自動車運送業で特定技能を採用するには|運転免許の段取りとトラック・タクシー・バス
目次
自動車運送業(トラック・タクシー・バス)で特定技能の外国人を採用しようとすると、「試験に合格した人材を見つけても、日本の運転免許がなければ現場で運転できない」というつまずきが起きやすい分野です。2024年に追加された比較的新しい分野で、区分(トラック・タクシー・バス)ごとに試験・日本語要件・必要な運転免許が分かれるためです。結論を先に言うと、自動車運送業で押さえるべき固有ルールは①区分ごとの試験と日本語要件(タクシー・バスは参照枠のB1相当以上が基本)②日本の運転免許(トラック=第一種、タクシー・バス=第二種+新任運転者研修)③自動車運送業分野特定技能協議会への加入と企業側の許可要件の3つです。そして日本の免許をまだ持たない人材については、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」で先に入国させ、雇用契約の下で免許を取らせる道筋が制度として用意されています。このページで、これらを順に整理します。
この記事の要点
- 区分はトラック・タクシー・バスの3つ — 区分ごとに「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」があり、日本語要件も「日本語教育の参照枠」でトラックはA2.2相当以上、旅客を扱うタクシー・バスはB1相当以上(企業が一定の措置を講じる場合はA2.2相当。ただし一般貸切旅客自動車運送事業=貸切バス・観光バスはこの引き下げの対象外)と異なります。
- 日本の運転免許が前提(この分野固有) — 試験合格や在留資格とは別に、トラックは第一種、タクシー・バスは第二種運転免許+新任運転者研修の修了が必要です。免許取得・切替の期間を採用計画に見込みます。
- 外免切替が使えるのは第一種免許まで・しかも準備在留中は普通免許まで — トラックは外国免許からの切替が使えますが、タクシー・バスに必要な第二種免許は外免切替の対象外で、日本国内での取得が必要です。⚠️ 母国で大型免許を持つ人材でも、準備在留(特定活動)の期間中に外免切替で到達できるのは普通免許までで、大型・中型への切替は特定技能1号に移行してからになります。第二種免許には受験資格(原則21歳以上・免許保有通算3年以上。母国での運転経歴も算入できます)もあり、旅客区分の採用難度を大きく左右します。受験資格は大型免許・中型免許(第一種)にも定められているため、大型車・中型車を運転させるトラック区分でも同じ確認が必要です。
- 日本の免許がない人材には準備期間の在留資格がある — 「特定活動(特定自動車運送業準備)」で入国させ、雇用契約の下で免許取得・新任運転者研修を進められます。在留期間の上限はトラック6か月・タクシー・バス1年で、更新はできません(特定技能1号への変更申請の審査中に限り、最長2か月の特例期間があります)。⚠️ この期間は営業運転に従事させられない一方、雇用契約の下にあるため人件費だけは発生し続けます。費用計画で最も見落とされやすい項目です。
- 協議会への加入と企業側の許可要件がある・所管は国土交通省 — 受け入れ企業は在留諸申請の前に自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になるほか、自動車運送事業を営む者であることなど固有の要件を満たす必要があります。職場環境に関する認証はトラックだけGマークで代替できます(タクシー・バスは代替が規定されていません)。⚠️ 貨物軽自動車運送事業のみを行っている事業者は、認証もGマークも対象外のため受け入れできません。
- 費用は「初期費用+月額」に加えてドライバー固有の費目が乗る — 運転免許の取得・切替、準備期間の人件費、初任診断・研修、職場環境に関する認証の取得費用です。この分野固有の上乗せ分だけで、区分によっては1人あたり数百万円規模になります(区分ごとの実額と積み上げの前提は本文「費用の目安」の合計表が唯一の正)。その8〜9割は教習料金ではなく準備期間の人件費なので、費用を左右するのは準備期間の長さです。
本記事は一般的な情報提供です。自動車運送業分野は2024年に追加された新しい分野で、要件・運用が整備途上のため、最新の内容は出入国在留管理庁および国土交通省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
自動車運送業の特定技能はここが特徴
自動車運送業で特定技能を受け入れるときは、他の分野にはない固有のポイントが前提になります。まずここを押さえます。[1]
- 2024年3月29日の閣議決定で追加された新しい分野 — 運用が整備途上のため、最新情報の確認が特に重要です。現状は特定技能1号のみで、特定技能2号での受入れはできません(分野固有の運用要領で明記)。
- 業務区分はトラック・タクシー・バス — 事業用自動車の運転と、これに付随する業務が対象です。区分ごとに試験・要件が分かれます。
- 日本の運転免許が必要(この分野固有) — トラックは第一種運転免許、タクシー・バスは第二種運転免許+新任運転者研修の修了が求められます。
- 免許取得のための準備在留がある(この分野固有) — 免許・研修が未了の人材は「特定活動(特定自動車運送業準備)」で受け入れられます。
- 日本語要件が区分で異なる — 旅客を扱うタクシー・バスは「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(企業が一定の措置を講じる場合はA2.2相当)、貨物中心のトラックは同参照枠のA2.2相当以上が基準です。[2]実務上の証明書類は、トラックがJFT-BasicまたはJLPT N4以上、タクシー・バスがJLPT N3以上とされています。
- 雇用形態は直接雇用に限られる — 労働者派遣による受け入れはできません。
- 自動車運送業分野特定技能協議会への加入が必要 — 受け入れ企業は在留諸申請の前に協議会の構成員になります(所管は国土交通省)。
以下で、それぞれを詳しく見ていきます。
業務区分ごとの要件比較(トラック・タクシー・バス)
自動車運送業の要件は、トラック(貨物)とタクシー・バス(旅客)とで、日本語レベル・運転免許・追加要件が変わるのが最大のポイントです。まずは区分ごとの違いを一覧で確認してください。
| 区分 | 技能試験 | 日本語要件 | 運転免許 | 外免切替の可否 | 追加要件 | 準備在留の上限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| トラック(貨物) | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック区分) | 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(証明=JFT-Basic または JLPT N4以上) | 第一種運転免許※※ | 切替の対象になり得る(ただし準備在留中に到達できるのは普通免許まで=後述) | なし | 6か月 |
| タクシー(旅客) | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー区分) | 「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(証明=JLPT N3以上)。企業の措置でA2.2相当も可※ | 第二種運転免許※※ | 対象外(日本国内で取得が必要) | 新任運転者研修の修了 | 1年 |
| バス(旅客) | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス区分) | 「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(証明=JLPT N3以上)。企業の措置でA2.2相当も可※ | 第二種運転免許※※ | 対象外(日本国内で取得が必要) | 新任運転者研修の修了 | 1年 |
日本語能力を証明する書類は、運用要領で区分ごとに次のとおり定められています(実務で提出するもの)。上の「日本語要件」は分野別運用方針が定める水準、こちらはその水準を実際に証明する試験です。[3]
| 区分 | 日本語能力を証する書類として認められる試験 |
|---|---|
| トラック(貨物) | 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格証明書、または日本語能力試験(JLPT)N4以上の合格証明書のいずれか |
| タクシー(旅客) | 日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格証明書 |
| バス(旅客) | 日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格証明書 |
トラックについては、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者はJFT-Basic・日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます(後述)。
※タクシー・バスは、受け入れ企業が「B1相当以上の日本語能力修得に向けた学習プランの作成」と「乗客対応の指導を受けた自社の従業員を意思疎通の補助要員として同乗させること」(バスの離島路線等には代替措置あり)の両方を行う場合に限り、A2.2相当の人材にも従事させられます(一般貸切旅客自動車運送事業=いわゆる貸切バス・観光バスの事業は、この引き下げ措置の対象から除かれます)。⚠️ A2.2相当をどの試験で証明するかは一次資料に定めがありません(運用要領がタクシー・バスの確認対象書類として挙げているのはJLPT N3以上=B1水準に対応するものだけです)。この措置を使う場合は、証明書類の扱いを事前に地方出入国在留管理局へ確認してください。
※※ 分野別運用方針・運用要領は「第一種運転免許」「第二種運転免許」とだけ定め、車種(普通二種・大型二種など)を特定していません。 実務ではタクシーは普通二種、バスは大型二種、トラックは運転させる車両区分に応じた中型一種・大型一種が必要になります(後述の費用の節ではこの実務上の区分で金額を示しています)。
「準備在留の上限」=在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」で在留できる期間の上限です。
ポイントは、旅客を扱うタクシー・バスは、貨物中心のトラックより日本語要件・免許・研修のすべてで一段高いハードルが課されることです。自社が採用したい区分がどこに当たるかを最初に確認し、必要な準備を区分ごとに見積もっておきましょう。
分野をまたぐ試験の全体像(日本語試験の要件・技能実習2号修了による免除ルート・分野別の試験名一覧)は特定技能の試験で解説しています。
日本の免許がない人材を受け入れる道筋——在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」
