自動車運送業(ドライバー)の特定技能 採用費用・相場|免許・準備期間まで内訳で解説
目次
自動車運送業(トラック・タクシー・バス)でドライバーを採用するときに費用の見当をつけにくいのは、全分野共通の費用(初年度でおおむね40〜130万円程度=特定技能の採用費用・相場の採用ルート別モデルの幅)の上に、この分野だけの固有費用が積み上がるからです。固有費用の中身は、運転免許の取得・切替の費用/在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」の期間中の人件費/新任運転者研修・初任運転者への指導の実施コスト/職場環境に関する認証の取得費用の4つ。なかでも金額が大きくなりやすいのは「準備期間の人件費」です。認証の費用はトラック運送業なら安全性優良事業所(Gマーク)でも要件を満たせるため、区分と自社の取得状況で有無が変わります。一方で、建設分野のJAC受入負担金・CCUS登録費に相当する分野固有の公定負担金は自動車運送業分野には定めがなく、協議会の入会金・年会費もかかりません。このページでは、公的に金額が決まっている費用と市場の目安を分けて整理し、公的な定めがない教習所の免許取得費用については、トモハタが指定自動車教習所10校の公開料金を実査した金額を保有免許の前提つきで示します(実査は便宜的に選んだ10校によるもので、全国の相場を統計的に代表する数値ではありません)。
この記事の要点
- 「全分野共通の費用」+「ドライバー固有の費用」で考える — 共通は人材紹介手数料・申請費用・渡航費・支援委託費(1人あたり月15,000〜30,000円程度が目安)。固有は免許・準備期間の人件費・初任診断と初任運転者への指導/研修・職場環境に関する認証です。
- 金額が最も大きくなりやすいのは準備期間の人件費 — 日本の免許がない人材を「特定活動(特定自動車運送業準備)」で受け入れる場合、雇用契約の下で人件費が発生する一方、その期間は営業運転に従事させられません。在留期間の上限はトラック6か月・タクシー・バス1年で更新できないため、上限期間まで在留した場合を想定した上限シナリオで見込むのが安全です。またタクシー・バスに必要な第二種免許は、受験資格特例教習を修了しても普通免許等の通算1年以上の保有が必要なため、外国免許の保有期間が算入されない場合、免許保有歴によっては1年の準備在留の期間内に取得へ到達できないおそれがあります。
- 免許の教習費用は「保有免許の区分」で約9万〜10万円動き、外国人材は高いほうの区分に当たる — トモハタが実査した10校のうち、料金表で区分を明示している教習所では、同じ教習所の大型一種でも中型8t限定保有315,300円に対し普通(限定なし)保有406,600円と91,300円の差がありました。日本で新たに免許を取得した外国人材・外免切替の人材は原則として「普通(限定なし)」に該当するため、日本人ベテランドライバー前提の金額で見積もると過少になります。
- 免許費用は「取らせる費用」と「回収の可否」を分けて考える — 免許取得費用の返済を勤続の条件にする契約は、受け入れができなくなるおそれがあると運用要領に明記されています。賃金に含めて補填する方法は基準に抵触しません。
- 分野固有の公定負担金はない — 協議会の入会金・年会費は発生せず、JAC受入負担金・CCUS登録費に相当する定めもありません。この点は建設分野と対照的です。
本記事の金額は2種類に分かれます。公的に金額が決まっているもの(試験の受験料・在留資格の手数料・外免切替の手数料・適性診断の料金・働きやすい職場認証の審査料と登録料)は、それぞれの実施主体が公表している額を出典つきで示しています。一方、人材紹介手数料・支援委託費・研修の実施コストは市場水準をもとにした目安か、公的な定めのない実費です。教習所での免許取得費用にも公的な定めはありませんが、この記事では市場の目安ではなく、トモハタが2026年7月21日時点で全国9都道府県10校の指定自動車教習所の公開料金を実査した金額を、保有免許の前提と実査校数つきで示しています。 いずれも改定されることがあるため、最新の金額は各機関の公式情報で確認してください。
まずは全分野共通の基本費用から、自社の条件で総額の見当をつけてみましょう。業種で「自動車運送業」を選び、人数・採用ルート・支援体制を入れると、1年目の基本費用を概算します(このシミュレータは全分野共通の費用を概算するもので、免許取得の費用・準備期間の人件費・初任診断や初任運転者への指導/研修・職場環境の認証といったこの分野固有の費用は含まれません。自動車運送業ではこの概算に固有費用が上乗せされます)。
特定技能 採用費用シミュレータ
概算(目安)条件を入れると「あなたの場合」の1年目の費用を概算します。実額は見積もりでご確認ください。
うち、特定技能の採用・支援にかかる費用(賃金・社会保険を除く):約75万円
初期費用(採用時に一度)
月額 × 12か月
出典・注意事項
委託料=出入国在留管理庁の意識調査(2022・平均28,386円)/申請手数料6,000円・認定証明書(海外)は無料=同庁(2025/4改定)/社会保険 事業主負担 約15.5%=協会けんぽ・日本年金機構・厚労省(令和7年度)/賃金=厚労省(特定技能 約22万円・分野別の公的一次は手薄なため想定月給で計算)。
人材紹介手数料・海外初期費用・行政書士報酬は市場の目安で、公的統計値ではありません。申請取次・書類作成は行政書士の領域です。金額は概算で、特定の額や「最安」を保証するものではありません。実額は見積もりでご確認ください。
ドライバー採用費用の全体像——総額の目安と内訳
自動車運送業の採用費用は、「全分野共通の費用」と「自動車運送業だけの固有費用」に分けると整理できます。全体像は次のとおりです。
| 費用の区分 | 主な費目 | 金額の目安・確定額 | 全分野共通/自動車運送業固有 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 人材紹介手数料・在留資格の申請費用・送出機関の費用・渡航費など | 国内在住者の採用で約30〜60万円/海外からの呼び寄せで約50〜100万円(市場水準の目安) | 全分野共通 |
| 月額の委託費 | 登録支援機関への支援委託費 | 1人あたり月15,000〜30,000円程度(市場水準の目安) | 全分野共通 |
| 運転免許の取得・切替 | 外免切替の申請・交付手数料、教習所での取得費用 | 手数料は確定額(東京都の例で普通免許 合計4,850円)/教習所での費用はトモハタ実査(2026年7月21日・9都道府県10校の公開料金)で、普通免許保有からの普通二種AT 20.0万〜25.7万円(通学4校)、普通免許(限定なし)保有からの大型二種 50.1万〜51.1万円(通学2校)、同じく大型一種 37.2万〜43.8万円(通学3校) | 自動車運送業固有 |
| 準備期間の人件費 | 「特定活動(特定自動車運送業準備)」の期間中に発生する賃金・社会保険料など | 上限期間(トラック6か月・タクシー・バス1年)まで在留した場合の上限シナリオで見込む | 自動車運送業固有 |
