自動車整備で特定技能の外国人を採用するには|要件・試験・認証工場
目次
自動車整備は特定技能1号・2号の両方が用意された分野ですが、「採用したい人材が見つかっても、自社の事業所が認証工場でなく受け入れられない」というつまずきが起きやすい分野です。結論を先に言うと、自動車整備で押さえるべき固有ルールは①必要な試験(自動車整備分野特定技能1号評価試験・参照枠A2.2相当以上)②対象業務は日常点検整備・定期点検整備・特定整備③受け入れ事業所が道路運送車両法の認証工場であること④自動車整備分野特定技能協議会への加入の4つです。所管は国土交通省で、長期就労は特定技能2号への移行が道筋になります。このページで、これらを順に整理します。
この記事の要点
- 認証工場であることがこの分野固有の要件 — 受け入れ事業所は道路運送車両法第78条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた「認証工場」である必要があります。認証がないと受け入れられません。
- 固有の試験と協議会がある — 自動車整備分野特定技能1号評価試験(または自動車整備士技能検定3級)・参照枠A2.2相当以上が基本(自動車整備の技能実習2号修了者は試験免除)。企業は自動車整備分野特定技能協議会への加入が必要です。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 対象業務は日常点検整備・定期点検整備・特定整備。2号では他の要員へ指導しながら整備業務に従事することが想定されています。
本記事は一般的な情報提供です。自動車整備分野の要件・対象業務の範囲は変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁および国土交通省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
自動車整備の特定技能はここが特徴
自動車整備で特定技能を受け入れるときは、他の分野にはない固有のルールが前提になります。まずここを押さえます。[1]
- 対象業務は点検・整備 — 日常点検整備・定期点検整備・特定整備と、これに付随する基礎的な業務が対象です。
- 受け入れ事業所は「認証工場」であること — 受け入れ事業所が、道路運送車両法第78条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた認証工場であることが、この分野固有の要件です。
- 自動車整備分野特定技能協議会への加入が必要 — 受け入れ企業は協議会の構成員になります。
- 所管は国土交通省 — 試験運用や調査は国土交通省が所管します。
- 特定技能1号・2号の両方がある — 2号では、他の要員へ指導を行いながら整備業務に従事することが想定されています。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いで解説しています。
以下で、それぞれを詳しく見ていきます。
自動車整備で必要な試験
自動車整備で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。
- 技能試験 — 「自動車整備分野特定技能1号評価試験」または自動車整備士技能検定試験3級。
- 日本語能力水準 — 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)。水準と各試験の対応(公式の換算表はありません)は特定技能の日本語試験で解説しています。
自動車整備の技能実習2号を良好に修了した人は、これらの試験が免除されます。整備の現場に慣れた人材を受け入れやすいルートです(特定技能・技能実習・育成就労の違い)。
特定技能2号へ進むには、「自動車整備分野特定技能2号評価試験」または自動車整備士技能検定試験2級の合格が必要です。
分野をまたぐ試験の全体像(日本語試験の要件・免除ルート・分野別の試験名一覧)は特定技能の試験で解説しています。
対象となる業務
自動車整備の1号で従事できるのは、日常点検整備・定期点検整備・特定整備、およびこれに付随する基礎的な業務です。2号になると、他の要員へ指導を行いながら、これらの整備とこれに付随する一般的な業務に従事することが対象に広がります。
認証工場の要件(この分野の最大の注意点)
自動車整備分野で特に注意したいのが、受け入れ事業所の認証要件です。
- 受け入れを行う事業所は、道路運送車両法第78条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた「認証工場」である必要があります。
- 認証を受けていない事業所では、自動車整備分野の特定技能外国人を受け入れられません。
自社の事業所がこの認証を受けているかを、採用を進める前に確認しておくことが第一歩になります。
受け入れ企業に求められる要件
自動車整備で受け入れるには、企業側に次のような条件が求められます。
- 認証工場であること — 上記の道路運送車両法に基づく認証(この分野固有)。
- 自動車整備分野特定技能協議会への加入 — 受け入れ企業は協議会の構成員になること。
- 所管省庁の調査等への協力 — 国土交通省が行う調査や指導に協力すること。
企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、採用全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。
採用ルート
自動車整備で特定技能外国人を採用する主なルートは次のとおりです。
- 試験合格者を採用 — 国内・海外で自動車整備の試験に合格した人材を採用します。
- 自動車整備の技能実習からの移行 — 試験免除でスムーズに移行できます。
- 国内在住者の採用 — すでに日本にいる特定技能外国人を採用すると、渡航費などの初期費用を抑えやすくなります。
