登録支援機関の変更(乗り換え)|委託料の見直しと届出手続きを解説
目次
すでに特定技能外国人を受け入れていて、登録支援機関に支援を委託している企業向けの記事です。「毎月の委託料が相場より高い気がする」「対応が遅い・報告が不透明で見直したい」——そう感じたら、委託先の登録支援機関は契約の途中でも別の機関へ乗り換え(変更)できます。結論から言うと、乗り換えは制度上可能で、変更にともなう届出を受入れ企業が14日以内に行うのがポイントです。ただし「乗り換えれば安くなる」とは限らないので、料金差が生まれる構造を理解して比較することが先決です。このページで判断の材料を整理します。
この記事の要点
- 乗り換えは制度上できる(届出は自社の責任) — 委託先の変更を禁止する規定はありません。ただし変更にともなう届出は受入れ企業(特定技能所属機関)の義務で、登録支援機関に丸投げできません。
- 「安くなる」と決めつけず内訳で比べる — 委託料は月15,000〜30,000円程度が目安。月額に何が含まれ何が別料金かを見積書で揃えて比較し、金額だけで選ばないことが大切です。
- 届出は14日以内に2本+時期に注意 — 「支援委託契約に係る届出」と「支援計画変更に係る届出」を14日以内に提出。在留期間更新の直前は避けます。
これから初めて委託先を選ぶ段階の方は、登録支援機関とは・登録支援機関の選び方・契約前チェックリストが役立ちます。本記事は「すでに委託している企業が、契約を見直す・乗り換える」場面に絞って解説します。
登録支援機関は乗り換えできる(手続きは受入れ企業の責任)
委託先の登録支援機関を別の機関へ変更することは、制度上認められています。支援委託契約の「新たな締結・変更・終了」は届出の対象として明示されており、途中での乗り換えそのものを禁止・制限する規定はありません。[1]
ただし注意したいのは、変更にともなう届出は受入れ企業(特定技能所属機関)の義務だという点です。これを登録支援機関に代行・丸投げすることはできません。乗り換えを検討するときは「届出は自社が責任を持って行うもの」と理解しておきましょう。具体的な届出の内容は後述します。
なぜ委託料に差が出るのか(相場と料金の構造)
乗り換えで見直せるかを判断するには、まず今の委託料が相場のどこにあるかを知るのが出発点です。
委託料は1人あたり月15,000〜30,000円程度(月2〜3万円程度)が一つの目安です。委託料の内訳や金額の見方は登録支援機関の費用相場で詳しく解説しています(同記事=相場そのものの理解、本記事=すでに委託している企業の見直し、と住み分けています)。
同じ「支援の委託」でも機関によって月額に差が出るのは、主に次の3つの理由です。
| 差が出る理由 | 中身 |
|---|---|
| 料金体系の違い | 月額定額制か、支援項目ごとの単価制か。単価制(面談・相談対応などを個別課金)は積み上がると割高になりやすい |
| 含まれる支援の範囲 | 月額に義務的支援10項目のどこまで含むか。送迎の実費・住居初期費用・通訳対応などが「込み」か「別料金」かで総額が変わる |
| 継続・増員時の条件 | 2年目以降の割引や、人数が増えたときの料率設定があるか。これらが無い契約は割高に固定されやすい |
つまり「月額がいくらか」だけでは比較になりません。月額に何が含まれ、何が別料金かを見積書で並べて初めて、今の契約が割高かどうかが見えてきます。
乗り換えで見直せるケース・慎重に判断すべきケース
委託料は、乗り換えれば必ず下がるものではありません。下がる余地があるのは、次のような場合です。
- 現在の月額が目安(15,000〜30,000円程度)を明らかに上回っている。
- 項目別の単価制で、使っていない支援まで積み上がっている。
- 増員したのに人数あたりの単価が下がらない、2年目以降も割引がない。
- 委託料に対して支援の対応品質が見合っていない(連絡が遅い・報告が不透明など)。