| 初任診断(トラック・タクシー・バスの3区分に共通) | 新たに雇い入れた運転者に義務づけられる適性診断の受診 | NASVAの受診料 4,800円(税込) | 自動車運送業固有 |
| 新任運転者研修(タクシー・バス固有) | 旅客自動車運送事業運輸規則に基づく指導・監督・特別な指導の実施 | 自社での実施コスト(公的な定めなし) | 自動車運送業固有 |
| 初任運転者への特別な指導(トラック固有) | 貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく座学等15時間以上+安全運転の実技20時間以上 | 自社での実施コスト(公的な定めなし) | 自動車運送業固有 |
| 職場環境に関する認証(要件を未充足の企業のみ) | 働きやすい職場認証の審査料・登録料 | 一つ星の電子申請・新規で審査料30,000円+登録料60,000円(いずれも税別)。トラック運送業は安全性優良事業所(Gマーク)でも要件を満たせるため、Gマーク取得済みなら不要 | 自動車運送業固有 |
| 協議会の入会金・年会費 | 自動車運送業分野特定技能協議会への加入 | かからない(0円) | 自動車運送業固有(負担なし) |
金額の重みは、企業の状況で大きく変わります。日本の運転免許を持つ国内在住者を採用し、職場環境に関する認証の要件も満たしている企業(トラック運送業ではGマーク取得済みの場合を含みます)であれば、固有費用は初任診断の受診料と初任運転者への指導・研修の実施コスト程度に収まります。一方、日本の免許がない人材を海外から呼び寄せ、認証・Gマークのいずれも未取得の企業では、免許費用・準備期間の人件費・認証取得費用がすべて上乗せされます。
ドライバー採用だけにかかる固有の費用(この分野の要)
ここからが、自動車運送業の費用計画で最も重要な部分です。他分野の費用記事を読んでも出てこない項目が4つあります。
運転免許の取得・切替の費用
自動車運送業では、業務に従事する前提として日本の運転免許が必要です(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種運転免許)。免許を用意する経路は、外国の免許から切り替える「外免切替」と、日本国内で新たに取得する経路の2つです。
外免切替の手数料は都道府県公安委員会が徴収します。金額は都道府県により異なるため、ここでは東京都の例を示します。
| 費目(外免切替・東京都の例) | 申請手数料 | 交付手数料 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 普通免許 | 2,500円 | 2,350円 | 4,850円 |
| 大型・中型・準中型免許 | 3,900円 | 2,350円 | 6,250円 |
| その他の免許 | 2,800円 | 2,350円 | 5,150円 |
| 原付免許 | 1,600円 | 2,350円 | 3,950円 |
| 併記手数料(既存の免許に追加で併記する場合) | 200円 | — | 200円 |
上表は東京都の例です。外免切替の手数料は都道府県公安委員会が徴収するため、全国一律ではありません。 自社の所在地を管轄する運転免許試験場・公安委員会の公表額を確認してください。
一方、教習所で新たに免許を取得する場合の費用には公的な定めがありません。 そこでトモハタでは、2026年7月21日時点で全国9都道府県の指定自動車教習所10校が公開している料金ページを直接確認し、取得する免許・保有免許の前提・通学/合宿の別ごとに金額を集計しました。以下はその実査の範囲で確認できた金額です。
この節の金額を読むときの前提です。
- 出所と範囲 — トモハタが2026年7月21日時点で、全国9都道府県の指定自動車教習所10校の公開料金ページを実査した範囲の金額です。全国の相場を統計的に代表するものではありません。
- 保有免許の前提とセットで読んでください。 教習料金は「いま何の免許を持っているか」で決まります。前提を書かずに1本の幅にまとめると、単に幅が大きく見えるだけで見積もりには使えません。表は条件ごとに分けています。
- 実査校数が1〜2校の行は「相場の範囲」ではありません。 1校の実額・2校の値であり、幅として読まず「そういう例がある」程度に扱ってください。
- 行ごとに実査した教習所の組が異なります。 別の行どうしの金額を比べて、保有免許の区分や通学・合宿による高低を読み取ることはできません。同じ教習所の中で比べた区分差は、表の下の本文で示します。
- 表示額は、規定の時限で1回目に合格した場合の最低額です。 超過した分の追加教習・再検定は別料金です。実査1校の例では、追加教習が大型一種1時限8,800円・大型二種1時限9,900円、再検定が大型一種・大型二種とも1回7,700円でした。第二種免許は難度が高く、数時限の追加で1〜3万円程度上振れすることがあります。
- 仮免許試験手数料などの公費の扱いは校によって異なります。 仮免許試験手数料・仮免許交付手数料の合計2,900円(非課税)を教習料金とは別に納付する校(中央バス自動車学校など)と、表示する総額に含めている校(羽生モータースクールなど)がありました。表の金額に公費が含まれるかは、校ごとに確認してください。このほか出典リンクのある実査校の例では、高速教習の通行料660円・写真代880円が教習料金と別になるものがあり、卒業後に運転免許試験場で納付する本免許の申請・交付手数料も別です。
- 確認日時点の金額です。 料金は改定されるため、最新の金額は各教習所にご確認ください。
タクシー・バスに必要な第二種免許の実査結果は次のとおりです。
| 取得する免許 | 保有免許の前提 | 通学/合宿 | 実査校数 | 実査した料金(税込・2026年7月21日確認) |
|---|---|---|---|---|
| 普通二種(AT限定)=タクシー | 普通免許を保有 | 通学 | 4校 | 20.0万〜25.7万円 |
| 普通二種(MT)=タクシー | 普通免許を保有 | 通学 | 2校 | 23.9万〜28.6万円(実査2校の値) |
| 普通二種(AT限定)=タクシー | 普通免許を保有 | 合宿 | 1校 | 235,400円(実査1校の例) |
| 大型二種=バス | 普通免許(限定なし)を保有 | 通学 | 2校 | 50.1万〜51.1万円(実査2校の値) |
| 大型二種=バス | 中型8t限定・MTを保有 | 通学 | 3校 | 44.6万〜53.1万円(「普通免許〔限定なし〕を保有」の行とは実査した教習所の組が異なるため、行どうしの大小比較には使えません。同じ教習所内では中型8t限定保有のほうが低額でした) |
| 大型二種=バス | 大型一種を保有 | 通学・合宿 | 3校 | 29.0万〜34.2万円 |
| 大型二種=バス | 普通免許・MTを保有 | 合宿 | 1校 | 507,100円(実査1校の例) |
トラックに必要な第一種免許(大型・中型)の実査結果は次のとおりです。
| 取得する免許 | 保有免許の前提 | 通学/合宿 | 実査校数 | 実査した料金(税込・2026年7月21日確認) |
|---|---|---|---|---|
| 大型一種 | 普通免許(限定なし)を保有 | 通学 | 3校 | 37.2万〜43.8万円 |
