特定技能「航空」とは|グランドハンドリングと航空機整備の対象業務
目次
航空分野で外国人を採用したい、または制度を知りたい企業向けに、対象業務・受け入れ機関の要件・試験・費用・採用の流れを1ページで整理します。航空は、空港の地上業務や機体の整備を外国人材で補いたいニーズが強い分野です。ただし、「採用したい人がいても、自社の業務がどちらの区分に当たるか・自社がそもそも受け入れ機関になれるかが分からず受け入れが止まる」というつまずきが起きやすい分野でもあります。結論を先に言うと、航空で押さえるべき固有ルールは①受け入れ機関になれる事業者かの確認②対象業務区分(空港グランドハンドリング・航空機整備)と区分ごとの試験③航空分野特定技能協議会への加入の3つです。航空は特定技能1号・2号の両方があり、長期就労は2号への移行が道筋になります。このページで、これらを順に整理します。
この記事の要点
- 対象業務区分は2つ — 「空港グランドハンドリング」(空港の地上業務)と「航空機整備」(機体の整備・点検)。自社の業務がどちらに当たるかで、本人が受ける試験が変わります。
- 試験と協議会がある — 航空分野特定技能1号評価試験(区分別)と参照枠A2.2相当以上が基本(技能実習2号良好修了者は試験免除)。企業は航空分野特定技能協議会への加入が必要です。
- 1号・2号の両方がある — 両区分で特定技能2号の受け入れが可能。5年を超える長期就労は2号への移行が道筋になります。
本記事は一般的な情報提供です。航空分野の要件・対象業務区分は変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁および国土交通省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
航空分野の特定技能はここが特徴
航空で特定技能を受け入れるときは、他分野にはない前提があります。まずここを押さえます。
- 対象業務区分は「空港グランドハンドリング」「航空機整備」の2つ — 空港の地上業務か、機体の整備かで区分が分かれ、本人が受ける試験も変わります。[1]
- 受け入れ機関になれる事業者が限定されている — 空港管理者の営業承認等を受けた事業者・航空運送事業者・国交大臣の認定を受けた整備事業場を有する事業者、またはこれらから業務委託を受ける事業者に限られます。
- 雇用形態は直接雇用が原則 — ただし航空分野の2事業者を所属機関とする在籍型出向の形態も認められています。
- 航空分野特定技能協議会への加入が必要 — 受け入れ企業は協議会の構成員になることが前提です。
- 所管は国土交通省 — 試験運用や調査・指導は国土交通省が所管します。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 両区分で2号の受け入れが可能で、長期就労の道筋になります。2号は日本語も「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(当面は日本語能力試験〔JLPT〕N3以上の合格で確認)が求められます。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで解説しています。
- 受け入れ見込数は1号4,900人 — 令和8年1月23日決定で4,400人から4,900人に上方修正されました。[2][3]
以下で、それぞれを詳しく見ていきます。
対象となる業務区分
航空で対象となる業務区分は次の2つです。自社の業務がどちらに当たるかで、本人が受ける試験が変わるため、最初に区分を確認します。
- 空港グランドハンドリング — 社内資格等を有する指導者・チームリーダーの指導・監督の下で行う、次の7業務が対象です:航空機地上走行支援業務/手荷物・貨物取扱業務/手荷物・貨物の航空機搭降載業務/航空機内外の清掃整備業務/旅客ハンドリング業務/機内食等の運搬・搭降載業務/航空燃料取扱業務。
- 航空機整備 — 運航整備・機体整備・装備品/原動機整備等における、航空機の機体・装備品・部品等の整備業務。
いずれの区分も、これらの業務に従事する日本人が通常従事する関連業務(事務作業、作業場所の整理整頓・清掃、積雪時の作業場所の除雪等)への付随的な従事は差し支えないとされています。
区分は制度改正で見直されることがあるため、自社の業務がどちらに当たるか迷う場合も含め、最新の内容は分野別情報で確認してください。
航空で必要な試験
航空で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。
- 技能試験 — 「航空分野特定技能1号評価試験」。自社の業務区分(空港グランドハンドリングまたは航空機整備)に対応する試験を受けます。
