農業の人手不足はなぜ起きるか|現状の数字と3つの打ち手
目次
「今年も人手が足りない」——農業の人手不足は、規模の話としてはすでに数字で出ています。農林水産省の令和8年農業構造動態調査(令和8年2月1日現在)によると、個人経営体の基幹的農業従事者は98万6,600人で、前年に比べ4万9,600人(4.8%)減りました。平均年齢は67.7歳です。[1]
ただ、同じ調査には方向の違う数字も並んでいます。法人経営体は3万4,600経営体で前年比2.4%増、農業経営体の常雇い(農業に年間7か月以上の契約で雇った人)は24万5,900人で1.6%増。減っているのは自営の担い手で、雇われて働く人はむしろ増えています。
この記事の要点
- 問題の形が変わっている — 経営体と基幹的農業従事者は減り、法人経営体と常雇いは増えた。人を「集める」話の前に、雇用を続けられる形が自社にあるかが問われる局面です。
- 打ち手は省力化・国内人材・外国人の3系統(作業ごと外に出す4つ目の経路もあります)。国は配分まで数字で置いている — 令和10年度に見込まれる38万9,000人程度の不足を、生産性向上20万9,400人程度・国内人材8万人程度で緩和し、なお9万9,600人程度が残る、という置き方です。3つは択一ではありません。
- 難しさは作目で違う — 有効求人倍率は畜産の職種(畜養作業員)が耕種の職種(農耕作業員)の2倍以上。募集条件の見直しだけで埋まる見込みが立ちにくいのは畜産側です。
- 外国人はすでに例外的な手段ではない — 農業で外国人を雇用している事業所は14,440所・64,826人(令和7年10月末時点の届出)。
- 繁閑差に合う受け入れ方がある — 通年の仕事量を作れなくても、繁忙期だけ受け入れられる形があります(受け入れる側にも要件あり)。労働時間・休憩・休日が労働基準法の適用除外である点も、募集条件の設計に効きます。
⚠️ この記事が扱うのは人手不足の現状と打ち手の選び方までです。特定技能「農業」で実際に受け入れるときの要件・試験・協議会・派遣の条件は特定技能「農業」とはにまとめています。
本記事は一般的な情報提供です。制度の数値・要件は変動するため、受け入れを具体的に検討する段階では、出入国在留管理庁および農林水産省の最新の運用方針・運用要領で確認してください。
農業の人手不足は、いまどのくらいか
全国の基幹的農業従事者は1年で4.8%減り、その平均年齢は67.7歳です。農林水産省の令和8年農業構造動態調査(令和8年2月1日現在)は、個人経営体の基幹的農業従事者(自営農業を主な仕事としている者)を98万6,600人とし、前年から4万9,600人減ったと公表しています。[1]
年齢の偏りはさらに急です。同調査の年齢階層別の構成比は次のとおりです。
| 年齢階層(個人経営体の基幹的農業従事者・令和8年2月1日現在) | 構成比 |
|---|---|
| 29歳以下 | 1.2% |
| 30〜39歳 | 3.8% |
| 40〜49歳 | 7.6% |
| 50〜59歳 | 9.2% |
| 60〜64歳 | 8.0% |
| 65〜69歳 | 13.7% |
| 70〜74歳 | 21.2% |
| 75歳以上 | 35.3% |
| 平均年齢 | 67.7歳 |
65歳以上が70.2%を占め、49歳以下は12.6%にとどまります(編集部算出=同一表の構成比の単純合算)。いま作業している人の多くが、10年後も同じ作業量をこなしている前提では計画が立ちません。
5年単位で見るとさらに急です。同じ調査方式で比較できる農林業センサス同士では、個人経営体の基幹的農業従事者は103万6千人(令和7年2月1日現在)で、5年前に比べ32万7千人(24.0%)減りました。[2]
「後継者がいない」は7割超
引き継ぐ人を確保できている経営体は4分の1です。 農林水産政策研究所が2020年農林業センサスを分析したところ、7割を超える経営体が、農業経営を引き継ぐ後継者を確保していないと回答し、「確保している」経営体は全体の4分の1にとどまりました。経営主が70歳以上の経営体に絞っても、確保できているのは3割未満です。[3]
部門で差もあります。「確保していない」割合は果樹・水稲・露地野菜などで70%前後と高く、養豚や酪農などの畜産経営はそれより10ポイント程度低いものの、それでも半数以上が確保できていません。[3]一方、団体経営体(法人化した家族経営を含む)に限れば「確保している」が4割強まで上がります。[3]
⚠️ 2020年のセンサスに基づく分析で、直近値ではありません。それでも、「自分の代で畳むか、雇って続けるか」の分岐に7割の経営体が立っているという規模感は変わらないでしょう。次の節以降は、後者(雇って続ける)を選んだ場合の話です。前者を選ぶ場合、農地の預け先としては後述の農地中間管理機構(農地バンク)が受け皿になります。
国が置いている「これから」の数字
国は、農業の人手不足を令和10年度(2028年度)時点の需給として推計しています。令和8年1月23日閣議決定の農業分野の分野別運用方針(別紙13)は、令和10年度の農地面積を417万haと見込んだ場合に必要となる就業者数を推計し、実際の就業者数との差を次のように置いています。[4]
| 農業分野の就業者数(分野別運用方針・別紙13の推計) | 人数 |
|---|---|
| 令和10年度に必要となる就業者数(農地面積417万haを見込んだ場合) | 136万8,000人 |
| 令和5年度の就業者数(現時点として方針が示した値) | 138万7,000人 |
| 令和10年度の就業者数(減少見込みを踏まえた見込み) | 97万9,000人 |
| 令和10年度に不足すると推計される人材 | 38万9,000人程度 |
方針が「不足する」としているのは、必要量が増えるからではなく、就業者側が5年で40万人前後減る見込みだからです(138万7,000人→97万9,000人=編集部算出)。
⚠️ この記事には人数が何通りも出てきます。どれも正しく、どれも別のものを数えた値です(別の調査どうしで引き算・割り算はできません。同じ資料の中の数値どうしなら計算できます)。本文では数値ごとに調査名と時点を添えているので、比べるときはそこを合わせてください。自社の現況に当てるなら農業構造動態調査(または農林業センサス)、国の見通しを見るなら分野別運用方針です。[4]
減っているのは「自営」——雇われて働く人はむしろ増えている
農業から人が一様に消えているわけではありません。自ら経営する側は減り、雇われて働く側は増えています。農林水産省の令和8年農業構造動態調査で、減っている区分と増えている区分を同じ表に置くと次のようになります。[1]