自動車運送業の採用計画でつまずきやすいのが、「試験には受かったが日本の運転免許がない人材をどう受け入れるか」という問題です。この分野には、そのための専用の在留資格が用意されています。[4]
なお前提として、自動車運送業分野特定技能1号評価試験の受験には、日本または外国で取得した有効な運転免許の保有が必要です(後述の試験概要を参照)。つまりこの分野で採用対象になるのは「運転免許を一切持たない人材」ではなく、母国などで免許を持っているが、日本の免許をまだ持っていない人材です。
制度の趣旨 — 1号特定技能外国人として自動車運送業分野の業務に従事するには、日本の運転免許の取得(タクシー・バスではさらに新任運転者研修の修了)が必要になるため、その準備期間として在留資格「特定活動」による入国・在留が認められています。実務では「特定活動55号」とも呼ばれます(運用要領が「特定活動55号から特定技能1号への在留資格変更許可申請」という形でこの号数を用いています)。[3]登録支援機関や行政書士とやり取りするときはこの呼称が使われることがあります。
分野別運用方針では、運転免許の取得や新任運転者研修の受講以外の要件を満たした者について、受入れ機関との雇用契約の下で入国・在留を認めるとされています。つまり技能試験・日本語試験には合格済みであることが前提で、かつ在留の初日から企業との雇用契約が存在する構造です。[2]
| 特定活動(特定自動車運送業準備)の項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留期間の上限 | トラック運送業=6か月/タクシー運送業・バス運送業=1年 |
| 在留期間の更新 | できない |
| 特定技能1号の通算在留期間への算入 | 算入されない |
| 雇用契約 | 受入れ機関との雇用契約の下で在留する |
| 前提となる要件 | 技能試験・日本語試験の合格(日本の運転免許の取得・新任運転者研修の受講以外の要件を満たしていること) |
| 認められる活動 | 運転免許の取得手続、新任運転者研修の受講、車両清掃等の関連作業 |
企業にとって重要な点は3つあります。
- 準備期間は特定技能1号の5年を消費しない — この在留期間は特定技能1号の通算在留期間に算入されません。準備期間を使っても、その後の特定技能1号としての在留可能期間が短くなることはありません。⚠️ ただし「5年」が満額残っているとは限りません=国土交通省のQ&Aは、他分野から自動車運送業分野へ転籍した場合「他分野での在留期間についても通算されます」「日本に在留したまま転籍した場合、母国への帰国を挟んだ上で転籍した場合、いずれにおいても在留期間は通算されます」としています。他分野の特定技能1号として働いた経験のある候補者では、残りの在留可能期間を確認してください。[5]
- 在留期間は更新できない — トラック6か月・タクシー・バス1年という上限内に免許取得(と新任運転者研修)が完了しなければなりません。教習所の予約状況や試験の再受験まで見込んだ計画が必要です。なお免許取得後に特定技能1号として働くには、在留資格変更許可申請が別途必要です(自動的に切り替わるものではありません)。期間内に免許取得が完了しない場合、この在留資格のまま在留を続けることはできません。[3]ただし変更申請の審査中に上限(6か月・1年)が過ぎても、「特定活動」として在留を続けられる特例期間があります——国土交通省のQ&Aは、この特例期間が最長2か月であり、変更許可申請の審査結果の通知も2か月以内に行われるとしています。⚠️ これは審査待ちの緩衝であって、免許取得が間に合わなかった場合の延長ではありません。免許取得は上限内に完了させ、特例期間は審査期間の余裕として見込むのが安全です。[5]
- この期間は営業運転ができない — 認められる活動は免許取得手続・研修受講・車両清掃等の関連作業に限られます。雇用契約の下にあるため人件費は発生する一方、売上を生む運転業務には従事させられないということです。この準備期間中の人件費は、採用計画の段階で見込んでおく必要があります。⚠️ 公道での運転そのものが一切できないわけではなく、国土交通省のQ&Aは、運転者の研修・教育の一環であり運送業務としての性質を有しない場合に限り、公道での運転研修を実施して差し支えないとしています(あくまで研修であって営業運転ではありません)。なお国際運転免許証しか持っていない人材を特定技能外国人として運転業務に従事させることはできません。[5]
日本の運転免許は別の段取りが必要(この分野の要)
自動車運送業がほかの分野と最も違うのは、日本の運転免許が業務の前提になる点です。
- トラック(貨物) — 第一種運転免許。車両区分に応じた免許が必要です。
- タクシー・バス(旅客) — 第二種運転免許に加えて、新任運転者研修の修了が求められます。
免許を用意する経路は、大きく2つに分かれます。
経路①:外国の免許から切り替える(外免切替)——ただし第一種免許のみ
すでに母国で運転免許を持っている人材について、日本の免許に切り替える方法です。切替には、外国の運転免許を受けた後、その国等に通算して3か月以上滞在していたことが条件とされています(警察庁)。この滞在実績が確認できない場合は切替の対象になりません。
ここが自動車運送業の採用で決定的に重要な点です。外免切替の対象は第一種免許であり、第二種免許は対象外です。 警察庁の「外国免許等関係事務取扱い要領」は、この一部免除の対象を一貫して「第一種免許の運転免許試験の一部免除」として定めており、第二種免許についての規定は置かれていません。[6]
つまり、トラック(第一種)は外免切替が使えるのに対し、タクシー・バス(第二種)は外免切替では免許を用意できません。タクシー・バスで採用する場合は、後述のとおり日本国内で第二種免許を取得する経路しかありません。
なお外免切替の手続きは2025年に厳格化されており、現行の取扱いに反映済みです。 国家公安委員会委員長は2025年7月の記者会見で同年10月1日からの開始を目指すと説明していましたが、[7]現行の警察庁の取扱い要領には次のとおり規定されています。[6]
- 短期滞在では申請できない — 「「短期滞在」の在留資格の者は、従来の取扱いと異なり免許申請を行うことができない」と明記されています。候補者を観光ビザで呼んで切り替えさせることはできません。
- 知識確認が50問・45問以上で合格 — 「制限時間30分間以内に、文章形式の質問を50問行う」「正解が50問中45問未満であった者については、試験の一部免除を行わないこと」=9割の正答が必要です。
- 住民票の写しの提示が要る — 申請書類として求められます。
⚠️ この厳格化は準備在留の期間計画に直結します。 知識確認に落ちれば再受験になり、その間も人件費は発生し続けます(後述の費用の節を参照)。
知識確認・技能確認が免除されるかどうかは、候補者が免許を取得した国等で決まります。 警視庁は「知識確認、技能確認を免除する国等(29か国等)」として次の国等を公表しています(2026年9月7日確認)。[8]
- 知識確認・技能確認の両方を免除する国等(29か国等) — アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州及びワシントン州に限る)、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾
- 技能確認だけを免除する国等 — アメリカ合衆国(インディアナ州に限る)
この一覧で押さえるべき点は、特定技能1号の在留者数が多い上位5か国(ベトナム・インドネシア・ミャンマー・フィリピン・中国=2025年12月末時点)が、いずれも入っていないことです(国籍別の在留者数は特定技能の統計を参照)。これらの国等の免許を持つ候補者は知識確認(50問中45問以上)と技能確認の両方を受けることになり、どちらかに落ちれば再受験までの日数だけ準備在留の期間を消費します。⇒ 切替がどの程度スムーズに進むかは、候補者の免許の取得国等で最初に見当がつきます。 免除国等の免許なら知識確認・技能確認の工程そのものがなくなり、免除国等でなければ両方の合格までを準備在留の期間計画に組み込んでください。免除されるのは知識確認・技能確認だけで、3か月以上の滞在実績・必要書類・短期滞在では申請できないといった申請の要件は、免除国等の免許でも変わりません。国等の一覧は改正されることがあるため、採用前に候補者ごとに管轄の運転免許試験場・公安委員会で切替の可否と必要な手続きを確認しておくことをおすすめします。
経路②:日本で新たに第二種免許等を取得する
外免切替の要件を満たさない場合、およびタクシー・バスで必要な第二種免許については、日本国内で取得することになります。ここで採用可否を実際に左右するのが、第二種免許の受験資格です。
- 原則 — 21歳以上で、普通免許等の保有期間が通算3年以上であること。
- 受験資格特例教習を修了した場合 — 19歳以上・保有期間が通算1年以上に緩和されます(2022年5月13日施行)。[9]
この受験資格は第二種免許だけの話ではありません。 警察庁の受験資格特例教習の対象は「第二種免許、大型免許及び中型免許」とされており、大型免許・中型免許(いずれも第一種)にも受験資格が定められています。原則は免許ごとに異なり、大型免許は21歳以上・保有期間が通算3年以上、中型免許は20歳以上・通算2年以上です(特例教習を修了した場合はいずれも19歳以上・通算1年以上)。
つまりトラック区分でも、大型車・中型車を運転させる場合は同じ制約がかかります。トラックの準備在留の上限は6か月とタクシー・バスより短いため、大型・中型免許の取得を前提にした採用では、期間内に受験資格を満たして取得まで到達できるかを、より早い段階で確認しておく必要があります。
⚠️ 特例教習のうち年齢要件の特例(年齢課程)で取得した免許には、取消しのリスクが付いてきます。 警察庁は、年齢要件に関する特例を受けて第二種免許等を取得した場合、本来の受験資格要件が定める年齢(第二種免許・大型免許は21歳、中型免許は20歳)に達するまでの間を若年運転者期間としています。この期間内に違反行為をして合計点数が3点以上になると(1回の違反行為で3点となった場合を除く)若年運転者講習(9時間)の受講が義務付けられ、通知を受けて受講しなかった場合、または講習を終えた後に再び若年運転者期間内の違反で講習後の合計点数が3点以上になった場合には、年齢要件の特例を受けて取得した免許が取り消されます(受講基準・取消しの基準に該当した時点で20歳に達していれば、中型免許は取消しの対象外)。[9]日本の運転免許はこの分野の業務の前提なので、取消しになれば運転業務に従事させられません。21歳未満(中型免許は20歳未満)の候補者を年齢課程で取得させる計画では、免許取得後の違反を防ぐ指導・監督まで含めて設計してください。なお警察庁の案内が若年運転者期間を定めているのは年齢要件の特例を受けて取得した場合で、経験年数の特例(経験課程)だけを受けた場合については若年運転者期間を定めていません。