- 日本語能力水準 — 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)。[2]水準と各試験の対応(公式の換算表はありません)は特定技能の試験(日本語試験の節)で解説しています。
ポイントは、技能試験が区分ごとに分かれていることです。空港グランドハンドリングと航空機整備で受ける試験が異なるため、採用前に自社の業務がどちらの区分かを確定しておきます。
技能実習2号を良好に修了した人は、これらの試験が免除されます(技能実習から特定技能への移行)。
試験の実施団体・実施状況
航空分野特定技能評価試験(1号・空港グランドハンドリング/航空機整備の両区分)は、公益社団法人 日本航空技術協会(JAEA)が実施団体です。[4]試験は学科試験・実技試験で構成され、年に数回、国内(東京・名古屋・千葉・大阪・福岡 等)に加えて海外(フィリピン・ネパール・スリランカ・インドネシア 等)でも実施されています。募集分野を国内に限らず海外にも広げやすいのが特徴です。
最新の日程・申込方法・出題範囲は、JAEA公式サイト「航空分野特定技能評価試験」で確認してください(本記事では試験科目の詳細やサンプル問題までは扱いません)。試験の仕組み全般(日本語試験・技能試験・免除ルート)は特定技能の試験でも解説しています。
特定技能2号へ進むには、「航空分野特定技能2号評価試験」または航空従事者技能証明などの要件を満たす必要があります(区分ごとの違いは後述の「長期就労:特定技能2号への移行」で解説します)。
自社は受け入れ機関になれるか(判定チェックリスト)
航空は、受け入れられる事業者があらかじめ限定されている分野です。他分野と違い「試験に合格した人材を採れば採用できる」わけではなく、自社(雇用する企業)自身が対象事業者の要件を満たしているかが最初の関門になります。次のチェックリストで確認してください。
- 次のいずれかに該当するか — ①空港管理者の営業承認等を受けた事業者、もしくは航空運送事業者 ②航空法に基づき国土交通大臣の認定を受けた航空機整備等の事業場を有する事業者 ③①・②から業務委託を受ける事業者
- 航空分野特定技能協議会の構成員になれるか(またはすでに構成員か) — ①に該当するだけでは不十分で、協議会加入が受け入れの前提条件
- 雇用形態は直接雇用にできるか — 派遣は認められない(航空分野の2事業者を所属機関とする在籍型出向の形態は例外的に含まれる)
- 国土交通省が行う調査・指導に協力できる体制はあるか
上の項目に該当しない場合、その形態のままでは航空分野の特定技能外国人を直接雇用できない可能性があります(③の業務委託を受ける形での受け入れが可能かは個別の確認が必要です)。自社が該当するかの最終判断は、出入国在留管理庁・国土交通省の分野別運用方針、または専門家への相談で確認してください。企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、採用全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。
採用ルート
航空で特定技能外国人を採用する主なルートは次のとおりです。
- 試験合格者を採用 — 区分に対応する航空分野の試験に合格した人材を採用します。
- 技能実習からの移行 — 関連分野の技能実習2号良好修了者は試験免除で移行できます。
- 国内在住者の採用 — すでに日本にいる特定技能外国人を採用すると、渡航費などの初期費用を抑えやすくなります。
費用の目安
航空でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 初期費用(人材紹介手数料・在留資格の申請費用・渡航費など) | 国内採用で約30〜60万円、海外採用で約50〜100万円程度 |
| 月額(登録支援機関への支援委託費) | 1人あたり月15,000〜30,000円程度 |
人材紹介手数料の相場は紹介手数料の額はどう決まるか、総額の内訳と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場で整理しています。
なお、報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら地方出入国在留管理局長の承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。書類の作成が必要な場合は、行政書士などの専門家と連携して進めます。
登録支援機関の活用
航空の現場で外国人材を支えるには、生活支援が欠かせません。自社で支援体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます(自社支援と委託の比較は自社支援か登録支援機関への委託か)。選び方と契約前の確認は登録支援機関の選び方を参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。すでに委託していて委託先を見直したいときの進め方は登録支援機関の変更(乗り換え)にまとめています。