| 区分(農林水産省・令和8年農業構造動態調査/全国) | 令和7年 | 令和8年 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 農業経営体数 | 83万6,100経営体 | 79万9,700経営体 | △4.4% |
| うち個人経営体 | 79万5,800経営体 | 75万9,000経営体 | △4.6% |
| うち法人経営体 | 3万3,800経営体 | 3万4,600経営体 | +2.4% |
| 基幹的農業従事者(個人経営体・自営農業が主な仕事) | 103万6,200人 | 98万6,600人 | △4.8% |
| 役員・構成員(団体経営体・農業に150日以上従事) | 9万8,300人 | 10万900人 | +2.6% |
| 常雇い(農業に年間7か月以上の契約で雇った人) | 24万2,100人 | 24万5,900人 | +1.6% |
減っている3つは自ら経営する側、増えている3つは法人経営体の数・その役員や構成員・雇われて働く常雇いです。⚠️ 法人か個人経営体かは、後で見るとおり社会保険の加入義務の分かれ目でもあります。
この表の令和7年の値は2025年農林業センサス(全数調査)、令和8年の値は農業構造動態調査(標本調査)の推定値です。同調査は【利用上の注意】で「農林業センサス結果と本調査結果を直接比較して利用する場合には留意する必要がある」としています。増減率は同調査が表中で示した値をそのまま載せています。[1]
この向きは1年だけの動きではありません。農林業センサス(確定値)の常雇いは平成27年22万人→令和2年15万7千人→令和7年24万2千人で、直近5年は54.4%増(基幹的農業従事者は同じ5年で24.0%減、団体経営体の役員・構成員は21.0%増)。[2]⚠️ 一直線に増えてきたわけではありません——平成27年→令和2年はいったん28.8%減っており、直近5年はそこからの急回復です。それでも10年前の水準を超えました。
さらに長い系列でも同じ向きです。農業就業者全体は1999年から約25年間で119万人減って2023年に181万人となった一方、雇用者は同じ約25年間で27万人増えて2023年に55万人になりました(原データは総務省「労働力調査」)。[5]⚠️ この「雇用者55万人」(労働力調査)と上の表の「常雇い24万5,900人」(農業構造動態調査)は、別の調査の別の区分です。家族の労働力で回していた経営が退出し、その面積と作業を、人を雇う経営が引き受ける——この置き換えが四半世紀続いてきた、というのが数字の形です。
ここから読める実務上の含意は1つです。募集をどう打つかの前に、雇った人が続けられる形(通年の仕事量・労務管理・待遇)を自社が持てるかどうかが先に来ます。次の節以降は、その「形」の水準を公的な調査の実数で確認していきます。
難しさは作目で大きく違う
同じ農業でも、畜産の職種は耕種の職種の2倍以上採りにくい状態です。分野別運用方針(別紙13)は、令和6年度(2024年度)における農業分野の有効求人倍率を次のように示しています。[4]
| 職業(令和6年度=2024年度・分野別運用方針が示す有効求人倍率) | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 農業分野 | 2.03倍 |
| うち農耕作業員 | 1.72倍 |
| うち畜養作業員 | 3.83倍 |
| 全平均 | 1.25倍 |
⚠️ 「自分の県はどうか」は、国の月次公表からは取れません。 厚生労働省の一般職業紹介状況(職業安定業務統計)の令和8年3月分では、職業別の倍率は全国計のみ、都道府県別の表は職業を問わない全体の倍率で、職業別×都道府県別のクロス集計は見当たりません。[6]自県の水準は、都道府県労働局が個別に出す地域版の統計に当たることになります。
方針は、農業分野の2.03倍が全平均の1.25倍より0.78ポイント高いことをもって、人材確保は困難な状況にあるとしています。同じ「農業」でも中身は割れていて、畜養作業員の3.83倍は、農耕作業員の1.72倍の2倍を超えます(編集部算出=同一資料内の単純計算)。「うちだけ採れない」のではなく、畜産は募集条件を少し良くすれば埋まる、という見込みが立ちにくい側だという前提で設計してください。
畜産には、募集とは別の枠組みもあります。農林水産省の「農業技術の基本指針」(令和6年7月)は、酪農について生産コストの低減・省力化の一環としてコントラクターや公共牧場等の活用による作業の外部化を促進するとともに、酪農ヘルパー組織を育成し、休日を確保できる体制を整備するとしています。[7]同じ指針は肉用牛生産についても「肉用牛ヘルパーやコントラクター等の活用による作業の外部化を促進する」としています。[8]⚠️ ただし休日を確保できる体制の整備まで明記されているのは酪農の側です。
農林水産省の資料では、農林漁業の有効求人倍率は平成26年から令和5年までずっと1.0を超えています。[5]
打ち手は3系統+作業の外部化——国の推計は「どれで何人埋める」と置いているか
省力化・国内人材・外国人の3つは、択一ではなく併用として置かれています。分野別運用方針(別紙13)は、令和10年度の不足38万9,000人程度をどう埋めるかを、次のように配分して記述しています。[4]
| 令和10年度の人手不足(38万9,000人程度)の埋め方(分野別運用方針・別紙13) | 人数 |
|---|---|
| 経営規模拡大等による生産性向上(これまでのペースを維持したと仮定・令和10年度まで) | 20万9,400人程度 |
| 農業への人材の呼び込みと定着に向けた取組等による追加的な国内人材の確保(令和10年度まで) | 8万人程度 |
| 生産性向上と国内人材の合計(緩和分) | 28万9,400人程度 |
| なお不足すると見込まれる分=農業分野全体(令和6〜10年度の5年間)の受入れ見込数 | 9万9,600人 |
方針の書き方で見落としやすいのは最後の行です。生産性向上と国内人材でも埋まらずに残った9万9,600人が、そのまま農業分野全体の受入れ見込数として置かれています。外国人の受け入れは、他の2つを尽くした後に残る差分として設計されている、という構造です。
不足全体に占める割合でいえば、外国人が担うと置かれているのは約4分の1(編集部算出)。残る4分の3は生産性向上と国内人材の側です。⚠️ これは国全体の推計で、自社の不足に当てる数字ではありません。
国内人材の8万人が、どんな取組の積み上げか
8万人は、すでに走っている取組の上積みとして置かれた数字です。方針が挙げる実績は、たとえば49歳以下の新規雇用就農者が2015年から2023年まで平均約8,000人程度で推移していること。[4]「これから始める施策」ではなく、すでに動いている施策の延長です。方針は3つを並行して積み上げる形で置いています。
国内人材で採るなら——雇われる側が見ている条件と、いまの実態
