特定技能で採用できる国は?主要国の特徴・選び方を比較|国籍別ガイド
目次
特定技能で外国人を採用しようと調べ始めると、「結局どの国の人を採用できるのか」「ベトナムとインドネシアで何が違うのか」という疑問にぶつかりがちです。結論から言うと、採用の可否や要件は国籍では変わりません(分野ごとに決まります)。国によって違うのは、主に送り出し国側の手続きです。そして「自社に合う国」は、業種・採用したい人数・採用したい時期といった条件から考えるのが実務的です。このページでは、まず国籍で変わること・変わらないことを整理し、主要国の特徴と選び方の軸を解説します。
この記事の要点
- 採用の可否・要件は国籍で変わらない — 試験・日本語要件・企業側の受け入れ要件は分野ごとに定まります。日本が二国間協力覚書(MOC)を結ぶ17か国以外の国籍でも、要件を満たせば受け入れできます。
- 国で違うのは「送り出し手続き」 — ベトナム・フィリピン・インドネシアなど、国ごとに送り出し国側の固有の手順があります。ここを取り違えると手続きが進みません。
- 国は「業種・人数・時期」で選ぶ — 在留者数の多さだけで決めず、自社の業種で実績のある国・採用したいルート(国内在住者か海外採用か)から考えます。
本記事は一般的な情報提供です。対象国・送り出し国側の手続きは変動するため、最新の内容は出入国在留管理庁の情報で必ず確認してください。送り出し国側の手続きの詳細は、各国の政府機関が定めるものです。
国籍で「採用の可否・要件」は変わらない
最初に押さえておきたいのは、特定技能で採用できるかどうかは国籍では決まらないということです。在留資格としての要件は、次のように分野ごと・本人ごとに定まります。
- 本人の要件 — 受け入れる分野の技能試験と日本語試験に合格していること。日本語要件は日本語能力試験N4以上またはJFT-Basicが基本ですが、鉄道・運輸係員など一部分野はN3以上、介護では介護日本語評価試験が別に課されるなど、要件は分野ごとに異なります。対象の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。
- 企業側の要件 — 受け入れ機関としての受け入れ要件を満たし、分野によっては協議会に加入すること。
日本は特定技能について**17か国と二国間の協力覚書(MOC)**を結んでいます(フィリピン・カンボジア・ネパール・ミャンマー・モンゴル・スリランカ・インドネシア・ベトナム・バングラデシュ・ウズベキスタン・パキスタン・タイ・インド・マレーシア・ラオス・キルギス・タジキスタン)。ただし、この覚書は受け入れの要件ではありません。出入国在留管理庁も、覚書を作成していない国の外国人であっても受け入れることはできる、と明示しています。覚書は、悪質な仲介事業者を排除するための情報共有の枠組みという位置づけです。
たとえば中国は覚書の締結国には含まれていませんが、だからといって採用できないわけではなく、要件を満たせば採用できます。
国によって違うのは「送り出し手続き」
国籍で要件は変わらない一方、送り出し国側が独自に定める手続きは国ごとに異なります。ここは制度の要件とは別レイヤーで、取り違えると在留資格の申請が進まないため、採用したい国が決まったら早めに確認します。代表的な国の特徴は次のとおりです。
| 国 | 送り出し手続きの特徴 |
|---|---|
| ベトナム | 海外からの新規受け入れでは送り出し国側の手続きが比較的厳格。「推薦者表」(ベトナム海外労働管理局=DOLABの承認)が必要になる場合があり、認定送り出し機関との契約が前提(国内在住者の採用では省ける場面あり)。 |
| フィリピン | 駐日フィリピン大使館・総領事館のMWO(旧POLO)への書類提出・審査と、DMW(旧POEA)への使用者登録が必要。 |
| インドネシア | インドネシア政府が管理する労働市場情報システムへの求人登録が原則必要(登録自体に費用はかからないとされています)。海外配置のオンラインシステムでの確認も行われます。 |
| ミャンマー | 認定送り出し機関の利用が前提。一方で、ミャンマー側手続きを行ったことの証明書類を在留諸申請で提出する必要はないとされています。 |
| ネパール | 政府認定の送り出し機関の利用は必須ではない(任意)。詳細はネパール側の政府機関への確認が案内されています。 |
| カンボジア | 認定送り出し機関の利用が前提。カンボジア政府発行の登録証明書を在留諸申請時に提出します。 |
| 中国 | 二国間協力覚書の締結国ではない。覚書は要件でないため採用は可能だが、送り出しの実務は個別に確認が必要。 |
このように、「どの国が手続きしやすいか」は一概に言えず、自社の採用ルート(国内在住者を採用するか、海外から呼び寄せるか)によっても変わります。国内にすでにいる候補者を採用する場合は、送り出し国側の新規手続きを省ける場面が多く、初期費用や期間を抑えやすくなります。
主要国の特徴(在留者数の傾向)
