登録支援機関の費用相場|月額平均28,386円と内訳の見方
目次
「登録支援機関に頼むと、結局いくらかかるのか」——特定技能の採用を検討する企業が最初につまずくのが、この費用の見えにくさです。国が定めた相場や上限はなく、機関ごとに金額も内訳もばらばらだからです。結論を先に言うと、出入国在留管理庁の集計では、特定技能外国人1人あたりの支援委託料は月額平均28,386円・全体の約9割が月30,000円以下。平均を年額に直すと1人あたり約34万円です。ただしこの金額は「どこまでの支援を含むか」で変わります。このページでは、公的な集計値の中身・見積もりの内訳を機関どうしでそろえる方法・2027年4月に変わる料金の見え方を、企業の視点で整理します。
この記事の要点
- 公的な集計では月額平均28,386円 — 出入国在留管理庁の集計(令和4年9月末時点・暫定値)で、約9割が月30,000円以下。最も多い金額帯は20,000円超〜25,000円以下(26.2%)です。
- 「月額」と「初期費用」を分けて見る — 事前ガイダンス等の初期支援を月額に含むか、別建ての初期費用とするかは機関次第。月額の安さだけでなく初年度の総額で比べます。
- 見積もりは入管庁の様式と同じ粒度でそろえる — 登録支援機関は登録申請時に「支援委託手数料に係る説明書」(参考様式第2-8号)で費目10項目ごとの月額と徴収時期を書いています。同じ形で出してもらえば横並びで比べられます。
- 2027年4月から料金と支援実績のネット公表が登録の要件に — ただし既存の機関には経過措置があり、全機関の料金が一斉に並ぶわけではありません。
本記事に載せている月額の支援委託費の金額は、すべて出入国在留管理庁が有識者会議に提出した資料の集計値(令和4年9月末時点・暫定値)と、その集計値をもとにした年額換算です。ただし委託費用に国が定めた相場や上限はなく、含まれる支援の範囲・実施体制・分野・地域・対応言語・委託する人数によって実際の金額は上下します。なお、この集計資料は金額の税込・税抜の別を示していません。委託費以外の費用(採用全体でかかる人材紹介手数料・申請費用など)はこの集計に含まれません。正確な金額は見積もりで確認してください。
委託費を含めた採用全体の費用感に先に見当をつけたい場合は、シミュレータをお使いください。
特定技能 採用費用シミュレータ
概算(目安)条件を入れると「あなたの場合」の1年目の費用を概算します。実額は見積もりでご確認ください。
うち、特定技能の採用・支援にかかる費用(賃金・社会保険を除く):約75万円
初期費用(採用時に一度)
月額 × 12か月
出典・注意事項
委託料=出入国在留管理庁の意識調査(2022・平均28,386円)/申請手数料6,000円・認定証明書(海外)は無料=同庁(2025/4改定)/社会保険 事業主負担 約15.5%=協会けんぽ・日本年金機構・厚労省(令和7年度)/賃金=厚労省(特定技能 約22万円・分野別の公的一次は手薄なため想定月給で計算)。
人材紹介手数料・海外初期費用・行政書士報酬は市場の目安で、公的統計値ではありません。申請取次・書類作成は行政書士の領域です。金額は概算で、特定の額や「最安」を保証するものではありません。実額は見積もりでご確認ください。
委託費用は「月額」と「初期費用」に分かれる
前提として、委託の利用は多数派です。出入国在留管理庁の集計では、特定技能外国人161,254人のうち142,623人(88.4%)が登録支援機関の支援を受けています(2023年4月末時点・暫定値)。[1]
登録支援機関への支払いは、大きく次の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 月額の支援委託費 — 相談対応・定期面談・各種支援の実施など、継続的な支援に対して毎月かかる費用。1人あたりで設定されるのが一般的です。
- 初期費用 — 入国前の事前ガイダンスや入国後の生活オリエンテーションなど、採用時に一度行う支援。月額に含む機関もあれば、別途の初期費用とする機関もあります。
