介護の登録支援機関|入会証明書と、施設に残る義務
目次
介護で特定技能外国人を受け入れるとき、生活支援まで自社だけで担うのは負担が大きく、多くの施設・事業所が登録支援機関へ支援を委託します(全分野の調査では、登録支援機関を利用している受入れ機関の割合は84%=出入国在留管理庁の意識調査・令和4年7月)。[1]ただ介護には、介護分野特定技能協議会への入会や、訪問系サービスに従事させる場合の遵守事項といった、受入事業者を主語にした手続きが重なります。ここで起きやすいのが「委託したのに自社の担当者の作業が減らない」「協議会の入会証明書の期限に気づかず在留申請が止まった」というつまずきです。
結論を先に言うと、介護で委託先を選ぶときに最初に確かめるのは料金の安さではなく、協議会・訪問系・キャリア支援の3つについて、どこまでを委託先が担い、どこからが自社の名義と責任で残るのかです。協議会は登録支援機関を入会の対象としておらず、訪問系の遵守事項は在留資格の介護分野に係る告示にも規定された受入事業者の義務で、介護福祉士へのキャリア支援は義務的支援の外にあるためです。
この記事の要点
- 協議会の入会は自社名義でしか行えない — 介護分野の協議会は登録支援機関を入会対象としていません。代理申請の仕組みはあるので、入力を頼むことはできます。
- 入会証明書は法人に1通・事業所は裏面に記載される — 初回1年・更新後4年の期限があり、裏面に載っていない事業所・施設種別では就労できません。有効期間の更新は受入機関アカウントでしか操作できず、代理申請を頼んでいても期限管理と更新は自社に残ります。事業所を動かすときは協議会への登録に加えて入管への特定技能雇用契約変更の届出も要ります。
- 訪問系の遵守事項は受入事業者の義務(確認は在留申請の場ではない) — 告示に規定された事項で、訪問系サービスに従事させる前に巡回訪問等実施機関(特定技能では協議会の事務局)の確認を受けます。制度は義務の帰属を定める一方で委託の可否には触れていないため、どこまで手伝うのかを契約で先に明示してもらいます。
- 資格取得支援は義務的支援10項目の外 — 委託契約で個別に決める対象です。ただし訪問系に従事させるなら、本人と共同して作るキャリアアップ計画に資格取得・研修受講の目標と事業所側の支援内容まで書き、双方が署名して写しを本人へ交付し、巡回訪問等実施機関(特定技能では協議会の事務局)へ提出したうえで、定期報告のたびに作り直します。
- 委託先の側に課される「介護の要件」が制度に見当たらない — 介護分野の運用要領(別冊)には「登録支援機関」の語自体が出てきません(2026年8月14日時点の全文検索)。介護固有の要件は告示第2条が受入れ機関に課すもの(訪問系に従事させない事業所は第二号を除いた六号)で、全部委託にしても自社から消えません。だからこそ実績で見ます=過去1年に支援した外国人数が「0人」の登録支援機関が25%(入管庁の意識調査・令和4年7月)。
本記事の月額の支援委託費には、出入国在留管理庁の公的な集計値(全分野・全国の平均28,386円・約90%が30,000円以下)があり、本文で出典つきで示しています=介護に限った公的な内訳ではありません。協議会の手続き・費用は、介護分野における特定技能協議会事務局(公益社団法人国際厚生事業団)の公表資料に基づきます。委託費以外の採用費用(人材紹介手数料・渡航費など)は本記事では扱わず、特定技能 介護の費用で解説しています。正確な金額は見積もりで確認してください。
介護分野の協議会は、登録支援機関を入会対象にしていない
介護分野特定技能協議会への入会は、登録支援機関に代わってもらうことができません。協議会事務局のQ&Aが、入会対象を受入機関に限ると明記しているためです。
なお、介護分野における特定技能協議会は、登録支援機関は入会の対象としていません。入会対象は受入機関のみです。
そのうえで、申請の実務については代理の仕組みが用意されています。同じQ&Aは、必ず登録支援機関へ申請を委託する必要はなく、原則として受入機関の担当者が申請を行い、代理申請を委託したい場合にのみ登録支援機関が代理申請できる仕組みが設けられている、としています。代理申請用のアカウントは受入機関の側で作成し、登録支援機関のアカウントで閲覧・編集できる情報は、受入機関が権限を設定した外国人の情報に限られます。[2]
つまり介護の協議会は、入力作業は頼めるが、構成員としての名義と責任は自社に残るという形です。委託先の提案を読むときは、「協議会対応」と書かれた項目が代理入力を指すのか、入会そのものを代わりに行うという意味で書かれているのかを確かめてください。後者はそもそも制度上できません。これと別に、報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成も、登録支援機関には任せられません(行政書士などの専門家の領域です)。一方で申請書等の提出(申請取次)は行政書士の専管ではありません=在留資格認定証明書交付申請は本人と特定技能雇用契約を結んだ企業の職員が「代理人」として自ら提出でき、在留資格変更・在留期間更新は地方出入国在留管理局長の承認を受けた受入れ企業・公益法人・登録支援機関の職員や、弁護士会・行政書士会を経由して届け出た弁護士・行政書士が「申請等取次者」として本人の依頼を受けて提出できます。つまり出しに行く人の選択肢は広い一方、書類を作る側は絞られているという形です。「書類の作成まで任せられる」と考えず、必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。
なお、費用については協議会事務局のQ&Aが「入会費、年会費などの費用はかかりません」としており、[2]同事務局のよくあるご質問はさらに踏み込んで「入会費、年会費、月会費は一切かかりません」としています。[3]つまり建設分野のJAC受入負担金のような協議会そのものへの継続的な会費は、介護には無いということです(協議会以外の負担がまったく無いという意味ではありません)。見積もりに「協議会費用」という費目が立っている場合は、何に対する費用なのかを確認する価値があります。
