特定技能「工業製品製造業」とは|17区分・試験・受け入れ要件と採用の進め方
目次
工業製品製造業で外国人を採用したい、または制度を知りたい企業向けに、17区分の判定基準・試験・受け入れ要件・費用・採用の流れを1ページで整理します。工業製品製造業は対象となる業務区分が非常に幅広く、「採用したい人材が見つかっても、自社の製造がどの業務区分に当たるのか分からず手続きが進まない」というつまずきが起きやすい分野です。結論を先に言うと、押さえるべきは①自社の業務区分の特定②必要な試験(製造分野特定技能1号評価試験・参照枠A2.2相当以上)③製造業特定技能協議会への加入の3つです。さらにこの分野は、令和4年5月に旧3分野(素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業)が統合され、令和6年3月に現在の「工業製品製造業」(17区分)へ再編された経緯があるため、過去の資料は旧分野名で書かれている点にも注意が要ります。[1]このページで、これらを順に整理します。
この記事の要点
- まず自社の業務区分を特定する — 17区分あり、機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理を中心に区分が幅広く、どの区分かで本人が受ける技能試験が変わります。
- 令和4年5月統合→令和6年3月に17区分へ再編 — 素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業の旧3分野が統合され、令和6年3月に「工業製品製造業」として再編。協議会は製造業特定技能協議会(製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会)への加入が必要です。
- 1号・2号の両方がある — 機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分のみで2号が設計されており、長期就労の道筋があります。
本記事は一般的な情報提供です。工業製品製造業分野は、令和4年5月の旧3分野の統合、令和6年3月の17区分への再編と制度の見直しが続いており、対象業務区分や名称は今後も変動しうるため、最新の内容は出入国在留管理庁および経済産業省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
工業製品製造業の特定技能はここが特徴
工業製品製造業で特定技能を受け入れるときは、まず次の特徴を前提に押さえます。
- 令和4年5月統合→令和6年3月に17区分へ再編 — 「素形材産業」「産業機械製造業」「電気電子情報関連産業」の旧3分野が統合され、令和6年3月に現在の「工業製品製造業」(17区分)として再編されました。過去の資料では旧分野名で書かれていることがあるので注意してください。
- 対象業務区分が幅広い(全17区分) — 機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理を中心に、繊維・印刷などの区分も含みます。
- 製造業特定技能協議会への加入が必要 — 受け入れ企業は「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」の構成員になります。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分のみで2号が設計されています。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで解説しています。
- 受け入れ見込数は1号199,500人 — 特定技能の全分野の中でも最大規模の受入れ枠です。
自社はどの業務区分か(判定表)
工業製品製造業は業務区分が多く、全17区分あります。自社の製造物が下の表のどれに近いかを最初に確認することが、この分野の出発点です。技能試験は区分ごとに1対1で対応しており、試験名は「製造分野特定技能1号評価試験(区分名)」という形になります。[2]
| 業務区分 | 代表的な製造物・作業例(一般的な例) | 対応する技能試験 |
|---|---|---|
| 機械金属加工 | 機械部品・金属製品の切削・プレス・溶接などの加工 | 製造分野特定技能1号評価試験(機械金属加工) |
| 電気電子機器組立て | 家電・電子機器・基板などの組立て | 製造分野特定技能1号評価試験(電気電子機器組立て) |
| 金属表面処理 | めっき・塗装など金属表面の処理 | 製造分野特定技能1号評価試験(金属表面処理) |
| 紙器・段ボール箱製造 | 紙製の箱・容器、段ボール箱の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(紙器・段ボール箱製造) |
| コンクリート製品製造 | U字溝・ブロックなどコンクリート二次製品の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(コンクリート製品製造) |
| RPF製造 | 廃棄物由来の固形燃料(RPF)の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(RPF製造) |
| 陶磁器製品製造 | 食器・タイルなど陶磁器製品の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(陶磁器製品製造) |
| 印刷・製本 | 印刷物の印刷・製本加工 | 製造分野特定技能1号評価試験(印刷・製本) |
| 紡織製品製造 | 糸・織物など繊維製品の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(紡織製品製造) |
| 縫製 | 衣料品など繊維製品の縫製 | 製造分野特定技能1号評価試験(縫製) |
| 電線・ケーブル製造 | 電線・ケーブルの製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(電線・ケーブル製造) |
| プレハブ住宅製品製造 | プレハブ住宅の部材・ユニットの製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(プレハブ住宅製品製造) |
| 家具製造 | 家具の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(家具製造) |