費用の目安
自動車整備でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費など。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費(1人あたり月15,000〜30,000円程度が目安)。
なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。総額の内訳と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場で整理しています。
登録支援機関の活用
自社で生活支援の体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます(自社支援と委託の比較は自社支援か登録支援機関への委託か)。選び方は登録支援機関の選び方、契約前の確認は契約前チェックリストを参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。
自動車整備で働く特定技能外国人の実像
自動車整備の特定技能1号在留者は4,925人(2026年3月末・速報値)で、受入れ見込数9,400人に対する充足率は52.4%です(全分野の充足率の比較は特定技能の受け入れ停止と分野別の充足率で整理しています)。[2]
国籍別の内訳が公表されている直近の詳細統計(2025年12月末時点・1号4,560人)では、2023年6月末(2,210人)から+106%に増え、国籍別ではベトナムが36.4%で最多、都道府県別では愛知県が最も多くなっています。自社の採用計画を立てる際の目安として、国籍・地域・年齢構成の内訳を確認できます。
データで見る:自動車整備で働く特定技能外国人
2025年12月末時点
全国で就労中
4,560人
直近2.5年の伸び
+106%
2025年12月末時点で全国4,560人(2023年6月末の2,210人から+106%)。国籍はベトナムが36.4%で最多、都道府県は愛知県が454人で最多です。
どの国から来ているか
- ベトナム1,661人(36.4%)
- フィリピン1,302人(28.6%)
- インドネシア832人(18.2%)
- ミャンマー310人(6.8%)
- カンボジア99人(2.2%)
- その他356人(7.8%)
直近はインドネシアが急増(2年半で+329%)
どこで働いているか
- 愛知県454人
- 埼玉県326人
- 千葉県245人
- 大阪府197人
- 北海道194人
年齢層
- 18-29歳59.1%
- 30-39歳38.2%
- 40+歳2.7%
男女比
- 男性99.6%
- 女性0.4%
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末)をトモハタが集計。数値はすでに就労している人の分布で、地域の人材供給・採用競合をつかむ目安です。募集のしやすさを保証するものではありません。
分野をまたいだ全体像(全分野の人数・国籍・都道府県の統計)は特定技能の統計データにまとめています。
まとめ
自動車整備で特定技能の外国人を採用するには、①必要な試験(自動車整備分野特定技能1号評価試験・参照枠A2.2相当以上)②対象業務は日常点検整備・定期点検整備・特定整備③受け入れ事業所が道路運送車両法の認証工場であること④自動車整備分野特定技能協議会への加入を押さえることが第一歩です。とくに認証工場の要件はこの分野固有なので、採用前に確認しておきましょう。技能実習からの移行は試験免除、長期就労は特定技能2号への移行が道筋になります。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、よくある失敗は特定技能採用でよくある失敗と注意点をご覧ください。
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よくあるご質問
- 自動車整備で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、自動車整備分野特定技能1号評価試験(または自動車整備士技能検定試験3級)に合格し、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力(国際交流基金日本語基礎テスト〔JFT-Basic〕・日本語能力試験〔JLPT〕で確認)を持つことが基本です。自動車整備の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。企業側は、受け入れ事業所が道路運送車両法に基づく認証工場であることに加え、自動車整備分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。
- 自動車整備の特定技能で任せられる仕事は何ですか?
- 1号では、日常点検整備・定期点検整備・特定整備、およびこれに付随する基礎的な業務が対象です。特定技能2号では、他の要員へ指導を行いながら、日常点検整備・定期点検整備・特定整備とこれに付随する一般的な業務に従事することが想定されています。
- 自動車整備の特定技能には認証工場であることが必要と聞きました。本当ですか?
- はい。自動車整備分野では、受け入れる事業所が道路運送車両法第78条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた「認証工場」であることが、この分野固有の要件として求められます。認証を受けた事業所での受け入れが前提になる点が、他の分野と異なる注意点です。
出典・参考(一次情報)
- 自動車整備分野(出入国在留管理庁)
- 特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年3月末時点・速報値)=自動車整備4,925人・充足率52.4%(出入国在留管理庁)