所要時間の見積もりも公表されています。事務局のQ&Aによれば、通常は入会申請後、事務局窓口と厚生労働省の確認を経て2〜3週間で入会証明書が発行されます(申請内容によっては差戻しがあり、その対応が済むまで確認完了にならないほか、祝祭日を挟む週は通常より長くかかる場合があるとされています)。入会証明書がないと在留諸申請が許可されないため、採用スケジュールにはこの2〜3週間+差戻しの余裕を最初から組み込んでおきます(厚生労働省のページは起点を変えて「事務局窓口での確認が完了後、通常2週間程度で入会証明書が発行される」と案内しています=矛盾ではなく、どこから数えるかの違いです)。[4]
介護で必要な受け入れの前提(人数枠・協議会加入・業務範囲と、働き始めるまでの期間の目安)は特定技能「介護」とは、委託できる業務の範囲そのものは登録支援機関とは、義務として行う支援の中身は特定技能の義務的支援10項目で解説しています。技能実習から切り替える場合、いま契約している監理団体にそのまま特定技能の支援も頼めるとは限りません=違いと乗り換えの考え方は監理団体・監理支援機関と登録支援機関の違いで整理しています。
入会証明書は法人に1通・事業所は裏面に足していく
協議会の入会証明書は、在留諸申請の前に手元にある必要があります。証明書そのものは受入機関単位(法人単位)で1通発行され、確認が完了した受入事業所の情報は裏面に記載されます。就労できるのは裏面に載っている事業所・施設種別に限られます。ここを取り違えると、採用そのものは順調でも在留手続きの段階で止まります。
協議会事務局の資料によれば、令和6年6月15日以降の地方出入国在留管理局への在留諸申請から、受入事業所情報が登録された入会証明書の提出が求められ、入会証明書がない場合は在留諸申請を行っても許可されないとされています。[2]押さえる点は次の5つです。
| 協議会の入会証明書について押さえる点 | 内容 | 手続きに要する期間(協議会事務局の目安) |
|---|---|---|
| 有効期間 | 初回発行時は1年間、更新後は4年間。有効期限の4か月前から協議会申請システム上で更新手続きが可能 | 更新後の証明書の発行まで、事務局の確認完了から2週間程度 |
| 裏面への事業所・施設種別の記載 | 証明書は法人単位で1通。裏面に記載のない事業所(または施設種別)で受け入れる場合は、既に就労中の人の事業所異動を含めて、事前に受入事業所の登録を申請し、裏面に反映された証明書の発行を受ける必要がある | 事業所の要件確認の完了から、当該事業所を記載した証明書の発行まで2〜3週間程度 |
| 受け入れ後の情報登録 | 在留諸申請を行い特定技能外国人を受け入れたら、4か月以内に当該外国人の情報を協議会へ登録。提出書類は雇用条件書(参考様式第1-6号)、支援計画書(参考様式第1-17号)、在留カードの写し | 期限は受け入れから4か月以内(発行を待つ性質のものではない) |
| 更新申請ができるアカウント | 有効期間の更新申請は受入機関アカウントでしか操作できない(登録支援機関アカウントには更新申請ボタンが表示されない)。複数社に委託しているかどうかを問わず一律 | — |
| 有効期限を過ぎた場合 | 更新しないまま期限を過ぎても、自動的に即座の退会にはならない。ただし手続きを行わず事務局から連絡がつかない受入機関は、事務局の判断で退会措置となる場合がある | — |
この表から出てくる実務上の含意は3つあります。
1つ目は、複数の事業所を運営している法人ほど、委託先と事業所異動の情報共有ルールを決めておく必要があるということです。人員配置の都合で就労中の人を別の事業所へ動かす場面は珍しくありませんが、その事業所が入会証明書に登録されていなければ、動かす前に事業所登録が要ります。しかも新規入会のときだけでなく、事業所を追加するときも証明書の発行に2〜3週間程度かかります。⚠️ 起点が違う点に注意してください=新規入会の2〜3週間は「入会申請後」から数えるのに対し、事業所追加の2〜3週間は「事務局窓口で当該事業所の要件確認が完了してから」です(差戻しがあれば、その対応が済むまで確認は完了しません)。[2]異動を決めてから登録を始めると、その分だけ配置が動かせません。
2つ目は、「協議会対応を委託した」と思っていても、更新のボタンは自社にしか出ないという点です。協議会事務局は、入会証明書の有効期間更新申請は登録支援機関アカウントではできない操作で、受入機関アカウントにより行うよう案内するとしています(更新時にはその受入機関に紐づく外国人の登録情報をすべて最新にする必要があるため、受入機関全体を閲覧できるアカウントに限っている、という理由づけです)。[2]代理申請を頼んでいても、期限管理と更新の実行そのものは自社の手に残ります。あわせて実務で効くのが、1人が2つ以上の事業所を兼務する場合の扱いです。就労先の登録は主な就労先1つに絞りますが、兼務するすべての事業所の情報が入会証明書に記載されている必要があります。[2]デイと特養を兼務させるような配置を考えているなら、登録は1つでも、証明書には両方が載っていなければなりません。
3つ目は、受け入れ後4か月以内の情報登録で提出する支援計画書(参考様式第1-17号)の作成義務は、委託していても自社に残るという点です。登録支援機関に委託できるのは支援計画の実施であって、支援計画の作成は受入れ機関の義務です(登録支援機関は作成を補助できるにとどまります)。協議会へ出すのは自社が作成した計画の写しなので、委託先にどこまで補助してもらい、いつ手元で確定させるのかを契約時に決めておくと、期限に追われずに済みます。