一方で、安さだけを基準にした乗り換えは慎重に判断します。月額が極端に安い機関は、含まれる支援の範囲が狭く別料金が多いことがあり、結果として総額が変わらない、あるいは支援の質が下がって定着に響くこともあります。金額の比較は必ず同じ支援範囲どうしで行ってください(比較の観点は契約前チェックリストが使えます)。
機関の乗り換え以外にもある「変更」のパターン
委託先を別の登録支援機関に乗り換えるほかにも、支援体制の「変更」にあたるケースがあります。いずれも届出の考え方は次章と共通です。
委託から自社支援への切り替え
登録支援機関への委託をやめ、自社(受入れ企業)で直接支援を行う形に切り替えることも変更の一つです。ただし負担の大きさに注意が必要です。
支援を登録支援機関に全部委託している間は、受入れ企業が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。委託をやめて自社支援に切り替えると、このみなしが外れ、自社で支援体制の基準を満たす必要が出てきます。具体的には、外国人に対して中立な立場で支援を実施できる支援責任者・支援担当者の選任などが求められます(要件の詳細は出入国在留管理庁の最新の案内で確認してください)。[2]
「委託費を削るために自社支援へ」と考える前に、自社で支援体制を継続的に維持できるか(中立性・言語対応・定期面談や記録の実施)を見極めましょう。多くの企業にとっては、別の登録支援機関への乗り換えのほうが現実的な見直し手段です。自社支援の要件・委託との比較は特定技能は自社支援できる?要件・体制と委託からの切り替え方で解説しています。委託契約の終了届出・支援計画変更届出など、切り替えの具体的な手順は同記事の「委託から自社支援への切り替え」で解説しています。[3]
登録の更新切れ・取消・廃業による変更(やむを得ないケース)
自発的な見直しだけでなく、現在の登録支援機関の側の事情で変更が必要になることもあります。
登録支援機関の登録には有効期間(5年)があり、更新を受けなければ失効します。[2]委託先の登録が更新されない・取り消される・廃業するといった事情が生じると、その機関は支援を続けられなくなり、全部委託による基準のみなしも成立しなくなります。この場合、別の登録支援機関への変更か、自社支援への切り替えが必要になります。支援が途切れると外国人の在留に影響しかねないため、こうした兆候があれば早めに次の委託先を探し、切り替えの準備を進めておくと安全です。
乗り換えの手続き(届出は14日以内に2本)
登録支援機関を変更したとき、受入れ企業には出入国在留管理庁への随時届出が2種類発生します。いずれも事由が生じた日から14日以内に、管轄の地方出入国在留管理官署へ提出します(電子届出システム・窓口・郵送のいずれか)。
随時届出の様式・提出方法・期限は改正されることがあります(2026年4月1日施行の改正で随時届出まわりの取扱いが変更された旨が公式の届出案内にあります)。提出の前に、出入国在留管理庁の最新の届出案内で様式と期限を必ず確認してください。
新しい登録支援機関を選び、支援委託契約を結ぶ
選び方・契約前チェックリストの観点で、対応分野・地域・言語・委託範囲を確認して新しい委託先を決めます。支援が途切れないよう、現在の機関の解約予告期間と新しい機関の開始時期を重ねて調整します。
「支援委託契約に係る届出」を提出する
支援委託契約を新たに締結・変更・終了したときの届出です。乗り換えでは、届出書(参考様式第3-3-2号)の「契約の終了」欄(旧機関)と「契約の締結」欄(新機関)の両方に記入し、事由が生じた日から14日以内に提出します。
「支援計画変更に係る届出」を提出する
登録支援機関の変更は支援計画の変更にあたるため、こちらの届出も別途必要です(同じく14日以内)。
外国人本人へ説明し、支援を引き継ぐ
窓口となる支援担当者が変わることを本人に説明し、定期面談や相談対応が途切れないよう引き継ぎます。
