特定技能の給料はいくらにする?外国人社員の給与の決め方
目次
「日本人と同等以上」——特定技能の給料について、制度が定めているのはこの一行です。では、いくらに設定すればよいのか。
先に結論を置きます。特定技能の給料は「全国平均」から決まるのではなく、3つの下限のうち一番高いところから決まります。 統計の平均は、決めた額が世の中から外れていないかを後から確認するために使います。
この記事の要点
- 下限は3つある — ①勤務地の最低賃金 ②社内で同じ仕事をしている日本人の報酬額(同等報酬) ③募集して人が来る水準。①②は法令上の下限、③は法令ではなく労働市場の制約です。実際に効くのは、この3つのうち一番高いものです。
- 政府統計の特定技能は月22万円台(超過労働給与額〔時間外・深夜・休日出勤・宿日直・交替の各手当〕を除いた税引前の所定内給与額)。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で221.4千円、前年から4.8%上がっています(⚠️ 同調査の対象産業に農業・林業・漁業は含まれません)。「23万円台」という数字は割増賃金や手当を含む総額なので、月給の設計にそのまま当てると過大になります。
- 分野差は月に約9万円(令和3年・総額ベースで建設285,339円〜宿泊194,358円)。全国平均より自分の分野が上か下かで、置く水準が変わります。
- 比較の軸は「経験年数と職務・責任」 — 入管に出す説明書(参考様式第1-4号)の欄がそう作られています。技能実習から移る人は、おおむね3年(2号修了)・5年(3号修了)の経験者として扱う必要があり、比較の相手は技能実習修了時の本人ではありません。
- 通勤手当・住宅手当を厚くしても、同等報酬の比較に載る額は増えません(実費弁償の性格を持つ手当は「報酬」から外れます)。⚠️ ただし最低賃金の判定は別ルールで、同じ手当でも扱いが違うことがあります。
- 最低賃金の改定日は都道府県で違います — 令和7年度は令和7年10月1日から令和8年3月31日まで分散しました。「毎年10月に見直す」だけでは間に合わない県があります。次の改定(令和8年度)の目安はすでに答申済みで、目安どおりなら全国加重平均は1,121円から1,176円へ上がります。
本記事は一般的な情報提供です。個別の報酬額が「同等以上」に当たるかどうかの判断や、賃金規程の作成・雇用条件書や説明書の作成は専門家の領域です(賃金規程・労務は社会保険労務士、在留資格の申請書類の作成・申請取次は行政書士)。制度の数値・要件は変動するため、実際に契約を結ぶ段階では出入国在留管理庁の最新の運用要領と、勤務地の労働局が公表する最低賃金で確認してください。
特定技能の給料は、3つの下限のうち一番高いところで決まる
先に一番高い下限を特定すると、そのあとの検討が短くなります。 特定技能で払える額の下限は、性格の違う3つが重なっています。
| # | 下限 | 根拠 | 下回るとどうなるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 勤務地の最低賃金(地域別と、業種によっては特定最低賃金の高い方) | 最低賃金法第4条第1項・第6条第1項 | 契約のその部分は無効になり最低賃金額を定めたものとみなされる(同法第4条第2項)。地域別最低賃金については50万円以下の罰金(同法第40条) |
| 2 | 社内で同じ仕事をしている日本人の報酬額(同等報酬) | 特定技能雇用契約の基準(特定技能基準省令第1条第1項第三号) | 契約が基準に適合しない=在留諸申請が通らない |
| 3 | 募集して人が来る水準 | 法令上の下限ではない(労働市場の制約) | 応募が集まらず採用そのものが成立しない |
1と2は法令上の下限ですが、性質が違います。最低賃金は罰則を伴う労働法令の違反で、同等報酬は特定技能雇用契約が満たすべき基準——満たさなければ在留資格の手続きが進みません。3は法令の話ではありませんが、下回れば応募が来ません。3つのうち最も高いものが、実際に設定できる額の下限になります。
⚠️ 分野によっては、これに上乗せの金額基準があります。 建設分野では、受入計画の認定にあたって時給換算の下限・昇給額・求人票との整合が審査されます(後述)。
③だけは公的な数値がありません。 次の節で見る政府統計は「すでに働いている人に支払われた額」で、「募集して人が来る額」とは別物です。③を測る材料は自社の手元にしかありません——直近の自社求人への応募状況、同じ地域・同じ職種の求人票が提示している額、人材紹介会社から示される水準。統計はこれを裏付けるためではなく、自社が置いた額が世の中から外れていないかを確認するために使います。
この記事はこのあと、水準の確認(統計) → ①最低賃金 → ②同等報酬 → 説明書の欄の順に見ていきます。実際に額を置くときは②を先に確認して、いなければ③で置き、最後に①で検算する——この順で作業すると手戻りが起きません。
⚠️ この記事が扱うのは月給・時給の額をいくらに置くかの決め方までです。決めた額を雇用条件書のどの欄にどう書くか(割増賃金率・控除・別紙「賃金の支払」)は特定技能雇用契約書・雇用条件書、同等報酬をどう説明するか(3分岐の説明の作り方・受け入れ企業の要件全体)は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、賃金を除いた採用・支援コストは特定技能の費用で扱っています。制度全体の入口は特定技能で外国人を採用するにはです。
公的統計でみる特定技能の給料の水準
特定技能の所定内給与額は、月22万円台です。 厚生労働省の令和7(2025)年賃金構造基本統計調査によると、在留資格区分別の賃金は特定技能が221.4千円(対前年+4.8%・平均年齢29.5歳・平均勤続2.4年)でした。同調査の「賃金」は令和7年6月分の所定内給与額の平均で、所定内給与額とは「きまって支給する現金給与額」から超過労働給与額(①時間外勤務手当 ②深夜勤務手当 ③休日出勤手当 ④宿日直手当 ⑤交替手当)を差し引いた額、かつ所得税等を控除する前の額です(=手取りではありません)。[1]