| 定形・不定形耐火物製造 | 炉材など耐火物の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(定形・不定形耐火物製造) |
| 生コンクリート製造 | 生コンクリートの製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(生コンクリート製造) |
| ゴム製品製造 | タイヤ・ゴム部品などゴム製品の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(ゴム製品製造) |
| かばん製造 | かばん・バッグ類の製造 | 製造分野特定技能1号評価試験(かばん製造) |
「代表的な製造物・作業例」は区分名から想定される一般的な例であり、自社の製造がどの区分に厳密に該当するかを保証するものではありません。最終的な該当判断は出入国在留管理庁の分野別運用方針(別表)で確認するか、専門家にご相談ください。特定技能2号があるのは機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分のみで、他の14区分は1号のみが対象です。
区分は制度改正で見直されることがあるため、最新の内容は分野別情報で確認してください。なお、日本人が通常従事する関連業務(原材料・部品の搬送、前後工程の作業、フォークリフトの運転、清掃・保守など)への付随的な従事も認められています。
工業製品製造業で必要な試験
工業製品製造業で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。
- 技能試験 — 「製造分野特定技能1号評価試験」(上の判定表のとおり、自社の業務区分に対応する試験を受けます)。試験は分野の所管団体が国内外で実施し、区分ごとに申込・受験の流れが用意されています。実施団体・日程・申込方法など試験全般の解説は特定技能の試験にまとめています。
- 日本語能力水準 — 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)。水準と各試験の対応(公式の換算表はありません)は特定技能の日本語試験で解説しています。
対応する区分の技能実習2号を良好に修了した人は、これらの試験が免除されます。製造現場に慣れた人材を受け入れやすいルートです(特定技能・技能実習・育成就労の違い)。また、技能実習からの移行が中心となる育成就労制度でも、区分ごとに対応する評価試験(専門級)が用意されています。
特定技能2号へ進むには、「製造分野特定技能2号評価試験」とビジネス・キャリア検定3級、または技能検定1級などの合格が必要です(2号の対象は機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分のみで、他の区分は対象外です)。
飲食料品製造業・造船業との違い(混同しやすいポイント)
「製造業」という言葉が共通するため近い分野と混同されがちですが、いずれも別の分野です。
- 工業製品製造業 — 部品・産業機械・電気電子・繊維・印刷などの工業製品の製造。所管は経済産業省。
- 飲食料品製造業 — 食品工場での飲食料品(酒類を除く)の製造・加工。所管は農林水産省(飲食料品製造業)。
- 造船・舶用工業 — 船舶・舶用機関などの造船関連の溶接・塗装などが対象で、別分野として整理されています(造船・舶用工業)。
加入する協議会も技能測定試験も別なので、自社の製造物がどの分野に当たるかで進め方が変わります。同じ金属加工でも、船舶向けかどうかなどで分野が分かれる点に注意してください。
「素形材産業」「産業機械製造業」「電気電子情報関連産業」で調べている方へ
以前の資料や検索で「素形材産業」「産業機械製造業」「電気電子情報関連産業」という名称を見た場合は、いずれも現在の「工業製品製造業」の前身です。名称は次のように変わっています。
| 時期 | 呼び方 |
|---|---|
| 〜令和4年5月 | 素形材産業/産業機械製造業/電気電子情報関連産業(旧3分野・それぞれ別分野として運用) |
| 令和4年5月〜 | 工業製品製造業(3分野を統合) |
| 令和6年3月〜(現行) | 工業製品製造業(17区分に再編。本記事の内容) |
旧分野名で書かれた資料は、業務区分の名称・試験名が現行と異なっている場合があります。現在の採用手続きは、本記事の17区分・現行の試験名を基準に進めてください。
受け入れ企業に求められる要件
工業製品製造業で受け入れるには、企業側に次のような条件が求められます。
- 製造業特定技能協議会への加入 — 「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」の構成員になること。
- 所管省庁の調査等への協力 — 経済産業省が行う調査や指導に協力すること。
企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、採用全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。
採用ルート
工業製品製造業で特定技能外国人を採用する主なルートは次のとおりです。
- 試験合格者を採用 — 国内・海外で該当区分の製造分野試験に合格した人材を採用します。
- 技能実習からの移行 — 対応する分野の技能実習2号良好修了者は試験免除でスムーズに移行できます。
- 国内在住者の採用 — すでに日本にいる特定技能外国人を採用すると、渡航費などの初期費用を抑えやすくなります。
費用の目安
工業製品製造業でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 初期費用(人材紹介手数料・在留資格の申請費用・渡航費など) | 国内採用で約30〜60万円、海外採用で約50〜100万円程度 |
| 月額(登録支援機関への支援委託費) | 1人あたり月15,000〜30,000円程度 |
なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。費目ごとの内訳・採用ルート別の総額モデル(初年度約40〜130万円程度)は特定技能の採用費用・相場で詳しく整理しています(本記事では工業製品製造業に固有の費用要因はないため、費用の深掘りは同記事に譲ります)。
登録支援機関の活用