なお、協議会のほかにも、入管への定期届出が自社の名義に残ります。頻度は現在は年1回です=出入国在留管理庁は「四半期に1度の定期届出の提出は、2025年4月15日までに提出するもので最後」としており、古い資料の「四半期ごと」の記載で予定を組まないでください。[5]年1回の定期届出の様式は、受入れ・活動・支援実施状況をまとめた1本です(参考様式第3-6号)。⚠️ 全部委託でも、届出の提出が委託先へ移るわけではありません=出入国在留管理庁は、支援の全部の実施を登録支援機関に委託している場合について「登録支援機関による支援実施状況も取りまとめて、併せて提出していただく必要があります」とし、登録支援機関側には「定期届出の提出は、特定技能所属機関が行うこととされていますので、必要な書類等を特定技能所属機関に提供してください」と案内しています。[5]つまり委託先から支援実施状況の書類を受け取り、自社の名義で取りまとめて出すのが現行の形です(自社から支援状況が提出されないと、登録支援機関の側が登録取消しになることがあるとまでされています=委託先にとっても他人事ではありません)。対象期間・提出期限を含む届出の全体像は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で整理しています。届出の仕組みと「委託先からの報告頻度を契約前に決める」観点は登録支援機関の選び方で解説しています。
委託の範囲は契約で決める(訪問系サービスの遵守事項は事業者の義務)
訪問系サービスに従事させる場合、事業者に求められる遵守事項は登録支援機関へ丸ごと預けられる性質のものではありません(そもそも訪問系への従事は2025年4月から順次、一部のサービスについて認められたもので、それ以前は従事自体ができませんでした=解禁の経緯と対象サービスの範囲は訪問介護に特定技能の外国人は従事できるか)。この5つは各在留資格の介護分野に係る告示に規定された事項です。特定技能では、平成31年厚生労働省告示第66号(介護分野に特有の事情に鑑みて定められた基準)の第2条第2号イ〜ホがこれにあたり、特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準の一部として、契約の相手方となる機関が「いずれにも該当すること」を求めています。[6]厚生労働省の通知(令和7年3月31日付 社援発0331第40号・老発0331第12号)はその詳細を示したものです。通知は5つを一貫して受入事業者に求められるものとして書いています。⚠️ 適合の確認が行われる場面を取り違えないでください=この遵守事項は在留諸申請の場で審査されるものではなく、訪問系サービスに従事させる前に、巡回訪問等実施機関(特定技能では協議会の事務局)へ書類を提出して確認を受ける手続きです。運用要領別冊は「遵守事項等は、地方出入国在留管理局への申請時ではなく、巡回訪問等実施機関において訪問系サービスに従事させる前に確認を行う」としています。[6]その後も巡回訪問で遵守状況が確認されます。[7]手続きの中身は訪問介護に特定技能の外国人は従事できるかで解説しています。[8]
- 外国人介護人材への研修の実施
- 一定期間の同行訪問等によるOJTの実施
- 本人の意向確認とキャリアアップ計画の策定(「本人と共同して作成」は告示ではなく、後述の通知〔社援基発0331第4号〕が定めています)
- ハラスメント対策(未然防止のマニュアル・管理者等の役割の明確化・対処ルールの作成と共有・利用者やその家族等への周知/実際に起きた場合のルールの実行と相談窓口の設置・周知。カスタマーハラスメントへの措置も求められます)
- ICTの活用等による環境整備(緊急時の連絡先・対応フローのマニュアル/緊急時を想定した研修/他の職員が駆け付けられる体制/サービス提供記録や申し送りを職員全員で情報共有する仕組み)
④のハラスメント対策は、厚生労働省のQ&Aが「以下に掲げる対応のいずれも行うことが必要である」と明記しており、未然防止側(マニュアル・役割の明確化・ルールの作成と共有・利用者やその家族等への周知)と発生時側(ルールの実行・相談窓口の設置と周知)の両方がそろって初めて満たされます。⚠️ さらに3つ目があります=同Q&Aは「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号)」に記載された、事業主の方針の明確化などの取組についても「実施することが必要である」としています。[7]⑤には同じ「いずれも」の逐語こそありませんが、運用要領別冊は4点を並べて「行うこと」と結んでおり、[6]「緊急時の体制整備」と縮めて理解すると4つ目の情報共有の仕組みが抜けます。委託の話をする前に、④は未然防止・発生時・老企第25号の取組の3つが、⑤は4点がそろっているかを自社で確認してください。5つそれぞれの中身と、巡回訪問で求められたときに出せるよう常備する資料は訪問介護に特定技能の外国人は従事できるかで整理しています。
ここで正確を期すと、この通知と同Q&Aを2026年8月14日時点で全文検索した限り、「登録支援機関に委託できる/できない」という区分の記載は確認できませんでした(「登録支援機関」「委託」の語で照合)。[7]「委託が禁じられている」わけではなく、義務の帰属は制度が事業者に定めている一方で、その実務を誰に手伝ってもらえるかは制度が線引きしていない、というのが実際のところです。だからこそ実務では、どこまで手伝ってもらえるかが契約でしか決まらないことになります。同行訪問の記録づくり、キャリアアップ計画の様式準備、巡回訪問等実施機関へ提出する書類の下準備といった作業について、担当範囲を契約前に文章で確認しておくのが安全です。
契約の話に入る前に、制度側で1つだけ決まっている枠があります。出入国在留管理庁は、登録支援機関は委託を受けた支援業務の実施をさらに委託することはできないとしています。[9]支援業務の委託は、受入れ機関から登録支援機関までで止まるということです。候補から「一部は提携先が担当します」という説明が出てきたら、その提携先が誰と契約するのかを確認してください。支援業務を委託先がさらに下請けに回す形は認められません。一方で、1つの受入機関を複数の登録支援機関が支援している状態は実在します(協議会の申請システムのQ&Aが、その場合のアカウント権限の扱いを説明しています)。[2]⚠️ 委託の形を決める前に押さえておきたいのは、支援計画の全部の実施を委託した場合にだけ、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされる、という点です。[9]全部委託に当たるかどうかで自社の扱いが変わるため、契約の形を決めるときは支援計画のどこまでを委託するのかを明確にしてください(定期届出は前節のとおり=全部委託でも取りまとめて出すのは自社です)。なお、再委託の禁止が対象にしているのは「委託を受けた支援業務の実施」です=人材紹介や日本語教育の外部講座のような支援業務でないサービスを提携先が担う形まで禁じる記述ではありません(どこまでが支援業務の委託に当たるかは契約で確認してください)。