| 大型一種 | 中型8t限定・MTを保有 | 通学 | 5校 | 26.8万〜32.8万円 |
| 大型一種 | 中型8t限定・MTを保有 | 合宿 | 2校 | 24.5万〜29.6万円(実査2校の値) |
| 大型一種 | 普通免許・MTを保有 | 合宿 | 1校 | 395,450円〜(実査1校の例) |
| 中型一種 | 普通免許(限定なし)を保有 | 通学 | 3校 | 22.8万〜23.7万円 |
| 中型一種 | 準中型5t限定・MTを保有 | 通学 | 4校 | 19.1万〜23.5万円 |
| 中型一種 | 普通免許・MTを保有 | 合宿 | 1校 | 197,450円〜(実査1校の例) |
表の書き方について3点補足します。第1に、「普通免許(限定なし)を保有」は、教習所側の料金表の区分に対応させた行です。 本文で金額を個別に引用する2校のうち、中央バス自動車学校は「普通(MT)免許」の行に「平成29年3月12日以降に取得した方」という取得時期の注記を付し、羽生モータースクールは「2007年6月1日以前に取得した普通免許は中型(8t)限定免許として取り扱われます」等の注記を置いたうえで第一種の表では「普通(限定なし)」と表記しています(羽生の大型二種の行は「準中型(5t)限定、普通」の同額併記で、保有免許のAT・MTの区別はありません)。第2に、「普通免許・MTを保有」とだけ書いた行は、教習所側が中型8t限定・準中型5t限定などの区分を明示していないため、こちらで区分を補わずそのまま示したものです。 第3に、金額の末尾の「〜」は、その額を起点に条件で加算されることを示す教習所側の表記です。
実査した10校(2026年7月21日時点・所在地の五十音順):中央バス自動車学校(北海道)/那須自動車学校(栃木・合宿)/埼玉とだ自動車学校(埼玉)/羽生モータースクール(埼玉)/拝島自動車教習所(東京)/あいち自動車学校(愛知)/遠鉄自動車学校グループ(静岡・合宿)/阪和鳳自動車学校(大阪)/兵庫県自動車学校 西宮校(兵庫)/西鉄自動車学校(福岡)。いずれも各校が公開している料金ページを直接確認しました。10校は、無作為抽出ではなく、取得する免許×保有免許の組み合わせごとの料金を公開している指定自動車教習所の中から、地域が分散するように選んだ便宜的なサンプルです。出典リンクは、本文で金額を個別に引用している3校のみ示しています(他の7校は上記の校名から各校の公開料金ページを確認できます)。価格帯を把握する目的の実査であり、特定の教習所を推奨するものではありません。 なお西鉄自動車学校は料金表に税込・税抜の明記がなく、兵庫県自動車学校 西宮校は実査時点で新規申込を中断していました(いずれも価格帯の把握には使用しています)。
免許費用を最も動かすのは「保有免許の区分」——同じ教習所内で約9万〜10万円
上の表で金額を最も大きく動かしているのは、通学か合宿かでも地域でもなく、いま何の免許を持っているかです。「普通免許あり」は、取得した時期によって法律上3つの区分に自動的に分かれています。
- 2007年6月1日以前に取得 → 中型8t限定
- 2007年6月2日〜2017年3月11日に取得 → 準中型5t限定
- 2017年3月12日以降に取得 → 現行の普通免許(限定なし)
上位免許の教習時間は、この区分が上であるほど短くて済みます。実査した10校のうち、料金表に取得時期の注記があり区分を明示している2校では、同じ教習所内の大型一種で次の差がありました(いずれも税込・2026年7月21日確認。出典は上の料金表の各校リンク)。
- 羽生モータースクール(埼玉) — 中型8t限定保有 315,300円に対し、普通(限定なし)保有 406,600円=91,300円の差
- 中央バス自動車学校(北海道) — 中型8t限定保有 268,400円に対し、普通(MT・限定なし)保有 371,800円=103,400円の差
なお、保有している免許がAT限定の場合はさらに加算されます。実査1校(中央バス自動車学校)の大型一種では、中型8t限定保有268,400円に対し中型8tAT限定保有308,880円、普通(MT)保有371,800円に対し普通(AT)保有412,280円と、保有免許がAT限定であることでいずれも40,480円高くなっていました。
この加算は第一種に限った話ではありません。第二種でも、保有免許がAT限定であれば同様に上乗せされる可能性があります。 ただし実査した教習所の大型二種の料金表にはAT限定保有を前提とした行が置かれておらず、実額を確認できませんでした。候補者の保有免許がAT限定の場合は、見積もりの段階で教習所に個別に確認してください。
この分野の費用計画で最も誤解されやすいのが、この区分差です。外国人材は、原則として最も高い価格帯の区分に当たります。
中型8t限定・準中型5t限定は、免許制度の改正時に「すでに日本の免許を持っていた人」へ自動的に付いた区分です。したがって、日本で新たに免許を取得した外国人材、および外国の普通免許を外免切替した人材は、原則として「普通(限定なし)」=上位免許の教習時間が最も長く、料金も高い区分に該当します。
日本人のベテランドライバー(中型8t限定を保有している層が多い)を前提にした金額をそのまま外国人材の見積もりに使うと、大型一種で約9万〜10万円の過少見積もりになります。 教習所に照会するときは「保有免許は普通免許(限定なし)」と明示してください。
なお、外国で大型・中型の第一種免許を持つ人材が外免切替でそれらを取得できる場合は、上位免許の教習が不要になるか、大型二種でも「大型一種を保有」の価格帯(実査3校で29.0万〜34.2万円)に該当し得ます。切替の可否は候補者ごとに管轄の運転免許試験場・公安委員会へご確認ください。
受験資格特例教習は教習料金とは別立て——「保有1年」の床は残る
第二種免許には受験資格があり、原則として21歳以上・大型/中型/準中型/普通/大型特殊免許のいずれかの保有期間が通算3年以上であることが求められます。この受験資格は第二種免許だけの論点ではありません。警察庁は、受験資格特例教習による緩和(19歳以上・保有期間通算1年以上)の対象を「第二種免許、大型免許及び中型免許」と示しており、トラックで必要になる大型免許(第一種)にも受験資格があります(実査した教習所の大型一種の受験資格欄にも、年齢21歳以上・運転経験3年以上〔特例教習受講者は19歳以上・1年以上〕と記載されています)。そして、特例教習の料金は免許の教習料金とは別に発生します。
特例教習は、警察庁の案内で、年齢要件を引き下げるための課程(7時限以上)と経験年数要件を引き下げるための課程(29時限以上)に分かれています。実査1校(羽生モータースクール)の例では、年齢課程119,900円・経験課程283,250円・年齢・経験課程326,150円(いずれも税込総額)でした。緩和したい要件に対応する課程の受講が必要で、最も安い年齢課程だけでは経験年数の要件は緩和されません。 特定技能で受け入れる人材は日本での運転経歴が短いケースが多く、この経路に該当する可能性があります。該当する場合、第二種免許にかかる費用は「教習料金+特例教習」となり、大型二種では合計で80万円を超えることもあり得ます。
