特定技能「鉄道」とは|6区分の業務・試験・受け入れ要件と採用の進め方
目次
鉄道分野で外国人を採用したい、または制度を知りたい企業向けに、6区分の業務・試験・受け入れ要件・採用の流れを1ページで整理します。鉄道は人手不足を背景に、2024年に特定技能の対象へ追加された比較的新しい分野です。ただ、「採用したい人材は見つかっても、自社の業務がどの区分に当たるのか、必要な試験や日本語要件が区分でどう違うのかが分からず受け入れが進まない」というつまずきが起きやすい分野でもあります。結論を先に言うと、鉄道で押さえるべき固有ルールは①業務区分の特定(軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員・駅/車両清掃の6区分)②区分ごとに変わる試験と日本語要件(運輸係員は参照枠のB1相当以上)③鉄道分野特定技能協議会への加入の3つです。このページで、これらを順に整理します。
この記事の要点
- 業務区分が6つに分かれる — 軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員・駅/車両清掃(駅・車両清掃は令和8年1月23日決定で追加)。自社の業務がどの区分に当たるかの特定が出発点で、これで受ける試験や日本語要件が変わります。
- 運輸係員だけ日本語要件が高い — 乗客と接する運輸係員は参照枠のB1相当以上、整備・製造系の区分(駅/車両清掃を含む)は参照枠のA2.2相当以上が基準です。
- 新しい分野ゆえ最新確認が重要 — 鉄道は2024年に追加されたばかりで運用が整備途上。要件は出入国在留管理庁・国土交通省の運用方針で必ず確認します。
本記事は一般的な情報提供です。鉄道分野は2024年に追加された新しい分野で、要件・運用が整備途上のため、最新の内容は出入国在留管理庁および国土交通省の分野別の運用方針で必ず確認してください。
鉄道分野の特定技能はここが特徴
鉄道で特定技能を受け入れるときは、他の分野にはない固有のポイントが前提になります。まずここを押さえます。
- 2024年に追加された新しい分野 — 運用が整備途上のため、最新情報の確認が特に重要です。
- 業務区分が6つに分かれる — 軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員・駅/車両清掃。自社の業務がどの区分に当たるかの特定が出発点です。
- 日本語要件が区分で異なる — 乗客と接する運輸係員は参照枠のB1相当以上、整備・製造系の区分(駅/車両清掃を含む)は参照枠のA2.2相当以上が基準です。
- 鉄道分野特定技能協議会への加入が必要 — 受け入れ企業は協議会の構成員になります。
- 所管は国土交通省 — 試験運用や調査は国土交通省が所管します。
- 受け入れ見込数は1号2,900人(3,800人から引き下げ) — 令和6年度から5年間(令和10年度末まで)の受け入れの上限として運用されます。令和8年1月23日閣議決定の現行方針の数値で、令和6年3月29日決定の旧方針の「最大3,800人」から引き下げられました。同じ決定で育成就労に1,100人の枠が新設され、鉄道分野全体の受入れ見込数は4,000人です。[1]⚠️ 出入国在留管理庁の分野別ページには旧値3,800人が残っています(2026年7月30日時点)。[2]
以下で、それぞれを詳しく見ていきます。
対象となる業務区分
鉄道で対象となる業務区分は次の6つです。自社の業務がどの区分に当たるかで、本人が受ける試験や日本語要件が変わるため、ここの特定が採用の出発点になります。
- 軌道整備 — 線路・軌道まわりの保守・整備。
- 電気設備整備 — 電車線や信号などの電気設備の保守・整備。
- 車両整備 — 鉄道車両の検査・整備。
- 車両製造 — 鉄道車両の製造。
- 運輸係員 — 駅・車内で乗客の案内・対応などにあたる業務。
- 駅・車両清掃 — 駅構内や鉄道車両の清掃業務。令和8年1月23日決定で追加された区分です(2026年4月1日施行)。
区分は制度改正で見直されることがあるため、最新の内容は分野別情報で確認してください。
鉄道で必要な試験と日本語要件
鉄道で特定技能外国人を受け入れるには、本人が次の要件を満たしている必要があります。ポイントは、自社の業務区分に対応する試験と日本語要件を満たすことです。
- 技能試験 — 「鉄道分野特定技能1号評価試験」(業務区分ごと)。車両製造は各種技能検定3級でも可とされています。
- 日本語試験 — 日本語教育の参照枠の水準で判定されます。軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・駅/車両清掃は参照枠のA2.2相当以上、運輸係員は参照枠のB1相当以上が基準です。
令和8年1月23日の閣議決定で、日本語要件は日本語能力試験(JLPT)のN番号による代替表記が廃止され、参照枠のみの基準に一本化されました。あわせて軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・駅/車両清掃の水準はA2相当からA2.2相当へ引き上げられています。採用中の企業が見落としやすい変更のため、社内資料が旧基準のままになっていないか確認してください。なお運輸係員の参照枠B1相当以上には、自動車運送業のタクシー・バスにあるようなA2.2相当への引き下げ措置はありません。
技能試験は区分ごとに実施団体が分かれています。実施日程・申込方法は各団体の公式ページで確認してください。
- 軌道整備 — 日本鉄道施設協会
- 電気設備整備 — 鉄道電業安全協会
- 車両整備 — 日本鉄道車両機械技術協会
- 車両製造 — 日本鉄道車輛工業会