外国で取得した運転免許の保有期間は、この「通算3年(中型は2年・特例の場合1年)」に算入されます。 運用要領の別冊は、大型免許(通算3年)・中型免許(通算2年)・第二種免許(通算3年)のいずれについても、受験資格の保有期間に「(海外における運転経歴を含む)」と明記しています。[3]国土交通省のQ&Aも、第二種免許の受験資格について「海外における運転経歴でも問題ありません」と回答しています。[5]
ただし、算入には「海外での運転経歴が分かる書類」が必要です。 同Q&Aは、海外で取得した運転免許証で運転経歴が確認できない場合は運転経歴証明書等が必要になること、その書類は外免切替の手続きで複数部必要になること、国によっては入国前に取得しておく必要があることを挙げ、必要書類の詳細(部数を含む)を事前に警察庁へ確認するよう案内しています。⇒ 実務上は「経歴が算入できるか」ではなく「母国を出る前に経歴を証明する書類をそろえられるか」が分かれ目になります。採用を決めた段階で、候補者に免許取得年月と運転経歴証明書の取得可否を確認してください。
第二種免許の受験資格が満たせるかどうかは、前述の「特定活動(特定自動車運送業準備)」の在留期間の上限(タクシー・バスは1年・更新不可)の中で免許取得が完了するかに直結します。タクシー・バス区分の採用計画では、この受験資格の充足見込みを最初に確認しておくのが安全です。
いずれの経路でも、免許取得は技能試験の合格や在留資格の取得とは別の手続き・期間です。前節の「特定活動(特定自動車運送業準備)」の在留期間の上限(トラック6か月・タクシー・バス1年)は更新できないため、この期間内に免許取得が完了する見通しが立つかどうかが、候補者を選ぶ段階での実質的な判断基準になります。
就業までの流れと期間の見通し
自動車運送業では「採用を決めてから実際にハンドルを握るまで」に複数の段取りが挟まります。候補者の状態によって必要なステップが変わるため、3つのパターンに分けて整理します。
| 候補者の状態 | 就業までに必要なステップ | 期間の考え方 |
|---|---|---|
| 日本の運転免許を保有済みで、「留学」「家族滞在」等の在留資格で国内に在留中 | 協議会加入 →(タクシー・バスは資格外活動許可を取得したうえで)新任運転者研修の受講・修了 → 特定技能1号への在留諸申請(研修の修了を証する書類を提出)→ 許可 → 就業 | 免許取得の期間が不要なため最短(準備在留=特定活動を経由しない) |
| 試験合格済み・日本の免許は未取得(母国等の免許は保有) | 協議会加入 → 特定活動(特定自動車運送業準備)での在留諸申請 → 入国・日本の免許取得(タクシー・バスは新任運転者研修)→ 特定技能1号への在留資格変更許可申請 → 就業 | 特定活動の在留期間の上限(トラック6か月・タクシー・バス1年)が、日本の免許取得に充てられる最大期間 |
| 技能試験・日本語試験が未受験(母国等の免許は保有) | 技能試験・日本語試験の受験・合格 → 上記いずれかの流れへ | 試験の実施時期に左右される |
表の1行目について補足します。運用要領別冊は、本邦に在留している外国人(「留学」や「家族滞在」等の在留資格で在留している者)が、日本の運転免許を取得している場合(トラック運送業に限る)、または当該免許を取得した後に資格外活動許可を取得した上で新任運転者研修を修了した場合(タクシー運送業・バス運送業に限る)には、準備在留(特定活動)を経由することなく特定技能1号へ移行できるとしています。[3]つまり表の「資格外活動許可を取得したうえで」が効くのは、留学・家族滞在のように就労が制限された在留資格で在留中の候補者が、在留資格を変える前に新任運転者研修を受けるときです。それ以外の在留資格で在留している候補者の扱いは運用要領別冊に明文がないため、管轄の地方出入国在留管理局へ個別に確認してください。
期間を見積もるうえでの固定的な制約は、次の3つです。
- 協議会への加入は在留諸申請の「前」に済ませる必要がある — 順序が決まっているため、ここが遅れると全体が後ろにずれます。国土交通省のQ&Aでは、事務局における届出事項の内容確認に1か月程度を要する見込みとされています。加入申請は国土交通省のサイトからオンラインで行います。
- タクシー・バスは新任運転者研修の修了が「特定技能1号」の在留諸申請の前提 — 研修は受け入れ企業が実施し(後述)、その修了を証する書類は特定技能1号の在留諸申請時の提出書類です。就業してから研修を行う順序ではない点に注意してください。⚠️ 一方、準備在留(特定活動)の在留諸申請では、日本の運転免許の保有も新任運転者研修の修了も必要ありません(運用要領が「本特定活動に係る在留諸申請時には、我が国の運転免許の保有及び新任運転者研修を修了している必要はありません」と明記)。免許も研修も未了の人材を先に呼べるのが、この準備在留の趣旨です。[3]
- 準備在留の上限は更新できない — トラック6か月・タクシー・バス1年が、免許取得に充てられる最大の期間です(特定技能1号への変更申請の審査中に限り、最長2か月の特例期間があります)。
就業までの実際の所要期間は、候補者の国籍・免許の有無・教習所の予約状況・試験の実施時期によって大きく変わります。上の表は制度上の順序と上限を示したもので、特定の月数を保証するものではありません。自社のケースでの見通しは、採用を計画する段階で個別に確認してください。
対象となる業務
従事できる業務は、合格した試験区分に対応する業務です。トラックでの貨物輸送、タクシーでの旅客輸送、バスでの旅客輸送が、それぞれの区分に対応します。
「運転以外もひととおり任せられる」とは考えないでください。 運用要領は、日本人が通常従事することとなる関連業務に「付随的に」従事することは差し支えないとしたうえで、関連業務に当たり得るものの例として車両の清掃/運行前後の準備・片付けの2つを挙げ、「専ら関連業務に従事することは認められません」と注記しています。[3]
- 運転が主で、関連業務は付随的 — 運転をさせずに構内作業だけを担当させるような配置はできません。
- 例示は車両の清掃・運行前後の準備/片付けに限られる — 倉庫での荷役や構内作業を任せたい場合は、この分野の業務区分に収まるかを事前に確認してください(業務内容の詳細な相談先として、運用要領は国土交通省物流・自動車局を案内しています)。
- 緑ナンバー(事業用自動車)に限られる — 国土交通省のQ&Aは「特定技能外国人が従事する業務区分は事業用自動車(いわゆる緑ナンバー)に限定されているため、自家用自動車『(いわゆる白ナンバー)』での業務はできません」としています。自社の白ナンバー車両での配送を任せることはできません。[5]
なお、運転ではなく倉庫内での入出庫・保管などの倉庫内作業を任せたい場合は対象分野が異なります。受け入れ開始前ですが整備が進んでいる特定技能「物流倉庫」の解説をご覧ください。
自動車運送業分野特定技能1号評価試験と、トラック区分の免除ルート
自動車運送業分野特定技能1号評価試験は、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が実施します。区分(トラック・タクシー・バス)ごとに試験が分かれます。[10]
| 自動車運送業分野特定技能1号評価試験の項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般財団法人日本海事協会(ClassNK) |
| 試験方式 | CBT方式またはペーパーテスト方式 |
| 出題構成 | 学科試験(真偽法○×式・30問)+実技試験(三肢択一・20問) |
| 試験時間 | 学科・実技あわせて80分 |
| 合格基準 | 学科試験・実技試験それぞれ正答率60%以上(両方を満たす必要がある) |
| 受験資格 | 試験実施日に満17歳以上で、日本または外国で取得した有効な自動車運転免許を保有していること |
| 合格証明書の有効期限 | 受験日から10年 |
トラック区分には日本語試験の免除ルートがあります。 運用要領では、トラック運送業について、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は日本語試験(JFT-Basic・日本語能力試験のいずれも)が免除されるとされています。技能実習からの移行を検討している企業にとっては、候補者の幅が広がるポイントです。[3]
この免除は日本語試験についてのもので、自動車運送業分野特定技能1号評価試験(技能試験)は免除されません。またこの免除規定はトラック運送業について定められており、タクシー・バスには同様の規定は置かれていません。
日本語試験そのものの種類・水準・分野をまたぐ免除ルールの全体像は特定技能の試験(日本語試験の節)で解説しています。
受け入れ企業に求められる要件
自動車運送業で受け入れるには、企業側に次のような条件が求められます。この分野は事業者側の要件が他分野より細かく定められているため、採用を計画する段階で自社が満たせるかを確認しておきます。
- 自動車運送事業を営む者であること — 道路運送法第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法第2条第8項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む)を営んでいることが前提です。あわせて、受け入れる事業所が日本標準産業分類の中分類43「道路旅客運送業」または中分類44「道路貨物運送業」に該当している必要があります(機関の要件と事業所の要件は別に定められています)。⚠️ 貨物軽自動車運送事業(軽トラック・軽バン)のみを行っている事業者は受け入れできません — 働きやすい職場認証もGマークも貨物軽自動車運送事業を対象にしていないため、下記の職場環境に関する認証の要件をどの経路でも満たせないからです。ただし、要件を満たす事業者が自社の貨物軽自動車運送事業に特定技能外国人を従事させることは可能です。[5]
- 職場環境に関する認証の保有 — 一般財団法人日本海事協会の「運転者職場環境良好度認証制度」の認証を受けていることが基本です。加えて、最新の分野別運用方針(別紙10)では、トラック運送業の特定技能所属機関については、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する「安全性優良事業所(Gマーク)」を有する場合も要件を満たすとされています。なおGマークは貨物自動車運送事業を対象とする評価制度であるため、タクシー・バスの事業者は実際には運転者職場環境良好度認証によることになります。自社が未取得の場合は要注意です。 運転者職場環境良好度認証(働きやすい職場認証制度)の申請には、運送事業の許可取得後3年以上を経過していることが基本要件とされています(企業グループの再編等で他社の就業規則等を承継している場合などの例外あり。一般財団法人日本海事協会の申請案内書〔2026年度版〕でも維持されています)。したがって設立まもない事業者は、認証の取得という経路では要件を満たせない期間が生じます。 ただしこれは受け入れの可否を一律に決めるものではありません。トラック運送業であればGマークという別経路があり、Gマークを保有していれば認証がなくても要件を満たせます。 一方でタクシー・バスは、分野別運用方針(別紙10)がGマークによる代替をトラック運送業の特定技能所属機関に限っているため、認証の3年要件がそのまま受け入れ可否に効きます(国土交通省のQ&Aも「Gマーク制度の認証取得についてはトラック分野のみ」としています)。 認証・Gマークのいずれの経路でも要件を満たせない場合は、その時点では受け入れ計画自体の見直しが必要です。採用計画の最初に確認すべき条件です。[3][2][11][12]