| 在留資格区分(令和7年賃金構造基本統計調査 第9表) | 賃金(所定内給与額・千円) | 対前年増減率 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|
| 外国人労働者計 | 254.3 | +4.8% | 32.5歳 | 3.3年 |
| 専門的・技術的分野(特定技能を除く) | 313.2 | +7.3% | 32.4歳 | 3.2年 |
| 特定技能 | 221.4 | +4.8% | 29.5歳 | 2.4年 |
| 身分に基づくもの | 311.1 | +3.6% | 45.0歳 | 6.5年 |
| 技能実習 | 190.3 | +4.2% | 26.2歳 | 1.7年 |
| その他(特定活動及び留学以外の資格外活動) | 228.3 | +0.8% | 30.1歳 | 2.0年 |
読むときの前提が3つあります。[1]
- 特定技能1号と2号の両方が含まれます(同調査の在留資格区分の定義が「特定技能=特定技能1号、特定技能2号」)。1号だけの水準はこの統計では切り分けられません。
- 農業・林業・漁業の事業所は対象産業に含まれません(同調査の範囲は日本標準産業分類の16大産業)。⚠️ 特定技能の分野でいうと農業・漁業がこの平均に入っていないので、その2分野では次の分野別データのほうを見ます。
- 母集団は5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所(5〜9人の事業所は企業規模が5〜9人の事業所に限る)と10人以上の公営事業所です。それより小さい事業所は入っていません。
「平均◯万円」が資料によって違う4つの理由
特定技能の平均給与として、20万円台の数字と23万円前後の数字の両方が流通しています。食い違いの原因は4つで、どれも「どの数字を自社の目安に使うか」を変えます。
| 食い違いの原因 | 具体 | 月給を決めるときにどう扱うか |
|---|---|---|
| どの調査年か | 賃金構造基本統計調査の特定技能は 令和6年211.2千円 → 令和7年221.4千円(+4.8%) | 古い年の数値は低く出る。調査年を確認する |
| どの額の範囲か | 令和6年外国人雇用実態調査の特定技能は、所定内給与額213.0千円/割増賃金を含む「きまって支給する現金給与額」250.3千円 | 月給の設計に使うのは所定内給与額。割増賃金込みの額を基準にしない |
| どの調査主体・母集団か | 出入国在留管理庁が定期届出から集計した「月平均支給額」は令和3年で全分野平均231,979円。これは支給賃金額の総額(11,331名分) | 総額ベースの数字を「基本給の目安」として使わない |
| どの月か | 賃金構造基本統計調査は6月分、外国人雇用実態調査は9月分 | 同じ年なら大きな差は出ていない(下記) |
調査が違うことよりも、調査年が違うことのほうが効きます。 同じ令和6年で2つの調査を並べると、賃金構造基本統計調査(6月分)が211.2千円[2]、外国人雇用実態調査(9月分)が213.0千円[3]で、調査主体も対象月も違うのにどちらも21万円台前半に収まります(⚠️ 集計方法が違う別々の調査なので、差額を計算して意味のある数字にはなりません)。一方、賃金構造基本統計調査の同じ列を年で並べると、令和6年が211.2千円、令和7年が221.4千円で、同調査自身が対前年+4.8%と公表しています。1年古い資料を引くだけで、目安が1割近く下振れするのがいまの局面です。
⚠️ どの数字も全国平均です。平均を自社の設定額の根拠にはできません。 特定技能雇用契約の基準が求めているのは、統計の平均との比較ではなく、自社で同じ業務に従事する日本人の報酬額との比較です。統計は「決めた額が世の中から大きく外れていないか」を確認するための物差しとして使います。
分野によってどのくらい違うか
分野差は月に約9万円あります。 出入国在留管理庁が令和3年を通じて在留した特定技能外国人11,331名分の定期届出から算出した月平均支給額(暫定値)は、全分野平均231,979円に対して、最も高い建設が285,339円、最も低い宿泊が194,358円でした(差=90,981円・編集部算出=同表の最高と最低の差)。[4]
| 分野(令和3年・月平均支給額・暫定値=割増賃金・手当を含む総額) | 金額 |
|---|---|
| 建設 | 285,339円 |
| 自動車整備 | 249,481円 |
| 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 240,641円 |
| 造船・舶用工業 | 239,748円 |
| 漁業 | 236,634円 |
| 外食業 | 233,543円 |
| 全分野平均 | 231,979円 |
| 飲食料品製造業 | 223,566円 |
| 介護 | 223,531円 |
| ビルクリーニング | 207,313円 |
| 農業 | 206,096円 |
| 宿泊 | 194,358円 |
| 航空 | 集計対象外(対象者が僅少のため) |
⚠️ この表の数字は「支給賃金額(総額)」で、割増賃金・手当を含みます。 上の所定内給与額(221.4千円)とは範囲が違うので、引き算や比較はできません。また令和3年の暫定値で、直近の水準ではありません。[4]自分の分野が全分野平均より上か下かという相対の目安として読むのが安全です。
時間あたり・年額に直すと
月額のままでは、勤務地の最低賃金(時間額)と突き合わせられません。自社の額を時間あたりに直す計算は、月給 ÷(年間所定労働時間 ÷ 12)です。 たとえば年間所定労働時間1,960時間なら月平均約163.3時間で、月給20万円は約1,224円(小数点以下切り捨て)になります。
⚠️ この計算の分子には、最低賃金の比較に算入できる賃金だけを入れます。 最低賃金と比べる賃金に算入しないものは最低賃金法第4条第3項と同法施行規則が定めており、月給の額面をそのまま割ると判定を誤ります。[5]算入・不算入の内訳と計算例は特定技能雇用契約書・雇用条件書の別紙「賃金の支払」の解説にあります。