訪問系サービスの本人要件(初任者研修課程等の修了と原則1年以上の実務経験、その例外)、5つの遵守事項の中身、巡回訪問等実施機関への届出と適合確認、利用者・家族への書面説明までの手順は訪問介護に特定技能の外国人は従事できるかで詳しく解説しています。
介護福祉士へのキャリア支援は義務的支援の外にある
介護福祉士の資格取得支援や、在留資格「介護」への移行の後押しは、登録支援機関の義務的支援には含まれません。出入国在留管理庁が示す義務的支援10項目は、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保・生活に必要な契約支援、生活オリエンテーション、公的手続等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援(人員整理等の場合)、定期的な面談・行政機関への通報であり、資格取得やキャリアアップの支援はここに入っていないためです。[9]
これは介護で無視できない差になります。介護分野には特定技能2号がなく、長く働いてもらう道筋は介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ移行するルートが中心だからです。「長期就労まで見据えて支援します」という提案を受けたら、それが契約に書かれているのかを確認する——ここが介護特有の確認ポイントになります。義務的支援の範囲内だと理解したまま契約すると、実際には何も約束されていないという食い違いが起こり得ます。
⚠️ 訪問系サービスを行う事業所では話が変わります。前述のキャリアアップ計画は、本人の資格取得・研修受講の目標と、それに対して事業所が行う支援の内容まで書くことが求められる書面です。つまり訪問系をやるなら、資格取得支援は「契約に書かなければ何も動かない任意の話」では済まず、計画に書いて実施する対象になります。委託契約の話とは別に、本人と共同して作成し、受入事業者の説明者と本人の双方が署名し、写しを本人へ交付する書面として設計してください(作成主体は受入事業者と本人で、登録支援機関ではありません)。[10]⚠️ 作って社内に置くだけでは終わりません=厚生労働省の通知は、作成後は写しを本人へ交付したうえで「巡回訪問等実施機関には、その計画を提出すること」としており、[10]提出がなされない場合などは遵守事項を満たさないと判断されることがあります。[7]定期報告のたびに作り直す仕組みで、その評価期間の起点と提出期限を含む手続きの全体像は訪問介護に特定技能の外国人は従事できるかで解説しています。[8]
契約に書く内容は、受験資格から逆算すると具体になります。介護福祉士国家試験の実務経験ルートは、社会福祉振興・試験センターの案内で一定の日数の実務経験に加えて、実務者研修の修了が必要とされています。[11]特定技能1号の在留期間は通算で5年が上限なので、[1]入職日から数えて、どの年度の試験が最初の受験機会になるかを先に確定させると、5年の中で受験機会を何回持てるか(不合格だった場合の再受験を含む)が見えます。⚠️ 5年で終わりと決めつけないでください=介護福祉士国家試験のパート合格による在留期間の延長措置があり、ここでも自社が動きます。厚生労働省は、支援を登録支援機関に委託している場合でも「確認依頼書については、特定技能所属機関(特定技能外国人と雇用契約を結んでいる施設・事業所等)においてとりまとめて厚生労働省に郵送いただきたい」とし、あわせて「特定技能所属機関においては、合格発表前に学習計画の策定をするなど、事前に確認依頼書類の準備をお願いしたい」としています。[12]⚠️ 委託先に寄せられる部分もあります=同じQ&Aは、支援を登録支援機関に委託している場合、学習計画の「支援責任者」は登録支援機関の支援責任者を記載してよいとしています。[12]書類の中身は委託先の名前でよいが、とりまとめて出すのは自社、という分かれ方です。⚠️ 郵送のみの受付で申請期限もあります=延長の要件・提出書類・期限の全体像と、必要な日数の数え方・「実務経験見込み」での受験・3ルートの違いは外国人介護福祉士|合格率は3人に1人・実務経験3年ルートと在留資格「介護」への変更で扱っています。委託先と任意的支援を取り決めるなら、「実務者研修の受講先の案内・スケジュール調整」「受験手続きの情報提供」「学習時間に配慮したシフトの相談」のように、この時間割のどこを支えるのかまで具体化して書くと、絵に描いた餅になりません。
長期就労のルートそのもの(介護福祉士の取得と在留資格「介護」)は外国人介護福祉士|合格率は3人に1人・実務経験3年ルートと在留資格「介護」への変更、義務的支援と任意的支援の違いは特定技能の義務的支援10項目で整理しています。
介護で委託先に確認する6つのこと
業種を問わない比較の観点は全業種版に譲り、ここでは介護だけに効く6つに絞ります。比較の進め方も、契約書と見積もりで見る項目も登録支援機関の選び方が一覧です。
- 協議会まわりの担当範囲 — 代理申請を頼むのか自社で申請するのか。入会証明書の更新時期(初回1年・更新後4年)と事業所追加のたびの申請を、どちらが管理するのか。
- 受け入れ後4か月以内の情報登録に必要な書類の受け渡し — 支援計画書(参考様式第1-17号)をいつ・どの形式で渡してもらえるのか。
- 訪問系サービスへの対応 — 訪問系を行う(または今後行う)なら、5つの遵守事項すべて(研修・同行訪問等のOJT・キャリアアップ計画・ハラスメント対策・ICT活用等による環境整備)と提出書類の下準備について、どこを手伝うのかを文章で確認します。ハラスメント対策と環境整備を確認項目から落とさないでください(相談窓口の設置・緊急時に駆け付けられる体制は自社の現場側の話になりやすく、委託の話から抜けがちです)。