長期就労:特定技能2号への移行
特定技能1号は在留期間が通算で最長5年です。航空は空港グランドハンドリング・航空機整備の両区分で特定技能2号の対象とされており、5年を超えて長く働いてもらう道筋になります。
⚠️ 2号の技能水準の定め方が、区分によって異なります(混同しやすいポイントです)。
- 空港グランドハンドリング2号 — 「航空分野特定技能2号評価試験(空港グランドハンドリング)」に合格することが技能水準です。社内資格等を有する指導者・チームリーダーとして、上記7業務を管理する立場での従事が前提になります。
- 航空機整備2号 — 「航空分野特定技能2号評価試験(航空機整備)」への合格に加えて、航空法上の国家資格「航空従事者技能証明」(一等/二等航空整備士、一等/二等航空運航整備士、航空工場整備士 等)の保有も技能水準として認められます。つまり整備区分は「評価試験合格」と「国家資格保有」のどちらかを満たせばよい、という他区分にはない仕組みです。
いずれの区分も技能水準に加えて実務経験が要件です。運用要領(令和8年7月17日一部改正版)は、航空機整備は「専門的な知識・技量を要する作業を実施した3年以上の実務経験」(航空会社や航空機整備会社で、国家資格整備士等の指導・監督の下、ドック整備や材料・部品等の領収検査など専門的・技術的な整備業務に3年以上従事したこと)と定めています。空港グランドハンドリングは年数の定めがなく、必要な知識や技能(安全管理規定の理解や作業資格の取得など)を習得したうえで新入社員等に指導したこと=「技能者を指導しながら作業に従事した実務経験」が要件です。航空従事者技能証明のルートでは、実務経験は「航空分野2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書」(分野参考様式第9-3号)で確認されます。[5]
あわせて、2号の日本語能力水準は「日本語教育の参照枠」のB1相当以上です。当面は日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格証明書(CEFRのB1相当以上と判定された場合に限る)で確認し、2027年4月1日以降の取扱いは別途知らせるとされています。
受け入れ企業の側にも義務があります。航空分野の告示第2条は、特定技能外国人から求められたときに実務経験を証明する書面を交付することを受け入れ企業の基準とし、運用要領は、これを行わない場合は基準に適合せず特定技能外国人を受け入れられなくなるとしています。採用後にどう育てるかの指針としては、国土交通省が関係業界と策定する「育成・キャリア形成プログラム」(講習受講・資格取得、日本語能力、マネジメント経験、フォローアップや意欲向上策=国土交通省のホームページに掲載)が2026年7月17日改正で運用要領に位置づけられました(同改正の新旧対照表で新設を確認)。[6]
長期で活躍してもらう前提で、2号への移行を計画に入れると定着につながります。
航空で働く特定技能外国人の実像
「自社が受け入れ機関の要件を満たしていたとして、実際にどんな人材を採用できるのか」——採用計画を立てるうえでは、制度の要件だけでなく、すでに働いている人の国籍・勤務地の傾向をつかんでおくと具体的に検討しやすくなります。
航空の特定技能1号在留者は2,803人(2026年6月末・速報値)で、受入れ見込数4,900人に対する充足率は57.2%です。[7]見込数の半分を超えたところで、枠にはまだ余地があります(全分野の充足率の比較は特定技能の受け入れ停止と分野別の充足率で整理しています)。
国籍別の内訳が公表されている直近の詳細統計(2025年12月末時点・1号2,260人)では、2023年6月末(342人)から6.6倍に急増しています。他分野に比べるとまだ母数は少なめですが、伸びの勢いは特定技能の中でも際立っています。国籍別ではフィリピンが44.3%で最多(2年半で+366%)、次いでネパール・インドネシア・ベトナムと続きます。都道府県別では空港・整備拠点が集積する千葉県・神奈川県・大阪府・東京都が上位で、空港所在地に採用可能な人材が集まっている傾向がうかがえます。自社の拠点が上位県に近いかどうかも、採用のしやすさを見立てる材料になります。
データで見る:航空で働く特定技能外国人
2025年12月末時点
全国で就労中
2,260人
直近2.5年の伸び
+561%
2025年12月末時点で全国2,260人(2023年6月末の342人から+561%)。国籍はフィリピンが44.3%で最多、都道府県は千葉県が747人で最多です。
どの国から来ているか
- フィリピン1,001人(44.3%)
- ネパール329人(14.6%)
- インドネシア264人(11.7%)
- ベトナム199人(8.8%)