⚠️ 分母(所定労働時間)も自由には置けません。 特定技能基準省令第1条第1項第二号は「外国人の所定労働時間が、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること」を求めており、運用要領は「所定労働時間」を「雇用契約や就業規則で定められた労働時間(休憩時間は含まない。)」、その前提となる「通常の労働者」をフルタイム=「原則、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上」としています。[6]時間あたりを上げるために所定労働時間だけ短く設定する、という調整はできません。
水準感の参考として、令和6年外国人雇用実態調査の特定技能は所定内給与額213.0千円・所定内実労働時間160.2時間で、1時間あたりは約1,330円になります(編集部算出=同表内の2つの値の単純計算・令和6年9月分)。[3]⚠️ ただしこれは、契約上の所定労働時間ではなく実際に働いた時間(所定内実労働時間 160.2時間)で割った参考値で、分母が上の検算式と違います。分子の213.0千円にも実費弁償の手当が含まれ得るため、最低賃金の判定にそのまま使える額ではありません。
年額の目安も同じ調査から作れます。特定技能は所定内給与額213.0千円のほかに、年間の賞与・期末手当等が107.7千円です。[3]賞与は在留資格で大きく差があり、同じ「専門的・技術的分野」に含まれる技術・人文知識・国際業務は357.3千円、技能実習は39.4千円でした。年収で人材を比較しているなら、月給だけでなく賞与の設計も併せて見ることになります。
賃金をどこに置くかが決まったら、次に効いてくるのは賃金以外にかかる採用・支援コストです(この記事の水準はいずれも賃金だけの数字で、紹介手数料や支援委託費は別に乗ります)。
最低賃金——地域別と産業別の高い方・改定は毎年・発効日は県で違う
令和7年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,121円です。 改定前の1,055円から66円(6.3%)の引き上げでした。最も高いのは東京都の1,226円、最も低いのは高知県・宮崎県・沖縄県の1,023円で、その差は203円です。[7]
⚠️ 全国加重平均は「平均値」であって、どこかに適用される額ではありません。 判定に使うのは勤務地の都道府県の額です。
最低賃金法は使用者に「最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と定め(第4条第1項)、最低賃金額に達しない賃金を定めた労働契約はその部分が無効になり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます(第4条第2項)。つまり本人が合意していても額は最低賃金まで引き上がります。地域別最低賃金についてはこれに違反した者を50万円以下の罰金としています(第40条)。[5]なおトモハタが2026年8月11日に同法の全文を「国籍」「外国人」で検索した範囲では、国籍による適用除外の定めは確認できませんでした(同法の地域別最低賃金は「あまねく全国各地域について決定されなければならない」〔第9条第1項〕とされています)。[5]
業種によっては、地域別より高い「特定最低賃金」があります。 最低賃金法は、一定の事業または職業に係る最低賃金を特定最低賃金と呼び(第15条)、その額は「当該特定最低賃金の適用を受ける使用者の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額を上回るものでなければならない」としています(第16条)。そして2つ以上の最低賃金の適用を受ける場合は「これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のもの」で判定します(第6条第1項)。[5]⚠️ 自社の業種に特定最低賃金が設定されていないかを、勤務地の労働局で確認してから額を決めます。
派遣で受け入れる場合は、適用されるのが派遣先の額になります。 最低賃金法第13条は、派遣中の労働者について「その派遣先の事業の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額により第四条の規定を適用する」と定めており、特定最低賃金についても第18条が同じ扱いを定めています。[5]派遣元の所在地ではなく、実際に働く場所の額で判定します。 なお運用要領は「特定技能外国人を派遣形態で雇用することができる分野は、『農業分野』及び『漁業分野』とされていることから(令和8年4月1日時点)、これ以外の特定産業分野については、特定技能外国人を派遣形態で雇用することは認められない」としており、この論点が効くのは農業・漁業です。[6]
なお、都道府県労働局長の許可を受けた場合に最低賃金額を減額できる特例が同法第7条にあります(精神・身体の障害により著しく労働能力の低い者、試の使用期間中の者などが対象)。[5]許可を前提にした賃金設計は、許可が下りなければ成立しません。
実務で見落とされやすいのは、発効日が全国一律ではないことです。 令和7年度は、栃木県の令和7年10月1日から秋田県の令和8年3月31日まで、発効日が半年近くにわたって分散しました。[7]
| 令和7年度 地域別最低賃金(抜粋) | 時間額 | 改定前 | 引上げ額 | 発効日 |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 1,226円 | 1,163円 | 63円 | 令和7年10月3日 |
| 神奈川 | 1,225円 | 1,162円 | 63円 | 令和7年10月4日 |
| 栃木 | 1,068円 | 1,004円 | 64円 | 令和7年10月1日(全国で最も早い) |
| 熊本 | 1,034円 | 952円 | 82円(全国で最大) | 令和8年1月1日 |
| 大分 | 1,035円 | 954円 | 81円 | 令和8年1月1日 |
| 秋田 | 1,031円 | 951円 | 80円 | 令和8年3月31日(全国で最も遅い) |
| 群馬 | 1,063円 | 985円 | 78円 | 令和8年3月1日 |