もう1つ、特例教習には見落とされやすい点があります。特例教習を修了しても、「普通免許等を通算1年以上保有している」という要件そのものはなくなりません。 警察庁は、特例教習を修了した場合の受験資格を「19歳以上であり、かつ、普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上」と示しており、緩和されるのは通算3年から通算1年までです。
そのうえで、外国で取得した運転免許の保有期間がこの通算期間に算入されるかは、公的な一次情報で確認できていません。 算入されるのであれば特例教習が不要になる場合もあり、ここは断定できる論点ではありません。一方、算入されない場合には、日本の免許を取得してから1年が経過するまで第二種免許を受験できないことになります。タクシー・バスの在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」は在留期間の上限が1年で更新できないため、この場合は準備在留の期間内に第二種免許の取得まで到達すること自体が難しくなり、後述する準備期間の人件費(上限シナリオでタクシー約418万円・バス約463万円)が特定技能1号への移行に至らないまま発生するリスクに直結します。同じ構図はトラックにもあります。教習所で新たに大型免許(第一種)を取得する経路では大型免許の受験資格が同様に効き、トラックの準備在留は上限6か月で更新できません。外免切替が使えず、外国免許の保有期間も算入されない候補者では、区分を問わず、免許保有歴の確認が費用計画の前提になります。候補者ごとに免許保有歴と外国免許の期間の扱いを管轄の運転免許試験場・公安委員会へ個別に確認したうえで、費用計画では「特例教習が必要になる場合」と「不要な場合」の両方を想定しておくと安全です。
なお、実査は価格帯を把握する目的で行ったもので、特定の教習所を推奨するものではありません。実際の金額は候補者の保有免許・地域・時期で変わるため、候補となる教習所に個別に見積もりを取るのが確実です。とくにタクシー・バスに必要な第二種免許は外免切替の対象外で日本国内での取得が必要になるため、日本の第二種免許を持たない人材を採用する場合は、この費用は必ず発生する前提で計画します。免許の経路と第二種免許の受験資格(原則21歳以上・免許保有通算3年以上)の詳細は自動車運送業で特定技能の外国人を採用するにはで整理しています。
準備期間(特定活動)の人件費——上限シナリオで見込む
この分野の費用計画で最も見落とされやすく、かつ金額が大きくなりやすいのがこの項目です。
日本の運転免許をまだ持たない人材は、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」で受け入れることができます。この在留資格には次の特徴があります。
- 受入れ機関との雇用契約の下で在留する — つまり在留の初日から人件費が発生します。
- 営業運転には従事できない — 認められる活動は運転免許の取得手続・新任運転者研修の受講・車両清掃等の関連作業に限られます。
- 在留期間の上限はトラック6か月・タクシー・バス1年で、更新できない — この期間内に免許取得(タクシー・バスは新任運転者研修も)を完了させる必要があります。
- 特定技能1号の通算在留期間には算入されない — 準備期間を使っても、その後の特定技能1号としての在留可能期間は短くなりません。
費用計画では、上限期間まで在留した場合を想定した上限シナリオで見込んでおくと、途中で資金計画が崩れません。参考値として、国土交通白書2025(令和7年版)が示す運転者の賃金水準を期間按分すると、次のような水準になります。同じ白書の数値ですが、集計の年次は区分によって異なるため、表では行ごとに明示しています。
| 区分 | 準備在留の上限期間(更新不可) | 運転者の賃金水準(統計上の呼称・年次・出所) | 上限期間まで在留した場合の人件費の参考値(左の賃金水準を期間按分した機械的な試算) |
|---|---|---|---|
| トラック(大型) | 6か月 | 485万円/年間平均賃金・2023年(令和5年)・国土交通白書2025 | 約243万円 |
| トラック(中小型) | 6か月 | 438万円/年間平均賃金・2023年(令和5年)・国土交通白書2025 | 約219万円 |
| タクシー | 1年 | 418万円/平均年間給与・2024年(令和6年)・国土交通白書2025 | 約418万円 |
| バス | 1年 | 463万円/平均年間給与・2024年(令和6年)・国土交通白書2025 | 約463万円 |
上表を読むときは、次の4点に注意してください。
- 集計の年次が区分によって異なります。 トラックの値は2023年(令和5年)で、バス・タクシーの2024年(令和6年)より1年古い数値です。区分間で金額を比べるときは、この1年のずれを踏まえてください。
- 上限期間の全部を消化することが前提ではありません。 これは「上限まで在留した場合」の上限シナリオです。準備在留の期間は上限であり、免許取得・新任運転者研修が終われば、速やかに特定技能1号への在留資格変更許可申請へ進みます。実際の準備期間が上限より短ければ、人件費もその分だけ小さくなります。
- これらの賃金水準は特定技能外国人の報酬ではありません。 上表の年間平均賃金・平均年間給与は、日本人を含む運転者全体についての公的な数値をもとにした参考値であり、特定技能外国人に支払われる報酬の平均ではありません。実際の報酬は自社の賃金規程と、日本人が従事する場合の報酬額と同等以上とする要件のもとで決まります。
- 企業の実負担はこの数値より大きくなり得ます。 これらの年収水準には賞与等が含まれ得る一方、企業が負担する社会保険料・福利厚生費・採用費は含まれていません。自社の実負担を見積もるときは、これらを上乗せして考えてください。
なお、特定技能外国人の報酬について、自動車運送業分野の平均額は公表されていません。 出入国在留管理庁が公表する特定技能の受入れ状況の集計項目には、在留者数の推移・国籍別・分野別・都道府県別・試験の受験者数・登録支援機関数・許可状況は含まれますが、報酬・賃金の項目は含まれていないためです。参考になる第2の数値として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)には在留資格区分としての「特定技能」の賃金(221.4千円)がありますが、これは全分野・全産業を合わせた平均であり、自動車運送業分野の内訳ではありません。 分野別の実勢を知りたい場合は、人材紹介会社や登録支援機関から自社の地域・区分での提示水準を聞くのが実務的です。
準備在留の制度上の位置づけ(更新不可・通算期間への不算入・認められる活動の範囲)は自動車運送業で特定技能の外国人を採用するにはで詳しく解説しています。
初任診断・新任運転者研修の実施コスト(初任診断は3区分に共通)
ここは区分によって内容が分かれます。初任診断(適性診断)はトラック・タクシー・バスの3区分に共通して必要で、その上に区分ごとの指導・研修が乗る、という構造です。