- ミャンマー187人(8.3%)
- その他280人(12.4%)
直近はフィリピンが急増(2年半で+366%)
どこで働いているか
- 千葉県747人
- 神奈川県470人
- 大阪府468人
- 東京都394人
- 愛知県94人
年齢層
- 18-29歳51.8%
- 30-39歳45.2%
- 40+歳3%
男女比
- 男性83.4%
- 女性16.6%
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末)をトモハタが集計。数値はすでに就労している人の分布で、地域の人材供給・採用競合をつかむ目安です。募集のしやすさを保証するものではありません。
分野をまたいだ全体像(全分野の人数・国籍・都道府県の統計)は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
航空で特定技能の外国人を採用するには、①自社が受け入れ機関になれる事業者かの確認②業務区分(空港グランドハンドリング・航空機整備)と区分ごとの試験(航空分野特定技能1号評価試験・参照枠A2.2相当以上)③航空分野特定技能協議会への加入を押さえることが第一歩です。技能実習からの移行は試験免除、長期就労は特定技能2号への移行が道筋になります。
制度の全体像は特定技能とは?、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、起きやすいトラブルと対処は外国人雇用のリスクと対処をご覧ください。
よくあるご質問
- 航空で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、航空分野特定技能1号評価試験(空港グランドハンドリングまたは航空機整備)に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)を持つことが基本です。技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。企業側は受け入れ要件を満たし、航空分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。
- 航空の特定技能の対象業務区分は何ですか?
- 「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2区分が対象です。空港グランドハンドリングは地上での手荷物・貨物の搭降載や航空機の誘導など、航空機整備は機体の整備・点検が中心です。自社の業務がどちらに当たるかで受ける試験が変わります。
- 航空は特定技能2号の対象ですか?
- はい、対象です。ただし技能水準の定め方が区分で異なります。空港グランドハンドリングは「航空分野特定技能2号評価試験」の合格が要件ですが、航空機整備は同評価試験の合格に加えて、一等/二等航空整備士などの航空法上の国家資格「航空従事者技能証明」の保有も技能水準として認められます。あわせて区分ごとの実務経験(航空機整備は専門的な知識・技量を要する作業を実施した3年以上、空港グランドハンドリングは技能者を指導しながら作業に従事した経験)と、日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格(日本語教育の参照枠のB1相当以上)が必要です。
出典・参考(一次情報)
- 航空分野(出入国在留管理庁)
- 航空分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(別紙8・令和8年1月23日閣議決定・受入れ見込数4,900人/別表1・確認日2026年7月30日)(出入国在留管理庁)
- 特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定・旧方針の航空分野4,400人/確認日2026年7月30日)(出入国在留管理庁)
- 航空分野特定技能評価試験(公益社団法人 日本航空技術協会(JAEA))
- 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-航空分野の基準について-(令和8年7月17日一部改正版=第2〔2号の実務経験・日本語能力水準〕・第3 告示第2条〔実務経験を証明する書面の交付〕・第6 育成・キャリア形成プログラム/確認日2026年9月3日)(出入国在留管理庁)
- 同運用要領(航空分野)の一部改正について(令和8年7月17日・新旧対照表=通し番号10〔2号の日本語能力水準・新設〕・23〜24〔第6 育成・キャリア形成プログラム・新設〕/確認日2026年9月3日)(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値。同URLは四半期ごとに最新版へ差し替えられる)=航空2,803人・充足率57.2%(出入国在留管理庁)