| 高知・宮崎・沖縄 | 各1,023円(全国で最低) | 各952円 | 各71円 | 令和7年12月1日・令和7年11月16日・令和7年12月1日 |
| 全国加重平均 | 1,121円 | 1,055円 | 66円 | — |
引き上げ額は63円から82円まで幅がありました。上げ幅が最も大きかったのは熊本の82円で、東京・神奈川など改定前の額が高い都県は63円です。ただし上げ幅は改定前の額だけでは決まりません(改定前985円の群馬が78円、952円の高知・宮崎・沖縄が71円)。[7]いずれにしても、地方の事業所ほど前年の設計のままでは下限に近づきます。
複数の県に事業所がある場合、見直しの時期は事業所ごとに違います。 「毎年10月に一斉点検」という社内ルールだけでは、年明けや年度末に発効する県を取りこぼします。上の表は抜粋なので、自社の事業所がある県の額と発効日は厚生労働省の全国一覧で確認し、採用計画のカレンダーに入れておきます。
次の改定はもう動き出しています(as-of 2026-08-11)
いま設定する額は、次の改定を織り込んでおかないと数か月で下限に近づきます。 令和8年7月28日の第75回中央最低賃金審議会で、令和8年度の地域別最低賃金額改定の目安が答申されました。引上げ額の目安はAランク54円・Bランク56円・Cランク56円で、厚生労働省は「仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,176円」(上昇額55円・引上げ率4.9%)としています。[8]
⚠️ これは目安であって確定額ではありません。 厚生労働省は、この後「各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります」と説明しています。[8]
いま月給を決めるなら、自社の県がA・B・Cのどのランクかを答申の資料で確認し、時間あたりに直した額がその上げ幅を上乗せした水準にも収まるかを見ておくと、秋以降の再改定を避けられます。確定額と発効日は、都道府県労働局の公表を待って確認します。
「日本人と同等以上」は、誰と比べるかで決まる
この要件が求めているのは、金額の絶対水準ではなく、比較の説明です。 特定技能基準省令第1条第1項第三号は「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」と定め、続く第四号が「外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと」を求めています。[6][9]
出入国在留管理庁の運用要領は、この「同等以上」を社内の状況に応じて3通りに説明する形で運用しています——①同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合はその人と、②いない場合で賃金規程があるなら規程に照らした自社の報酬体系の観点から、③いない場合で賃金規程もないなら職務内容と責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者との差異という観点から。[6]3分岐それぞれの説明の作り方と、受け入れ企業に求められる要件全体のなかでの位置づけは特定技能で企業に求められる受け入れ要件にまとめています。 ここでは、この3分岐が金額の決め方をどう変えるかだけを見ます。
⚠️ 3つとも比較の相手は「社内の日本人」です。 「社内に比較相手がいなければ、近隣の同業他社が特定技能外国人に払っている額と比べればよい」という説明を見かけますが、トモハタが2026年8月11日に運用要領の全文を「同業他社」「近隣」で検索した範囲では、他社の報酬額と比較する説明方法は確認できませんでした(「同業他社」は0件、「近隣」の2件は試験の受験国と漁業の面談に関する別の文脈)。[6]社内に同等者がいない場合の行き先は、上の②③(賃金規程、または最も近い職務との差異)です。
なお運用要領は、①(同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合)についてこう付言しています——「なお、これにより、外国人労働者と比較した際に、日本人労働者に不当に安い賃金を支払う結果とならないように留意してください」。[6]日本人側を下げて揃えるのは想定されていません。
技能実習から移る人は「経験3年・5年」の人として扱う
移行組でいちばん多い設計ミスが、技能実習修了時の額を基準にすることです。 運用要領は次のように定めています。
[6]特定技能外国人は、技能実習2号修了者であればおおむね3年間、技能実習3号修了者であればおおむね5年間、日本に在留し技能実習を修了した者であることから、従事しようとする業務について、おおむね3年程度又は5年程度の経験者として取り扱う必要があります。技能実習生として受け入れたことがある者を特定技能外国人として雇用する場合、技能実習2号修了時の報酬額を上回ることはもとより、実際に3年程度又は5年程度の経験を積んだ日本人の技能者に支払っている報酬額とも比較し、適切に設定する必要があります。
「上回ることはもとより」が効きます。 技能実習修了時から少し上げただけでは足りず、比較の相手は自社で3年(または5年)働いている日本人になります。自社の賃金表に経験年数の軸があるなら、移行者は入社1年目の欄ではなく3年目・5年目の欄に置く、という読み方です。
また運用要領は、留学生等であった者や他の受入れ機関にいた技能実習生を新たに雇用する場合については、雇用する特定技能所属機関の就業規則等に従って賃金を適切に設定する必要があるとしています。[6]採用ルートによって、比較の起点が変わります。
手当をどこに置くかで、比較に載る額が変わる
運用要領は「報酬」を次のように定義しています。
[6]「報酬」とは「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」をいい、一般的に通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものは除く。)は含まれません。
