登録支援機関の乗り換え(変更)|委託料の見直しと届出手続きを解説
目次
すでに特定技能外国人を受け入れていて、登録支援機関に支援を委託している企業向けの記事です。「毎月の委託料が相場より高い気がする」「対応が遅い・報告が不透明で見直したい」というとき、委託先の登録支援機関は契約の途中でも別の機関へ乗り換え(変更)できます。このページでは、乗り換えで委託料を見直せるケースの考え方と、変更にともなって受入れ企業に必要な届出・時期の注意点を整理します。
これから初めて委託先を選ぶ段階の方は、登録支援機関とは・登録支援機関の選び方・契約前チェックリストが役立ちます。本記事は「すでに委託している企業が、契約を見直す・乗り換える」場面に絞って解説します。
登録支援機関は乗り換えできる(手続きは受入れ企業の責任)
委託先の登録支援機関を別の機関へ変更することは、制度上認められています。支援委託契約の「新たな締結・変更・終了」は届出の対象として明示されており、途中での乗り換えそのものを禁止・制限する規定はありません。
ただし注意したいのは、変更にともなう届出は受入れ企業(特定技能所属機関)の義務だという点です。これを登録支援機関に代行・丸投げすることはできません。乗り換えを検討するときは「届出は自社が責任を持って行うもの」と理解しておきましょう。具体的な届出の内容は後述します。
なぜ委託料に差が出るのか(相場と料金の構造)
乗り換えで見直せるかを判断するには、まず今の委託料が相場のどこにあるかを知るのが出発点です。
出入国在留管理庁の調査では、特定技能外国人1人あたりの月額支援委託費の平均は約2.8万円で、多くの機関が15,000〜30,000円程度に収まっています。委託料の内訳や金額の見方は登録支援機関の費用相場で詳しく解説しています。
同じ「支援の委託」でも機関によって月額に差が出るのは、主に次の3つの理由です。
| 差が出る理由 | 中身 |
|---|---|
| 料金体系の違い | 月額定額制か、支援項目ごとの単価制か。単価制(面談・相談対応などを個別課金)は積み上がると割高になりやすい |
| 含まれる支援の範囲 | 月額に義務的支援10項目のどこまで含むか。送迎の実費・住居初期費用・通訳対応などが「込み」か「別料金」かで総額が変わる |
| 継続・増員時の条件 | 2年目以降の割引や、人数が増えたときの料率設定があるか。これらが無い契約は割高に固定されやすい |
つまり「月額がいくらか」だけでは比較になりません。月額に何が含まれ、何が別料金かを見積書で並べて初めて、今の契約が割高かどうかが見えてきます。
乗り換えで見直せるケース・慎重に判断すべきケース
委託料は、乗り換えれば必ず下がるものではありません。下がる余地があるのは、次のような場合です。
- 現在の月額が相場(15,000〜30,000円程度)を明らかに上回っている。
- 項目別の単価制で、使っていない支援まで積み上がっている。
- 増員したのに人数あたりの単価が下がらない、2年目以降も割引がない。
- 委託料に対して支援の対応品質が見合っていない(連絡が遅い・報告が不透明など)。
一方で、安さだけを基準にした乗り換えは慎重に判断します。月額が極端に安い機関は、含まれる支援の範囲が狭く別料金が多いことがあり、結果として総額が変わらない、あるいは支援の質が下がって定着に響くこともあります。金額の比較は必ず同じ支援範囲どうしで行ってください(比較の観点は契約前チェックリストが使えます)。
乗り換えの手続き(届出は14日以内に2本)
登録支援機関を変更したとき、受入れ企業には出入国在留管理庁への随時届出が2種類発生します。いずれも事由が生じた日から14日以内に、管轄の地方出入国在留管理官署へ提出します(電子届出システム・窓口・郵送のいずれか)。
新しい登録支援機関を選び、支援委託契約を結ぶ
選び方・契約前チェックリストの観点で、対応分野・地域・言語・委託範囲を確認して新しい委託先を決めます。支援が途切れないよう、現在の機関の解約予告期間と新しい機関の開始時期を重ねて調整します。
「支援委託契約に係る届出」を提出する
支援委託契約を新たに締結・変更・終了したときの届出です。旧契約の終了と新契約の締結について、事由が生じた日から14日以内に提出します。