「月額が安い」ように見えても初期費用が別建ての場合があるため、総額で比較することが大切です。計算例で見るとこうなります(金額は説明用の仮の値です)。
| 計算例 | 月額 | 初期費用 | 初年度総額 | 通算5年の総額 |
|---|---|---|---|---|
| A社の見積もり | 22,000円 | 50,000円 | 314,000円 | 1,370,000円 |
| B社の見積もり | 20,000円 | 120,000円 | 360,000円 | 1,320,000円 |
初年度はA社が安いものの、在籍が長くなるほど月額の差が効き、この例では35か月で総額が並び、36か月目からはB社が下回ります。初年度の総額と、想定する在籍年数での総額の両方で比べるのが安全です(特定技能1号の在留は通算5年が上限です)。
月額の委託費の相場——公的な集計では1人あたり平均28,386円
月額の委託費は、出入国在留管理庁の集計で1人あたり平均28,386円、全体の約9割が月30,000円以下です(令和4年9月末時点・暫定値)。同庁が有識者会議に提出した資料「特定技能制度の現状について」で公表された、金額帯別の内訳は次のとおりです。[2]
| 1人あたり月額支援委託料(令和4年9月末時点・暫定値) | 対象人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 5,000円以下 | 600人 | 0.9% |
| 5,000円超〜10,000円以下 | 4,515人 | 6.4% |
| 10,000円超〜15,000円以下 | 6,665人 | 9.5% |
| 15,000円超〜20,000円以下 | 17,781人 | 25.3% |
| 20,000円超〜25,000円以下 | 18,434人 | 26.2% |
| 25,000円超〜30,000円以下 | 14,322人 | 20.3% |
| 30,000円超 | 8,087人 | 11.5% |
| 合計 | 70,404人 | 100.0% |
(構成比は出典の記載どおり小数点第二位以下を四捨五入)
最も多い金額帯は20,000円超〜25,000円以下(26.2%)、次いで15,000円超〜20,000円以下(25.3%)です。この2つの帯だけで全体の51.4%(36,215人)を占めます。
この数字を読むときに押さえておきたいのが、集計の中身です。これは各機関が掲げる料金表の平均ではありません。令和4年9月末に在留していた特定技能外国人について、直近の「特定技能1号」の許可にかかる申請で「登録支援機関に有償で委託する」とされた分を集計したもので、対象は70,404人分です。つまり在留諸申請の書類で「この額で委託する」と申告された金額の分布であり、各機関の定価一覧ではない——ただし契約後の増減や実際の支払額まで追った統計でもない、という性質を押さえておくと、見積もりと突き合わせるときに読み違えません。
予算を組むときは、年額に直すと扱いやすくなります。平均の28,386円は年額で約34万円、人数の多い上位2帯(15,000円超〜25,000円以下・合計51.4%)は年額18万円超〜30万円、約9割が入る「月30,000円以下」は年額36万円以下です。複数名を受け入れる場合は人数分を掛けます(平均値ベースで5人なら年約170万円)。いずれも同じ集計の月額を12か月分にした編集部算出で、実際の負担は委託期間と、月額に含まれない費用の有無で変わります。
なおこの集計の時点は2022年(令和4年)9月末で、新しくはありません。ただし、これより新しい同種の全国集計は2026年8月時点で公表を確認できていません=公的データで確かめられる月額の分布は、現状これが最新です(初期費用の側は、公的な全国集計自体が見当たりません)。新しい集計が公表され次第、本記事の数値は差し替えます。