国内で募集するときに求職者が最も見ているのは、賃金そのものより保険への加入です。農林水産省が雇用就農者に対して行った調査(令和4年度「雇用就農資金」の採択者へのアンケート・n=1,217)で、就農前に「重視する」と答えた割合が8割を超えたのは次の項目でした。[5]
| 就農前に重視した労働環境(重視すると回答した割合が8割超・n=1,217) | 重視する |
|---|---|
| 安定した収入 | 85.2% |
| 経営者の人柄 | 84.1% |
| 雇用保険の加入 | 84.1% |
| セクハラ・パワハラ等のハラスメントが無いこと | 84.0% |
| 健康保険の加入 | 83.6% |
| 労災保険の加入 | 83.4% |
| 厚生年金保険の加入 | 81.9% |
整える取組そのものにも支援があります。農林水産省の雇用体制強化事業(働きやすい環境づくりコース)は、働きやすい環境づくりに取り組む農業経営体を対象に、1協議会あたり2,000万円を上限(取り組む農業経営体数×100万円で算出)とするものです。[9]⚠️ 令和7年度補正予算分の公募は令和8年7月31日で終了しています(応募は協議会単位・事業実施主体は公益社団法人日本農業法人協会)。予算年度ごとに設定されるので、最新の公募は同ページで確認してください。
⚠️ 賃金の代表的な国の統計に、農業は入っていません。 厚生労働省の賃金構造基本統計調査は調査対象を日本標準産業分類の16大産業としており、「農業,林業」はその16産業に含まれていません。[10]
ただし別系統の政府統計から目安は出せます。農林水産政策研究所が総務省「就業構造基本調査」を組み替えて集計した農業雇用者の平均年間収入は次のとおりです(平成29年)。[11]
| 平均年間収入(平成29年・就業構造基本調査の組替集計) | 農業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 正規・男性 | 307万円 | 516万円 |
| 正規・女性 | 194万円 | 329万円 |
| 非正規・男性 | 122万円 | 195万円 |
| 非正規・女性 | 81万円 | 122万円 |
⚠️ 収入の階層を選ぶ設問の各階層の中位数から計算した推計で、同資料も「おおよその数値」と断っています。平成29年の値で直近ではありませんが、全産業との差の座標にはなります。
調査に戻ると、「給与水準」は77.9%、「所定労働時間が1日8時間以内、週40時間以内であること(繁閑はあるが、年間を通じて週40時間以内となっている場合も含む)」は51.4%で、健康保険・厚生年金(被用者保険)と労災保険・雇用保険(労働保険)の4つが、いずれも給与水準より上に来ています。1位は「安定した収入」(85.2%)です。賃金の額そのものより先に、収入の安定と保険の加入状況が見られている、と読めます。
⚠️ 休日は給与水準より下です(「週1回以上、または4週間を通じて4日以上の休日が確保されていること」77.5%・「週2日の休日」51.5%)。保険・休日・賃金の順に効く、という単純な並びではありません。
お金をかけずに動かせる項目も上位に入っています。自分の意見を言いやすい職場環境は79.5%。給与水準(77.9%)より上で、休暇が取得しやすいこと76.2%・経営者が将来のビジョンを示す73.4%もそれに近い水準です。[5]設備投資も賃上げも要らない項目が、賃金と同じ帯で見られています。
一方で、いまの農業の労働条件はこうです。同じ資料が載せている常雇いの実態調査(N=1,706)で、農繁期の1週間の実労働時間が40時間を超える経営体は52.9%、同じ農繁期の調査で、1か月の休日が4日以上ある経営体は73.7%、休日なしが6.3%あります。時間外・休日労働に対する割増賃金を支払っていない経営体は22.5%(法定割合以上を支払っているのは44.5%、法定の割合には満たないが支払っているのは7.6%、割増賃金の対象になる労働が生じなかったのが22.5%、無回答3.0%)でした。[5]
農業は、労働時間・休憩・休日に関する労働基準法の規定が全経営体で適用除外です。農林水産省はその理由を「業務が天候、気象等の自然的条件の影響を著しく受ける産業であること」と説明しています。[5]⚠️ 適用除外は「守らなくてよい」ではなく「法定の枠が外れる」ということで、上の調査結果は違法状態を意味しません。⚠️ 適用除外になるのは労働時間・休憩・休日の3つだけで、深夜勤務の深夜割増賃金やその他の規定は適用除外になりません。[12]年次有給休暇の付与など、農業でも適用される規定の整理は特定技能「農業」とはにあります。求職者側は8割超が保険と休日を見ているため、適用除外だからこそ自社の基準を自分で決めて示す必要がある、という関係になります。
自社はどこから加入が義務になるか
保険の義務は、法人か個人経営体か・常時何人を使うかで変わります。 農林水産省が整理した農業分野の労働関係法制は次のとおりです。[5]
| 農業の経営体に適用される保険(農林水産省の整理) | 強制加入になる経営体 | 任意加入になる経営体 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険(被用者保険) | 法人 | 個人経営体 |
| 労災保険・雇用保険(労働保険) | 法人+労働者が常時5人以上の個人経営体 | 労働者が常時4人以下の個人経営体(農林水産業のみ暫定任意適用) |
⚠️ 同資料は、被用者保険の「常時5人以上を使用」・労働保険の「常時」と、農林業センサスの常雇いの範囲が完全に一致しない可能性があると注記しています。[5]自社の義務の判定は、常雇いの人数をそのまま当てはめず、年金事務所・労働基準監督署で確認してください。⚠️ 求職者が8割超で重視している4つの保険は、個人経営体では義務でない場合があるということです。任意でも加入して募集要項に書けるかどうかが、そのまま応募の集まり方の差になります。
労災保険は加入義務の有無が分かれる一方、農作業の死亡事故は他産業より多い状態が続いています(令和4年の農作業事故死亡者数238人・就業者10万人当たり11.1人)。[5]任意加入の側でも、加入するかどうかは求職者から見える条件です。
母集団の性質も押さえておくと募集の設計が変わります。49歳以下の新規就農者に占める雇用就農者の割合は増え、令和5年には約4割を占めて親元就農を上回りました。[5]新しく農業に入る人の主流が、自分で始める側から雇われる側へ移っています。農林水産省の集計では、49歳以下の新規雇用就農者の約9割が非農家出身です。[5]農家の子が継ぐ形ではなく、農業を知らない人を採って育てる形が主流になっている、ということです。同資料は、道府県立農業大学校(養成課程)からの就農者の約6割が雇用就農であることにも触れています。[5]ハローワークだけでなく、地域の農業大学校が募集先になります。