- 雇用形態は直接雇用に限られる — 労働者派遣の対象となることを内容とする特定技能雇用契約を締結していないことが上陸許可基準で求められています。1号特定技能外国人を派遣することも、派遣された者を受け入れることもできません。
- 旅客区分は新任運転者研修の実施体制 — タクシー・バスで受け入れる場合、受け入れ企業側が新任運転者研修を実施する必要があります。この研修は旅客自動車運送事業運輸規則第38条第1項・第2項・第5項および第39条に規定する指導・監督・特別な指導と、適性診断の受診を指します。
- タクシー・バスはB1相当が原則、企業の措置でA2.2相当への引き下げも可能(一般貸切を除く) — タクシー・バス(旅客)の日本語要件は「日本語教育の参照枠」のB1相当以上が原則ですが、受け入れ企業がB1相当以上の日本語能力修得に向けた日本語学習プランを作成し、乗客対応の指導を受けた自社の従業員を意思疎通の補助要員として同乗させる(バスの離島路線等には代替措置あり)場合に限り、A2.2相当の人材にも従事させられます(2026年4月10日施行の基準改正で新設。一般貸切旅客自動車運送事業を除く)。[13]
- 自動車運送業分野特定技能協議会への加入(在留諸申請の前) — 受け入れ企業は、在留諸申請の前に協議会の構成員にならなければなりません。登録支援機関側も加入が必要です——告示は「支援計画の全部の実施を委託する場合」の要件として定めていますが、国土交通省のQ&Aは「所属機関、登録支援機関の双方が加入いただく必要がございます」としています。⇒ 一部委託であっても、委託先が協議会に加入しているかを確認してから契約するのが安全です。[3][5]
- 所管省庁の調査等への協力 — 国土交通省が行う調査や指導に協力すること。
自動車運送業分野の受入れ見込数(トラック・タクシー・バスの合計)は、令和6年度からの5年間で2万2,100人とされています(2026年1月23日の閣議決定で改定)。⚠️ 改定前の数値は2万4,500人で、出入国在留管理庁の分野紹介ページなど改定が反映されていない資料には旧数値が残っていることがあります(正は分野別運用方針の別紙10)。分野別運用方針は改定されることがあり、上限に達すると新規受け入れが一時停止される可能性もあるため、採用時期が近づいたら最新の運用状況を国土交通省・出入国在留管理庁の公表情報で確認してください。[2]
企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、採用全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。
費用の目安
自動車運送業でも、費用の考え方は「初期費用+月額の支援委託費」が基本ですが、ドライバー採用ではこれに固有の費用が加わります。先に結論を言うと、この分野固有の上乗せ分(他分野では発生しない費目)だけで、上限シナリオでは1人目がタクシー約448万〜454万円、バス約523万〜524万円になります(内訳と前提は本節の最後で積み上げます。トラックは制度上、積み方が違うので同じ表には載せていません=同じく本節の最後で説明します)。金額の9割前後は教習料金ではなく、準備期間(特定活動)の人件費です。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費など、他分野と共通の項目です。
- ドライバー固有の費用 — 運転免許の取得・切替の費用、準備期間(特定活動)の人件費、初任診断(3区分共通)と新任運転者研修(タクシー・バス)・初任運転者への特別な指導(トラック)の実施費用、職場環境に関する認証の取得費用。認証の費用は全区分一律ではありません=トラック運送業は安全性優良事業所(Gマーク)でも要件を満たせるため、Gマークを取得済みなら働きやすい職場認証の取得費用はかかりません。タクシー・バスはGマークによる代替が規定されていないため、未取得なら認証の取得費用が生じます。⚠️ 免許取得費用を誰が負担するかは、契約の書き方しだいで受け入れ自体ができなくなります。 運用要領は、基準に抵触して外国人の受入れができなくなるおそれがある例として、「受入れ外国人が一定期間勤務することを停止条件として、免許取得費用の返済を免除する内容の契約を締結すること」と、退職時に貸付金の残額を一括で返済させる内容の契約を名指ししています。[3]⇒ 「◯年働いたら返済免除」「辞めたら一括返済」という設計は取らないでください。 国土交通省のQ&Aも、免許取得費用は所属機関が負担することが望ましいとし、本人負担にする場合は採用時等に本人が十分に理解できる言語で説明し、事前に了承を得るよう求めています。[5]上の合計表のとおり金額が大きい費目なので、負担区分は求人票と雇用契約の段階で確定させておくのが安全です。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費。金額は機関によって幅があり、費目の内訳と相場の見方は登録支援機関の費用で整理しています。
以下、ドライバー固有の費用を順に見ていきます。なお分野の協議会(自動車運送業分野特定技能協議会)の入会金・年会費は無料です。
運転免許の費用——外免切替の手数料と、教習所で取得する場合の実査額
免許を用意する経路は、外国の免許から切り替える「外免切替」と、日本国内で新たに取得する経路の2つです(制度上の違いは前掲の「日本の運転免許は別の段取りが必要」を参照)。
外免切替の手数料は都道府県公安委員会が徴収します。金額は都道府県により異なるため、ここでは東京都の例を示します。[8]
| 費目(外免切替・東京都の例) | 申請手数料 | 交付手数料 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 普通免許 | 2,500円 | 2,350円 | 4,850円 |
| 大型・中型・準中型免許 | 3,900円 | 2,350円 | 6,250円 |
| その他の免許 | 2,800円 | 2,350円 | 5,150円 |
| 原付免許 | 1,600円 | 2,350円 | 3,950円 |
| 併記手数料(既存の免許に追加で併記する場合) | 200円 | — | 200円 |
上表は東京都の例です。外免切替の手数料は都道府県公安委員会が徴収するため、全国一律ではありません。 自社の所在地を管轄する運転免許試験場・公安委員会の公表額を確認してください。
一方、教習所で新たに免許を取得する場合の費用には公的な定めがありません。 そこでトモハタでは、2026年7月21日時点で全国9都道府県の指定自動車教習所10校が公開している料金ページを直接確認し、取得する免許・保有免許の前提・通学/合宿の別ごとに金額を集計しました。以下はその実査の範囲で確認できた金額です。
この節の金額を読むときの前提です。
- 出所と範囲 — トモハタが2026年7月21日時点で、全国9都道府県の指定自動車教習所10校の公開料金ページを実査した範囲の金額です。全国の相場を統計的に代表するものではありません。
- 保有免許の前提とセットで読んでください。 教習料金は「いま何の免許を持っているか」で決まります。前提を書かずに1本の幅にまとめると、単に幅が大きく見えるだけで見積もりには使えません。表は条件ごとに分けています。
- 実査校数が1〜2校の行は「相場の範囲」ではありません。 1校の実額・2校の値であり、幅として読まず「そういう例がある」程度に扱ってください。
- 行ごとに実査した教習所の組が異なります。 別の行どうしの金額を比べて、保有免許の区分や通学・合宿による高低を読み取ることはできません。同じ教習所の中で比べた区分差は、表の下の本文で示します。
- 表示額は、規定の時限で1回目に合格した場合の最低額です。 超過した分の追加教習・再検定は別料金です。実査1校の例では、追加教習が大型一種1時限8,800円・大型二種1時限9,900円、再検定が大型一種・大型二種とも1回7,700円でした。第二種免許で数時限の追加教習が生じると、この単価では1〜3万円程度の上振れになります(大型二種の追加教習1〜3時限=9,900〜29,700円。再検定1回を伴えばさらに7,700円)。追加時限数の実績を集計した統計ではなく、実査1校の単価から機械的に導いた目安です。
- 仮免許試験手数料などの公費の扱いは校によって異なります。 仮免許試験手数料・仮免許交付手数料の合計2,900円(非課税)を教習料金とは別に納付する校(中央バス自動車学校など)と、表示する総額に含めている校(羽生モータースクールなど)がありました。表の金額に公費が含まれるかは、校ごとに確認してください。このほか出典リンクのある実査校の例では、写真代880円が教習料金と別になるものがありました(阪和鳳自動車学校)。高速教習の通行料660円は、羽生モータースクールの料金表では「【NEXCO東日本にお支払い】します」と書かれる一方、同じ表に「上記料金には…高速道路通行料金を含んでいます」との記載もあり、同一資料内で扱いが揃っていません=別途必要かは校に直接ご確認ください。卒業後に運転免許試験場で納付する本免許の申請・交付手数料も別です。
- 確認日時点の金額です。 料金は改定されるため、最新の金額は各教習所にご確認ください。
タクシー・バスに必要な第二種免許の実査結果は次のとおりです。
| 取得する免許 | 保有免許の前提 | 通学/合宿 | 実査校数 | 実査した料金(税込・2026年7月21日確認) |
|---|---|---|---|---|
| 普通二種(AT限定)=タクシー | 普通免許を保有 | 通学 | 4校 | 20.0万〜25.7万円 |
| 普通二種(MT)=タクシー | 普通免許を保有 | 通学 | 2校 | 23.9万〜28.6万円(実査2校の値) |
| 普通二種(AT限定)=タクシー | 普通免許を保有 | 合宿 | 1校 | 235,400円(実査1校の例) |
| 大型二種=バス | 普通免許(限定なし)を保有 | 通学 | 2校 | 50.1万〜51.1万円(実査2校の値) |
| 大型二種=バス | 中型8t限定・MTを保有 | 通学 | 3校 | 44.6万〜53.1万円(「普通免許〔限定なし〕を保有」の行とは実査した教習所の組が異なるため、行どうしの大小比較には使えません。同じ教習所内では中型8t限定保有のほうが低額でした) |
| 大型二種=バス | 大型一種を保有 | 通学・合宿 | 3校 | 29.0万〜34.2万円 |
| 大型二種=バス | 普通免許・MTを保有 | 合宿 | 1校 | 507,100円(実査1校の例) |
トラックに必要な第一種免許(大型・中型)の実査結果は次のとおりです。
| 取得する免許 | 保有免許の前提 | 通学/合宿 | 実査校数 | 実査した料金(税込・2026年7月21日確認) |