- 運輸係員 — 日本鉄道運転協会
- 駅・車両清掃 — 試験の実施団体は2026年7月時点で未公表です(令和8年1月に追加された新区分のため)。
運輸係員だけ日本語要件が高いのは、駅や車内で乗客の案内・対応にあたり、安全確保のためのやり取りが多いためです。整備・製造系の区分とは基準が異なる点に注意します。人材の確保ルートや技能実習との関係は、特定技能・技能実習・育成就労の違いもあわせてご覧ください。
試験の仕組み全般(日本語試験・技能試験・免除ルート)と他分野の試験名は特定技能の試験で確認できます。日本語試験そのものの詳しい比較(JFT-BasicとJLPT N4の違い・鉄道の運輸係員など上乗せがある区分)は特定技能の日本語試験で解説しています。
受け入れ企業に求められる要件
鉄道で受け入れるには、企業側に次のような条件が求められます。
- 鉄道分野特定技能協議会への加入 — 受け入れ企業は協議会の構成員になること。加入は受け入れの前提条件にあたるため、採用を進める前段で手続きを確認しておきます(規約・様式は国土交通省の鉄道分野ページに掲載)。
- 所管省庁の調査等への協力 — 国土交通省が行う調査や指導に協力すること。
企業側に共通して求められる受け入れ要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件、採用全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。
1号と長期就労の扱い
鉄道は特定技能1号のみの分野です。特定技能1号は在留期間が通算で最長5年と定められています。現行の分野別運用方針に2号特定技能外国人の規定はなく、長期就労は1号の枠内での検討になります。最新の内容は出入国在留管理庁・国土交通省の運用方針で確認してください。
採用ルート
鉄道で特定技能外国人を採用する主なルートは次のとおりです。
- 試験合格者を採用 — 区分に対応する鉄道分野の試験に合格し、日本語要件を満たした人材を採用します。
- 国内在住者の採用 — すでに日本にいる特定技能外国人を採用すると、渡航費などの初期費用を抑えやすくなります。
費用の目安
鉄道でも、費用の考え方は他分野と同じく「初期費用+月額の支援委託費」です。
- 初期費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費など。
- 月額 — 登録支援機関への支援委託費(1人あたり月15,000〜30,000円程度が目安)。
なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。総額の内訳と採用ルート別のモデルは特定技能の採用費用・相場で整理しています。
登録支援機関の活用
自社で生活支援の体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます(自社支援と委託の比較は自社支援か登録支援機関への委託か)。選び方は登録支援機関の選び方、契約前の確認は契約前チェックリストを参考にしてください。採用後の定着の工夫は特定技能外国人の定着支援で解説しています。
まとめ
鉄道で特定技能の外国人を採用するには、①業務区分(軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員・駅/車両清掃)の特定②区分ごとに変わる試験と日本語要件(運輸係員は参照枠のB1相当以上)③鉄道分野特定技能協議会への加入を押さえることが第一歩です。2024年に追加された新しい分野で運用が整備途上のため、最新の運用方針を必ず確認しましょう。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、対象分野の一覧は特定技能の対象分野一覧、よくある失敗は特定技能採用でよくある失敗と注意点をご覧ください。
「自社で鉄道の特定技能外国人を受け入れられるか」「どの業務区分に当たるか」を相談したい場合は、条件に合う登録支援機関・人材紹介会社を無料でご紹介します(提携先のサービスをご紹介しています)。
よくあるご質問
- 鉄道で特定技能の外国人を採用するには何が必要ですか?
- 採用する外国人が、鉄道分野特定技能1号評価試験(自社の業務区分に対応するもの)に合格し、日本語要件を満たすことが基本です。日本語要件は日本語教育の参照枠の水準で判定され、軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・駅/車両清掃はA2.2相当以上、乗客と接する運輸係員はB1相当以上が求められます。企業側は受け入れ要件を満たし、鉄道分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。
- 鉄道の特定技能の対象業務区分は何ですか?
- 軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員、駅・車両清掃の6区分が対象です(駅・車両清掃は令和8年1月23日決定で追加された区分で、2026年4月1日施行)。自社の業務がどの区分に当たるかで、本人が受ける試験や日本語要件が変わります。最新の区分は出入国在留管理庁・国土交通省の運用方針で確認してください。
- 鉄道の特定技能で運輸係員だけ日本語要件が高いのはなぜですか?
- 運輸係員は駅や車内で乗客の案内・対応にあたり、安全確保のためのやり取りが多いため、日本語教育の参照枠のB1相当以上が求められます。整備・製造系の区分(軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・駅/車両清掃)はA2.2相当以上が基準です。