雇った人は、実際どれくらい残っているか
国の事業を使って人を雇った経営体で見ると、支援終了1年後の定着率は全国69.9%です。 農林水産省は、旧・農の雇用事業の支援終了1年後の定着率を都道府県別に公表しており、令和6年度の全国値が69.9%でした(令和3年度の新規採択者のうち、令和6年度末までに就農を継続している人の割合。研修中・研修中断中を含む)。[13]
都道府県別では沖縄県の55.6%から愛媛県の84.0%まで開きがあり、自県の値は出典のPDFに47件すべて載っています。[13]
⚠️ これは国の事業を使って人を雇い、研修を実施した経営体の数字です。事業を使わない一般の雇用より、育成に手をかけた側に寄っている可能性があります。農業全体の定着率ではありません——総務省行政評価局は平成31年3月の行政評価で「新規就農者を含む全ての農業者を対象とした、農業に定着せず離農した者の状況に関する全国的な統計調査は存在しない」と指摘しています。[14]
離れる理由の側も政府調査にあります。農林水産政策研究所が総務省「就業構造基本調査」を組み替えた集計では、転職した人について労働条件が悪いことと収入が少ないことの合計が20〜30%台を占め、主たる理由の一つになっています(平成29年)。[11]待遇と労働条件は、募集だけでなく定着の側でも効く変数だということです。
採ってから一人前になるまでの期間には、公的な資金が使えます。雇用就農資金は、50歳未満の就農希望者を新たに雇用する農業法人等に対し、雇用就農者育成・独立支援タイプで年間最大60万円を最長4年間交付するものです(1経営体あたりの新規採択は毎年度5人まで、3人目以降は年間最大20万円)。[15]このほか、独立就農を目指す人を雇うタイプ、職員を他法人へ派遣して育てるタイプもあります。事業実施主体は一般社団法人全国農業会議所(全国新規就農相談センター)で、申請先は都道府県の農業会議等です。[15]⚠️ タイプごとに募集期間が区切られています=令和8年度第2回は、雇用就農者育成・独立支援と新法人設立支援の2タイプが7月22日で受付終了(対象=令和7年10月1日〜令和8年6月1日に雇用した人)、次世代経営者育成タイプは令和9年1月29日まで随時募集です。[15]第3回の募集期間は令和8年10月22日〜11月25日(支援期間は令和9年2月1日から)と公表されています(応募状況により変更あり=最新の日程は事業実施主体の募集スケジュールで確認してください)。[16]⚠️ かつての「農の雇用事業」は令和3年度で募集を終了=現行制度はこの雇用就農資金です。[17]
省力化で減らすなら——認定を取ると支援が付く
省力化は「機械を買う」だけの話ではなく、計画を認定してもらうと金融・税制の支援が付く枠組みが2024年からあります。農林水産省によると、スマート農業技術活用促進法(農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律)は令和6年6月21日に公布され、同年10月1日に施行されました。生産方式革新実施計画(農業者向け)と開発供給実施計画(事業者向け)の2つの認定制度を設け、認定を受けた農業者や事業者は金融等の支援措置を受けることができるとされています。[18]
同省は、この認定を受けることで各種の補助事業で審査にあたってのポイント加算をはじめとする優先採択等の優遇措置を設けることを検討している、としています(令和7年度補正予算・令和8年度当初予算)。[18]機械の購入を単発で検討するより、計画の認定を先に取るほうが使える支援が増える、という順序になります。
規模拡大の側の窓口が農地中間管理機構(農地バンク)。都道府県、市町村、農業団体等が出資して組織された法人で、都道府県知事が県に1つだけ指定します。所有者不明農地・遊休農地も含めて所有者等から農地を借り受け、担い手等へ貸し付けることで集積・集約化を進める、というのが公式の説明です。[19]
⚠️ スマート農業技術活用促進法の関連資料に載っているのは政策目標(活用割合を令和12年までに50%以上へ向上)で、現時点の実績値ではありません。[20]
近い指標としては、農林業センサスの「データを活用した農業」があります。2025年センサス(確定値・令和7年2月1日現在)では33万4千経営体・39.9%でした(団体経営体は62.7%)。[2]⚠️ ここでいうデータは「気象状況、市況、農作業履歴、生育状況等の情報」で、ロボットトラクターや自動操舵といった機械の導入率とは別の指標です。
通年の仕事量を作れるか——常雇いを置けるかの分かれ目
農林水産省の統計でいう常雇いとは、年間7か月以上の契約で雇った人を指します。[1]裏を返せば、7か月に満たない仕事量しか作れない経営では、常雇いという形そのものが成り立ちにくいことになります。作目のピークが2〜3か月に集中している経営では、ここが最初の壁です。
一次資料から拾える手がかりは3つあります。
- 本業以外の作業を年間の仕事に積む。特定技能の農業分野では、農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業や冬場の除雪作業が、日本人が通常従事する関連業務として例示されています。[4]⚠️ これは外国人が付随的に従事してよい業務の例示ですが、自社の閑散期に何を積めるかを考える材料にはなります。
- ピークの一部を外に出す。畜産では、農林水産省が酪農についてコントラクター(作業受託組織)や公共牧場の活用による作業の外部化を推進しています。[7]自社で抱える仕事量を平準化する方向です。
- フルタイム1人分にこだわらない。分野別運用方針は、国内人材確保の取組として女性・高齢者・就職困難者等の就業促進と農福連携を挙げています(農福連携に取り組む主体数は2019年度から2024年度で約4,000主体増加)。[4]短時間の担い手を複数組む形もあります。
⚠️ 通年の仕事量が作れないなら、常雇いは無理に狙わないのが順序です。季節雇用、作業の外部化、労働者派遣(農業で認められる形態)のどれかへ移ります。
3系統+外部化を一覧で比べる
どれに手を付けるかは、埋めたい穴の形で決まります。3系統に作業の外部化を加えた4つを、経営側が実際に気にする軸(時間・費用・公的支援・繁閑差)で並べると次のようになります。
| 打ち手 | 人手が増える(減る)までの時間 | かかる費用の種類 | 使える公的な支援・窓口 | 繁閑差への向き不向き |
|---|---|---|---|---|
| 省力化・生産性向上(機械化・スマート農業・規模拡大) | 導入と習熟の期間。作型が1年単位なので効果の確認も1シーズン単位 | 設備投資(初期)+維持費 | 生産方式革新実施計画の認定(スマート農業技術活用促進法)=金融・税制の支援措置と補助事業での優先採択 | ピークの作業量そのものを下げられる。人を増やさずに繁忙期を短くする方向 |