支給総額が同じでも、実費弁償の手当に振り分けた分は同等以上の比較に載りません。 基本賃金を抑えて通勤手当・住宅手当を積み増す設計は、この要件に対しては効きません。⚠️ 「比較に載らない」ことと「支給する意味がない」ことは別です。 住宅補助や通勤手当は本人の手取りに効きますが、同等以上の説明では数えられない——それだけのことです。同等報酬を満たす設計と、本人の生活を支える設計は、別々に組み立てます。
賞与や手当の制度そのものに差をつける設計は、別の号に触れます。 省令第1条第1項第四号は「外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと」を求めています。[6]日本人には賞与制度があるのに外国人にだけ無い、という状態が「外国人であることを理由」によるものなら、報酬額の多寡とは別にこの号の問題になります。
さらに、同じ手当が2つの判定で違う扱いになることがあります。 最低賃金と比べる賃金に算入しないものは最低賃金法第4条第3項と同法施行規則が定めており、「報酬」から外れる手当の範囲とは別のルールです。[5]どの手当が最低賃金の比較に算入されるか、手当を雇用条件書のどの欄に置くか、通勤手当の非課税限度を超える部分をどう扱うかは、特定技能雇用契約書・雇用条件書で欄ごとに整理しています。手当の設計は、この2つの判定を両方通るかで確かめます。
⚠️ 賞与を「報酬」に含めて数えるのか除くのかについては、2026年8月11日時点で、出入国在留管理庁の運用要領(令和8年4月1日一部改正版)の全文を「賞与」で検索した範囲では、報酬の定義に関わる記述は確認できませんでした(該当5件は労働基準法第89条の引用が1件、雇用条件書の変更に係る届出が3件、定期届出の届出事項が1件)。本記事は明示のない点を推測で補っていません(同じ扱いは特定技能雇用契約書・雇用条件書にも記載しています)。書面を作る前に、管轄の地方出入国在留管理局や社会保険労務士へ確認してください。
決める前に、入管に出す説明書の欄を見る
額を決めてから説明書を書くと、書けない欄が出てきます。 参考様式第1-4号「特定技能外国人の報酬に関する説明書」は、在留諸申請の確認対象書類として運用要領に挙げられており、記載する欄はあらかじめ決まっています。[6]
この欄を先に見れば、額を決める前に何を集めておけばよいかが分かります。
| 説明書の欄(参考様式第1-4号) | 決める前に用意しておくもの |
|---|---|
| 1 申請人の役職、職務内容、責任の程度 | 任せる作業の範囲と、誰の指示のもとで働くかを1〜2文で書けるようにしておく |
| 1 申請人の年齢、性別及び経験年数 | 従事させる業務についての経験年数(技能実習修了者は3年/5年として数える) |
| 2 比較対象となる日本人労働者の役職、職務内容、責任の程度・経験年数・報酬 | 社内で同じ作業をしている人の職務内容・経験年数・月給(時間給で書くなら統一する) |
| 2・3 賃金規程の有無と、規程に基づく賃金 | 賃金規程があるなら、その規程で職務・責任が同等(3欄では「最も近い」)の日本人に支払われるべき額。規程は参考資料として添付する |
| 3 最も近い職務を担う日本人労働者の職務内容・経験年数・報酬 | 社内に同等者がいない場合。差異を説明する材料(役職・責任の重さ・経験年数の差) |
⚠️ 2と3は両方を埋めるものではありません。 様式の注意書きは3について「2「比較対象となる日本人労働者」を記載している場合には、記載不要です。」としています。[10]
様式の注意書きは、月給と時間給のどちらで書いてもよいが様式内で統一すること、月給・時間給以外の給与形態の場合は月給または時間給に換算して記載することを求めています。皆勤手当などの諸手当は「その他」の欄に書きます。[10]様式と記載例は出入国在留管理庁の様式ページから入手でき、作成のたびに同ページで最新版を確認します。
⑤「同等以上と考える理由」に何を書くか
この欄が空欄のままだと、額を決めても書面が完成しません。 社内の状況ごとに、欄に入る要素を整理すると次のようになります(⚠️ 出所を分けて示します。記載例が実際に文章を埋めているのは1と3の分岐だけで、賃金規程がある場合の記入例は記載例の様式上では空欄です)。
| 社内の状況 | ⑤の理由欄に入る要素 | 出所 |
|---|---|---|
| 同等の日本人がいる | ①比較した人と申請人の経験年数が同じであること ②任される業務の範囲・業務量が同じであること ③指示系統・責任の重さが同程度であること | 記載例2⑤の逐語「比較対象の社員は申請人と同じく経験年数が4年であり、任されている業務の範囲や業務量についても、申請人と同じである。また、ともにラインマネージャーの監督・指示の下で業務を行っており、業務における責任も同程度である。」 |
| いない/賃金規程がある | ①賃金規程に照らして申請人の職務・責任が自社の報酬体系のどこに位置づくか ②その位置づけで支払われるべき額 | ①=運用要領「賃金規程がある場合には同規程に照らした個々の企業の報酬体系の観点から」/②=様式の注意書き(規程に基づく額を具体的に記載し、規程を参考資料として添付する)。記載例に記入例はありません |
| いない/賃金規程がない | ①最も近い職務を担う人と申請人の職務・責任・経験年数の差を具体的に書く ②その差を踏まえてなぜ同等以上と言えるかを述べる | 記載例3①〜⑤(下記の設例) |
3つ目の分岐は、比較相手が上位職しかいない小さな事業所でも書ける形になっています。記載例では、最も近い職務を担う日本人がラインマネージャー(40歳・経験22年・月給350,000円)、申請人が28歳・経験4年・月給180,000円という組み合わせを置き、理由欄に「当該ラインマネージャーが申請人と同年代の頃に同様の業務を行っており、当時の報酬額が同額であったため。」と記載しています。[10]⚠️ これは記載例の1件で、この書き方をすれば認められるという意味ではありません。比較の軸が「いま社内にいる人の現在額」ではなく「職務・責任・経験年数」であることを読み取るための材料として使います。
なお同じ様式の注意書きは、賃金規程がなく日本人労働者も雇用していない場合(2・3のいずれも記載が困難な場合)について、「任意の様式で、申請人の報酬額を決定した方法や経緯等について説明した文書を提出してください」としています。[10]比較相手が社内に一人もいない場合の提出物の形も、用意されています。
