造船・舶用工業で特定技能の外国人を採用するには|要件・試験・業務区分
目次
造船・舶用工業は人手不足が続く分野で、特定技能による外国人材の受け入れが進んでいます。ただし、「溶接や機械加工の人材を採れても、自社の業務がどの区分に当たるか・どの試験が必要かが分からず受け入れが止まる」というつまずきが起きやすい分野でもあります。結論を先に言うと、造船・舶用工業で押さえるべき固有ルールは①対象業務区分(造船・舶用機械・舶用電気電子機器)の確認②必要な試験(造船・舶用工業分野特定技能1号試験+参照枠A2.2相当以上)③造船・舶用工業分野特定技能協議会への加入の3つです。この分野は特定技能2号があり、長期就労の道筋も用意されています。このページで、これらを順に整理します。[1]
この記事の要点
- 対象業務区分は3つ — 「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」が対象。自社の業務がどの区分に当たるかで、本人が受ける試験が変わります。
- 固有の試験と協議会がある — 造船・舶用工業分野特定技能1号試験(または技能検定3級)+参照枠A2.2相当以上が基本(関連分野の技能実習2号修了者は試験免除)。企業は造船・舶用工業分野特定技能協議会への加入が必要です。
- 特定技能2号がある — 2号では複数の作業員の指揮・命令・管理を行いながら従事することが要件。5年を超える長期就労の道筋になります。
本記事は一般的な情報提供です。造船・舶用工業分野の要件・対象業務区分は変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁および国土交通省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
造船・舶用工業の特定技能はここが特徴
造船・舶用工業で特定技能を受け入れるときは、この分野ならではの前提が3つあります。まずここを押さえます。
- 対象業務区分は「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」 — 船舶・舶用機器の製造に関わる業務が対象です。溶接・塗装・加工・組立てなどの現場作業が中心になります。
- 造船・舶用工業分野特定技能協議会への加入が必要 — 受け入れ企業は協議会の構成員になります。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 2号では、複数の作業員の指揮・命令・管理を行いながら従事することが要件とされます。
所管は国土交通省で、試験運用や調査も国土交通省が担います。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで解説しています。以下で、それぞれを詳しく見ていきます。
造船・舶用工業で必要な試験
造船・舶用工業で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。
- 技能試験 — 「造船・舶用工業分野特定技能1号試験」または技能検定3級。
- 日本語能力水準 — 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)。水準と各試験の対応(公式の換算表はありません)は特定技能の日本語試験で解説しています。
関連する分野の技能実習2号を良好に修了した人は、これらの試験が免除されます。製造現場に慣れた人材を受け入れやすいルートです(特定技能・技能実習・育成就労の違い)。
特定技能2号へ進むには、「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」または技能検定1級の合格が必要です。
試験の仕組み全般(日本語試験・技能試験・免除ルート)と他分野の試験名は特定技能の試験で確認できます。
対象となる業務区分
造船・舶用工業で対象となる業務区分は次のとおりです。自社の業務がどの区分に当たるかで、本人が受ける試験が変わります。
- 造船
- 舶用機械
- 舶用電気電子機器
これらの区分のもとで、溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立てなどの作業に従事します。区分は制度改正で見直されることがあるため、最新の内容は分野別情報で確認してください。
工業製品製造業との違い(混同しやすいポイント)
造船・舶用工業では溶接・機械加工・電気機器組立てなどの作業を行うため、同じく金属加工や電気電子機器の製造を扱う工業製品製造業と混同されることがありますが、別の分野です。
- 造船・舶用工業 — 船舶・舶用機器の製造が対象(造船・舶用機械・舶用電気電子機器)。所管は国土交通省。
- 工業製品製造業 — 部品・産業機械・電気電子・繊維・印刷など幅広い工業製品の製造が対象。所管は経済産業省。
同じ「溶接」「機械加工」でも、製造する対象が船舶・舶用機器か一般の工業製品かで分野・所管・加入する協議会・受ける技能試験が変わります。自社の製造物がどちらに当たるかで進め方が変わるため、区分の見極めが最初の分かれ目になります。
受け入れ企業に求められる要件
造船・舶用工業で受け入れるには、企業側に次のような条件が求められます。
- 造船・舶用工業分野特定技能協議会への加入 — 受け入れ企業は協議会の構成員になること。
- 必要な訓練・研修の実施 — 特定技能外国人に対し、必要な訓練又は研修を行うこと(2026年7月2日施行の基準改正で新設)。[2]
- 所管省庁の調査等への協力 — 国土交通省(又はその委託を受けた者)が行う調査、指導、情報の収集、意見の聴取その他の業務に協力すること。
企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、採用全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。
採用ルート
造船・舶用工業で特定技能外国人を採用する主なルートは次のとおりです。
- 試験合格者を採用 — 国内・海外で該当区分の試験に合格した人材を採用します。
- 技能実習からの移行 — 関連分野の技能実習2号良好修了者は試験免除でスムーズに移行できます。
- 国内在住者の採用 — すでに日本にいる特定技能外国人を採用すると、渡航費などの初期費用を抑えやすくなります。