| 国内人材の確保(募集・待遇改善・多様な人材) | 募集から採用まで。応募が集まるかは作目次第(農耕作業員1.72倍・畜養作業員3.83倍) | 募集費+人件費 | 雇用就農資金(年間最大60万円・最長4年間) | 季節雇用も組めるが、繁忙期は他産業とも重なりやすい |
| 外国人の受け入れ | 試験・在留資格の審査・協議会加入など制度側の日程が入る | 初期費用(人材紹介手数料・申請費用・渡航費など)+月額の支援委託費。派遣なら派遣元へ支払う派遣料金 | 自治体等の助成金(地域により有無・内容が違う) | 派遣なら繁忙期だけの受け入れも組める(派遣先にも要件あり) |
| 作業の外部化(農作業の受託・農業支援サービス) | 事業者と契約できれば作業単位で即。ただし地域に事業者がいるかに依存 | 契約の型で変わる(作業を丸ごと請け負ってもらう=委託料/人を送ってもらう=派遣料金や紹介手数料) | 農林水産省の農業支援サービス事業者一覧(サービス対象地域つき) | ピークの作業だけを切り出して出せる |
費用の全体像と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場にまとめています。ここで決めるのは金額ではなく、「ピークを下げる」のか「ピークに人を当てる」のかという方針の方です。前者なら省力化、後者なら雇用か派遣、という分かれ方をします。
⚠️ 次の診断が返すのは外国人を採用する場合のルートと概算費用です。省力化・国内人材の側は返しません。
表の4行目に置いた作業の外部化を具体的に見ます。農林水産省は、農業者に作業代行等を提供して対価を得る業種を農業支援サービスと定義し、作業受託・農業機械のシェアリング・農業現場への人材供給等を含むとしています。[21]
⚠️ 事業者は名指しで一覧化されています。 同省の「農業支援サービス情報表示ガイドラインに基づく整理表」(令和8年7月3日時点)には80者・141サービスが載り、サービス分類(専門作業受注型/機械設備供給型/データ分析型/人材供給型)・サービス内容・対象品目・サービス対象地域が列になっています(全体版のExcelには料金体系や必要な手続も)。[22]「人材供給型」で自県が対象地域に入っている事業者がいるかを見れば、繁忙期の外部化が現実的かがその場で分かります。
⚠️ 契約の型を混同しないでください。 「人材供給型」には、作業を丸ごと請け負う事業者と労働者派遣・職業紹介を行う事業者が混在します。[22]契約前にどちらの型かを確認してください(請負と労働者派遣の線引きは特定技能「農業」とは)。
外国人の受け入れを選ぶ前に押さえる3点
外国人の受け入れで、繁閑差の大きい経営が使えるのは派遣の側です。⚠️ 特定技能雇用契約の基準は「所定労働時間が、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること」で、運用要領はこの「通常の労働者」をフルタイムで雇用される一般の労働者(アルバイトやパートタイム労働者は含まない)としています。[23]繁忙期だけ雇う形は、直接雇用では原則として想定されていません(フルタイムの具体的な日数・時間の基準は特定技能「農業」とは)。派遣なら、雇用するのは派遣元(=労働者派遣事業者が特定技能所属機関になります)で、自社は派遣先として受け入れる形になります。[4]
この記事で押さえておく違いは①労働者派遣という形態 ②労働時間・休憩・休日の扱い ③特定技能2号による長期就労の道の3点です。
まず規模感です。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点)によると、農業で外国人を雇用している事業所と労働者数は次のとおりです。[24]
| 「外国人雇用状況」の届出(厚生労働省) | 事業所数 | 外国人労働者数 |
|---|---|---|
| 農業(令和7年10月末時点) | 14,440所 | 64,826人 |
| 農業(令和6年10月末時点) | 13,471所 | 58,139人 |
[25]事業所数・労働者数とも前年より増えています。特定技能1号に限れば、農業分野の在留者数は39,950人、1年間の増加数は9,438人でした(令和8年3月末時点・速報値)。[26]受け入れ枠の考え方や分野別の充足状況は特定技能「農業」とはと受け入れ停止と分野別の充足率で扱っています。
技能実習も規模があります。令和6年度に新たに認定された技能実習計画は総数318,572件で、うち農業・林業関係が21,105件(6.6%)でした(在留人数ではなく計画の認定件数)。[27]育成就労は令和9年(2027年)4月からの受け入れが予定されており[28]、分野別運用方針は、農業分野の育成就労外国人の受入れ見込数を2万6,300人(令和9年度から2年間)と置いています。[4]
この人数は特定技能だけの数ではありません。農業で働く外国人には、技能実習(2027年度から育成就労へ移行)、日本人の配偶者や永住者などの身分に基づく在留資格、留学生の資格外活動(包括許可は1週について28時間以内・教育機関の長期休業期間は1日8時間以内)といった経路も含まれます。[29]繁忙期の数日だけ人が欲しいのか、通年で戦力にしたいのかで、選べる在留資格が変わります。分野ごとの扱いは特定技能の対象分野一覧にまとめています。
⚠️ この64,826人(外国人雇用状況の届出)と「常雇い24万5,900人」(農業構造動態調査)を割り算しないでください。 「農業の雇用の◯割が外国人」という比率は、この2つからは出せません。
特定技能を繁忙期だけ使うなら「労働者派遣」
農業には、多くの分野には無い雇用形態の選択肢があります。出入国在留管理庁の制度概要は、特定技能制度および育成就労制度における労働者派遣は、農業分野及び漁業分野のみ認められるとしています。[28]
⚠️ ただし、すぐに頼める派遣元が近くに居るとは限りません。農林水産省の農業特定技能協議会の加入者一覧をトモハタが集計したところ、協議会へ「派遣」の形で加入している事業者が確認できない県もあります(実数と、居ない場合の選択肢は特定技能「農業」とは)。[30]分野別運用方針は、農業で派遣形態が必要な理由を、①冬場は農作業ができないなど季節による作業の繁閑があること ②同じ地域でも作目により農作業のピーク時が異なることへの対応としています。[4]
ただし直接雇用でも派遣でも、受け入れる側に上乗せ要件があります=直接雇用は労働者を雇用した経験またはこれに準ずる経験(労務管理の経験)、派遣先は労働者を雇用した経験か、派遣先責任者講習等を受講した人を派遣先責任者に選任していることです。[4][12]⚠️ どの経験にも「過去5年以内に6か月以上」などの限定が付いています=この要約だけで自社の該当を判断せず、特定技能「農業」とはの要件の節で確認してください。分野ごとにどの雇用形態が認められるかは特定技能の対象分野一覧にあります。