|---|---|---|---|---|
| 大型一種 | 普通免許(限定なし)を保有 | 通学 | 3校 | 37.2万〜43.8万円 |
| 大型一種 | 中型8t限定・MTを保有 | 通学 | 5校 | 26.8万〜32.8万円 |
| 大型一種 | 中型8t限定・MTを保有 | 合宿 | 2校 | 24.5万〜29.6万円(実査2校の値) |
| 大型一種 | 普通免許・MTを保有 | 合宿 | 1校 | 395,450円〜(実査1校の例) |
| 中型一種 | 普通免許(限定なし)を保有 | 通学 | 3校 | 22.8万〜23.7万円 |
| 中型一種 | 準中型5t限定・MTを保有 | 通学 | 4校 | 19.1万〜23.5万円 |
| 中型一種 | 普通免許・MTを保有 | 合宿 | 1校 | 197,450円〜(実査1校の例) |
表の書き方について3点補足します。第1に、「普通免許(限定なし)を保有」は、教習所側の料金表の区分に対応させた行です。 本文で金額を個別に引用する2校のうち、中央バス自動車学校は「普通(MT)免許」の行に「平成29年3月12日以降に取得した方」という取得時期の注記を付し、羽生モータースクールは「2007年6月1日以前に取得した普通免許は中型(8t)限定免許として取り扱われます」等の注記を置いています(いずれも2026年7月21日の実査時点の表記です。教習所の料金表は改定のたびに行の立て方も変わるため、最新の区分は各校の料金表でご確認ください)。[14][15]第2に、「普通免許・MTを保有」とだけ書いた行は、教習所側が中型8t限定・準中型5t限定などの区分を明示していないため、こちらで区分を補わずそのまま示したものです。 第3に、金額の末尾の「〜」は、その額を起点に条件で加算されることを示す教習所側の表記です。
実査した10校(2026年7月21日時点・所在地の五十音順):中央バス自動車学校(北海道)/那須自動車学校(栃木・合宿)/埼玉とだ自動車学校(埼玉)/羽生モータースクール(埼玉)/拝島自動車教習所(東京)/あいち自動車学校(愛知)/遠鉄自動車学校グループ(静岡・合宿)/阪和鳳自動車学校(大阪)/兵庫県自動車学校 西宮校(兵庫)/西鉄自動車学校(福岡)。いずれも各校が公開している料金ページを直接確認しました。10校は、無作為抽出ではなく、取得する免許×保有免許の組み合わせごとの料金を公開している指定自動車教習所の中から、地域が分散するように選んだ便宜的なサンプルです。出典リンクは、本文で金額を個別に引用している3校のみ示しています(他の7校は上記の校名から各校の公開料金ページを確認できます)。[16]価格帯を把握する目的の実査であり、特定の教習所を推奨するものではありません。 なお西鉄自動車学校は料金表に税込・税抜の明記がなく、兵庫県自動車学校 西宮校は実査時点で新規申込を中断していました(いずれも価格帯の把握には使用しています)。
免許費用を最も動かすのは「保有免許の区分」——同じ教習所内で約9万〜10万円
上の表で金額を最も大きく動かしているのは、通学か合宿かでも地域でもなく、いま何の免許を持っているかです。「普通免許あり」は、取得した時期によって法律上3つの区分に自動的に分かれています。
- 2007年6月1日以前に取得 → 中型8t限定
- 2007年6月2日〜2017年3月11日に取得 → 準中型5t限定
- 2017年3月12日以降に取得 → 現行の普通免許(限定なし)
上位免許の教習時間は、この区分が上であるほど短くて済みます。実査した10校のうち、料金表に取得時期の注記があり区分を明示している2校では、同じ教習所内の大型一種で次の差がありました(いずれも税込・2026年7月21日確認。出典は上の料金表の各校リンク)。
- 羽生モータースクール(埼玉) — 中型8t限定保有 315,300円に対し、普通(限定なし)保有 406,600円=91,300円の差
- 中央バス自動車学校(北海道) — 中型8t限定保有 268,400円に対し、普通(MT・限定なし)保有 371,800円=103,400円の差
なお、保有している免許がAT限定の場合はさらに加算されます。実査1校(中央バス自動車学校)の大型一種では、中型8t限定保有268,400円に対し中型8tAT限定保有308,880円、普通(MT)保有371,800円に対し普通(AT)保有412,280円と、保有免許がAT限定であることでいずれも40,480円高くなっていました。
この加算は第一種に限った話ではありません。第二種でも、保有免許がAT限定であれば同様に上乗せされます。 羽生モータースクールの大型二種の料金表(2026年8月13日に再確認・2026年8月1日改定版)では、保有免許ごとにAT限定の行が別に立っており、AT限定であることによる加算はいずれも41,800円でした——中型二種保有 253,150円に対しAT中型二種保有 294,950円、中型(8t限定)二種保有 315,850円に対しAT中型(8t限定)二種保有 357,650円、準中型(5t限定)二種保有 378,550円に対しAT準中型(5t限定)二種保有 420,350円、普通二種保有 409,900円に対しAT普通二種保有 451,700円(いずれも税込)。[15]⚠️ この4組は上の実査表(2026年7月21日確認)とは確認日が異なります=金額そのものは実査表の値と直接つなげず、「AT限定だと1区分あたり4万円強上乗せされる」という差の大きさの目安として読んでください。候補者の保有免許がAT限定の場合は、見積もりの段階で教習所に個別に確認してください。
この分野の費用計画で最も誤解されやすいのが、この区分差です。外国人材は、多くの場合、最も高い価格帯の区分に当たります。
中型8t限定・準中型5t限定は、免許制度の改正(2007年の中型免許の新設・2017年の準中型免許の新設)の時点で日本の普通免許を持っていた人に、改正前の運転範囲を残すために付いた区分です。したがって、改正後に日本で新たに免許を取得した外国人材と、外国の普通免許を外免切替した人材は、この整理に沿えば「普通(限定なし)」=上位免許の教習時間が最も長く、料金も高い区分に当たると考えられます。⚠️ これは道路交通法の免許区分の経過措置からトモハタが整理した読みで、外免切替で交付される免許の区分を明示した公的資料は確認できていません。
日本人のベテランドライバー(中型8t限定を保有している層が多い)を前提にした金額をそのまま外国人材の見積もりに使うと、大型一種で約9万〜10万円の過少見積もりになり得ます。 教習所に照会するときは、候補者の免許証の種類欄(普通・準中型・中型の別と限定条件)をそのまま伝え、区分の判定は教習所側に委ねてください。
⚠️ 「母国で大型免許を持っているから外免切替で大型一種にすればよい」は、準備在留の期間内には成り立ちません。 国土交通省のQ&Aは、外免切替で第一種大型免許に切り替える場合は一度、普通自動車運転免許に切り替えたうえで第一種大型免許に切り替える流れになるとしたうえで、「特定活動期間においては、普通自動車運転免許への外免切替までを行っていただきます」と明示しています。[5]つまり、外国で大型・中型の第一種免許を持つ人材でも、準備在留中に到達できるのは普通免許までで、上位免許は特定技能1号に移行してから取得することになります。大型二種で「大型一種を保有」の価格帯(実査3校で29.0万〜34.2万円)に該当するのは、日本で大型一種を取得し終えた後の話です。切替の可否と流れは候補者ごとに管轄の運転免許試験場・公安委員会へご確認ください。
受験資格特例教習は教習料金とは別立て——「保有1年」の床は残る
第二種免許には受験資格があり、原則として21歳以上・大型/中型/準中型/普通/大型特殊免許のいずれかの保有期間が通算3年以上であることが求められます。この受験資格は第二種免許だけの論点ではありません。警察庁は、受験資格特例教習による緩和(19歳以上・保有期間通算1年以上)の対象を「第二種免許、大型免許及び中型免許」と示しており、トラックで必要になる大型免許(第一種)にも受験資格があります。そして、特例教習の料金は免許の教習料金とは別に発生します。
特例教習は、警察庁の案内で、年齢要件を引き下げるための課程(7時限以上)と経験年数要件を引き下げるための課程(29時限以上)に分かれています。実査1校(羽生モータースクール)の例では、年齢課程119,900円・経験課程283,250円・年齢・経験課程326,150円(いずれも税込総額・2026年7月21日確認)でした。⚠️ 同校はその後2026年8月1日に料金を改定しており、2026年8月13日時点では年齢課程122,100円・経験課程298,100円・年齢/経験課程343,200円です(教習所の料金は数か月単位で改定されます=実額は必ず各校の最新の料金表でご確認ください)。緩和したい要件に対応する課程の受講が必要で、最も安い年齢課程だけでは経験年数の要件は緩和されません。 特定技能で受け入れる人材は日本での運転経歴が短いケースが多く、この経路に該当する可能性があります。該当する場合、第二種免許にかかる費用は「教習料金+特例教習」となり、大型二種では合計で80万円を超えることもあり得ます。
もう1つ、特例教習には見落とされやすい点があります。特例教習を修了しても、「普通免許等を通算1年以上保有している」という要件そのものはなくなりません。 警察庁は、特例教習を修了した場合の受験資格を「19歳以上であり、かつ、普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上」と示しており、緩和されるのは通算3年から通算1年までです。[9]
そのうえで、外国で取得した運転免許の保有期間はこの通算期間に算入されます(前掲の「経路②:日本で新たに第二種免許等を取得する」を参照)。したがって、母国での運転歴が通算3年以上ある候補者なら、特例教習そのものが不要です。特例教習の費用が実際に効いてくるのは、母国での運転歴が1年以上3年未満の候補者(経験課程で通算1年まで緩和できる)と、21歳未満の候補者(年齢課程)に限られます。⚠️ 年齢課程で取得した免許には若年運転者期間(本来の年齢に達するまで。期間内の違反で講習義務・免許取消し)が付くため、年齢課程は費用だけでなく取消しリスクまで含めて判断してください(前掲の「経路②」を参照)。
⚠️ ただし、算入の可否ではなく「証明できるか」で詰まります。 経歴の算入には海外での運転経歴が分かる書類が必要で、免許証から経歴が読み取れない場合は運転経歴証明書等を母国で取得しておく必要があります(国によっては入国前でないと取れません)。書類がそろわず経歴を証明できない候補者は、実質的に「日本で免許を取ってから1年」を待つことになり、日本の免許を取得してから1年が経過するまで第二種免許を受験できません。タクシー・バスの準備在留は上限1年で更新できないため、この場合は準備在留の期間内に第二種免許の取得まで到達すること自体が難しくなり、後述する準備期間の人件費が特定技能1号への移行に至らないまま発生するリスクに直結します。同じ構図はトラックにもあります。教習所で新たに大型免許(第一種)を取得する経路では大型免許の受験資格が同様に効き、トラックの準備在留は上限6か月で更新できません。⇒ 費用計画の前提になるのは「外国免許の期間が算入されるか」ではなく、候補者が母国で運転経歴を証明する書類をそろえられるかです。採用を決めた段階で確認し、そろわない見込みなら「特例教習が必要になる場合」の費用も見込んでおくと安全です。