まず、初任診断は、NASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)などが実施し、料金が公表されています。NASVAは対象者として、旅客は「所属する旅客自動車運送事業者において、事業用自動車の運転者として選任する前」、貨物は「所属する貨物自動車運送事業者において、初めてトラックに乗務する前」と示しており、トラック事業者にも初任診断は必要です。「タクシー・バスだけの費用」と誤解しないでください。
| 適性診断の種類(採用時に関係するもの) | 受診料(税込・NASVA) |
|---|---|
| 初任診断(新たに雇い入れた運転者への義務診断) | 4,800円 |
| 一般診断(義務ではなく任意で受診するもの) | 2,400円 |
上表は採用時に関係する2種類に絞っています。このほかに定期診断・適齢診断・特定診断などがありますが、いずれも既存運転者の年齢や事故歴に応じた診断で、採用費用として見込む項目ではありません。
診断の上に乗る指導・研修は、区分によって内容と根拠法令が分かれます。
- タクシー・バス(旅客)=新任運転者研修 — 受け入れ企業側が実施します。旅客自動車運送事業運輸規則が定める指導・監督・特別な指導を指します。
- トラック(貨物)=初任運転者に対する特別な指導 — 貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく指導監督指針が、座学等(法令上遵守すべき事項・運行の安全確保に必要な事項等)を15時間以上、安全運転の実技を20時間以上実施することと定めています。対象は、運転者として常時選任するために新たに雇い入れた者(乗務前3年間に他の一般貨物自動車運送事業者等で運転者として常時選任されたことがある者を除く)です。海外から呼び寄せる人材や初めてトラックに乗務する人材は、通常この対象にあたります。
つまりトラック区分でも「初任診断+実技20時間以上を含む特別な指導」の実施コストは発生します。 時間数が明示されているぶん、必要な工数はむしろ見積もりやすい項目です。
適性診断の受診料は公表された確定額ですが、指導・監督・特別な指導そのものにかかるコスト(指導担当者の人件費・教材・車両の使用など)には公的な定めがありません。 自社の研修体制に応じた実費として見込みます。またタクシー・バスの新任運転者研修の修了を証する書類は在留諸申請時の提出書類にあたるため、就業開始後ではなく在留申請の前に実施する必要があります。研修・指導を実施する時間・人員も、費用として織り込んでおくと計画がぶれません。
職場環境に関する認証の取得費用(要件を未充足の企業のみ)
自動車運送業で特定技能外国人を受け入れる企業には、職場環境に関する認証の保有が求められます。ただし要件を満たす経路は1つではありません。 最新の分野別運用方針(別紙10)は、一般財団法人日本海事協会の「運転者職場環境良好度認証制度」(=働きやすい職場認証)の認証を受けた者、又はトラック運送業の特定技能所属機関については、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する「安全性優良事業所(Gマーク)」を有する者、と定めています。
つまり費用の分岐は区分によって変わります。
| 区分 | 要件を満たせる経路 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| トラック | 働きやすい職場認証 又は 安全性優良事業所(Gマーク) | すでにGマークを取得している事業者は、認証の取得費用をかけずに要件を満たせる |
| タクシー・バス | 働きやすい職場認証 | Gマークは貨物自動車運送事業を対象とする評価制度のため、実際には認証によることになる |
Gマークは働きやすい職場認証とは別の制度で、申請の時期・要件・費用体系も異なります(申請受付は年1回の期間限定です)。本記事では金額を示しません。自社がGマークで要件を満たせるかは、全日本トラック協会(全国貨物自動車運送適正化事業実施機関)が公表する最新の申請案内で確認してください。
以下は、働きやすい職場認証を取得する場合の費用です。2026年度版の申請案内書が公表している金額は次のとおりです(いずれも税別)。
| 費目 | 紙申請 | 電子申請 |
|---|---|---|
| 一つ星 審査料(新規) | 50,000円 | 30,000円 |
| 一つ星 審査料(継続) | 50,000円 | 15,000円 |
| 二つ星 審査料(新規・継続) | 50,000円 | 30,000円 |
| 三つ星 審査料 | 147,000円 | 127,000円 |
| 登録料(星の数によらず共通) | 60,000円 | 60,000円 |
| 審査料の営業所加算(本社以外1か所につき) | +3,000円 | +3,000円 |
| 登録料の営業所加算(本社以外1か所につき) | +5,000円 | +5,000円 |
金額を見るときのポイントは3つです。
- 電子申請のほうが審査料は低く設定されています。 一つ星の継続申請では、紙申請50,000円に対して電子申請15,000円と差が大きくなります。
- 三つ星は対面審査の追加費用が生じます。 対面審査の2か所目以降は1か所につき84,000円、審査員の旅費は実費です。
- 有効期間の重複が1年以上生じる場合は、登録料から3万円が控除されます。
費用より先に確認すべき点があります。この認証の申請には、運送事業の事業許可日を起点として事業許可取得後3年以上経過していることが基本要件とされています(企業グループの再編等により3年以上経過している事業者の就業規則等を承継して運送事業を行っている場合等の例外があります)。この要件は2026年度版の申請案内書でも維持されています。設立まもない事業者は、金額の問題ではなく要件そのものを満たせない可能性があります。 ただしトラック運送業には安全性優良事業所(Gマーク)という別経路があるため、まずはそちらで要件を満たせないかを確認してください。認証・Gマークのいずれの経路でも要件を満たせない場合は、その時点では特定技能の受け入れ計画自体を見直す必要があります。 認証の要件と受け入れ要件全体の関係は自動車運送業で特定技能の外国人を採用するにはで整理しています。
免許取得費用の企業負担と「回収」の線引き(要注意)
免許取得費用を企業が負担する場合、「早期に辞められたら回収したい」と考えるのは自然です。しかし、回収を条件づける契約は、外国人の受け入れができなくなるおそれがあります。 運用要領は、基準に抵触し外国人の受入れができなくなるおそれがある例として、次の2つを名指ししています。
- 一定期間勤務することを停止条件として、免許取得費用の返済を免除する内容の契約
- 返済途中に退職した場合に、貸付金の残額を一括で返済する内容の契約
一方で、運転免許の取得費用を所属機関が賃金に含めて補填することは、基準に抵触しないと明記されています。同趣旨の規定は、特定技能1号側と特定活動(特定自動車運送業準備)側の双方に置かれています。
つまり費用設計の実務では、「取得費用を貸し付けて勤続で免除する」という設計ではなく、「取得費用を企業が負担する」または「賃金に含めて補填する」という設計にするのが、制度の側から見て素直な形になります。