どの国の人材が日本で働いているかは、採用のしやすさの目安になります。出入国在留管理庁の統計では、特定技能の在留外国人はベトナムが最も多く、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどが続く傾向です。特定技能の在留外国人数は、令和7年12月末時点で**約39万人(速報値)**に達しています。
- ベトナム — 在留者数が最も多く、送り出し機関や日本側の受け入れ実績も豊富。一方で送り出し手続きは比較的厳格です。
- インドネシア — 近年急増しており、製造・建設・介護など幅広い分野で受け入れが進んでいます。
- フィリピン — 英語に強く、介護をはじめサービス系分野での受け入れが多い国です。
- ミャンマー — 受け入れが増加傾向。送り出し側の証明書類提出が不要とされるなど、手続き面の特徴があります。
- ネパール・カンボジアなど — 分野や地域によって受け入れが広がっています。
国籍別の人数は時期によって変動します。最新の正確な数値は出入国在留管理庁の統計で確認してください。
どの国を選ぶか:選び方の軸
「在留者数が多いから」という理由だけで国を選ぶと、自社の業種に合わなかったり、採用したい時期に間に合わなかったりすることがあります。次の軸で考えると、自社の条件に合う国を絞り込みやすくなります。
- 業種で見る — 自社の業種で受け入れ実績の多い国から探すと、試験合格者や経験者を見つけやすくなります。対象の業種は特定技能の対象16分野一覧で確認できます。
- 採用ルートで見る — 海外から新規に呼び寄せるか、すでに日本にいる人材を採用するかで、必要な送り出し手続きや費用・期間が変わります。
- 人数・時期で見る — まとまった人数を急いで採用したい場合と、少人数をじっくり採用したい場合では、送り出しの体制が整っている国の選択が変わります。
- 技能実習からの移行を見込むか — 自社や関連先で技能実習を受け入れている場合、同じ国からの移行を前提にすると、試験免除でスムーズに進むことがあります(制度の違いは特定技能・技能実習・育成就労の違い)。
なお、「どの国が優れているか」を一律に断定することはできません。自社の業種・規模・時期によって合う国は変わるため、条件を整理したうえで比較するのが実務的です。
費用・進め方は国によって大きくは変わらない
採用にかかる費用や全体の進め方は、国籍によって大きく変わるものではなく、共通の枠組みで考えられます。
- 費用 — 人材紹介手数料(人材紹介手数料の相場)、在留資格の申請費用、渡航費、登録支援機関への支援委託費が中心です。総額の考え方は特定技能の採用費用・相場で整理しています。
- 進め方 — 全体の流れは特定技能の採用の流れで解説しています。生活支援の体制づくりは登録支援機関の選び方を参考にしてください。
なお、在留資格の申請書類の作成や申請取次は行政書士などの専門家の領域です。必要に応じて行政書士などの専門家と連携して進めます。
まとめ
特定技能で採用できる国を考えるときの出発点は、採用の可否・要件は国籍では変わらないということです。日本は17か国と二国間協力覚書を結んでいますが、これは受け入れの要件ではなく、締結国以外の国籍でも要件を満たせば採用できます。国によって違うのは主に送り出し国側の手続きで、ベトナム・フィリピン・インドネシアなど国ごとに固有の手順があります。在留者数はベトナムが最多で、インドネシア・フィリピンなどが続きますが、国選びは在留者数の多さだけでなく、自社の業種・採用ルート・人数・時期から考えるのが実務的です。
制度の全体像は特定技能採用の完全ガイド、企業側の要件は特定技能で企業に求められる受け入れ要件をご覧ください。
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よくあるご質問
- 特定技能はどの国の外国人でも採用できますか?
- 日本は特定技能について17か国と二国間の協力覚書(MOC)を結んでいますが、これは受け入れの要件ではありません。出入国在留管理庁も、覚書を作成していない国の外国人であっても受け入れることはできるとしています。採用できるかどうかは国籍ではなく、本人が分野ごとの試験・日本語要件を満たし、企業側が受け入れ要件を満たすかで決まります。
- 国によって採用の条件は変わりますか?
- 在留資格としての要件(技能試験・日本語試験・企業側の受け入れ要件)は分野ごとに定まり、国籍では変わりません。違うのは送り出し国側の手続きです。たとえばベトナムは推薦者表(DOLABの承認)、フィリピンは駐日大使館のMWO・DMWへの登録、インドネシアは労働市場情報システムへの求人登録など、国ごとに固有の手順があります。
- 特定技能で在留している外国人が多い国はどこですか?
- 出入国在留管理庁の統計では、特定技能の在留外国人はベトナムが最も多く、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどが続く傾向です。特定技能の在留外国人数は令和7年12月末時点で約39万人(速報値)に達しています。
- 中国から特定技能で採用できますか?
- 中国は二国間協力覚書(MOC)の締結国には含まれていません。ただし覚書の締結は受け入れの要件ではないため、要件を満たせば中国籍の方を特定技能で採用することは可能です。