自社が受け取った見積もりをこの分布に置くときは、先に見積もりから初期費用と都度払いの費目を外し、「毎月の定額部分」だけを取り出してから比べます。月額に含む支援の数が機関によって違うまま並べると、分布のどこにあるかは金額の高い・安いを意味しません。月額に何が入っていて何が入っていないかの確かめ方は次の節で扱います。
なお、月額の委託費がかかるのは支援義務のある特定技能1号の間です。2号には支援計画の作成・実施義務がないため、2号へ移行すると委託費は制度上不要になります。[3]詳しくは特定技能1号・2号の違いをご覧ください。逆に、入社前の準備期間の扱いや、退職・帰国した月の精算(月割り・日割りの有無)は制度でなく契約条項で決まるため、契約前に確認する項目です。
採用全体でかかる費用(人材紹介手数料・申請費用・渡航費など)の中での位置づけは、特定技能の採用費用・相場で総額の内訳として整理しています。
料金の内訳の見方——金額差はどの費目から来るか
委託費は「月額いくら」だけを見ても、機関ごとの違いがわかりません。料金がどの支援に対応しているか(内訳)まで見ると、金額の差の理由が読めます。下表は、見積もりに現れやすい費目の整理です(呼び方や区分は機関により異なります)。
| 費目の区分 | 中身の例 | 課金のされ方 |
|---|---|---|
| 初期費用(イニシャル) | 事前ガイダンス・生活オリエンテーション・在留中の各種届出の補助など、受け入れ時に一度行う支援 | 一時金、または最初の月額に含む |
| 月額の支援委託費(ランニング) | 定期面談・相談苦情対応・行政手続きの同行・生活相談など継続的な支援 | 1人あたり月額 |
| 言語・通訳の対応 | 母国語での相談対応・通訳の手配 | 月額に含む/別途加算 |
| 訪問・同行など実費 | 遠隔地への訪問交通費、立会いの実費 | 都度・実費精算 |
料金は、毎月定額でかかる費目と、発生の都度かかる費目の組み合わせでできています(後述する入管庁の様式でも、費目ごとに徴収時期を「随時」「定期」で示す形です)。定額側に多くの支援を含める設計の機関と、都度払いに切り出す設計の機関があり、都度払い型は支援の発生回数しだいで、定額型より年間の支払いが大きくなることがあります。
費用が機関によって変わるのは、主にこの内訳の組み方の違いです。
- 初期支援を月額に含むか、別の初期費用とするか — 同じ月額でも、初期費用が別建てなら初年度の総額は上がります。
- 委託する支援の範囲 — 義務的支援を全部委託するか、一部を自社で担うかで月額が変わります。
- 対応言語・通訳体制 — 母国語での相談対応や通訳が手厚いほど、その分の費用がのる傾向があります。
- 分野・地域 — 分野特有の支援や、訪問・同行が必要な地域では変動しうる項目です。
- 対応の即時性・頻度 — 夜間・休日の相談対応や、定期訪問・同行の頻度をどこまで含むかも設計が分かれる部分です。
- 人数 — 複数名をまとめて委託する場合の1人あたり額は機関により扱いが異なります。人数条件を明示して見積もりで確認する項目です。
義務的支援は全部を委託することも、一部だけを委託する(残りは自社で担う)こともできます(ただし定期的な面談・行政機関への通報〔後述する様式の費目⑩〕は例外で、支援計画の全部の実施を委託する場合を除き、委託は認められていません)。全部委託すると、受け入れ企業が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。どこまでを委託しどこからを自社で担うかは、そのまま委託範囲=費用に直結します。一部だけを委託する場合は、その委託の範囲を1号特定技能外国人支援計画に明示する必要があるため、支援計画の記載と見積もりの範囲が一致しているかは突き合わせて確認できます。[4]義務的支援10項目それぞれの内容は特定技能の義務的支援10項目で解説しています。
見積もりは入管庁の様式と同じ粒度で出してもらう