⚠️ 説明書や雇用条件書の作成、申請の取次は行政書士などの専門家の領域です。 登録支援機関に委託できるのは1号特定技能外国人支援計画の実施であって、申請書類の作成ではありません。必要に応じて行政書士・社会保険労務士などの専門家と連携して進めます。
決めた額は毎年届け出て、毎年見直す
設定した報酬額は、一度決めて終わりではありません。 特定技能所属機関は、受け入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)で、実労働日数・所定内および超過の実労働時間数・きまって支給する現金給与額・賞与・控除額に加えて昇給率まで届け出ます。[6]届出の時期と内容は特定技能で企業に求められる受け入れ要件で扱っています。決めた額とその後の推移は、毎年記録に残ります。
見直しのきっかけは3つです。
勤務地の最低賃金の発効日
事業所のある都道府県の発効日に合わせて、時間あたりの額が下限を割っていないかを確認します。⚠️ 発効日は県ごとに違い、令和7年度は10月から翌年3月まで分散しました。全社一律の点検日では取りこぼします。社内の同等者の賃金改定
同等報酬は社内の日本人との比較なので、比較対象にした人の賃金が上がれば、比較の基準も上がります。日本人側の定期昇給・ベースアップを入れたときは、特定技能外国人の報酬もあわせて確認します。本人からの給与の相談
同等報酬は下限であって上限ではないため、昇給の余地はあります。判断の材料になるのは、社内の同等者の水準・自社の賃金規程・経験年数の積み上がりで、これは説明書(参考様式第1-4号)で使ったのと同じ材料です。⚠️ 報酬額を変えたときは雇用条件書の変更にあたるため、届出が必要になります(特定技能雇用契約書・雇用条件書)。
⚠️ 昇給は分野共通の義務ではありません。 2026年8月11日時点で、運用要領(令和8年4月1日一部改正版)の全文を「昇給」で検索した範囲では、該当3件はいずれも雇用条件書の変更に係る届出(Ⅶ欄8「昇給」を「有」から「無」に変えたときなど)と定期届出の届出事項で、分野を問わず昇給を義務づける記述は確認できませんでした。[6]ただし雇用条件書には昇給の有無を書く欄があり、届出では昇給率まで報告します。「無」と書いておいて後から実質的な昇給を始める分には問題ありませんが、「有」と書いた内容を変えるときは届出の対象です。
一方、分野によっては昇給そのものが受け入れの条件になっています。建設分野の運用方針は「特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対し、同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給を行う契約を締結していること」と定めています。[11]しかも建設では、この方針とは別に、国土交通省の受入計画の認定基準が時給換算の下限・昇給額・求人票の月給額との整合を金額のレベルまで定めています。その基準の中身と必要な添付書類(比較対象にした日本人の賃金台帳など)は、一次資料の出典つきで特定技能「建設」とはにまとめています。介護分野のように、手当の原資に制度側の仕組みを織り込める分野もあります(特定技能「介護」とは)。
まとめ
特定技能の給料は、①勤務地の最低賃金(地域別と、業種によっては特定最低賃金の高い方) ②社内で同じ仕事をしている日本人の報酬額 ③募集して人が来る水準の3つの下限のうち、一番高いところで決まります。①②は法令上の下限ですが、①は下回れば契約のその部分が無効になり(地域別最低賃金については罰則もあります)、②は特定技能雇用契約の基準に適合せず在留諸申請が通りません。建設のように、分野の運用で金額基準が上乗せされる場合もあります。
水準の確認に使う政府統計は、超過労働給与額を除いた税引前の所定内給与額で月221.4千円(令和7年賃金構造基本統計調査・特定技能1号と2号の合計・農業/林業/漁業は対象産業外・母集団は5人以上の民営事業所など)。「23万円台」型の数字は総額ベースなので、月給の設計には使いません。分野差は建設285,339円から宿泊194,358円まで(令和3年・総額)あり、自分の分野が平均より上か下かを見る目安になります。
最低賃金は令和7年度の全国加重平均が1,121円で、適用されるのは勤務地の県の額(東京1,226円〜高知・宮崎・沖縄1,023円)、発効日は令和7年10月から令和8年3月まで県ごとに分散しています。令和8年度は目安どおりなら全国加重平均1,176円へ上がる見込みで、いま決める額はこの上げ幅を織り込んでおきます。
比較の軸は経験年数と職務・責任で、技能実習からの移行者はおおむね3年・5年の経験者として扱います。通勤手当・住宅手当を厚くしても同等報酬の比較に載る額は増えず、最低賃金の判定はさらに別ルールです。額を決める前に参考様式第1-4号の欄を見て、比較対象の職務内容・経験年数・報酬と、賃金規程の有無を手元に揃えておくと、書面で詰まりません。
本記事では、特定技能の分野別の直近の平均賃金は扱っていません。2026年8月11日時点で、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査の概況・令和6年外国人雇用実態調査の概況(令和5年の概況も含め、いずれも本文PDFの統計表まで)と、出入国在留管理庁の「特定技能制度の現状について」を確認した範囲では、特定技能を分野別に分けた賃金の集計は上記の令和3年の暫定値が最新でした(両調査の概況に収載されているのは在留資格別・職業別・勤続年数別・役職別の賃金で、産業別×在留資格別の賃金表はありません)。⚠️ e-Stat に掲載されている両調査の詳細統計表までは確認していません。より新しい分野別の水準は、その分野の職業全体の賃金と、社内の同等者の報酬額から組み立てることになります。分野によっては、その分野の記事に直近の職種別データがあります(介護職員の平均給与額は特定技能「介護」とは、建設の求人票の月給額と認定基準は特定技能「建設」とは)。
よくあるご質問
- 特定技能外国人の給料はいくらが目安ですか?