- 資格取得支援を契約に書けるか — 介護福祉士の受験支援・学習フォローを行う場合、任意的支援として契約書に明記できるか。書けるなら、月額に含まれるのか別料金(オプション)なのかまで確認します。
- 夜勤・利用者対応など介護現場の相談への慣れ — 夜勤帯の連絡体制、利用者・家族とのトラブル時の対応、母国語で相談できる時間帯(夜勤に入れるまでの流れは特定技能「介護」とは)。夜勤中の業務上の判断は自社の指揮命令系統・生活の相談は委託先、と経路を分けて本人に示せるかも決めどころです。あわせて、早番・夜勤と公共交通の空白時間帯が重なる通勤の手段を誰がどう確保するかも、委託先任せにせず先に詰めます。
- 現場の日本語を誰が教えるか — 義務的支援の「日本語学習の機会の提供」は、出入国在留管理庁の説明では日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等です。[9]つまり申し送り・介護記録・事故報告で使う言い回しや、身体部位・ケアの手順の言葉を教えること自体は、この項目には入っていません。委託先が「日本語支援あり」と言うとき、それが教室・教材の案内までなのか、介護の現場語彙まで見るのかで中身がまったく違います。自社の教育担当が教える範囲と、委託先に頼む範囲を先に線引きして契約に落としてください(線引きしないまま「日本語は任せた」と思い込むのが、現場で最初に食い違う点です。試験のレベルで現場の業務がどこまで頼めるかの目安は特定技能の試験(日本語試験の節))。
補足として、2026年8月14日時点で、介護分野の運用要領(別冊)の章立てに「1号特定技能外国人支援計画」を主題とする節は確認できませんでした(=介護分野向けの支援基準という独立した規定が置かれていない。同別冊で「支援計画」の語が出るのは根拠省令の名称と上陸許可基準の条文引用のみ)。[6]告示第2条が受入れ側に上乗せしているのは、①事業所が介護等の業務を行うこと ②訪問系サービスに従事させる場合の本人要件・利用者等への説明と5つの遵守事項 ③人数枠(日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないこと=この「等」に技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生は含まれません) ④協議会の構成員であること ⑤協議会で協議が調った事項に関する措置を講ずること ⑥協議会への必要な協力 ⑦厚生労働大臣等が行う調査・指導等への必要な協力——の七号(柱書は、訪問系サービスに従事させない場合には第二号を除くとしています)で、義務的支援10項目の中身に介護固有の上乗せはありません。[6]
つまり「介護に強い登録支援機関」を制度が定義してくれるわけではありません(登録の基準に介護分野の上乗せは確認できず、上のとおり別冊には登録支援機関への言及自体がありません)。差が出るのは要件の充足ではなく、上の6つ——とりわけ協議会まわりの実務経験・訪問系5事項のどこを手伝えるか・資格取得支援を契約に書けるか・介護現場の時間帯と相談への対応体制——をどこまで担ってきたかという実務の中身です(制度が線引きしていない以上、経験の有無がそのまま差になります)。
実績を尋ねるときは「介護の実績がありますか」ではなく、自社と同じ施設形態で直近1年に何名を支援したか、協議会や訪問系の実務で担当した範囲はどこまでか、と具体的に聞くほうが差が出ます。定着率・離職率を掲げる候補には、分母(何名中か)と期間もあわせて確認します(自称の実績値は分母の取り方で見え方が変わります)。この聞き方に値打ちがあることは、登録支援機関全体の実態が裏づけます=出入国在留管理庁の意識調査(令和4年7月)では、登録支援機関が過去1年間に支援した外国人数は「10人以下」の区分が37%で最も多く、「0人」の登録支援機関が25%ありました。[1]登録されていること自体は、支援の経験量を意味しません。
委託費は「毎月の定額部分」でそろえて比べる
介護に限った公的な委託費の集計は、2026年8月14日時点で出入国在留管理庁の公表資料からは確認できませんでした。使えるのは全分野・全国の集計で、そこから読み取れるのは「相場」ではなく自社が受け取った見積もりがどのあたりに位置するかです。
費用の水準そのものは、出入国在留管理庁の集計(令和4年9月末時点・暫定値)で支援委託料(月額)の平均が28,386円、全体の約90%が月30,000円以下でした。[1]⚠️ これは全分野・全国の値で、介護に限った内訳ではありません(原典は分野を限定せず、令和4年9月末時点で在留する特定技能外国人を対象に集計しており、分野別の内訳は含まれていません)。
金額帯ごとの分布(7区分の構成比)と、そこへ自社の見積もりを置く手順は登録支援機関の費用相場で解説しています。ここで押さえておきたいのは、介護でその分布を使うときの前提が2つあることです。
1つ目は、比べる前に見積もりから初期費用と都度払いの費目を外し、「毎月の定額部分」だけを取り出すこと。分布は月額のものなので、初期費用が別建ての見積もりをそのまま置くと位置がずれます。外す側の費目(事前ガイダンス・生活オリエンテーション・空港送迎・公的手続への同行などの1回ごとの課金)に何がいくらで並ぶのかと、初年度総額での比べ方も同記事で扱っています。
2つ目は、介護では「月額に含まれる支援の範囲」に、この記事で見てきた自社側の手続きが入っていないこと。協議会の入会・更新・事業所追加、入管への随時届出と定期届出、訪問系の遵守事項とキャリアアップ計画は、いずれも金額の多寡ではなく誰がやるかの問題です。提示額がどの帯にあるかを見たうえで、上振れしているなら何が含まれているのかを、下振れしているなら後述の「自社に残る手続きは、いつ発生するか」の表のどの行が自社に返ってくるのかを確認してください。介護で採用にかかる総額の内訳は特定技能 介護の費用で詳しく整理しています。人材の紹介から支援委託まで一貫して頼める会社かどうかも、窓口が分かれる場合との費用・責任の違いに効きます=紹介側の費用の仕組みは紹介手数料の決まり方で解説しています。