内訳をそろえる近道は、出入国在留管理庁の「支援委託手数料に係る説明書」(参考様式第2-8号)と同じ形で見積もりを出してもらうことです。これは登録支援機関が登録を申請するときに作る書類で、特定技能外国人1名あたりの月額を費目ごとに書き、合計を示す構成になっています。委託先になりうる機関はどこも一度は作っている書式なので、「この様式の粒度で」と伝えれば話が通ります。[5]
様式は次の3つでできています。
- 費目10項目 — ①事前ガイダンス ②出入国する際の送迎 ③適切な住居の確保・生活に必要な契約 ④生活オリエンテーション ⑤行政手続等への同行 ⑥日本語学習機会の提供 ⑦相談・苦情への対応 ⑧日本人との交流促進 ⑨転職支援 ⑩定期的な面談・行政機関への通報。
- 費目ごとの金額欄と徴収時期欄 — 各費目に金額を書く欄と、「随時」「定期」のどちらかを選ぶ欄があります。どちらを選んでいるかを聞けば、その費目が毎月続く費用なのか、その都度発生する費用なのかを機関に確認する手がかりになります。
- 合計欄 — ①〜⑩の合計を記載する欄です。1名あたりの月額として、いくらになるかがここで閉じます。
10費目のうち、月額に含むか・別枠かの扱いが機関ごとに分かれやすいのは次の4項目です。見積もりを受け取ったら、これらがどちら側に入っているかを先に確認すると、月額の見かけの差にまどわされにくくなります。
- ①事前ガイダンス・④生活オリエンテーション — 採用時に一度行う支援。月額に含むか、初期費用として別建てか。
- ②出入国する際の送迎 — 入国時・帰国時の対応に、交通費などの実費が含まれるか別精算か。
- ③住居確保・生活に必要な契約の支援 — 入居時に集中して発生する支援。都度(随時)払いになっていないか。
- ⑤行政手続等への同行 — 発生の都度か、月額に込みか。遠隔地の場合の交通実費の扱い。
複数の機関から見積もりを取って支援内容を十分に確認することは、出入国在留管理庁の運用要領も契約後のトラブル防止の観点から促しています(全部委託の場合の委託費用についての記述)。[4]同じ様式を根拠にすると、見積もり依頼は次の流れになります。
参考様式第2-8号と同じ費目で見積もりを依頼する
「様式の10項目それぞれの金額と、随時か定期かを書いてください」と伝えます。様式名を挙げると、登録支援機関の側は登録申請で作成済みの書式なので、依頼の意図が伝わりやすくなります。「一式」でまとめられた項目を分けてもらう
様式の注記は、複数の支援を一つの項目にまとめる書き方も、各項目を「人件費」「交通費」などの費目で示す書き方も認めています。まとめ書き自体は様式上は問題ありませんが、機関どうしを比べるには分かれている必要があります。分けられない項目があるなら、その理由まで聞きます。月額に入らない費用を洗い出す
徴収時期が「随時」になっている費目や、様式の10項目に載らない実費(遠隔地への訪問交通費、更新時の費用など)は、月額の外で請求される可能性があります。「基本料金」「顧問料」といった名目で支援委託費と別建ての費目が立っていないかも、ここで確認します。初年度の総額に足して比べます。契約前に契約書の金額と突き合わせる
この説明書は登録申請時の「予定費用」で、契約する額と一致しなければならないものではありません。ただし登録支援機関は受け入れ機関に対して支援業務に要する費用の額とその内訳を示す必要があるため、契約前に書面で確認します。あわせて、最低契約期間や中途解約時の違約金の定めの有無もここで確認します。
支払いのタイミングは「契約・受け入れ時(初期費用)→ 毎月(定期の費目)→ 発生の都度(随時の費目)→ 在留期間更新の時期(申請側の費用)」の4段で整理できます。最後の在留期間更新にかかる費用は委託費とは別枠です(内訳は特定技能の維持費用・更新コストで整理しています)。人材紹介手数料など委託費の外側でかかる採用時の費用は前述の採用費用全体の記事に譲りますが、逆に外国人雇用で使える助成金・補助金で実負担が下がる場合があることも、総額を見るときに一緒に確認したい点です。