費用の目安
造船・舶用工業でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費など。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費(1人あたり月2〜3万円程度が目安)。
なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。総額の内訳と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場で整理しています。
登録支援機関の活用
自社で生活支援の体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます(自社支援と委託の比較は自社支援か登録支援機関への委託か)。選び方は登録支援機関の選び方、契約前の確認は契約前チェックリストを参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。
長期就労:特定技能2号への移行
造船・舶用工業には特定技能2号があり、5年を超えて長く働いてもらう道筋が用意されています。特定技能2号では、複数の作業員の指揮・命令・管理を行いながら従事することが要件とされ、2号へ進むには造船・舶用工業分野特定技能2号試験(または技能検定1級)の合格が必要です。現場の中核を担う人材として長く活躍してもらう前提で、2号への移行を見据えて育成・定着を計画に入れると効果的です。
造船・舶用工業で働く特定技能外国人の実像
造船・舶用工業の特定技能1号在留者は11,471人(2026年3月末・速報値)で、受入れ見込数23,400人に対する充足率は49.0%です(全分野の充足率の比較は特定技能の受け入れ停止と分野別の充足率で整理しています)。[3]
国籍別の内訳が公表されている直近の詳細統計(2025年12月末時点・1号11,204人)では、2023年6月末(6,377人)から+76%に増えています。国籍別ではフィリピンが53.8%で最多、都道府県別では広島県が最も多くなっています。自社の採用計画を立てる際の目安として、国籍・地域・年齢構成の内訳を確認できます。
データで見る:造船・舶用工業で働く特定技能外国人
2025年12月末時点
全国で就労中
11,204人
直近2.5年の伸び
+76%
2025年12月末時点で全国11,204人(2023年6月末の6,377人から+76%)。国籍はフィリピンが53.8%で最多、都道府県は広島県が3,212人で最多です。
どの国から来ているか
- フィリピン6,028人(53.8%)
- インドネシア2,452人(21.9%)
- ベトナム1,688人(15.1%)
- 中国847人(7.6%)
- タイ144人(1.3%)
- その他45人(0.4%)
直近はインドネシアが急増(2年半で+179%)
どこで働いているか
- 広島県3,212人
- 愛媛県1,846人
- 香川県1,717人
- 長崎県1,083人
- 大分県526人
年齢層
- 18-29歳13.1%
- 30-39歳59.2%
- 40+歳27.7%
男女比
- 男性99.9%
- 女性0.1%
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末)をトモハタが集計。数値はすでに就労している人の分布で、地域の人材供給・採用競合をつかむ目安です。募集のしやすさを保証するものではありません。
分野をまたいだ全体像(全分野の人数・国籍・都道府県の統計)は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
造船・舶用工業で特定技能の外国人を採用するには、①対象業務区分(造船・舶用機械・舶用電気電子機器)のどれに当たるかの確認②必要な試験(造船・舶用工業分野特定技能1号試験・参照枠A2.2相当以上)③造船・舶用工業分野特定技能協議会への加入を押さえることが第一歩です。技能実習からの移行は試験免除でスムーズで、長期就労は特定技能2号への移行が道筋になります。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、よくある失敗は特定技能採用でよくある失敗と注意点をご覧ください。
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よくあるご質問
- 造船・舶用工業で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、造船・舶用工業分野特定技能1号試験(または技能検定3級)に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)を持つことが基本です。関連する分野の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。企業側は、受け入れ要件を満たし、造船・舶用工業分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。
- 造船・舶用工業の特定技能の対象業務区分は何ですか?
- 「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の業務区分が対象です。溶接・塗装・加工・組立てなど、船舶や舶用機器の製造に関わる現場業務に従事します。自社の業務がどの区分に当たるかで受ける試験が変わるため、最新の区分は出入国在留管理庁・国土交通省の運用方針で確認してください。
- 造船・舶用工業は特定技能2号の対象ですか?
- はい、対象です。特定技能2号では、複数の作業員の指揮・命令・管理を行いながら従事することが要件とされ、長期就労の道筋になります。2号へ進むには造船・舶用工業分野特定技能2号試験(または技能検定1級)の合格が必要です。
出典・参考(一次情報)
- 造船・舶用工業分野(出入国在留管理庁)
- 造船・舶用工業分野の基準改正(訓練・研修実施義務の新設・2026年7月2日施行)(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年3月末時点・速報値)=造船・舶用工業11,471人・充足率49.0%(出入国在留管理庁)