なお、2025年9月30日公布の法務省令(令和7年法務省令第45号)により、2027年4月1日からは支援実績と費用の額・内訳の公表が登録支援機関の登録の基準に加わります(既存の登録には経過措置があります)。各機関の料金を見積もりの前に自分で見比べられるようになる変化で、詳しくは登録支援機関の費用相場で解説しています。[13]
なお本記事では、方針として個別の機関名のリストやランキングは載せていません。介護に対応する候補を自分で洗い出したい場合は、出入国在留管理庁の登録簿から都道府県×対応言語で絞り込む手順を登録支援機関の選び方で解説しています(全国に何機関あるか・都道府県別と対応言語の分布は登録支援機関の統計データ)。すでに委託していて見直したい場合の手順は登録支援機関の変更(乗り換え)をご覧ください。
委託先が満たしている要件と、自社に残る要件は別のもの
「介護で委託するには何の要件が要るのか」を調べると、主語の違う2種類の要件が混ざって出てきます。切り分けると次のようになります。
| 誰が満たすか | 何を満たすか | 介護固有の上乗せ | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 委託先(登録支援機関) | 出入国在留管理庁長官の登録を受けていること(登録の基準・登録拒否事由に介護分野の上乗せは確認できない) | 確認できない=2026年8月14日時点で介護分野の運用要領(別冊)を全文検索した限り、「登録支援機関」の語自体が出てきません(=介護固有の要件を登録支援機関に課す規定は置かれていない) | 登録支援機関とは |
| 自社(受入れ機関) | 特定技能雇用契約と支援体制の基準。支援計画の全部の実施を委託すれば、支援体制の基準は満たすものとみなされます | あり=告示第2条の七号(事業所が介護等の業務を行う/訪問系の本人要件と5つの遵守事項/人数枠/協議会の構成員・協議事項の措置・協力/調査等への協力) | 介護の人数枠(何人まで?) |
ここから出てくる実務上の含意は2つです。1つは、委託先の側に課される「介護の要件」が制度に見当たらないので、候補の絞り込みは要件の充足ではなく実務の中身(上の「介護で委託先に確認する6つのこと」)で見るしかないということ。もう1つは、自社側の介護固有の要件は、全部委託にしても消えないということです。全部委託でみなされるのは支援体制の基準だけで(定期届出も自社が取りまとめて出します)、協議会の構成員であることや訪問系の遵守事項は告示が受入れ機関に課しているためです。⚠️ 構成員の義務は放置すると退場に直結します=関係法令・関係規程・構成員遵守事項・訪問系サービスの遵守事項等を満たさず、再三の指導等によっても改善が見られないときは、協議会事務局により強制的に脱退手続きが行われたうえで、ホームページ等で公表することとされています(入会規程第8条)。[4]登録の基準・登録拒否事由の中身は登録支援機関とは、自社で支援体制を組む場合に満たす要件(支援責任者・支援担当者の選任基準や中立性)は自社支援か登録支援機関への委託かが詳しいです。
自社に残る手続きは、いつ発生するか
上で見た「自社に残るもの」は、年に何回・いつ来るのかが分かって初めて体制の話になります。委託の有無にかかわらず自社の名義で発生するものを、時期順に並べると次のようになります。
| いつ | 自社がやること | 期限・所要の目安 |
|---|---|---|
| 受け入れを決めたら(在留諸申請より前) | 協議会へ入会申請(登録支援機関は入会対象外・代理申請は依頼可) | 入会申請後2〜3週間程度で入会証明書が発行(差戻しがあればその対応後) |
| 委託すると決めたら(在留諸申請より前) | 委託先を選んで支援委託契約を締結(支援計画は在留諸申請に当たり作成・提出するもの=委託の内容は申請前に固まっている必要があります) | 締結・変更・終了のたびに入管への随時の届出(後述の「委託を始めたとき」の行) |
| 在留諸申請のとき | 受入事業所情報が登録された入会証明書と、受入れに関する誓約書(分野参考様式第1-1号)の写しを提出 | 証明書がないと在留諸申請は許可されません |
| 受け入れてから | 当該外国人の情報を協議会へ登録(雇用条件書〔参考様式第1-6号〕・支援計画書〔参考様式第1-17号〕・在留カードの写し) | 受け入れから4か月以内 |
| 事業所を追加するとき・就労中の人を別の事業所へ動かすとき | ①協議会へ受入事業所の登録を申請 ②入管へ特定技能雇用契約変更の届出(介護分野における業務を行わせる事業所の概要書〔分野参考様式第1-2号〕を添付) | ①は要件確認の完了から2〜3週間程度で証明書を再発行。②は事業所の変更があった場合に必要 |
| 入会証明書の有効期限が近づいたら | 協議会申請システムで有効期間の更新(受入機関アカウントでのみ操作可) | 有効期限の4か月前から可能。確認完了から2週間程度で発行 |
| 委託を始めたとき・変えたとき・やめたとき | 入管への随時の届出(登録支援機関との支援委託契約の締結・変更・終了/支援計画の変更) | 契約を動かすたび(不履行・虚偽の罰則を含む届出の詳細は受け入れ要件) |
| 年に1回 | 入管への定期届出(受入れ・活動・支援実施状況=参考様式第3-6号。全部委託の場合は委託先の支援実施状況も取りまとめて自社が提出) | 2025年4月15日提出分を最後に四半期→年1回(対象期間・期限は受け入れ要件) |
| 訪問系サービスに従事させるなら | 従事前に巡回訪問等実施機関の確認を受ける/キャリアアップ計画を本人と共同作成し署名・交付・提出 | 確認は従事させる前。計画は定期報告のたびに作り直す |
| 介護福祉士国家試験のパート合格で在留期間の延長を使うなら | 確認依頼書類を自社(特定技能所属機関)がとりまとめて厚生労働省へ郵送/学習計画は合格発表前から準備 | 郵送のみの受付で申請期限あり(要件・期限の全体像は外国人介護福祉士) |