準備期間(特定活動)の人件費——上限シナリオで見込む
この分野の費用計画で最も見落とされやすく、かつ金額が大きくなりやすいのがこの項目です。 準備在留は受入れ機関との雇用契約の下で在留するため、在留の初日から人件費が発生します(制度上の位置づけは前掲の「日本の免許がない人材を受け入れる道筋」を参照)。
費用計画では、上限期間まで在留した場合を想定した上限シナリオで見込んでおくと、途中で資金計画が崩れません。参考値として、国土交通白書2025(令和7年版)が示す運転者の賃金水準を期間按分すると、次のような水準になります。[17][18]同じ白書の数値ですが、集計の年次は区分によって異なるため、表では行ごとに明示しています。
| 区分 | 準備在留の上限期間(更新不可) | 運転者の賃金水準(統計上の呼称・年次・出所) | 上限期間まで在留した場合の人件費の参考値(左の賃金水準を期間按分した機械的な試算) |
|---|---|---|---|
| トラック(大型) | 6か月 | 485万円/年間平均賃金・2023年(令和5年)・国土交通白書2025 | 約243万円 |
| トラック(中小型) | 6か月 | 438万円/年間平均賃金・2023年(令和5年)・国土交通白書2025 | 約219万円 |
| タクシー | 1年 | 418万円/平均年間給与・2024年(令和6年)・国土交通白書2025 | 約418万円 |
| バス | 1年 | 463万円/平均年間給与・2024年(令和6年)・国土交通白書2025 | 約463万円 |
上表を読むときは、次の4点に注意してください。
- 集計の年次が区分によって異なります。 トラックの値は2023年(令和5年)で、バス・タクシーの2024年(令和6年)より1年古い数値です。区分間で金額を比べるときは、この1年のずれを踏まえてください。
- 上限期間の全部を消化することが前提ではありません。 これは「上限まで在留した場合」の上限シナリオです。準備在留の期間は上限であり、免許取得・新任運転者研修が終われば、速やかに特定技能1号への在留資格変更許可申請へ進みます。実際の準備期間が上限より短ければ、人件費もその分だけ小さくなります。
- これらの賃金水準は特定技能外国人の報酬ではありません。 上表の年間平均賃金・平均年間給与は、日本人を含む運転者全体についての公的な数値をもとにした参考値であり、特定技能外国人に支払われる報酬の平均ではありません。実際の報酬は自社の賃金規程と、日本人が従事する場合の報酬額と同等以上とする要件のもとで決まります。
- 企業の実負担はこの数値より大きくなり得ます。 これらの年収水準には賞与等が含まれ得る一方、企業が負担する社会保険料・福利厚生費・採用費は含まれていません。自社の実負担を見積もるときは、これらを上乗せして考えてください。
なお、特定技能外国人の報酬について、自動車運送業分野の平均額は公表されていません。 出入国在留管理庁が半年ごとに公表する「特定技能在留外国人数」の集計表は、概要版(第1〜3表=主な国籍・地域別/都道府県別/特定産業分野・業務区分別)も詳細版(第4〜9表=国籍・地域別/都道府県・市区町村別/試験ルート・技能実習ルート別/年齢・男女別)も在留外国人数のクロス表で構成され、あわせて更新される「特定技能制度運用状況」も在留者数の推移・試験の受験者数と合格者数・登録支援機関の登録件数・在留資格認定証明書の交付件数と在留資格変更許可件数までで、いずれにも報酬・賃金の項目はありません(2026年9月7日に令和7年12月末時点の公表分で確認)。[19]参考になる第2の数値として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)には在留資格区分としての「特定技能」の賃金(221.4千円)がありますが、これは全分野・全産業を合わせた平均であり、自動車運送業分野の内訳ではありません。[20] 分野別の実勢を知りたい場合は、人材紹介会社や登録支援機関から自社の地域・区分での提示水準を聞くのが実務的です。
初任診断・新任運転者研修の実施コスト(初任診断は3区分に共通)
ここは区分によって内容が分かれます。初任診断(適性診断)はトラック・タクシー・バスの3区分に共通して必要で、その上に区分ごとの指導・研修が乗る、という構造です。
まず、初任診断は、NASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)などが実施し、料金が公表されています。NASVAは受診対象者を「所属する運送事業者において、新たに運転者として採用される方」とし、受診時期を旅客は「所属する旅客自動車運送事業者において、事業用自動車の運転者として選任する前」、貨物は「所属する貨物自動車運送事業者において、初めてトラックに乗務する前」と示しています。旅客・貨物の両方に欄が置かれている=トラック事業者にも初任診断は必要です。「タクシー・バスだけの費用」と誤解しないでください。[21]
| 適性診断の種類(採用時に関係するもの) | 受診料(税込・NASVA) |
|---|---|
| 初任診断(新たに雇い入れた運転者への義務診断) | 4,800円 |
| 一般診断(普通免許以上を持つ人なら誰でも受診できる診断) | 2,400円 |
上表は採用時に関係する2種類に絞っています。[22]このほかに定期診断・適齢診断・特定診断などがありますが、いずれも既存運転者の年齢や事故歴に応じた診断で、採用費用として見込む項目ではありません。
診断の上に乗る指導・研修は、区分によって内容と根拠法令が分かれます。
- タクシー・バス(旅客)=新任運転者研修 — 受け入れ企業側が実施します。旅客自動車運送事業運輸規則が定める指導・監督・特別な指導を指します。
- トラック(貨物)=初任運転者に対する特別な指導 — 貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく指導監督指針が、座学等(法令上遵守すべき事項・運行の安全確保に必要な事項等)を15時間以上、安全運転の実技を20時間以上実施することと定めています。対象は、運転者として常時選任するために新たに雇い入れた者(乗務前3年間に他の一般貨物自動車運送事業者等で運転者として常時選任されたことがある者を除く)です。[23]海外から呼び寄せる人材や初めてトラックに乗務する人材は、通常この対象にあたります。
つまりトラック区分でも「初任診断+実技20時間以上を含む特別な指導」の実施コストは発生します。 時間数が明示されているぶん、必要な工数はむしろ見積もりやすい項目です。
適性診断の受診料は公表された確定額ですが、指導・監督・特別な指導そのものにかかるコスト(指導担当者の人件費・教材・車両の使用など)には公的な定めがありません。 自社の研修体制に応じた実費として見込みます。またタクシー・バスの新任運転者研修の修了を証する書類は特定技能1号の在留諸申請時の提出書類にあたるため、就業開始後ではなく、特定技能1号への在留諸申請の前に実施する必要があります(準備在留=特定活動の申請時点では、免許も研修も未了で構いません)。研修・指導を実施する時間・人員も、費用として織り込んでおくと計画がぶれません。
職場環境に関する認証の取得費用(要件を未充足の企業のみ)
前掲の受け入れ要件のとおり、要件を満たす経路は1つではありません。 最新の分野別運用方針(別紙10)は、一般財団法人日本海事協会の「運転者職場環境良好度認証制度」(=働きやすい職場認証)の認証を受けた者、又はトラック運送業の特定技能所属機関については、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する「安全性優良事業所(Gマーク)」を有する者、と定めています。[2]
つまり費用の分岐は区分によって変わります。
| 区分 | 要件を満たせる経路 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| トラック | 働きやすい職場認証 又は 安全性優良事業所(Gマーク) | すでにGマークを取得している事業者は、認証の取得費用をかけずに要件を満たせる |
| タクシー・バス | 働きやすい職場認証 | Gマークは貨物自動車運送事業を対象とする評価制度で代替できないため、未取得なら認証の取得費用(一つ星・電子申請で審査料3万円+登録料6万円=9万円/税別)が必ず発生する |
Gマークは働きやすい職場認証とは別の制度で、申請の時期・要件・費用体系も異なります(申請受付は年1回の期間限定です)。本記事では金額を示しません。自社がGマークで要件を満たせるかは、全日本トラック協会(全国貨物自動車運送適正化事業実施機関)が公表する最新の申請案内で確認してください。[12]
以下は、働きやすい職場認証を取得する場合の費用です。2026年度版の申請案内書が公表している金額は次のとおりです(いずれも税別)。[11][24]
| 費目 | 紙申請/一部電子申請 | 電子申請 |
|---|---|---|
| 一つ星 審査料(新規) | 50,000円 | 30,000円 |
| 一つ星 審査料(継続) | 50,000円 | 15,000円 |
| 二つ星 審査料(新規・継続) | 50,000円 | 30,000円 |
| 三つ星 審査料 | 147,000円 | 127,000円 |
| 登録料(星の数によらず共通) | 60,000円 | 60,000円 |
| 審査料の営業所加算(本社以外1か所につき) | +3,000円 | +3,000円 |
| 登録料の営業所加算(本社以外1か所につき) | +5,000円 | +5,000円 |
金額を見るときのポイントは3つです。
- 電子申請のほうが審査料は低く設定されています。 一つ星の継続申請では、紙申請50,000円に対して電子申請15,000円と差が大きくなります。
- 三つ星は対面審査の追加費用が生じます。 対面審査の2か所目以降は1か所につき84,000円、これに対面審査員2名分の旅費実費が登録料と併せて請求されます(審査員1名の往復につき30,000円が上限)。
- すでに認証を持っている企業が別の認証段階を申請し、有効期間の重複が1年以上生じる場合は、登録料から3万円が控除されます。(初めて取得する企業には該当しません)
費用より先に確認すべき点があります。この認証の申請には、運送事業の事業許可日を起点として事業許可取得後3年以上経過していることが基本要件とされています(企業グループの再編等により3年以上経過している事業者の就業規則等を承継して運送事業を行っている場合等の例外があります)。この要件は2026年度版の申請案内書でも維持されています。設立まもない事業者は、金額の問題ではなく要件そのものを満たせない可能性があります。 ただしトラック運送業には安全性優良事業所(Gマーク)という別経路があるため、まずはそちらで要件を満たせないかを確認してください。認証・Gマークのいずれの経路でも要件を満たせない場合は、その時点では特定技能の受け入れ計画自体を見直す必要があります。