- 厚生労働省の令和7(2025)年賃金構造基本統計調査によると、在留資格「特定技能」の賃金は月221.4千円で、前年から4.8%上がっています。この「賃金」は令和7年6月分の所定内給与額(きまって支給する現金給与額から時間外・深夜・休日出勤・宿日直・交替の各手当を差し引いた、所得税等を控除する前の額)の平均で、特定技能1号と2号を合わせた全国平均です。⚠️ 同調査の対象産業に農業・林業・漁業は含まれず、母集団は5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所などです。目安として使えるのは、自社で設定した額が世の中の水準から大きく外れていないかを確認するところまでで、実際に設定できる額は勤務地の最低賃金と、社内で同じ仕事をしている人の報酬額で決まります。
- 「日本人と同等以上」とは、誰と比べればよいのですか?
- 出入国在留管理庁の運用要領は、社内の状況に応じた3通りの説明の仕方を示しています。同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合はその人と、いない場合は賃金規程に照らした自社の報酬体系の観点から、賃金規程もない場合は職務内容と責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者と比べてどう異なるかという観点から説明します。いずれも比較の相手は社内の日本人です。「近隣の同業他社が特定技能外国人に払っている額と比べる」という説明もありますが、2026年8月11日時点で同要領の全文を「同業他社」「近隣」で検索した範囲では、他社の報酬額と比較する方法は確認できませんでした。3分岐それぞれの説明の作り方は受け入れ要件の記事で扱っています。
- 技能実習から特定技能へ移る人の給料は、技能実習のときより上げれば足りますか?
- 足りません。運用要領は、技能実習2号修了者はおおむね3年間、技能実習3号修了者はおおむね5年間の経験者として取り扱う必要があるとしています。そのうえで「技能実習2号修了時の報酬額を上回ることはもとより、実際に3年程度又は5年程度の経験を積んだ日本人の技能者に支払っている報酬額とも比較し、適切に設定する必要があります」と明記しています。比較の相手は、技能実習修了時の本人ではなく、同じ経験年数の日本人です。
- 通勤手当や住宅手当を厚くすれば、同等以上の水準に届きますか?
- 届きません。運用要領は「報酬」を「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」とし、通勤手当・扶養手当・住宅手当など実費弁償の性格を持つもの(課税対象となるものを除く)は含まれないとしています。支給総額が同じでも、実費弁償の手当に振り分けた分は同等以上の比較に載りません。一方で最低賃金と比べるときに算入する賃金の範囲は最低賃金法が別に定めており、同じ手当でも2つの判定で扱いが違うことがあります。
- 最低賃金さえ満たしていれば問題ありませんか?
- 最低賃金は下限の1つにすぎません。まず、適用される額は勤務地の都道府県ごとに違い(令和7年度は東京1,226円から高知・宮崎・沖縄の1,023円まで)、業種によっては地域別より高い特定最低賃金が設定されていることがあります。2つ以上の最低賃金の適用を受ける場合は最も高いもので判定します(最低賃金法第6条第1項)。そのうえで特定技能では、同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬額であることが特定技能雇用契約の基準として求められます。社内の同等者の報酬額が最低賃金より高ければ、そちらが実際に効く下限になります。
出典・参考(一次情報)
- 令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況(令和8年3月24日公表)=第9表「外国人労働者の在留資格区分別賃金及び対前年増減率」特定技能221.4千円(対前年+4.8%・年齢29.5歳・勤続2.4年)/外国人労働者計254.3千円/専門的・技術的分野(特定技能を除く)313.2千円/身分に基づくもの311.1千円/技能実習190.3千円/その他228.3千円。利用上の注意1「本概況に用いている『賃金』は、令和7(2025)年 6月分として支払われた所定内給与額の平均をいう」。用語の定義「所定内給与額」=現金給与額から超過労働給与額(①時間外勤務手当、②深夜勤務手当、③休日出勤手当、④宿日直手当、⑤交替手当)を差し引いた額。在留資格区分「特定技能=特定技能1号、特定技能2号」。調査の範囲=日本標準産業分類の16大産業(農業・林業・漁業を含まない)/5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所ほか/確認日2026年8月11日(厚生労働省)
- 令和6年賃金構造基本統計調査の概況(令和7年3月17日公表)=第9表 特定技能211.2千円(対前年+6.7%・年齢28.8歳・勤続2.2年)。「賃金」=令和6年6月分の所定内給与額の平均/確認日2026年8月11日(厚生労働省)
- 令和6年外国人雇用実態調査の概況(令和7年8月29日公表・令和6年9月30日現在)=第4表(一般労働者)うち特定技能=きまって支給する現金給与額250.3千円・所定内給与額213.0千円・昨年1年間の賞与等107.7千円・所定内実労働時間160.2時間・超過実労働時間21.3時間/同表 外国人常用労働者計274.9・242.0・229.9・157.1・17.5/技術・人文知識・国際業務の賞与等357.3/技能実習の賞与等39.4。用語の定義「きまって支給する現金給与額」=超過勤務手当を含む9月分、「所定内給与額」=そこから超過労働給与額(時間外・深夜・休日出勤・宿日直・交替手当)を差し引いた額。⚠️同概況の統計表は第1表(産業別・在留資格別労働者数)・第2表(企業規模別・在留資格別労働者数)で、産業別×在留資格別の賃金表は収載されていない(令和5年の概況も同じ)/確認日2026年8月11日(厚生労働省)
- 特定技能制度の現状について(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 第8回 参考資料4)「特定技能外国人に対する賃金の支払状況=月平均支給額(令和3年・分野別)」(暫定値)=全分野平均231,979円/建設285,339・自動車整備249,481・素形材産業機械電気電子情報関連製造業240,641・造船舶用工業239,748・漁業236,634・外食業233,543・飲食料品製造業223,566・介護223,531・ビルクリーニング207,313・農業206,096・宿泊194,358/航空は「対象者が僅少のため集計対象外」。注記「令和3年を通じて在留した特定技能外国人に関する定期的な届出の内容に基づいて、1か月当たりの平均支給賃金額(総額)を算出したもの(11,331名分の届出内容から算出)」/確認日2026年8月11日(出入国在留管理庁)