⚠️ 見落としやすいのは事業所を動かすときの②です=協議会側の事業所登録だけを済ませて、入管への特定技能雇用契約変更の届出を忘れる形が起こり得ます。運用要領別冊は「1号特定技能外国人の受入れ後に当該1号特定技能外国人が業務に従事する事業所に変更がある場合には、特定技能雇用契約変更の届出が必要です」としています。[6]この表のどの行を委託先に手伝ってもらえるのかを、契約前に1行ずつ当てていくと、「委託したのに作業が減らない」のずれが先に見つかります。
自社支援という選択肢
支援は必ず委託しなければならないわけではなく、要件を満たせば自社で行うこともできます。介護は協議会の入会・入会証明書の管理・訪問系の遵守事項がもともと自社の名義と責任に残るため、「委託しているのに自社の作業が減らない」と感じている事業所は、自社支援に切り替えたときの負担増が想像より小さいこともあります。自社支援に必要な体制(支援責任者・支援担当者の選任や欠格事由)と切り替えの手順は自社支援か登録支援機関への委託かで比較しています。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援も参考にしてください。
まとめ
介護で登録支援機関を選ぶ判断は、自社の名義と責任に残るものを先に確定させることから始まります。協議会への入会は登録支援機関が対象外で、入会証明書は法人単位で1通発行され、初回1年・更新後4年の期限があり、就労できるのは裏面に載っている事業所・施設種別に限られます。訪問系サービスの遵守事項は受入事業者に求められるもので、適合の確認は在留諸申請の場ではなく、従事させる前に巡回訪問等実施機関が行います。介護福祉士へのキャリア支援は義務的支援の10項目には入りませんが、訪問系に従事させるならキャリアアップ計画に資格取得・研修受講の目標と事業所側の支援内容まで書き、双方が署名して写しを本人へ交付し、巡回訪問等実施機関へ提出することが求められます。⚠️ スケジュールに効くのは発行までの時間です=入会証明書は新規入会なら申請後2〜3週間、事業所の追加なら要件確認の完了後2〜3週間、有効期間の更新なら確認完了後2週間程度を見込んでください。就労中の人を別の事業所へ動かすときは、協議会への事業所登録だけでなく、入管への特定技能雇用契約変更の届出も自社に残ります。委託先の側に課される「介護の要件」は制度に見当たらず(2026年8月時点の全文検索では、別冊に登録支援機関への言及がありません)、介護固有の要件は告示第2条が受入れ機関に課す七号=全部委託にしても自社から消えません。
そのうえで費用は、支援委託料の公的な集計(全分野・全国の月額平均28,386円・約90%が月30,000円以下=介護に限った内訳ではありません)を目安に、初期費用と都度払いを外した「毎月の定額部分」で、含まれる支援の範囲をそろえて比べます。協議会そのものへの入会費・年会費・月会費はかからないため(協議会以外の負担が無いという意味ではありません)、「協議会費用」という費目が出てきたら中身を確認してください。
介護の受け入れ全体像は特定技能「介護」とは、制度の全体像は特定技能とは?をご覧ください。
よくあるご質問
- 介護分野の特定技能協議会への入会は、登録支援機関に任せられますか?
- 入会そのものは任せられません。介護分野における特定技能協議会は、登録支援機関を入会の対象としておらず、入会対象は受入機関のみとされています。ただし申請手続きについては、受入機関が登録支援機関の代理申請用アカウントを作成することで代理申請ができる仕組みが設けられています(委託は任意で、原則は受入機関の担当者が申請します)。つまり入力作業は頼めても、構成員としての名義と責任は自社に残ります。
- 介護分野の特定技能協議会に入会費や年会費はかかりますか?
- かかりません。介護分野における特定技能協議会事務局(公益社団法人国際厚生事業団)のQ&Aは「入会費、年会費などの費用はかかりません」とし、同事務局のよくあるご質問は「入会費、年会費、月会費は一切かかりません」としています。建設分野のJAC受入負担金のような協議会そのものへの継続的な会費は介護にはありません(協議会以外の負担がまったく無いという意味ではありません)。見積もりに「協議会費用」といった費目がある場合は、何を指しているのかを確認してください。
- 協議会の入会証明書には期限がありますか?事業所ごとに取り直しますか?
- 期限はあります。ただし入会証明書は事業所ごとに発行されるものではなく、受入機関単位(法人単位)で発行され、確認が完了した受入事業所の情報は裏面に記載されます。裏面に記載された受入事業所・施設種別でのみ特定技能外国人の就労が可能になるため、事業所や施設種別を増やすときは、協議会申請システムでその事業所情報を登録・申請し、事務局の確認を経て当該事業所を裏面に載せた入会証明書の再発行を受けます(事業所ごとに別々の証明書が増えるのではなく、法人の1通が更新されていく形です)。有効期間は初回発行時が1年間、更新後は4年間で、有効期限の4か月前から協議会申請システム上で更新できます(更新の操作は受入機関アカウントに限られ、代理申請を委託していても更新の実行は自社に残ります)。⚠️ 発行までの時間も見込んでください=協議会事務局の目安は、新規入会が入会申請後2〜3週間程度、事業所を追加する場合が要件確認の完了から2〜3週間程度、有効期間の更新が確認完了から2週間程度です(起点が違う点に注意してください)。既に就労中の人を別の事業所へ動かす場合も事前の登録が必要です。⚠️ 協議会側だけで終わりではありません=事業所に変更があった場合は、入管への特定技能雇用契約変更の届出(介護分野における業務を行わせる事業所の概要書〔分野参考様式第1-2号〕を添付)も必要です。入会証明書がないと地方出入国在留管理局への在留諸申請が許可されないため、複数の事業所を運営している場合は特に注意が必要です。
- 介護で登録支援機関に委託する費用はいくらが目安ですか?
