の特定技能外国人は訪問介護に従事できますか?
- 2025年4月21日から、一定の要件のもとで訪問系サービス(訪問介護など)への従事が認められました。本人が介護職員初任者研修課程等を修了し実務経験が原則1年以上あること、事業者が研修・同行訓練・キャリアアップ計画などの遵守事項を満たすこと、巡回訪問等実施機関へ届け出て適合確認書の交付を受けることが条件です(訪問入浴介護は複数人提供のため対象外)。
- 外国人を介護で採用できる在留資格ルートにはどんな種類がありますか?
- 主に、特定技能1号「介護」、技能実習(2027年施行予定の育成就労へ移行)、EPA(経済連携協定・インドネシア/フィリピン/ベトナムの3か国)、介護福祉士の資格者が就く在留資格「介護」の4つです。早く即戦力を確保したいなら特定技能、資格取得を前提に長く働いてもらいたいならEPAや在留資格「介護」が選ばれやすい傾向があります。在留期間・試験・家族帯同・介護福祉士への道筋が異なるため、自社の狙いに合わせて選びます。
- 介護の特定技能協議会にはいつまでに加入すればよいですか?
- 令和6年(2024年)6月15日以降の在留諸申請からは、地方出入国在留管理局での在留諸申請を行う前に「介護分野における特定技能協議会」の構成員となり、受入事業所情報が登録された入会証明書の発行を受けることが必要です。なお「受け入れた日から4か月以内」という期限は、現在は加入後に行う協議会申請システムへの外国人情報の登録の期限です。
- 介護の特定技能外国人にはどのくらいの給与を払う必要がありますか?
- 日本人と同等以上の報酬が前提です。介護職員(常勤)の平均給与額は月額約33.8万円(令和6年9月・処遇改善加算を取得している事業所ベース、基本給+手当+一時金を含む)で、これが待遇を考えるうえでの目安になります。介護職員等処遇改善加算は介護分野の1号特定技能外国人も対象で、加算による賃金改善を外国人職員の待遇にも反映できます。特定技能は安く雇うための制度ではなく、相場並みの待遇で不足する人手を確保する制度です。
- 介護で特定技能の外国人を採用するとき、どんな書類が必要ですか?
- 在留資格「特定技能」の申請書類は、大きく①申請人(外国人本人)に関する書類②受入れ機関(企業)に関する書類③分野固有の書類(介護では特定技能協議会の入会証明書など)の3系統に分かれます。ただし、申請書類の作成や地方出入国在留管理局への申請取次は行政書士(申請取次行政書士)の領域で、登録支援機関に任せられるものではありません。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。