- 最低賃金法=第4条第1項「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」/第4条第2項「最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす」/第4条第3項(最低賃金額と比べる賃金に算入しない賃金の3号)/第6条第1項「労働者が二以上の最低賃金の適用を受ける場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のものにより第四条の規定を適用する」/第7条(減額の特例=都道府県労働局長の許可)/第9条第1項(地域別最低賃金はあまねく全国各地域について決定)/第13条(派遣中の労働者は派遣先の事業場の所在地の地域別最低賃金)/第15条・第16条(特定最低賃金は地域別を上回るものでなければならない)/第18条(派遣中の労働者の特定最低賃金)/第40条「第四条第一項の規定に違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する」。⚠️トモハタが2026年8月11日に同法全文を「国籍」「外国人」で検索した範囲では、国籍による適用除外の定めは確認できなかった(いずれも0件)(e-Gov法令検索(デジタル庁))
- 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年4月1日一部改正版)=第5章第1節(2)所定労働時間に関するもの=省令第1条 二「外国人の所定労働時間が、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること。」/留意事項「『所定労働時間』とは、雇用契約や就業規則で定められた労働時間(休憩時間は含まない。)をいいます」。同(3)報酬等に関するもの=省令第1条 三(報酬の同等以上)・四(差別的取扱いの禁止)/説明の3分岐(同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合/いない場合で賃金規程がある場合/いない場合で賃金規程がない場合)/【確認対象の書類】報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)・雇用条件書の写し(参考様式第1-6号)/「『報酬』とは『一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付』をいい、一般的に通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものは除く。)は含まれません。」/技能実習2号修了者はおおむね3年間・3号修了者はおおむね5年間の経験者として取り扱う/定期届出の主な届出事項に「昇給率」を含む。⚠️トモハタが2026年8月11日に同要領の全文を「同業他社」「近隣」で検索した範囲では、他社の特定技能外国人の報酬額と比較する説明方法は確認できなかった(「同業他社」0件・「近隣」2件はいずれも試験の受験国・漁業の面談に関する別文脈)/確認日2026年8月11日(出入国在留管理庁)
- 令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧=全国加重平均1,121円(改定前1,055円・引上げ額66円・引上げ率6.3%)/最高=東京1,226円・神奈川1,225円/最低=高知・宮崎・沖縄 各1,023円/引上げ額の幅63〜82円(熊本82円・大分81円・秋田80円・群馬78円/高知・宮崎・沖縄は各71円)/発効日は令和7年10月1日(栃木)から令和8年3月31日(秋田)まで分散/確認日2026年8月11日(厚生労働省)
- 令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について(令和8年7月28日・第75回中央最低賃金審議会の答申)=引上げ額の目安はAランク54円・Bランク56円・Cランク56円/「仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,176円」(上昇額55円・引上げ率4.9%)/「各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります」/確認日2026年8月11日(厚生労働省)
- 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号・最終改正 令和7年6月1日法務省令第35号)=条文の原本。⚠️ 縦書きPDFのため、本記事の条文の逐語は運用要領の【関係規定】に掲げられた再掲から採っている。第1条は「雇用関係に関する事項に係るもの」(第1項・項番号の表記なし・一〜七号)と「2 …外国人の適正な在留に資するために必要な事項に係るもの」(第2項・一〜三号)に分かれる(同【関係規定】の掲げ方で確認)/確認日2026年8月11日(出入国在留管理庁)
- 参考様式第1-4号「特定技能外国人の報酬に関する説明書」記載例=1 申請人に対する報酬(①氏名 ②役職、職務内容、責任の程度 ③年齢、性別及び経験年数 ④報酬〔月給/時間給〕 ⑤その他)/2 比較対象となる日本人労働者がいる場合(⑤の記載例「比較対象の社員は申請人と同じく経験年数が4年であり、任されている業務の範囲や業務量についても、申請人と同じである。また、ともにラインマネージャーの監督・指示の下で業務を行っており、業務における責任も同程度である。」)/3 比較対象となる日本人労働者がいない場合(設例=最も近い職務がラインマネージャー〔40歳・経験22年・月給350,000円〕に対し申請人〔28歳・経験4年・月給180,000円〕、⑤「当該ラインマネージャーが申請人と同年代の頃に同様の業務を行っており、当時の報酬額が同額であったため。」/注意4「賃金規程に基づき、申請人と役職、職務内容、責任の程度が最も近い日本人労働者に支払われるべき報酬を具体的に記載し、当該賃金規程を参考資料として添付すること」)/注意「賃金規定がなく、また、日本人労働者も雇用していない場合(上記2・3のいずれも記載が困難な場合)には、任意の様式で、申請人の報酬額を決定した方法や経緯等について説明した文書を提出してください。」/確認日2026年8月11日(出入国在留管理庁)
- 建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(別紙5)=第二 特定技能所属機関に対して特に課す条件③「特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対し、同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給を行う契約を締結していること。」/確認日2026年8月11日(出入国在留管理庁)
- 特定技能 在留諸申請に係る提出書類・参考様式一覧(参考様式第1-4号の様式・記載例の入手元)/確認日2026年8月11日(出入国在留管理庁)