労働時間の扱いが多くの分野と違う
上で見た労働時間・休憩・休日の適用除外は、外国人を受け入れる場合も同じです。そのうえで運用要領別冊は、過重な長時間労働を避ける適切な労働時間の管理と、休憩・休日の設定を求めています。[12]繁閑差に合わせて働き方を組める代わりに、枠を自分で決めて示す側になる、ということです(義務の逐語と労務の設計は特定技能「農業」とは)。
5年で終わりにしない道がある
特定技能2号は在留期間の更新回数に制限がなく、「5年で帰るなら育てても無駄」という前提が制度上は崩れます。出入国在留管理庁の制度概要によると、1号の在留期間は通算で上限5年(相当の理由があると認められる場合は6年)ですが、2号は更新回数に制限がありません。[28]
⚠️ ただし現時点の実数は限られます。 農業分野の特定技能2号在留外国人数は1,798人(令和8年3月末・速報値)で、1号の39,950人に対して約4.5%にとどまります(編集部算出)。[28]「制度としての出口はある/実際に通る人はまだ少ない」の両方を前提に、育成の計画を置いてください。
2号へ進むには技能試験・実務経験・日本語能力の要件があり、誰でも自動的に移行できるわけではありません(要件の中身は特定技能「農業」とは)。ここで判断に効くのは、育てた人に長く働いてもらう出口が制度上あるという点までです。1号と2号で何が変わるか(在留期間・家族の帯同・支援の要否)は特定技能1号と2号の違いにまとめています。
なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。とくに書類の作成について、行政書士法第19条第1項は、行政書士または行政書士法人でない者が報酬を得て業として同法第1条の3に規定する業務を行うことを禁じています。[31]登録支援機関へ委託できるのは支援の実施であって、申請書類の作成や申請取次はそこに含まれません。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます(当サイトも代行は行いません)。受け入れを進める段階では、専門家と連携する前提で日程を組んでください。制度そのものの全体像(どの在留資格で何ができるか、企業側に何が求められるか)は特定技能採用の完全ガイドにまとめています。
何から手を付けるか
最初に決めるのは打ち手ではなく、自社の不足が「通年」なのか「季節」なのかです。ここが決まると入口が自動的に絞れます。
不足を月別に書き出す
今年、何月にどれだけ人手が足りなかったかを月単位で並べます。作業ごとの人日でも構いません。ここで「年間を通じて足りない」のか「特定の2〜3か月だけ突出している」のかが分かれます。
ピークそのものを下げられないかを先に見る
人を増やす前に、機械化・作目の組み合わせ・複合経営・冬場に回せる作業で、ピークの作業量自体を減らせないかを確認します。⚠️ 速いからではありません——省力化も効果の確認は1シーズン単位です。先に見るのは、ここで山が下がれば必要な人数そのものが変わり、以降の判断(何人・通年か季節か)が全部変わるためです。
下がらないピークに、誰を当てるかを決める
山が下がらないなら、山に人を当てる側へ移ります。通年の仕事を作れるなら常雇い、作れないなら季節雇用・労働者派遣・作業ごとの外部化という分かれ方です。ここで前の節の労働条件(保険・休日・割増賃金)を自社がどう置くかも同時に決めます。
国内の募集条件を、作目の実勢に合わせて見直す
作目による求人倍率の差を前提に置きます。畜産で「条件を少し上げれば集まる」と見込むと、募集期間だけが延びます。
外国人を選択肢に入れるなら、要件と日程を先に確認する
自社が受け入れ要件を満たすかは特定技能「農業」とは、採用の工程と期間は特定技能の採用の流れで確認できます。試験・審査・協議会加入など、自社の都合では動かせない日程が入るため、逆算が要ります。
3つの系統も、4つ目の作業の外部化も、排他ではありません。分野別運用方針は外国人の受入れ見込数を「生産性向上や国内人材の確保を行ってもなお不足すると見込まれる」数として置いており[4]、省力化を進めながら外国人の受け入れも検討する、という組み方が方針の前提です。
外国人を受け入れる場合、1号特定技能外国人支援計画の作成は受け入れる企業の義務で、その計画の実施は登録支援機関へ委託できます(全部を委託すれば支援体制の要件を満たしたものとみなされます)。[28]何を委託でき、何が自社に残るかは特定技能「農業」とはにまとめています。採ったあとに続けてもらう側の設計は外国人材の定着支援、費用を軽くする公的支援は外国人採用で使える助成金にまとめています。技能実習からの受け入れを続けてきた経営体は、農業が対象分野に含まれる育成就労への移行も含めて数年分の計画を置いてください。
よくあるご質問
- 農業の人手不足はどのくらい深刻ですか?
- 農林水産省の令和8年農業構造動態調査(令和8年2月1日現在)では、個人経営体の基幹的農業従事者は98万6,600人で、前年に比べ4万9,600人(4.8%)減少しました。平均年齢は67.7歳、65歳以上が構成比で7割を占めます。また令和8年1月23日閣議決定の農業分野の分野別運用方針は、令和10年度の農業分野の就業者数を97万9,000人と見込み、同年度には38万9,000人程度の人材が不足すると推計しています。
- 農業の人手不足はなぜ起きているのですか?
- 減っているのは主に自営の担い手です。令和8年農業構造動態調査では、農業経営体数が前年比4.4%減・基幹的農業従事者が4.8%減の一方で、法人経営体は2.4%増、常雇い(農業に年間7か月以上の契約で雇った人)は1.6%増と、雇われて働く人はむしろ増えています。あわせて分野別運用方針は令和6年度の有効求人倍率を農業分野2.03倍(農耕作業員1.72倍・畜養作業員3.83倍、全平均1.25倍)としており、作目によって募集の難しさが大きく違います。
- 人手不足の対策として外国人の受け入れは現実的ですか?
- 厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点)では、農業で外国人を雇用している事業所は14,440所・外国人労働者数は64,826人でした(前年同月末は13,471所・58,139人)。特定技能1号に限ると、農業分野の在留者数は39,950人です(令和8年3月末時点・速報値)。すでに一定の規模で使われている選択肢といえます。受け入れの要件・試験・協議会・派遣の条件は「特定技能「農業」とは」にまとめています。
- 繁忙期だけ人手が欲しい場合はどうすればよいですか?