契約前に確認する項目を通しで見たい場合は、登録支援機関との契約前チェックリストにまとめています。
知っておきたい費用のルール
委託費用には、出入国在留管理庁が示している押さえどころがあります。見積もりや契約を確認するうえで役立ちます。
- 国が定めた上限はない — 受け入れ企業から徴収する料金に入管法令上の上限の定めはありません。各機関が任意に設定します。[6]
- 料金と内訳の明示が必要 — 支援委託契約を締結するにあたって受け入れ機関に費用の額と内訳を示さないことは、出入国在留管理庁が挙げる登録支援機関の登録拒否事由の一つです。内訳が示されない見積もりは要注意です。[1]
- 本人に負担させられない — 支援に要する費用を直接または間接に外国人へ負担させることも、同じく登録拒否事由に挙げられています。委託費は企業が負担します。
- 支援の実施そのものの再委託は不可 — 登録支援機関は、企業から委託を受けた支援の実施そのものを他の者へ委託することはできません。通訳を頼む、送迎にタクシーを使うなど、必要な範囲で補助者に実施の補助を依頼するのは差し支えないとされています。[4]
このうち再委託の扱いと、料金・内訳の「見え方」は、2027年4月に登録の基準ごと変わります。次の節で費用に効く部分だけを整理します。
在留資格の申請取次や書類作成は行政書士などの専門家の領域です。支援計画の作成義務は受け入れ企業にあり、登録支援機関が委託で担うのはその支援計画に基づく支援の実施(と作成の補助)です。申請手続きが委託費に含まれるとは限りません。申請まわりの費用は別途、行政書士などへの報酬として確認してください。
2027年4月から、料金と支援実績の公表が登録の基準になる
2027年4月1日から、支援業務の支援の実績と、支援業務に要する費用の額・内訳をインターネットで公衆の閲覧に供する方法で公表していない機関は、登録支援機関の登録の基準を満たさなくなります。育成就労制度の施行に合わせて2025年9月30日に公布された法務省令(令和7年法務省令第45号)が、出入国管理及び難民認定法施行規則にこの内容を加えました。[7]
企業側から見れば、各機関の料金と実績を、見積もりを取る前に自分で見比べられるようになるという変化です。ただし施行日に一斉に揃うわけではありません。同じ省令の附則には経過措置があり、施行日前に受けた登録と施行日前の登録申請は、その登録の期間が満了する日まで従前の例によります(更新の申請については、2027年〔令和9年〕7月31日までに登録期間が満了するものに限る、という期限つきです)。登録の有効期間は5年なので、公表は各機関の登録更新のタイミングで順次進み、全機関に行き渡るまでには年数がかかると読むのが実際に近いところです。[1]なお、登録の更新申請は満了日の4か月前の月の月末までに行う運用で(2027年4月からは施行規則にも明文化されます)、委託先の登録期間がいつ満了するかは、新基準への対応と費用を確認するタイミングの目安になります。[3]
つまり当面は、見積もりを取って内訳を出してもらう前節のやり方が中心のままです。委託先を探し始めるのが2027年以降なら、候補の機関がすでに料金を公表しているかどうか自体が、体制を整えているかの手がかりになります。
同じ省令は、公表義務のほかにも委託費の前提に効く改正を含んでいます。[7]
- 体制要件の引き上げ — 支援責任者・支援担当者は常勤の役員・職員に限定され、支援担当者は「支援対象の外国人数を50で割った数」か「委託元企業数を10で割った数」の多い方を超える人数を事務所ごとに置く必要があります。支援責任者・支援担当者以外の者は支援業務にかかる支援を行えなくなります(支援責任者には法務大臣告示の講習の修了要件も加わりますが、当分の間は適用が猶予されます)。担当者1人あたりの受け持ち数に基準上の上限(外国人50人・委託元10社の割り当て)ができるため、機関側の体制コスト=料金の前提に影響しうる改正です。提示された安い月額が、この基準の下でも続けられる設計かという見方の手がかりになります。