契約内容の適法性の判断は個別性が高く、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)など他の法令も関係します。実際の契約書の作成・確認は、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。また、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。
公的に金額が決まっている費用・かからない費用
費用計画では、相場でしか言えない費目と、金額が公的に決まっている費目を分けて扱うと精度が上がります。後者は目安ではなく確定額で見込めます。
| 費目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 自動車運送業分野特定技能1号評価試験の受験料(国内で受験する場合) | 5,000円(税抜) | 本人が受験。実施団体は一般財団法人日本海事協会 |
| 同(海外で受験する場合) | 37米ドル | 実施団体の案内に、為替レートの変動により価格が改定される場合があると注記されている |
| 在留資格変更許可申請の手数料 | 窓口 6,000円/オンライン 5,500円 | 2025年4月に改定。準備在留から特定技能1号へ変更する場合などに納付する |
| 在留資格認定証明書交付申請の手数料 | かからない(0円) | 海外から呼び寄せる場合に必要な手続き |
| 合格証明書の発行手数料(受入れ機関が納付) | 14,000円(税抜) | 試験実施要領に、受入れ機関による発行申請と発行手数料の納付の手続を経て合格証明書が交付されると定められている。実施団体の案内に、支払った受験料・発行手数料は返金されない(試験未実施が実施団体等の過失による場合を除く)と注記されている |
逆に、建設分野と比較して検討している企業のために、自動車運送業分野には置かれていない費用も整理しておきます。
| 費目 | 自動車運送業分野での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 分野の協議会の入会金・年会費 | かからない(0円) | 国土交通省のQ&Aに「入会金及び年会費等は発生いたしません」と明記 |
| 分野固有の公定負担金(建設のJAC受入負担金に相当するもの) | 定めが置かれていない | 分野別運用方針(別紙10)・分野固有の運用要領のいずれにも定めなし |
| 分野固有の登録システム利用料(建設のCCUS登録費に相当するもの) | 定めが置かれていない | 同上 |
建設分野では、JAC受入負担金が1人あたり月12,500円、これに加えてCCUSの登録費が継続的にかかります。自動車運送業にはこの構造の負担金がないぶん、継続費用の中心は登録支援機関への月額の支援委託費になります。分野による負担金の違いは建設の特定技能 採用費用・相場と読み比べると把握しやすくなります。
上記は本記事の確認日時点の分野別運用方針・運用要領・協議会に関する公表資料を確認した結果です。制度・規約は改定されることがあるため、費用計画を確定する前に最新の内容をご確認ください。
全分野共通の費用(初期費用+月額)
ドライバー固有の費用に加えて、どの分野でも共通してかかる費用があります。考え方は「採用時に一度かかる初期費用」と「採用後に毎月かかる月額の委託費」です。以下の金額は各社が公開する料金情報など市場水準をもとにした目安で、公的な統計値ではありません。
| 費目 | 中身 | 目安 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 人材を紹介してもらう手数料 | 20〜60万円程度(定額制が多い) |
| 在留資格の申請費用 | 行政書士などの有資格者への申請書類作成・申請取次の報酬 | 5〜15万円程度 |
| 送出機関の費用 | 海外から呼び寄せる場合の現地手数料 | 給与1〜3か月分程度(国により異なる) |
| 渡航費 | 来日のための航空券など | 4〜10万円程度(海外から呼び寄せる場合) |
| 支援委託費(月額) | 登録支援機関への支援委託費 | 1人あたり月15,000〜30,000円程度 |
初期費用の合計は国内在住者の採用でおおむね30〜60万円程度、海外からの呼び寄せでは50〜100万円程度が目安です。これに月額の支援委託費が加わり、初年度の総額はルートによりおおむね40〜130万円程度——特定技能の採用費用・相場が示す採用ルート別モデルの幅です(上表の費目を単純合算した値ではありません)。
この総額レンジは、特定技能の採用費用・相場の採用ルート別モデル(4ケース)の下限から上限までの幅です。健康診断費はケース1・3の初期費用に明示的に含まれ、ケース2は初期費用がケース1と同程度とされています(ケース4は在留資格変更の申請費用と初期支援が中心で、健診の明示はありません)。住居の初期費用は海外から呼び寄せるケース(上限側をつくるケース)の初期費用に含まれています。 ただし住居の初期費用は物件・地域で金額が大きく変わるため、自社の条件で見積もるときは同記事の内訳で個別に確認してください。一方、この記事で解説したドライバー固有の費用(免許・準備期間の人件費・初任診断と初任運転者への指導/研修・職場環境に関する認証)は、この総額レンジには含まれません。
人材紹介手数料の料金体系(定額制・料率制)や返金規定は特定技能の人材紹介手数料の相場、月額の委託費の内訳と比較の見方は登録支援機関の費用相場、採用ルート別の総額モデル(全分野共通)は特定技能の採用費用・相場で整理しています。
免許取得に使える公的補助の実例
運転者不足を背景に、運転免許の取得費用を補助する制度が国・自治体・業界団体それぞれに設けられています。特定技能外国人の採用に直接ひもづく制度ではありませんが、自社が対象になるかを確認する価値はあります。まず確認すべきは国(国土交通省)の全国スキームで、その下に自治体・団体の個別制度がある、という順で見ると漏れがありません。
| 実施主体 | 対象 | 金額 | 主な要件・注記 |
|---|---|---|---|
| 国土交通省(全国スキーム) | 旅客自動車運送事業における人材確保支援事業=事業者が負担する第二種運転免許の取得費用(教習所の受講費用・試験費用・免許取得に伴う関連費用など) | 二種免許取得のための教習は補助率1/2または1/3(令和8年度の公募概要) | 「交通DX・GXによる経営改善支援事業等補助金」のメニューの一つ。採用活動費(求人広告・採用サイト等)も別枠で補助対象。補助上限額・公募期間・細目は年度ごとの公募要領で確認する(年度により内容が変わる) |
| 佐渡市(新潟県) | 大型二種免許の取得 | 経費・旅費等の合計 最大40万円のうち、市の補助部分は10万円 | 新潟交通佐渡の正規路線バス運転士として就業予定の内定者が対象。国籍要件の記載はない |
| 高知県 | タクシー事業者が負担した普通二種免許の取得費 | 補助率1/3以内・8万円/名 | 取得後3か月以上運転者として雇用することなどの要件(詳細は要綱に記載)。国籍要件の記載はない |