この分野固有の費用を合計するといくらか——上限シナリオの積み上げ
ここまでの費目を、準備在留の上限まで在留した場合で積み上げます。⚠️ これは「他分野では発生しない、この分野固有の上乗せ分」の合計です。 人材紹介手数料・在留資格の申請費用・渡航費・住居準備費・月額の支援委託費といった全分野共通の初期費用は含んでいません(それらの相場は特定技能の採用費用・相場で整理しています)。
⚠️ 積み上げるのはタクシー・バスだけです。トラックは、そもそも積み方が違います。 国土交通省のQ&Aは、トラック運送業について「特定活動期間中に普通運転免許(又は準中型運転免許)を取得した場合は、速やかに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行っていただく必要があります」とし、大型・中型免許の教習は在留資格変更手続き中に受けても差し支えないとしています。さらに「特定技能へ移行する要件を満たした場合は、特定活動期間の満了前であっても、速やかに特定技能へと在留資格を切り替える申請を行ってください」とも明示しています。[5]⇒ トラックでは「準備在留の6か月を丸ごと使って大型一種を取る」という積み方はできません(普通免許が取れた時点で移行義務が生じます)。トラックの費用は「準備在留=普通免許を用意するまでの短い期間」+「移行後に大型・中型を取る教習料金(本節の実査表を参照)」に分けて見積もってください。これは競合の費用記事がまず書いていない、この分野固有の構造です。
積み上げの前提(タクシー・バス共通):①日本の免許を持たない人材を準備在留(特定活動)で受け入れ、まず普通免許を用意し(外免切替が使えるなら下記の手数料、使えなければ教習所で新規取得=別途)、その上で第二種免許を教習所で取得する ②準備在留の上限(1年)まで在留する(第二種の取得と新任運転者研修の修了が終われば、その時点で速やかに移行するので実際はこれより短くなります) ③職場環境に関する認証は未取得で、これから一つ星を電子申請で取る。
| 費目 | タクシー(普通二種AT) | バス(大型二種) |
|---|---|---|
| 普通免許を外免切替で用意する場合の手数料(東京都の例) | 4,850円 | 4,850円 |
| 第二種免許の教習所料金(普通免許を保有した状態から・通学・実査額) | 20.0万〜25.7万円 | 50.1万〜51.1万円 |
| 準備期間(特定活動)の人件費(上限の1年まで在留した場合の参考値) | 約418万円 | 約463万円 |
| 初任診断(NASVA) | 4,800円 | 4,800円 |
| 職場環境に関する認証(未取得の企業のみ・一つ星/電子申請の審査料3万円+登録料6万円・税別) | 9万円 | 9万円 |
| 自動車運送業分野特定技能協議会 | 0円 | 0円 |
| 固有費用の合計(上限シナリオ) | 約448万〜454万円 | 約523万〜524万円 |
この表の読み方について7点。
- 金額の9割前後は準備期間の人件費です(タクシー92〜93%・バス約88%)。教習料金を1円単位で比べるより、準備期間を何か月に収められるかのほうが総額を動かします。第二種免許と新任運転者研修が早く終われば人件費はその分だけ小さくなり、上の合計も下がります。
- 税別と税込が混ざっています。 認証の9万円は税別、教習所の料金と初任診断は税込です。厳密に見積もるときは認証分に消費税を上乗せしてください(合計への影響は9,000円程度です)。
- 2人目からは認証の9万円が落ちます。 職場環境に関する認証は企業単位で1回取れば足りるため、上の合計のうち9万円は1人目にだけ乗る固定費です(同時期に複数名を受け入れるなら、なおさら1人あたりは下がります)。逆に教習料金と準備期間の人件費は1人ごとに丸ごと発生します。
- 上限シナリオです。 準備在留の上限(タクシー・バス1年)を丸ごと使った場合の値です。第二種免許と新任運転者研修が終わればその時点で速やかに特定技能1号へ移行することになるため、実際の準備期間はこれより短く、人件費も比例して小さくなります。
- 教習料金の行はトモハタが2026年7月21日に実査した範囲の金額です(普通免許を保有した状態からの第二種取得)。保有免許の区分が変われば約9万〜10万円動きます(前掲)。実査校数は行ごとに異なり、統計的な相場ではありません。⚠️ 2列の金額は実査した教習所の組が違うため、タクシーとバスの差額を「区分による差」として読まないでください(同一校内の比較は前掲の区分差の節が正です)。
- 受験資格特例教習は含めていません。 母国での運転経歴を証明でき、通算3年以上ある候補者には不要だからです(前掲)。必要になる候補者では、実査1校の現行価格(2026年8月13日時点)で年齢課程122,100円・経験課程298,100円・年齢/経験課程343,200円の分だけ上振れします。
- 指導・研修の実施コスト(タクシー・バスの新任運転者研修。トラックでは初任運転者への特別な指導=座学15時間以上+実技20時間以上)は自社の実費で、公的な定めがないため金額を置いていません。自社の指導担当者の人件費・車両使用分を上乗せしてください。
⚠️ 他社の費用記事の総額と比べるときは、含んでいる費目を確認してください。 「特定技能ドライバーの採用費用は◯◯万円」として紹介されている金額は、人材紹介手数料・申請費用・渡航費・住居準備といった全分野共通の初期費用の合計であることが多く、上の表の主役である準備期間の人件費と教習所の料金は含まれていないことがあります。この分野の資金計画では、特定技能の採用費用・相場の総額モデル(人材紹介手数料・申請費用・渡航費・住居準備・月額の支援委託費)と、上の固有費用を足して見積もってください。人材紹介手数料は共通費のうち最大の費目になりやすいので、内訳は人材紹介手数料の相場も併せてご覧ください。
なお、報酬を得て業として行う在留資格の申請書類の作成は行政書士などの専門家の領域です(申請書等の提出=申請取次は、変更・更新なら地方出入国在留管理局長の承認を受けた自社・登録支援機関の職員も、本人の依頼を受けて行えます)。書類の作成が必要な場合は、行政書士などの専門家と連携して進めます。⚠️ この分野では在留手続きが2回発生します(準備在留=特定活動の認定と、そこからの特定技能1号への変更)。専門家に依頼する場合はその報酬も2回分を見込んでください。全分野共通の総額の内訳と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場、費用を下げる制度は外国人採用の助成金・補助金で整理しています。
登録支援機関の活用
自社で支援の体制を整えるのが難しい場合は、1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関へ委託できます(自社支援と委託の比較は自社支援か登録支援機関への委託か)。⚠️ 委託できるのは支援の「実施」であって、支援計画の「作成」は受入れ機関の義務です。またこの分野では、支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合、その登録支援機関も協議会の構成員になる必要があります(前掲)=委託先を選ぶ段階で、協議会に加入済みか・加入する意思があるかを確認しておくと手戻りがありません。選び方と契約前の確認は登録支援機関の選び方を参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。すでに委託していて委託先を見直したいときの進め方は登録支援機関の変更(乗り換え)にまとめています。
まとめ
自動車運送業で特定技能の外国人を採用するには、①区分(トラック・タクシー・バス)ごとの試験と日本語要件(タクシー・バスは参照枠のB1相当以上が基本。企業の措置でA2.2相当まで下げられますが貸切バス・観光バスは対象外)②日本の運転免許(トラック=第一種、タクシー・バス=第二種+新任運転者研修)③自動車運送業分野特定技能協議会への加入(在留諸申請の前)と企業側の許可要件(職場環境に関する認証。トラックだけGマークで代替可・直接雇用。貨物軽自動車運送事業のみの事業者は受け入れ不可)④受入れ見込数(5年間で2万2,100人)を押さえることが第一歩です。
日本の免許がない人材については、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」で先に受け入れることができ、雇用契約の下で免許取得を進められます。とくにタクシー・バスは、第二種免許が外免切替の対象外で日本国内での取得が必要なうえ受験資格(原則21歳以上・免許保有通算3年以上。母国での運転経歴も算入できますが、それを証明する書類が要ります)もあるため、準備在留(トラック6か月・タクシー・バス1年)の中で取得を完了できるかが実務上の関門になります。この期間は特定技能1号の5年を消費しない一方、更新ができず、営業運転もできない(=準備期間中も人件費だけは発生し続ける)という二面性があるため、期間内に免許取得が完了する計画を立てられるかが実務上の分かれ目になります。
そして⑤費用は、他分野と共通の初期費用・月額に加えて、この分野固有の上乗せ分(運転免許・準備期間の人件費・初任診断と研修・職場環境に関する認証)が乗ります。区分ごとの実額は本文「費用の目安」の合計表にまとめました。その8〜9割は教習料金ではなく準備期間の人件費なので、費用を抑える最大の変数は「準備期間をどれだけ短くできるか」=候補者の免許・運転経歴の状態です。2024年に追加された新しい分野で運用が整備途上のため、最新の運用方針を必ず確認しましょう。
制度の全体像は特定技能とは?、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、起きやすいトラブルと対処は外国人社員とのトラブル事例をご覧ください。
よくあるご質問
- 外国人をトラックドライバーやバス運転手として採用できますか?
- はい、可能です。特定技能『自動車運送業』分野には、トラック(貨物)・タクシー・バス(旅客)の3区分があり、それぞれの区分に対応する自動車運送業分野特定技能1号評価試験に合格し、日本語要件(トラックは「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上、タクシー・バスは同参照枠のB1相当以上。企業が一定の措置を講じる場合はA2.2相当でも可。ただし一般貸切旅客自動車運送事業=貸切バス・観光バスの事業はこの引き下げの対象外)と日本の運転免許(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種運転免許+新任運転者研修の修了)を満たす人材であれば採用できます。区分ごとの要件の違いは本文の比較表で確認してください。
- 日本の運転免許を持っていない外国人を採用することはできますか?