- 委託の形の限定 — 支援の一部の委託先は登録支援機関に限られます。また「定期面談・行政機関への通報を委託できるのは支援計画の全部を委託する場合だけ」という現行運用のルールも、省令の基準として明文化されます。
- 再委託しないことが登録の基準に — 前節の再委託の取り扱いも、同様に登録の基準として明文化されます。
- 支援項目の追加 — 支援計画の記載事項に「特定技能2号への変更を希望する場合の、技能・日本語能力の修得に必要な支援」が加わります。委託範囲=見積もりの対象が1項目増えることになります。
この改正で登録支援機関の数がどう動くかの見通しと制度全体の解説は、登録支援機関の数・統計データで登録簿の集計とあわせて追っています。
安さだけで選ばない
月額が安いことには理由があります。委託範囲が狭い・対応言語が限られる・実施体制が薄いといった場合、採用後の定着でつまずき、結果的にコストが増えることもあります。
金額を比べる前に確かめたいのが、その機関に実際の支援実績があるかです。出入国在留管理庁の公表データでは、受入れ企業と支援委託契約を結んでいる登録支援機関は登録機関の50%(8,137機関中4,069機関・2023年4月末時点の暫定値)にとどまります。[1]同庁の意識調査(2022年7月)では、過去1年間に支援した外国人が0人と回答した機関も25.4%ありました。[2]登録されていること自体は実績を意味しません(数値の内訳と時点の注意は登録支援機関の数・統計データで整理しています)。
このデータが示すのは、「安い」の背景が金額だけでは区別できないことです。支援の経験が積み上がって効率的に運営できている機関も、これから初めて支援する(実働がまだない)機関も、提示する月額は同じように安くできます。料金と実績を別々に確かめて初めて、その安さの性質が読めます。
そのうえで、費用を比べるときは次をセットで確認すると失敗しにくくなります。
- 料金にどの支援まで含まれるか(委託範囲)と、別建ての初期費用の有無
- 外国人材の母国語での相談対応ができるか
- 自社の分野での支援実績(同じ分野・直近1年・支援した人数)
- 月額のほかに発生しうる費用(通訳・同行・更新時など)
そもそも自社の地域・言語条件で候補が何社あるか(候補プール)と、費用の透明性を含めた比較の観点は登録支援機関の選び方|候補は何社?登録簿データで絞る比較ポイント7つで整理しています。自社で支援するか委託するかの判断から考えたい場合は自社支援と委託の比較を、すでに委託していて委託料を見直したい場合は登録支援機関の変更(乗り換え)をご覧ください(本記事はこれから委託する企業向けの相場理解を扱っています)。
まとめ
登録支援機関への委託費用は、月額の支援委託費+初期費用が大枠です。出入国在留管理庁の集計では月額平均28,386円・約9割が月30,000円以下で、平均を年額に直すと1人あたり約34万円。国が定めた相場や上限はなく、委託範囲・対応言語・分野で金額には幅があります。金額差の理由を読むには、入管庁の様式(参考様式第2-8号)と同じ粒度で内訳を出してもらい、含まれる支援の範囲とあわせて総額で比べるのが確実です。2027年4月からは料金・実績のネット公表が登録の基準になるほか、常勤体制の要件や委託の形の限定など、委託費の前提に効く改正が控えています(経過措置があるため一斉には揃いません)。
登録支援機関の役割や委託の全体像は登録支援機関とは?役割・委託でできること・費用、採用全体の費用感は特定技能の採用費用・相場、制度の全体像は特定技能採用の完全ガイドをご覧ください。
「自社の分野・地域・言語に合う登録支援機関の費用感を知りたい」——そんなときは、条件に合う登録支援機関を無料でご紹介します(提携先のサービスをご紹介しています。対応分野・地域によってはご紹介できない場合があります)。
よくあるご質問
- 登録支援機関への委託費用の相場はいくらですか?