- 介護に限った公的な集計は、2026年8月時点では出入国在留管理庁の公表資料から確認できていません。目安になるのは全分野・全国の集計で、出入国在留管理庁(令和4年9月末時点・暫定値)では支援委託料(月額)の平均が28,386円、全体の約90%が月30,000円以下でした。国が定めた相場や上限も同じ範囲では確認できず、含まれる支援の範囲によって金額が変わります。見積もりを比べるときは、初期費用と都度払いを外した「毎月の定額部分」でそろえてください(金額帯ごとの分布と、そこへ自社の見積もりを置く手順は[登録支援機関の費用相場](/guide/shien-kikan-hiyou)で解説しています)。
- 介護に対応できる登録支援機関かどうかは、どの要件で見分けますか?
- 制度上の要件では見分けられません。登録支援機関の登録の基準に介護分野の上乗せは確認できず、2026年8月14日時点で介護分野の運用要領(別冊)を全文検索した限り「登録支援機関」の語自体が出てこないためです(=介護固有の要件を登録支援機関に課す規定が置かれていない)。介護固有の要件は告示第2条が受入れ機関に課すもの(事業所が介護等の業務を行うこと、訪問系サービスの本人要件と5つの遵守事項、人数枠、協議会の構成員であること・協議が調った事項の措置・協議会への協力、厚生労働大臣等の調査等への協力の七号)で、支援計画の実施の全部を委託しても自社から消えません。したがって候補の絞り込みは、要件の充足ではなく実務の中身——とりわけ協議会の申請・更新をどれだけ回してきたか、訪問系の5事項のどこを手伝えるか、資格取得支援を契約に書けるか(月額内か別料金かまで)、夜勤帯の連絡体制があるか——で見ます(なお2025年9月30日公布の法務省令により、2027年4月1日からは費用と支援実績の公表が登録の基準に加わります〔既存の登録には経過措置〕=比べる材料は増えます。詳細は[登録支援機関の費用相場](/guide/shien-kikan-hiyou))。出入国在留管理庁の意識調査(令和4年7月)では、過去1年間に支援した外国人数が「0人」の登録支援機関が25%ありました=登録されていること自体は経験量を意味しません。
- 介護福祉士の資格取得支援は、登録支援機関の義務的支援に含まれますか?
- 含まれません。出入国在留管理庁が示す義務的支援10項目に資格取得支援やキャリアアップ支援の項目はないため、介護福祉士の取得支援や在留資格「介護」への移行の後押しは、委託契約で個別に決める対象になります。ただし訪問系サービスに従事させる場合は別で、受入事業者が本人と共同して作成するキャリアアップ計画に、本人の資格取得・研修受講の目標と事業所側の支援内容まで記載することが求められます。この計画は社内に置いて終わりではなく、受入事業者の説明者と本人の双方が署名し、写しを本人へ交付したうえで、巡回訪問等実施機関へ提出します。長期就労を前提に採用するなら、委託契約と自社の計画の両方で設計してください。
出典・参考(一次情報)
- 特定技能制度の現状について(支援委託料の支払額の分布・登録支援機関を利用している受入れ機関の割合84.4%・支援実績0人の割合・特定技能1号の在留期間は通算5年が上限/有識者会議 参考資料)(出入国在留管理庁)
- 協議会手続きに関するQ&A(2024年9月30日 Version 1.0)(介護分野における特定技能協議会事務局(公益社団法人国際厚生事業団))
- 外国人介護人材支援 よくあるご質問(協議会加入の費用)(介護分野における特定技能協議会事務局(公益社団法人国際厚生事業団))
- 介護分野における特定技能外国人の受入れについて(在留諸申請時は「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」〔分野参考様式第1-1号〕と協議会入会証明書の写しを提出/入会規程第8条=再三の指導でも改善が見られない構成員は強制脱退のうえホームページ等で公表)(厚生労働省)
- 特定技能所属機関・登録支援機関による届出(年1回の定期届出=参考様式第3-6号「受入れ・活動・支援実施状況」/全部委託の場合「登録支援機関による支援実施状況も取りまとめて、併せて提出」「定期届出の提出は、特定技能所属機関が行うこととされています」/確認日2026年8月20日)(出入国在留管理庁)
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-(令和7年4月21日一部改正/告示〔平成31年厚生労働省告示第66号〕第2条=訪問系サービスの遵守事項・人数枠・協議会の構成員要件ほか七号)(法務省・厚生労働省)
- 「外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について」に関するQ&A(厚生労働省)
- 外国人介護人材の訪問系サービス従事における留意点について(令和7年3月31日付 社援発0331第40号・老発0331第12号/三=受入事業者の遵守事項)(厚生労働省)
- 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)
- 外国人介護人材の訪問系サービス従事に係るキャリアアップ計画等の取扱いについて(社援基発0331第4号・令和7年3月31日/第1次改正 社援基発1201第1号・令和7年12月1日/本人と共同して作成・双方の署名・写しの交付・巡回訪問等実施機関への提出)(厚生労働省)
- 介護福祉士国家試験 受験資格(実務経験+実務者研修|従業期間・従事日数と「実務経験見込み」)(公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
- 介護福祉士国家試験のパート合格による通算在留期間の延長に関する措置について(令和8年1月21日付 社援発0121第10号・令和8年3月30日一部改正/確認依頼書は特定技能所属機関がとりまとめて郵送・提出書類に学習計画〔別紙様式2〕を含む・郵送のみ受付)(厚生労働省)
- 改正法の施行に伴う法務省令の整備及び経過措置に関する省令(令和7年法務省令第45号=2027年4月1日から支援実績・費用の公表が登録支援機関の登録の基準に加わる)(出入国在留管理庁)