- できます。技能試験・日本語試験に合格しているものの日本の運転免許や新任運転者研修がまだの人材については、受入れ機関との雇用契約の下で、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」による入国・在留が認められています。なお技能試験の受験には日本または外国で取得した有効な運転免許の保有が必要なため、対象になるのは「運転免許を一切持たない人材」ではなく「母国などの免許はあるが日本の免許がまだない人材」です。在留期間の上限はトラック運送業が6か月、タクシー運送業・バス運送業が1年で、この期間中に免許取得や新任運転者研修を進めます。ただしこの在留期間は更新できないため、期間内に免許取得が完了する計画を立てる必要があります。詳しくは本文の解説をご覧ください。
- 特定活動(特定自動車運送業準備)の期間は特定技能1号の5年に含まれますか?
- 含まれません。特定活動(特定自動車運送業準備)による在留期間は、特定技能1号の通算在留期間には算入されないことが分野別運用方針で定められています。つまり免許取得のための準備期間を使っても、その後の特定技能1号としての在留可能期間が短くなることはありません。ただし特定活動の在留期間そのもの(トラック6か月・タクシー・バス1年)は更新できない点に注意してください。なお特定技能1号への変更許可申請を出したあと審査中に上限が過ぎた場合は、最長2か月の特例期間として引き続き「特定活動」で在留できます(審査結果の通知も2か月以内に行われます)。これは審査待ちの緩衝であって、免許取得が間に合わなかった場合の延長ではありません。
- 自動車運送業で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック・タクシー・バスの区分ごと)に合格し、日本語要件を満たすことが基本です。日本語はトラックが「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上(証明は国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上)、タクシー・バスは同参照枠のB1相当以上(証明は日本語能力試験N3以上。企業が一定の措置を講じる場合はA2.2相当)が求められます。加えて、日本の運転免許(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種運転免許+新任運転者研修の修了)が必要です。企業側は受け入れ要件を満たし、在留諸申請の前に自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。要件のうち職場環境に関する認証は、トラック運送業の受け入れ機関にかぎり安全性優良事業所(Gマーク)でも満たせます。⚠️ 貨物軽自動車運送事業のみを行っている事業者は、認証もGマークも対象外のため受け入れできません。また日本語要件の引き下げ措置(企業の措置でA2.2相当も可)は、一般貸切旅客自動車運送事業=貸切バス・観光バスの事業では使えません。
- 外国の運転免許を日本の免許に切り替えれば、タクシーやバスの運転手として採用できますか?
- できません。外国免許からの切替(外免切替)の対象は第一種免許であり、タクシー・バスに必要な第二種運転免許は切替の対象外です。そのため第二種免許は日本国内で取得する必要があります。第二種免許には受験資格があり、原則として21歳以上かつ普通免許等の保有期間が通算3年以上あること(受験資格特例教習を修了した場合は19歳以上・通算1年以上)が求められます。この保有期間には外国で取得した免許の運転経歴も算入されます(運用要領別冊が受験資格に「海外における運転経歴を含む」と明記し、国土交通省のQ&Aも「海外における運転経歴でも問題ありません」と回答)。ただし算入には海外での運転経歴が分かる書類が必要で、免許証から経歴が読み取れない場合は運転経歴証明書等を母国で取得しておく必要があります(国によっては入国前でないと取得できません)。トラック(第一種免許)は外免切替の対象になり得ますが、受験資格は大型免許(21歳以上・通算3年以上)・中型免許(20歳以上・通算2年以上)にも定められているため、大型車・中型車を運転させる場合は同じ書類の確認が必要です。⚠️ さらに、外免切替で第一種大型免許に切り替える場合は一度普通自動車運転免許に切り替えてから大型に切り替える流れになり、国土交通省のQ&Aは準備在留(特定活動)の期間中に行うのは普通自動車運転免許への切替までとしています=大型・中型への切替は特定技能1号に移行してからになります。
- 自動車運送業の特定技能で外国人がすぐ運転できますか?
- 業務に従事するには日本の運転免許が必要です。トラックは第一種運転免許、タクシー・バスは第二種運転免許に加えて新任運転者研修の修了が求められます。試験合格や在留資格の取得とは別に、日本での免許取得・切替の段取りが必要になる点に注意してください。日本の免許をまだ持たない人材については在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」で入国させ、雇用契約の下で免許取得を進める道筋が用意されていますが、この期間は営業運転に従事させられません。
- 自動車運送業の特定技能でタクシー・バスの日本語要件が高いのはなぜですか?
- タクシー・バスは旅客を直接乗せ、案内や安全確保で乗客とのやり取りが多いため、「日本語教育の参照枠」のB1相当以上が基本です(受け入れ企業が日本語学習プランの作成や意思疎通を補助する要員の同乗などの措置を講じる場合は、A2.2相当でも従事できます。一般貸切旅客自動車運送事業を除く)。貨物が中心のトラックは同参照枠のA2.2相当以上(または国際交流基金日本語基礎テスト)が基準で、区分によって日本語要件が異なります。自社が採用したい区分の要件を最初に確認しておくと、人材の見極めがしやすくなります。
- 自動車運送業の特定技能で受け入れられる人数に上限はありますか?
- あります。自動車運送業分野の受入れ見込数は、トラック・タクシー・バスの合計で令和6年度からの5年間に2万2,100人とされています(2026年1月23日の閣議決定で改定)。分野別運用方針は改定されることがあり、上限に達すると新規受け入れが一時停止される可能性もあるため、採用を計画する段階で最新の運用状況を確認しておきましょう。
- 自動車運送業でドライバーを採用する費用には何が含まれますか?
- 初期費用(人材紹介手数料・在留資格の申請費用・渡航費)と月額の支援委託費という基本構成に加えて、この分野特有の費用として、運転免許の取得・切替の費用、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」の準備期間中の人件費、初任診断(トラック・タクシー・バスの3区分に共通)とタクシー・バス区分の新任運転者研修・トラック区分の初任運転者への特別な指導の実施費用、職場環境に関する認証の取得費用(要件を未充足の企業のみ)があります。認証の費用は全区分一律ではなく、トラック運送業は安全性優良事業所(Gマーク)でも要件を満たせるため、Gマークを取得済みなら働きやすい職場認証の取得費用はかかりません。タクシー・バスはGマークによる代替が規定されていないため、実際には認証によることになります。なお自動車運送業分野特定技能協議会の入会金・年会費は発生しません。⚠️ 認証は費用だけの問題ではなく、運送事業の許可取得後3年以上の経過が申請の基本要件のため、設立まもない事業者は取得自体ができません(トラックはGマークという別経路があります)。具体的な金額は本文の「費用の目安」で、外免切替の手数料・全国9都道府県10校の教習所料金の実査額・準備期間の人件費・初任診断・認証の審査料まで実額で示しています。
出典・参考(一次情報)
- 自動車運送業分野(出入国在留管理庁)
- 自動車運送業分野の分野別運用方針(別紙10・特定活動による受入れ・在留期間の上限/受入れ見込数・職場環境に関する認証・令和8年1月23日閣議決定)(出入国在留管理庁)
- 自動車運送業分野における特定技能の運用(日本語能力を証する書類・別表/在留期間の更新の可否・特定技能1号への変更手続/事業者要件・協議会加入時期・試験免除)(出入国在留管理庁)
- 特定活動(特定自動車運送業準備)(出入国在留管理庁)
- 特定技能(自動車運送業分野)Q&A(協議会の加入手続・入会金/年会費・新任運転者研修と在留申請の順序)(国土交通省)
- 外国免許等関係事務取扱い要領(第一種免許の運転免許試験の一部免除)(警察庁)
- 国家公安委員会委員長記者会見(外免切替の見直し・2025年10月1日開始)(国家公安委員会)
- 外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替えるには(知識確認・技能確認を免除する国等〔29か国等〕の一覧/外国免許からの切替の手数料・東京都)(警視庁)
- 受験資格特例教習(第二種免許等の受験資格の特例)(警察庁)
- 自動車運送業分野特定技能1号評価試験実施要領(出入国在留管理庁)
- 働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証制度)2026年度版 申請案内書(事業許可取得後3年以上の基本要件)(日本海事協会(国土交通省指定認証実施団体))
- 貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)(全日本トラック協会(全国貨物自動車運送適正化事業実施機関))
- 自動車運送業分野の基準改正(日本語能力に応じた追加措置の新設・2026年4月10日施行)(出入国在留管理庁)
- 大型一種・大型二種の教習料金(保有免許別・取得時期の注記つき)(中央バス自動車学校) ※トモハタが2026年7月21日に実査した10校のうちの1校
- 教習料金表(第一種免許/第二種免許と限定解除/受験資格特例教習・いずれも保有免許別)(羽生モータースクール) ※トモハタが2026年7月21日に実査した10校のうちの1校
- コース・料金 普通車二種(AT・MTの総額料金・AT限定解除審査・追加料金)(阪和鳳自動車学校) ※トモハタが2026年7月21日に実査した10校のうちの1校
- 国土交通白書2025(令和7年版)Web版「バス・タクシーの担い手不足」(バス運転者の平均年間給与463万円・タクシー運転者の平均年間給与418万円・いずれも令和6年)(国土交通省)
- 同じ国土交通白書2025(令和7年版)のPDF版 第1章第1節「担い手不足等によるサービスの供給制約」(トラックドライバーの年間平均賃金 大型485万円・中小型438万円・2023年〔令和5年〕)(国土交通省)
- 特定技能在留外国人数の公表等(半年ごとの公表=概要版の第1〜3表〔主な国籍・地域別/都道府県別/分野・業務区分別〕・詳細版の第4〜9表〔国籍・地域別/都道府県・市区町村別/試験・技能実習ルート別/年齢・男女別〕の在留外国人数と「特定技能制度運用状況」の掲載元=報酬・賃金の項目は無い)(出入国在留管理庁)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別にみた賃金・特定技能 221.4千円)(厚生労働省)
- 初任診断(受診対象者・受診時期・受診料)(自動車事故対策機構(NASVA))
- 一般診断(受診料)(自動車事故対策機構(NASVA))
- 貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年国土交通省告示第1366号・初任運転者に対する特別な指導の内容及び時間=座学等15時間以上・安全運転の実技20時間以上)(国土交通省)
- 働きやすい職場認証制度 2026年度版 申請案内書(三つ星/審査料・対面審査の追加費用)(日本海事協会(国土交通省指定認証実施団体))