| 日本バス協会 | 大型二種免許の取得養成 | 運転者1名につき5万円・1事業者20名まで・上限100万円(令和6年度の要領) | 公益社団法人の会員事業者向け助成で、国・自治体の補助とは別枠。国籍要件の記載はない |
| 全日本トラック協会 | 運転免許の取得 | 都道府県トラック協会ごとに異なる(金額はページに記載なし) | 2026年度(令和8年度)の運転免許取得支援助成。金額・要件は各都道府県トラック協会に確認する。国籍要件の記載はない |
上表を読むときの注意点は3つです。第1に、国の補助率・上限・公募期間は年度ごとに変わります。 表の補助率は令和8年度の公募概要の記載で、年度が替われば内容も変わり得ます。申請を前提に計画するときは、必ずその年度の公募要領で確認してください。第2に、佐渡市の「最大40万円」は全額が自治体の補助ではありません。 経費・旅費等を含む支援の総額が最大40万円で、そのうち市の補助部分は10万円です。金額を見積もるときは構成を分解して確認してください。第3に、自治体・団体の4件のいずれにも国籍要件の記載はありません。 ただし「記載がない」ことは「外国人も対象である」と明記されていることとは異なります。特定技能外国人の免許取得に使えるかは、必ず実施主体へ個別に確認してください。
これらは免許費用に特化した制度です。外国人材の受け入れ・定着の環境整備に使える助成金・補助金は別にあり、外国人雇用の助成金・補助金で整理しています。支給要件や金額は制度ごとに異なり見直しも頻繁なため、利用可否は各実施主体の最新情報で確認してください(本記事は具体的な受給額を保証しません)。
費用を抑えるポイント
総額は候補者の状態と自社の体制で動くため、次の観点で見直すと負担を抑えやすくなります(いずれも「安くなる」と断定はできません。条件で変わるため見積もりで確認してください)。
- 日本の運転免許を持つ人材を優先して探す — 免許を保有済みの人材であれば、免許取得の費用と準備期間の人件費という2つの固有費用がまとめて不要になります。固有費用の総額に最も効く分岐がここです。実査の範囲では、教習で用意する場合の金額は普通二種ATで20.0万〜25.7万円(普通免許保有・通学4校)、大型二種で50.1万〜51.1万円(普通免許〔限定なし〕保有・通学2校)でした。
- 見積もりを取るときは保有免許の区分を明示する — 教習料金は保有免許の区分で決まります。「普通免許あり」とだけ伝えると、教習所の想定と実際の区分がずれて金額が動きます。外国人材は原則として「普通(限定なし)」に該当するため、その前提で照会してください。
- 準備期間を短くする計画を立てる — 準備在留の人件費は期間に比例します。教習所の予約枠を先に押さえる、外免切替が使える人材(第一種免許で足りるトラック区分)を検討するなど、期間を圧縮する設計が費用を直接下げます。
- トラック運送業はGマークでの充足を先に確認する — 分野別運用方針(別紙10)は、トラック運送業の特定技能所属機関について安全性優良事業所(Gマーク)を有する場合も職場環境の要件を満たすとしています。すでにGマークを取得していれば、働きやすい職場認証の取得費用は不要です。
- 認証の申請は電子申請を選ぶ — 働きやすい職場認証を取得する場合、電子申請のほうが審査料は低く設定されています(一つ星の継続で紙申請50,000円に対し電子申請15,000円)。
- 区分の選択が費用を大きく変える — タクシー・バス区分は第二種免許(外免切替の対象外)・新任運転者研修・より高い日本語要件が加わり、準備在留の上限期間もトラックの2倍です。自社が求める業務がトラック区分で足りるかを最初に検討します。
- 委託範囲を整理する — 月額の支援委託費は、含まれる支援の範囲で金額が変わります。自社で担える部分と委託する部分を切り分けると、月額を調整できる場合があります。
なお、費用を抑える目的で在留資格の申請書類の作成や申請取次を自社で行う前提にはしないでください。これらは行政書士などの専門家の領域です。
まとめ
自動車運送業(ドライバー)の特定技能採用の費用は、全分野共通の費用(初期費用 約30〜100万円+支援委託費 月15,000〜30,000円程度)+ドライバー固有の費用(免許の取得・切替/準備期間の人件費/初任診断と初任運転者への指導・研修/職場環境に関する認証)で考えます。初任診断はトラック・タクシー・バスの3区分に共通して必要で、その上にタクシー・バスは新任運転者研修、トラックは座学等15時間以上+実技20時間以上の特別な指導が乗ります。認証の費用は全区分一律ではなく、トラック運送業は安全性優良事業所(Gマーク)でも要件を満たせます。免許を教習所で取得する場合の費用は、トモハタが実査した指定自動車教習所10校の範囲(2026年7月21日時点)で、普通二種ATが20.0万〜25.7万円(普通免許保有・通学4校)、大型二種が50.1万〜51.1万円(普通免許〔限定なし〕保有・通学2校)でした。金額を最も動かすのは保有免許の区分で、日本で新たに免許を取得した外国人材・外免切替の人材は原則として最も高い「普通(限定なし)」に該当します。 ただし固有費用のうち金額が最も大きくなりやすいのは依然として準備期間の人件費で、在留期間の上限(トラック6か月・タクシー・バス1年)まで在留した場合を想定した上限シナリオで見込むと安全です。
一方で、この分野には協議会の入会金・年会費がなく、建設分野のJAC受入負担金・CCUS登録費に相当する公定負担金の定めもありません。継続費用の中心は登録支援機関への月額の支援委託費です。免許取得費用の負担方法については、返済を勤続の条件にする契約が受け入れに影響し得る点だけは、契約設計の前に必ず確認してください。
自動車運送業の採用の進め方・要件は自動車運送業で特定技能の外国人を採用するには、制度の全体像は特定技能採用の完全ガイドをご覧ください。
「自社のトラック・タクシー・バス事業だとドライバー採用費用がいくらになるか」「免許取得や準備期間まで含めた総額を知りたい」という場合は、条件に合う登録支援機関・人材紹介会社を無料でご紹介します(提携先のサービスをご紹介しています)。
よくあるご質問
- 自動車運送業(ドライバー)で特定技能の外国人を採用する費用はいくらが目安ですか?
- 全分野共通の費用(人材紹介手数料・在留資格の申請費用・渡航費などの初期費用と、登録支援機関への支援委託費が1人あたり月15,000〜30,000円程度)に加えて、自動車運送業ではこの分野だけの費用が上乗せされます。運転免許の取得・切替の費用、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」の期間中の人件費、初任診断(3区分共通)と区分ごとの新任運転者研修・初任運転者への特別な指導の実施コスト、職場環境に関する認証の要件を満たしていない場合はその取得費用です(トラック運送業は安全性優良事業所〔Gマーク〕でも要件を満たせるため、Gマーク取得済みなら認証の取得費用はかかりません)。とくに準備期間の人件費は金額が大きくなりやすく、費用計画で見落とされやすい項目です。
- ドライバー採用だけにかかる固有の費用は何ですか?