「支援計画変更に係る届出」を提出する
登録支援機関の変更は支援計画の変更にあたるため、こちらの届出も別途必要です(同じく14日以内)。
外国人本人へ説明し、支援を引き継ぐ
窓口となる支援担当者が変わることを本人に説明し、定期面談や相談対応が途切れないよう引き継ぎます。
なお、在留諸申請の書類作成や申請取次は登録支援機関の義務的支援には含まれません。これらは行政書士などの専門家の領域です。乗り換え先から「申請まですべて任せられる」といった説明があった場合は、その業務を実際に担うのが行政書士などの有資格者か(連携する専門家へ依頼する形になっているか)を確認してください。
乗り換えのタイミングと注意点
手続き自体は届出で完結しますが、時期の選び方でつまずきやすいので注意します。
- 在留期間更新の直前は避ける:更新申請の直前に支援機関を変えると、書類の整合性を確認する時間が必要になり、更新が間に合わないリスクがあります。更新時期から逆算して、できれば2〜3か月前までに変更を完了させると安全です。
- 支援を途切れさせない:支援計画は常に満たされている必要があります。旧機関の終了と新機関の開始に空白が生じないよう、契約の切り替え時期を重ねます。
- 本人への事前説明:相談窓口や面談担当が変わることは、外国人本人の生活に直結します。乗り換えの理由と新しい連絡先を本人に説明しておきます。
- 引き継ぎ書類の整理:これまでの支援実施記録・面談記録などを新しい機関へ引き継げるよう整理しておくと、支援の継続性を保てます。
まとめ
登録支援機関の乗り換えは制度上可能で、委託料が相場より高い・対応に不満があるときの有効な見直し手段です。ポイントは次の3つです。
- 委託料は内訳で比較する:平均は約2.8万円・多くは15,000〜30,000円。月額に何が含まれるかを見積書で揃えて比べ、安さだけで決めない。
- 届出は受入れ企業の責任:変更時は「支援委託契約に係る届出」と「支援計画変更に係る届出」を14日以内に提出する(登録支援機関に丸投げできない)。
- 時期に注意:在留期間更新の直前は避け、支援が途切れないよう切り替える。
委託先の見直しは、登録支援機関とはで役割を、選び方と契約前チェックリストで比較の観点を、制度の全体像は特定技能採用の完全ガイドで確認できます。
よくあるご質問
- 登録支援機関は契約の途中でも乗り換え(変更)できますか?
- できます。委託先の登録支援機関を別の機関へ変更することは制度上認められており、途中変更を禁止する規定はありません。ただし変更にともなう届出は受入れ企業(特定技能所属機関)の義務で、登録支援機関に代行させることはできません。支援が途切れないよう、引き継ぎと時期の調整をしたうえで進めます。
- 乗り換えると委託料は安くなりますか?
- 安くなる場合がありますが、必ず下がるわけではありません。出入国在留管理庁の調査では月額支援委託費の平均は約2.8万円で、多くは15,000〜30,000円程度です。現在の契約がこの相場を上回っている、項目ごとの単価が積み上がっている、増員時や2年目以降の割引がない、といった場合は見直しの余地があります。ただし月額に含まれる支援の範囲が機関ごとに違うため、金額だけでなく内訳を見積書で比べて判断します。
- 乗り換えのタイミングで気をつけることは?
- 在留期間更新許可申請の直前の変更は避けるのが無難です。書類の整合性を確認する時間が必要になり、更新手続きが間に合わないリスクがあるためです。更新時期から逆算して、できれば2〜3か月前までに変更を完了させると安全です。あわせて、支援が途切れないこと、外国人本人へ事前に説明することにも注意します。
- 乗り換えの手続きは誰が行いますか?
- 変更にともなう出入国在留管理庁への届出は、受入れ企業(特定技能所属機関)の義務です。具体的には「支援委託契約に係る届出」と「支援計画変更に係る届出」を、それぞれ事由が生じた日から14日以内に提出します。これらを登録支援機関に丸投げすることはできません。なお在留諸申請の書類作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域で、登録支援機関の義務的支援には含まれません。