- 特定技能・育成就労の制度で労働者派遣の形態が認められているのは、農業分野と漁業分野だけです(出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」)。分野別運用方針も、冬場は農作業ができないなど季節による作業の繁閑があること、同じ地域でも作目によって農作業のピーク時が異なることを、派遣形態が必要な理由として挙げています。ただし派遣元になれる事業者や派遣先の要件は別に定められているため、条件は「特定技能「農業」とは」で確認してください。
出典・参考(一次情報)
- 令和8年農業構造動態調査結果(令和8年2月1日現在・令和8年6月30日公表)=表1 農業経営体数/表5 農業労働力(注「常雇いとは、農業に年間7か月以上の契約で雇った人をいう」・注「役員・構成員の値は、農業に150日以上従事した人数(経営主を含む。)である」)/表6 年齢階層別基幹的農業従事者数(個人経営体)の構成比・平均年齢/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 2025年農林業センサス結果の概要(確定値・令和7年2月1日現在・令和8年3月31日公表)=表9 農業労働力(基幹的農業従事者 令和2年1,363千人→令和7年1,036千人・△24.0%/役員・構成員 81→98千人・+21.0%/常雇い 157→242千人・+54.4%)/表7 データを活用した農業を行っている農業経営体数334千経営体・39.9%(団体経営体25千・62.7%)/注「常雇いとは、農業に年間7か月以上の契約で雇った人をいう」/⚠️概数値(令和7年11月28日公表)とは値が異なるため、確定値を使う/確認日2026年8月10日(農林水産省(e-Stat掲載))
- 全国各地で農業経営継承の危機が深刻化―7割の経営体が後継者なし―(2020年農林業センサスの分析)=「7割を超える経営体が『農業経営を引き継ぐ後継者を確保していない』と回答しており、『後継者を確保している』経営体は全経営体の4分の1に過ぎません」/経営主が70歳以上の経営体でも「後継者を確保している」は3割未満/団体経営体に限れば4割強/部門別=「『後継者を確保していない』経営体の割合は、果樹、水稲、露地野菜などで70%前後」・養豚や酪農などの畜産経営はそれより10ポイント程度低いが半数以上/確認日2026年8月10日(農林水産政策研究所)
- 農業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(別紙13・令和8年1月23日閣議決定)=第一2(2)生産性向上・国内人材確保の取組と成果/第一2(3)有効求人倍率と令和10年度の需給推計/第一2(4)受入れ見込数/第二2(2)労働者派遣形態により受け入れる必要性/第二2(3)雇用形態ごとの上乗せ要件(雇用経験・これに準ずる経験・派遣先責任者)/確認日2026年8月10日(出入国在留管理庁)
- 農業分野の労働環境改善をめぐる現状と課題=農業就業者と雇用者の推移(原データ=総務省「労働力調査」)/新規雇用就農者の出身(49歳以下の約9割が非農家出身・原データ=農林水産省「新規就農者調査」)/農林漁業の有効求人倍率と参考値〔令和5年 建設4.82倍・自動車運転の職業2.62倍〕(原データ=厚生労働省「一般職業紹介状況」・注「有効求人倍率(有効求人数/有効求職者数)は、パートタイム含む常用の値」)/労働基準法の労働時間の規定が農業で適用除外となっている理由「業務が天候、気象等の自然的条件の影響を著しく受ける産業であること」/常雇いの労働状況(労働時間・休憩・休日・割増賃金の支払い状況・原データ=「農業労働環境の改善に関する意識・意向調査結果(令和6年)」)/雇用就農前に重視した労働環境(原データ=令和4年度「雇用就農資金」の採択者に対するアンケート結果)/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和8年3月分及び令和7年度分について=参考統計表6(常用・パート含む)「農林漁業従事者」の有効求人倍率1.11倍(パート除く常用は参考統計表7-2で1.08倍)/⚠️同公表の本文PDFと参考統計表PDFを実査した範囲では、職業別×都道府県別のクロス集計表は見当たらない(都道府県別の表は職業を問わない全体倍率)=e-Statの長期時系列表までは未確認/確認日2026年8月10日(厚生労働省)
- 農業技術の基本指針(令和6年7月)(IV)畜産 1.酪農(3)生産コストの低減及び省力化の推進=「コントラクターや公共牧場等の活用による作業の外部化を促進すること等による多様な経営形態に応じた生産コストの低減や省力化を推進する。また、酪農ヘルパー組織を育成し、休日を確保できる体制を整備する。」/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 農業技術の基本指針(令和6年7月)(IV)畜産 2.肉用牛生産(2)生産コストの低減及び省力化の推進=「肉用牛ヘルパーやコントラクター等の活用による作業の外部化を促進するとともに、牛の個体識別番号と生産関連情報とを関係者に共有すること等により、飼養管理の省力化や合理化の推進を図る」/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 農業の働きやすい環境づくりについて=雇用就農緊急対策のうち雇用体制強化事業(働きやすい環境づくりコース・令和7年度補正予算)「支援額 1協議会あたり2,000万円上限【定額】 働きやすい環境づくりに取り組む農業経営体数×100万円で算出」/公募時期 令和8年3月30日〜令和8年7月31日/事業実施主体(応募・問合せ先)=公益社団法人日本農業法人協会/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況「調査の概要」=調査の範囲(2)産業「日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づく16大産業」=列挙された16産業に「農業,林業」は含まれない/確認日2026年8月10日(厚生労働省)
- 農業雇用労働力の実態とその動向―総務省「就業構造基本調査」組替集計から― 第45表「農業離職者数及び転職者割合の推移(男女別,正規非正規別)」(p.53)=平成29年の5年以内の農業離職者=男性正規32,600人・女性正規11,200人・男性非正規34,700人・女性非正規56,900人/本文「前職の産業が農業であった者を農業離職者と考え」「農家の家族従業者も農業離職者に含まれる」「農業離職者は、すべて5年以内に離職した」/確認日2026年8月10日(農林水産政策研究所)
- 運用要領別冊「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-農業分野の基準について」【労働時間、休憩及び休日への配慮】=労働時間・休憩・休日に関する労働基準法の規定は適用除外/「適用除外となるのは、労働時間、休憩及び休日に関する規定だけであり、深夜勤務における深夜割増賃金やその他の規定については適用除外にならない」/過重な長時間労働とならないよう適切に労働時間を管理し、適切に休憩及び休日を設定しなければならない/確認日2026年8月10日(農林水産省・法務省)