なお、在留諸申請の書類作成や申請取次は登録支援機関の義務的支援には含まれません。これらは行政書士などの専門家の領域です。乗り換え先から「申請まですべて任せられる」といった説明があった場合は、その業務を実際に担うのが行政書士などの有資格者か(連携する専門家へ依頼する形になっているか)を確認してください。
乗り換えのタイミングと注意点
手続き自体は届出で完結しますが、時期の選び方でつまずきやすいので注意します。
- 在留期間更新の直前は避ける:更新申請の直前に支援機関を変えると、書類の整合性を確認する時間が必要になり、更新が間に合わないリスクがあります。更新時期から逆算して、できれば2〜3か月前までに変更を完了させると安全です。
- 支援を途切れさせない:支援計画は常に満たされている必要があります。旧機関の終了と新機関の開始に空白が生じないよう、契約の切り替え時期を重ねます。
- 本人への事前説明:相談窓口や面談担当が変わることは、外国人本人の生活に直結します。乗り換えの理由と新しい連絡先を本人に説明しておきます。
- 引き継ぎ書類の整理:これまでの支援実施記録・面談記録などを新しい機関へ引き継げるよう整理しておくと、支援の継続性を保てます。
業種によって変わる乗り換えの注意点
出入国在留管理庁への届出2本(各14日以内)は、どの業種でも共通です。そのうえで、分野固有の仕組みがある業種では、乗り換え前に確認したい点が1つ加わります。
外食業・飲食料品製造業:乗り換え先が協議会の構成員かを確認
この2分野では、受入企業だけでなく登録支援機関自身も、食品産業特定技能協議会の構成員になることが求められます。乗り換え先の候補が該当分野の構成員か(両分野を支援する機関は両分野で)を契約前に確認しておくと、切り替え後の支援が滞りません。[4]
建設:受入計画との関係を国土交通省の手引きで確認
建設は建設特定技能受入計画(国土交通大臣認定)の制度がある分野です。たとえば在留期間の更新に伴って雇用契約を結び直す場合には計画の変更申請が必要とされるなど、受け入れの手続きが計画と結びついています。ただし、国土交通省が示す変更申請の対象事項と変更届出事項の一覧に、支援体制や登録支援機関の変更は挙げられていません。建設で乗り換えるときに動くのは受入計画ではなく、入管への支援委託契約の届出(受入企業が14日以内)です。建設での委託の境界と、JAC受入負担金と支援委託費の切り分けは特定技能 建設の登録支援機関の選び方で解説しています(手続きは最新の手引きで確認してください)。
介護:協議会の加入は受入企業単位=乗り換えの影響なし
介護分野の特定技能協議会の構成員は受入企業自身です。委託先の登録支援機関を変えても、自社の協議会加入には影響しません。届出2本と支援の引き継ぎという共通の段取りに集中すれば大丈夫です。
なお、上記以外の業種(自動車整備・宿泊・農業など)にも協議会への加入等の分野固有ルールがありますが、構成員の要件や手続きは分野ごとに異なります。委託先の変更に伴う分野固有の手続きの有無は、各分野の所管省庁の最新案内で確認してください。
まとめ
登録支援機関の乗り換えは制度上可能で、委託料が相場より高い・対応に不満があるときの有効な見直し手段です。ポイントは次の3つです。
- 委託料は内訳で比較する:目安は月15,000〜30,000円程度(月2〜3万円程度)。月額に何が含まれるかを見積書で揃えて比べ、安さだけで決めない。
- 届出は受入れ企業の責任:変更時は「支援委託契約に係る届出」と「支援計画変更に係る届出」を14日以内に提出する(登録支援機関に丸投げできない)。様式・期限は最新の届出案内で確認する。
- 時期に注意:在留期間更新の直前は避け、支援が途切れないよう切り替える。
委託先の見直しは、登録支援機関とはで役割を、選び方と契約前チェックリストで比較の観点を、制度の全体像は特定技能採用の完全ガイドで確認できます。
「委託料を見直したい・乗り換え先を探したい」——条件に合う登録支援機関を無料でご紹介します(提携先のサービスをご紹介しています)。複数を比較する材料としてもお使いいただけます。
よくあるご質問
- 登録支援機関は契約の途中でも乗り換え(変更)できますか?