- 4つあります。①運転免許の取得・切替の費用(外免切替の申請・交付手数料は都道府県公安委員会が徴収し、東京都の例では普通免許で合計4,850円。教習所で新たに取得する場合の費用に公的な定めはなく、トモハタが2026年7月21日時点で全国9都道府県10校の指定自動車教習所の公開料金を実査した範囲では、普通免許保有からの普通二種ATが通学4校で20.0万〜25.7万円、普通免許〔限定なし〕保有からの大型二種が通学2校で50.1万〜51.1万円、同じく大型一種が通学3校で37.2万〜43.8万円でした)②在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」の期間中の人件費(トラックは上限6か月、タクシー・バスは上限1年)③初任診断と初任運転者への指導・研修の実施コスト(NASVAの初任診断は税込4,800円で、トラック・タクシー・バスの3区分に共通して必要です。その上にタクシー・バスは新任運転者研修、トラックは座学等15時間以上+安全運転の実技20時間以上の特別な指導が乗ります)④職場環境に関する認証の要件を満たしていない企業はその取得費用(働きやすい職場認証・一つ星の電子申請・新規で審査料30,000円+登録料60,000円・いずれも税別)です。ただし④は全区分一律ではありません。分野別運用方針(別紙10)は、トラック運送業の特定技能所属機関については安全性優良事業所(Gマーク)を有する場合も要件を満たすとしており、Gマーク取得済みのトラック事業者にはこの費用は生じません。タクシー・バスはGマークによる代替が規定されていないため、実際には働きやすい職場認証によることになります。
- 日本の教習所で運転免許を取得する場合、費用はいくらかかりますか?
- 教習所の料金に公的な定めはありませんが、保有免許の前提をそろえると金額の幅は絞れます。トモハタが2026年7月21日時点で全国9都道府県10校の指定自動車教習所の公開料金を実査した範囲では、普通免許保有からの普通二種ATが通学4校で20.0万〜25.7万円、普通免許(限定なし)保有からの大型二種が通学2校で50.1万〜51.1万円、同じく大型一種が通学3校で37.2万〜43.8万円でした。金額を最も大きく動かすのは保有免許の区分です。「普通免許あり」は取得時期により中型8t限定・準中型5t限定・普通(限定なし)の3区分に分かれ、同じ教習所の大型一種でも中型8t限定315,300円に対し普通(限定なし)406,600円と約9万円の差が出ます。日本で新たに免許を取得した外国人材や外免切替の人材は、原則として最も高い「普通(限定なし)」に該当するため、日本人ベテランドライバー前提の金額で見積もると過少になります。なお表示額は規定時限で1回合格した場合の最低額です。仮免許試験・交付手数料の合計2,900円(非課税)などの公費は、教習料金と別に納付する校と表示総額に含める校があるため、総額に含まれる範囲も含めて最新の金額は各教習所にご確認ください。
- 受験資格特例教習を受ければ、日本の免許を取ったばかりの人材でもすぐに第二種免許を受験できますか?
- できません。受験資格特例教習を修了すると、第二種免許の受験資格は原則の「21歳以上・普通免許等の保有期間通算3年以上」から「19歳以上・通算1年以上」に緩和されますが、普通免許等を通算1年以上保有しているという要件そのものはなくなりません(警察庁)。外国で取得した免許の保有期間がこの通算期間に算入されるかは公的な一次情報で確認できないため、算入されない場合には、日本の免許を取得してから1年が経過するまで第二種免許を受験できないことになります。タクシー・バスの在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」は在留期間の上限が1年で更新できないため、候補者の免許保有歴によっては、準備在留の期間内に第二種免許の取得まで到達できないおそれがあります。なおこの受験資格特例教習による緩和は、第二種免許のほか大型免許・中型免許も対象です(緩和後はいずれも19歳以上・通算1年以上)。ただし緩和前の原則は免許ごとに異なり、大型免許は21歳以上・通算3年以上、中型免許は20歳以上・通算2年以上です。教習所で新たに大型免許(第一種)を取得する経路でも同様の確認が必要になります。候補者ごとに管轄の運転免許試験場・公安委員会へ事前に確認してください。
- 特定活動(特定自動車運送業準備)の期間の人件費はどう見込めばよいですか?
- この在留資格では受入れ機関との雇用契約の下で在留するため人件費が発生する一方、営業運転には従事できません。在留期間の上限はトラック6か月・タクシー・バス1年で更新できないため、費用計画では「上限期間まで在留した場合」を想定した上限シナリオで見込むと安全です。参考値としては、国土交通白書2025(令和7年版)が示す運転者の賃金水準を期間按分する方法があります(バス463万円・タクシー418万円=いずれも平均年間給与・2024年〔令和6年〕、トラックは大型485万円・中小型438万円=年間平均賃金・2023年〔令和5年〕。集計の年次が1年ずれているため、区分間の比較はその点を踏まえてください)。ただしこれは日本人を含む運転者全体の数値で、特定技能外国人の報酬ではありません。また免許取得や研修が早く終われば速やかに特定技能1号へ変更するため、上限期間の全部を消化することが前提ではありません。
- 運転免許の取得費用を企業が負担した場合、退職時に返してもらうことはできますか?
- 回収を条件づける契約は受け入れができなくなるおそれがあります。運用要領は、基準に抵触するおそれがある例として「一定期間勤務することを停止条件として免許取得費用の返済を免除する内容の契約」と「返済途中に退職した場合に貸付金の残額を一括で返済する内容の契約」を挙げています。一方で、運転免許の取得費用を所属機関が賃金に含めて補填することは基準に抵触しないと明記されています。契約内容の適法性の判断は個別性が高いため、実際の契約書の作成・確認は社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。
- 自動車運送業分野に、建設のJACのような分野固有の負担金はありますか?
- ありません。自動車運送業分野特定技能協議会については、国土交通省のQ&Aに「入会金及び年会費等は発生いたしません」と明記されています。また建設分野のJAC(建設技能人材機構)受入負担金や建設キャリアアップシステム(CCUS)登録費に相当する分野固有の公定負担金・登録費は、自動車運送業分野の分野別運用方針・運用要領のいずれにも定めが置かれていません。ただし制度・規約は改定されることがあるため、費用計画を確定する前に最新の内容をご確認ください。
- 働きやすい職場認証(運転者職場環境良好度認証)の取得にはいくらかかりますか?
- 2026年度版の申請案内書によると、一つ星の新規申請は審査料が電子申請30,000円・紙申請50,000円、二つ星は新規・継続とも電子申請30,000円・紙申請50,000円、三つ星は電子申請127,000円・紙申請147,000円です(いずれも税別)。これに登録料60,000円(税別)が加わり、本社以外の営業所は1か所につき審査料+3,000円・登録料+5,000円です。なお申請の基本要件として、運送事業の事業許可日を起点として事業許可取得後3年以上経過していることが求められます(企業グループの再編等により3年以上経過している事業者の就業規則等を承継して運送事業を行っている場合等の例外あり)。