- 農の雇用事業における支援終了1年後の定着率(令和6年度定着率・令和8年1月23日掲載)=全国69.9%/都道府県別47件(最高=愛媛県84.0%・最低=沖縄県55.6%・埼玉県83.1%・栃木県82.1%・北海道64.5%)/注「令和6年度定着率は、令和3年度農の雇用事業及び令和2年度補正就職氷河期世代雇用就農者実践研修支援事業並びに令和3年度補正雇用就農者実践研修支援事業における令和3年度新規採択者(令和5年度交付終了者)のうち令和6年度末までに就農継続している者(研修中又は研修中断中の者を含む)の割合」/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 農業労働力の確保に関する行政評価・監視-新規就農の促進対策を中心として- 結果報告書(平成31年3月)p.8-9=「新規就農者を含む全ての農業者を対象とした、農業に定着せず離農した者の状況に関する全国的な統計調査は存在しない」/図表1-⑨ 農の雇用事業(雇用就農者育成タイプ)の平成24年度新規研修者3,501人の平成27年12月時点の状況=離農者又は進路が未定等1,382人(39.5%)・研修先に在籍1,516人(43.3%)・独立就農等603人(17.2%)/離農理由=自己都合835人(60.4%)・家庭の事情227人(16.4%)・病気やけが205人(14.8%)・経営体の就業環境56人(4.1%)・職場の人間関係37人(2.7%)/確認日2026年8月10日(総務省行政評価局)
- 「雇用就農資金」令和8年度第2回目の募集を実施します(令和8年6月18日)=対象「50歳未満の就農希望者を新たに雇用する農業法人等」/雇用就農者育成・独立支援タイプ「年間最大60万円、最長4年間」(1経営体当たりの新規採択人数は毎年度5人まで、かつ、3人目以降は年間最大20万円)/新法人設立支援タイプ「年間最大120万円、最長4年間(ただし3年目以降は年間最大60万円)」/次世代経営者育成タイプ「月最大10万円、最短3ヶ月~最長2年間」/障がい者・生活困窮者・刑務所出所者等の場合は年間最大15万円を加算/事業実施主体=一般社団法人全国農業会議所(全国新規就農相談センター)/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 雇用就農資金(事業実施主体=全国新規就農相談センターの募集スケジュール。令和8年度=第1回3月4日〜4月7日/第2回6月18日〜7月22日/第3回10月22日〜11月25日・支援期間 令和9年2月1日〜〔雇用就農者育成・独立支援/新法人設立支援の2タイプの日程〕。「募集期間は応募状況により変更する場合があります」)/確認日2026年8月10日(一般社団法人全国農業会議所(全国新規就農相談センター))
- 農業人材力強化総合支援事業(雇用就農者の育成・確保)=「農の雇用事業の募集は、令和3年度で終了しました」/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- スマート農業技術活用促進法について=「令和6年6月14日に農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(スマート農業技術活用促進法)が成立し、6月21日に公布され、10月1日に施行されました」/生産方式革新実施計画・開発供給実施計画の2つの認定制度/「認定を受けた農業者や事業者は金融等の支援措置を受けることができます」/「各種事業で審査にあたってのポイント加算をはじめとする優先採択等の優遇措置を設けることを検討しております」(令和7年度補正予算及び令和8年度当初予算)/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 農地中間管理機構(農地バンク)=「農地中間管理機構とは、都道府県、市町村、農業団体等が出資して組織されている法人であり、都道府県知事が県に一つに限って指定することで『農地中間管理機構』となります」「所有者不明農地、遊休農地も含め所有者等から借受け、担い手等へ貸付を行い、農地の集積・集約化を進めていきます」/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート事業(予算資料)=「政策目標:スマート農業技術の活用割合を50%以上に向上[令和12年まで]」=目標値であって実績の導入率ではない/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 農業支援サービス関係情報=定義「農業現場における作業代行やスマート農業技術の有効活用による生産性向上支援等、農業者に対してサービスを提供することで対価を得る業種のことをいい、データ分析やドローン散布等の作業受託、農業機械のシェアリング、農業現場への人材供給等、農業者を支援するサービス」/地方農政局等の管内別の取組事例・標準ガイドライン(2026年3月発行)を掲載/⚠️事業者数の全国統計は同ページに記載なし/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- (概要版)農業支援サービス情報表示ガイドラインに基づく整理表(事業者提供情報一覧)【令和8年7月3日時点】=事業者No.1〜80・サービスNo.1〜141の事業者名とサービス名と、サービス分類(専門作業受注/機械設備供給/データ分析/人材供給)・サービス内容・サービス対象品目・サービス対象地域の一覧/全体版(Excel)には料金体系や利用にあたって必要な手続等も掲載/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 特定技能外国人受入れに関する運用要領(第4章第2節)=特定技能雇用契約の基準「外国人の所定労働時間が、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること」/留意事項「『通常の労働者』とは、いわゆる『フルタイム』で雇用される一般の労働者をいい、アルバイトやパートタイム労働者は含まれません」「本制度における『フルタイム』とは、原則、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいいます」/確認日2026年8月10日(出入国在留管理庁)
- 「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和7年10月末時点・令和8年1月30日公表)別表4「産業別外国人雇用事業所数及び外国人労働者数」/確認日2026年8月10日(厚生労働省)
- 「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点・令和7年1月31日公表)別表4=前年同月末の比較用/確認日2026年8月10日(厚生労働省)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年3月末時点・速報値)=農業分野の在留者数39,950人・年間増加数9,438人(注「年間増加数は、令和7年3月末在留者数と令和8年3月末在留者数の差(速報値)」)/確認日2026年8月10日(出入国在留管理庁)
- 職種別 技能実習計画認定件数(構成比)(1-4)令和6年度=総数318,572件/農業・林業関係21,105件(6.6%)〔耕種農業16,999件・畜産農業4,060件・林業46件〕/確認日2026年8月10日(外国人技能実習機構)
- 外国人労働者に関する制度概要(令和8年7月1日更新)=「特定技能制度及び育成就労制度における労働者派遣は、農業分野及び漁業分野のみ認められる」/特定技能1号の在留期間は通算で上限5年(相当の理由があると認められる場合は6年)/特定技能2号の在留期間は3年・2年・1年又は6か月ごとの更新(更新回数に制限なし)/確認日2026年8月10日(出入国在留管理庁)
- 「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について=包括許可「1週について28時間以内(教育機関の長期休業期間にあっては、1日について8時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行う場合は、資格外活動の包括許可が必要となります」/確認日2026年8月10日(出入国在留管理庁)
- 農業特定技能協議会(加入者一覧表 その1=2025年12月23日現在・その2=2025年12月25日現在〔農林水産省ページの表記は両方12月23日〕。派遣元の地域偏在は本一覧のトモハタ集計)/確認日2026年8月10日(農林水産省)
- 行政書士法(第19条第1項=いかなる名目によるかを問わず報酬を得ての業務の制限)(e-Gov法令検索(デジタル庁))