- できます。委託先の登録支援機関を別の機関へ変更することは制度上認められており、途中変更を禁止する規定はありません。ただし変更にともなう届出は受入れ企業(特定技能所属機関)の義務で、登録支援機関に代行させることはできません。支援が途切れないよう、引き継ぎと時期の調整をしたうえで進めます。
- 登録支援機関への委託をやめて、自社で支援することはできますか?
- できます。ただし負担に注意が必要です。登録支援機関に支援を全部委託している間は受入れ企業の支援体制の基準を満たしたものとみなされますが、自社支援に切り替えるとこのみなしが外れ、自社で基準(外国人に対して中立な立場の支援責任者・支援担当者の選任など)を満たす必要が生じます。要件は出入国在留管理庁の最新の案内で確認してください。多くの企業には、別の登録支援機関への乗り換えのほうが現実的な見直し手段です。
- 今の登録支援機関が廃業した・登録が更新されない場合はどうなりますか?
- 別の登録支援機関への変更か、自社支援への切り替えが必要になります。登録支援機関の登録には有効期間(5年)があり、更新されなければ失効します。委託先が支援を続けられなくなると全部委託による基準のみなしも成立しなくなるため、支援が途切れないよう早めに次の委託先を探し、切り替えの準備を進めましょう。
- 乗り換えると委託料は安くなりますか?
- 安くなる場合がありますが、必ず下がるわけではありません。委託料は月15,000〜30,000円程度(月2〜3万円程度)が一つの目安です。現在の契約がこの目安を上回っている、項目ごとの単価が積み上がっている、増員時や2年目以降の割引がない、といった場合は見直しの余地があります。ただし月額に含まれる支援の範囲が機関ごとに違うため、金額だけでなく内訳を見積書で比べて判断します。
- 乗り換えのタイミングで気をつけることは?
- 在留期間更新許可申請の直前の変更は避けるのが無難です。書類の整合性を確認する時間が必要になり、更新手続きが間に合わないリスクがあるためです。更新時期から逆算して、できれば2〜3か月前までに変更を完了させると安全です。あわせて、支援が途切れないこと、外国人本人へ事前に説明することにも注意します。
- 乗り換えの手続きは誰が行いますか?
- 変更にともなう出入国在留管理庁への届出は、受入れ企業(特定技能所属機関)の義務です。具体的には支援委託契約に係る届出と支援計画変更に係る届出を、それぞれ事由が生じた日から14日以内に提出します。これらを登録支援機関に丸投げすることはできません。なお在留諸申請の書類作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域で、登録支援機関の義務的支援には含まれません。届出の様式・期限は改正されることがあるため、提出前に出入国在留管理庁の最新の届出案内で確認してください。
- 業種によって乗り換えの手続きは変わりますか?
- 出入国在留管理庁への届出2本(各14日以内)は全分野共通です。そのうえで、外食業・飲食料品製造業では登録支援機関自身が食品産業特定技能協議会の構成員になることが求められるため、乗り換え先の候補が該当分野の構成員かを契約前に確認すると安心です。建設は建設特定技能受入計画(国土交通大臣認定)の制度がある分野のため、支援体制の変更が計画の変更手続きに当たるかを国土交通省の最新の手引きで確認してください。介護は協議会の構成員が受入企業自身なので、委託先を変えても自社の協議会加入には影響しません。
出典・参考(一次情報)
- 支援委託契約に係る届出(出入国在留管理庁)
- 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(全部委託による基準のみなし・登録の有効期間)(出入国在留管理庁)
- 支援計画変更に係る届出(出入国在留管理庁)
- 食品産業特定技能協議会について(農林水産省)