- 出入国在留管理庁の集計(令和4年9月末時点・暫定値)では、特定技能外国人1人あたりの支援委託料は月額平均28,386円で、全体の約9割が月30,000円以下でした。最も多い金額帯は20,000円超〜25,000円以下(26.2%)、次いで15,000円超〜20,000円以下(25.3%)です。事前ガイダンスや生活オリエンテーションなどの初期支援を月額とは別の初期費用とする機関もあり、金額は委託する支援の範囲・分野・地域・対応言語によって幅があります。
- 委託費用は1年でいくらになりますか?
- 出入国在留管理庁の集計の平均28,386円をそのまま12か月分にすると、1人あたり年間約34万円です。人数の多い上位2つの金額帯(15,000円超〜25,000円以下・合計で全体の51.4%)なら年18万円超〜30万円、約9割が入る「月30,000円以下」なら年36万円以下になります(同じ集計の月額を12倍した編集部算出)。実際の負担は委託期間と、月額に含まれない初期費用・実費の有無で変わります。
- 見積もりの内訳はどうやって出してもらえばいいですか?
- 出入国在留管理庁の「支援委託手数料に係る説明書」(参考様式第2-8号)と同じ形で出してもらう方法があります。この様式は登録支援機関が登録を申請するときに作る書類で、特定技能外国人1名あたりの月額を10の費目ごとに書き、費目ごとに徴収時期(随時/定期)を選び、合計を示す構成です。同じ粒度でそろえれば、機関ごとの金額差がどの費目から来ているかを並べて確認できます。
- 委託費用は誰が負担しますか?外国人本人に払わせてよいですか?
- 義務的支援の実施にかかる費用を外国人本人に負担させることは認められていません(出入国在留管理庁のQ&A)。支援に要する費用を直接または間接に外国人へ負担させることは、登録支援機関の登録拒否事由にも挙げられています。委託費は受け入れ企業が負担します。
- 国が定めた料金や上限はありますか?
- 登録支援機関が受け入れ企業から徴収する委託料に、入管法令上の上限の定めはありません。各機関が任意に設定します。ただし支援委託契約を結ぶにあたって受け入れ企業に費用の額とその内訳を示さないことは、出入国在留管理庁が挙げる登録支援機関の登録拒否事由の一つです。内訳が出ない見積もりは、その時点で確認が必要な状態と考えてください。
- 2027年4月から委託費用まわりは何が変わりますか?
- 2025年9月30日公布の法務省令(令和7年法務省令第45号)により、2027年4月1日から登録支援機関の登録の基準が変わります。費用に関係するのは、①支援実績と費用の額・内訳のネット公表が登録の基準になる ②支援責任者・支援担当者の常勤化と人数下限で機関側の体制コストの前提が変わる ③支援の一部委託の委託先が登録支援機関に限定される、の3点です。ただし既存の登録には経過措置があり、公表などが全機関に行き渡るのは各機関の登録更新のタイミング以降になります。
- 委託費用が安い登録支援機関を選んで問題ありませんか?
- 金額だけで選ぶのは避けるのが無難です。委託範囲(どの支援まで含むか)・対応言語・実施体制・分野での実績によって、同じ月額でも中身が大きく異なります。政府の公表データでは、受入れ企業と支援委託契約を結んでいる機関は登録機関の50%(2023年4月末時点・暫定値)で、過去1年間に支援した外国人が0人の機関も25.4%(2022年7月の意識調査)ありました。料金の内訳と委託範囲、そして実績をあわせて判断してください。
出典・参考(一次情報)
- 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第10回)資料2-3(登録支援機関数・支援委託契約数・登録拒否事由)(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度の現状について(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議〔第8回〕参考資料4=登録支援機関への支援委託料の支払額・支援した外国人数)(出入国在留管理庁)
- 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)
- 1号特定技能外国人支援に関する運用要領(支援の委託・再委託の取扱い)(出入国在留管理庁)
- 参考様式第2-8号 支援委託手数料に係る説明書(予定費用)(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度に関するQ&A(出入国在留管理庁)
- 改正法の施行に伴う法務省令の整備及び経過措置に関する省令(令和7年法務省令第45号=登録支援機関の登録基準の改正)(出入国在留管理庁)