自社で生活支援の体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます(自社支援と委託の比較は自社支援か登録支援機関への委託か)。選び方は登録支援機関の選び方、契約前の確認は契約前チェックリストを参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。
工業製品製造業で働く特定技能外国人の実像
区分・試験・要件を押さえたら、次に気になるのは「実際にどんな人材を、どこで採用できるのか」です。工業製品製造業は受入れ見込数(枠)が特定技能19分野の中で最も大きい分野で、採用計画を具体化するうえで参考になる一次データがあります。
工業製品製造業の特定技能1号在留者は59,038人(2026年3月末・速報値)で、受入れ見込数199,500人に対する充足率は29.6%です。[3]在留者数では飲食料品製造業(96,367人)・介護(74,745人)に次ぐ3番目ですが、見込数は19分野で最大のため、枠にはまだ大きな余地があります(全分野の充足率の比較は特定技能の受け入れ停止と分野別の充足率で整理しています)。
国籍別の内訳が公表されている直近の詳細統計(2025年12月末時点・1号56,736人)では、2023年6月末(35,641人)から約1.6倍(+59%)に増えました。国籍別ではベトナムが57.2%で最多ですが、直近の伸びで際立つのはインドネシア(2年半で+121%)で、採用ルートの選択肢が広がっています。都道府県別では、製造業の集積地である愛知県が最も多く、大阪府・岐阜県・茨城県・静岡県と続きます。年齢層は18〜29歳が50.0%、男女比は男性74.6%・女性25.4%で、現場作業が中心の分野らしい構成です。自社の拠点がこれらの上位県に近いかどうかも、採用のしやすさを見立てる材料になります。
データで見る:工業製品製造業で働く特定技能外国人
2025年12月末時点
全国で就労中
56,736人
直近2.5年の伸び
+59%
2025年12月末時点で全国56,736人(2023年6月末の35,641人から+59%)。国籍はベトナムが57.2%で最多、都道府県は愛知県が8,651人で最多です。
どの国から来ているか
- ベトナム32,445人(57.2%)
- インドネシア10,910人(19.2%)
- フィリピン5,615人(9.9%)
- 中国4,161人(7.3%)
- タイ2,182人(3.8%)
- その他1,423人(2.5%)
直近はインドネシアが急増(2年半で+121%)
どこで働いているか
- 愛知県8,651人
- 大阪府4,091人
- 岐阜県3,241人
- 茨城県3,099人
- 静岡県3,081人
年齢層
- 18-29歳50%
- 30-39歳44.9%
- 40+歳5.1%
男女比
- 男性74.6%
- 女性25.4%
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末)をトモハタが集計。数値はすでに就労している人の分布で、地域の人材供給・採用競合をつかむ目安です。募集のしやすさを保証するものではありません。
分野をまたいだ全体像(全分野の人数・国籍・都道府県の統計)は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
工業製品製造業で特定技能の外国人を採用するには、①自社の製造物がどの業務区分(全17区分)に当たるかの確認②対応する試験(製造分野特定技能1号評価試験・参照枠A2.2相当以上)③製造業特定技能協議会(製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会)への加入を押さえることが第一歩です。旧3分野(素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業)の統合・再編(令和4年5月統合→令和6年3月再編)で区分が幅広いので、まず本記事の判定表で区分の確認から始めましょう。技能実習からの移行は試験免除、長期就労は特定技能2号(機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分のみ)への移行が道筋になります。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、よくある失敗は特定技能採用でよくある失敗と注意点をご覧ください。
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よくあるご質問
- 工業製品製造業で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、製造分野特定技能1号評価試験(自社の業務区分に対応するもの)に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)を持つことが基本です。対応する分野の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。企業側は、受け入れ要件を満たし、製造業特定技能協議会(製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会)の構成員になる必要があります。
- 工業製品製造業の対象業務区分にはどんなものがありますか?
- 機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理を中心に、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製など幅広い業務区分が対象です。自社の業務がどの区分に当たるかで、受ける技能測定試験が変わります。最新の区分は出入国在留管理庁・経済産業省の運用方針で確認してください。
- 工業製品製造業と飲食料品製造業はどう違いますか?
- どちらも「製造」分野ですが、工業製品製造業は部品・産業機械・電気電子・繊維・印刷などの工業製品の製造が対象で、所管は経済産業省です。飲食料品製造業は食品工場での飲食料品(酒類を除く)の製造・加工が対象で、所管は農林水産省です。加入する協議会も技能測定試験も別なので、自社の製造物がどちらに当たるかで進め方が変わります。
出典・参考(一次情報)
- 工業製品製造業分野(出入国在留管理庁)
- 工業製品製造業分野の分野別運用方針(別表1・業務区分と技能試験の対応)(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年3月末時点・速報値)=工業製品製造業59,038人・充足率29.6%(出入国在留管理庁)